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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】顔認識システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220104BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
G06T7/00 660A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020054368
(22)【出願日】2020-03-25
(62)【分割の表示】P 2017568409の分割
【原出願日】2016-06-30
(65)【公開番号】P2020119580
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】62/187,003
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000383
【氏名又は名称】エヌイーシー コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ランガナス クリシャナ
(72)【発明者】
【氏名】ガンズ アレン
(72)【発明者】
【氏名】ヤップ アルヴィン レオン イン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】モリナーリ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キャリアー アルジャーノン
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-183734(JP,A)
【文献】特開2013-117876(JP,A)
【文献】特開2009-003659(JP,A)
【文献】特開2007-148968(JP,A)
【文献】特開2010-039981(JP,A)
【文献】特開2005-056004(JP,A)
【文献】Hisham Al-Assam et al.,Hidden Assumption of Face Recognition Evaluation under Different Quality Conditions,International Conference on Information Society (i-Society 2011),米国,IEEE,2011年06月27日,pp. 27-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ及びプロセッサを備えた顔認識システムにおいて、
前記プロセッサが、
前記カメラから、個人の顔の第一画像を含む画像データを受信し、
前記第一画像のなかの前記個人の顔が、生体認証データベースからの第二画像のなかの前記個人の顔に一致する可能性を示す第一スコアを計算し、
前記第一スコアがダイナミックマッチ閾値を超えるか否かを決定し、
前記第一スコアが前記ダイナミックマッチ閾値を超える場合に、前記第一画像のなかの前記個人の顔と前記第二画像のなかの前記個人の顔とが一致することを示す信号を生成し
一以上のパラメータの値に基づいて、前記ダイナミックマッチ閾値を調整し、
前記第一画像のなかの前記個人の顔が、前記生体認証データベースからの第三画像のなかの前記個人の顔に一致する可能性を示す第二スコアを計算し、
前記第二スコアがダイナミックマッチ閾値を超えるか否かを決定し、
前記第二スコアが前記ダイナミックマッチ閾値を超える場合に、前記第一画像のなかの前記個人の顔と前記第三画像のなかの前記個人の顔とが一致することを示す信号を生成し、
前記第一画像のなかの前記個人の顔が、前記生体認証データベースからの第四画像のなかの前記個人の顔に一致する可能性を示す第三スコアを計算し、
前記ダイナミックマッチ閾値よりも低い平均マッチ閾値を超える前記第一スコア、前記第二スコア及び前記第三スコアの数を決定し、
前記数が所定数を超える場合に、前記第一画像のなかの前記個人の顔と、前記第二画像、第三画像及び前記第四画像のうちの一つのなかの前記個人の顔と、が一致することを示す信号を生成するよう構成されたことを特徴とする顔認識システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、一以上のパラメータの値に基づいて前記平均マッチ閾値を調整するよう構成されたことを特徴とする請求項に記載の顔認識システム。
【請求項3】
前記一以上のパラメータがカレンダー日付を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認識システム。
【請求項4】
前記一以上のパラメータが時刻を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認識システム。
【請求項5】
前記一以上のパラメータが前記顔認識システムの使用頻度を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認識システム。
【請求項6】
カメラ及びプロセッサを備えた顔認識システムにおいて、
前記プロセッサが、
前記カメラから、個人の顔の第一画像を含む画像データを受信し、
前記第一画像のなかの前記個人の顔が、生体認証データベースからの第二画像のなかの前記個人の顔に一致する可能性を示す第一スコアを計算し、
前記第一スコアがダイナミックマッチ閾値を超えるか否かを決定し、
前記第一スコアが前記ダイナミックマッチ閾値を超える場合に、前記第一画像のなかの前記個人の顔と前記第二画像のなかの前記個人の顔とが一致することを示す信号を生成し、そして、
一以上のパラメータの値に基づいて、前記ダイナミックマッチ閾値を調整するよう構成され、
前記一以上のパラメータが前記顔認識システムの動作速度を含むことを特徴とする顔認識システム
【請求項7】
前記一以上のパラメータが、前記ダイナミックマッチ閾値が超されなかった回数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認識システム。
【請求項8】
前記顔認識システムが、前記個人により提示された権利から権利データを取得するよう構成された権利スキャナをさらに備え、
前記プロセッサが、さらに、前記権利スキャナから前記権利データを受信し、前記権利データに基づいて、前記生体認証データベースから前記第二画像を取得するよう構成されたことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の顔認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、権利(entitlement)の権限を与えられたユーザの認証に使用される自動顔認識の分野に関する。特に、本開示は、テーマパークチケットなどの権利と人間の顔とを迅速かつシンプルに関連付け、続いて、サービス提供者がサービスまたはグッズを正しい権利保持者に提供していることを確認するために、顔認識を使用して同じ人が前記権利を用いていることを確かめることに関する。
【背景技術】
【0002】
エンターテイメント産業における多くの組織は、チケットまたはその他の形態の権利を販売する。すべての形態の権利がなんらかのかたちの不正にさらされるものの、テーマパークチケットは、単一のシートに限定されない又は他の制限に限定されないため特に不正に対し脆弱である。例えば、スポーツスタジアムにおいて、もし一人の人がチケットを持っていて、そのチケットのコピーを作って友人にあげた場合、彼らは両方同じシートには座れないためなんの利益もない。さらに、特定のシートのチケットがスキャンされ入場に使用されたとき、スタジアム側は、その特定のチケットがすでに引き換えされたことを監視でき、もしほかの誰かが到着してそのチケットのレプリカを引き換えしようと試みたときにスタジアムの運営者が複製された権利が使用されるのを防ぐことができる。そのような理由から、スポーツイベントまたはコンサートのチケットはしばしば譲渡可能であり、これは、チケットの持ち主が、チケットを、未使用であれば希望する誰かに自由に譲渡または販売できることを意味する。
【0003】
テーマパークチケットは通常様々な理由から譲渡不可である。テーマパークチケットは一般的に一日の間何度でも再入場が可能であり、多くの場合は数日間何度でも入場可能である。さらに、テーマパークチケットは通常初日に使用されるものがより価格が高く設定されているが、数日間有効なものを購入した場合には各追加日分の価格が大きく下がる。したがって、詐欺師は、有効期限がより長いチケットを購入し、そのチケットの有効期限が残っているならばそれをほかの人に販売することに意欲的である。テーマパークチケットは高価なため、詐欺師にとってチケットのシェアまたは販売に対する意欲はより大きく、そしてテーマパークの経営者にとって潜在被害もまたより大きい。したがって、テーマパークの運営者には、かれらが譲渡不可なものとして販売しているチケットが、チケット一枚につき一人によってのみサービスなどと引き換え可能であることを確保する大きな必要がある。
【0004】
従来テーマパーク産業においては、テーマパークチケットが最初に使用されるときに生体認証指スキャンが用いられ、これによりチケット保持者の身元の表示が捕捉され、その後、同じチケットが再度引き換えられた際に別の指スキャンが実行されてその指スキャンがそのチケットが最初に使用されたときにとられた指スキャンとマッチ(一致)するか否かが決定される。この認証方法は、詐欺の数を減少させることができたものの、数々の大きな問題を有する。最大の問題は、有効な指スキャンを一貫して実行できたのは約93%の人だけだということである。一部の人では、指先の先端がすり減る手作業をしているために指をスキャンすることがより難しく、うまくいかない。他にも、脂性肌の人は、現代の指スキャナによってスキャンすることが難しい。これらのゲストについては指スキャンは正常に機能しない。
【0005】
指スキャンにおける別の問題は、指スキャンが正常に機能しない約7%のゲストについて、テーマパーク運営者がゲストの身元を認証できる迅速かつ容易な方法がないということである。従業員は、ゲストの指を見てそれがすでに取られた指スキャンとマッチするか否かを決定することができず、よって失敗したスキャンを修正するプロセスは、通常、チケットを現在使用しようとしている人が以前それを使用した人と同じかどうかを判断するために写真付き身分証明書の提示やチケットの購入及び以前の使用に関する質問を伴うゲストへの何らかの形の尋問である。テーマパークチケットのために高いお金を支払いまたテーマパークへ早く入場しようとしているゲストに対するこのような尋問は、マイナスの印象を与えゲスト満足度を低下させる。
【0006】
ゲストが本物であることを認証するのに用いられる別の技術は、写真照応(photo referencing)である。写真照応とは、権利が最初に引き換えされたときにゲストの写真を撮り、その権利が再度引き換えされたときに従業員が以前の写真にアクセスして、現在権利を引き換え用としているその人が同じ人かどうかを確かめるというものである。この技術にもまた様々な欠点がある。例えば、パークに入場するすべてのゲストの写真を従業員が再調査しなければならずこれには時間がかかる。各交流(transaction)において追加で費される時間が一瞬だとしても、メジャーなテーマパークの正面ゲートは一時間に10,000個の交流が行われる場合もあり、必要な時間が追加されることによって行列がより長くなるか、または追加のスタッフを雇うとともに追加の入場用回転ドアを購入する必要性が出てくる。第二に、従業員による各ゲストについての写真付きIDのチェックは、従業員をパークに入場する各ゲストの身元を確認する立場におくこととなりまた解消されるべき入場の際の障害物にすることとなり、ゲストの入場を容易にするためにゲストに集中し最高のゲストサービスを提供することができなくなる。そのような写真照応の使用における別の欠点は、ゲストとの交流の一つ一つにおいてチームメンバーがゲストの写真にアクセスしなければならないということである。今日の消費者はプライバシー及び写真を含む個人特定情報(PII)の使用への関心が非常に高い。したがって、プライバシーを心配するゲストにとっては、人間(そしてその付近にいる複数の人間)によって検分されなければならない写真の使用は不安をもたらす場合がある。本明細書に開示される実施形態は、ゲストの画像の使用を最小限に抑えることを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
本開示は顔認識システムに関する。特に、本開示の一実施形態は、認証がより起こりやすくなることで処理能力が高まるよう様々な照明条件(lighting conditions)で取得された画像を含む生体認証機能を有するデータベースを構築するよう構成されたシステムに関する。本開示の別の実施形態は、処理能力をよりよくコントロールするために様々なパラメータの変化に応答して認証が決定される閾値を変えることができるシステムに関する。
【0008】
一実施形態にかかわる顔認識システムは、カメラと、カメラから画像データを受信するよう構成されたプロセッサとを有する。画像データは、個人の顔の第一画像を含む。プロセッサはさらに、前記第一画像と関連する照明パラメータについての第一の値を決定するよう構成される。プロセッサはさらに、照明パラメータについての第一の値に関する第一所定条件を満たす照明パラメータについての第二の値を有する第二画像が、生体認証データベース内にある以前取得された個人の顔の画像のコレクションに含まれているか否かを決定するよう構成される。プロセッサはさらに、照明パラメータについての第一の値に関する第一所定条件を満たす照明パラメータについての第二の値を有する第二画像が、以前取得された画像のコレクションに含まれていない場合に、第一画像を照明パラメータについての第一の値とともに生体認証データベースに格納するよう構成される。
【0009】
別の実施形態にかかわる顔認識システムは、カメラと、カメラから画像データを受信するよう構成されたプロセッサとを有する。画像データは、個人の顔の第一画像を含む。プロセッサはさらに、第一画像のなかの個人の顔が、生体認証データベースからの第二画像のなかの個人の顔とマッチする可能性を示す第一スコアを計算するよう構成される。プロセッサはさらに、第一スコアがダイナミックマッチ閾値を超えるか否かを決定し、第一スコアがダイナミックマッチ閾値を超える場合に、第一画像と第二画像のなかの個人の顔がマッチすることを示す信号を生成するよう構成される。プロセッサはさらに、一以上のパラメータの値に基づきダイナミックマッチ閾値を調整するよう構成される。
【0010】
本発明にかかわる顔認識システムは、従来のシステムと比べて改良されている。一実施形態において、様々な照明条件で取得された個人の画像を格納することにより、以降の認証がより正確なものとなるとともにシステムの処理能力が向上する。別の実施形態では、認証のためのマッチ閾値のバリエーションにより、様々なシステムの目的を達成するためのシステムの処理能力のコントロールが可能となる。
【0011】
本発明の前述の及びその他の側面、特徴、詳細、実用及び利点は、以下の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載並びに図面から明らかとなる。
【0012】
本実施形態にかかわる方法及びシステムを説明する本明細書に添付の図面を参照することにより本明細書に開示される実施形態の重要な特徴の明確な理解が得られる。これらの図面は特定の例示的な実施形態を描写するものであり、したがって特許請求の範囲によりカバーされるほかの実施形態に関する範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係わる顔認識システムの側面図である。顔認識システムは、ゲストインターフェース、チームメンバーインターフェース、及び顔認識システムが搭載された台を有する。
図2】本実施形態に係わるゲストインターフェースの正面図である。
図3】本実施形態に係わるチームメンバーインターフェースの正面図である。
図4】本実施形態に係わるチームメンバーオーバーライドインターフェースの概略図である。
図5】本実施形態に基づく、顔認識システムと、これと接続された権利データベース及び生体認証データベースとの間のコネクションの概略図である。
図6】本実施形態に係わる顔認識システムの動作を説明するフローチャートである。
図7】本実施形態に係わる顔認識システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本開示の実施形態は、顔認識システム1を有する。顔認識システム1は、ゲストインターフェース2及びチームメンバーインターフェース3を有してもよい。ゲストインターフェース2には、ゲストまたはユーザが、権利スキャナ4にチケットなどの権利を提示することにより顔認識システムと相互作用するための機能部(feature)が設けられている。本開示の一実施形態では、権利スキャナは、テーマパークチケット、証明書またはクーポンなどのゲストの権利にあるバーコードを読み取り可能なバーコードリーダである。バーコードは、紙のチケットやスマートフォンなどの電子機器を含む物理的媒体、またはバーコードリーダによってスキャンできるほかの媒体の任意の形態に表示されてもよい。本開示の一実施形態では、権利スキャナは、近距離無線通信(NFC)タグを含む様々な種類の無線自動識別(RFID)タグをスキャン可能なRFIDスキャナであってもよい。RFIDタグは権利の識別に使用されるユニークなコードを含む。権利の識別子の識別のために何らかの形の媒体を読み取るのに使用できる限り、権利スキャナの他の実施形態を使用してもよい。そのような権利スキャナの他の実施形態は、磁気ストライプリーダ、非線形バーコードリーダ、ブルートゥース(登録商標)スキャナなどを含むが、これらに限定されない。
【0015】
ゲストインターフェース2はカメラ5も含んでもよい。カメラ5は権利保持者の生体認証を取り込むのに使用してもよい。一実施形態では、カメラ5は、ゲストの複数の画像を毎秒取り込み可能なビデオカメラである。これらの画像は、システム1内のプロセッサによって実行される顔認識ソフトウェアによって、顔が取り込まれたゲストを識別するために生体認証ソフトウェアが使用できる生体認証テンプレートに変換されてもよい。プロセッサは、プログラム可能マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えてもよく、あるいは特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。プロセッサは、中央処理装置(CPU)および入出力(I/O)インターフェースを含んでもよく、プロセッサはI/Oインターフェースを介して複数の入力信号を受信し、カメラ5およびインターフェース2,3から受信した信号およびカメラ5およびインターフェース2,3へ送信される信号を含む複数の出力信号を生成してもよい。画像を、ゲストの身元を確認するために人間によって見ることのできる画像へと変換してもよい。ここで説明する実施形態ではゲストの画像を取り込むためにビデオカメラを使用しているものの、静止カメラを含む顔認識用の画像取り込みの他の実施形態を用いてもよい。カメラ5は一以上の無線周波(RF)数バンドで動作してもよい。一実施形態では、カメラは可視光RFバンドと近赤外(NIR)RFバンドの両方で動作する。可視光RFバンドを用いることで、人の目で確認できる自然な色彩パレットで検査する人が見ることができるカラー画像を作成することができ、これにより人間にとって生体認証ソフトウェア14がマッチさせることができなかった交流を修正することが非常に容易になるという利点がある。NIR RFバンドを使用する利点は、まぶしい日光から真っ暗闇までにわたる数多くの異なる照明条件にて顔認識システム1が動作できるということである。NIR RFバンドを使用することによって、顔認識システム1が、ゲストを発光ダイオード(LED)照明10で照らすためにNIR LEDを利用することができ、その際LED照明10がゲストにとって煩わしくないというさらなる利点をもたらす。しかしながら、カメラ5の他の実施形態では、カメラが、可視光およびNIRバンドに加えてまたはその代わりに一以上の他のRFバンドにおいて画像を取り込むという能力を有してもよい。さらに、カメラ5の他の実施形態では、一つのRFバンドのみにおいて、または任意の数の複数のRFバンドにおいて動作してもよい。
【0016】
図示の実施形態では顔認識ソフトウェアによる認証に使用することができるゲストの顔画像を取り込むためにカメラ5を使用しているものの、本実施形態により他のタイプの生体認証もまた使用することができる。これらの他の形の生体認証には、限定的ではないが、指スキャン、虹彩スキャン、掌形認識スキャン、静脈形認識スキャン、声生体認証スキャンまたは数多くのその他の形態の生体認証のいずれかを含む。さらに、生体認証の形態は個別にまたは組み合わせて用いてもよい。複数の形態の生体認証を組み合わせて用いることは多要素生体認証と称され、単一の生体認証が孤立して行うものよりも、より正確に特定の人を識別することができるという利点がある。カメラ5の目的は、顔認識システム1への何らかの形の生体認証入力を与えるための機能部をゲストに提供することにある。他のタイプの生体認証を用いた場合、カメラ5に代えてまたは加えてほかのタイプの生体認証入力装置を用いてもよい。ゲストインターフェース2について、以下に図2を参照してより詳細に記載する。
【0017】
一実施形態では、カメラ5は権利スキャナ4の近くに位置決めされる。この配置の利点は、ゲストが彼らのチケットをスキャンするときに権利スキャナ4を見ているはずであるということである(ゲストがチケットを置く場所を見ずに権利スキャナ4用いてチケットをスキャンすることはほぼ不可能)。顔認識システムの性能は、ユーザができる限り直接カメラを見ることに大きく依存することから、この位置決めにより、ゲストがカメラ5をできる限り近くで見ることを確保し、そしてゲストに何をすべきかを指示せずともゲストから高品質な画像を取得するチャンスを最大限に高めることができる。
【0018】
顔認識システム1の一実施形態はまたチームメンバーインターフェース3を含んでもよい。チームメンバーインターフェースは、生体認証プロセスに対する除外を扱うのに用いられるインターフェースに対する権利を満たすチームメンバー、従業員または組織の他の代表者のためのインターフェースを提供する。除外として扱われるのは、適切にスキャンされないチケット、ゲストをうまく認証できない生体認証システムの不具合、またはその他の人間による介入が必要となるシステムの不具合を含む。チームメンバーインターフェース3は厳密には必要ないものの、一実施形態では、システム全体の性能を改善し権利認証プロセスに対する除外を扱うためのスムーズなメカニズムを可能とするためにチームメンバーインターフェース3を含む。一実施形態では、チームメンバーインターフェース3は、PANASONIC社のTOUGHPAD(登録商標)、APPLE社のIPAD(登録商標)またはMICROSOFT社のSURFACE(登録商標)などの電子タブレットである。そのようなタブレットは軽量、ポータブル、比較的安価であるとともに、一般的に効果的なチームメンバーインターフェース3として役立つ計算能力を有する。これらはまた、通常ワイヤレスネットワーク接続性および再充電または交換することなく数時間連続使用できるバッテリを有する。一実施形態では、チームメンバーインターフェース3は高耐久化され、したがってインドアおよびアウトドアで使用でき、また 極高温および極低温、風や雨を含む変化する天候、衝突および落下、ならびに非高耐久化チームメンバーインターフェース3を壊し得るほかの環境条件を含む困難な物理的環境における動作の困難性に耐えうる。いくつかの実施形態がチームメンバーインターフェースとして電子タブレットを利用するものの、多くのタイプの電子機器がチームメンバーインターフェース3の機能を果たすことができ、それらはラップトップコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、デスクトップコンピュータまたは特注電子機器を含むが、これらに限定されない。チームメンバーインターフェースの詳細は図3に関連して説明する。
【0019】
顔認識システム1は システムの人間工学的使用またはシステムのポータブル化をサポートするための単体または複数の部品を含んでもよい。一実施形態は、システムのほかの要素が搭載され得る台6および、台6を地面に固定して顔認識システム1を安定させるベース7を含む。顔認識システム1の要素を台6に固定するためにブラケットを使用してもよい。ゲストユーザインターフェースブラケット8を用いてゲストユーザインターフェース2を台6に固定してもよい。ゲストユーザインターフェースブラケット8は、ゲストユーザインターフェース2の高さを変えるまたはカメラ5が指す方向を変えるなどゲストユーザインターフェース2の物理的な位置決めを変えるために調整可能でもよい。調整可能な位置決めは、固定された数の予めセットされた位置を含んでもよく、またはゲストユーザインターフェース2が動かせる可動域を含んでもよい。ゲストユーザインターフェース2が位置を変えることができることには、異なる背丈のゲストが同じ装置を使用でき、その際装置の十分近くに立って腕の長さでやり取りできるとともにカメラ5のフィールドオブビュー(FOV)内に収まるという利点がある。
【0020】
チームメンバーインターフェースブラケット9を用いてチームメンバーインターフェース3を台6に固定してもよい。一実施形態では、チームメンバーインターフェースブラケット9は、チームメンバーインターフェース3を台6に固定するための機能部を提供するとともに、さらにチームメンバーインターフェース3をしっかりと保持して落下したりチームメンバーインターフェースブラケット9から外れたりまたは許可されていない人によって持っていかれたりすることを防ぐ。
【0021】
一実施形態では、台6は、対象物が固定され得るようデザインされた金属製のポールである。しかしながら、顔認識システム1の他の要素を支持するための他の機能部は、限定的ではないが、構造上要素(例えば壁または柱)に固定されたブラケット、家具の一部(例えばデスク、テーブルまたはいす)、カート、または前記要素を支持するための他の機能部を含んでもよい。一実施形態では、台6はステンレススチールなどの金属からなる。しかしながら、台6をほかの材料、好ましくは固いおよび/または耐久性のある材料で構成するほかの実施形態も本開示の範囲内である。そのような材料は、限定的ではないが、プラスチック、木材または他のかたちの金属を含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、ベース7はステンレススチールからなりコンクリートが充填された円形のディスクである。この構成により、安定性があり、顔認識システム1全体の重力の中心を地面に近い低い位置に保つために十分な重量のある幅広のベースが提供される。他の材料もまた本実施形態に基づき使用でき、それらには、ベース7の構造を形成するための金属またはプラスチックのほかの形態、ならびに重みを加えるための鉛のおもりまたは砂などの他の材料が含まれる。
【0023】
他の実施形態ではベース7全体について異なる形態因子を利用する。一実施形態では、ベース7は単純に台6の周囲を包むとともに、ベースが地面の穴のなかにぴったりと嵌まることを可能とする金属製のスリーブから構成される。別の実施形態では、ベース7は複数の車輪付きスポークから構成され、スポークの半径は顔認識システム1のために広く安定したベースを提供するのに十分なものであり、そして車輪は顔認識システム1のために容易なかたちで可動性を提供する。本実施形態によれば、ベース7は多くの形態をとりながらも顔認識システム1を地面に安定して固定するという所望の機能を発揮できる。
【0024】
図2を参照すると、ゲストインターフェース2が正面から(即ちゲストインターフェース2と相互作用しているゲストからは斜視的にみえる)、図1よりもより詳細に示されている。本明細書においてゲストインターフェース2について、ゲストが装置と相互作用する際にゲストインターフェースがどのように意図されているのかについて記載する。
【0025】
一実施形態では、カメラ5は毎秒複数の画像を取得するビデオカメラである。一実施形態では、カメラ5は20フレーム/秒(FPS)作動するが、より速いまたはより遅いフレームレートで作動する異なるカメラと置き換えてもよい。さらに、個別のカメラを、それらの構成のされ方に応じてあるいは装置の使用に応じて、異なる速度で作動するよう調整してもよい。より高いフレームレートで作動することの利点は、顔認識システム1がゲストの画像を与えられた時間にわたってより多く取り込むことによって、それらの画像のなかの一つがマッチを生み出すのに十分高品質なものとなる可能性が高まるということである。カメラ5がより遅いフレーム速度で作動する際の利点は、1秒当たりのフレーム数がより少なくなるので、各個別の画像を処理するためおよび各個別のテンプレートをデータベース内に格納されたテンプレートに対してマッチさせるために必要となる計算能力およびメモリがより小さくてもよいということである。米国標準技術局(NIST)によれば、カメラ5の望ましい解像度は最小で横方向480画素:縦方向600画素である。しかしながら、カメラ5がより高い解像度、例えば768x1024または他の解像度、を有する実施形態が、NISTにより推奨される最低解像度よりも望ましい。一般的にいえば、カメラ5の解像度が高いほどカメラによって生成される画像の品質が高くなる。しかしながら、トレードオフは、解像度が高いほど、格納された画像のファイルサイズが大きくなり、画像を処理するための計算能力が高くなるという点である。様々な実施形態において広範囲の解像度を用いることができる。また、本実施形態はNISTが推奨する解像度よりも劣った解像度を含んでもよいが、顔認識の品質は劣り顔認識システム1の有効性がより低くなる。
【0026】
NISTはまたカメラ5の画素が画素アスペクト比1:1であることを推奨しているとともに、画像のアスペクト比が4:5または3:4であることを推奨している。一実施形態では、縦方向において最大の取り込み範囲を提供するポートレート配向へと変えられた(turned in)16:9ワイドスクリーンパノラミックアスペクト比が用いられ、したがって様々な背丈のゲストが顔認識システム1をより簡単に使用することが可能となる。本実施形態によれば異なるアスペクト比が用いられてもよい。
【0027】
ゲストがゲストインターフェース2に近づくと、彼らは彼らの権利を権利スキャナ4に提示する。ゲストの権利のスキャンがうまくいくことで、ゲストインターフェース2についてシステム1のプロセッサによって実行されるソフトウェアプロセスが始動し、ゲストのバイオメトリクスを取り込むとともにゲストに対して何をすべきかを示す。一実施形態では、カメラ5は常にビデオを取り込む。しかしながら、一実施例では、カメラは権利が権利スキャナ4に提示された際に画像を取り込むだけである。ゲスト権利がスキャンされると、顔認識システム1はカメラ5よって取り込まれた画像(即ちフレーム)内のゲストの顔を識別し始める。カメラ5が常にビデオを取り込むよう構成された一実施形態では、顔認識システム1は権利がスキャンされる、プレスキャンタイマーによって決定された時間だけ前に取り込まれたフレームから開始する。一実施形態では、プレスキャンタイマーはデフォルトの一秒に設定されているが、この設定は変更可能である。権利が最初に使用される場合、顔認識システム1は、ゲストのバイオメトリクスを権利と関連付けることによりゲストを登録する。時間=Tにおいて権利がうまくスキャンされた場合、顔認識システム1は、時間Tひくプレスキャンタイマーの持続時間から、時間T足す登録タイマーまで、画像を取り込む。一実施形態では、登録タイマーはデフォルトの三秒に設定されているが、この設定は変更可能である。顔認識システムはこのインターバルの間に取り込まれたすべての画像を取得し、各画像について、取込フルサイズ画像、取込サムネイル画像および取込テンプレートを生成する。取込フルサイズ画像はカメラ5によって取り込まれた生の画像である。取込サムネイル画像は取込フルサイズ画像の圧縮バージョンであり、ファイルサイズがより小さいという利点があり、これにより格納、処理及びネットワークにわたる送信がより容易となる。取込テンプレートは、ゲストの顔の定量的な特徴の2進法表示である生体認証テンプレートである。
【0028】
チームメンバーによりスキャンされるためにチームメンバーに権利を提示するのではなく、ゲストが自身の権利をスキャンすることの利点は、相互作用のダイナミクスが変化するということにある。ゲストをその権利について疑うことを従業員に行わせ、従業員をゲストの入場可否を決定する決定者にするのではなく、顔認識システム1がゲストの入場可否を決定する決定者であり、ゲストはシンプルなセルフサービスを行うことができる。これにより、ゲストを手助けして最高のゲストサービスを提供するという役割をチームメンバーに与えることで、チームメンバーの役割が入場の障害物から入場を容易にする役割へと変わる。さらに、これにより、チームメンバーの観点から、チームメンバーが権利を受取りそれをできる限り迅速に正しくスキャンする(したがってチームメンバーの注意はゲストではなく権利に向けられている)ような非常に交流の多い相互作用から、チームメンバーの注意がほぼゲストにのみ向けられしたがってチームメンバーが最高のゲストサービスを提供することに集中できるようになる相互作用へと、相互作用の性質が変わる。
【0029】
取込画像から取込テンプレートへの変換は、システム1内のプロセッサにより実行される生体認証ソフトウェアによって実施される。一実施例では、生体認証ソフトウェアはNEC社製のNeoFace(登録商標)である。しかしながら、顔認識を実施する生体認証ソフトウェア製品は多く存在し、他の生体認証ソフトウェア製品をNeoFaceソフトウェアの代わりに用いてもよい。さらに、一実施形態では、生体認証ソフトウェアはチームメンバーインターフェース3内に格納されてチームメンバーインターフェース3上で実行される。しかしながら、本実施形態によれば、他のハードウェア又はクラウドを含むストレージロケーションなどの他のロケーションで生体認証ソフトウェアを格納及び/又は実行するようにしてもよい。
【0030】
取込画像の変換に続いて、顔認識システム1は、ゲストの一つの画像または複数の画像のうちのどれが最も高品質かを決定し、それを生体認証データベース14にアップロードする。これについては以下で図5を参照してより詳しく説明する。画像の画質は生体認証ソフトウェアによって自動的に決定され、品質測定は、今後の交流中にテンプレート同士がうまくマッチする確率を予測する定量的スコアである。生体認証データベース14にアップロードされた取込フルサイズ画像、取込サムネイル及び取込テンプレートは、それぞれ、格納フルサイズ画像、格納サムネイル及び格納テンプレートとなる。顔認識システム1は、所望のファイルを生体認証データベース14にアップロードした後、全ての取込フルサイズテンプレート、取込サムネイル及び取込テンプレートを現在の交流(transaction)から永久削除する。
【0031】
一実施形態では、格納フルサイズ画像、格納サムネイル及び格納テンプレートは、権利の有効期間終了まで生体認証ベータベース14内に保持されるだけであり、権利の有効期限後は、生体認証データベース14は失効した権利に関連するすべての格納フルサイズ画像、格納サムネイル及び格納テンプレートを削除する。この自動削除プロセスの利点は、ゲストの個人情報をその取り込みの目的を達成するのに必要となる最低限の時間のみ格納することでゲストの個人情報が保護されることにある。一実施形態では、格納フルサイズ画像、格納サムネイル及び格納テンプレートは、生体認証データベース内に権利の有効期限が切れた後も保持されてもよい。通常、これは、過去の交流を監査する目的(例えば、チームメンバーが取込サムネイルに似た格納サムネイルについてのみオーバーライドを行ったことを確かめるために、マネージャーがチームメンバーによるオーバーライドを調査する)、技術の向上のため(例えば、ソフトウェア及び/又はハードウェアの改善が、有効なマッチが実施される確率を高めることができるかを調べるために、関与した画像を調べるために失敗したマッチを調べる)、トレーニングのためまたはその他の目的で、行われる。
【0032】
もし、代わりに、権利が以前に使用されていたならば、顔認識システム1は、提示された権利に関連した全ての格納テンプレートを得るために生体認証データベースにコンタクトする。顔認識システム1は、同時に、時間Tひくプレスキャンタイマーを開始時間として画像の処理を開始し、その画像を取込テンプレートへと変換する。生体認証ソフトウェアを用いて全ての取込テンプレートが全ての格納テンプレートと比較され、各ペアについて、生体認証ソフトウェアは、二つの比較されたテンプレートが同じ人のものである確率と関連するスコアを計算する。比較されたテンプレートの各ペアについてのスコアは格納される。スコアのうちのいずれかが所定マッチ閾値を超えた場合、権利保持者が認証されたとみなされる。一実施形態では、平均マッチ閾値と呼ばれる第二閾値を所定値に設定することができ、それは通常マッチ閾値よりも低い。どの時点でもマッチスコアのいずれもマッチ閾値を超えないが、予め設定された数のスコア(例えば、デフォルトの予め設定された数のスコアは3でもよいが、他の整数値に設定可能である)が平均マッチ閾値を超える場合、権利保持者は認証されたとみなされる。
【0033】
本実施形態の一つの目的は、交流速度が非常に速く、かつ失敗したマッチング交流を修正するためにチームメンバーによる介在が必要な除外が非常に少ない顔認識システム1を提供することにある。これにより、システムの処理能力がハイレベルなものとなり、よって行列が迅速に動くことが可能となるとともに、ゲストとチームメンバーがシステムに満足できる。この目的を達成するために、一実施形態では、マッチ閾値及び平均マッチ閾値を望ましい処理能力を与えるレベルに設定することができる。例えば、望ましい処理能力が、交流の5%のみがチームメンバーによる失敗したマッチの修正を必要とするような場合で、しかしながら現在のマッチ閾値及び平均マッチ閾値の結果が交流の10%が修正を必要とするような場合、ソフトウェアが二つのテンプレートをマッチさせる確率を高めるためにマッチ閾値及び/又は平均マッチ閾値を低減させることができ、したがって修正の数が低減される。トレードオフとして、より低い閾値を用いれば誤判定の確率を高めてしまう可能性があり、これは二人の異なる人が同じ権利を引き換えることができるほど十分似ていることを意味する。閾値をどのように設定するかにおいて、交流の速度とシステムの不正(だまされる可能性)との間にそのようなトレードオフがある。
【0034】
一実施形態では、顔認識システム1はマッチ閾値及び平均マッチ閾値を、システムの処理能力と不正の間の所望バランスを最適化するレベルに設定する能力を提供する。したがって、また図6を参照すると、システム1内のプロセッサは、上述のように複数のステップを実行するよう構成されてもよく、それらのステップは、ステップ30、32において、カメラ5から画像データを受信することと、カメラ5から取得された画像内の個人の顔が、生体認証ベータベース14内に格納された以前取得された画像のコレクションの中のいずれかのなかの個人の顔と一致する確率を示すスコアを計算することと、を含む。プロセッサは、さらに、ステップ34において、システム1の実際の又は予想された使用のレベルを示す数々のパラメータに応じてマッチ閾値及び平均マッチ閾値を調整してもよく(よって処理能力に影響を及ぼす)、及び/又は考えられる権利の不正使用あるいはロケーション、施設、アトラクション又はリソースへのアクセスを得ようとする不正な試みのレベルを示す数々のパラメータに応じてマッチ閾値及び平均マッチ閾値を調整してもよい。パラメータは、例えば、カレンダーの日付又は時刻を含む。テーマパークの場合、特定の日(例えば週末又は夏季)には他の日に比べてより多くのビジターが見込まれ、また特定の時刻(例えばパークの開園時刻付近)には他の時刻に比べてより多くのビジターが見込まれる。別のパラメータは、実際の又は予想される天候状態である。テーマパークの場合、荒れ模様の天気であればビジターの数は減少する可能性があり、処理能力の問題はさほど大きくない。他のパラメータは、システム1の使用頻度又はシステム1の性能速度を含んでもよい。例えばシステム1が集中して使用されている及び/又はシステム1の処理速度が遅い場合、適切な処理能力を確保するために閾値を低くしなければならない可能性がある。別のパラメータは、ダイナミックマッチ閾値を超えなかった回数でもよい。認証における多くの試みが失敗する場合もまた、適切な処理能力を確保するために閾値を低くしなければならない可能性がある。別の可能性は、権利の使用回数又は権利の使用期間を含んでもよい。不正が行われる可能性がより多い又はより少ないこと使用回数が示す場合、あるいは不正が行われる可能性が高い又は低い時間帯に使用の試みが行われた場合には、閾値を高く又は低くしてもよい。したがって、閾値は権利の有効期限の異なる期間の間に異なる値を有してもよい。その他の可能性のあるパラメータは、権利、アトラクション又は施設/パーク、ロケーション、リソース又はシステム1と関連した不正の履歴、及び上記のいずれかと関連した失敗した認証のオーバーライドの履歴を含む特定の権利と関連した以前のうまくいった又は失敗した認証、並びに権利、アトラクション、施設/パーク、ロケーション又はリソースのタイプ(例えば、一部は他よりもより高いセキュリティーを必要とする場合があり、テーマパークの場合、一部のアトラクションについては繰り返しのアクセスを許可又は禁止するよう閾値を設定してもよく、一部のアトラクション(例えばより人気の高いアトラクション)については他よりもより高い閾値を設定してもよい)、並びに上記のいずれかと関連した使用パターン及びレベルを含んでもよい。システム1のプロセッサは、様々な方法で閾値を調整してもよく、たとえば所定量又は一以上のパラメータを考慮した式に応じて決定された量により調整することを含む。プロセッサはさらに、所定の限度を超えた調整を禁止することにより調整の量を制限してもよい。
【0035】
上述のように、マッチ閾値及び平均マッチ閾値が設定されると、プロセッサは、ステップ36において、以前計算されたスコアのいずれかがマッチ閾値を超えるか否かを決定し、そして、超えた場合、ステップ38においてマッチ(即ち、カメラ5によって取り込まれた画像内の個人の顔が格納画像と一致すること)を示す信号を生成する。スコアのうちのいずれもマッチ閾値を超えない場合、プロセッサは、ステップ40において、スコアのいずれかが、より低い平均マッチ閾値を超えるか否かを決定し、そして、超えた場合、ステップ42において平均マッチ閾値を超えるスコアの数が所定数を超えるか否かを決定する。超えた場合、プロセッサは再びマッチを示すものを生成する。上述の実施形態は、特定の閾値に対する特定の比較及び調整に着目しているものの、代替的な実施形態もこれらの教示の範囲内である。例えば、上述の実施形態はカメラ5によって取り込まれた個人の顔の単一の画像を、データベース14内の以前取得された画像のコレクションと比較している。システム1は、個人の顔の複数の取り込まれた画像を以前取得された画像のコレクションと比較してもよいとともに、任意の一つの取込画像と以前取得された画像のコレクションとの間、及び/又は二以上の取込画像と全体取得された画像のコレクションとの間で示されるべきマッチの数に関して調整可能な閾値を有してもよい。システム1は、また、複数の取込画像と以前取得された画像との比較において、取込画像の調整可能数が一以上の調整可能閾値を超えることを必要としてもよく、さらに、取込画像の調整可能数が連続画像(consecutive images)の数または連続画像の調整可能範囲内の数を含むことを必要としてもよい。
【0036】
生体認証ソフトウェアは、マッチがうまくいくまで又はマッチタイマーが切れるまで全ての格納テンプレートを全ての取込テンプレートと比較し続ける。マッチタイマーは所定の時間であり、その時間の経過後、ソフトウェアがマッチを成功させていなければ、ソフトウェアが権利保持者の権利に対する認証を行えなかったと考慮される。一実施形態では、マッチタイマーは二秒にあらかじめ定められるが、他の時間にも設定可能である。マッチタイマーが減少されると、個別の交流についてのマッチの確率が減少するが、平均交流速度は減少する可能性がある。マッチタイマーは、マッチに要する時間に基づく時間に設定してもよい。例えば、うまくいくマッチが一秒より長くかからない場合、マッチタイマーは一秒に設定することができる。生体認証ソフトウェアがマッチを成功させなくてもマッチタイマーが切れる場合、権利保持者は認証されなかったとされる。
【0037】
一実施形態において、ゲストインターフェース2はLED照明10を含む。LED照明10は、カメラ5により取り込まれる画像の質を向上させるために点灯時にゲストの顔を照らす一以上のLEDから構成される。LED照明は可視光スペクトル、NIRスペクトル、及び/又はその他の本願において適切なRFスペクトルで動作してもよい。一実施形態において、LED照明10はNIRスペクトルにおいてのみアクティブであり、NIRスペクトルで動作するカメラ5と組み合わせたときに、LED照明がゲストに煩わしい思いをさせることなくゲストの顔を効果的に照らすことを可能とする。LED照明はほぼすべての任意の配置が可能な複数のLED(以下「LEDs」と表記する)から構成されてもよい。一実施形態において、LED照明は、カメラ5の周囲でリング状に配置されたLEDsから構成される。そのようなLEDは容易に見つけることができ、写真道具サプライヤーから安価に購入することができる。一実施形態では、LED照明は、ゲストインターフェース2の正面にわたってできる限り均等に分散されたアレイ(array)で配置されたLEDsから構成される。そのような配置により、ゲストの顔にわたってより均一に分布された照明量(amount of illumination)が提供され、取込画像の画質が向上されるものの、これにはカスタム開発されたハードウェアが必要とされ装置のコストが増大する可能性がある。一実施形態では、ゲストインターフェース2の正面は凹状であり、LED照明10はゲストインターフェース2の部位にわたって均等に分布される。この構成により、ゲストの顔がより均等に照らされ、取込画像およびテンプレートの質が高まる。一実施形態において、LED照明10は、光を透過させつつ光をより均等にゲストの顔にわたって分散させる拡散体によってカバーされてもよい。LED照明10を拡散体でカバーすることには、LED照明10を隠し、ゲストインターフェース2の見た目がより良くなるという利点がある。
【0038】
一実施形態では、ゲストインターフェース2は進捗インジケーター11をも含む。進捗インジケーター11は、点灯時に顔認識システム1の進捗をゲストに伝える一連のLEDライトから構成される。進捗インジケーター11は、LEDsにより照らされるとともに、権利スキャナ4とカメラ5との間に配置される複数の矩形のバーから構成されてもよく、各バーは異なる長さであり、より長いバーは権利スキャナ4の一番近くであり、カメラ5の一番近くに最短のバーがくるようにバーの長さが減少していく。一実施形態では、LEDsは青又は白でもよい。一実施形態では、権利スキャナ4に一番近いLEDバーは常時オンであり、これによりゲストに対して彼の権利をどこに提示するかを示す。権利がスキャンされると、進捗インジケーター11のLEDバーは順にライトアップし、この際権利スキャナ4に一番近いバーから始まり、次に続く各LEDバーを、全てのLEDバーが点灯するまでライトアップする。一実施形態では、全てのLEDバーが点灯するまでにかかる時間は、ゲストが登録されているときは登録タイマーと等しく、あるいは、後続の交流のためにマッチタイマーと等しい。本実施形態によれば、白熱電球、コンピュータスクリーン又はモニター、液晶ディスプレイ(LCD)、もしくは他の形態の照明などのその他のかたちの照明をLEDsに代えて使用してもよい。さらに、本実施形態によれば進捗を伝えるために一連のLEDsのほかの形態を使用することもできる。例えば、LEDsを進捗バーのかたちで水平に又は垂直(鉛直)に構成することもできる。一実施形態では、LEDsをカメラ5の周りに同心円として配置し、最も外側のLEDから点灯を開始して最も内側のLEDに向かって点灯が移動するようにしてもよい。この配置により、ゲストの注意をカメラ5に向け、高画質なゲスト画像を取り込む能力が向上するという追加の利点がある。一実施形態では、ビデオスクリーンをゲストインターフェース2に組み込んでもよく、これにより異なる画像又はビデオをゲストインターフェース2に表示することができる。本実施形態によれば、進捗、交流の成功及び交流の失敗のインジケーターをゲストインターフェース2に表示するための多種多様な方法がある。
【0039】
登録交流においては、登録タイマーの終わりにおいて、進捗インジケーター11の点灯は終了し、代わりに成功インジケーター12が点灯する。マッチ交流については、生体認証ソフトウェアによりマッチが成功すると、成功インジケーター12が点灯する。一実施形態では成功インジケーター12は上向き矢印の形状であり、緑のLEDsで照らされる。しかしながら、本実施形態によれば、インジケーターは、ゲストの交流が成功し継続できることをゲストに伝える任意の形状でもよい。さらに、インジケーターは任意の色でよい。
【0040】
一実施形態では、ゲストインターフェース2はまた例外インジケーター13を含む。例外インジケーター13は、ゲストの交流が成功せず、チームメンバーからのさらなる指示を待つ必要があることをゲストに合図するために使用される。一実施形態では、例外インジケーター13はLED照明10の周りにリング状に配置されてもよく、黄色のLEDsを用いて照らされてもよい。しかしながら、本実施形態によれば、例外インジケーター13は、ゲストインターフェース2上のゲストが見ることができる位置であればどこに配置されてもよく、LED以外の様々な照明装置を用いて照らされてもよく、任意の形状でもよく、さらに例外インジケーター13は任意の色でもよい。一実施形態では、例外インジケーター13は停止サインの外見を与えるために赤及び/又は八角形の形状でもよい。
【0041】
一実施形態では、ゲスト及び顔認識システム1を操作するチームメンバーに音声信号を提供するためにゲストインターフェース2にスピーカー20を組み込んでもよい。スピーカー20は、騒音があるテーマパーク環境で聞こえるために十分大きな音で、しかしながらゲスト又はチームメンバーの耳に害を与え得るほどには大きくない音のものでもよい。一実施形態では、スピーカー20は、顔認識システム1を操作するチームメンバーによって調整可能な音量についての機能部を有する。その機能部は、装置の側面にあるマニュアルのノブ又はダイヤル又はボタンを含み、もしくはその機能部は、ゲストインターフェース2のユーザインターフェースの一部として含まれもよい。一実施形態では、顔認識システム1において異なる結果が生じたときに異なる音声信号が生成される。例えば、登録について一つの音声信号が生成され、一方で成功したマッチについて第二の音声信号が生成されるとともに、失敗したマッチについて第三の音声信号が生成されてもよい。本実施形態は、失敗したチケットスキャン又は他の例外状態について追加の音声信号を含んでもよい。一実施形態では、特定の音、強度及び各音声信号の持続期間は設定可能であり、音声信号を、シンプルなソフトウェアによる修正によってゲストインターフェース2に対し追加又は削除してもよい。一実施形態では、ゲストインターフェース2は二つのスピーカー20を含んでもよい。しかしながら、本実施形態によれば、ゲスト及び/又はチームメンバーに必要な音声信号を伝えることが可能であれば任意の数のスピーカーを用いてもよい。一実施形態ではスピーカー20は使用されない。
【0042】
一実施形態では、ゲストインターフェース2は、ゲストが不正の可能性のある権利をスキャンした場合、ゲストインターフェース2及びその上の各種インジケーター(例えば、進捗インジケーター11、成功インジケーター12、例外インジケーター13及び/又はスピーカー20)は何もせず、ゲストにはチケットが正しくスキャンされなかったように思わせる。これは、不正が疑われた場合にはチームメンバーは可能であればゲスト権利を没収すべきであることから、有益である。ゲストインターフェース2がゲストに権利が有効でないこと示してしまうと、ゲストはその場を去り不正な権利を一緒に持ち去ってしまう可能性がある。ゲストインターフェース2が単純にスキャンされた権利に問題があるかのようにみえるようにすることで、装置を操作するチームメンバーに、チケットスキャンを手助けするためにチケットを渡すようゲストに要求する機会を与える。チームメンバーが権利を入手した後、権利が不正なものであると判断した場合には、権利を簡単に没収することができる。
【0043】
図3を参照すると、チームメンバーインターフェース3の正面図が示されている。一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はPANASONIC社のTOUGHRAD(登録商標)などのタブレットである。図3に、ソフトウェアを用いてタブレットに表示されたユーザインターフェースを示す。一実施形態では、ユーザインターフェースは、チームメンバーインターフェース3に電力を供給するバッテリに残された寿命量を表示するバッテリ寿命インジケーター14を含む。
【0044】
一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はオンラインインジケーター15をさらに含む。オンラインインジケーター15は、チームメンバーインターフェース3を操作する人にタブレットがオンラインかオフラインかを示すインジケーターを提供する。オペレーターが装置のネットワークステータスを承知していれば、装置の問題に対するトラブルシューティングの助けとなる。
【0045】
一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はロケーションインジケーター16を含む。ロケーションインジケーター16は、チームメンバーインターフェース3がどの位置について設定されているかを示す。テーマパーク設定では、ロケーションインジケーターは、チームメンバーインターフェース3がどのアトラクションで使用されているかを示すのに使用されてもよい。異なるアトラクションでの条件はさまざまであることから、LED照明10の照明レベルなどの特定の設定を、異なるアトラクションについて異ならせることが有利である。顔認識システム1が使用されるロケーションに基づき、タイマー若しくはハードウェア又はソフトウェアの他の設定などのその他の設定もまた設定可能である。加えて、一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はゲストインターフェース2と通信可能であり、チームメンバーインターフェース3内のロケーションを設定することによって、権利スキャンを、それが行われたロケーションにより追跡することができる。
【0046】
一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はステータスインジケーター17を含む。ステータスインジケーター17はチームメンバーインターフェース3のスクリーンのエリアであり、直近の権利スキャンのステータスが、チームメンバーインターフェース3を操作しているチームメンバーが素早く見てステータスを理解できるフォーマットで表示可能である。例えば、一実施形態では、直近の交流が成功した登録又は生体認証であった場合、ステータスインジケーター17は明るい緑で満たされてもよい。直近の交流が失敗した生体認証マッチである場合、又は権利スキャンに問題があった場合(無効権利など)、ステータスインジケーター17は明るい黄色で満たされてもよい。そして、直近の交流において、不正な可能性のある権利が用いられた場合、ステータスインジケーター17は明るい赤で満たされてもよい。ステータスインジケーター17は、また、文字(エラーコード、エラーコードの説明及び/又は指示など)または他のシンボルをチームメンバーに表示してもよい。
【0047】
一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はさらにチケットルックアップツール18を含んでもよい。チケットルックアップツール18は、チームメンバーが権利をスキャン又は権利の識別子をマニュアル入力して権利の使用履歴及び権利に関するその他の関係のある情報を検索できるようにするための、チームメンバーに対するツールを提供する。チケットルックアップツール18は、権利識別子をマニュアル入力するためのテキストボックス及びチームメンバーが入力を完了するためにクリックするためのボタンを含んでもよい。
【0048】
一実施形態では、チームメンバーインターフェース3はまた、スキャン履歴インジケーター19を含んでもよい。スキャン履歴インジケーター19は、以前の権利スキャンの結果を表示する。表示される以前の権利スキャンの数は設定可能である。一実施形態では、以前の権利スキャンの数のデフォルトは10である。スキャン履歴インジケーター19は、権利及び権利識別子を含むスキャンの情報、権利スキャンが成功であったか否か、権利の最後のスキャンがどこで行われたか、などを表示してもよい。
【0049】
図3には示されていないが、一実施形態では、チームメンバーインターフェースは、スクリーンの照明レベル(lighting level)を上げる又は下げるよう設定可能である。照明レベルは、装置を操作しているチームメンバーによって設定可能でもよい。この機能により、チームメンバーは、チームメンバーインターフェースが薄暗いロケーションで使用されているか又は明るいロケーションで使用されているかに基づいて、照明レベルを調整することができる。さらに、アウトドアロケーションでは、アンビエント照明の量は日中及び夜間の間に変化するので、チームメンバーにとって、スクリーンが常にクリアに見ることができることを確保するためにチームメンバーインターフェース3のスクリーンの照明レベルを調整できることが望ましい。
【0050】
図4を参照すると、一実施形態はチームメンバーオーバーライドインターフェース21を含む。チームメンバーオーバーライドインターフェース21は、生体認証ソフトウェアが権利をスキャンしたゲストの認証を行えなかった場合にチームメンバーインターフェース3からポップアップする窓を含んでもよい。生体認証ソフトウェアが権利の保持者を認証できなかったとき、顔認識システム1を操作しているチームメンバーは、権利を提示しているゲストが、その権利とともに登録されたゲストとマッチするか否かを判断しなければならない。生体認証ソフトウェアが、マッチを判断するために取込テンプレートを格納テンプレートと比較する間、チームメンバーは取込サムネイルを格納サムネイルと比較して示される二人の人物が同じかどうかを判断しなければならない。マッチタイマーの終了においてマッチが成立していなければ、チームメンバーインターフェース3は「マッチが見つかりません」の旨のステータスをステータスインジケーター17に表示する。これにより、チームメンバーに、権利を有効にするために格納サムネイルを見直さなければならないことを警告する。この時点で、チームメンバーに格納サムネイルを見直す機会を与えるボタンが、チームメンバーインターフェース3において利用可能となる。ゲスト画像の不要な表示を防ぐために、チームメンバーが格納サムネイルを見直す準備を整えるまで格納サムネイルが表示されないようにすることが重要である。さらに、ゲストインターフェース2は、例外がありゲストがチームメンバーからの指示を待つべきであることをゲストに合図するために、例外インジケーター13を使用する。
【0051】
チームメンバーが格納サムネイルを見直すためにボタンを押すと、チームメンバーオーバーライドインターフェース21がポップアップして2つの画像が表示される。生体認証ソフトウェアがマッチをうまくできなくても、顔認識システム1は格納テンプレートと取込テンプレートのペアのどれが最高のマッチングスコアを有するかを決定する。チームメンバーオーバーライドインターフェース21はその後、最高のマッチングスコアを有する格納サムネイルと取込サムネイルを表示する。格納サムネイルは、格納サムネイル表示23として表示され、取込サムネイルは取込サムネイル表示22として表示される。チームメンバーオーバーライドインターフェースはまた、チームメンバーによって選択される2つのボタンを表示する。第一のボタンは承認ボタン24であり、これにより、チームメンバーは、格納サムネイルが取込サムネイルとマッチすることを示すことができる。第二のボタンは却下ボタンであり、これにより、チームメンバーは、格納サムネイルが取込サムネイルとマッチしないことを示すことができる。どちらかのボタンが選択されるとすぐに、チームメンバーオーバーライドインターフェースは消え(そして2つの表示されたサムネイルもともに消える)、ゲストの画像の不要な表示を防ぐ。チームメンバーが承認ボタン24を選択した場合、ゲストインターフェース2は成功インジケーター12を点灯させてゲストに進んでよいことを示す。加えて、チームメンバーインターフェース3は新たな交流をスキャン履歴インジケーター19に表示し、ステータスインジケーター17に成功した交流を示す。チームメンバーが却下ボタン25を選択した場合、ゲストインターフェース2は例外インジケーター13を点灯してゲストに交流がうまくいかなかったことを示し、チームメンバーはゲストに口頭で、彼らがその権利の正当な保持者でないことを示して、彼らの入場を拒むべきである。加えて、チームメンバーインターフェース3はうまくいかなかった交流をスキャン履歴インジケーター19に追加し、ステータスインジケーター17に失敗した生体認証スキャンについてインジケーターを表示する。
【0052】
図5を参照すると、本実施形態にかかわる顔認識システムのネットワークビューが示されており、ネットワークビューには異なるロケーションに配置されたシステムの異なる要素が含まれる。二以上のロケーションをカバーしなければならないような顔認識システム1のより大きな展開については、本実施形態は、顔認識機能を複数のロケーションに提供してもよい。複数の顔認識システム1同士は、ネットワーク26を用いて接続されてもよい。ネットワーク26は、Ethernet(登録商標)ネットワークなどの有線ネットワークでもよく、若しくはWiFi(登録商標)又は公共のセル方式ネットワークなどの無線通信の何らかのかたちを用いた無線ネットワークでもよい。一実施形態では、顔認識システム1は、WiFi(登録商標)ネットワークを経由して有線バックボーンネットワークに接続する。顔認識システム1の各々は、ネットワーク26へ、生体認証データベース14へ及び権利データベース27へと接続可能である。権利データベース27は、各権利についてのユニークな識別子、並びに各権利についての有効性及び有効期限情報を含む権利に関する情報を格納する。権利は有効なものでなければならず、さもないと生体認証チェックは不要である。生体認証データベース14は各権利に関連した記録を格納する。記録は各権利についてのユニークな識別子に基づくものであり、生体認証データベース14は、各権利に関連した格納フルサイズ画像、格納サムネイル及び格納テンプレートのすべてを格納する。他の情報を生体認証データベース内に格納してもよいが、一実施形態では、名前またはその他の識別情報などの人物の特定に使用可能な情報は生体認証データベース14には格納されない(格納フルサイズ画像及び格納サムネイルを除く)。生体認証データベース14に格納された全ての生体認証情報は権利についてのユニークな識別子に関連付けられているのみである。
【0053】
本実施形態は、インドアのロケーションとアウトドアのロケーションの両方において生体認証を実施してもよい。これは、本実施形態が、かなりの暗闇から明るい太陽光までにわたる幅広い照明条件においてゲストの画像をマッチさせることが可能であることを意味する。取込テンプレートは、取込テンプレートと格納テンプレートの両方のテンプレートが同様の照明レベルで作成された場合に格納テンプレートとマッチしやすい。生体認証データベース14ができるだけ多くの異なる照明レベルからのテンプレートを含むことを確保するために、一実施形態では、顔認識システム1はゲストテンプレートを取り込んで、テンプレートが取り込まれた環境でのアンビエント照明の尺度である、各テンプレートについての照明スコアを計算する。この照明スコアは、生体認証ソフトウェアに、カメラ5からのゲスト画像における全体的な照明レベルを評価させることで決定することができ、又は、生体認証ソフトウェアはゲスト画像におけるゲストの顔の照明レベルを評価してもよく、又は、何らかの形の光センサ(lighting sensor)を顔認識システム1に通信可能に接続して、ゲスト画像がカメラ5によって取り込まれたときに光センサによって決定されたアンビエント照明レベルがテンプレートに関連付けられるようにしてよい。
【0054】
照明スコアがどのように決定されるかに関係なく、一実施形態では、生体認証データベース14内の各格納テンプレートが照明スコアと関連付けられ、生体認証データベース14内の各記録が、照明条件によらずに最高のスコアを有するテンプレートのみを格納する代わりに、異なる照明レベルの範囲を表すテンプレートを格納するよう構成されてもよい。一実施形態では、照明スコアは数字的に計算され、値の各範囲は照明カテゴリに対応する。一実施形態では、カテゴリは「暗い」、「中間」、及び「明るい」である。生体認証データベース14の各記録のなかに格納されたテンプレートの一定の数が各照明カテゴリについて保存(reserve)され、各照明カテゴリ内の最高のスコアを有するテンプレートが格納される。一実施形態では、生体認証データベース14内の各記録は最大20個のテンプレートを格納することができ、そのうちの6個のテンプレートが暗いテンプレートについて保存され、8個が中間のテンプレートについて保存され、そして6個のテンプレートが明るいテンプレートについて保存される。本実施形態によれば、照明カテゴリの数は、具体的な応用でのニーズに応じて増大又は減少させてもよい。さらに、生体認証データベース14内の各記録のなかに格納することができるテンプレートおよびサムネイルの数は、具体的な応用、使用される証明レベルの数、生体認証データベース14の格納容量、チームメンバーインターフェース3の格納容量及びネットワーク26の容量を含む様々な要因に基づいて変えることができる。
【0055】
図7を参照すると、システム1内のプロセッサは上述のように多くのステップを実行するように設定される。具体的には、プロセッサは、ステップ44において、カメラ5により取り込まれた個人の顔の画像を含む画像データをカメラ5から受信する。ステップ46において、プロセッサは、画像と関連する照明パラメータについての値を決定する。照明パラメータは画像の輝度の度合い又は強度、若しくは画像のコントラストのレベルを含んでもよい。上述のように、パラメータ値は、例えば、画像自体を分析することによって又は光センサを用いることによって決定されてもよい。ステップ48において、プロセッサは、生体認証データベース14内の個人の顔の以前取得された画像のコレクションに、照明パラメータについて同じ又は類似の値を有する画像がすでに含まれているか否かを判断する。プロセッサは、カメラ5からの取込画像に関連付けられた照明パラメータの値が以前取得された画像に関連する所定条件を満たすかを調べるために、画像同士を比較する。例えば、プロセッサは、値同士が等しい又は一定の範囲内であるかどうか、若しくは取込画像の値が全体取得された画像の値と比べて同じ値の範囲内であるかどうかを調べてもよい。この比較によって、以前取得された画像のコレクションに、照明パラメータについて同じ又は類似の値を有する画像が含まれていないことが示された場合(所望の格納画像の範囲に依存する)、プロセッサは、ステップ50、52において、格納画像に取込画像を追加するために、生体認証(biometric validation)を容易にすることとなる取込画像内の個人の顔の定量的特徴の特定(識別)、及びこれらの与えられた定量的特徴(特徴は有用な画像/テンプレートのために所定の要件を満たす)を用いて画像の生体認証テンプレートの作成を行う。その後、プロセッサは、ステップ54において、取込画像、生体認証テンプレート及び照明パラメータ値を生体認証データベース14内に格納すると共にこれらを関連付ける。いくつかのケースでは、照明パラメータ(a lighting parameter)について同じ又は類似の値を有する複数の画像を保持することが望ましい。したがって、たとえプロセッサが取込画像及び格納画像又は複数の格納画像のパラメータの値が同じ又は類似していると判断したとしても、プロセッサは、ステップ56において、照明パラメータについて同じ又は類似の値を有する以前取得された画像のコレクションのなかの画像の数を決定し、その数が所定の数を超えない限り、その後にステップ50、52、54を実行するよう構成されてもよい。生体認証ベータベース14に照明パラメータについて同じ又は類似の値を有する画像の数が十分多くある場合でも、最良の画像が保持されることを保証するために画像同士を比較することが望ましい。したがって、たとえプロセッサが生体認証ベータベース14に照明パラメータについて同じ又は類似の値を有する画像の数が十分多くあると判断したとしても、プロセッサは、ステップ58において、これらの画像のなかで最低の質的スコアを有する低スコア画像を特定し、スコアが取込画像の質的スコアより低い場合には、ステップ60において格納画像を削除することにより格納画像を差し替えて、取込画像についてステップ50、52、54を実行するよう構成されてもよい。データベース14の画像のコレクションを管理することに加えて、プロセッサは、認証中に照明パラメータの値を使用するよう構成されてもよい。具体的に、プロセッサがステップ48において生体認証データベース14内の以前取得された画像のコレクションが照明パラメータにおいて同じ又は類似の値を有する画像をすでに含んでいると判断した場合、プロセッサは、さらに、ステップ62において、カメラ5によって取り込まれた画像が、格納画像に関連する一以上の所定条件、これには二つの画像内の個人についてアイデンティティーがマッチすることを証明する条件が含まれる、を満たすか否かを決定するよう構成されてもよい。満たす場合、プロセッサは、ステップ64においてマッチを示す信号を生成するよう構成されてもよい。
【0056】
本実施形態の考えられる使用の一例(この例は上記の特徴の説明を意図し、本開示の範囲を限定するものではない)は、アンビエント照明が暗いロケーションにおいてゲストが登録された場合、登録時に生体認証データベース14内に格納されたテンプレートは全て暗いものとして格納される。ゲストが後に彼らの権利を明るいロケーションで引き換えるとき、取込テンプレートは全て明るい照明レベルで取り込まれ、生体認証ソフトウェアによって以前暗い照明レベルにおいて取り込まれた格納テンプレートと比較され、結果として、生体認証ソフトウェアがマッチを成功させる可能性が低くなるとともに、顔認識システム1を操作するチームメンバーが権利保持者のアイデンティティーをマニュアルで検証しなければならなくなる可能性が高まる。しかしながら、新たな取込テンプレートが生体認証データベース14に明るいテンプレートとして格納される。このようにして、暗い又は明るい環境で行われる後続の交流において、取込テンプレートが同様の照明レベルを有する格納テンプレートと比較され、したがって生体認証ソフトウェアがマッチを成功させる可能性が高まる。したがって、一実施形態では、可能性のある照明条件の幅広い範囲にわたってテンプレートを格納することで、照明条件に関係なく権利を引き換えようとしているゲストが権利を引き換えることができる可能性が高くなる。ある意味、本実施形態はゲストが複数の交流を行うにつれて、様々な異なる照明条件下でゲストがどのような外見をしているかを「学習」し、したがってより頻繁に使用されるほど性能が向上される。
【0057】
本発明について、本明細書において一以上の具体的な実施形態に基づき図示及び記載してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更及び修正を行えることは、当業者に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7