(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア装置の接地方法及び自動ドア装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/632 20150101AFI20220104BHJP
E05F 15/70 20150101ALI20220104BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
E05F15/632
E05F15/70
E05D15/06 125A
(21)【出願番号】P 2018528509
(86)(22)【出願日】2017-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2017025362
(87)【国際公開番号】W WO2018016395
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2016141300
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】籠谷 修
(72)【発明者】
【氏名】飯白 豊充
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特公昭53-23154(JP,B2)
【文献】特開2001-227235(JP,A)
【文献】特開2007-211435(JP,A)
【文献】特許第4265858(JP,B2)
【文献】欧州特許出願公開第2799653(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05D 15/06
B61B 1/00-15/00
B61D 17/00-49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドア装置であって、
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、
前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置され
、前記自動ドア装置を動作又は動作制御するための機器のうちの1つの機器である
第1自動ドア構成機器と、
前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置され、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器である第2自動ドア構成機器と、
前記基材と前記
第1自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記
第1自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記
電気絶縁層を貫通した状態の
第1絶縁層貫通部と、
前記基材と前記第2自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記第2自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の第2絶縁層貫通部と、
を備え、
前記第1絶縁層貫通部は、前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第1固定部材に設けられ、
前記第2絶縁層貫通部は、前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第2固定部材に設けられ、
前記第1固定部材と前記第2固定部材とは同じ構成であり、
前記基材及び前記
第1自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地されている自動ドア装置。
【請求項2】
前記
第1絶縁層貫通部が前記
電気絶縁層を貫通している部位では、前記
電気絶縁層が破壊されている請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記
第1絶縁層貫通部は、前記
第1自動ドア構成機器又は前記
第1固定部材の複数箇所に設けられている請求項
1に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、
前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、
前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、
前記絶縁層貫通部が前記電気絶縁層を貫通している部位では、前記電気絶縁層が破壊されて、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、
前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる固定部材に設けられた突起であり、
前記固定部材は、板状の部材であり、
前記突起は、前記固定部材の表面と裏面に設けられてい
る自動ドア装置。
【請求項5】
前記
第1絶縁層貫通部は、断面が円環状
の突起である請求項
1に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、
前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、
前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、
前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、
前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる導電性のネジであ
る自動ドア装置。
【請求項7】
前記
第1絶縁層貫通部が前記
電気絶縁層を貫通している部位では、前記
電気絶縁層が除去されている請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、
前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、
前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、
前記絶縁層貫通部が前記電気絶縁層を貫通している部位では、前記電気絶縁層が除去されて、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、
前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を固定するために用いられる導電性のネジであ
る自動ドア装置。
【請求項9】
自動ドア装置であって、
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、
前記
電気絶縁層を貫通した状態の
第1絶縁層貫通部と、
前記電気絶縁層を貫通した状態の第2絶縁層貫通部と、を備え、
前記第1絶縁層貫通部は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器である第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第1固定部材に設けられ、
前記第2絶縁層貫通部は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器である第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第2固定部材に設けられ、
前記第1固定部材と前記第2固定部材とは同じ構成であり、
前記基材は、前記
第1絶縁層貫通部を介して接地されている自動ドア装置。
【請求項10】
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される
第1自動ドア構成機器
及び第2自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、
前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、
前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、
第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記
電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記
第1自動ドア構成機器とが導通した状態とし、
前記レールベース部材の前記基材及び前記
第1自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にする
とともに、
前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする自動ドア装置の接地方法。
【請求項11】
導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される
第1自動ドア構成機器
及び第2自動ドア構成機器とが電気的に接続された自動ドア装置の製造方法であって、
前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、
前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、
第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記
電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材の前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とする
とともに、
前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする自動ドア装置の製造方法。
【請求項12】
導電性の基材の表面に電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される
第1自動ドア構成機器
及び第2自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、
前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、
前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、
第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記
電気絶縁層を除去して、前記レールベース部材の導通性基材と前記
第1自動ドア構成機器とが導通した状態とし
て、前記レールベース部材の前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にする
とともに、
前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を除去して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする自動ドア装置の接地方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア装置の接地方法及び自動ドア装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、扉体の開閉動作時に扉体を案内するレールが設けられたレールベースを備えた自動ドア装置が知られている。レールベースには、モータ、電気錠、制御器、端子台等の自動ドア構成機器を取り付けることができる。下記特許文献1に開示されたレールベースは、基材がアルミニウムによって構成されており、耐腐食性、耐摩耗性を向上させるべく、基材上にアルマイト被覆が施されている。
【0003】
レールベース及び自動ドア構成機器を接地(導体によって建物側の基準電位点(アース)に接続すること)しようとした場合、レールベース及び自動ドア構成機器のそれぞれに電気配線を接続する必要がある。このため、接地の為の配線が長くなり、自動ドア機器の数だけ配線の本数も増え、接地の手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、接地のための配線の手間を抑制できるようにすることである。
【0006】
本発明の一局面に従う自動ドア装置は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置され、前記自動ドア装置を動作又は動作制御するための機器のうちの1つの機器である第1自動ドア構成機器と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置され、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器である第2自動ドア構成機器と、前記基材と前記第1自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の第1絶縁層貫通部と、前記基材と前記第2自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記第2自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の第2絶縁層貫通部と、を備え、前記第1絶縁層貫通部は、前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第1固定部材に設けられた第1突起であり、前記第2絶縁層貫通部は、前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第2固定部材に設けられた第2突起であり、前記第1固定部材と前記第2固定部材とは同じ構成であり、前記基材及び前記第1自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地されている。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、前記絶縁層貫通部が前記電気絶縁層を貫通している部位では、前記電気絶縁層が破壊されて、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる固定部材に設けられた突起であり、前記固定部材は、板状の部材であり、前記突起は、前記固定部材の表面と裏面に設けられている。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる導電性のネジである。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記電気絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、前記絶縁層貫通部が前記電気絶縁層を貫通している部位では、前記電気絶縁層が除去されて、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地され、前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を固定するために用いられる導電性のネジである。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記電気絶縁層を貫通した状態の第1絶縁層貫通部と、前記電気絶縁層を貫通した状態の第2絶縁層貫通部と、を備え、前記第1絶縁層貫通部は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器である第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第1固定部材に設けられ、前記第2絶縁層貫通部は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器である第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる第2固定部材に設けられ、前記第1固定部材と前記第2固定部材とは同じ構成であり、前記基材は、前記第1絶縁層貫通部を介して接地されている。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置の接地方法は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される第1自動ドア構成機器及び第2自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記第1自動ドア構成機器とが導通した状態とし、前記レールベース部材の前記基材及び前記第1自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にするとともに、前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置の製造方法は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される第1自動ドア構成機器及び第2自動ドア構成機器とが電気的に接続された自動ドア装置の製造方法であって、前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材の前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とするとともに、前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする。
また、本発明の一局面に従う自動ドア装置の接地方法は、導電性の基材の表面に電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される第1自動ドア構成機器及び第2自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、前記第1自動ドア構成機器は、自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうちの1つの機器であり、前記第2自動ドア構成機器は、前記自動ドア装置を動作させるための機器又は動作制御するための機器のうち前記第1自動ドア構成機器とは別の1つの機器であり、第1突起が設けられた第1固定部材を用いて前記第1自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに前記第1突起によって前記電気絶縁層を除去して、前記レールベース部材の導通性基材と前記第1自動ドア構成機器とが導通した状態として、前記レールベース部材の前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にするとともに、前記第1固定部材と同じ構成の第2固定部材を用いて前記第2自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するとともに、前記第2固定部材に設けられた第2突起によって前記電気絶縁層を除去して、前記レールベース部材と前記第2自動ドア構成機器とが導通した状態とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置の概略構成を示す図である。
【
図2】前記自動ドア装置におけるモータの固定個所を示す図である。
【
図3】前記自動ドア装置における端子台の固定個所を示す図である。
【
図4A】前記自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図4B】前記自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図5】突起が電気絶縁層を貫通した状態を説明するための図である。
【
図7】前記自動ドア装置における点検スイッチの固定個所を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の変形例に係る自動ドア装置におけるモータの固定個所を示す図である。
【
図9】
図8に示す個所に設けられた固定部材を示す図である。
【
図10A】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図10B】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図11A】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材の変形例を示す図である。
【
図11B】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材の変形例を示す図である。
【
図12A】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材の変形例を示す図である。
【
図12B】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材の変形例を示す図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材の変形例を示す図である。
【
図14A】本発明の第3実施形態に係る自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図14B】本発明の第3実施形態に係る自動ドア装置における制御装置の固定個所を示す図である。
【
図15A】本発明の第3実施形態の変形例に係る自動ドア装置に設けられた固定部材を示す図である。
【
図15B】本発明の第3実施形態の変形例に係る自動ドア装置における制御装置の固定個所を示す図である。
【
図16】本発明の第4実施形態に係る自動ドア装置に設けられたレールベース部材の接地状態を説明するための図である。
【
図17】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置に設けられたレールベース部材の接地状態を説明するための図である。
【
図18】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置に設けられたレールベース部材の接地状態を説明するための図である。
【
図19】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置に設けられたレールベース部材の接地状態を説明するための図である。
【
図20】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置に設けられたレールベース部材の接地状態を説明するための図である。
【
図21】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置おいて、レールベース部材を介した導通状態を説明するための図である。
【
図22】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置における自動ドア構成機器とレールベース部材との導通状態を説明するための図である。
【
図23】本発明の第4実施形態の変形例に係る自動ドア装置における自動ドア構成機器とレールベース部材との導通状態を説明するための図である。
【
図24】本発明の第5実施形態に係る自動ドア装置における自動ドア構成機器とレールベース部材との導通状態を説明するための図である。
【
図25】本発明の第5実施形態の変形例に係る自動ドア装置における自動ドア構成機器とレールベース部材との導通状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る自動ドア装置10は、左右一対の縦枠12,12と、縦枠12,12間に架け渡された無目14と、一対の縦枠12,12間で立てられた一対の中方立16,16と、縦枠12,12、中方立16,16間及び無目14に固定された固定壁18と、一対の中方立16,16間の通行開口を開閉する扉体20,20と、を備えている。
【0010】
本実施形態では、一対の扉体20,20が設けられた引分けタイプの引き戸である自動ドア装置10を例示しているが、これに限られるものではない。例えば、片引タイプの引き戸として自動ドア装置10が構成されていてもよい。
【0011】
無目14は、例えば、2つのレールベース部材23と、これらレールベース部材23同士を接続する接続ブラケット25と、レールベース部材23の前側をカバーする図略のカバー部材と、を備えている。接続ブラケット25は、隣り合うレールベース部材23を連結する機能と、両レールベース部材23を建物の躯体に連結する機能とを備えている。
【0012】
一方(
図1の右側)のレールベース部材23には、モータ31(ドアエンジン)と、端子台32と、制御装置33とが固定されている。他方のレールベース部材23には、プーリ支持部材34が固定されている。端子台32には、電線27及び接地線28が接続される。ここでいう電線27には、自動ドア装置10の外部からモータ駆動のための電力を供給するための電力線、制御装置33等に電力を供給する電力線、信号線等が含まれる。
【0013】
モータ31の駆動軸には、駆動プーリ31aが設けられている。駆動プーリ31aと、プーリ支持部材34に回転自在に支持された従動プーリ34aとには、無端のベルト35が架け渡されている。ベルト35には、扉体20に固定された図略の連結部材が連結されている。モータ31が駆動されてベルト35が走行することにより、扉体20は、開閉動作を行う。モータ31、駆動プーリ31a、従動プーリ34a、ベルト35により、扉体20を開閉駆動するための駆動機構が構成される。制御装置33は、モータ31の駆動制御等を行う。
【0014】
レールベース部材23は、扉体20の移動方向に延びる一方向に長い形状を有している。そして、
図2に示すように、レールベース部材23は、建物の躯体又は躯体に固定されたフレーム材37に固定される壁部39と、壁部39の下端部から略水平方向に張り出したレール支持部40とを有している。レール支持部40の先端には、扉体20に固定されたドアハンガー41に設けられた戸車41aが転動するレール40aが設けられている。レール40aは、
図2に示すように、レール支持部40に一体的に形成されていてもよく、あるいは、図略のレール支持部40とは別体に形成されるとともに、レール支持部40の先端に固定されていてもよい。
【0015】
壁部39は、レールベース部材23の後面側の外面を構成する外面部43と、外面部43の前面側に設けられた固定部44とを有している。固定部44は、外面部43の上端から前面側に曲がるように形成された第1側部45と、外面部43の高さ方向の中間部(第1側部45から高さ方向に離れた部位)から前面側に曲がるように形成された第2側部46とを有する。第1側部45及び第2側部46は、何れもレールベース部材23の長さ方向に延びるように形成されている。
【0016】
第1側部45は、外面部43に繋がる曲がり部45aと、曲がり部45aに繋がる先側部45bとからなる。曲がり部45aは、外面部43の上端から前側に向かって張り出している。先側部45bは、曲がり部45aの前端から下側に向かって張り出している。先側部45bは外面部43と平行であり、曲がり部45aは先側部45bを支持している。第2側部46は、外面部43に繋がる曲がり部46aと、曲がり部46aに繋がる先側部46bとからなる。曲がり部46aは、外面部43の中間部位から前側に向かって張り出している。先側部46bは、曲がり部46aの前端から上側に向かって張り出している。先側部46bは外面部43と平行であり、曲がり部46aは先側部46bを支持している。
【0017】
第1側部45の先側部45bの下端面と、第2側部46の先側部46bの上端面との間には、扉体20の移動方向に延びる間隙が形成されている。また、第1側部45の先側部45b及び第2側部46の先側部46bと、外面部43との間には、扉体20の移動方向に延びる空間Sが形成されている。
【0018】
固定部44は、自動ドア構成機器48を固定するのに用いることができる。ここで、自動ドア構成機器48としては、例えば、モータ31、制御装置33、端子台32、電気錠(図示省略)、バッテリ(図示省略)、点検スイッチ51(
図7参照)等が挙げられる。これらの機器48は、レールベース部材23に取り付けられるか、又はレールベース部材23の近傍に配置される。これらの機器48は、自動ドア装置10を動作させるための機器又は自動ドア装置10の動作制御をするための機器であって、接地する必要のある機器又は接地するのが好ましい機器である。これらの機器48には、商用電力又は商用電力から変圧された電力が入力される。また、自動ドア構成機器48には、接地線28が電気的に接続された導電体(金属等)からなるブラケットや、モータ31等を固定する導電性のブラケット、レールベース部材23に接続された他のレールベース部材23等も含まれる。
【0019】
例えば、
図2は、固定部44にモータ31を固定したときの状態を示し、また、
図3は、固定部44に端子台32を固定したときの状態を示している。モータ31を固定するには、モータ31が固定された板状の支持部材53(モータブラケット)と、平板状の固定部材54とが用いられる。固定部材54は、外面部43及び先側部45b,46b間の空間Sに挿入されている。この固定部材54と、先側部45b,46bよりも前側に位置する支持部材53と、によって、先側部45b,46bが挟み込まれている。この状態で、固定部材54と支持部材53とを互いに締結することにより、モータ31がレールベース部材23の固定部44に固定される。
【0020】
端子台32を固定する場合も同様に固定することができる。すなわち、端子台32の基台32aと、固定部材54とによって固定部44の先側部45b,46bを挟み込み、この状態で、基台32aと固定部材54とを互いに締結することにより、端子台32をレールベース部材23の固定部44に固定することができる。
【0021】
レールベース部材23は、導電性の基材23a(
図5参照)と、基材23aの表面に形成された電気絶縁層(以下、絶縁層とも称する)23bとを有する。絶縁層23bは、基材23aがアルミニウム製の場合におけるアルマイト皮膜(耐腐食性皮膜、耐摩耗性皮膜)、基材23aが金属製(ステンレス、鉄系材料、アルミニウム等)の場合における塗装皮膜、基材23aがアルミニウム製の場合における酸化皮膜等が該当する。これらは何れも、電気絶縁皮膜である。
【0022】
第1実施形態では、レールベース部材23の導電性の基材23aが、アースを取るための導体として利用されている。これにより、接地線28の配線の本数を減らすことができ、また接地線28の配線の手間を抑制することができる。この点について、以下、具体的に説明する。
【0023】
端子台32は、基台32aと基台32aに固定された端子部32bとを有する。端子台32の基台32aには、接地線28が電気的に接続されている。この接地線28の一端部はアースされている。接地線28の他端部は、接地端子55によって基台32aに接続されている。基台32aは、基台32a及び固定部材54を締結するボルト56を介して固定部材54と電気的に接続されている。なお、端子台32には、接地線28だけでなく、その他の電気線(電力線や信号線)も接続される。
【0024】
固定部材54は、鉄系の材料で構成されている。なお、レールベース部材23の絶縁層23bが塗膜である場合には、固定部材54は、銅、アルミニウム等であってもよい。
【0025】
固定部材54には、
図4A及び
図4Bに示すように、ネジ孔54aと突起54bとが設けられている。ネジ孔54aは、基台32a及び固定部材54を締結するボルト56を螺合するために用いられる。突起54bは、ボルト56がネジ孔54aにねじ込まれるにしたがって、レールベース部材23の絶縁層23bを破壊して、基材23aに届くようになっている。そして、
図5に示すように、突起54bは、絶縁層23bの表面(基材23aとは反対側の面)から絶縁層23bにおける基材23a側の面に亘って配置されている。これにより、レールベース部材23の基材23aは、固定部材54を介して端子台32の基台32aと導通可能な状態となっている。すなわち、突起54bは、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能している。言い換えると、突起54bが絶縁層23bを貫通している部位では、絶縁層23bが破壊されている。この結果、レールベース部材23の基材23aは、接地された状態となる。
【0026】
一方、モータ31の支持部材53には、モータ31に接続された接地用の配線57が電気的に接続されている。つまり、支持部材53は、モータ31と導通可能な状態の部材である。モータ31を固定するための固定部材54も、端子台32の固定に用いられる固定部材54と同じ構成となっている。したがって、ボルト58によって、支持部材53と固定部材54とを互いに締結すると、固定部材54の突起54bがレールベース部材23の絶縁層23bを突き破る。すなわち、突起54bは、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能している。これにより、支持部材53が固定部材54を介してレールベース部材23の基材23aと電気的に接続される。この結果、モータ31を電気線で端子台32と結線しなくても、モータ31を接地された状態とすることができる。
【0027】
図4A及び
図4Bに示すように、突起54bは、四隅における対角方向の2個所にそれぞれ設けられている。しかしながら、突起54bの位置は、角部の二個所に限られない。突起54bは、レールベース部材23の固定部44に対面する位置にあれば、どの位置であってもよい。また、突起54bは2つに限られるものではなく、1つでも、3つ以上であってもよい。
【0028】
突起54bは、
図6に示すように、固定部材54の両面に設けられていてもよい。そうすれば、固定部材54の表裏がなくなり、固定部材54を用いる際に、作業者の突起54bの有無を確認する作業が不要となる。突起54bは非常に小さなものでもよいため、確認作業が不要であれば、自動ドア構成機器48の固定作業の負担を軽減することができる。この場合、一方の面に配置された突起54bは、絶縁層23bを貫通する役割を有しないことになる。
【0029】
また、突起54bは、固定部材54に設けられるのではなく、支持部材53に設けられていてもよい。また、端子台32の基台32aに設けられていてもよい。この場合の突起54bも、レールベース部材23の固定部44に対面する位置であればどこに設けられていてもよい。
【0030】
第1実施形態の自動ドア装置10の製造時には、レールベース部材23にモータ31、制御装置33、端子台32等の自動ドア構成機器48を取り付ける。このとき、突起54bによって絶縁層23bを破壊して、レールベース部材23の基材23aと少なくとも1つの自動ドア構成機器48とが導通した状態とする。そして、必要な配線を行う。これにより、自動ドア装置10が完成する。そして、施工現場において、例えば端子台32に接地線28を結線し、レールベース部材23の基材23a及び自動ドア構成機器48の一方が他方を介して接地された状態にする。これにより、各自動ドア構成機器48が接地された状態となる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、突起54bがレールベース部材23の電気絶縁層23bを貫通している。これにより、自動ドア構成機器48とレールベース部材23の基材23aとが導通している。そして、レールベース部材23及び自動ドア構成機器48の一方が他方を介して接地されている。したがって、自動ドア構成機器48又はレールベース部材23を接地するための電気配線を減らすことができる。その結果、接地のための作業を容易化することができる。しかも、突起54bが絶縁層23bを貫通した状態にあるため、レールベース部材23と自動ドア構成機器48との電気的接続を確実に行うことができる。
【0032】
また、第1実施形態では、突起54bが絶縁層23bを物理的に破壊しつつ貫通している。このため、突起54bが絶縁層23bを貫通させるための前処理が不要となる。したがって、レールベース部材23の基材23aと自動ドア構成機器48との接続作業をより容易にすることができる。
【0033】
また、第1実施形態では、自動ドア構成機器48をレールベース部材23に取り付けることにより、自動ドア構成機器48とレールベース部材23とを導通した状態にすることができる。したがって、自動ドア構成機器48の取付作業と同時に電気的接続作業を行うことができる。
【0034】
また、突起54bが固定部材54等の複数個所に設けられている場合には、自動ドア構成機器48又は固定部材54の取付状態による悪影響を抑制することができる。
【0035】
また、突起54bが固定部材54の表面と裏面にそれぞれ設けられている場合には、固定部材54の取り付け時の向きの影響を受けることなく、突起54bで絶縁層23bを破壊することができる。したがって、固定部材54の取付ミスによる悪影響を抑制することができる。
【0036】
なお、第1実施形態では、レールベース部材23を介した端子台32とモータ31との電気的接続について説明したが、これに限られるものではない。例えば、端子台32と点検スイッチ51(
図7参照)とをレールベース部材23を介して電気的に接続してもよい。点検スイッチ51も自動ドア構成機器48の概念に含まれるものである。点検スイッチ51は、
図7に示すように、点検スイッチ51を支持するスイッチ支持板60を、固定部材54によってレール支持部40に固定することにより、レールベース部材23に固定される。スイッチ支持板60には、点検スイッチ51の接地用の電気線61が接続されており、また、ボルト62を挿通させる挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0037】
固定部材54には、レール支持部40の形状に応じた凹部54cが形成されており、凹部54cの底面には、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能する突起54bが形成されている。スイッチ支持板60の挿通孔に挿通されたボルト62を固定部材54のネジ孔54aに螺合することにより、固定部材54とスイッチ支持板60とによってレール支持部40を挟持することができる。このとき、突起54bが絶縁層23bを突き破り、スイッチ支持板60とレールベース部材23の基材23aとが導通可能となる。
【0038】
第1実施形態では、突起54bが固定部材54に設けられた構成としたが、これに限られるものではない。例えば、突起54bは、モータ31の支持部材53に設けられていてもよく、あるいは、固定部材54と支持部材53の両方に設けられていてもよい。また、突起54bは、端子台32の基台32aに設けられていてもよく、固定部材54及び基台32aの両方に設けられていてもよい。すなわち、自動ドア構成機器48に設けられていてもよい。
【0039】
第1実施形態では、自動ドア構成機器48を固定することが可能な固定部44が、建物の躯体に固定される壁部39に設けられているが、これに限られない。例えば、
図8に示すように、レールベース部材23は、建物の躯体又は躯体に固定されたフレーム材37に固定される壁部39と、壁部39の上端部から水平方向に延びる天部65と、を備えている。そして、レールベース部材23の天部65には、カバー部材66が回動可能に連結されている。カバー部材66は、レールベース部材23に固定されたモータ31、制御装置33等の自動ドア構成機器48を覆う形状に形成されている。
【0040】
レール支持部40は、壁部39の下端部に繋がっている。一方、固定部44は、壁部39ではなく、天部65に設けられている。すなわち、天部65は、レールベース部材23の上面側の外面を構成する外面部43と、外面部43の下面側に設けられた固定部44とを有している。
【0041】
固定部44は、外面部43の一部位から下側に曲がるように形成された第1側部45と、外面部43の前記一部位から幅方向に離れた第2部位から下側に曲がるように形成された第2側部46とを有する。第1側部45は、外面部43に繋がる曲がり部45aと、曲がり部45aに繋がる先側部45bとからなる。曲がり部45aは、外面部43から下側に向かって張り出している。先側部45bは、曲がり部45aの下端から側方に向かって張り出している。第2側部46は、外面部43に繋がる曲がり部46aと、曲がり部46aに繋がる先側部46bとからなる。曲がり部46aは、曲がり部45aから離れた位置から下側に向かって張り出している。先側部46bは、曲がり部46aの下端から側方に向かって張り出している。第1側部45の先側部45bと、第2側部46の先側部46bとの間には、扉体20の移動方向に延びる間隙が形成されている。また、第1側部45の先側部45b及び第2側部46の先側部46bと、外面部43との間には、扉体20の移動方向に延びる空間Sが形成されている。そして、モータ31等の自動ドア構成機器48を固定するために用いられる固定部材54がこの空間S内に配置される。
【0042】
固定部材54は、
図9に示すように矩形状の平板材によって構成されている。この固定部材54の少なくとも一方の面における角部に突起54bが形成されている。この突起54bは、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通した状態となっている。そして、この固定部材54に接地線28を電気的に接続すれば、モータ31等の大電流が漏洩するおそれのある場所の近くに、接地線28の接続ポイントを位置させることができる。こうすることにより、感電の可能性をより低減することができる。
【0043】
(第2実施形態)
図10A及び
図10Bは本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第2実施形態では、突起54bは、環状に形成されている。すなわち、突起54bを先端側から見ると、突起54bは円環状に見える。ただし円環状に限られるものではない。突起54bの外周面は、固定部材54の面54cに垂直になっていてもよく、あるいは、先側ほど突起54bの幅が狭くなるように傾斜していてもよい。突起54bの内周面は、突起54bの先側ほど突起54bが薄肉になるように傾斜している。内周面の傾斜角度(面54cに垂直な方向に対する傾斜角度)は、外周面の傾斜角度よりも大きくても良い。このような形状の突起54bを形成するには、固定部材54の一方の主面(面54c)上に盛り上がった部位を形成しておき、この部位をポンチ等の先端が丸まった工具でプレスすればよい。この工具プレスは、例えば、固定部材54の打ち抜き工程でのプレス作業と同じ工程で行うことができる。なお、
図10A及び
図10Bは、固定部材54の一部のみを示したものである。したがって、突起54bは、固定部材54のほんの一部に形成されるに過ぎない。
【0045】
突起54bは、
図11A及び
図11Bに示すように、環状ではなく、内周面を有しない凸状に形成されていてもよい。また、
図12A及び
図12Bに示すように、突起54bは、固定部材54の端部に形成されていてもよい。この場合、突起54bは、固定部材54の端部から折れ曲がるような形状に形成されることもある。また、突起54bは、固定部材54をプレス成形するときに形成されるバリによって構成されていてもよい。また、突起54bは、歯付き座金(図示省略)の歯部であってもよい。この場合、歯付き座金の貫通孔がボルトを通過させる位置に歯付き座金を配置して、固定部材54とレールベース部材23の固定部44との間に歯付き座金を挟み込むことにより、固定部材54に突起54bが設けられた構成となる。
【0046】
図13に示すように、突起54bが固定部材54の四隅にそれぞれ形成される構成であってもよい。この場合、突起54bが複数配置されることで、1点が導通しなくても、他でカバーすることができる効果が得られる。
【0047】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが前記第1実施形態と同様である。
【0048】
(第3実施形態)
図14A及び
図14Bは本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
第3実施形態では、第1実施形態と異なり、自動ドア構成機器48が固定された固定部材54をレールベース部材23に対して相対変位させることによって、自動ドア構成機器48が固定される。なお、固定部材54には、自動ドア構成機器48に接続された接地用の配線(図示省略)が接続されている。
図14Bは、自動ドア構成機器48の一例として制御装置33を示している。
【0050】
固定部材54には、ネジ68の雄ネジ部に螺合するネジ孔54aが設けられている。このネジ孔54aに螺合されたネジ68の先端面68aは、レールベース部材23の外面部43の内面に接触する。この状態で、ネジ68をさらにねじ込むと、固定部材54は、外面部43から離れようとして、固定部44の第1側部45及び第2側部46を外面部43側から押圧する。
【0051】
固定部材54における第1側部45及び第2側部46に対面する部位には突起54bが設けられている。このため、ネジ68のねじ込みによって、突起54bがレールベース部材23の絶縁層23bを破壊する。これにより、固定部材54とレールベース部材23の基材23aとが導通可能となる。この構成でも、突起54bは、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能している。なお、ネジ68は導通性を有していなくてもよい。
【0052】
図14Bの場合、固定部材54によって制御装置33を固定すべくネジ68を締めることにより、突起54bが絶縁層23bを貫通する。このため、突起54bが絶縁層23bを貫通させるための前処理作業が不要となる。したがって、レールベース部材23の基材23aと自動ドア構成機器48との接続作業をより容易にすることができる。また、レールベース部材23の強度に悪影響を与えることなく、電気的接続を行うことができる。
【0053】
なお、突起54bは固定部材54ではなく、第1側部45及び第2側部46における固定部材54に対向する部位に設けられていてもよい。
【0054】
図15A及び
図15Bに示すように、突起54bは、設けられていなくてもよい。この変形例は、ネジ68の先端でレールベース部材23の外面部43を押圧しつつ、固定部材54をレールベース部材23の固定部44に押圧する構成である。このため、ネジ68の先端面68aによって押圧される位置の絶縁層23bが、ネジ68のねじ込みによって次第にその部位から除去されることがある。この場合のネジ68は、導通性のネジ68である。なお、導電性のネジ68は、ネジ68自体が導電性の材質で構成されているものに限られず、自動ドア構成機器48又は固定部材54に接触する部位及びレールベース部材23の基材23aに接触する部位が導電性を有していて、両者間で電気的に接続された構成であればよい。
【0055】
ネジ68の先端に位置する絶縁層23bが先端面68aに接触する場所から除去されることにより、ネジ68とレールベース部材23の基材23aとが導通可能な状態となる。ネジ68は固定部材54とも導通可能な状態であるため、制御装置33とレールベース部材23の基材23aとが導通可能な状態となる。この場合でも、絶縁層23bを貫通している部位では、絶縁層23bが破壊されているといえる。言い換えると、ネジ68は、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能している。
【0056】
図15Bの場合、レールベース部材23に自動ドア構成機器48を取り付ける過程で電気絶縁層23bを有するレールベース部材23と自動ドア構成機器48とが導通可能な状態となる。したがって、取付作業と同時に接続作業を行うことができる。
【0057】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが前記第1実施形態と同様である。
【0058】
(第4実施形態)
図16は本発明の第4実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
第4実施形態は、接地線28に接続された貫通部材70が、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通する例である。接地線28は、例えば大地、又は大地に電気的に接続された建物躯体に接続されていて、大地との電位差がほとんど無い状態となっている。
【0060】
貫通部材70は、例えば導通性のネジ(タッピンネジ)である。貫通部材70によってレールベース部材23の絶縁層23bを破壊しながら、貫通部材70を基材23aに到達させると、レールベース部材23の基材23aは、接地された状態となる。貫通部材70は、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能する。このレールベース部材23に対して、第1~第3実施形態で説明した手法によって自動ドア構成機器48を固定すれば、自動ドア構成機器48がレールベース部材23の基材23a及び貫通部材70を介して接地された状態となる。例えば、
図17に示すように、自動ドア構成機器48の一例である制御装置33は、レールベース部材23の基材23aを介して貫通部材70と導通した状態となっている。
【0061】
また、制御装置33は、導電性のネジ69によってレールベース部材23に固定されていてもよい。このネジ69は、制御装置33と導通した状態で固定されていて、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通した状態となる。この場合、ネジ69は、絶縁層23bを貫通した状態の絶縁層貫通部として機能する。
【0062】
なお、
図17では、自動ドア構成機器48の一例である電気錠71は、貫通部材70と配線72によって結線されることによって、貫通部材70と導通した状態となっている。しかしながら、これに限られるものではない。電気錠71もレールベース部材23の基材23aを介して貫通部材70と導通した状態となっていてもよい。
【0063】
なお、貫通部材70をレールベース部材23に固定する位置は、どこでもよい。レールベース部材23の長さ方向の端面は、切断面となっていて、アルマイト被覆が存在していないため、その部分に貫通部材70を固定してもよい。この場合は、アルマイト被覆(絶縁層23b)を貫通しないことになる。もちろん、貫通部材70を、アルマイト被覆を貫通させて基材23aに到達するようにしてもよい。
【0064】
図16は、1つの扉体20を開閉する片引き式の自動ドア装置の場合である。このため、レールベース部材23が1つ設けられる。これに対し、
図18に示すように、一対のレールベース部材23が設けられる場合においては、一方のレールベース部材23(第1レールベース部材23A)が貫通部材70を介して接地線28と導通した状態となる。第1レールベース部材23Aと他のレールベース部材23(第2レールベース部材23B)とは、電線72で接続されていても良い。この電線72の両端には貫通部材70が設けられていて、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通している。この第2レールベース部材23も自動ドア構成機器48の概念に含まれることになる。
【0065】
図19に示すように、第2レールベース部材23Bは、接続ブラケット25によって第1レールベース部材23Aと電気的に接続されてもよい。図略の貫通部材がレールベース部材23の基材23aに届くように締め込まれており、貫通部材を介して接続ブラケット25がレールベース部材23A,23Bに固定されている。これにより、接続ブラケット25と各レールベース部材23A,23Bとが導通可能な状態となっている。貫通部材70は、導通性のネジ(タッピンネジ)によって構成されていてもよい。
【0066】
図20に示すように、第1レールベース部材23A及び第2レールベース部材23Bのそれぞれが、接地線28に結線された貫通部材70を介して接地線28と導通可能な状態となっていてもよい。
【0067】
貫通部材70を介してレールベース部材23の基材23aが接地される構成に代え、接地された端子台32を介してレールベース部材23の基材23aが接地されてもよい。すなわち、レールベース部材23の基材23aは、第1実施形態で説明したように、固定部材54を介して端子台32と導通可能な状態となっていてもよい。このため、
図21に示すように、自動ドア構成機器48(例えば、制御装置33)は、レールベース部材23の基材23aを通して端子台32と導通可能な状態となっていて、これによって、接地されている。あるいは、自動ドア構成機器48は導電性のネジによってレールベース部材23の基材23bと導通可能な状態になっていてもよい。一方で、その他の自動ドア構成機器48(例えばモータ31)は、電線73によって端子台32と接続することによって、接地されてもよい。
【0068】
図22は、モータ31等の自動ドア構成機器48に設けられた接地用の配線74に、貫通部材70(例えばタッピンネジ)が接続されていて、この貫通部材70が、レールベース部材23の絶縁層23bを貫通することによって、自動ドア構成機器48が接地される例である。この場合、レールベース部材23の基材23aを接地させる方法はどのような方法であってもよい。
【0069】
図23は、モータ31等の自動ドア構成機器48がレールベース部材23に対して非導電性の部材を介して固定されている場合において、当該自動ドア構成機器48とレールベース部材23の基材23aとを導通させる場合の一例である。
図23に示すように、一対の導電性のスプロケット76,77及び導電性のチェーン78を用いる場合、一方のスプロケット(第1スプロケット)76を支持する部材(図示省略)には、絶縁層貫通部として機能する図略の突起が設けられている。したがって、第1スプロケット76は、この突起を介してレールベース部材23の基材23aと導通可能な状態となっている。もう一方のスプロケット(第2スプロケット)77は、チェーン78を介して第1スプロケット76と導通可能な状態となっている。第2スプロケット77には、自動ドア構成機器48に設けられた接地端子(図示省略)が摺動可能に接触している。これにより、自動ドア構成機器48は、第2スプロケット77、チェーン78及び第1スプロケット76を介して、レールベース部材23の基材23aと導通可能な状態となっている。
【0070】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが前記第1実施形態と同様である。
【0071】
(第5実施形態)
図24は本発明の第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
第5実施形態では、レールベース部材23の絶縁層23bの一部が、やすり、サンドペーパ等によって物理的に除去されている。絶縁層23bが除去される部位は、例えば、固定部44における固定部材54に対面する部位、あるいは自動ドア構成機器48の中で導通性のある部位に対面する部位等である。そして、絶縁層23bが除去された部位を利用して、自動ドア構成機器48とレールベース部材23の基材23aとが導通可能となっている。一方、接地線28に接続された貫通部材70が、絶縁層23bを貫通することにより、レールベース部材23の基材23aが接地されている。これにより、自動ドア構成機器48が接地された状態となっている。なお、自動ドア構成機器48が接地されている場合には、接地線28に接続された貫通部材70をレールベース部材23の基材23aに接続しなくてもよい。
【0073】
第5実施形態では、やすり等によって、絶縁層23bの一部の領域を除去する。その後、この絶縁層23bの無い領域を利用して、レールベース部材23の基材23aと自動ドア構成機器48とが導通した状態にする。これにより、自動ドア装置10が完成する。そして、自動ドア装置10の施工現場において、レールベース部材23の基材23a及び自動ドア構成機器48の一方が他方を介して接地された状態にする。
【0074】
なお、絶縁層23bの一領域を物理的に除去する方法に限られない。代替的に、絶縁層23bを化学反応させることによって、絶縁層23bの一領域を除去するようにしてもよい。例えば、薬品によって絶縁層23bの一領域を破壊して、その部分の絶縁層23bを除去してもよい。より具体的には、絶縁層23bがアルマイト被覆である場合、苛性ソーダ、塩酸、ベンゼン、昇こう水等の薬品を用いることができる。絶縁層23bが塗膜の場合、有機溶剤で絶縁層23bを除去することができる。
【0075】
図25は、端子台32の基台32aが取り付けられるところにおいて、絶縁層23bが除去された場合の例である。絶縁層23bの除去方法は上述のとおりである。そして、端子台32に接地線28が接続されてもよい。一方で、端子台32以外の自動ドア構成機器48が取り付けられるところでも、絶縁層23bが除去される、あるいは、絶縁層貫通部として機能する突起54bが絶縁層23bを貫通した状態となっていてもよい。
【0076】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが前記第1実施形態と同様である。
【0077】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、すべての実施形態において、一旦、絶縁被膜が破壊されて導通が図られた後に、酸化等により導通が阻害されるような場合であっても、固定部材54を締め直す等の手段により、容易に再度の導通が図れる。
【0078】
ここで、前記実施形態について概説する。
【0079】
(1)前記実施形態は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記レールベース部材に取り付けられ又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器と、前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通するように、又は前記自動ドア構成機器と導通している部材と前記基材とが導通するように、前記絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地されている自動ドア装置である。
【0080】
前記実施形態では、絶縁層貫通部がレールベース部材の電気絶縁層を貫通している。これにより、自動ドア構成機器とレールベース部材の基材とが導通している。そして、レールベース部材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地されている。したがって、自動ドア構成機器又はレールベース部材を接地するための電気配線を減らすことができる。その結果、接地のための作業を容易化することができる。しかも、絶縁層貫通部が絶縁層を貫通した状態にあるため、レールベース部材と自動ドア構成機器との電気的接続を確実に行うことができる。
【0081】
(2)前記絶縁層貫通部が前記絶縁層を貫通している部位では、前記絶縁層が破壊されていてもよい。この態様では、絶縁層貫通部が絶縁層を物理的に破壊しつつ貫通している。このため、絶縁層貫通部が絶縁層を貫通させるための前処理が不要となる。したがって、レールベース部材の基材と自動ドア構成機器との接続作業をより容易にすることができる。
【0082】
(3)前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器に設けられた突起、または前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる固定部材に設けられた突起であってもよい。この態様では、自動ドア構成機器をレールベース部材に取り付けることにより、自動ドア構成機器とレールベース部材とを導通した状態にすることができる。したがって、取付作業と同時に電気的接続作業を行うことができる。
【0083】
(4)前記突起は、前記自動ドア構成機器又は前記固定部材の複数箇所に設けられていてもよい。この態様では、自動ドア構成機器又は固定部材の取付状態による悪影響を抑制することができる。
【0084】
(5)前記固定部材は、板状の部材であってもよい。この場合、前記突起は、前記固定部材の表面と裏面に設けられていてもよい。この態様では、固定部材の取り付け時の向きの影響を受けることなく、突起で絶縁層を破壊することができる。したがって、固定部材の取付ミスによる悪影響を抑制することができる。
【0085】
(6)前記突起は、断面が円環状であってもよい。この態様では、プレスやポンチで容易に突起を形成することができる。
【0086】
(7)前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を前記レールベース部材に固定するために用いられる導電性のネジであってもよい。この態様では、レールベース部材に自動ドア構成機器を取り付ける過程で電気絶縁層を有するレールベース部材と自動ドア構成機器とを導通した状態にすることができる。したがって、取付作業と同時に電気的な接続作業を行うことができる。なお、導電性のネジは、ネジ自体が導電性の材質で構成されているものに限られず、自動ドア構成機器に接触する部位及びレールベース部材の基材に接触する部位が導電性を有していて、両者間で電気的に接続された構成であればよい。
【0087】
(8)前記絶縁層貫通部が前記絶縁層を貫通している部位では、前記絶縁層が除去されていてもよい。この態様では、絶縁層貫通部が絶縁層を物理的に除去しつつ貫通している。このため、絶縁層貫通部が絶縁層を貫通させるための前処理が不要となる。したがって、レールベース部材の基材と自動ドア構成機器とが導通した状態にするための作業をより容易にすることができる。また、レールベース部材の強度に悪影響を与えることなく、電気的接続を行うことができる。
【0088】
(9)前記絶縁層貫通部は、前記自動ドア構成機器を固定するために用いられる導電性のネジであってもよい。この態様では、レールベース部材に自動ドア構成機器を取り付ける過程で電気絶縁層を有するレールベース部材と自動ドア構成機器とを導通した状態にすることができる。したがって、取付作業と同時に電気的な接続作業を行うことができる。なお、導電性のネジは、ネジ自体が導電性の材質で構成されているものに限られず、自動ドア構成機器に接触する部位及びレールベース部材の基材に接触する部位が導電性を有していて、両者間で電気的に接続された構成であればよい。
【0089】
(10)前記実施形態は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、前記絶縁層を貫通した状態の絶縁層貫通部と、を備え、前記基材は、前記絶縁層貫通部を介して接地されている自動ドア装置である。
【0090】
前記実施形態では、絶縁層貫通部がレールベース部材の電気絶縁層を貫通している。これにより、レールベース部材は、接地されている。したがって、レールベース部材を接地するための電気配線を減らすことができる。その結果、接地のための作業を容易化することができる。しかも、絶縁層貫通部が絶縁層を貫通した状態にあるため、レールベース部材の接地を確実に行うことができる。
【0091】
(11)前記実施形態は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、前記絶縁層を破壊して、前記レールベース部材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とし、前記レールベース部材の前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にする自動ドア装置の接地方法である。
【0092】
(12)前記接地方法において、前記絶縁層の破壊は、前記絶縁層を貫通する絶縁層貫通部を用いて行われてもよい。
【0093】
(13)前記接地方法において、前記絶縁層の破壊は、絶縁層貫通部によって前記絶縁層を除去することによって行われてもよい。
【0094】
(14)前記実施形態は、導電性の基材の表面に形成された電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器とが電気的に接続された自動ドア装置の製造方法であって、前記絶縁層を破壊して、前記レールベース部材の前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とする自動ドア装置の製造方法である。
【0095】
(15)前記製造方法において、前記絶縁層の破壊は、前記絶縁層を貫通する絶縁層貫通部を用いて行われてもよい。
【0096】
(16)前記製造方法において、前記絶縁層の破壊は、絶縁層貫通部によって前記絶縁層を除去することによって行われてもよい。
【0097】
(17)前記実施形態は、導電性の基材の表面に電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器とを電気的に接続する方法であって、前記絶縁層を除去して、前記レールベース部材の導通性基材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とし、前記レールベース部材の前記基材及び前記自動ドア構成機器の一方が他方を介して接地された状態にする自動ドア装置の接地方法である。
【0098】
(18)前記実施形態は、導電性の基材の表面に電気絶縁層を有するレールベース部材と、このレールベース部材に取り付けられる又は前記レールベース部材の近傍に配置される自動ドア構成機器とが電気的に接続された自動ドア装置の製造方法であって、前記絶縁層を除去して、前記レールベース部材の前記基材と前記自動ドア構成機器とが導通した状態とする自動ドア装置の製造方法である。
【0099】
以上説明したように、前記実施形態によれば、接地のための配線の手間を抑制することができる。