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▶ エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッドの特許一覧

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  • 特許-レンズモジュール及び電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】レンズモジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220104BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220104BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G03B30/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020113566
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2021009385
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/094068
(32)【優先日】2019-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】王海龍
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208026946(CN,U)
【文献】特開2019-032507(JP,A)
【文献】特開2006-222473(JP,A)
【文献】特開2016-004233(JP,A)
【文献】特開2018-097344(JP,A)
【文献】特開2009-251401(JP,A)
【文献】特開2018-072797(JP,A)
【文献】特開2018-013750(JP,A)
【文献】中国実用新案第208636497(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通過孔が開設された鏡筒と、鏡筒内に設置されたレンズ群と、前記レンズ群を固定する押えリングとを備え、前記鏡筒は前記押えリングに当接する筒壁を含み、前記押えリングは前記レンズ群の像側の面から前記レンズ群を前記鏡筒内に固定するレンズモジュールであって、
前記押えリングは前記レンズ群に対向して設置された取付面を含み、前記取付面は当接面と位置規制面とを含み、前記当接面は前記レンズ群に当接し、前記位置規制面は前記レンズ群と間隔をあけて設置されており、光軸に平行な方向における前記位置規制面と前記レンズ群との間の距離の大きさは5μm以下であり、
前記位置規制面は前記当接面よりも物体側に近く、前記当接面は前記位置規制面よりも光軸に近く、
前記取付面に溝がさらに設けられており、前記溝は環状の溝であり、前記溝は前記当接面と前記位置規制面との間に位置することを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記押えリングは前記筒壁に当接する外側面をさらに含み、前記取付面は前記位置規制面及び前記外側面を接続する移行面をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記筒壁は前記光軸に近い内面を含み、前記押えリングは前記内面に対向して設置された外側面を含み、前記外側面は第1外側面及び第2外側面を含み、前記第1外側面は前記内面に当接し、前記第2外側面と前記内面の間に接着剤溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記第2外側面は物体側から像側に向かって前記光軸に近接する方向へ傾斜していることを特徴とする請求項に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記第1外側面の一部は前記内面に当接することを特徴とする請求項に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記外側面は第3外側面をさらに含み、前記第3外側面は前記第1外側面と前記第2外側面を接続し、前記第3外側面は前記光軸に対して垂直であることを特徴とする請求項に記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記内面は、前記光軸に垂直な方向に沿って段差状に設置された接触面及び拡張面を含み、前記接触面は前記第1外側面に当接し、前記拡張面と前記第2外側面との間に前記接着剤溝が形成されていることを特徴とする請求項に記載のレンズモジュール。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のレンズモジュールを備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像の技術分野に関し、特にレンズモジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の絶え間ない発展に伴い、電子機器は絶え間なくスマート化へ発展しつつある。デジタルカメラの以外、タブレットPC、携帯電話等の携帯型の電子機器にも撮影機能を有するレンズモジュールが配置されている。レンズモジュールの設計は常にこのような製品の結像品質の鍵である。
【0003】
従来のレンズモジュールは、一般的に、鏡筒と、鏡筒内に設置されたレンズ群と、レンズ群を鏡筒内に固定するための押えリングとを備える。押えリングは接着剤を塗布することにより鏡筒に固定され、且つレンズ群に当接することで、レンズ群を鏡筒内に固定する。しかしながら、押えリングはレンズ群及び接着剤からの作用力によるトルクを受けて変形してしまい、その変形量は15-20μmにも達することが可能であり、レンズモジュール全体の確実性及び結像品質を低下させてしまう。
【0004】
従って、構造がより安定になるレンズモジュール及び電子機器を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のレンズモジュールの押えリングの変形が深刻であるという問題を解決するためのレンズモジュール及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術考案は下記の通りである。
【0007】
本発明には、レンズモジュールが提供され、当該レンズモジュールは、光通過孔が開設された鏡筒と、鏡筒内に設置されたレンズ群と、前記レンズ群を固定する押えリングとを備え、前記鏡筒は前記押えリングに当接する筒壁を含み、前記押えリングは前記レンズ群の像側の面から前記レンズ群を前記鏡筒内に固定し、前記押えリングは前記レンズ群に対向して設置された取付面を含み、前記取付面は当接面と位置規制面とを含み、前記当接面は前記レンズ群に当接し、前記位置規制面は前記レンズ群と間隔をあけて設置されており、光軸に平行な方向における前記位置規制面と前記レンズ群との間の距離の大きさは5μm以下である。
【0008】
選択できるように、前記位置規制面は前記当接面よりも物体側に近く、前記当接面は前記位置規制面よりも光軸に近い。
【0009】
選択できるように、前記取付面に溝がさらに設けられており、前記溝は環状の溝であり、前記溝は前記当接面と前記位置規制面との間に位置する。
【0010】
選択できるように、前記押えリングは前記筒壁に当接する外側面をさらに含み、前記取付面は前記位置規制面及び前記外側面を接続する移行面をさらに含む。
【0011】
選択できるように、前記筒壁は前記光軸に近い内面を含み、前記押えリングは前記内面に対向して設置された外側面を含み、前記外側面は第1外側面及び第2外側面を含み、前記第1外側面は前記内面に当接し、前記第2外側面と前記内面の間に接着剤溝が形成されている。
【0012】
選択できるように、前記第2外側面は物体側から像側に向かって前記光軸に近接する方向へ傾斜している。
【0013】
選択できるように、前記第1外側面の一部は前記内面に当接する。
【0014】
選択できるように、、前記外側面は第3外側面をさらに含み、前記第3外側面は前記第1外側面と前記第2外側面を接続し、前記第3外側面は前記光軸に対して垂直である。
【0015】
選択できるように、前記内面は、前記光軸に垂直な方向に沿って段差状に設置された接触面及び拡張面を含み、前記接触面は前記第1外側面に当接し、前記拡張面と前記第2外側面との間に前記接着剤溝が形成されている。
【0016】
また、本発明には、上記のいずれか一項に記載のレンズモジュールを備える電子機器がさらに提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は下記の通りである。
【0018】
上記のレンズモジュールでは、押えリングがレンズ群に対向して設置された取付面は当接面及び位置規制面を含み、当接面はレンズ群に当接し、位置規制面はレンズ群と間隔をあけて設置されており、光軸に平行な方向における位置規制面とレンズ群との間の距離の大きさは5μm以下である。押えリングが力を受けて変形量が位置規制面とレンズ群との間の距離を超えると、押えリングの位置規制面はレンズ群に当接し、レンズ群は押えリングの更なる変形を抑制することができ、押えリングの変形量を5μm以下に制御し、レンズモジュールの安定性を向上させ、レンズモジュール及び当該レンズモジュールを用いた電子機器の結像品質を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の1つの実施例に提供された電子機器の構成模式図である。
図2図2は、図1におけるレンズモジュールの断面図である。
図3図3は、図2におけるA部分の構造の拡大図である。
図4図4は、図2における鏡筒の構成模式図である。
図5図5は、図3における押えリングの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面及び実施形態を組み合わせて本発明をさらに説明する。
【0021】
図1に示されるように、本発明の1つの実施例には、レンズモジュール100を備える電子機器1000が提供され、当該電子機器1000は携帯電話又はタブレットPC等であってもよい。
【0022】
図2を参照すると、レンズモジュール100は、キャビティを有する鏡筒1、レンズ群20、遮光シート2、遮光板3及び押えリング4を備える。
【0023】
鏡筒1は、光通過孔を取り囲んで形成する天壁11と、天壁11の周縁から折り曲げられて延びる筒壁12とを含み、天壁11が筒壁12に接続されて取り囲んでキャビティを形成する。図4を合わせて参照すると、筒壁12は光軸OO’に近い内面30を含み、内面30は、光軸OO’に垂直な方向に沿って段差状に設置された拡張面307及びレンズ群20と接触する幾つかの接触面を含む。物体側から像側への方向において、内面30は、順次に設置された第1接触面301、第2接触面302、第3接触面303、第4接触面304、第5接触面305及び第6接触面306を含み、拡張面307が第6接触面306に接続されている。
【0024】
本実施例では、図2に示されるように、レンズ群20は4枚のレンズを含み、具体的に、それぞれ物体側から像側まで順次にキャビティ内に収容された第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203及び第4レンズ204であり、第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203及び第4レンズ204はそれぞれ第1接触面301、第2接触面302、第3接触面303及び第5接触面305に当接している。遮光板3は、第3レンズ203と第4レンズ204の間に設置され且つ第4接触面304に当接している。遮光シート2は4枚があり、4枚の遮光シート2は、それぞれ隣接する2枚のレンズの間、又は遮光板3及び遮光板3と隣接するレンズの間に挟まれている。
【0025】
押えリング4は鏡筒1に圧着され、且つ第4レンズ204の像側に位置する。図3に示されるように、押えリング4は第4レンズ204に対向して設置された取付面50を含み、取付面50は第4レンズ204に当接している。図5を合わせて参照すると、取付面50は当接面501と位置規制面505とを含み、当接面501は位置規制面505よりも光軸OO’に近く、当接面501は第4レンズ204に当接し、位置規制面505は第4レンズ204と間隔をあけて設置されており、光軸OO’に平行な方向における位置規制面505と第4レンズ204との間の距離の大きさHは5μm以下である。
【0026】
押えリング4が同時にレンズ群20及び接着剤からの作用力を受けて変形する場合、光軸OO’に平行な方向における位置規制面505と第4レンズ204との間の距離の大きさHが5μm以下であるため、光軸OO’に平行な方向における押えリング4の変形量が大きさHを超えると、位置規制面505は第4レンズ204に当接し、これにより、押えリング4の更なる変形を抑制し、レンズモジュール100の安定性を向上させ、結像品質を確保する。
【0027】
選択できるように、位置規制面505は当接面501よりも物体側に近い。このように、押えリング4と筒壁12の接触面積を確保した上で、接着剤溝101の深さを増加することができ、これによって、接着剤と押えリング及び鏡筒1との接触面積を増加し、推力を確保し、レンズモジュールの安定性を向上させる。
【0028】
選択できるように、取付面50に溝がさらに設けられており、溝は環状の溝であり、溝の内壁は、位置規制面505から光軸OO’に平行な方向に沿って像側に向かって延びる第1溝面502と、第1溝面502から光軸OO’に垂直な方向に沿って且つ光軸OO’に近接する方向に向かって延びる第2溝面503と、第2溝面503から斜めに物体側に向かって延びる第3溝面504とを含む。溝は押えリング4が圧力を受けて変形した時に変形可能な空間を提供し、押えリングの構造強度を向上させる。そして、本実施例では、第3溝面504は、応力集中を防止するために円弧面とされている。
【0029】
選択できるように、押えリング4は第6接触面305に当接する外側面40をさらに含み、取付面50は移行面506をさらに含み、移行面506は位置規制面505及び外側面40を接続し、移行面506は位置規制面505から、光軸OO’から離れる方向へ傾斜している。移行面506が設置された上で、位置規制面505と第4レンズ204との間の隙間を均一にし、加工コストを低減するように、位置規制面505の一部のみに対して仕上加工を行う必要がある。
【0030】
選択できるように、外側面40は第1外側面401及び第2外側面402を含み、第1外側面401は第6接触面306に当接し、第2外側面402と拡張面307の間に接着剤溝101が形成されており、これによって、接着剤と押えリング4及び鏡筒1との接触面積を増加する。
【0031】
さらに、第6接触面306は第1外側面401の一部に当接し、これにより、接着剤と押えリング4及び鏡筒1との接触面積をさらに増加することができる。そして、第2外側面402は物体側から像側に向かって光軸OO’に近接する方向へ傾斜し、これによって、接着剤と押えリング4及び鏡筒1との接触面積をさらに増加することができる。
【0032】
さらに、外側面40は第3外側面403をさらに含み、第3外側面403は第1外側面401と第2外側面402を接続し、第3外側面403は光軸OO’に対して垂直であり、これによって、接着剤と押えリング4及び鏡筒1との接触面積をさらに増加することができる。
【0033】
なお、本実施例では、レンズ群20は4枚のレンズを含む。理解できるように、他の実施例では、レンズの数は実際の必要に応じて変更されることができる。
【0034】
以上は本発明の実施形態に過ぎない。当業者であれば、本発明の創造的構想から逸脱しない限り、改良を行うことができるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5