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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ヒンジ構造および折り畳み式電子機器
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20220104BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20220104BHJP
   E05D 3/12 20060101ALI20220104BHJP
   E05D 1/04 20060101ALI20220104BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/10 C
E05D3/12 A
E05D1/04 D
H05K5/03 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020119764
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2021131151
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】202010104987.7
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517188574
【氏名又は名称】ペキン シャオミ モバイル ソフトウェア カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING XIAOMI MOBILE SOFTWARE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュエフー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ リアンジア
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ホンウェイ
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0274227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00
E05D 3/00
F16C 11/00
G06F 1/00
H04M 1/00
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ構造であって、
水平展開状態および折り畳み状態を含む支持片であって、前記支持片が、第1支持片と第2支持片とを備える、支持片と、
それぞれ前記支持片に接続され、前記支持片を駆動して、前記水平展開状態および前記折り畳み状態の間で切り替えるように構成される少なくとも1つの第1ヒンジであって、各第1ヒンジが、
第1ヒンジブラケットと、前記第1支持片に接続される第1スライダと、前記第2支持片に接続される第2スライダとを備える軌道制限機構であって、前記第1スライダは、第1中空シュートを備え、前記第2スライダは、第2中空シュートを備える、軌道制限機構と、
円筒歯車組と第1ガイドロッド歯車と第2ガイドロッド歯車とを備える同期機構であって、前記第1スライダおよび前記第2スライダがそれぞれ前記第1ヒンジブラケットに対して回転するように駆動するために、前記第1ガイドロッド歯車および前記第2ガイドロッド歯車のそれぞれが、歯車端およびガイドロッド端を備え、前記第1ガイドロッド歯車の歯車端は、前記円筒歯車組の端部歯車と噛合し、前記第2ガイドロッド歯車の歯車端は、前記円筒歯車組の他端部歯車と噛合し、前記第1ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、前記第1中空シュートとスライド嵌合し、前記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、前記第2中空シュートとスライド嵌合する、同期機構と
を備える、少なくとも1つの第1ヒンジと、
少なくとも1組の水平展開支持部材であって、各組の水平展開支持部材が、第1支持部材第2支持部材水平展開ブラケットとを備え、前記水平展開ブラケットが、前記第1支持部材および前記第2支持部材の両方に接続され前記水平展開ブラケットが、前記支持片に接続される、少なくとも1組の水平展開支持部材
を備え、
前記支持片が前記水平展開状態である場合、前記支持片を前記水平展開状態に維持するために、前記第1支持部材と前記第2支持部材は相互作用して、前記支持片が位置する平面に平行な作用力を発生するヒンジ構造。
【請求項2】
前記水平展開ブラケットが、分離された第1水平展開ブラケットと第2水平展開ブラケットを備え、前記第1水平展開ブラケットが、前記第1支持部材に接続され、前記第2水平展開ブラケットが、前記第2支持部材に接続される請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項3】
前記水平展開ブラケットが、回転可能に接続された第1水平展開ブラケットと、第2水平展開ブラケットとを備え、前記第1水平展開ブラケットは、前記第1支持部材に接続され、前記第2水平展開ブラケットは、前記第2支持部材に接続される請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項4】
前記第1支持部材と前記第2支持部材がすべて磁石を備え、前記第1支持部材の一側面の極性と前記第2支持部材の一側面の極性は異なり前記支持片が水平展開状態である場合、極性の異なる両側の表面が対向的に設けられる請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項5】
前記第1支持部材および前記第2支持部材の一方が磁石を備え、他方が電磁コイルを備え、
前記支持片が水平展開状態である場合、前記電磁コイルが通電状態であり、前記磁石と相互作用して、前記支持片を水平展開状態に維持する作用力を発生する請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項6】
記第1支持片および前記第2支持片が、それぞれ前記第1ヒンジに接続され、
前記第1支持片と前記第2支持片の同じ側を向く面が同じ平面内にある場合、前記支持片は、水平展開状態に切り替えられ、前記第1支持片と前記第2支持片の同じ側を向く面の間に任意の夾角が形成される場合、前記支持片は、折り畳み状態であり、前記任意の夾角は、0°より大きいか等しく、且つ180°より小さい請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項7】
前記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部を備え、前記第1スライダが、第1円弧部を備え、前記第2スライダが、第2円弧部を備え、前記第1円弧部および前記第2円弧部が、それぞれ前記第1円弧ガイド部に嵌合する請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項8】
前記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部の底面から上方に延びる2つの直立ブロックをさらに備え、
前記第1ガイドロッド歯車の歯車端および前記第2ガイドロッド歯車の歯車端および前記円筒歯車組が、前記2つの直立ブロックの間に配置される請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項9】
前記第1スライダが、前記第1中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第1凹部を備え、前記第2スライダが、前記第2中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第2凹部を備え、前記第1凹部および前記第2凹部の両方は、前記2つの直立ブロックを回避するために使用される請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項10】
前記第2円弧部の少なくとも一部が、前記第1凹部内に配置され、
または、前記第1円弧部の少なくとも一部が、前記第2凹部内に配置される請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項11】
前記第1スライダが、第1導通部をさらに備え、前記第1中空シュートが、前記第1導通部を介して前記第1スライダの外部に貫通し、
前記第2スライダが、第2導通部をさらに備え、前記第2中空シュートが、前記第2導通部を介して前記第2スライダの外部に貫通し、
前記第1ガイドロッド歯車が、第1凸部を備え、前記第2ガイドロッド歯車が、第2凸部を備え、前記第1凸部の一部が、前記第1導通部に挿入し、前記第2凸部の一部が、前記第2導通部に挿入する請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項12】
前記ヒンジ構造は、第2ヒンジブラケット第3スライダ第4スライダとを備え第2ヒンジをさらに備え、前記第3スライダおよび前記第4スライダの両方が前記支持片に接続され、前記第2ヒンジブラケットが、第2円弧ガイド部を備え、
前記第3スライダが、第3円弧部を備え、前記第4スライダが、第4円弧部を備え、前記第3円弧部および前記第4円弧部が、それぞれ前記第2円弧ガイド部と嵌合する請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項13】
前記ヒンジ構造が、2つの前記第1ヒンジ1つの前記第2ヒンジとを備え、前記第2ヒンジが、2つの前記第1ヒンジの間に配置される請求項12に記載のヒンジ構造。
【請求項14】
前記円筒歯車組が、互いに噛合う第1歯車と第2歯車を備え、前記第1歯車は、前記第1ガイドロッド歯車の歯車端と噛合し、前記第2歯車は、前記第2ガイドロッド歯車の歯車端と噛合する請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項15】
前記第1ガイドロッド歯車および前記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端の端部が、両方とも円筒形状に設けられる請求項に記載のヒンジ構造。
【請求項16】
前記ヒンジ構造が、2つの第1ヒンジを備え、前記ヒンジ構造の前記支持片の長手方向に位置する2つの端部に、それぞれ1つの前記第1ヒンジが設けられ、
前記少なくとも1組の水平展開支持部材が、2つの前記第1ヒンジの間に配置される請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項17】
折り畳み式電子機器であって、
請求項1~16のいずれか一項に記載のヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の支持片に接続されて、前記支持片につれて状態を切り替えるように構成されるミドルフレーム
を備える折り畳み式電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年2月20日に中国特許局に提出された、出願番号がCN2020101049877である中国特許出願に基づいて提出されるものであり、当該中国特許出願の優先権を主張し、当該中国特許出願の全ての内容が参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、端末技術分野に関し、特に、ヒンジ構造および折り畳み式電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブルOLEDディスプレイ技術の発展につれて、折り畳み式電子機器は、通常の電子機器の携帯性と、展開後の大画面ディスプレイの究極のエクスペリエンスを兼ね備えることにより、折り畳み式電子機器は、移動端末の開発において次第に重要なトレンドになり、各端末メーカにとって重要な競争分野となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術の欠点を解決するために、ヒンジ構造および折り畳み式電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例の第1態様によれば、ヒンジ構造を提供し、前記ヒンジ構造は、
水平展開状態および折り畳み状態を含む支持片と、
それぞれ前記支持片に接続され、前記支持片を駆動して、前記水平展開状態および前記折り畳み状態の間で切り替えるように構成される少なくとも1つの第1ヒンジと、
少なくとも1組の水平展開支持部材であって、各組の水平展開支持部材が、第1支持部材と、第2支持部材と、水平展開ブラケットとを備え、前記水平展開ブラケットが、前記第1支持部材と前記第2支持部材の両方に接続され、且つ前記水平展開ブラケットが、前記支持片に接続される、少なくとも1組の水平展開支持部材とを備え、
前記支持片が前記水平展開状態である場合、前記支持片を前記水平展開状態に維持するために、前記第1支持部材と前記第2支持部材は相互作用して、前記支持片が位置する平面に平行な作用力を発生する。
【0006】
例示的に、前記水平展開ブラケットが、分離された第1水平展開ブラケットと第2水平展開ブラケットを備え、前記第1水平展開ブラケットは、前記第1支持部材に接続され、前記第2水平展開ブラケットは、前記第2支持部材に接続される。
【0007】
例示的に、前記水平展開ブラケットが、回転可能に接続された第1水平展開ブラケットと、第2水平展開ブラケットとを備え、前記第1水平展開ブラケットは、前記第1支持部材に接続され、前記第2水平展開ブラケットは、前記第2支持部材に接続される。
【0008】
例示的に、前記第1支持部材と前記第2支持部材がすべて磁石を備え、前記第1支持部材の一側面の極性と前記第2支持部材の一側面の極性は異なり、且つ前記支持片が水平展開状態である場合、極性の異なる両側の表面が対向的に設けられる。
【0009】
例示的に、前記第1支持部材および前記第2支持部材の一方が磁石を備え、他方が電磁コイルを備え、
前記支持片が水平展開状態である場合、前記電磁コイルが通電状態であり、前記磁石と相互作用して、前記支持片を水平展開状態に維持する作用力を発生する。
【0010】
例示的に、前記支持片が、第1支持片と、第2支持片とを備え、前記第1支持片および前記第2支持片が、それぞれ前記第1ヒンジに接続され、
前記第1支持片と前記第2支持片の同じ側を向く面が同じ平面内にある場合、前記支持片は、水平展開状態に切り替えられ、前記第1支持片と前記第2支持片の同じ側を向く面の間に任意の夾角が形成される場合、前記支持片は、折り畳み状態であり、前記任意の角度は、0°より大きいか等しく、且つ180°より小さい。
【0011】
例示的に、各第1ヒンジが、
第1ヒンジブラケットと、前記第1支持片に接続される第1スライダと、前記第2支持片に接続される第2スライダとを備える軌道制限機構であって、前記第1スライダは第1中空シュートを備え、前記第2スライダは第2中空シュートを備える軌道制限機構と、
円筒歯車組と、第1ガイドロッド歯車と、第2ガイドロッド歯車とを備える同期機構であって、前記第1スライダおよび前記第2スライダがそれぞれ前記第1ヒンジブラケットに対して回転するように駆動するために、前記第1ガイドロッド歯車および前記第2ガイドロッド歯車のそれぞれが、歯車端およびガイドロッド端を備え、前記第1ガイドロッド歯車の歯車端は、前記円筒歯車組の端部歯車と噛合し、前記第2ガイドロッド歯車の歯車端は、前記円筒歯車組の他端部歯車と噛合し、前記第1ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、前記第1中空シュートとスライド嵌合し、前記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、前記第2中空シュートとスライド嵌合する同期機構とを、備える。
【0012】
例示的に、前記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部を備え、前記第1スライダが、第1円弧部を備え、前記第2スライダが、第2円弧部を備え、前記第1円弧部および前記第2円弧部が、それぞれ前記第1円弧ガイド部に嵌合する。
【0013】
例示的に、前記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部の底面から上方に延びる2つの直立ブロックをさらに備え、
前記第1ガイドロッド歯車の歯車端、前記第2ガイドロッド歯車の歯車端、および前記円筒歯車組が、前記2つの直立ブロックの間に配置される。
【0014】
例示的に、前記第1スライダが、前記第1中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第1凹部を備え、前記第2スライダが、前記第2中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第2凹部を備え、前記第1凹部および前記第2凹部の両方は、前記2つの直立ブロックを回避するために使用される。
【0015】
例示的に、前記第2円弧部の少なくとも一部が、前記第1凹部内に配置され、
または、前記第1円弧部の少なくとも一部が、前記第2凹部内に配置される。
【0016】
例示的に、前記第1スライダが、第1導通部をさらに備え、前記第1中空シュートが、前記第1導通部を介して前記第1スライダの外部に貫通し、
前記第2スライダが、第2導通部をさらに備え、前記第2中空シュートが、前記第2導通部を介して前記第2スライダの外部に貫通し、
前記第1ガイドロッド歯車が、第1凸部を備え、前記第2ガイドロッド歯車が、第2凸部を備え、前記第1凸部の一部が、前記第1導通部に挿入し、前記第2凸部の一部が、前記第2導通部に挿入する。
【0017】
例示的に、前記ヒンジ構造が、第2ヒンジブラケットと、第3スライダと、第4スライダとを備える、第2ヒンジをさらに備え、前記第3スライダおよび前記第4スライダの両方が前記支持片に接続され、前記第2ヒンジブラケットが、第2円弧ガイド部を備え、
前記第3スライダが、第3円弧部を備え、前記第4スライダが、第4円弧部を備え、前記第3円弧部および前記第4円弧部が、それぞれ前記第2円弧ガイド部と嵌合する。
【0018】
例示的に、前記ヒンジ構造が、2つの前記第1ヒンジと、1つの前記第2ヒンジとを備え、前記第2ヒンジが、2つの前記第1ヒンジの間に配置される。
【0019】
例示的に、前記円筒歯車組が、互いに噛合う第1歯車と第2歯車を備え、前記第1歯車は、前記第1ガイドロッド歯車の歯車端と噛合し、前記第2歯車は、前記第2ガイドロッド歯車の歯車端と噛合する。
【0020】
例示的に、前記第1ガイドロッド歯車および前記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端の端部が、両方とも円筒形状に設けられる。
【0021】
例示的に、前記ヒンジ構造が、2つの第1ヒンジを備え、前記ヒンジ構造の前記支持片の長手方向のに位置する2つの端部に、それぞれ1つの前記第1ヒンジが設けられ、
前記少なくとも1組の水平展開支持部材が、2つの前記第1ヒンジの間に配置される。
【0022】
本開示の実施例の第2態様によれば、折り畳み式電子機器を提供し、前記折り畳み式電子機器は、
上記のいずれか1つの実施例に記載のヒンジ構造と、
前記ヒンジ構造の支持片に接続されて、前記支持片につれて状態を切り替えるように構成されるミドルフレームと、を備える。
【0023】
例えば本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒンジ構造であって、
水平展開状態および折り畳み状態を含む支持片と、
それぞれ上記支持片に接続され、上記支持片を駆動して、上記水平展開状態および上記折り畳み状態の間で切り替えるように構成される少なくとも1つの第1ヒンジと、
少なくとも1組の水平展開支持部材であって、各組の水平展開支持部材が、第1支持部材と、第2支持部材と、水平展開ブラケットとを備え、上記水平展開ブラケットが、上記第1支持部材と上記第2支持部材の両方に接続され、且つ上記水平展開ブラケットが、上記支持片に接続される、少なくとも1組の水平展開支持部材とを備え、
上記支持片が上記水平展開状態である場合、上記支持片を上記水平展開状態に維持するために、上記第1支持部材と上記第2支持部材は相互作用して、上記支持片が位置する平面に平行な作用力を発生することを特徴とする、上記ヒンジ構造。
(項目2)
上記水平展開ブラケットが、分離された第1水平展開ブラケットと第2水平展開ブラケットを備え、上記第1水平展開ブラケットが、上記第1支持部材に接続され、上記第2水平展開ブラケットが、上記第2支持部材に接続されることを特徴とする、
上記項目に記載のヒンジ構造。
(項目3)
上記水平展開ブラケットが、回転可能に接続された第1水平展開ブラケットと、第2水平展開ブラケットとを備え、上記第1水平展開ブラケットは、上記第1支持部材に接続され、上記第2水平展開ブラケットは、上記第2支持部材に接続されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目4)
上記第1支持部材と上記第2支持部材がすべて磁石を備え、上記第1支持部材の一側面の極性と上記第2支持部材の一側面の極性は異なり、且つ上記支持片が水平展開状態である場合、極性の異なる両側の表面が対向的に設けられることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目5)
上記第1支持部材および上記第2支持部材の一方が磁石を備え、他方が電磁コイルを備え、
上記支持片が水平展開状態である場合、上記電磁コイルが通電状態であり、上記磁石と相互作用して、上記支持片を水平展開状態に維持する作用力を発生することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目6)
上記支持片が、第1支持片と、第2支持片とを備え、上記第1支持片および上記第2支持片が、それぞれ上記第1ヒンジに接続され、
上記第1支持片と上記第2支持片の同じ側を向く面が同じ平面内にある場合、上記支持片は、水平展開状態に切り替えられ、上記第1支持片と上記第2支持片の同じ側を向く面の間に任意の夾角が形成される場合、上記支持片は、折り畳み状態であり、上記任意の夾角は、0°より大きいか等しく、且つ180°より小さいことを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目7)
各第1ヒンジが、
第1ヒンジブラケットと、上記第1支持片に接続される第1スライダと、上記第2支持片に接続される第2スライダとを備える軌道制限機構であって、上記第1スライダは第1中空シュートを備え、上記第2スライダは第2中空シュートを備える軌道制限機構と、
円筒歯車組と、第1ガイドロッド歯車と、第2ガイドロッド歯車とを備える同期機構であって、上記第1スライダおよび上記第2スライダがそれぞれ上記第1ヒンジブラケットに対して回転するように駆動するために、上記第1ガイドロッド歯車および上記第2ガイドロッド歯車のそれぞれが、歯車端およびガイドロッド端を備え、上記第1ガイドロッド歯車の歯車端は、上記円筒歯車組の端部歯車と噛合し、上記第2ガイドロッド歯車の歯車端は、上記円筒歯車組の他端部歯車と噛合し、上記第1ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、上記第1中空シュートとスライド嵌合し、上記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端は、上記第2中空シュートとスライド嵌合する同期機構とを、備えることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目8)
上記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部を備え、上記第1スライダが、第1円弧部を備え、上記第2スライダが、第2円弧部を備え、上記第1円弧部および上記第2円弧部が、それぞれ上記第1円弧ガイド部に嵌合することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目9)
上記第1ヒンジブラケットが、第1円弧ガイド部の底面から上方に延びる2つの直立ブロックをさらに備え、
上記第1ガイドロッド歯車の歯車端、上記第2ガイドロッド歯車の歯車端、および上記円筒歯車組が、上記2つの直立ブロックの間に配置されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目10)
上記第1スライダが、上記第1中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第1凹部を備え、上記第2スライダが、上記第2中空シュートの長手方向に沿って凹んで形成された第2凹部を備え、上記第1凹部および上記第2凹部の両方は、上記2つの直立ブロックを回避するために使用されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目11)
上記第2円弧部の少なくとも一部が、上記第1凹部内に配置され、
または、上記第1円弧部の少なくとも一部が、上記第2凹部内に配置されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目12)
上記第1スライダが、第1導通部をさらに備え、上記第1中空シュートが、上記第1導通部を介して上記第1スライダの外部に貫通し、
上記第2スライダが、第2導通部をさらに備え、上記第2中空シュートが、上記第2導通部を介して上記第2スライダの外部に貫通し、
上記第1ガイドロッド歯車が、第1凸部を備え、上記第2ガイドロッド歯車が、第2凸部を備え、上記第1凸部の一部が、上記第1導通部に挿入し、上記第2凸部の一部が、上記第2導通部に挿入することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目13)
第2ヒンジブラケットと、第3スライダと、第4スライダとを備える、第2ヒンジをさらに備え、上記第3スライダおよび上記第4スライダの両方が上記支持片に接続され、上記第2ヒンジブラケットが、第2円弧ガイド部を備え、
上記第3スライダが、第3円弧部を備え、上記第4スライダが、第4円弧部を備え、上記第3円弧部および上記第4円弧部が、それぞれ上記第2円弧ガイド部と嵌合することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目14)
上記ヒンジ構造が、2つの上記第1ヒンジと、1つの上記第2ヒンジとを備え、上記第2ヒンジが、2つの上記第1ヒンジの間に配置されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目15)
上記円筒歯車組が、互いに噛合う第1歯車と第2歯車を備え、上記第1歯車は、上記第1ガイドロッド歯車の歯車端と噛合し、上記第2歯車は、上記第2ガイドロッド歯車の歯車端と噛合することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目16)
上記第1ガイドロッド歯車および上記第2ガイドロッド歯車のガイドロッド端の端部が、両方とも円筒形状に設けられることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目17)
上記ヒンジ構造が、2つの第1ヒンジを備え、上記ヒンジ構造の上記支持片の長手方向に位置する2つの端部に、それぞれ1つの上記第1ヒンジが設けられ、
上記少なくとも1組の水平展開支持部材が、2つの上記第1ヒンジの間に配置されることを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
(項目18)
折り畳み式電子機器であって、
上記項目のいずれか一項に記載のヒンジ構造と、
上記ヒンジ構造の支持片に接続されて、上記支持片につれて状態を切り替えるように構成されるミドルフレームと、を備えることを特徴とする、上記折り畳み式電子機器。
(摘要)
本開示は、ヒンジ構造および折り畳み式電子機器に関する。前記ヒンジ構造は、水平展開状態および折り畳み状態を含む支持片と、それぞれ前記支持片に接続され、前記支持片を駆動して、前記水平展開状態および前記折り畳み状態の間で切り替えるように構成される少なくとも1つの第1ヒンジと、少なくとも1組の水平展開支持部材であって、各組の水平展開支持部材が、第1支持部材と、第2支持部材と、水平展開ブラケットとを備え、前記水平展開ブラケットが、前記第1支持部材と前記第2支持部材の両方に接続され、且つ前記水平展開ブラケットが、前記支持片に接続される少なくとも1組の水平展開支持部材とを備え、前記支持片が前記水平展開状態である場合、前記支持片を前記水平展開状態に維持するために、前記第1支持部材と前記第2支持部材は相互作用して、前記支持片が位置する平面に平行な作用力を発生する。
【発明の効果】
【0024】
本開示の実施例によって提供される技術的解決策は、以下の有利な効果を含み得る。
【0025】
上記した実施例からわかるように、本開示で提供されるヒンジ構造に備えられる支持片が水平展開状態である場合、水平展開支持部材によって発生される、支持片が位置する平面に平行な作用力によって、当該支持片を水平展開状態に維持することができるため、当該支持片が弱い外力の影響でフィードバック状態に切り替わることを防止し、ヒンジ構造をユーザの目標状態に維持することに有益である。
【0026】
上記の一般的な説明および後述する詳細な説明は、単なる例示および説明に過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここでの図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本開示と一致する実施例を示し、明細書とともに本開示の原理を説明するために使用される。
図1】一例示的な実施例によるヒンジ構造の概略的な構造図である。
図2】一例示的な実施例による水平展開支持部材の概略的な構造図である。
図3】一例示的な実施例による水平展開支持部材の概略的な部分分解図である。
図4】一例示的な実施例による第1ヒンジの展開の例示図である。
図5図4における第1ヒンジの折り畳みの例示図である。
図6図4における第1ヒンジの別の折り畳みの例示図である。
図7】一例示的な実施例による別の第1ヒンジの概略的な分解図である。
図8図7における第1ヒンジの折り畳みの例示図である。
図9】一例示的な実施例による第1ヒンジの概略的な分解図である。
図10】一例示的な実施例による同期機構の概略的な構造図である。
図11】一例示的な実施例による第2ヒンジの概略的な分解図である。
図12】一例示的な実施例による第2ヒンジの展開の例示図である。
図13図12における第2ヒンジの折り畳みの例示図である。
図14】一例示的な実施例による別のヒンジ構造の概略的な構造図である。
図15】一例示的な実施例によるヒンジ構造とミドルフレームの概略的な嵌合図である。
図16】一例示的な実施例によるヒンジ構造とミドルフレームの概略的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、例示的な実施例について詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。別の指示がない限り、以下の説明が図面に関する場合、異なる図面の同じ数字は同じまたは類似の要素を表す。以下の例示的な実施例で説明される実施形態は、本開示と一致するすべての実施形態を表すものではない。むしろ、それらは、添付された特許請求の範囲に詳述されるように、本開示の特定の態様と一致する装置および方法の例である。
【0029】
本開示で使用された用語は特定の実施例のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本開示および添付の特許請求の範囲で使用された単数形の「1つの」、「前記」および「当該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数形も含むものとする。本明細書で使用された「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する列挙されたアイテムのいずれかまたはすべての可能な組み合わせを指し、それらを含むことを理解されたい。
【0030】
本開示では、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を使用して様々な情報を説明するが、これらの情報はこれらの用語に限定されないことを理解されたい。これらの用語は、同じタイプの情報をお互いに区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の情報は第2の情報とも称し得、同様に、第2の情報は第1の情報とも称し得る。別の例では、文脈に応じて、本明細書で使用される「…ば」という語は、「…時」または「…場合」または「…決定に応答して」と解釈することができる。
【0031】
図1は、一例示的な実施例によるヒンジ構造100の概略的な構造図である。図1に示されるように、当該ヒンジ構造100は、支持片1と、少なくとも1つの第1ヒンジ2とを備える。ここで、当該支持片1は、折り畳み状態および水平展開状態を含むことができる。例えば、当該支持片1が、水平展開状態から折り畳み状態に切り替えることができ、当該折り畳み状態での支持片1の対向的に設けられた2つの両側のエッジ縁は、0°より大きく且つ180°より小さい夾角を形成し、または、当該支持片1が、折り畳み状態から水平展開状態に切り替えることもでき、当該支持片が、当該ヒンジ構造100が配置された電子機器のミドルフレームに接続される場合、電子機器のミドルフレームの状態切り替えを実現することができ、これにより、電子機器を水平展開状態と折り畳み状態との間で切り替えるように駆動する。ここで、当該支持片1は、剛性材料で作られることができ、この場合、当該支持片1は、状態の切り替えを実現するために、相対的に回転することができる2つのピースを備えることができ、または、当該支持片1は、外力の作用で状態を切り替え、且つ外力がない状況で現在の状態を維持するために、形状記憶金属材料で作られることもできる。
【0032】
ここで、第1ヒンジ2を介して支持片1を駆動して状態の切り替えを実行するために、当該支持片1は、各第1ヒンジ2に接続されることもでき、例えば、支持片1は、少なくとも1つの当該第1ヒンジ2によって、水平展開状態から折り畳み状態、または折り畳み状態から水平展開状態に切り替えることができる。本開示の技術的解決策において、支持片1を水平展開状態に維持するために、本開示におけるヒンジ構造100は、少なくとも1組の水平展開支持部材3をさらに備えることができ、図1に示されるように、各組の水平展開支持部材3は、第1支持部材31と、第2支持部材32と、水平展開ブラケットと33とを備えることができ、当該水平展開ブラケット33は、第1支持部材31と第2支持部材32の両方に接続され、当該水平展開ブラケット33は、支持片1にも接続される。支持片1が水平展開状態にある場合、当該第1支持部材31と第2支持部材32は相互作用して、支持片1が位置する平面に平行な作用力(図1に示される作用力Fなど)を発生でき、これにより、当該第1支持片1を水平展開状態に維持する。
【0033】
当該実施例において、第1ヒンジ2および水平展開支持部材3の数は限定されず、必要に応じて設計されてもよい。例えば、図1に示される実施例において、ヒンジ構造100は、ヒンジ構造100の端部に配置された2つの第1ヒンジ2と、当該2つの第1ヒンジ2の間に配置された4つの水平展開支持部材3とを備える。実際に、他の実施例において、水平展開支持部材3の数は、支持片1を維持するために必要な作用力、および各水平展開支持部材3が提供できる作用力に従って設計することができる。例えば、3つまたは5つまたはこれ以上の数の水平展開支持部材3を備えてもよいが、本開示はこれに限定されない。同様に、ヒンジ構造100の長さに従って、第1ヒンジ2の数を選択することもでき、例えば、一実施例では、ヒンジ構造100の長手方向に沿って均等に分布された3つの第1ヒンジ2を備えることもできるが、これは単なる例示的な説明であり、もちろん他の数の第1ヒンジ2を備えることもできる。
【0034】
上記した実施例からわかるように、本開示で提供されるヒンジ構造100に備えられる支持片1が水平展開状態である場合、水平展開支持部材3によって発生される、支持片1が位置する平面に平行な作用力によって、当該支持片1を水平展開状態に維持することができるため、当該支持片1が弱い外力の影響でフィードバック状態に切り替わることを防止し、ヒンジ構造100をユーザの目標状態に維持することに有益である。
【0035】
本実施例では、図2および図3に示されるように、当該水平展開ブラケット33は、第1水平展開ブラケット331と第2水平展開ブラケット332を備えることができ、当該第1水平展開ブラケット331は、第1支持部材31に接続され、第2水平展開ブラケット332は、第2支持部材32に接続される。第1水平展開ブラケット331および第2水平展開ブラケット332を、第1支持部材31と第2支持部材32との間の相対的な位置関係の変化に適応させるために、一実施例において、図2および図3に示されるように、当該第1水平展開ブラケット331と第2水平展開ブラケット332は、お互いに独立した2つのブラケットであることができ、それぞれ対応する側の支持片1の状態変化に応じて移動し、第1水平展開ブラケット331と第2水平展開ブラケット332が平坦化状態である場合、第1支持部材31および第2支持部材32によって、支持片1の水平展開状態を維持させる作用力を発生する。別の実施例において、当該第1水平展開ブラケット331と第2水平展開ブラケット332は、回転可能に接続され、支持片1の運動により、第1水平展開ブラケット331と第2水平展開ブラケット332間の相対的な位置関係の変化を駆動する。
【0036】
上記した各実施例に基づいて、図2および図3に示されるように、当該第1支持部材31および第2支持部材32の両方が磁石を備えることができ、支持片1が水平展開状態にある場合、当該第1支持部材31の一側面の極性と第2支持部材32の一側面の極性は異なり、且つ当該極性の異なる両側の表面が対向的に設けられ、これにより、磁石極性の原理によって、第1支持部材31と第2支持部材32との間に作用力を発生することができる。例えば、図2および図3に示されるように、支持片1が水平展開状態にある場合、第2支持部材32に向かって設けられた当該第1支持部材31の一側がS極であり、第1支持部材31に向かって設けられた第2支持部材32の一側がN極である。当該実施例において、磁石組を使用して支持片1の水平展開状態での作用力を実現するのは、バックルまたは接触摩擦などの方式とは異なり、摩擦力による摩耗はなく、第1支持部材31のS極と、第2支持部材32のN極とが対向する場合、当該第1支持部材31と第2支持部材32との間の作用力は最も大きく、外力がない場合や外力が小さい場合、第1支持部材31と第2支持部材32間の相互作用力により、現在の位置関係を維持することができ、揺れを防止することができる。
【0037】
別の実施例において、当該第1支持部材31および第2支持部材32の一方は、磁石を備えることができ、他方は、電磁コイルを備えることができ、電磁コイルが通電状態である場合、当該電磁コイルによって発生される磁場が磁石と相互作用して、支持片1を水平展開状態に維持する作用力を発生することができる。例えば、当該第1支持部材31は、磁石を備えることができ、第2支持部材32は、電磁コイルを備えることができ、第1ヒンジ1の状態を取得することにより、支持片1の状態を判断することができ、当該支持片1が水平展開状態にあると決定した場合、第2支持部材32に対して通電して、支持片1を水平展開状態に維持させる作用力を発生することができ、第1ヒンジ1の状態を変化するための外力を検出した場合、支持片1の状態を変化するために、第2支持部材32を断電する。
【0038】
上記した各実施例において、図1に示されるように、当該支持片1は、第1支持片11と、第2支持片12とを備えることができ、当該第1支持片11および第2支持片12は、それぞれ第1ヒンジ2に接続される。ここで、第1支持片11と第2支持片12の同じ側を向く面が同じ平面内にある場合、当該支持片1の全体は水平展開状態に切り替えられるが、第1支持片11と第2支持片12の同じ側を向く面の間に0°より大きいか等しく、且つ180°より小さい夾角が形成される場合、当該支持片1は折り畳み状態である。ここで、当該ゼロでない夾角は、30°、50°、60°、90°、120°、150°などに等しくてもよく、本開示はこれに限定されない。
【0039】
本開示の技術的解決策に基づいて、以下で当該ヒンジ構造100の他の構造について詳細に説明する。図4ないし図8に示されるように、当該第1ヒンジ2は、軌道制限機構21と、同期機構22とを備えることができ、当該軌道制限機構21は、第1ヒンジ2の回転方向を制限するために使用されることができ、同期機構22は、第1ヒンジ2の回転を実現するために使用されることができる。具体的に、当該軌道制限機構21は、第1ヒンジブラケット211と、第1スライダ212と、第2スライダ213とを備えることができ、当該第1ヒンジブラケット211は、当該ヒンジ構造100を備えた電子機器のケーシングに接続されることができ、例えば、当該第1ヒンジブラケット211は、ねじまたはボルトによって電子機器のケーシングに固定的に接続されてもよいし、溶接によって電子機器のケーシングに固定されてもよいが、本開示はこれに限定されない。
【0040】
第1スライダ212は、第1中空シュート2121を備えることができ、第2スライダ213は、第2中空シュート2131を備えることができ、即ち、第1スライダ212および第2スライダ213内を部分的に中空にして対応する中空シュートを得ることができる。同期機構22は、円筒歯車組221と、第1ガイドロッド歯車222と、第2ガイドロッド歯車223とを備えることができ、当該第1ガイドロッド歯車222は、歯車端2221と、ガイドロッド端2222とを備えることができ、同様に、第2ガイドロッド歯車223も、対応する歯車端2231と、ガイドロッド端2232とを備えることができ、第1ガイドロッド歯車222の歯車端2221は、円筒歯車組221の端部歯車と噛合し、第2ガイドロッド歯車223の歯車端2231は、円筒歯車組221の他端部歯車と噛合し、第1ガイドロッド歯車222のガイドロッド端2222は、第1中空シュート2121に嵌合することができ、第2ガイドロッド歯車223のガイドロッド端2232は、第2中空シュート2131に嵌合することができる。
【0041】
これにより、当該ヒンジ構造100を備えた電子機器に外力が加えられ、当該作用力がさらに第1スライダ212に伝達されると、第1ガイドロッド歯車222のガイドロッド端2222は、第1中空シュート2121内でスライドでき、歯車端2221によって、動力を円筒歯車組221に伝達でき、さらに第2ガイドロッド歯車223の歯車端2231に伝達され、第2ガイドロッド歯車223のガイドロッド端2232を駆動して第2中空シュート2131内でスライドさせる。第1中空シュート2121および第2中空シュート2131の制限により、第1ヒンジ2が、図4図5および図6に示される状態の間、または図7および図8にされる状態の間で切り替えることができ、つまり、同時に第1ヒンジブラケット211に対する第1スライダ212および第2スライダ213の角度を、基本的に同じにすることができ(即ち、第1ヒンジブラケット211に対する第1スライダ212の夾角と、第1ヒンジブラケット211に対する第2スライダ213の夾角との差は小さく、許容範囲内である)、基本的に第1スライダ212と第2スライダ213の同期移動を実現する。もちろん、ここでは、第1スライダ212に加えられる作用力のみを例に挙げて説明したが、第2スライダ213に作用力が伝達される場合、または第1スライダ212および第2スライダ213に作用力が伝達される場合は、上記の実施例を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0042】
上記した実施例からわかるように、本開示では、円筒歯車組221による第1スライダ212から第2スライダ213側への、または第2スライダ213から第1スライダ212側への動力の伝達は、基本的に直線的であるため、第1スライダ212と第2スライダ213が正対して設けられた場合、円筒歯車組221、第1ガイドロッド歯車222、および第2ガイドロッド歯車222の嵌合により、第1スライダ212および第2スライダ213を、それぞれ第1ヒンジブラケット211に対して回転するように駆動することができ、これにより、第1スライダ212と第2スライダ213の位置ずれによって、同期機構22と軌道制限機構21で発生するトルクを回避することができ、ヒンジ構造100の耐用年数を延ばすことは有益である。
【0043】
本実施例では、第1ヒンジブラケット211に対する第1スライダ212および第2スライダ213の回転を実現するために、図9に示されるように、当該第1ヒンジブラケット2は、第1円弧ガイド部2111を備えることができ、第1スライダ212は、第1円弧部2122を備えることができ、第2スライダ213は、第2円弧部2132を備えることができ、当該第1円弧部2122および第2円弧部2132は、それぞれ第1円弧ガイド部2111に嵌合する。例えば、第1円弧部2122および第2円弧部2132の外円弧面は、第1スライダ212および第2スライダ213に向かう第1円弧ガイド部2111の円弧面と接触し、これにより、同期機構22が回転すると、第1円弧部2122および第2円弧部2132は、第1円弧ガイド部2111の制限下で回転するため、第1スライダ212および第2スライダ213の移動軌道が一定になり、第1円弧ガイド部2111によって、折り畳み後のヒンジ構造100のフィレットを決定し、第1円弧ガイド部2111のフィレットは固定値であるため、折り畳み後のヒンジ構造100の側のフィレットが一定であることを保証でき、折り畳み式電子機器の画面への損傷の低減に有益である。
【0044】
本実施例では、第1ヒンジ2の厚さを減らすために、図9に示されるように、当該第1ヒンジブラケット211は、2つの直立ブロック2112をさらに備えることができ、当該2つの直立ブロック2112は、それぞれ第1円弧ガイド部2111の底面から上方に延びて形成され、且つ当該2つの直立ブロック211間に一定間隔の距離が存在することができるため、第1ガイドロッド歯車222の歯車端2221、第2ガイドロッド歯車223の歯車端2231、および円筒歯車組221はすべて当該2つの直立ブロック2112間に設けられる。2つの直立ブロック2112の間に位置する第1円弧ガイド部2111の底面上の領域は、第1ガイドロッド歯車222の歯車端2221、第2ガイドロッド歯車223の歯車端2231、および円筒歯車組221のために適応的に設計できるが、本開示はこれに限定されない。
【0045】
当該実施例において、第1円弧ガイド部2111内に、直立ブロックの制限によって形成された避け部2112が存在するので、当該避け部2112との接触を避けるために、第1スライダ212は、第1中空シュート2121の長手方向に沿って凹んで形成された第1凹部2123を備えることができ、第2スライダ213は、第2中空シュート2131の長手方向に沿って凹んで形成された第2凹部2133を備えることができ、当該第1凹部2123および第2凹部2133の両方は、避け部2112に位置を譲ることができる。また、図9に示されるように、第1中空シュート2121および第2中空シュート2131の長手方向での、第1ヒンジ2の寸法を短くするため、第1スライダ212に備えられた第1円弧部2122の一部が、第2凹部2133内に配置されることができ、または、他の実施例では、第2スライダ23に備えられた第2円弧部2132の一部が、第1凹部2123内に配置されることができるが、本開示はこれに限定されない。
【0046】
上記した各実施例において、図9に示されるように、当該第1スライダ212は、第1導通部2124をさらに備えることができ、第1中空シュート2121は、当該第1導通部2124を介して外部に貫通することができ、同様に、第2スライダ213も、第2導通部2134をさらに備えることができ、第2中空シュート2131は、当該第2導通部2134を介して外部に貫通することができる。第1ガイドロッド歯車222は、第1凸部2223をさらに備えることができ、第2ガイドロッド歯車223は、第2凸部2233をさらに備えることができ、当該第1凸部2223の一部は、第1導通部2124内に挿入し、第2凸部2233の一部は、第2導通部2134内に挿入する。このようにして、ヒンジ構造100が完全に展開された場合、第1導通部2124の第1凹部2123に近い側を介して第1凸部2223を制限することができ、第2導通部2134の第2凹部2133に近い側を介して第2凸部2233を制限することができ、ヒンジ構造100が完全に折り畳まれる場合、第1導通部2124の第1凹部2123から離れた側を介して第1凸部2223を制限することができ、第2導通部2134の第2凹部2133から離れた側を介して第2凸部2233を制限することができ、これにより、ヒンジ構造100が過度に伸ばされたり、折られたりすることを防止できる。
【0047】
上記した各実施例に基づいて、図10に示されるように、当該第1ガイドロッド歯車222のガイドロッド端2222および第2ガイドロッド歯車223のガイドロッド端2232が、両方とも円筒形状に設けられることができ、これにより、第1ガイドロッド歯車222のガイドロッド端2222が第1中空シュート2121でスライドするときの摩擦力、および第2ガイドロッド歯車223のガイドロッド端2232が第2中空シュート2131でスライドするときの摩擦力を低減し、ユーザ体験を向上させる。
【0048】
さらに図7に示される実施例を参照して、上記の実施例における円筒歯車組221について説明する。図10に示されるように、当該円筒歯車組221は、互いに噛合う第1歯車2211と第2歯車2212を備え、第1歯車2211は、第1ガイドロッド歯車222の歯車端2221と噛合し、第2歯車2212は、前記第2ガイドロッド歯車223の歯車端2231と噛合し、このように、歯車の噛合点の数をできるだけ減らすことは、累積公差を減らすことに有益であり、これにより、第1スライダ212の回転と第2スライダ213の回転の間の遅延を減らし、同期効果、およびヒンジ構造100が折り畳まれたときの折り畳み効果を改善する。
【0049】
本開示の技術的解決策に基づいて、図11ないし図14に示されるように、当該ヒンジ構造100は、第2ヒンジ4をさらに備えることができ、当該第2ヒンジ4は、第2ヒンジブラケット41と、第3スライダ42と、第4スライダ43とを備えることができ、第3スライダ42および第4スライダ43の両方は、支持片に接続される。ここで、当該第2ヒンジブラケット41は、第2円弧ガイド部411をさらに備えることができ、第3スライダ42は、第3円弧部421を備えることができ、第4スライダ43は、第4円弧部431を備えることができ、当該第3円弧部421および第4円弧部431の両方は、第2円弧ガイド部411に嵌合し、これにより、第1ヒンジ2の移動が第2ヒンジ4に伝達されると、第3円弧部421および第4円弧部431が、第2円弧ガイド部411に対して回転するように駆動され、第2ヒンジ4が、図12および図13に示される状態の間で切り替える。ヒンジ構造100の美観性を改善するために、当該第2円弧ガイド部411の外側のフィレットは、第1円弧ガイド部2111の外側のフィレットと等しくてもよい。ここで、当該第2ヒンジ4の他の構造は、第1ヒンジ2の軌道制限機構21の構造を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0050】
図14に示されるように、同一のヒンジ構造100において、第1ヒンジ2と第2ヒンジ4を同時に備えることができ、図11を例にとると、当該ヒンジ構造100が、1つの第2ヒンジ4と2つの第1ヒンジ2を備えると仮定でき、第1ヒンジ2が、ヒンジ構造100の折り畳み軌道を制限することができるので、当該2つの第1ヒンジ2をヒンジ構造100の端部に設け、第2ヒンジ4を2つの第1ヒンジ2の間に設けることができ、これにより、構造を簡単にしながら、折りたたみ要件を満たすことができる。もちろん、ここでは、同一のヒンジ構造100に2つの第1ヒンジ2と1つの第2ヒンジ4が備えられる場合のみを例に挙げて説明したが、他の実施例では、当該ヒンジ構造100は、他の数の第1ヒンジ2と第2ヒンジを備えることもできるが、本開示はこれらに限定されない。
【0051】
上記した各実施例に記載のヒンジ構造100に基づいて、図15および図16に示されるように、本開示は、折り畳み式電子機器をさらに提供し、当該電子機器は、ミドルフレーム200と、ヒンジ構造100とを備えることができ、当該ヒンジ構造100の第1支持片1は、ミドルフレーム200に接続される。第1ヒンジ2の第1スライダ212および第2スライダ213、および第2ヒンジ4の第3スライダ42および第4スライダ43がすべて、支持片1に接続され、支持片1が、ミドルフレーム200に接続され、第1ヒンジ2および第2ヒンジ4によって支持片1の運動を制御するため、支持片1によって、ミドルフレーム200を水平展開状態および折り畳み状態の間で切り替えるように制御することができ、例えば、ミドルフレーム200を、図15に示されるように上から下に水平展開されるように制御してもよく、下から上に折り畳まれるように制御してよい。当該電子機器は、ハンドヘルド端末または電子リーダーを含み得るが、本開示はこれに限定されない。
【0052】
当業者は、明細書を考慮して、本明細書に開示される発明を実施した後、本開示の他の実施形態を容易に想到し得るであろう。本出願は、本開示のあらゆる変形、応用または適応性変化を網羅することを意図し、これらの変形、応用または適応性変化は、本開示の普通の原理に準拠し、本開示によって開示されない本技術分野における公知知識または従来の技術的手段を含む。明細書と実施例は、例示としてのみ考慮され、本開示の真の範囲及び思想は添付の特許請求の範囲によって示される。
【0053】
本開示は、上記に既に説明し且つ図面に示した正確な構造に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
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