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特許6990283流体投入のための複数のポートを備えたドリップチャンバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】流体投入のための複数のポートを備えたドリップチャンバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20220104BHJP
   A61M 5/162 20060101ALI20220104BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20220104BHJP
   A61M 5/40 20060101ALI20220104BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61M5/14 510
A61M5/14 520
A61M5/162 500N
A61M5/168 500
A61M5/40
A61M39/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020157133
(22)【出願日】2020-09-18
(62)【分割の表示】P 2016575751の分割
【原出願日】2015-06-17
(65)【公開番号】P2020199335
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】14/319,576
(32)【優先日】2014-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04256103(US,A)
【文献】実開昭54-142995(JP,U)
【文献】特開平7-148256(JP,A)
【文献】特開昭60-501046(JP,A)
【文献】特表2007-535981(JP,A)
【文献】米国特許第04449976(US,A)
【文献】米国特許第02784733(US,A)
【文献】国際公開第1997/011729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(102)であって、該本体の頂部と底部との間に形成されたチャンバ(104)を備え、前記チャンバは、第1の流体が前記チャンバに進入するための一次フローポート(108)に流体結合され、第2の流体が前記チャンバに進入するための二次フローポート(106)に流体結合され、前記第1の流体及び前記第2の流体のいずれかが前記チャンバを出ることができるようにする排出フローポート(110)に流体結合された、本体(102)と、
第1の流路(114)であって、前記第1の流体が前記第1の流路を通って移動し、前記本体の前記頂部を通って前記チャンバに進入するように前記一次フローポート(108)に結合され、前記本体の前記底部から前記本体の前記頂部へ前記本体を通って配置された、第1の流路(114)と、
前記チャンバ内に配置され、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて、前記第1の流路が塞がれる閉塞構成と、前記第1の流路が塞がれない開放構成との間を移動するように構成された、フロート(112)の弁と
を備える、受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項2】
前記フロートの弁は、前記フロートの弁が閉塞構成にあるときに、前記一次フローポートを塞ぐ細長い部材を備える、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項3】
前記細長い部材は、前記一次フローポートの流路チャネルの中にあり、前記チャンバ内での前記フロートの弁の軸方向の移動は、前記細長い部材の前記流路チャネルに沿った軸方向の移動に変わる、請求項2に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項4】
前記フロートの弁が閉塞構成にあるときに、前記細長い部材が前記流路チャネルを塞ぐ、請求項3に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項5】
前記流路チャネルは、前記本体の頂部を通って前記チャンバ内へと延出し、前記第1の流路は、前記流路チャネルを通って延出する、請求項3に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項6】
前記フロートの弁は、前記チャンバ内の流体レベルが排水閾値を超えるとき、前記開放構成から前記閉塞構成に移動するように構成される、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項7】
前記本体壁は、対向する壁又は前記チャンバ内の構造物に噛み合うように折り畳まれるとき、弾性式に変形することができるように十分に弾性である、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項8】
前記フロートの弁及び前記チャンバの各々は、前記チャンバ内で前記フロートと合致して整列するように構成された軸方向の溝又は対応する突起のいずれかを備える、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項9】
前記フロートの弁は、前記フロートの弁の外側面に沿って延在する溝を備え、前記溝は、前記本体の前記頂部及び前記底部との間で、前記チャンバを通って流体が移動することができるように構成される、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項10】
前記二次フローポートは、流体を導くためにその中に延在する内腔を有する静脈注射バッグ用のスパイクを備える、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項11】
前記チャンバに流体結合され、前記チャンバ内から気体を放出するように構成された弁をさらに備える、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項12】
前記排出フローポートの反対側の前記チャンバの頂部が取り外し可能なキャップを備える、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項13】
前記閉塞構成において、前記チャンバ内の前記流体レベルが第1のレベルであり、前記開放構成において、前記チャンバ内の前記流体レベルが前記第1のレベルよりも低い第2のレベルである、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項14】
前記閉塞構成において、前記フロートの弁が前記一次フローポートから前記チャンバへ流体が進入することを妨げ、前記開放構成において、前記フロートの弁が前記一次フローポート及び前記二次フローポートから前記チャンバへ流体が進入することができるようにする、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【請求項15】
前記二次フローポートが前記本体の前記頂部にあり、前記排出フローポートが前記本体の前記底部にあり、前記一次フローポートが前記本体の前記底部にある、請求項1に記載の受動始動式ドリップチャンバデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は一般に医療用流体コネクタの分野に関し、より詳細には医療用の輸液療法で使用するためのフロー制御ドリップチャンバコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の輸液療法は、針又はカテーテルを介する薬物の投与を伴う。薬物は、静脈注射、筋肉注射又は硬膜外技法を用いて投与される場合がある。典型的には輸液療法には、管類を介して患者の静脈注射針又はカテーテルに結合される流体源が含まれる。この流体は、薬物又は任意の他の流体であってよく、通常流体源から流体経路を通って患者の体内へと滴り落ちる。典型的には一次流体源と、1つ又は複数の二次流体源が流体源と患者の間の流体経路に結合されてよい。
【0003】
一次流体源及び二次流体源は、二次流体が一次流体と同時に送達され得るように流体経路内に結合される。或いは一次流体のフローは、二次流体を送達する間は停止され、二次流体のフローが終わった後再開される場合もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、第1及び第2の投入フローポート及び排出フローポートに流体結合されたチャンバと、チャンバ内に配設され、チャンバ内の流体レベルに基づいて、第1の投入フローポートが塞がれる閉塞構成と、第1の投入フローポートが塞がれない開放構成の間を移動するように構成されたフロートとを備える、受動始動式ドリップチャンバデバイスを提供する。
【0005】
本開示の特定の実装形態によると、受動始動式ドリップチャンバデバイスは、内部チャンバを備え、第1の投入フローポート、第2の投入フローポート及び排出フローポートを有し、第1の投入フローポートが内部チャンバと流体結合された開口を備える本体と、内部チャンバ内にあり、開口内に延出するように構成された部分を備えるフロートとを備え、このフロートが、チャンバ内の流体レベルに基づいてチャンバ内で上下するように構成されることで、この部分は開口に対して、第1の投入フローポートを通る流体がこの部分によって遮断される閉鎖構成と、この部分が開口から引き出されることで流体が開口を通ってチャンバ内へと導かれる開放構成の間を移動する。
【0006】
主題の技術の追加の特徴及び利点は、以下の記載において説明され、ある程度はこの記載から明らかになると思われる、或いは主題の技術の実施によって理解される場合もある。主題の技術の利点は、書面による記載及びそのクレーム並びに添付された図面において特に指摘される構造によって理解され達成されるであろう。
【0007】
上述の包括的な記載及び以下の詳細な記載は共に例示であり、且つ説明するものであり、クレーム主張される主題の技術のさらなる説明を与えることが意図されていることを理解されたい。
【0008】
添付の図面は、主題の技術のさらなる理解を与えるために含まれており、この記載の一部に組み込まれ、且つそれを構成しており、主題の技術の態様を図示し、明細書と共に主題の技術の原理を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による受動始動式ドリップチャンバの実施例の斜視図である。
図2】本開示の態様による受動始動式ドリップチャンバの実施例の斜視図である。
図3A】本開示の態様による開放構成における受動始動式ドリップチャンバの実施例の前方断面図である。
図3B】本開示の態様による開放構成における受動始動式ドリップチャンバの実施例の斜視的断面図である。
図4A】本開示の態様による閉塞構成における受動始動式ドリップチャンバの実施例の前方断面図である。
図4B】本開示の態様による閉塞構成における受動始動式ドリップチャンバの実施例の斜視的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な記載において、主題の技術の理解を与えるために特有の詳細が記載されている。しかしながら、主題の技術がこのような特有の詳細の一部がなくても実施され得ることは当業者に明白であろう。他の例では、よく知られた構造及び技術は、主題の技術を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0011】
「一態様」などのフレーズは、そのような態様が主題の技術にとって必須である、又はそのような態様が主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆していない。一態様に関する開示は、全ての構成に適用される場合、或いは1つ又は複数の構成に適用される場合がある。一態様は、本開示の1つ又は複数の実例を提供する場合もある。「一態様」などのフレーズは、1つ又は複数の態様を指す場合があり、その逆もまた同様である。「一実施例」というフレーズは、そのような実施例が主題の技術にとって必須である、又はそのような実施例が主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆していない。一実施例に関する開示は、全ての実施例に適用される場合、或いは1つ又は複数の実施例に適用される場合もある。一実施例は、本開示の1つ又は複数の実例を提供する場合もある。「一実施例」などのフレーズは、1つ又は複数の実施例を指す場合があり、その逆もまた同様である。「一構成」などのフレーズは、そのような構成が主題の技術にとって必須である、又はそのような構成が主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆していない。一構成に関する開示は、全ての構成に適用される場合、或いは1つ又は複数の構成に適用される場合がある。一構成は、本開示の1つ又は複数の実例を提供する場合もある。「一構成」というフレーズは、1つ又は複数の構成を指す場合があり、その逆もまた同様である。
【0012】
本開示は、医療用の輸液療法で使用するための受動始動式ドリップチャンバに関する。図1は、患者(図示せず)に対する一次流体源908と二次流体源906のフローを制御するように構成された受動始動式ドリップチャンバ100の実施例を図示する。受動始動式ドリップチャンバ100は、二次流体源906と、一次流体源908と患者の間の流体経路910とに流体結合されてよい。結合すると、一次流体源908からのフローを受動始動式ドリップチャンバ100に送達させることができる。受動始動式ドリップチャンバ100はこのとき、患者に対する一次流体源908及び二次流体源906のフローを制御することができる。図2を参照すると、一次流体源908と患者(図示せず)の間の流体経路910に流体結合された複数の受動始動式ドリップチャンバ100と、複数の二次流体源906とを有する実施例が図示されている。
【0013】
図3A図4Bを参照すると、受動始動式ドリップチャンバ100は、チャンバ104を形成する本体102と、流体が流体源(例えば静脈注射バッグ(「IVバッグ」)又はIVバッグに接続されたライン)からチャンバ104に進入することができる2つ以上のフローポートと、流体がチャンバ104を出ることができる排出ポート110とを備える。一部の実施例において、本体102は、一次流体908がドリップチャンバに進入することができるポートと、二次流体906がドリップチャンバに進入することができるポートと、流体がドリップチャンバを出るためのポート110とを備える。各々の906/908のポートは、本体102内のチャンバ104に流体接続される。一部の実施例において、二次フローポート106は本体102の頂部(例えば排出ポートより上の又はそれと反対側の一端)に配設され、一次フローポート108と排出フローポート110は本体102に沿って配設される。一次フローポート108からの流体がチャンバ104の頂部部分に進入するように、一次フローポート108は、本体102を通るように配設された流路114に流体結合される。いくつかの実施例において、流路114を備える本体102のこの部分は、チャンバ104の頂部部分からのチャネル134として延在し、一部の実施例では、本体102のこの部分は、チャンバ104の頂部部分からチャンバ104の内部にあるチャネル134として延在する流路114である。二次フローポート106は、流体バッグなどの二次流体源906と結合するように構成される。二次フローポート106は、ルアー継ぎ手を含めた流体継ぎ手を使用して流体バッグと結合される場合もある。いくつかの実施例において、二次フローポート106は、流体バッグとチャンバを流体結合させるために、その中に延在する内腔を有する静脈注射バッグ用のスパイク116を備える。
【0014】
図4Bを参照すると、2つ以上の流体源から患者に対するフローが本体102内で制御される。より具体的には一次流体のチャンバ104内へのフローは、二次流体がチャンバ104に進入する際に、減少される又は停止される。一次流体のチャンバ104内へのフローは、チャンバ104内の弁、流体経路又は流体導管を閉鎖することによって止められる。図4Bを参照すると、二次流体のチャンバ104内へのフローが減少する、又は終わったとき、チャンバ内の流体レベルが低下し、そこで弁、流体経路又は流体導管を開放することで一次流体が再びチャンバ104内に流れ込むことができる。二次流体が流れる間、一次流体のフローを減少させる又は止めて、その後二次流体が完了した後、一次流体のフローを再開することによって、患者に対する二次流体の完璧且つ正確な送達を保証することができ、介護人によるその後の調節はほとんど又は全く伴わない。
【0015】
本体102は、本体102の壁を可撓性にすることが可能な可鍛性であるが弾性の材料で構成されてよい。例えば壁は、壁が対向する壁又はチャンバ内の構造物に噛み合うように折り畳まれる際、弾性式に変形することができるように十分に弾性であってよい。いくつかの実施例において、本体102の壁は、チャンバ104内から空気又は他の気体を放出するために押しつぶされる場合もある。空気は二次流体源へと放出されてよい、又は疎水性フィルタなどの弁128を介して大気中に放出される場合もある。本体102及びチャンバ104は、所望される流量及び体積を達成するいずれのサイズでもよい。例えばチャンバ104の体積は、特有の流量を達成するため、又は特有の弁サイズを保持するように選択されてよい。本体102の壁の厚さは、特有の弾性を達成するように選択されてよい。
【0016】
いくつかの実施例において、本体102は、本体102上の代替の又は追加の場所に1つ又は複数のフローポートを有する場合がある。例えば一次フローポート108は、二次フローポート106に対して平行に本体102に結合されてよい。いくつかの実施例において、二次フローポート106は、キャップ120がチャンバ104の頂部を包囲するように本体102に結合されたキャップ120として形成される場合もある。いくつかの実施例において、キャップ120は本体に取り外し可能に結合されることで、チャンバ104への接近を可能にする。キャップ120は、予備の流路122を含むことができる。予備の流路122が、二次フローポート106とキャップ120の外側面上のアクセスプラグ124aの間でキャップ内を通るように配設される場合がある。キャップ120が追加のアクセスプラグ124bを含むことで、一次フローポート108の流路114への到達を可能にする場合もある。
【0017】
いくつかの実施例において、弁は、チャンバ104の頂部における二次フローポート106とチャンバ104の底部における排出フローポート110の間でチャンバ104内に配設されたフロート112を含む。フロート112は任意の形状であってよいが、好ましくはチャンバ104内に嵌合するように成形され、チャンバ104の頂部と底部の間を軸方向に移動するように構成されてよい。
【0018】
図4Bを参照すると、フロート112は、外側面上に1つ又は複数の軸方向の溝130を有する円筒形であってよく、この軸方向の溝は、チャンバ104の表面に沿ったレール、ガイド又は突起132と合致するように構成される。溝130とレール132が合致することによって、フロートがチャンバ内で軸方向に移動することを可能にし、さらにフロートのねじれるような回転を阻止する。いくつかの実施例において、溝130がチャンバの内側面上にあり、レール、ガイド又は突起132はフロート112の外側面上にある場合もある。
【0019】
フロート112の直径は、移動する際のチャンバ内の安定性を保証し、さらに流体がフロート112の周りを流れることを可能にするように選択されてよい。いくつかの実施例において、溝130又はくぼみがフロート112の周りの流体の流路を提供する。いくつかの実施例において、チャンバ104は、フロート112がチャンバ内の最も下の位置にあるとき排出ポート110が流体密閉されるように環状リング又はシートを備えることで、空気がチャンバ104内を通って患者又はポンプへと進む可能性を回避する又は低下させる。
【0020】
フロート112は、特有の流体レベルに関係してそれを上下させる特有の浮力を備えてよい。フロート112は、中実又は中空であってよく、空気又は気泡を含む場合もある。好ましくはフロート112の材料は、チャンバ104内の環境において劣化することがない。いくつかの実施例において、フロート112の浮力は調節可能である。例えばフロート112は、浮力を調節するためのダイアル又は切り替え器を備える場合もある。
【0021】
図4A図4Bを参照すると、フロート112の一部は、フロート112からチャンバの頂部に向かって延出する突起118を含む場合がある。いくつかの実施例において、突起は、デバイスのフローチャネルに対するフロートの相対的な向きに応じて他の方向に延びる場合もある。突起118の少なくとも一部は、ドリップチャンバ104の頂部において一次フローポート108の流路114の中へと延びている。フロート112が排出フローポート110に隣接する最も下の位置にあるとき、例えば二次フローポート106からのフローが全く存在しないとき、突起118は半ば流路114の中に延びている。いくつかの実施例において、キャップ120の一部は、チャンバの頂部部分から下方にチャンバ104内へと延出し、流路114を備える。チャンバ104内へと延出するキャップ120の一部はさらに、流路114とチャンバ104の間に流体連通を提供するチャネル134を備える場合がある。チャネル134は、流路114に沿って、且つチャンバ104内へと延出するキャップ120の一部を通るように配設されてよい。
【0022】
突起118の一部のみがチャネル134内に延出する場合、開き口126によって流体が一次フローポート108を通り、流路114及びチャネル134を通り、且つ開き口126を通ってチャンバ104内に流れ込むことが可能になる。二次フローポート106からのフローがチャンバ104に進入する際、フロート112はドリップチャンバ104内を上昇する。フロート112がチャンバ104内を上昇する際、突起118はチャネル134に沿って進み、これにより開き口126を通り抜けるフローを阻止し、流路114を塞いで、一次フローポート108からチャンバ104内へのフローを停止させる。二次フローポート106からチャンバ104内へのフローが減少又は中断すると、フロート112が下降し、これにより突起118をチャネル134に沿って後退させる、又は引っ込めて開き口126を露出させ、一次フローポート108からのフローがチャンバ104に進入し、最終的には排出ポート110から出て行くことを可能にする。
【0023】
いくつかの実施例において、フロート112が2つ以上の突起118を含むことで、チャンバ104内への2つ以上のフローポートを制御する場合がある。例えばフロート112は、長さが変わる2つの突起118を含む場合がある。フロート112が上昇する際、短い方の突起が第2の流体フローポートを塞ぐ前に、長い方の突起118が第1の流体フローポートを塞ぐことになる。この実例では、フロート112が短い方の突起118もまた第2の流体フローポートを塞ぐようにするレベルに上昇するまで二次流体フローポートからチャンバ104内へのフローは継続することになる。
【0024】
いくつかの実施例において、本体102は2つ以上のチャンバ104及びフロート112を備えることで、2つ以上の一次又は二次流体を受動始動式ドリップチャンバ100と結合させることが可能になる。いくつかの実施例において、低い方のフロート112と高い方のフロート112は、チャンバ104内で直線上に配設されることで、チャンバ104内への複数の流体のフローを制御することが可能になる。例えば低い方のフロート112は、高い方のフロート112内の開き口を通って延出する突起118を有する場合がある。或いは高い方のフロート112が、低い方のフロート112の突起118が高い方のフロート112の側部に沿って移動することを可能にするように構成された表面のくぼみを有する場合もある。いくつかの実施例において、第1のフロート112と、第2のフロート112は、チャンバ104内に平行に配置される。例えば各々のフロート112が、チャンバ104内へと導くフローポートを制御するための突起118を備える場合もある。
【0025】
上述の記載は、本明細書に記載される種々の構成を実施することを当業者に可能にするために提供されている。様々な図面及び構成を参照して主題の技術をとりわけ記載してきたが、これらは単なる例示の目的であり、主題の技術の範囲を限定するものと捕らえるべきではないことを理解されたい。
【0026】
主題の技術を実施するための多くの他の方法が存在し得る。本明細書に記載される種々の機能及び要素は、主題の技術の範囲から逸脱することなく示されるものとは異なるように区切られる場合もある。これらの構成に対する種々の修正は当業者にとって容易に明白であり、本明細書で定義される包括的な原理は他の構成に適用される場合もある。よって主題の技術の範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更及び修正を主題の技術に対して行うことができる。
【0027】
本明細書で使用される際、アイテムのいずれかを区別するために用語「及び(and)」或いは「又は(or)」を伴う、先行する一連のアイテムのうちの「少なくとも1つ」というフレーズは、そのリストの各々の構成物(すなわち各々のアイテム)ではなく、全体としてそのリストを修飾する。「少なくとも1つ」というフレーズは、列記される各々のアイテムの少なくとも1つの選択を要求するのではなく、むしろこのフレーズによって、アイテムのいずれか1つのうちの少なくとも1つを含むこと、及び/又はアイテムの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むこと、及び/又はアイテムの各々のうちの少なくとも1つを含むことを意味することが可能になる。一例として、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」というフレーズは各々、Aのみ、Bのみ又はCのみを指す、A、B及びCの任意の組み合わせ、並びに/或いはA、B及びCの各々のうちの少なくとも1つを指している。
【0028】
さらに「含む(include)」、「有する(have)」などの用語は、詳細な説明又はクレーム中で使用される範囲において、そのような用語は、クレーム中のトランジショナル・ワード(transitional word)として採り入れられる場合、用語「備える(comprise)」が解釈される場合の用語「備える(comprise)」と同様に包括的であることが意図されている。用語「例示の」は、本明細書では、「特定の実例、例又は例示としての役目をする」ことを意味するように使用される。「例示」として本明細書に記載されるいずれの実施例も、必ずしも他の実施例に対して好ましい又は有利なものと解釈されるものではない。
【0029】
単数形での要素の言及は、具体的に述べられなければ、「1つ及び1つのみ」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。用語「いくつかの」は、1つ又は複数を指す。当業者に知られた、又は後に知られるようになる本開示を通して記載される種々の構成の要素に対する全ての構造上又は機能上の等価物は、参照により本明細書に明白に組み込まれており、且つ主題の技術によって包含されることが意図される。さらに本明細書に開示されるものは、そのような開示が上記の記載において明白に記載されるかどうかに関わらず、公衆に提供されることは意図されていない。
【0030】
主題の技術の特定の態様及び実施例を記載してきたが、これらは単なる例として提示されており、本主題の技術の範囲を限定することは意図されていない。当然のことながら、本明細書に記載される新規の方法及びシステムは、その精神から逸脱することなく多様な他の形態において具現化される可能性もある。添付のクレーム及びその均等物は、主題の技術の範囲及び精神の範囲内にあるそのような形態又は修正形態を包含することが意図されている。
【0031】
本明細書に記載されるものは少なくとも以下の概念である。
概念1 第1及び第2の投入フローポート及び排出フローポートに流体結合されたチャンバと、
前記チャンバ内に配設され、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて、前記第1の投入フローポートが塞がれる閉塞構成と、前記第1の投入フローポートが塞がれない開放構成の間を移動するように構成されたフロートとを備える、受動始動式ドリップチャンバデバイス。
概念2 前記フロートは、前記フロートが前記閉塞構成にあるとき、前記第1の投入フローポートを塞ぐ細長い部材を備える、概念1に記載のデバイス。
概念3 前記細長い部材は、前記第1の投入フローポートの流路チャネルの中にあり、前記チャンバ内での前記フロートの軸方向の移動は、前記細長い部材の前記流路チャネルに沿った軸方向の移動に変わる、概念2に記載のデバイス。
概念4 前記フロートは、前記第2の投入フローポートを通る流体フローが減少することで前記チャンバ内の前記流体レベルが充填閾値を下回るまで降下する際、前記閉塞構成から前記開放構成へと移動するように構成される、概念1に記載のデバイス。
概念5 前記フロートは、前記チャンバ内の前記流体レベルが排水閾値を超える際、前記開放構成から前記閉塞構成に移動するように構成される、概念1に記載のデバイス。
概念6 前記第1の投入フローポートは、前記チャンバに流体を導くように構成されたチャネルを備え、前記フロートは、前記チャネルに沿って移動し、前記フロートが前記閉塞構成にあるとき前記ポートを塞ぐ、或いは前記フロートが前記開放構成にあるとき前記ポートを開放する、前記チャネル内に配設された閉塞部分を備える、概念1に記載のデバイス。
概念7 前記チャンバの壁の少なくとも一部は、対向する壁又は前記チャンバ内の構造物に噛み合うように折り畳まれる際、弾性式に変形することができるように十分に弾性である、概念1に記載のデバイス。
概念8 前記第2の投入フローポートは、特定の流体源と流体結合するように構成された流体コネクタを備える、概念1に記載のデバイス。
概念9 前記流体コネクタは、流体を導くためにその中に延在する内腔を有する静脈注射バッグ用のスパイクを備える、概念8に記載のデバイス。
概念10 前記チャンバに流体結合され、前記チャンバ内から気体を放出するように構成された弁をさらに備える、概念1に記載のデバイス。
概念11 前記排出フローポートの反対側の前記チャンバの頂部が取り外し可能なキャップを備える、概念1に記載のデバイス。
概念12 前記取り外し可能キャップが、前記第1又は第2の投入フローポートのうちの少なくとも一方を備える、概念11に記載のデバイス。
概念13 前記フロート及び前記チャンバの各々は、前記チャンバ内で前記フロートと合致して整列するように構成された軸方向の溝又は対応する突起のいずれかを備える、概念1に記載のデバイス。
概念14 前記フロートは、前記チャンバ内の前記流体レベルが排水閾値を下回るまで降下する際、前記排出フローポートを塞ぐように構成される、概念1に記載のデバイス。
概念15 内部チャンバを備え、第1の投入フローポート、第2の投入フローポート及び排出フローポートを有し、前記第1の投入フローポートが前記内部チャンバと流体結合された開口を備える本体と、
前記内部チャンバ内にあり、前記開口内に延出するように構成された部分を備えるフロートとを備え、
前記フロートが、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて前記チャンバ内で上下するように構成されることで、前記部分が前記開口に対して、前記第1の投入フローポートを通る流体が前記部分によって遮断される閉鎖構成と、前記部分が前記開口から引き出されることで前記流体が前記開口を通ってチャンバ内へと導かれる開放構成の間を移動する、受動始動式ドリップチャンバデバイス。
概念16 前記開口に流体結合されたチャネルをさらに備え、前記フロートの部分は、前記チャネルに沿って延在し、その中を移動するように構成される、概念15に記載のデバイス。
概念17 前記チャンバの壁の少なくとも一部は、対向する壁又は前記チャンバ内の構造物に噛み合うように折り畳まれる際、弾性式に変形することができるように十分に弾性である、概念15に記載のデバイス。
概念18 前記チャンバに結合され、前記チャンバ内から気体を放出するように構成された弁をさらに備える、概念15に記載のデバイス。
概念19 前記排出フローポートの反対側の前記チャンバの頂部部分が取り外し可能なキャップを備える、概念15に記載のデバイス。
概念20 前記取り外し可能キャップが、前記第1又は第2の投入フローポートのうちの少なくとも一方を備える、概念19に記載のデバイス。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B