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特許6990218ブレ防止アタッチメント、及びブレ防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ブレ防止アタッチメント、及びブレ防止方法
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B60B33/00 504Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019135291
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021017192
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519268148
【氏名又は名称】マテハンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100184583
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 侑士
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】千葉 威
(72)【発明者】
【氏名】前田 豊
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-191861(JP,A)
【文献】特開2018-192911(JP,A)
【文献】特開2013-147208(JP,A)
【文献】実開昭62-090322(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
B62B 1/00 - 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板下面に車輪の方向転換が自在な旋回キャスタを有するカゴ車に着脱可能な、前記カゴ車の移動において前記カゴ車のブレを防止するブレ防止アタッチメントであって、
固定キャスタと、
前記固定キャスタより上側に設けられ前記カゴ車に係止する係止部材を有する係止部と、
前記カゴ車と他のカゴ車とを連結する連結部と
前記固定キャスタの上部分に接続するとともに前記係止部を支持する支持部材と、
前記固定キャスタと前記係止部との間の距離を調節する調節部材を有する支持調節部とを
備えることを特徴とするブレ防止アタッチメント。
【請求項2】
前記連結部は、前記カゴ車と他のカゴ車とを連結する連結具及び前記連結具を取り付けるための取付部材を備える
請求項1に記載のブレ防止アタッチメント。
【請求項3】
前記連結具は、前記取付部材に取り付けられるための連結孔が設けられた連結板であり、
前記取付部材は、前記取付部材に取り付けられた前記連結板が前記連結孔を中心に水平方向に回動可能なように設けられる
請求項2に記載のブレ防止アタッチメント。
【請求項4】
前記調節部材は、複数の締結部材及び前記支持部材の外周に設けられるスプリングであり、
前記支持部材は、前記係止部材の下面に固定され、かつ、前記固定キャスタの上部分に設けられた貫通孔に挿入されるとともに前記締結部材が前記貫通孔を基準として上下方向のそれぞれの所定範囲に設けられる支持柱である
請求項1~3のいずれか1項に記載のブレ防止アタッチメント。
【請求項5】
前記係止部材は、天板、前記天板上に対し略直交に延びるように設けられるとともに接続部分が形成された一対の係止板、及び、前記接続部分を介して前記一対の係止板間を前記カゴ車のアングルの立上部分と係止可能な間隔を有するように接続する接続部材であり、
前記一対の係止板は、一方が前記天板に固定されるとともに、もう一方が前記接続部分を中心に回動することで、前記アングルの立上部分に係止し、
前記天板は、前記アングルの下部分に当接する
請求項1~のいずれか1項に記載のブレ防止アタッチメント。
【請求項6】
底板下面に車輪の方向転換が自在な旋回キャスタを有するカゴ車の移動において前記カゴ車のブレを防止するブレ防止方法であって、
固定キャスタと、
前記固定キャスタより上側に設けられ前記カゴ車に係止する係止部材を有する係止部と、
前記カゴ車と他のカゴ車とを連結する連結部と、
前記固定キャスタの上部分に接続するとともに前記係止部を支持する支持部材と、
前記固定キャスタと前記係止部との間の距離を調節する調節部材を有する支持調節部とを
備えるブレ防止アタッチメントを用いて、
固定キャスタより上側に設けられる係止部材を前記カゴ車に係止させ、前記カゴ車と他のカゴ車とを連結部で連結する
ことを特徴とするブレ防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレ防止アタッチメント、及びブレ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物流分野などにおいて、カゴ車に物体を積載して運搬する際に、例えば作業者の数が十分でない場合、複数のカゴ車を連結して牽引することにより物体を運搬することがある。しかし、複数のカゴ車を連結して運搬している最中に、例えば旋回する場合などにおいて、牽引されているカゴ車が所望する運搬経路からずれて(ブレて)制御が困難となる状況が発生し得る。
【0003】
上記状況に対し、例えば特許文献1には、カゴ車の旋回キャスタの方向転換を規制することで、カゴ車の移動時のブレを防止することが可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-064676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、旋回キャスタの形状は、通常旋回キャスタの種別毎に異なる。そのため、旋回キャスタの種別によっては、特許文献1に記載の装置を当該旋回キャスタに装着することが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブレ防止アタッチメントは、底板下面に車輪の方向転換が自在な旋回キャスタを有するカゴ車に着脱可能な、前記カゴ車の移動において前記カゴ車のブレを防止するブレ防止アタッチメントであって、固定キャスタと、前記固定キャスタより上側に設けられ前記カゴ車に係止する係止部材を有する係止部と、前記カゴ車と他のカゴ車とを連結する連結部とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記連結部は、前記カゴ車と他のカゴ車とを連結する連結具及び前記連結具を取り付けるための取付部材を備える構成とされていてもよい。
【0008】
前記連結具は、前記取付部材に取り付けられるための連結孔が設けられた連結板であり、前記取付部材は、前記取付部材に取り付けられた前記連結板が前記連結孔を中心に水平方向に回動可能なように設けられる構成とされていてもよい。
【0009】
前記固定キャスタの上部分に接続するとともに前記係止部を支持する支持部材、及び、前記固定キャスタと前記係止部との間の距離を調節する調節部材を有する支持調節部をさらに備える構成とされていてもよい。
【0010】
前記調節部材は、複数の締結部材及び前記支持部材の外周に設けられるスプリングであり、前記支持部材は、前記係止部材の下面に固定され、かつ、前記固定キャスタの上部分に設けられた貫通孔に挿入されるとともに前記締結部材が前記貫通孔を基準として上下方向のそれぞれの所定範囲に設けられる支持柱である構成とされていてもよい。
【0011】
前記係止部材は、天板、前記天板上に対し略直交に延びるように設けられるとともに接続部分が形成された一対の係止板、及び、前記接続部分を介して前記一対の係止板間を前記カゴ車のアングルの立上部分と係止可能な間隔を有するように接続する接続部材であり、前記一対の係止板は、一方が前記天板に固定されるとともに、もう一方が前記接続部分を中心に回動することで、前記アングルの立上部分に係止し、前記天板は、前記アングルの下部分に当接する構成とされていてもよい。
【0012】
本発明に係るブレ防止方法は、底板下面に車輪の方向転換が自在な旋回キャスタを有するカゴ車の移動において前記カゴ車のブレを防止するブレ防止方法であって、固定キャスタの上部に設けられる係止部材を前記カゴ車に係止させ、前記カゴ車と他のカゴ車とを連結部で連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数台のカゴ車の運搬に際し、カゴ車の移動時のブレを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の斜視図である。
図2】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の正面図である。
図3】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の側面図である。
図4】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の背面図である。
図5】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する方法の一例を説明するための図である。
図6】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する方法の一例を説明するための図である。
図7】同実施形態に係るトッププレート14付近の拡大断面図である。
図8】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1を装着したカゴ車2と他のカゴ車2とを連結する方法の一例について説明するための図である。
図9】同実施形態に係るブレ防止アタッチメント1を装着したカゴ車2と他のカゴ車2とを連結する方法の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の例について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、同一又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、実質的に同一の機能構成又は論理的意義を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。また、図面において複数の構成のまとまりを示す符号は、下線を付して表現する場合がある。また、以下の説明では、鉛直方向及び鉛直方向の逆方向を、それぞれ単に上方向、下方向(片方向に限定しない場合は上下方向)と称する。また、以下の説明では、カゴ車を牽引する進行方向を前方向と称する。
【0016】
<1.ブレ防止アタッチメント1の構成例>
まず、図1図4を参照して、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の斜視図である。図2は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の正面図である。図3は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の側面図である。図4は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の背面図である。
【0017】
図1に示されるように、ブレ防止アタッチメント1は、固定キャスタ10、支持調節部20、係止部40、連結部50、及び把持部61を備える。
【0018】
固定キャスタ10は、車輪11、車軸12、フォーク13a及び13b、並びにトッププレート14を備える。ここで、車軸12は、車輪11とフォーク13a及び13bとを接合する。フォーク13a及び13bは、車軸12とトッププレート14とに接続するように形成され、結果として車輪11とトッププレート14とを接続する。トッププレート14の隅付近には、貫通孔25a~25dが上下方向に形成されている。貫通孔25a~25dは、後述する支持柱21を挿入できる一方で、後述する締結部材22やスプリング24を挿入できない大きさに形成される。固定キャスタ10の種別や形状は、図1に示される一例では円形であるが、係る例に限定されない。
【0019】
固定キャスタ10は、車輪11の向く方向が固定されているキャスタである。固定キャスタ10は、車輪の方向転換が自在な旋回キャスタを有するカゴ車2における追加のキャスタとして用いられる。固定キャスタ10は、ブレ防止アタッチメント1が装着されていない場合と比較して、カゴ車2を牽引する際の当該カゴ車2の旋回キャスタに起因する移動経路のブレを防止する機能を有する。
【0020】
支持調節部20は、支持柱21a~21d、ナット22a~22f、アジャスターボルト23a~23d、並びにスプリング24a及び24bを備える。
【0021】
支持柱21a~21dは、上下方向に延びていて、それぞれトッププレート14の貫通孔25a~25dに挿入されている。図1図4に示される一例では、支持柱21a~21dの水平切断面の形状は全て同じである。一方で、当該形状は、支持柱21a~21dがそれぞれ貫通孔25a~25dに挿入可能であれば、互いに異なっていてもよい。
【0022】
支持柱21a~21dは、固定キャスタ10と係止部40とを接続する機能を有する。具体的には、支持柱21a~21dは、固定キャスタ10のトッププレート14に接続された状態で、係止部40を支持する機能を有する。
【0023】
ナット22a~22fは、トッププレート14と支持柱21a~21dとを接続するために用いられる締結部材の一例である。図2に示されるように、ナット22aは、支持柱21bにおけるトッププレート14に対し上側に取り付けられる。また、ナット22b及び22cは、それぞれ支持柱21b、21aにおけるトッププレート14に対し下側に取り付けられる。同様に、図4に示されるように、ナット22eは支持柱21dにおけるトッププレート14に対し上側に取り付けられ、ナット22d及び22fはそれぞれ支持柱21c、21dにおけるトッププレート14に対し下側に取り付けられる。なお、トッププレート14に対して上側のナット22および下側のナット22は、互いに所定の距離を空けて取り付けられる。
【0024】
また、ナット22a~22fは、トッププレート14と支持柱21a~21dとを接続するために用いられる以外にも、トッププレート14と係止部40との距離の調節範囲を決定する調節部材としての機能を有する。他にも、ナット22a~22fは、支持棒21a~21dがトッププレート14の貫通孔25a~25dに挿入した状態を保持する機能を有する。例えば、トッププレート14下側部分に取り付けられたナット22は、支持棒21がトッププレート14の貫通孔25に挿入された状態を維持する機能を果たす。
【0025】
アジャスターボルト23a~23dは、それぞれ支持柱21a~21dの上端部分に取り付けられ、支持柱21a~21dを後述する係止部40の下部に位置する天板46に固定させる。アジャスターボルト23a~23dは、支持柱21a~21dに係止部40を安定的に支持させる締結部材としての機能を有する。
【0026】
スプリング24a及び24bは、それぞれ支持柱21a、21cの外周に巻き付くように設けられる。スプリング24aは、外径が貫通孔25bの直径より長く、貫通孔25bに挿入されない。従って、スプリング24aは、支持柱21aが貫通孔25aに挿入された状態で下方向の所定範囲内での運動により変化するトッププレート14と天板46との間の距離に応じて、縮むように変形する。スプリング24bも同様に、支持柱21cが貫通孔25cに挿入された状態でのトッププレート14と天板46との間の距離に応じて、縮むように変形する。
【0027】
スプリング24a及び24bは、例えば圧縮コイルばねである。スプリング24a及び24bは、ブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する際に、固定キャスタ10と係止部40との間の距離を調節する調節部材としての機能を有する。
【0028】
なお、支持棒21のトッププレート14の上側に取り付けられる部材は、図1図4に示した一例の場合、ナット22若しくはスプリング24のいずれかであるが、一方でナット22及びスプリング24が同一の支持棒21のトッププレート14の上側に取り付けられてもよい。例えば、ナット22の外径よりも大きい内径のスプリング24が当該部分に取り付けられてもよい。
【0029】
係止部40は、天板46、L字板41、回動板42、接続部材43、スペーサ44、及び回動用取手45を備える。係止部40は、図1図4に示されるように、固定キャスタ10より上側に設けられる。
【0030】
天板46は、係止部40の下部に位置し、支持柱21a~21dに支持されている。天板46は、スプリング24a及び24bが縮んでいる状態の場合、スプリング24a及び24bから上方向の弾性力を受ける。
【0031】
L字板41は、天板46の上面に固定された部材である。L字板41は、2の辺部分から構成される。L字板41の2の辺部分うち、片方の辺部分(以下、立上部分411と称する)は天板46に略直交し、もう一方の辺部分(以下、下部分412と称する)は天板46上に重なるように固定される。なお、立上部分411及び下部分412は、図1図4に示される一例ではL字板41として同一の部材として構成されるが、別個の部材として構成されてもよい。
【0032】
回動板42は、立上部分411と所定の距離を空けて並行して設けられ、後述する接続部材43を介して立上部分411と接続する。立上部分411および回動板42は、天板46上に上下方向に延びるように設けられるとともに接続部分43が形成された一対の係止板として機能する。図1図3に示される一例では、接続部材43は、立上部分411と回動板42と後述するスペーサ44に形成された接続部分(接続孔)に挿入されることで、立上部分411と回動板42とを接続する棒状の部材である。
【0033】
スペーサ44は、立上部分411と回動板42との間に挟まれるように設けられる接続部材の一例である。スペーサ44は、例えば図3に示されるように貫通孔が形成された板状の部材であり、当該貫通孔に接続部材43が挿入される。スペーサ44が立上部分411と回動板42との間に設けられることで、所定の大きさのスペースが立上部分411と回動板42との間、すなわちスペーサ44の下側に生じる状態になる。なお、スペーサ44は、立上部分411若しくは回動板42と結合した部材でもよい。
【0034】
回動用取手45は、回動板42に取り付けられた取手であり、接続棒43が挿入された接続孔を中心として、回動板42を回動させるための部材である。回動用取手45を用いることにより、回動板42の回動作業を作業者が容易に実行できるようになる。
【0035】
ここで、図2を参照して、回動板42の回動の一例について説明する。図2(a)において、回動板42は横向きの状態である。ここで、作業者は、回動用取手45を把持して前方向に対し反時計回りに回すように動かすことで、回動板42は接続棒43を中心に回転して、図2(b)に示されるように縦向きの状態になる。
【0036】
このように、係止部40は、係止部材によりカゴ車2と係止する機能を有する。係止部40が備える係止部材の構成は、カゴ車2と係止することが可能であれば図1図4に示される例に限らない。係止部40は、固定キャスタ10が地面に当接した状態でカゴ車2のいずれかの部位と係止することが可能な構成であればよい。なお例えば、係止部40は、カゴ車2における後下部分に設けられているアングルと係止する。係止部40を用いたブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する方法の具体例については後述する。
【0037】
図1に戻って説明を続ける。連結部50は、取付部材51a及び51b、並びに連結具53を備える。図1に示される一例では、取付部材51a及び51bは、それぞれ上下方向に取付孔52a及び52bが形成され、上下方向に所定の距離を空けて立上部分411に固定された部材である。連結具53は、ブレ防止アタッチメント1が装着されたカゴ車2と他のカゴ車2とを連結する。
【0038】
取付部材51a及び51bは、連結具53をブレ防止アタッチメント1に取り付けるために用いられる。取付部材51の形状は、係る例に限定されず、連結具53を取り付けることが可能な形状であればよい。連結部50によるカゴ車2間の連結方法の具体例については後述する。また、連結具53の詳細な説明及び具体例についても後述する。
【0039】
把持部61は、立上部分411に固定された把持部材である。把持部61は、作業者がブレ防止アタッチメント1を把持することが容易となる部材であればよい。例えば、図3に示されるように、把持部61は、立上部分411から水平方向に延びて途中で下方向に曲がっている棒である。作業者は、把持部材を把持して当該棒の立下部分を把持してブレ防止アタッチメント1を前後方向に移動させたり、カゴ車2の下に押し込んだりすることを容易に実行できる。
【0040】
以上、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1の構成の一例について説明した。
【0041】
<2.ブレ防止アタッチメント1の装着例>
続いて、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する方法の一例について、図5図7を参照して説明する。図5及び図6は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着する方法の一例を説明するための図である。
【0042】
図5には、ブレ防止アタッチメント1及びカゴ車2aの一部が示されている。なお図5には、カゴ車2aの後下部分の構成の一部である車輪210a、車軸220a、フォーク230a、旋回部240a、底板250a、アングル260、並びにフレーム270a及び270bが示されている。ここで、アングル260は、カゴ車2aの後下部分に設けられた、断面がL字型の部材である。
【0043】
図5において、ブレ防止アタッチメント1は、カゴ車2aに装着される前の状態である。カゴ車2aへの装着に際し、まず作業者は、ブレ防止アタッチメント1の固定キャスタ10から天板46までをカゴ車2aの底板250の下側に入れることができるように、把持部61を把持して押し下げる。図5では、作業者の手Hでブレ防止アタッチメント1を押し下げて天板46の位置が低くなっている様子、すなわち天板46とトッププレート14との間の距離が短くなっている様子、が示されている。この際、図5に示されているように、支持柱21b及び21cの下端部分が、天板46とトッププレート14との間の距離が短くなった分だけ、それぞれ貫通孔25b、25cから飛び出している。作業者は、ブレ防止アタッチメント1を前方向(カゴ車2aに向かう方向)へ押して、ブレ防止アタッチメント1とカゴ車2aとが接するまで移動させ、固定キャスタ10から天板46までをカゴ車2aの底板250の下側に入れる。
【0044】
図6は、ブレ防止アタッチメント1及びカゴ車2aの後下部分が示された断面図である。図6には、カゴ車2aの後下部分の一部である車輪210b、フォーク230b、旋回部240b、底板250b、アングル260、並びにフレーム270c及び270dが示されている。ブレ防止アタッチメント1は、例えば図6に示されるように、カゴ車2aのアングル260に装着される。
【0045】
図6左側では、ブレ防止アタッチメント1は、図5に示された状態において作業者の手Hに押されたことにより、L字板41の下部分412がカゴ車2のアングル260の下面に接するまで移動した状態である。ここで、アングル260の立上部分は、回動板42と係止部40の立上部分411との間、すなわちスペーサ44の下に位置している。ここで、作業者は、回動用取手45を前方向に対して反時計回りに動かし、回動板42を縦向きに変える。
【0046】
図6右側には、図6左側に示された状態で作業者が回動板42を縦向きになるよう動かしたブレ防止アタッチメント1が示されている。回動板42及び立上部分411は、回動板42が縦向きであるため、アングル260の立上部分を挟んだ状態になっている。ここで、人力若しくは牽引車によりカゴ車2aが牽引されると、アングル260の立上部分が回動板42に当接した状態でカゴ車2aが移動する。
【0047】
また、L字板41の下部分412の上面は、アングル260の下面に接している。その際、支持調節部20により、上述したスプリング24a及び24bの上方向の弾性力により、下部分412がアングル260の下面に常に接するようにトッププレート14と係止部40との間の距離が調節される。
【0048】
ここで、図7を参照して、支持調節部20によるトッププレート14と係止部40との間の距離の調節方法の一例について説明する。図7は、トッププレート14付近の拡大断面図であり、支持調節部20の支持柱21a及び21b、ナット22a~22c、並びにスプリング24aが示されている。
【0049】
ここで、支持柱21a及び21bが上下方向に動く範囲は、支持柱21bに取り付けられたナット22a及び22bの位置に基づいて決まる。図7に示される一例の場合、支持柱21a及び21bが上下方向に動く範囲は、ナット22bの上面がトッププレート14下面に接する位置から、ナット22aの下面がトッププレート14上面に接する位置までの間である。
【0050】
スプリング24a、24bは、天板46及びL字板41の下部分412、並びにトッププレート14を押す状態になっている。そのため、図6で示された状況では、下部分412がアングル260の下面に安定して当接した状態になり、一方で固定キャスタ10が安定して地面に接する状態になる。なお、上記説明は、支持柱21cや21dにおいても同様である。
【0051】
図6及び図7で説明したように、L字板41の下部分412がスプリング24a及び24bの弾性力によりアングル260の下部分261に押し付けられ、また、L字板41の立上部分411及び回動板42がアングル260の立上部分262を挟む状態になることで、係止部40全体はアングル260と係止する。ブレ防止アタッチメント1がカゴ車2aに装着された状態を維持しながら、カゴ車2aは牽引される。
【0052】
このように、カゴ車2に元々備わった形状を利用してブレ防止アタッチメント1を装着することができる。また、カゴ車2の種類に対応するカゴ車2のアングル下面(アングル260の下部分261)から地面までの距離に関わらず、ブレ防止アタッチメント1をカゴ車2に装着して使用することが可能である。
【0053】
<3.カゴ車2の連結例>
続いて、図8及び図9を参照して、ブレ防止アタッチメント1を装着したカゴ車2と他のカゴ車2とを連結する方法の一例について説明する。まず、取付部材51及び他のカゴ車2に取り付けられる連結具53の一例について説明する。図8は、本実施形態に係る連結具53の構成の一例について説明するための図である。図8(a)は、連結具53の側面図である。図8(b)は、連結具53の平面図である。図8(c)は、連結具53の正面図である。
【0054】
図8(a)~(c)に示される一例では、連結具53は、本体部531、連結孔532、中間板533、端部板534、及びスペーサ535を備える。本体部531は、表裏面が細長い矩形の板状部材(連結板)である。連結孔532は、本体部531前方向の端部分において上下方向に形成されている。連結孔532は、連結具53をブレ防止アタッチメント1の取付部材51に取り付けるための孔である。中間板533、端部板534、及びスペーサ535は、本体部531の後方向の端部分に設けられる、連結具53を他のカゴ車2に取り付けるための部材である。図8には示されていないが、連結具53は、ピン536を備える。ピン536は、取付孔52a及び52b並びに連結具53の連結孔532に差し込まれ、取付部材51a及び51bおよび連結具53が接続される。
【0055】
続いて、連結部50によるカゴ車2の連結例について説明する。図9は、本実施形態に係るブレ防止アタッチメント1と連結部50によるカゴ車2と他のカゴ車2との連結に関する一例について説明するための図である。図9(a)は、カゴ車2aとカゴ車2bとを連結した様子を示す側面断面図である。図9(b)は、カゴ車2aとカゴ車2bとを連結した様子を示す平面図である。
【0056】
取付部材51a及び51bは、取り付けられた連結具53が連結孔532を中心に水平方向に回動可能なように設けられる。例えば、図9(a)に示されるように、ピン536が取付孔51a及び51b並びに連結具53の連結孔531に差し込まれ、連結具53はブレ防止アタッチメント1に取り付けられる。また、連結具53は、中間板533、端部板534、及びスペーサ535がカゴ車2bの前側のアングル260bに引っ掛けられることで、ブレ防止アタッチメント1が装着されていないもう一台のカゴ車2bに取り付けられる。
【0057】
このように、連結部50を備えるブレ防止アタッチメント1によれば、複数台のカゴ車2を連結することができ、さらに当該カゴ車2を牽引する際にカゴ車2のブレを防止することができる。また、取付部材51a及び51bが連結具53が連結孔532を中心に水平方向に回動可能なように設けられることで、ブレ防止アタッチメント1が装着されたカゴ車2の旋回をスムーズに行うことが可能になる。
【0058】
以上、ブレ防止アタッチメント1を装着したカゴ車2と他のカゴ車2とを連結する方法の一例について説明した。なお、連結具53として概ね板状部材を有する一例について説明したが、連結具53の形状は係る例に限定されない。例えば、本体部531は、円柱状等であってもよい。また例えば、連結具53は、ねじ及びボルトによりブレ防止アタッチメント1に取り付けられてもよい。その際、取付部材51は、連結具53の形状に合わせて設けられる。また、連結部50は、取付部材51および連結具53のように分離した複数個の部材から構成されなくてもよい。例えば、連結部50は、連結具53の本体部531、中間板533、端部板534、及びスペーサ535がブレ防止アタッチメント1に直接設けられた構成でもよい。連結部50がブレ防止アタッチメント1に直接設けられることで、複数台のカゴ車2の牽引に際する手間をさらに省くことが可能になる。
【0059】
ブレ防止アタッチメント1は、連結具53が直接カゴ車2に取り付けられる場合には、取付部材51を備えなくてよい。また、ブレ防止アタッチメント1は、複数台のカゴ車2を連結して運搬する場合に限らず、1台のカゴ車2を運搬する場合においても用いられることができ、その場合は連結部50を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ブレ防止アタッチメント
10 固定キャスタ
11 車輪
12 車軸
13 フォーク
14 トッププレート
20 支持調節部
21 支持柱
22 ナット
23 アジャスターボルト
24 スプリング
40 係止部
41 L字板
411 立上部分
412 下部分
42 回動板
43 接続部材
44 スペーサ
45 回動用取手
50 連結部
51 取付部材
52 取付孔
53 連結具
531 本体部
532 連結孔
533 中間板
534 端部板
535 スペーサ
536 ピン
61 把持部
2 カゴ車
260 アングル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9