(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】真空蒸発源
(51)【国際特許分類】
C23C 14/26 20060101AFI20220104BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C23C14/26 A
C23C14/24 B
(21)【出願番号】P 2020513787
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2017010095
(87)【国際公開番号】W WO2019054530
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519077436
【氏名又は名称】アルファ プラス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ド ウォン ファン
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-214787(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0102431(KR,A)
【文献】特開昭51-050237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/26
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部空間部にるつぼを備えた真空蒸発源において、
前記るつぼの底面と前記内部空間部の床面との間をなす下部空間の上半部に位置する底面反射部と、
前記内部空間部の前記床面に備えられて前記底面反射部を支える支え部と、
前記内部空間部の側面と前記るつぼの外部側面との間に位置すると共に前記底面反射部の上面まで延びるヒーターと、
を含
み、
前記底面反射部は、
複数の反射板が重なってなるモジュール形態を有し、
前記複数の反射板のうち最も高いところに位置する最上位反射板は、絶縁材質からなり、
前記ヒーターの下端は、前記最上位反射板の上面に支持される、真空蒸発源。
【請求項2】
前記最上位反射板は、
前記絶縁材質としてセラミックが使用され、
ディスクタイプを有する、請求項
1に記載の真空蒸発源。
【請求項3】
前記支え部は、
前記内部空間部の前記床面に垂直に置かれる垂直支持台と、
前記垂直支持台の上端に備えられ、前記内部空間部の前記床面と水平になるように備えられ、前記底面反射部が安着する水平支持台とを含み、
前記垂直支持台は、
前記底面反射部が前記下部空間の前記上半部に置かれるようにその高さが定められる、請求項1に記載の真空蒸発源。
【請求項4】
前記真空蒸発源は、
前記内部空間部の前記床面に備えられる床反射板をさらに含む、請求項1に記載の真空蒸発源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハーや基板上に薄膜を形成するために用いられる真空蒸発源に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に真空蒸発源は、高真空のチャンバー内に配置された基板上に所定の薄膜を形成するために薄膜形成用物質を加熱して蒸発させるものであり、半導体の製造工程においてウェハー表面に特定物質からなる薄膜を形成したり、大型平板ディスプレイ装置の製造工程においてガラス基板などの表面に所望する物質の薄膜形成に用いられている。
【0003】
【0004】
従来の真空蒸発源は、
図1に示すように、支持棒12等によって支持されて内部空間部11を有するケース10と、内部空間部11に備えられて薄膜形成用物質が入れられるるつぼ20と、内部空間部11の側面とるつぼ20の外部側面との間に位置してるつぼ20の側面を加熱するヒーター30と、内部空間部11の側面とヒーター30との間に備えられてヒーター30の熱をるつぼ20の側面に反射させる側面反射板40と、ケース10の下に置かれる下部電装部50(電源供給装置や温度センサなどを含む。)にヒーター30の熱が相対的に少なく伝達されるように内部空間部11の床部に位置する床反射板60を含む。特に、
図1に示すように、床反射板60は、内部空間部11の床部に位置し、ヒーター30の下端は、るつぼ20の下端とほぼ一致する高さに置かれる。
【0005】
したがって、従来の真空蒸発源は、床反射板60が内部空間部11のうちのるつぼ20から遠く離れた床部に位置すると共にるつぼ20の下にはヒーター30が置かれないので、るつぼ20の底面にヒーター30の熱が相対的に少なく伝達される問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、るつぼの底面を効率的に加熱できる真空蒸発源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の実施形態による真空蒸発源は、ケースの内部空間部にるつぼが備えられた真空蒸発源において、前記るつぼの底面と前記内部空間部の床面との間をなす下部空間の上半部に位置する底面反射部と、前記内部空間部の前記床面に備えられて前記底面反射部を支える支え部と、前記内部空間部の側面と前記るつぼの外部側面との間に位置すると共に前記底面反射部の上面まで延びるヒーターとを含み、前記底面反射部は、複数の反射板が重なってなるモジュール形態を有し、前記複数の反射板のうち最も高いところに位置する最上位反射板は、絶縁材質からなり、前記ヒーターの下端は、前記最上位反射板の上面に支持される。
【0010】
前記最上位反射板は、前記絶縁材質としてセラミックが使用され、ディスクタイプを有し得る。
【0011】
前記支え部は、前記内部空間部の前記床面に垂直に置かれる垂直支持台と、前記垂直支持台の上端に備えられ、前記内部空間部の前記床面と水平になるように備えられ、前記底面反射部が安着する水平支持台とを含み得、前記垂直支持台は、前記底面反射部が前記下部空間の前記上半部に置かれるようにその高さが定められ得る。
【0012】
上述した本発明の実施形態による真空蒸発源は、前記内部空間部の前記床面に備えられる床反射板をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の実施形態による真空蒸発源は、次のような効果を有することができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、底面反射部、支え部、及びヒーターを含む技術構成を提供するので、るつぼの底面に近接して底面反射部が置かれることができ、ヒーターの下端が底面反射部の上面まで延びることができ、るつぼの底面を効率的に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の一実施形態による真空蒸発源を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態による真空蒸発源を概略的に示す図であり、
図3は、
図2の凹部を拡大して示す図である。
【0018】
本発明の一実施形態による真空蒸発源は、
図2及び
図3に示すように、ケース10の内部空間部11にるつぼ20が備えられた真空蒸発源であり、底面反射部110、支え部120、及びヒーター130を含む。以下、
図2及び
図3を引き続き参照して各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
底面反射部110は、ヒーター130の熱をるつぼ20の底面に反射させる構成要素であり、
図2及び
図3に示すように、るつぼ20の底面21と内部空間部11の床面11aとの間をなす下部空間の上半部に位置する。したがって、るつぼ20の底面21に近接して底面反射部110が置かれることができ、るつぼ20の底面21を効率的に加熱することができる。
【0020】
例えば、底面反射部110は、
図3に示すように、複数の反射板が重なってなるモジュール形態を有し得る。したがって、ヒーター130の熱が最上位反射板111(複数の反射板のうち最も高いところに位置する反射板)を越えて伝達されてもその次に置かれる反射板で反射する方式によって反射が行われ得、熱に対する反射効率を上げることができる。
【0021】
さらに、
図3に示すように、複数の反射板のうち最も高いところに位置する最上位反射板111は、絶縁材質からなり、ヒーター130の下端131は最上位反射板111の上面に支持され得る。したがって、ヒーター130の一部が上述した下部空間[るつぼ20の底面21と内部空間部11の床面11aとの間をなす空間]の上半部に位置し得るため、ヒーター130と底面反射部110を介してるつぼ20の底面21を十分に加熱することができる。また、最上位反射板111が絶縁材質からなるので、最上位反射板111にヒーター130が接触してもヒーター130がショート(short)することを防ぐなど、ヒーター130を安定的に支持することができる。
【0022】
特に、最上位反射板111は、絶縁材質としてセラミックが使用され、ディスクタイプ(disc type)を有し得る。したがって、ヒーター130が熱膨張したり熱収縮しても最上位反射板111によって安定的に支持されることができる。また、ディスクタイプのセラミックの使用によってヒーター130の熱をより効率的にるつぼ20の底面21に反射させることができる。
【0023】
支え部120は、底面反射部110を支える構成要素であり、
図2及び
図3に示すように内部空間部11の床面11aに備えられる。
【0024】
例えば、支え部120は、
図3に示すように、垂直支持台121と水平支持台122を含み得る。垂直支持台121は、内部空間部11の床面11aに垂直に置かれ、水平支持台122は、垂直支持台121の上端に備えられ、内部空間部11の床面11aと水平になるように備えられ、底面反射部110がこれに安着する。
【0025】
特に、垂直支持台121は、底面反射部110が上述した下部空間の上半部に置かれるようにその高さが定められ得る。したがって、るつぼ20の底面21が効率よく加熱するように、垂直支持台121によって底面反射部110がるつぼ20の底面21に近接して位置し得る。
【0026】
ヒーター130は、るつぼ20及び上述した底面反射部110に熱を加える構成要素であり、内部空間部11の側面とるつぼ20の外部側面との間に位置すると共にその下端131が底面反射部110の上面まで延びる。したがって、ヒーター130によってるつぼ20の側面及び底面21が直接加熱されたり、上述した底面反射部110を介してるつぼ20の底面21が間接的に加熱され得る。また、ヒーター130が熱膨張したり熱収縮しても上述したセラミック材質の最上位反射板111によって安定的に支持され得る。
【0027】
これと共に、上述した本発明の一実施形態による真空蒸発源は、
図2及び
図3に示すように、内部空間部11の床面11aに備えられる床反射板140をさらに含み得る。
【0028】
したがって、底面反射部110を越えて伝達されたヒーター130の熱が再度床反射板140によって反射するので、電装部(
図2の50参照)にヒーター130の熱が伝達されることを最小化することができる。
【0029】
また、図面に示していないが、電装部(
図2の50参照)に伝達されるヒーター130の熱をさらに最小化するために、このような床反射板140は幾重にも重なってなるモジュール形態を有することもできるであろう。
【0030】
以上のように、本発明の一実施形態による真空蒸発源は、次のような効果を有することができる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、底面反射部110、支え部120、及びヒーター130を含む技術構成を提供するので、るつぼ20の底面21に近接して底面反射部110が置かれることができ、ヒーター130の下端131が底面反射部110の上面まで延びることができ、るつぼ20の底面21を効率的に加熱することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は真空蒸発源に関するものであるため、半導体などの製造に適用されることができ、産業上の利用可能性がある。