(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ファスニング・位置合わせ部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20220104BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
E04B1/58 506L
E04B1/58 505L
E04B1/26 G
(21)【出願番号】P 2018521199
(86)(22)【出願日】2016-07-11
(86)【国際出願番号】 US2016041807
(87)【国際公開番号】W WO2017008083
(87)【国際公開日】2017-01-12
【審査請求日】2019-07-04
(32)【優先日】2015-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダウンズ、マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】リン、チン - チエ
(72)【発明者】
【氏名】ストウファー、ティモシー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ミールブレヒト、エメット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ダスティン ピー.
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-222929(JP,A)
【文献】特開2004-036376(JP,A)
【文献】米国特許第06665991(US,B2)
【文献】米国特許第04928867(US,A)
【文献】米国特許第08082702(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第02886731(EP,A1)
【文献】米国特許第08176689(US,B1)
【文献】特開2000-104350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38 - 1/61
E04B 1/26
B25C 1/00,7/00
B21D 19/08
B21D 28/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材と、コネクタと、ファスナとの間の接合部であって、
a.概して平面状の取付け面を有する前記構造部材と、
b.その一部が前記構造部材に受容されて前記取付け面から前記構造部材に入り込む細長シャフトを有し、前記コネクタにも受容される前記ファスナと、
c.本体部を有する前記コネクタであって、前記本体部が、前記構造部材の前記取付け面から離間して位置する概して平面状の前面と、前記構造部材の前記取付け面に対向して位置する概して平面状の裏面とを有する概して平面状の部材であり、前記本体部が、前記ファスナ用の所定箇所をさらに有し、前記ファスナが、前記所定箇所においてまたは前記所定箇所に隣接して前記本体部に受容される前記コネクタと
を備え、
前記本体部は、前記ファスナ用の前記所定箇所に隣接した変形部分を有し、
前記変形部分は、前記構造部材の前記取付け面に向かって後方に突出する突出部材を含み、
前記突出部材は、前記所定箇所に向かって下降する斜面を有し、
前記突出部材は、前記変形部分の上方部から下降し、
前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記突出部材は、前記コネクタの前記概して平面状の裏面よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに突出し、
前記上方部は、前記突出部材に隣接し、前記突出部材よりも前記ファスナ用の前記所定箇所から径方向に離間しており、
前記上方部には、前記構造部材の前記取付け面に向かって後方に突出する突起部材が隣接し、
前記突起部材は、前記変形部分の前記上方部より前記構造部材の前記取付け面の近くに位置し、
前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記突起部材は、前記コネクタの前記概して平面状の裏面よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに位置し、
前記突起部材には、第2の上方部が隣接し、
前記第2の上方部は、前記突起部材よりも前記ファスナ用の前記所定箇所から径方向に離間しており、
前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記突起部材は、前記第2の上方部よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに位置し、
d.前記ファスナは、前記細長シャフトから外側に広がる部分を有する頭部を有し、前記頭部は、前記突出部材の前記斜面に係合する、接合部。
【請求項2】
前記突出部材が、前記ファスナ用の前記所定箇所を囲繞する、請求項1に記載の接合部。
【請求項3】
前記突出部材の一部が、前記構造部材に埋め込まれている、請求項1に記載の接合部。
【請求項4】
前記ファスナ用の前記所定箇所は、前記本体部の開口部であり、
前記開口部は、前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記上方部よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに位置する周縁を有する、請求項1に記載の接合部。
【請求項5】
前記斜面は、円錐台を成す単一の環状面である、請求項1に記載の接合部。
【請求項6】
前記突起部材および前記突出部材は、前記ファスナ用の前記所定箇所の周りに同心状に位置する、請求項1に記載の接合部。
【請求項7】
前記突出部材斜面は、前記ファスナ用の前記所定箇所まで下降する、請求項1に記載の接合部。
【請求項8】
前記突出部材および前記突起部材は、前記構造部材の前記取付け面から前記コネクタの前記本体部を持ち上げる、請求項1に記載の接合部。
【請求項9】
前記突起部材には、前記突起部材の受容面を粗面化するためにハッチングが施されている、請求項1に記載の接合部。
【請求項10】
構造部材と、コネクタと、ファスナとの間の接合部であって、
a.概して平面状の取付け面を有する前記構造部材と、
b.その一部が前記構造部材に受容されて前記取付け面から前記構造部材に入り込む細長シャフトを有し、前記コネクタにも受容される前記ファスナと、
c.本体部を有する前記コネクタであって、前記本体部が、前記構造部材の前記取付け面から離間して位置する概して平面状の前面と、前記構造部材の前記取付け面に対向して位置する概して平面状の裏面とを有し、前記本体部が、前記ファスナ用の所定箇所をさらに有し、前記ファスナが、前記所定箇所においてまたは前記所定箇所に隣接して前記本体部に受容される前記コネクタと
を備え、
前記本体部は、前記ファスナ用の前記所定箇所に隣接した変形部分を有し、
前記変形部分は、前記構造部材の前記取付け面に向かって後方に突出する突出部材を含み、
前記突出部材は、前記所定箇所に向かって下降する斜面を有し、
前記突出部材は、前記変形部分の上方部から下降し、
前記上方部は、前記突出部材に隣接し、前記突出部材よりも前記ファスナ用の前記所定箇所から径方向に離間しており、
前記上方部には、前記構造部材の前記取付け面に向かって後方に突出する突起部材が隣接し、
前記突起部材は、前記構造部材の前記取付け面に対向する平坦面を有し、
前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記突起部材は、前記変形部分の前記上方部より前記構造部材の前記取付け面の近くに位置し、
前記突起部材には、第2の上方部が隣接し、
前記第2の上方部は、前記突起部材よりも前記ファスナ用の前記所定箇所から径方向に離間しており、
前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記突起部材は、前記第2の上方部よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに位置し、
d.前記ファスナは、前記細長シャフトから外側に広がる部分を有する頭部を有し、前記頭部は、前記突出部材の前記斜面に係合する、接合部。
【請求項11】
前記突出部材が、前記ファスナ用の前記所定箇所を囲繞する、請求項10に記載の接合部。
【請求項12】
前記突出部材の一部が、前記構造部材に埋め込まれている、請求項10に記載の接合部。
【請求項13】
前記ファスナ用の前記所定箇所は、前記本体部の開口部であり、
前記開口部は、前記構造部材の前記平面状の取付け面と前記コネクタの前記本体部の前記概して平面状の裏面とが略平行であるとき、前記上方部よりも前記構造部材の前記取付け面の近くに位置する周縁を有する、請求項10に記載の接合部。
【請求項14】
前記斜面は、円錐台を成す単一の環状面である、請求項10に記載の接合部。
【請求項15】
前記突起部材および前記突出部材は、前記ファスナ用の前記所定箇所の周りに同心状に位置する、請求項10に記載の接合部。
【請求項16】
前記突出部材斜面は、前記ファスナ用の前記所定箇所まで下降する、請求項10に記載の接合部。
【請求項17】
前記突出部材および前記突起部材は、前記構造部材の前記取付け面から前記コネクタの前記本体部を持ち上げる、請求項10に記載の接合部。
【請求項18】
前記突起部材には、前記突起部材の受容面を粗面化するためにハッチングが施されている、請求項10に記載の接合部。
【請求項19】
構造部材と、根太と、受金物コネクタと、1以上のファスナとの間の接合部であって、
a.取付け面を有する前記構造部材と、
b.前記構造部材の前記取付け面の近傍に隣接してまたは接触して配置された前記根太と、
c.前記受金物コネクタを前記構造部材および前記根太に接続する前記1以上のファスナと、
d.前記根太に近接して位置する第1のサイドフランジを有する前記
受金物コネクタであって、前記第1のサイドフランジが、略平面状の略三角形ガセット部と、略平面前方直立フランジ部と、略平面後方直立フランジ部とを有し、前記
略三角形ガセット部が、座部側縁を有する前記
受金物コネクタと
を備え、
前記第1のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、それぞれの前記
略三角形ガセット部の、前記座部側縁ではない別々の側縁にそれぞれ接続され、
前記第1のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、共通のフランジ部側縁に沿って互いに結合し、
前記略平面後方直立フランジ部は、バックフランジと前記略平面後方直立フランジ部との間の共有の側縁に沿って前記バックフランジに接続し、
前記バックフランジは、前記構造部材に接触し、1以上のファスナによって前記構造部材に取り付けられる、接合部。
【請求項20】
a.前記受金物コネクタは、前記根太と接触して前記第1のサイドフランジと第2のサイドフランジとに接続する座部を有し、
前記第1および第2のサイドフランジは、前記座部から上方に延在し、
b.前記第2のサイドフランジは、前記根太に近接して位置し、
前記第2のサイドフランジは、略平面状の略三角形ガセット部と、略平面前方直立フランジ部と、略平面後方直立フランジ部とを有し、
前記
略三角形ガセット部は、座部側縁を有し、
前記第2のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、それぞれの前記
略三角形ガセット部の、前記座部側縁ではない別々の側縁にそれぞれ接続され、
前記第2のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、共通のフランジ部側縁に沿って互いに結合し、
前記略平面後方直立フランジ部は、バックフランジと前記略平面後方直立フランジ部との間の共有の側縁に沿って前記バックフランジに接続し、
前記バックフランジは、前記構造部材に接触し、1以上のファスナによって前記構造部材に取り付けられ、
c.前記第1
のサイドフランジの前記
略三角形ガセット部および前記第2のサイドフランジの前記
略三角形ガセット部は、それぞれの前記座部側縁で前記座部に結合し、
d.前記第1および第2のサイドフランジのそれぞれの前記
略三角形ガセット部は、前記座部に対して直交しない角度に設定され、前記座部から上方に前記座部から離間するように延在する、請求項19に記載の接合部。
【請求項21】
a.前記受金物コネクタは、前記根太と接触して前記第1のサイドフランジと第2のサイドフランジとに接続する座部を有し、
前記第1および第2のサイドフランジは、前記座部から上方に延在し、
b.前記第2のサイドフランジは、前記根太に近接して位置し、
前記第2のサイドフランジは、略平面状の略三角形ガセット部と、略平面前方直立フランジ部と、略平面後方直立フランジ部とを有し、
前記
略三角形ガセット部は、座部側縁を有し、
前記第2のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、それぞれの前記
略三角形ガセット部の、前記座部側縁ではない別々の側縁にそれぞれ接続され、
前記第2のサイドフランジの前記略平面前方直立フランジ部および前記略平面後方直立フランジ部は、共通のフランジ部側縁に沿って互いに結合し、
前記略平面後方直立フランジ部は、前記バックフランジと前記第2のサイドフランジの前記略平面後方直立フランジ部との間の共有の側縁に沿って前記バックフランジに接続し、
c.前記第1
のサイドフランジの前記
略三角形ガセット部および前記第2のサイドフランジの前記
略三角形ガセット部は、それぞれの前記座部側縁で前記座部に結合し、
d.前記第1および第2のサイドフランジのそれぞれの前記
略三角形ガセット部は、前記座部に対して直交しない角度に設定され、前記座部から上方に前記座部から離間するように延在する、請求項19に記載の接合部。
【請求項22】
a.前記座部側縁は、前記バックフランジに対して直交しない角度に設定され、
b.前記
略平面前方直
立フランジ部は、
前記略平面前方直
立フランジ部に対して直交して打ち込まれたファスナが前記根太に直交しない角度で入るように、前記バックフランジおよび前記構造部材の前記取付け面に対して直交しない角度に設定される、請求項19に記載の接合部。
【請求項23】
前記
略平面後方直立フランジ部は、前記バックフランジに対して直交する角度に設定される、請求項22に記載の接合部。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ファスナと、コネクタと、構造部材との間の接合部を提供する。本発明は、コネクタを通して構造部材の内部にファスナを打ち込むための動力ファスナ打ち工具の位置決めの際に特に有用である。コネクタは、2以上の構造部材同士を連結するために一般に用いられ、例えば根太を端根太に取り付ける受金物である。
【0002】
本発明では、コネクタのファスナ開口部またはファスナ入口点に隣接する材料が、ファスナの打ち込み、また、接合部にかかる負荷に対するファスナの抵抗能力を向上させるような独特な形状を有しているとする。開口部に隣接するコネクタの材料には、下方に突出する円錐状の突起部が形成され、突起部は、ファスナを開口部に案内し、またある実施形態においては、それ自体が構造部材との接合部を形成し得る。
【0003】
一般的に動力工具でファスナを打ち込むのは、手でファスナを打ち込むよりも速いため、コネクタを構造部材に連結させる際に動力ファスナ打ち工具を使用すると費用効率が非常に高い。一般的な動力ファスナ打ち工具は、電気または空気圧を動力とする。また、ガスを動力とするものや、火薬式のものもある。動力打ち工具は、適切に使用することで、釘の頭部が木材の表面やコネクタの面に接する正確な深さまで釘が打ち込まれるのに十分な力でファスナを打ち込む際に、良好な一貫性が得られる。釘の頭部がコネクタの表面または釘を打ち込む対象の部材の表面に接することにより釘のファスニング強度が向上されるので、正確な深さまで打ち込めることは役に立つ。釘の頭部がコネクタまたは部材に接していることを、釘接続が端固定(end fixity)状態にあるという。端固定にあるファスナは、せん断負荷下における回転に対して抵抗力をもつ。釘が接していない状態は、打ち込み不足(under-driven)釘と呼ばれる。本発明は、動力ファスナ打込み機の使用を支援し、ファスナで形成した接合部の強度を向上させるように設計される。
【0004】
また、コネクタを設置する際に重要なのが、設計荷重値を得るために所定数のファスナを適切な箇所に使用することである。このため、多くのコネクタ製造者は、ファスナが打ち込まれるべきコネクタの位置に事前に穴を開けている。開口部は、必須のファスナと任意で用いられ得る追加的ファスナとを区別するために、形状が異なることがある。動力ファスナ打ち工具は、比較的大きく、ユーザがファスナを打ち込むべき位置を正確に見極めるのを妨げることがあるため、オペレータがコネクタの開口部を見付けるのを手助けするための数々の発明が開発されてきた。
【0005】
いくつかの先行発明は、動力ファスナ打込み工具の使用時にオペレータが開口部を見付けるのを手助けする課題を、工具に修正を加えることで対処した。
【0006】
Charles J.Moormanに付与された特許文献1は、打ち込む釘を工具の前方に突出させて、工具を作動させる前にオペレータが開口部内に受容されたファスナを実際に視認できるようにした動力ファスナ打込み工具を教示している。この動力ファスナ打込み工具は、金属製のコネクタの開口部に釘を打ち込むように特別に設計されている。このようなドライバ工具は、一般的に金属コネクタ釘打ち機と呼ばれる。
【0007】
Frank C.Howardらに付与された特許文献2およびYury Shkolnikovに付与された特許文献3は、打ち込むファスナに隣接して位置する突起フィンガを使用した動力ファスナ打込み工具を教示している。このフィンガがコネクタの開口部に受容されることにより、ユーザは、ファスナが適切に位置付けされていると分かる。
【0008】
G.A.Koenighshofに付与された特許文献4およびMark B.Jensenらに付与された特許文献5は、動力ファスナ打込み工具の使用時にオペレータが開口部またはファスナの入口点を見付けるのを手助けする課題を、開口部周りのコネクタの材料を独特な形状にすることで対処していた。
【0009】
特許文献5は、その一つの手法として、打ち込むファスナをコネクタの開口部に位置合わせするためにコネクタ上の特殊形状の位置合わせタブと協働する、特殊な位置合わせ足部を釘打ち機に形成することを教示した。この特許で示される実施形態のほとんどにおいて、位置合わせ部材が位置合わせ足部に引っ掛かると、ファスナが適切な位置にあるとされる。別の手法として、上記特許は、一般的な動力ファスナ打込み機の発射口を受容する、コネクタ上の位置合わせ部材を教示する。この実施形態においては、ファスナ用の開口部または所定位置の周りに1以上の上リングまたは上弧状部が同心状に形成される。あるいはその逆に、位置合わせ部材は、上記所定位置を部分的または全体的に囲む溝部であってもよいし、あるいは1以上の上リングと溝部との組み合わせであってもよい。上記特許に示される実施形態のほとんどにおいて、工具の位置合わせ足部およびコネクタの位置合わせ部材は互いに嵌合するよう設計される。
【0010】
同様に、G.G.Nesbittに付与された特許文献6は、エンボスリングに囲繞されたコネクタ板の釘開口部を教示し、このエンボスリングによって、釘打ち機が釘開口部の中心に置かれ得るようになっている。この発明はまた、釘開口部に、ギザギザで尖った複数の突出部を形成することも教示している。これらの突出部は、釘穴の形成時に押圧・破壊される金属から形成される。発明者は、釘が板を通して打ち込まれると、突出部が木材に食い込み、接触面積が広がって釘の保持力高まるとしている。George Shahnazarianによって出願され2004年5月20日に公開された特許文献7もまた、開口部を通してファスナが打ち込まれると梁の木材に埋め込まれる、後方に延在する金属製突出部をファスナ開口部に形成することを教示する。
【0011】
本発明は、動力ファスナ打ち機によるファスナの打ち込みの支援と、コネクタおよび構造部材間の接合の向上との両方を可能とする、コネクタ上の改善されたファスニング・位置合わせ部材を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第5,579,975号明細書
【文献】米国特許第5,238,167号明細書
【文献】米国特許第5,452,835号明細書
【文献】米国特許第3,312,485号明細書
【文献】米国特許第4,928,867号明細書
【文献】米国特許第3,031,727号明細書
【文献】米国特許出願公開公報第2004/0096269号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ファスナと、コネクタと、構造部材との間の独特な接合部を提供する。
【0014】
本発明は、コネクタ上のファスニング・位置合わせ部材を提供する。
【0015】
ファスニング・位置合わせ部材は、コネクタを通して打ち込むファスナ用の開口部または所定箇所に向かって下降する1以上の斜面として形成される。斜面は、開口部または所定ファスナ箇所の周辺部に位置する。斜面は、開口部に向かって集まるまたは延びる複数の溝部または谷部であってよい。
【0016】
上記1以上の斜面は、ファスナ用の開口部または所定箇所の周辺部に、開口部または所定箇所に隣接して形成される。斜面は、コネクタの裏面より下に突起し構造部材または支持部材の材料に埋設され得る突出部材の一部であってよい。突出部材は、開口部に隣接し、好ましくは開口部の周囲全体を囲繞する。突出部材は、好ましくは、開口部と中心を共有する。開口部の周縁は、ファスナ用の開口部または所定箇所の中心から離間した部分のコネクタの表面よりも凹んでいることが好ましい。ある実施形態では、突出部材は、構造部材の取付け面に向かって突起している。好ましい実施形態において、突出部材は、構造部材の内部に突き出ている。
【0017】
斜面は、斜面に隣接する1以上の上方部から下降し得る。上方部は、ファスナ用の開口部または所定箇所から径方向に開口部よりも離間している。複数の上方部は、ファスナ用のファスナ開口部または所定箇所の周りに同心状に配置され得る。斜面は、円錐台を成す単一の環状面であってよい。
【0018】
1以上の上方部は、コネクタ上面の溝部または一連の凹部に囲繞され得る。1以上の上方部は、ファスナ用所定箇所を部分的または全体的に囲い得る。1以上の凹部は、1または複数の一番内側の上方部を部分的または全体的に囲い得る。溝部または一連の凹部は、コネクタの裏面から突起する突起部材として形成されるのが好ましい。
【0019】
コネクタを構成する本体部は、平面状の前面および裏面をもつ平面部材として形成でき、ファスニング・位置合わせ部材は、コネクタ本体の変形部であり、コネクタの平面状の前面の凹部と、平面状の裏面から延出する突起部または突出部とを形成する。ファスニング・位置合わせ部材は、構造部材の取付け面からコネクタの本体部を持ち上げる。
【0020】
ファスニング・位置合わせ部材は、コネクタを通してファスナを打ち込むための開口部または所定箇所/位置を囲繞するあるいは部分的に囲繞する1または複数の上方リングもしくは上方弧状部として形成され得る。
【0021】
ファスニング・位置合わせ部材は、コネクタを通してファスナを打ち込むための開口部または所定箇所を少なくとも部分的に囲繞し、谷部や溝部などの窪みで隔てられ、同心状に配置された複数の上方リングもしくは上方弧状部または上方部として形成し得る。上方部の間の溝部または窪みは、その谷部より開口部の径方向外側に位置するコネクタの裏面よりもコネクタの前面から離間して突出する裏面を有し得る。窪みの裏面は、構造部材の取付け面に向かって、突出部材と同じくらい延出してよい。好ましくは、突出部材は、窪みの裏面よりも、また、開口部を囲繞する窪みまたは谷部の径方向外側に位置するコネクタ部分の裏面よりも、コネクタの前面から離間して延出する。
【0022】
開口部は、任意の形状であってよい。コネクタにおける一般的なファスナ開口部は、円形または角の丸い三角形である。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、下方に突出する円錐状の突起部を提供し、この突起部は、ファスナを開口部へ案内し、また、それ自体が構造部材との接合部を形成する。
【0024】
本発明の別の利点として、コネクタ上のファスニング・位置合わせ部材を用いることにより、その頭部がファスニング・位置合わせ部材の開口部に受容される釘などのファスナの端固定が強化される。上記機能の漏斗形状は、頭部が最後まで打ち込まれていない場合に、固定を発展させるための変形がより少なくて済むことを意味する。ファスニング・位置合わせ機能またはファスニング・位置合わせ部材の傾斜形状は、この機能によって釘の頭部がさらに係合し、より早く変形負荷下に置かれることを意味する。
【0025】
本発明の別の利点としては、エンボス加工された突起部により、一部の打込み機の発射口の設置がしやすくなる。
【0026】
本発明の別の利点としては、ガイドの漏斗状の側面によって、釘を開口部内に向けやすくなる。
【0027】
好ましい実施形態の釘開口部により近接した上方部と、釘開口部から離間した外側の上方部との間の座金のような窪みまたは溝部は、釘頭の圧力をより広い表面積に分散させて木部材の変形を抑制することにもなる。
【0028】
本発明は、いわゆるフレーミング用釘打ち機といった、一般的な躯体工事に用いられる空気圧式工具と共に使用されるようにも設計される。フレーミング用釘打ち機の発射口には一般的に木材を掴む歯が形成されており、発射口は、釘が工具からはみ出でないように設計される。そのような釘打ち機で作業できると、受金物またはコネクタを設置する際に工具を取り替えなくてよいので、フレーミング用釘打ち機を使用することを好む作業者にとって有益である。
【0029】
本発明は、本発明の位置合わせ・ファスニング部材を有する受金物コネクタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。コネクタには、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されている。図示のコネクタは、根太を端根太に連結する受金物である。
【
図2】
図2は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタの一部の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材によって受容され、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
【
図4】
図4は、ファスニング・位置合わせ部材が形成された部分のコネクタの上面図である。
【
図5】
図5は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材に接し、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、根太を端根太に連結する。
【
図7】
図7は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、間柱を土台と基礎とに連結するホールダウン金物である。
【
図8】
図8は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、間柱を土台と基礎とに連結するホールダウン金物である。
【
図9】
図9は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、建物の2つの階の間の際根太を介した一対の間柱を連結する帯金物である。
【
図10】
図10は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材に接し、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
【
図11】
図11は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材に位置が合い、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
【
図12】
図12は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材によって受容され、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
図12は、釘の先端がファスナ用開口部に既に受容されているという点を除き、
図3と同様である。
【
図13】
図13は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材に位置が合い、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。ファスニング・位置合わせ部材の斜面により、釘が開口部に案内されやすくなる。
【
図14】
図14は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタ、およびファスニング・位置合わせ部材によって受容され、コネクタのファスナ用開口部を通して釘を打ち込める状態の釘打ち機の断面図である。
【
図15】
図15は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成された部分のコネクタの斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタの断面図である。構造部材の断面も示され、コネクタおよび構造部材が釘を受容している。
【
図17】
図17は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタの断面図である。構造部材の断面も示され、コネクタおよび構造部材が釘を受容している。
図17に示す釘は、打ち込み不足の状態である。
【
図18】
図18は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタの断面図である。構造部材の断面も示され、コネクタおよび構造部材が釘を受容している。
図18に示す釘は、打ち込み不足の状態であり、図示のコネクタは、負荷により曲がり、ファスナの頭部に接している。
【
図19】
図19は、本発明のファスニング・位置合わせ部材が形成されたコネクタの断面図である。構造部材の断面も示され、コネクタおよび構造部材が釘を受容している。突出部材の一部が構造部材に埋まった状態が示されている。
【
図20】
図20は、本発明によって形成された接合部であり、図示のコネクタは、根太を端根太に連結する。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。
【
図23】
図23は、
図20のコネクタの上面図である。ファスナの埋設部分とコネクタの座部の一部が、点線で示される。
【
図25】
図25は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、土台を間柱に連結するストラッブである。
【
図26】
図26は、本発明によって形成された接合部の斜視図である。本発明のファスニング・位置合わせ部材がコネクタに形成されている。図示のコネクタは、垂木を壁のリムボードに連結する帯金物である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すように、本発明は、コネクタ1と、ファスナ2と、構造部材3との間の接合部を提供する。
図1に示すように、構造部材3は、根太4に対する端根太3といった、支持部材である。コネクタ1には、ファスニング・位置合わせ部材5が形成され、ファスニング・位置合わせ部材5においてコネクタは、コネクタ1を通して構造部材3内に打ち込まれるファスナ2を受容する。コネクタ1を根太4に取り付けるための追加のファスナ6も示される。
【0032】
図1および
図2に示すように、ファスニング・位置合わせ部材5は、コネクタ1の開口部10を囲繞し、溝部、谷部、または凹部9によって隔てられ、同心状に配置された一対の上方部7および8として形成される。一番内側の上方部7は、リング状に形成されるのが好ましい。外側の上方部8は、コネクタ1の前面11である。ファスニング・位置合わせ部材5の一部を構成する斜面12は、リングの上方部7からコネクタ1の開口部10の周縁13まで下降する。
図1および
図2に示すように、斜面12は、開口部10の周辺部に、または開口部10に隣接して位置する。
【0033】
図2に示す凹部または谷部9は、谷部の受容面14を粗面化するためにハッチングを施してある。
【0034】
図2に示すように、1または複数の斜面12は、斜面12に隣接する1以上の上方部7から下降している。上方部7は、ファスナ2用の開口部10または所定箇所から径方向に離間して位置する。上方部7は、ファスナ用のファスナ開口部10または所定箇所の周りに同心状に配置されるのが好ましい。
図2に示される斜面12は、円錐台を成す単一の環状面である。
【0035】
図2に示すように、1以上の上方部7は、溝部9によって囲繞され得る。1以上の上方部7は、ファスナ2用の所定箇所を部分的にまたは全体的に囲み得る。ファスニング・位置合わせ部材5には、リング状の上方部7が形成されるのが好ましい。
【0036】
図3に示すように、斜面12は、コネクタ1の裏面16より下に突出する突出部材15の一部である。突出部材15は、開口部10に隣接し、好ましくは開口部10の周辺部全体を囲繞する。突出部材15は、開口部10と同心を有することが好ましい。開口部10の周縁13は、ファスナ2用の開口部10または所定箇所から径方向に離間した部分のコネクタ1の前面11に対して凹んでいることが好ましい。ある実施形態では、突出部材15は構造部材3の取付け面または取付け表面17に向かって突出するが、
図3に示す突出部材15は、構造部材3に入り込むまでは突出しない。
【0037】
図3に示すように、ファスニング・位置合わせ部材5は、その周りのコネクタ材料から谷部などの窪み9によって隔てられた上方リング7として形成される。ファスニング・位置合わせ部材5の外側上方部8は、環状の谷部または凹部9の径方向外側に位置するコネクタ1の前面11まで上昇する谷部9の外側側壁18の上部により構成される。上方部7と8との間の溝部または窪み9は、
図19に示すように、谷部9より開口部10から径方向外側に離間して位置するコネクタ1の裏面16よりもコネクタ1の前面11から離間して突出する裏面20を有する突起部材19の一部である。谷部9は、コネクタ1の裏面16下方に突出する突起部材19の一部であることが好ましい。突起部材19は、構造部材3の取付け面17に向かって突出し、取付け面17と接する。突起部材19の裏面20は、構造部材3の取付け面17に向かって、突出部材15と同じくらい延出し得る。突出部材15は、突起部材19の裏面20よりも、また、開口部10を囲繞する凹部または谷部9より径方向外側に位置するコネクタ1部分の裏面16よりも、コネクタ1の前面11から離間して延出することが好ましい。
【0038】
好ましくは、
図3に示すように、コネクタ1の本体部21は、前面11および裏面16が平面状の平面部材として形成され、また、ファスニング・位置合わせ部材5は、コネクタ1の本体部21における変形した部分、すなわち変形部であり、コネクタ1の平面状の前面11の凹部と、平面状の裏面16から延出する突起部または突出部とを形成する。その結果、
図3に示すようなある構成において、位置合わせ部材5が締め付けられることにより、コネクタ1の本体部21が構造部材3の取付け面17から持ち上がる。
【0039】
図16、
図17、および
図19に示すように、本発明では、構造部材3は概して平面状の取付け面17を有し、ファスナは細長シャフト33を有する。細長シャフト33の一部は、構造部材3に受容され、取付け面17を通って構造部材3に入る。ファスナは、コネクタ1にも受容される。コネクタ1は本体部21を有し、本体部21は、構造部材3の取付け面17から離間して位置する概して平面状の前面11と、構造部材3の取付け面17に対向して位置する概して平面状の裏面16とを有する概して平面状の部材である。本体部は、ファスナ2用の所定箇所10も有し、ファスナ2は、所定箇所10またはその隣接位置において本体部21に受容される。本体部21は、ファスナ2用の所定箇所10に隣接する変形部分を有する。変形部分は、構造部材3の取付け面17に向かって後方に突出する突出部材15を含む。突出部材15は、所定箇所10に向かって下降する斜面12を有する。突出部材15は、変形部分の上方部7から下降し、構造部材3の平面状取付け面17とコネクタ1の本体部21の概して平面状の裏面16とが略平行であるとき、コネクタ1の概して平面状の裏面16よりも構造部材3の取付け面17の近くに突出する。上方部7は、突出部材15に隣接し、突出部材15よりもファスナ2用の所定箇所10から径方向に離間している。上方部7には、構造部材3の取付け面17に向かって後方に突出する突起部材19が隣接していて、突起部材19は、変形部分の上方部7よりも構造部材3の取付け面17の近くに位置する。また、構造部材3の取付け面17とコネクタ1の本体部21の概して平面状の裏面16とが略平行であるとき、突起部材19は、本体部21の概して平面状の裏面16よりも構造部材3の取付け面17の近くに位置する。突起部材19には第2の上方部8が隣接していて、第2の上方部8は、突起部材19よりもファスナ2用の所定箇所10から径方向に離間して位置する。また、構造部材3の取付け面17とコネクタ1の本体部21の概して平面状の裏面16とが略平行であるとき、突起部材19は、第2の上方部8よりも構造部材3の取付け面17の近くに位置する。
【0040】
図16にも示されるように、構造部材1の取付け面17に向かって後方に突出する突起部材16は、構造部材3の取付け面17に対向する平面を有する。
【0041】
図3は、ファスニング・位置合わせ部材5の凹部または谷部9の内部、およびファスニング・位置合わせ部材5の内側上方部7と外側上方部8との間に受容される、動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。
【0042】
図4は、コネクタ1の本体部にある一対のファスニング・位置合わせ部材5を示す。
【0043】
図5は、ファスニング・位置合わせ部材5の内側上方部7に係合する動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。
【0044】
図6は、
図1と同様の図であるが、根太4に打ち込まれるファスナ2を受容する、コネクタの本体部21にあるファスニング・位置合わせ部材を示す。
【0045】
図7は、ホールダウン金物コネクタ1を垂直間柱25に取り付けるための背面部材24にファスニング・位置合わせ部材5が形成されたコネクタ1を示す。このホールダウン金物は、コンクリート部材28に埋設されたアンカ27を受容する座部26を有する。背面24は、サイドフランジ29によって座部と接続している。
【0046】
図8は、帯状ホールダウン金物コネクタ1を垂直間柱25に取り付けるための帯部材30にファスニング・位置合わせ部材5が形成された帯状ホールダウン金物コネクタ1を示す。帯状ホールダウン金物は、コンクリート部材28に埋設されるアンカ部31を有する。
【0047】
図9は、建物の壁48で床32の上下の垂直間柱25に帯状コネクタ1を取り付けるための帯状コネクタにファスニング・位置合わせ部材5が形成された帯状コネクタ1を示す。
【0048】
図10は、ファスニング・位置合わせ部材5の突出部材15の斜面12上に受容された動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。
【0049】
図11は、ファスナ2が開口部10に受容された状態の、ファスニング・位置合わせ部材5の上に位置する動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。
【0050】
図12は、ファスニング・位置合わせ部材5の窪みまたは谷部9の内部およびファスニング・位置合わせ部材5の内側上方部7と外側上方部8との間に受容された、動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。
【0051】
図13は、ファスナ2が突出部材15の斜面12上に受容された状態の、ファスニング・位置合わせ部材5上に位置する動力ファスナ工具23の円筒状発射口22を示す。斜面12は、ファスナを開口部10内に案内しやすくする。
【0052】
図14は、ファスナ2が開口部10に位置合わせされた状態の、ファスニング・位置合わせ部材5の開口部10に受容されている動力ファスナ工具23の突出したフィンガガイド32を示す。
図13および
図14に示すように、突出部材15は、支持部材3の材料に埋め込まれるように、コネクタ1の裏面16下方に突出している。
【0053】
図15に示す1以上の斜面12は、斜面12に隣接する1以上の上方部7から下降している。斜面12は、開口部10に向かって下降する複数の谷部または溝部である。
【0054】
図16は、構造部材3に埋め込まれたファスナ2(具体的には釘)を示す。ファスナ2は、シャフト33と、シャフト33から外側に広がる部分を有する頭部34とを有する。釘2は、頭部34の広がった部分をファスニング・位置合わせ部材5の斜面12に係合させる十分な力によって打ち込まれた状態である。
【0055】
図17は、構造部材3に埋め込まれた釘を示す。釘2は、頭部34の広がった部分をファスニング・位置合わせ部材5の斜面12に係合させない不十分な力によって打ち込まれた状態である。
【0056】
図18は、構造部材3に埋め込まれた釘を示す。
図17と同様、釘2は、不十分な力によって打ち込まれた状態である。開口部周りのコネクタ1の片側を持ち上げようとする力がかかった状態のコネクタ1が示されている。コネクタが持ち上がると、頭部34が、ファスニング・位置合わせ部材5の斜面12に係合する。同様の打ち込み不足の釘が本発明のファスニング・位置合わせ部材5を有さないコネクタと共に用いられる場合は、本発明と共に用いられるファスナ2のように速くはコネクタと係合しない。
【0057】
図19は、構造部材3に埋め込まれた釘2を示す。ファスニング・位置合わせ部材5の突出部材15が、構造部材3に埋め込まれている。突起部材19は、構造部材3の取付け面17に係合し、構造部材3の取付け面17に対して位置決めされている。突起部材19の底面20は、平坦であり、ファスニング・位置合わせ部材5に係合する釘頭部34による圧縮負荷を、広い表面積に分散する。
【0058】
図20は、構造部材3、根太4、および受金物コネクタ1の間の接合部を示す。コネクタ1には、そのバックフランジ35およびサイドフランジ36に、ファスニング・位置合わせ部材5が形成されている。
【0059】
図21は、サイドフランジ36同士を接続する座部37を有する受金物コネクタ1を示す。各サイドフランジ36は、座部37から上方に延在する。各サイドフランジ36は、略三角形ガセット部38、前方直立フランジ部39、後方直立フランジ部40の3つの略平面部によって構成される。三角形ガセット部8は、座部に接続する座部側縁41を有する。この座部側縁41は、バックフランジ35に対して直交しない角度に設定されることが好ましい。三角形ガセット部38は、座部37に対して直交しない角度に設定され、座部37から上に向かって、座部37の上方ではなく、座部37から離間するように延在する。前方直立フランジ部39および後方直立フランジ部40は、略三角形ガセット部38の他方の側縁42にそれぞれ接続し、また、共通の側縁43に沿って互いに接続する。前方直立フランジ部39は、バックフランジ35と構造部材3の取付け面17とに対して直交しない角度に設定される。これにより、ファスナ2を、前方直立サイドフランジ部39に対して直交に打ち込んで、根太4に直交しない角度で入れることができる。後方直立フランジ部40は、バックフランジ35に対して直交する角度に設定されることが好ましい。後方直立フランジ部40は、共有の側縁44に沿ってバックフランジ35に接続する。
【0060】
図22も、受金物コネクタ1を示す。この側面図には、受金物コネクタ1の本体21(この場合ではバックフランジ35)の裏面16から延出する突起部材19および突出部材15が示される。サイドフランジ36の前方フランジ部39にあるように、1つの開口部10の内側上方部7を、隣接する開口部10の外側上方部8として機能させることができるほどファスニング・位置合わせ部材5同士を近づけて配置できる。
【0061】
図23も、受金物コネクタ1を示す。この上面図には、ファスニング・位置合わせ部材5を通してサイドフランジ36に受容されたファスナ2が示される。ファスナは、根太4と構造部材または端根太4との両方に直交しない角度で打ち込まれている。サイドフランジ36に受容されたファスナ2は、根太4に入り込み、根太4を抜けて、構造部材3に埋め込まれることにより、高強度の接続を得ている。また、受金物コネクタ1のバックフランジ35にあるファスニング・位置合わせ部材5に受容されたファスナ2も示されている。バックフランジ35にあるファスニング・位置合わせ部材5の突出部材15は、構造部材3に埋め込まれている。ファスニング・位置合わせ部材5の突起部材は、構造部材3の取付け面に接触する。
【0062】
コネクタは、第1のサイドフランジ36を有するように形成されてよく、第1のサイドフランジ36は、根太4に近接して配置される。第1のサイドフランジ36は、略平面状の略三角形ガセット部38と、略平面前方直立フランジ部39と、略平面後方直立フランジ部40とを有し、三角形ガセット部38は、座部側縁41を有する。第1のサイドフランジ36の略平面状の前方直立フランジ部39および後方直立フランジ部40は、三角形ガセット部38の、座部側縁41ではない別々の側縁42にそれぞれ結合する。第1のサイドフランジ36の略平面状の前方直立フランジ部39および後方直立フランジ部40同士は、共通のフランジ部側縁43に沿って結合する。略平面後方直立フランジ部40は、バックフランジ35と略平面後方直立フランジ部40との間の共有の側縁44に沿ってバックフランジ35に接続する。バックフランジ35は、構造部材3に接触し、1以上のファスナ2によって構造部材3に取り付けられる。
【0063】
図24は、折り畳むと
図20乃至
図23に示す受金物コネクタ1になるブランク45を示す。折り線は、点線で示し、ファスニング・位置合わせ部材5が形成される箇所も点線で示す。コネクタ1は、シート状の鋼から作られることが好ましく、ファスニング・位置合わせ部材5は、打ち抜き機や型打ち機を使った冷間成形によって作られるのが好ましい。
【0064】
図25は、あおり止め金物コネクタ1を示し、上の垂直間柱25と敷土台46とにあおり止め金物コネクタ1を取り付けるための曲げられた部分にファスニング・位置合わせ部材5が形成されている。
【0065】
図26は、垂木あおり止め金物1を構造部材3と屋根部材47とに取り付ける取付け部材にファスニング・位置合わせ部材5が形成された垂木あおり止め金物1を示す。