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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】リファイナーのブレード要素
(51)【国際特許分類】
   D21D 1/22 20060101AFI20220104BHJP
   D21D 1/30 20060101ALI20220104BHJP
   D21D 1/34 20060101ALI20220104BHJP
   B02C 19/20 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
D21D1/22
D21D1/30
D21D1/34
B02C19/20 Z
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020139900
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2021031832
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】19193991.7
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユハ-ペッカ フフタネン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ロイヤス
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048235(JP,A)
【文献】特開2009-013513(JP,A)
【文献】特表2011-524950(JP,A)
【文献】特開昭48-048704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327970(US,A1)
【文献】紙パルプ製造技術シリーズ(5)、紙料の調成、紙パルプ技術協会,1992年04月01日,p34-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21D 1/22
D21D 1/30
D21D 1/34
B02C 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質材料をリファインするのに用いるリファイナーのためのブレード要素対であって、
ブレード要素対の有する各ブレード要素は、リファイン表面を備え、
前記リファイン表面は、前記ブレード要素に沿って延びるブレードバー及びブレード溝と、前記ブレード要素に貫通して延びる複数の開口とを含み、
前記ブレード要素は、ステーターブレード要素及びローターブレード要素を含み、
前記ステーターブレード要素の複数の開口は、第1及び第2開口を含み、
前記ローターブレード要素の複数の開口は、第3及び第4開口を含み、
前記ステーターブレード要素及び前記ローターブレード要素が互いに対面してセットされたときに、前記第3及び第4開口は、前記第1及び第2開口と重複せずに、前記第1及び第2開口と交互に配置され、
前記第1及び第2開口はそれぞれ、前記リファイン表面で前記第3及び第4開口よりも大きな長さを有する、ブレード要素対。
【請求項2】
前記ブレード要素の前記リファイン表面は、開口のない少なくとも一つの中実なリファイン表面領域と、開口を有する少なくとも一つのリファイン表面領域とを備えている請求項1記載のブレード要素対。
【請求項3】
ブレード要素対の各ブレード要素は、第1縁及び第2縁を備え、前記ブレード要素の前記リファイン表面は、前記第1縁から前記第2縁に向けて、前記ブレード要素の軸方向又は径方向に延び、
各ブレード要素は、複数のリファイン表面領域を備え、前記リファイン表面領域は前記ブレード要素を貫通する開口を備え、
前記開口を備えた前記ブレード要素の前記リファイン表面領域は、ブレード要素対の前記ブレード要素が実質的に互いに対面してセットされたときに、軸方向での異なる位置又は径方向での異なる位置にある請求項1又は2記載のブレード要素対。
【請求項4】
前記ステーターブレード要素はブレード片を備え、前記ブレード片は、第1端縁と、第2端縁と、前記第1及び第2端縁の間で延びる側縁とを備え、
前記第1及び第2開口はそれぞれ前記側縁での切り込みであり、前記切り込みは、前記ブレード片の全厚みにわたって貫通し、前記ブレード片の前記側縁から対向する側縁に向けて延びている請求項1ないし3いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項5】
ブレード要素対の前記ブレード要素のそれぞれにおける前記ブレードバー及び前記ブレード溝のパターンの表面ピッチは、大きくても3mmである請求項1ないし4いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項6】
前記ブレードバーの幅は、大きくても、前記ブレード要素におけるピッチの半分である請求項1ないし5いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項7】
前記ブレードバーの高さは大きくても10mmである請求項1ないし6いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項8】
ブレード要素対を形成する前記ブレード要素での前記ブレードバーは、互いに交差している請求項1ないし7いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項9】
前記ブレード要素の前記ブレードバーの間の交差する角度は、10度ないし100度である請求項8記載のブレード要素対。
【請求項10】
前記ブレード要素の前記開口の総開口面積は、前記ブレード要素の前記リファイン表面の表面積の5%ないし30%である請求項1ないし9いずれか1項に記載のブレード要素対。
【請求項11】
繊維質材料をリファインするリファイナーであって、請求項1ないし10いずれか1項に記載のブレード要素対を少なくとも一つ備えているリファイナー。
【請求項12】
固定式のリファイン要素であるステーターと、回転リファイン要素であるローターとを備え、
前記ステーターブレード要素、リファイナーの前記ステーターのためのブレード要素であり、前記ローターブレード要素、リファイナーの前記ローターのためのブレード要素である請求項11記載のリファイナー。
【請求項13】
前記開口は、孔又は穿孔である請求項11ないし12いずれか1項に記載のリファイナー。
【請求項14】
前記開口のサイズ及び/又は形状は、一つのブレード要素の中で変化するように構成されている請求項11ないし13いずれか1項に記載のリファイナー。
【請求項15】
一つのブレード要素の開口のサイズ及び/又は形状は、一つの前記ブレード要素と対面するブレード要素の開口のサイズ及び/又は形状と異なる請求項11ないし14いずれか1項に記載のリファイナー。
【請求項16】
複数の前記ブレード片の前記側縁は、前記ブレード要素の軸方向に延び、各ブレード片は、前記ブレード要素の周方向に隣接したブレード片と相互に結合される請求項4記載のブレード要素対。
【請求項17】
前記ブレード要素はさらに、第2ステーターブレード要素を含み、前記ローターブレード要素は、前記ステーターブレード要素と前記第2ステーターブレード要素との間に配置され、
前記第2ステーターブレード要素の複数の開口は、第5及び第6開口を含み、
前記第2ステーターブレード要素及び前記ローターブレード要素が互いに対面してセットされたときに、前記第3及び第4開口は、前記第5及び第6開口と重複せずに、前記第5及び第6開口と交互に配置される請求項1記載のブレード要素対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維質材料をリファインするリファイナーに関し、特に、繊維質材料をリファインするのに用いるリファイナーに使用するように適用可能なブレード要素対に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、リファイナー(解し機又は叩解装置)と、繊維質材料をリファインする方法とを開示している。特許文献1に開示されたリファイナーは、少なくとも部分的に実質的に互いに対面して配置された、少なくとも一つの第1リファイン表面と少なくとも一つの第2リファイン表面を備えている。これらの間に、リファインしようとする繊維質材料を受けるリファイン室が形成される。第1リファイン表面は、第1リファイン表面を貫通して形成された開口を備え、リファインしようとする繊維質材料はこれを介してリファイン室の中へ供給されるように構成されている。及び/又は第2リファイン表面は、第2リファイン表面を貫通して形成された開口を備え、リファイン室でリファインされた繊維質材料がこれを介してリファイン室から排出されるように構成されている。またその逆でもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ヨーロッパ特許2304101B1号
【0004】
第1リファイン表面を貫通してリファインしようとする繊維質材料をリファイン室に供給すること、及び/又は第2リファイン表面を貫通して既にリファインされた繊維質材料をリファイン室から取り除くことにより、又はその逆により、繊維質材料をリファイン室に供給してリファイン室内の繊維質材料の分布を実質的に均一にすることは可能である。これは、リファインの効率とリファイナーの容量に効果を及ぼす。しかし、この開示されたリファイナーで提供される粉砕の程度、即ちリファインの程度は、特別に高度にリファインされた、典型的には木材ベースの繊維質材料、例えば、生物を原料とした(biobased)新しい製品を製造する場合の添加物として、利用しようとする繊維質材料を提供するには、十分に高いものではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、繊維質材料をリファインするのに用いるリファイナーのための新しいブレード要素対を提供することである。
【0006】
本発明は、独立請求項での特徴によって特徴付けられる。
【0007】
開示されるブレード要素対では、ブレード要素のうち少なくとも一つが回転可能であり、ブレード要素対の有するブレード要素が、実質的に互いに対面してセットされたときに、ブレード要素のうち一つにある開口は、他の一つのブレード要素にある開口とは、軸方向での異なる位置又は径方向での異なる位置にある。
【0008】
ここに開示した解決法によれば、ローターのリファイン表面の開口がステーターのリファイン表面の開口と一致も重複もせず、ローターのリファイン表面の開口からステーターのリファイン表面の開口へ直線的に進むことを許容しない。従って、これにより、全ての繊維質材料は、少なくともいくらかは、リファイン効果の影響に対してさらされる。なぜならば、リファイン効果のもとで行き着かずに(without ending up)リファイナーを通過できる繊維質材料がないからである。従って、ステーター及びローターブレード要素を貫通した開口を備える従来の解決方法と比較すると、繊維質材料を粉砕する程度を上昇させるものである。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、従属請求項の中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記の記載では、次の添付する図面を参照して、好ましい実施形態によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
図1】部分的に断面図で、円錐形リファイナーの側面図を概略的に示す。
図2】部分的に断面図で、円筒形リファイナーの側面図を概略的に示す。
図3】部分的に断面図で、ディスクリファイナーの側面図を概略的に示す。
図4】円錐形リファイナーのためのブレード要素対の側面図を、部分的に断面図で概略的に示す。
図5】ローターブレード要素のリファイン表面の上面図を概略的に示す。
図6】他のディスクリファイナーの側面図を概略的に示す。明確化のために、図面は簡略化して発明のいくつかの実施形態を示し、図中で同じ要素は同じ参照符号で示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、一部を断面で示した、円錐形リファイナー(解し機又は叩解装置)1の非常に概略的な側面図を示す。リファイナー1は、固定式のリファイン要素4、即ちステーター4を備え、これは、リファイン表面6を備えた複数のステーターブレード要素5を備えている。ステーター4は、リファイナー1の枠構造に支持されてよい。図1では、枠構造は明確化のために図示していない。ステーター4の実施形態によれば、これは、ステーター4の周縁の全てにわたって延びる円錐形状のただ一つのブレード要素5を備えてよく、この単一のブレード要素は、ステーター4の均一なリファイン表面6の総体を提供する。ステーター4の他の実施形態によれば、後に図4に示す少なくとも二つのセグメント状のブレード要素、即ちブレード片(segment)5’を備えてよい。これは、互いに隣接して配置され、元は別々だったセグメント状のブレード要素が、ステーター4の均一なリファイン表面6の総体を一緒に提供するものである。リファイナーのステーター4を述べるときのブレード要素という用語は、ステーター4のリファイン表面6の総体を提供するブレード要素を言ってもよいし、ステーター4のリファイン表面6の総体の一部のみを提供するブレード要素を言ってもよい。典型的にはリファイン表面6は、ブレードバーと、それらの間のブレード溝とを備え、ブレードバーとブレード溝との実施形態は、後に図4,5に示される。
【0013】
さらにリファイナー1は、回転リファイン要素7、即ちローター7を備え、これは、リファイン表面9を備えた複数のローターブレード要素8を備えている。ローター7の実施形態によれば、これは、ローター7の周縁の全てにわたって延びる円錐形状のただ一つのブレード要素8を備えてよく、この単一のブレード要素は、ローター7の均一なリファイン表面9の総体を提供する。ローター7の別の実施形態では、互いに隣接して配置された少なくとも二つのセグメント状のブレード要素、即ち、後に図4に示すブレード片8’を備えてよく、これにより元は別々だったセグメント状のブレード要素が、ローター7の均一なリファイン表面9の総体を一緒に提供するものである。リファイナーのローター7を述べるときのブレード要素という用語は、ローター7のリファイン表面9の総体を提供するブレード要素を言ってもよいし、ローター7のリファイン表面9の総体の一部のみを提供するブレード要素を言ってもよい。典型的にはリファイン表面9は、ブレードバーと、それらの間のブレード溝とを備え、ブレードバーとブレード溝との実施形態は、後に図4,5に示される。
【0014】
ローター7はハブ10を有する。これは図1~3ではやや簡略化して示してある。少なくとも一つのローターブレード要素8がこれに支持されている。ローター7のハブ10は、軸部11に取り付けられ、軸部11は、やや概略的に図示したモーター12に取り付けられ、モーター12は軸部11を回転させるように構成されている。例えば矢印RDで表示した回転方向に、軸部11はローター7を回転させる。さらに、円錐形リファイナー1は、明確化のために図1に図示していない装填装置を備えてよい。装填装置は、矢印ADで概略的に表示したようにローター7を往復で移動させるように、軸部11に接続されてよく、対面するブレード要素5,8の間の距離を調節し、即ち、ステーター4,ローター7の間に形成されるリファイン室13、即ちブレード隙間13のサイズを調節する。リファイナーの他の構成要素に対するリファイン室13のサイズは、図1~3では誇張してある。
【0015】
さらにステーターブレード要素5は、ステーターブレード要素5を貫通する開口14を備え、ローターブレード要素8は、ローターブレード要素8を貫通する開口15を備えるので、開口14,15はステーターブレード要素5,ローターブレード要素8の全厚みにわたって貫通するように形成されている。図1中では矢印Aによって軸方向を概略的に示しているが、ステーターブレード要素5の軸方向とローターブレード要素8の軸方向とで、ブレード要素5,8が互いに対面するときに、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15と、軸方向での異なる位置にある。言い換えれば、実質的に互いに対面してセットされるステーターブレード要素5とローターブレード要素8とを含むブレード要素対では、ブレード要素5,8が実質的に互いに対面してセットされたときに、ブレード要素5,8のうち一つの開口14,15は、他のブレード要素5,8の開口14,15と軸方向Aに一致も重複もしないように位置する。従って、ブレード要素5,8を実質的に互いに対面してセットすることとは、ブレード要素5,8のリファイン表面が実質的に互いに向かい合うようにブレード要素5,8を位置させることを言う。言い換えれば、一つのブレード要素のリファイン表面は、ブレード要素対での他のブレード要素のリファイン表面に向かってセットされ、ブレードの端の縁は、リファイナーでの作動位置に合致するように揃えられる。
【0016】
図1のリファイナー1の作用は次の通りである。リファインするべき繊維質材料は、参照符号Fを付した矢印で概略的に示されるように、径の大きいリファイナー1の第1端を通って、かつ径の小さいリファイナー1の第2端を通って、ローター7の内部空間に供給される。これに代えて、ローター7のハブ10を貫通する開口がある場合は、リファインするべき繊維質材料は、径の大きいリファイナー1の第1端のみを通って、又は径の小さいリファイナー1の第2端のみを通って、ローター7の内部空間に供給されてよい。これにより、ローター7の一端からローター7の他端まで繊維質材料がわたって流れることを可能にする。なお、円錐形状の位置は図1の位置と逆に、円錐の小径の端が軸の側にあるようになっていてもよく、作用は上述したものと同じである。典型的には、繊維質材料は、木材ベースのリグノセルロースを含有する繊維質材料であるが、他の植物ベースの繊維質材料であってもよい。リファイナー1に供給される繊維質材料の濃度(consistency)は、0.5ないし5%、例えば0.5ないし3%、好ましくは0.5ないし2%のように低い。
【0017】
ローター7の内側空間から、繊維質材料は、参照符号F15で表示した矢印で概略的に示したように、ローターブレード要素8の開口15を介してリファイン室13の中へ流れる。リファイン室13では、繊維質材料は、ステーターのリファイン表面6とローターのリファイン表面9との相互作用に応答してリファインされる。リファイン室13でリファインされた繊維質材料は、参照符号F14で表示した矢印で概略的に示したように、ステーターブレード要素5の開口14を介してリファイン室13から排出される。
【0018】
ステーターブレード要素5及びローターブレード要素8の軸方向Aに、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15の位置に対して異なる位置にある。即ち、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15と一致も重複もしないように、並んでいる。従って、ブレード要素5,8を貫通する直接の通路は存在しない。これにより、全ての繊維質材料は、少なくともいくらかは、リファイン効果の影響に対してさらされる、即ち、リファイン効果のもとで行き着かずにリファイナー1を通過できる繊維質材料がない。これは、ローターのリファイン表面9の開口15がステーターのリファイン表面6の開口14と一致せず、ローターのリファイン表面9の開口15からステーターのリファイン表面6の開口14へ直線的に進むことを許容しないので、生じるものである。従って、従来の解決方法と比較すると繊維質材料を粉砕する程度を上昇させるものである。しかし、リファインの容量は維持することができる。
【0019】
図2に、一部を断面で示した、円筒形リファイナー(解し機又は叩解装置)2の非常に概略的な側面図を示す。円筒形リファイナー2の基本構造と動作とは、図1の円錐形リファイナー1の場合と実質的に同様であるが、主な違いは、円錐形状の代わりとして、ステーター及びローターの円筒形の形態又は形状である。ステーターとローターとの形態又は形状の相違のために、リファイン室のサイズは、図2の矢印ADで概略的に表示されるように、ステーターの直径を調節することにより、円筒形リファイナー2内で調節される。しかし、円筒形リファイナー2のステーターブレード要素5,ローターブレード要素8の開口14,15の配置は、図1を参照して上述した配置と同様のものである。
【0020】
図3に、一部を断面で示した、ディスクリファイナー(解し機又は叩解装置)3の非常に概略的な側面図を示す。ディスクリファイナー3の基本構造と動作とは、円錐形リファイナー1又は円筒形リファイナー2の場合と実質的に同様であるが、主な違いは、軸部11に対して実質的に垂直な角度で配置されたステーター4とローター7との円盤状の形態又は形状である。図3では、ローター7のハブ10は明確化のために省略してある。円錐形リファイナー1及び円筒形リファイナー2と同様に、ステーター4,ローター7は、ステーター4又はローター7の周縁の全てにわたって延びる環状のただ一つのブレード要素5,8を備えてよく、この単一のブレード要素がステーター4又はローター7の均一なリファイン表面6,9の総体を提供する。あるいはこれに代えて、ステーター4及び/又はローター7は、互いに隣接して配置された少なくとも二つのセグメント状のブレード要素を備えてよく、これにより元は別々だったセグメント状のブレード要素が、ステーター4及び/又はローター7の均一なリファイン表面6,9の総体を一緒に提供するものである。上述したように、典型的にはリファイン表面6,9は、ブレードバーと、それらの間のブレード溝とを備えている。
【0021】
さらに、図3のディスクリファイナーについて述べると、少なくとも一つのステーターブレード要素5は、ステーターブレード要素5を貫通する開口14を備え、少なくとも一つのローターブレード要素8は、ローターブレード要素8を貫通する開口15を備えるので、開口14,15はステーターブレード要素5,ローターブレード要素8の全厚みにわたって貫通するように形成されている。図3中では矢印Rによって径方向を概略的に示しているが、ブレード要素5,8が互いに対面するときに、ステーターブレード要素5の径方向とローターブレード要素8の径方向とで、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15と径方向での異なる位置にある。言い換えれば、実質的に互いに対面してセットされるステーターブレード要素5とローターブレード要素8とを含むブレード要素対では、ブレード要素5,8が実質的に互いに対面してセットされたときに、ブレード要素5,8のうち一つの開口14,15は、他のブレード要素5,8の開口14,15と径方向Rに一致も重複もしないように位置する。
【0022】
リファインする繊維質材料は、参照符号Fで表示した矢印で概略的に示したように、ディスクリファイナー3の内側空間のローター7の側でディスクリファイナー3に供給される。リファインする繊維質材料は、参照符号F15で表示した矢印で概略的に示したように、ローターブレード要素8の開口15を介してリファイン室13の中へ流れる。リファイン室13でリファインされた繊維質材料は、参照符号F14で表示した矢印で概略的に示したように、ステーターブレード要素5の開口14を介してリファイン室13から排出される。
【0023】
ステーターブレード要素5及びローターブレード要素8の径方向Rに、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15の位置に対して異なる位置にある。即ち、ステーターブレード要素5の開口14は、ローターブレード要素8の開口15と一致も重複もしないように、並んでいる。従って、全ての繊維質材料は、少なくともいくらかは、リファイン効果の影響に対してさらされる、即ち、リファイン効果のもとで行き着かずにリファイナー1を通過できる繊維質材料がなく、従って、従来の解決方法と比較すると繊維質材料を粉砕する程度を上昇させるものである。
【0024】
図6は、別のディスクリファイナー3の側面図を概略的に示す。図6のディスクリファイナー3は、第1ステーター4a、第2ステーター4b、及びこれらの間のローター7を備え、これにより、二つのリファイン室が存在する。即ち、第1ステーター4aとローター7との間の第1リファイン室13a、及び第2ステーター4bとローター7との間の第2リファイン室13bである。ローター7は、軸部11の端部にスライド可能に配置され、装填装置(明確化のために図示しない)が第2ステーター4bを装填することが可能になっていて、矢印ADで概略的に表示するようにリファイン室13a,13bのサイズを調節する。
【0025】
ステーター4a、4bはそれぞれ、少なくとも一つのステーターブレード要素5を有する。異なるステーター4a、4bのステーターブレード要素5のリファイン表面6は、同じ特性を有しても、異なる特性を有してもよい。ローター7は、両面になっている少なくとも一つのローターブレード要素8を有する。即ち、ローターブレード要素8の両面にリファイン表面9を有するブレード要素である。これに代えて、ローター7は、互いに接続された少なくとも二つの片面のリファイン要素を有してもよい。ローター7の二つの逆側のリファイン表面9は、同じ特性を有しても、異なる特性を有してもよい。
【0026】
図6のディスクリファイナー3が作動されると、リファインする繊維質材料は、参照符号Fで表示した矢印で概略的に示すように、ディスクリファイナー3の内部空間で第1ステーター4aの側でディスクリファイナー3に供給される。ローター7の左側の矢印F14で概略的に示すように、リファインする繊維質材料は、第1ステーター4aのステーターブレード要素5の開口14を介して第1リファイン室13aに流れる。第1リファイン室13aでリファインされた繊維質材料は、参照符号F15で表示した矢印で概略的に示したように、ローター7のローターブレード要素8の開口15を介して第1リファイン室13aから第2リファイン室13bの中へ排出される。さらに、第2リファイン室13bでリファインされた繊維質材料は、ローター7の右側の参照符号F14で表示した矢印で概略的に示したように、第2ステーター4bのステーターブレード要素5の開口14を介して第2リファイン室13bから排出される。
【0027】
図6中のディスクリファイナー3は、二つのブレード要素対を有するリファイナーの例である。即ち、第1のブレード要素対は、第1ステーター4aのステーターブレード要素5と、ローター7のローターブレード要素8とを備え、また第2のブレード要素対は、第2ステーター4bのステーターブレード要素5と、ローター7のローターブレード要素8とを備えている。従って、ローター7のローターブレード要素8は、両方のブレード要素対に共通である。一つ以上のブレード要素対をリファイナーに設けるために他の解決法、例えば、リファイナー内のローターの数を増やすことなども可能である。
【0028】
図4に、リファイナーのためのブレード要素対20を、一部は断面図で、側面図に概略的に示す。ブレード要素対20は、隣り合って位置するステーターブレード片5’を複数備えているステーターブレード要素5を有する。各ステーターブレード片5’、従ってステーターブレード要素5の総体は、第1縁5a、即ち、第1端縁5a又は内側の縁5aを有し、小さな径を有するリファイナーの端に向かうようになっている。同様に、ステーターブレード要素5、従って各ステーターブレード片5’は、第2縁5b、即ち、第2端縁5b又は外側の縁5bを有し、大きな径を有するリファイナーの端に向かうようになっている。ステーターブレード要素5の軸方向A、従って、各ステーターブレード片5’の軸方向Aは、第1縁5aと第2縁5bとの間で延びる。さらに、各ステーターブレード片5’は、第1縁5aと第2縁5bとの間で延びる側縁5c,5dを有する。ステーターブレード片5’の内面は、ステーターブレードバー16とステーターブレード溝17とを有し、これらの間に個別の各ステーターブレード片5’のリファイン表面6を形成し、これによりステーターブレード要素5の総体のリファイン表面6を形成する。
【0029】
さらに図4のブレード要素対は、隣り合って位置するローターブレード片8’を複数備えているローターブレード要素8を有する。各ローターブレード片8’、従ってローターブレード要素8の総体は、第1縁8a、即ち、第1端縁8a又は内側の縁8aを有し、小さな径を有するリファイナーの端に向かうようになっている。同様に、ローターブレード要素8、従って各ローターブレード片8’は、第2縁8b、即ち、第2端縁8b又は外側の縁8bを有し、大きな径を有するリファイナーの端に向かうようになっている。ローターブレード要素8の軸方向A、従って、各ローターブレード片8’の軸方向Aは、第1縁8aと第2縁8bとの間で延びる。さらに、各ローターブレード片8’は、第1縁8aと第2縁8bとの間で延びる側縁8c,8dを有する。ローターブレード片8’の外面は、ローターブレードバー18とローターブレード溝19とを有し、これらの間に個別の各ローターブレード片8’のリファイン表面9を形成し、これによりローターブレード要素8の総体のリファイン表面9を形成する。ブレード片5’,8’に形成された締結孔が、リファイナーの中にブレード片5’,8’を締結する締結手段を受けるように設けられ、図4では、参照符号21で示されている。
【0030】
各ステーターブレード片5’、及びステーターブレード要素5の総体が、軸方向Aに連続したリファイン表面領域6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h,6iを備えている。このリファイン表面領域6b,6d,6f,6hは、ステーターブレード片5’の全厚みにわたって貫通した開口14を備えたリファイン表面領域であり、リファイン表面領域6a,6c,6e,6g,6iは、中実な構造のリファイン表面領域、即ち開口を持たない領域である。これに対応し、各ローターブレード片8’、及びローターブレード要素8の総体が、軸方向Aに連続したリファイン表面領域9a,9b,9c,9d,9e,9f,9g,9h,9iを備えている。このリファイン表面領域9a,9c,9e,9g,9iは、ローターブレード片8’の全厚みにわたって貫通した開口15を備えたリファイン表面領域であり、リファイン表面領域9b,9d,9f,9hは、中実な構造のリファイン表面領域、即ち開口を持たない領域である。従って、ローター要素とステーター要素との両方で、中実な少なくとも一つの領域、また開口を有する少なくとも一つの領域が存在する。より好ましくは、この要素のうち少なくとも一つが、開口を有する領域に加えて、一つ以上の中実な領域を有する。これに対して、他方の要素は、中実な領域と開口している領域との数量及び順序が逆になる。
【0031】
円錐形リファイナー1が組み立てられ、ステーターブレード要素5及びローターブレード要素8が使用のために実質的に互いに対面してセットされたときに、開口15を有するローターブレード要素8のリファイン表面領域9a,9c,9e,9g,9iは、ステーターブレード要素5の中実なリファイン表面領域6a,6c,6e,6g,6iに向けて、ブレード片の軸方向A、即ちリファイナーの軸方向にセットされる。これに対応して、開口14を有するステーターブレード片5’のリファイン表面領域6b,6d,6f,6hは、ローターブレード片8’の中実なリファイン表面領域9b,9d,9f,9hに向けて、ブレード片5’,8’の軸方向Aにセットされる。言い換えれば、開口14,15を有するリファイン表面領域と、対面するブレード要素の中実なリファイン表面領域とは、シフトした位相、即ち逆の順序になっている。これにより、一つのブレード片5’,8’の開口を有するリファイン表面領域は、他のブレード片5’,8’の開口のないリファイン表面領域と対面してセットされる。即ち、ブレード要素対20では、開口14,15を備えたブレード片5’,8’のリファイン表面領域は、ブレード片5’,8’のリファイン表面6,9が実質的に互いに対面するときに、ブレード片5’,8’の軸方向Aに互いに一致も重複もしないように並ぶことを意味する。言い換えれば、対面するブレード要素5,8の開口14,15は、重複しないので、この両方の要素を貫通する直線的通路は形成されない。即ちこれは、いかなる繊維質材料の部分も、リファインの影響を受けずにローターブレード要素8の開口15からステーターブレード要素5の開口14へ直線的には進めないことを意味する。なぜならば、ステーターブレード要素5の開口14とローターブレード要素8の開口15との間に、直線的に見通せる接続が生じないからである。
【0032】
上述したリファイン表面領域は、円筒形リファイナー及びディスクリファイナーのためのブレード要素にも利用されてよい。
【0033】
図4のブレード要素対で、ローターブレード片8’の開口15はローターブレード片8’の中央部に位置するのに対して、ステーターブレード片5’の開口14は、ステーターブレード片5’の側縁8c,8dに位置する。従って、ステーターブレード片5’の開口14は、ステーターブレード片5’の側縁8c,8dに配置された切り込み(indents)であり、これはステーターブレード片5’の全厚みにわたって貫通し、ステーターブレード片5’の側縁8c,8dから対向する側縁8c,8dに向けて延びている。ブレード片の側縁での切り込みである開口の利点は、ブレード片の剛性が、ブレード片の中央部に開口を有するブレード片の剛性よりも高いことである。即ちこれは、ブレード片の厚みを減少させる可能性がある。従って、ブレード片の重量と、ローターブレード片にもエネルギーが加わった場合にローターを回転させるのに要するエネルギーとを減少させる可能性がある。
【0034】
図4のブレード要素対では、ローターブレード片8’の開口15は円形であるのに対し、ステーターブレード片5’の開口14は長く延びている。これに代えて、開口14,15は例えば、卵形や三角形であってよく、又は互いに異なる多角形であってよい。開口のサイズは、繊維長である最小値から、要素の長さの半分である最大値まで大きく変化してよく、開口のサイズは、異なるリファイン表面領域の間で変化してよい。ブレード要素5,5’,8,8’の開口14,15の総開口面積は、ブレード要素5,5’,8,8’のリファイン表面6,9の表面積の5~30%、典型的には16~24%の範囲である。しかしリファイナーの容量と使用する原材料とに依存して、10%未満の値が好ましい。ブレード要素5,5’,8,8’のリファイン表面6,9の表面積に対して開口14,15の総開口面積が小さいことは、ブレードバーの刃先の長さの総計を増加させ、従って、リファインされた繊維質材料を粉砕する程度を高くする。上述したように、開口する領域は一つ以上の開口14,15からなり、その形状は、円形、卵形、三角形、又は任意の多角形であってよく、リファイン要素の中、及び/又はリファイン要素対の中で、形状は同様であっても変化があってもよく、例えば、開口の形状は、要素の第1端部領域から第2端部領域に向けて違いのある開口などのように、領域的に異なっていてよい。あるいは、開口14,15の形状又は複数の形状は、図4のローター要素の形状と比較してステーター要素で異なっていてよい。さらに、開口14,15のサイズは、リファイン要素及び/又はリファイン要素対の中で変化してよい。例えば、開口のサイズが、第1端部領域で小開口、第2端部領域で大開口となるように領域的に変化してよいし、またその逆でもよいし、あるいは、図4に示すようにローター要素の開口15がステーター要素の開口14と異なるサイズであってよい。この要素の中の開口14,15は、要素の側縁の間の中間部分にある孔又は穿孔の形状であってよいが、側縁での切り込み又は切り欠きの形状であってもよい。
【0035】
図5は、図4のローターブレード片8’と、そのリファイン表面9との上面図を概略的に示す。リファイン表面9は、ブレードバー18とブレード溝19とを有する。ブレードバー18は、繊維質材料に対してリファイン効果を与え、ブレード溝19は、リファイン表面9でリファインされるように繊維質材料を搬送する。さらに図5に、破線を重ねて表示したように、ローターブレード片8’と対面してセットされるステーターブレード片5’のいくつかのブレードバー16とブレード溝17とを示す。下記の記載では、ローターブレード要素又はローターブレード片のためのリファイン表面9の特性を考慮する。特に他に断らない限り、ステーターブレード要素又はステーターブレード片のためのリファイン表面6の特性も同様である。
【0036】
実施形態によれば、リファイン表面9のピッチP、即ち単一のブレードバー18の共通の幅、及び、ブレードバー18の隣の単一のブレード溝19の共通の幅は、大きくとも3mmである。大きくとも3mmであるピッチP(例えば、バー/溝のパターンの表面ピッチ)は、非常に密のブレードバー、ブレード溝の構成を提供する。これにより、リファイナー内のステーターブレード要素5,ローターブレード要素8のブレードバー16,18で与えられる刃先の長さは、非常に大きい。上述したステーターブレード要素5,ローターブレード要素8での開口の構成と共通に、このことは、リファインするべき繊維質材料の粉砕の程度が、非常に高い、つまりリファイン済みの材料の少なくとも一部が、ナノ原繊維セルロースの粒子サイズの特性となるほどに、高い、という効果がある。「ナノ原繊維セルロース」という用語は、ここでは、植物由来の、特に木材由来の繊維質材料から得られた、別々のセルロース微小繊維又は微小繊維バンドルの集合を言う。ナノ原繊維セルロース(NFC)の同義語は、例えば、ナノ原繊維からなるセルロース、ナノセルロース、マイクロ原繊維セルロース、セルロース・ナノ繊維、ナノスケール・セルロース、マイクロ原繊維からなるセルロース(MFC)、又はセルロース微小繊維である。粉砕の程度に依存して、別々のセルロース微小繊維又は微小繊維バンドルの粒子サイズは、数ナノメートル(nm)又は数マイクロメートル(μm)である。別々のセルロース微小繊維又は微小繊維バンドルの平均長さは、例えば0.2~200μmであってよく、平均直径は、例えば2~1000nmであってよい。
【0037】
実施形態によれば、各ブレードバー16,18の幅W16,W18は、大きくても、ブレード要素のピッチPの半分である。この実施形態では、図5にもどると、各ブレードバー16,18の幅W16,W18が、ブレード溝17,19の幅W17,W19以下であることを意味する。本実施形態の効果は、ブレード要素5,5’,8,8’でのブレード溝17,19の体積は、ブレード要素5,5’,8,8’のリファイン表面6,9が詰まることを防止するのに十分に、大きくなる。
【0038】
実施形態によれば、ブレードバー16,18の高さは典型的には大きくても10mmであるが、溝/バーのパターンが非常に密である場合には、この高さは10mm未満、例えば5mm未満、さらに3mm未満であることが好ましい。典型的には、バーの高さは動作する間に減少されるが、この解決法のリファイナーでは、油圧の性能を犠牲にしないことで小さな高さが好ましい。なぜならば、パルプは孔を介して供給され、溝の体積は油圧の性能を限定しないからである。
【0039】
ブレード要素のピッチと、ブレード要素の開口の総開口面積とは、組み合わせて選択されてよく、リファイナーのブレードバーの共通な刃先の長さが、好ましくは、ローター7の1回転当たり少なくとも50kmである。
【0040】
ブレード要素対20の実施形態によれば、ブレード要素対20を形成するブレード要素5,5’,8,8’でのブレードバー16,18は、互いに交差する。ローターブレード片8’のリファイン表面9とローターブレードバー18とローターブレード溝19とを示す図5にもどると、図5中の一点鎖線で示した軸方向Aに対して、約30度のブレードバー角α18で、ローターブレードバー18,ローターブレード溝19が配置されていることが分かる。一般的に、ローターブレード溝のブレードバー角α18は、0~75度、例えば10~50度である。ステーターブレード片5’のステーターブレードバー16、即ちステーターブレード溝17は、ローターブレード片8’のローターブレードバー18とローターブレード溝19とに対して反対の方向に軸方向Aに関して約0~75度のブレードバー角α16で配置されている。ローターブレード片8’のローターブレードバー18及びローターブレード溝19の姿勢に対してのステーターブレード片5’のステーターブレードバー16及びステーターブレード溝17の姿勢は、図5に破線で概略的に表示してある。一般的に、ステーターブレード要素のブレードバー角α16は、例えば5~40度であってよい。
【0041】
ブレード要素対の中の対面するブレード要素5,5’,8,8’でのブレードバー16,18の交差する構成は、リファインされるべき繊維質材料に十分に大きな剪断力が、対面するブレードバー16,18で集中されることを確実にする。この達成しようとする効果のために、対面してセットされるブレード要素5,5’,8,8’のリファイン表面6,9でのブレードバー16,18の間の角度、即ち交差する角度α16+α18は、10~100度の間で変化してよい。
【0042】
本技術の当業者にとっては、技術が進歩するにつれて、発明にかかわる概念がさまざまな手法で構成されうることは明らかである。本発明とその実施形態は、上述の例に限定されるものではなく、請求項の範囲内で変化することが可能である。従って、もし上述の実施形態の中で繊維質材料がローター側でリファイナーに供給されると示されていた場合でも、これに代えて繊維質材料は、ステーター側でもリファイナーに供給されうる。しかしこの場合に、供給圧は上昇させる必要がありうる。なぜならば、固定式の要素であるステーターは、リファイナーのリファイン室へのリファインするべき繊維質材料の供給を促進しないからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6