(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】光学機器、及び光学機器の合焦方法
(51)【国際特許分類】
G02B 23/00 20060101AFI20220104BHJP
G02B 23/06 20060101ALI20220104BHJP
G02B 7/06 20210101ALI20220104BHJP
【FI】
G02B23/00
G02B23/06
G02B7/06 Z
(21)【出願番号】P 2020522424
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2018020510
(87)【国際公開番号】W WO2019229837
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501439264
【氏名又は名称】株式会社ニコンビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌弘
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-148008(JP,A)
【文献】特開昭53-69052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/00-23/22
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の像を形成する光学系をそれぞれに備えた
一対の鏡筒と、
前記光学系を前記光学系の光軸方向に移動させて前記対象物に合焦させる合焦機構と、
を備え、
前記合焦機構は、
前記一対の鏡筒のそれぞれの光軸に垂直又はほぼ垂直な方向に沿って前記一対の鏡筒のそれぞれに対応して配置された一対の回転軸部であって、前記回転軸部の軸まわりの回転により前記光学系を前記光軸方向に移動させる回転軸部と、一対の前記回転軸部の前記軸まわりの一体とした回転、及び、互いに独立した回転との切替えを行う切替え部と、を有する光学機器。
【請求項2】
一対の前記回転軸部のそれぞれは、前記
一対の鏡筒のそれぞれに対応して同軸で配置されている、請求項
1に記載の光学機器。
【請求項3】
一対の前記回転軸部のそれぞれにおける、前記回転軸部が互いに対向する側とは反対側に、前記回転軸部を前記軸まわりに回転させるための合焦ノブを備えている、請求項
1又は請求項
2に記載の光学機器。
【請求項4】
前記合焦ノブは前記光学機器の外部から把持可能である、請求項
3に記載の光学機器。
【請求項5】
前記一対の鏡筒は、水平方向に平行又はほぼ平行な水平回転軸の軸まわりに回転可能に支持されており、
前記合焦機構及び前記合焦ノブは、前記水平回転軸よりも接眼レンズ側で、かつ、前記光学系
を構成する一部として配置されている正立プリズムより対物側の範囲に配置される、請求項
3又は請求項
4に記載の光学機器。
【請求項6】
前記合焦機構は、
前記一対の鏡筒のそれぞれの内部に配置され前記光学系を保持するレンズ保持部材と、
前記回転軸部の前記軸まわりの回転力を前記レンズ保持部材に伝達して前記レンズ保持部材を前記光軸方向に移動させる回転力伝達部と、を有する、請求項
1から請求項
5のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項7】
前記回転力伝達部は、
一対の前記回転軸部のそれぞれに設けられたピニオンと、
前記
一対の鏡筒のそれぞれにおける前記レンズ保持部材に設けられて前記ピニオンのそれぞれと噛み合うラックと、を有し、
前記回転軸部の前記軸まわりの回転による前記ピニオンの回転力を前記ラックに伝達して前記レンズ保持部材を前記光軸方向に移動させる、請求項
6に記載の光学機器。
【請求項8】
前記切替え部は、一対の前記回転軸部どうしの接続及び解除を行うクラッチを有し、
前記クラッチは、一対の前記回転軸部が互いに対向する側にそれぞれクラッチ部材を有し、前記クラッチ部材同士の接続により一対の前記回転軸部が一体として前記軸まわりに回転し、前記クラッチ部材同士の解除により一対の前記回転軸部のそれぞれが独立して前記軸まわりに回転する、請求項
1から請求項
7のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項9】
前記クラッチ部材の少なくともいずれか一方は、前記回転軸部に対して、前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動可能で、かつ、前記回転軸部に対する前記軸まわりの回転が規制されて前記回転軸部に取り付けられ、
前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動させて、いずれか他方のクラッチ部材と離間させることにより前記クラッチ部材同士の解除を行い、
前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動させて、いずれか他方のクラッチ部材と接触させることにより前記クラッチ部材同士の接続を行う、請求項
8に記載の光学機器。
【請求項10】
前記クラッチ部材の互いに対向する部分には、前記クラッチ部材同士の接続時に噛み合う歯型を有している、請求項
9に記載の光学機器。
【請求項11】
前記クラッチは、
少なくともいずれか一方の前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って、いずれか他方のクラッチ部材側に向けて弾性力を付与する弾性体と、
前記弾性体により弾性力が付与されている前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動させるクラッチスライドと、を有し、
前記クラッチスライドのスライドにより、前記弾性体の弾性力に抗して前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動させることにより、前記クラッチ部材同士の解除を行う、請求項
9又は請求項
10に記載の光学機器。
【請求項12】
前記クラッチは、前記クラッチスライドをスライドさせて前記クラッチスライドを前記クラッチ部材同士が解除される位置で固定するための位置決め部材を有している、請求項
11に記載の光学機器。
【請求項13】
前記クラッチは、
少なくともいずれか一方の前記クラッチ部材を前記回転軸部の長さ方向に沿って摺動させるクラッチスライドと、
前記クラッチスライドをスライドさせて前記クラッチ部材同士の接続位置又は解除位置に前記クラッチ部材が固定されるように、前記クラッチスライドを位置決めする位置決め部材と、を有している、請求項
9又は請求項
10に記載の光学機器。
【請求項14】
前記位置決め部材は前記
一対の鏡筒を連結する連結部に配置されている、請求項
12又は請求項
13に記載の光学機器。
【請求項15】
前記光学系は、複数のレンズを含み、
前記合焦機構は、複数の前記レンズの少なくとも1つを前記光軸方向へ移動させる、請求項1から請求項
14のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項16】
複数の前記レンズは、合焦レンズを含んでいる、請求項
15に記載の光学機器。
【請求項17】
前記合焦機構により前記光軸方向へ移動する前記レンズは、前記鏡筒内に配置されて外部に露出していない、請求項
15又は請求項
16に記載の光学機器。
【請求項18】
一対の鏡筒のそれぞれに配置された、対象物の像を形成する光学系を前記光学系の光軸方向に移動させて前記対象物に合焦させることと、
前記光軸方向に沿った、前記
一対の鏡筒それぞれの前記光学系の一体とした駆動、及び、それぞれの前記光学系の互いに独立した駆動とを切替えることと、を含
み、
前記切替えは、前記一対の鏡筒のそれぞれの光軸に垂直又はほぼ垂直な方向に沿って前記一対の鏡筒のそれぞれに対応して配置された一対の回転軸部であって、前記回転軸部の軸まわりの回転により前記光学系を前記光軸方向に移動させる回転軸部の前記軸まわりの一体とした回転、及び、互いに独立した回転との切替えを含む、光学機器の合焦方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器、及び光学機器の合焦方法に関する。
【背景技術】
【0002】
双眼鏡等の光学機器では、左右の接眼レンズを連動させて光軸方向に移動させることにより対象物に合焦させる合焦機構が設けられる(特許文献1参照)。上記した特許文献1では、左右の合焦機構を独立して調整することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様では、対象物の像を形成する光学系をそれぞれに備えた一対の鏡筒と、光学系を光学系の光軸方向に移動させて対象物に合焦させる合焦機構と、を備え、合焦機構は、一対の鏡筒のそれぞれの光軸に垂直又はほぼ垂直な方向に沿って一対の鏡筒のそれぞれに対応して配置された一対の回転軸部であって、回転軸部の軸まわりの回転により光学系を光軸方向に移動させる回転軸部と、一対の回転軸部の軸まわりの一体とした回転、及び、互いに独立した回転との切替えを行う切替え部と、を有する光学機器が提供される。
本発明の第1の態様では、対象物の像を形成する光学系をそれぞれに備えた左右の鏡筒と、光学系を光学系の光軸方向に移動させて対象物に合焦させる合焦機構と、を備え、合焦機構は、光軸方向に沿った、左右の鏡筒それぞれの光学系の一体とした駆動、及び、それぞれの光学系の互いに独立した駆動との切替えが可能である、光学機器が提供される。
【0005】
本発明の態様では、一対の鏡筒のそれぞれに配置された、対象物の像を形成する光学系を光学系の光軸方向に移動させて対象物に合焦させることと、光軸方向に沿った、一対の鏡筒それぞれの光学系の一体とした駆動、及び、それぞれの光学系の互いに独立した駆動とを切替えることと、を含み、切替えは、一対の鏡筒のそれぞれの光軸に垂直又はほぼ垂直な方向に沿って一対の鏡筒のそれぞれに対応して配置された一対の回転軸部であって、回転軸部の軸まわりの回転により光学系を光軸方向に移動させる回転軸部の軸まわりの一体とした回転、及び、互いに独立した回転との切替えを含む、光学機器の合焦方法が提供される。
本発明の第2の態様では、左右の鏡筒のそれぞれに配置された、対象物の像を形成する光学系を光学系の光軸方向に移動させて対象物に合焦させることと、光軸方向に沿った、左右の鏡筒それぞれの光学系の一体とした駆動、及び、それぞれの光学系の互いに独立した駆動とを切替えることと、を含む、光学機器の合焦方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る双眼鏡(光学機器)の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す双眼鏡の一部を拡大して示す図である。
【
図8】
図6に示すクラッチ(切替え部)の一部を拡大して示す図である。
【
図10】
図9に示す回転力伝達部を分解した分解斜視図である。
【
図11】(A)及び(B)は、回転力伝達部の一例を示す斜視図である。
【
図12】クラッチ部材同士の接続を解除した状態を示す断面図である。
【
図15】
図13に示すクラッチの一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態では、左右の合焦機構を独立して調整する場合と、左右の合焦機構を一体で調整する場合とを切替え可能な光学機器、及び光学機器の合焦方法が提供される。
【0008】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明される内容に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している場合がある。また、以下の説明では、各図に示すXYZ座標系を適宜用いて方向を説明する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、適宜、図中の矢印の指す方向が+方向(例、+X方向)であり、その反対方向が-方向(-X方向)であるとする。
【0009】
図1は、本実施形態に係る双眼鏡(光学機器)100の一例を示す斜視図である。
図2は、双眼鏡100の一例を示す平面図である。双眼鏡100の使用時において、上下方向はZ方向であり、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。また、双眼鏡100の使用時において、左右方向はX方向であり、左方向が-X方向、右方向が+X方向である。Y方向は、双眼鏡100を観察対象物に向けたときの方向であり、+Y側が観察対象物側であり、-Y側が観察者側である。
【0010】
図1及び
図2に示すように、双眼鏡100は、本体部11と、架台12とを有する。本体部11は、左側の鏡筒10L及び右側の鏡筒10Rと、連結部13と、合焦機構20とを備える。以下、左側の鏡筒10L及び右側の鏡筒10Rを包括して、適宜、左右の鏡筒10(又は鏡筒10)と表記する場合がある。左側の鏡筒10L及び右側の鏡筒10Rにおいて、観察者の視点に近い方向(-Y方向)の端部には、それぞれ目当て7L、7Rが設けられる。連結部13は、左側の鏡筒10Lと右側の鏡筒10Rとを一体に連結する。連結部13は、本体部11においてY方向の中央部に設けられている。
【0011】
本体部11は、架台12に搭載される。架台12は、台座部12aと、第1軸部12bと、腕部12cと、第2軸部12dと、軸受12eとを有する。台座部12aは、机上又は台上などの水平面に平行な面に、ボルト等の締結部材を用いて固定される。第1軸部12bは、台座部12aに対して、水平面に垂直又はほぼ垂直な垂直回転軸AX1の軸まわりに回転可能に、台座部12a上に支持される。本実施形態において、垂直回転軸AX1は、例えばZ軸に平行であるが、水平面に垂直であることに限定されず、水平面に対して傾いた方向に設定されてもよい。
【0012】
腕部12cは、第1軸部12bと一体で設けられており、第1軸部12bから+X方向及び-X方向にそれぞれ延びた先を上向き(+Z方向)に向けて屈曲させて設けられている。2本の腕部12cの先端(上端)には、それぞれ軸受12eが設けられている。軸受12eは、第2軸部12dを回転可能に支持する。第2軸部12dは、軸受12eに対して、水平方向に平行又はほぼ平行な水平回転軸AX2の軸まわりに回転可能である。本実施形態において、水平回転軸AX2は、X方向に平行である。2本の第2軸部12dは、腕部12cの上端にそれぞれ配置されており、本体部11の連結部13の-X側端部及び+X方向の端部に取り付けられている。
【0013】
双眼鏡100は、架台12の第1軸部12bが垂直回転軸AX1の軸まわりに回転することにより、本体部11を垂直回転軸AX1の軸まわりに回転させることができる。また、双眼鏡100は、架台12の第2軸部12dが水平回転軸AX2の軸まわりに回転することにより、本体部11を水平回転軸AX2の軸まわりに回転させることができる。その結果、垂直回転軸AX1及び水平回転軸AX2の軸まわりにおけるそれぞれの可動範囲において、観察者が本体部11の向きを自由に設定することができる。なお、本実施形態では、垂直回転軸AX1と水平回転軸AX2とが交わるように構成されているが、この構成に限定されず、垂直回転軸AX1と水平回転軸AX2とが交わらない構成であってもよい。左右の鏡筒10は、本体部11が垂直回転軸AX1及び水平回転軸AX2の軸まわりに回転することにより、本体部11と一体となって垂直回転軸AX1及び水平回転軸AX2の軸まわりに回転する。
【0014】
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
図3は、左側の鏡筒10L及び連結部13の内部の構成を示す断面図である。なお、
図3では、左側の鏡筒10Lの内部を図示しているが、右側の鏡筒10Rの内部についても、左側の鏡筒10Lとほぼ同様の構成となっている。
【0015】
図3に示すように、鏡筒10L(10R)は、それぞれ光学系2L(2R)を有する。左側の光学系2Lおよび右側の光学系2Rは、それぞれ光学系2であることから符号2L(2)、2R(2)と示している(
図1及び
図2参照)。双眼鏡100は、左側の光学系2Lの光軸3Lの向きおよび右側の光学系2Rの光軸3Rの向きを、左右それぞれの光学系2L、2Rの合焦位置(焦点距離)あるいは光学系2のズーム位置等に応じて、水平面内において変更することが可能な構成が適用されてもよい。以下、光軸3Lと光軸3Rとを区別しない場合、適宜、光軸3と表す。左側の光学系2Lの光軸3Lと、右側の光学系2Rの光軸3Rは、Y軸に関して対称に配置される。例えば、双眼鏡100において望遠モードとした場合では、左右の光学系2L、2Rのそれぞれの光軸3L、3Rは、それぞれY方向と平行に設定される。
【0016】
左側の光学系2Lは、
図3に示すように、対物レンズ16、合焦レンズ14、正立プリズム15、及び接眼レンズ17を含む。なお、光学系2Lは、ズーム用のレンズ部材を含んでもよい。ズーム用のレンズ部材は、対物レンズ16、合焦レンズ14、及び接眼レンズ17のうちの少なくとも1つ又は複数のレンズ部材が用いられてもよいし、対物レンズ16、合焦レンズ14、及び接眼レンズ17とは別のレンズ部材が光軸3Lに配置されてもよい。ズーム用のレンズ部材は、光軸3Lに沿って移動可能に設けられ、観察者の視点までの焦点距離を調節することにより、観察対象物のズームを行う。
【0017】
対物レンズ16は、鏡筒10L(10)内に保持される。対物レンズ16は、複数のレンズ部材(図示では1つの凹レンズ及び2つの凸レンズ)を含むが、1つ又は2つのレンズ部材であってもよいし、4つのレンズ部材であってもよい。また、対物レンズ16は、凸レンズと凹レンズとが組み合わされることに限定されず、例えば、複数の凸レンズが組み合わされる構成であってもよい。対物レンズ16には観察対象物からの光が入射する。対物レンズ16は、入射した光を合焦レンズ14に導く。対物レンズ16は、光軸3Lにおいて固定されているが、光軸3Lに沿って移動可能であってもよい。
【0018】
合焦レンズ14は、鏡筒10L(10)内に保持される。合焦レンズ14は、複数のレンズ部材(図示では1つの凹レンズと1つの凸レンズ)を含むが、1つのレンズ部材(例えば凸レンズ)であってもよいし、複数の凸レンズが組み合わされた構成であってもよい。合焦レンズ14は、光学系2L(2)の焦点位置、焦点距離を調整する。合焦レンズ14は、例えば、対物レンズ16から接眼レンズ17までの光路中に配置される。合焦レンズ14は、後述する合焦機構20によって光軸3L(3)に沿った方向に移動して、光学系2L(2)において観察者の視点における焦点位置を調節する。
【0019】
正立プリズム15は、鏡筒10L(10)内に保持される。正立プリズム15は、対物レンズ16により形成される倒立像を正立像に変換する。正立プリズム15は、例えば、対物レンズ16から接眼レンズ17までの光路中(合焦レンズ14から接眼レンズ17までの光路中)に配置される。観察者は、正立プリズム15により倒立像から変換された正立像を、接眼レンズ17を介して観察可能である。なお、正立プリズム15を用いることに代えて、複数のレンズ部材が用いられてもよい。この場合、複数のレンズ部材において中間像を形成させることにより、観察者は、接眼レンズ17を介して正立像を観察可能となる。
【0020】
接眼レンズ17は、鏡筒10L(10)内あるいは目当て7L内に保持される。接眼レンズ17は、複数のレンズ部材(図示では2つの凸レンズ)を含むが、1つのレンズ部材であってもよいし、凸レンズと凹レンズとが組み合わされた構成であってもよい。接眼レンズ17は、光軸3Lに沿って移動可能であってもよいし、光軸3Lにおいて固定されてもよい。接眼レンズ17が光軸3Lに沿って移動可能である場合、目当て7Lの接眼レンズ17の位置と、目当て7Rの接眼レンズ17の位置とを変えることができる。この構成により、観察者における左右の視度差を調節可能となる。なお、接眼レンズ17を固定する場合、目当て7L及び7Rを弾性体で形成し、観察者に合わせて目当て部分を折り返す等して観察者における視度差を調節してもよい。
【0021】
なお、図示では左側の光学系2Lについて示しているが、右側の光学系2Rについても、左側の光学系2Lと同様の構成を有している。
【0022】
合焦機構20は、光学系2L(2)を構成する複数のレンズ部材のうち、少なくとも1つを光軸3の光軸方向(Y方向)へ移動させる。本実施形態において、合焦機構20は、複数のレンズ部材のうち、2つの合焦レンズ14を(すなわち全ての合焦レンズ14を同時に)光軸3Lに沿って(Y方向に)移動させる。
【0023】
図4は、
図3に示す双眼鏡100の一部を拡大して示す図である。
図5は、
図2のB-B線に沿った断面図である。
図6は、
図5のC-C線に沿った断面図である。
図4から
図6に示すように、合焦機構20は、回転軸部21と、合焦ノブ22と、レンズ保持部材23と、回転力伝達部24と、クラッチ(切替え部)25とを有する。合焦機構20を構成する回転軸部21、合焦ノブ22、レンズ保持部材23、回転力伝達部24、クラッチ25について、左側の構成を示す場合には符号21L(21)等と示し、右側の構成を示す場合には符号21R(21)等と示している。
【0024】
回転軸部21は、例えば、長手方向に直交する断面が円形状の棒状の部材であり、左右の鏡筒10のそれぞれに対応して配置される。左側の回転軸部21Lは、左側の鏡筒10Lに配置される。左右の回転軸部21は、水平面(XY面)内において光軸3の光軸方向(Y方向)と垂直又はほぼ垂直な方向、つまりX方向に沿って配置される。回転軸部21Lは、鏡筒10Lに設けられている2つの軸受け18AL、18BL(18)によって回転可能に支持される。回転軸部21Rは、鏡筒10Rに設けられている2つの軸受け18AR、18BR(18)によって回転可能に支持される。
【0025】
左右の回転軸部21は、X方向に平行な回転中心軸AX3について同軸で配置され、2つの軸受け18に支持された状態で、この回転中心軸AX3の軸まわりに回転する。左右の回転軸部21は、回転中心軸AX3の軸まわりに回転することにより、光学系2の一部のレンズ部材を光軸3の光軸方向(Y方向)に移動させる。回転軸部21Lと回転軸部21Rとは、同一の長さを有しているが、長さが異なっていてもよい。また、回転軸部21Lと回転軸部21Rとは、同一の部材が用いられてもよい。回転軸部21Lと回転軸部21Rとを同一の部材とすることにより、製造する部品点数を少なくして、製造コストの増加を抑制できる。
【0026】
合焦ノブ22は、左右の回転軸部21のそれぞれにおいて、回転軸部21が互いに対向する側とは反対側の端部に設けられる。左側の合焦ノブ22Lは、左側の鏡筒10Lから-X側に突出した状態で回転軸部21Lの-X側の端部に設けられる。右側の合焦ノブ22Rは、右側の鏡筒10Rから+X側に突出した状態で回転軸部21Rの+X側の端部に設けられる。左側の合焦ノブ22Lは、左側の回転軸部21Lと一体で回転中心軸AX3の軸まわりに回転可能である。右側の合焦ノブ22Rは、右側の回転軸部21Rと一体で回転中心軸AX3の軸まわりに回転可能である。
【0027】
左右の合焦ノブ22を回転中心軸AX3の軸まわりに回転させることにより、回転軸部21は、それぞれ回転中心軸AX3の軸まわりに回転する。左右の合焦ノブ22は、双眼鏡100の外部から把持可能である。合焦ノブ22は、水平回転軸AX2(
図1及び
図2参照)よりも接眼レンズ17側で、かつ、正立プリズム15(
図3参照)より対物側の範囲に配置される。つまり、合焦ノブ22は、Y方向における位置が、水平回転軸AX2と正立プリズム15との間に配置される。このような配置とすることで、合焦レンズ14を正立プリズム15近傍に配置することができる。また、合焦ノブ22が観察者により近い側に配置されることで、観察者が視度調整のために双眼鏡を覗きながら合焦ノブ22を把持する際の調整作業が容易になる。
【0028】
レンズ保持部材23は、左右の鏡筒10のそれぞれの内部に配置される。レンズ保持部材23は、例えば円筒状であり、光学系2のうち合焦レンズ14を保持する。レンズ保持部材23は、左右の鏡筒10において、それぞれ光軸3の光軸方向へ移動可能に支持されている。左側のレンズ保持部材23Lは、鏡筒10Lに設けられているガイド部19L(19)にガイドされて光軸3L沿って移動可能である。右側のレンズ保持部材23Rは、鏡筒10Rに設けられているガイド部19R(19)にガイドされて光軸3R沿って移動可能である。合焦機構20は、合焦レンズ14を保持したレンズ保持部材23を光軸3の光軸方向(Y方向)に移動させることにより、合焦レンズ14を光軸3の光軸方向に移動させることができる。
【0029】
回転力伝達部24は、回転軸部21の軸まわりの回転力をレンズ保持部材23に伝達してレンズ保持部材23を光軸3の光軸方向に移動させる。回転力伝達部24は、ラック・アンド・ピニオン機構が用いられ、ピニオン27と、ラック28とを有する。ピニオン27は、左右の回転軸部21のそれぞれに設けられる。左側のピニオン27Lは、左側の回転軸部21Lに設けられる。また、右側のピニオン27Rは、右側の回転軸部21Rに設けられる。ピニオン27は、回転軸部21の一部の外径が拡大されて、外周面に歯が形成された構成を有しているが、この構成に限定されず、回転軸部21とは別に作成されたピニオンが回転軸部21に取り付けられる構成であってもよい。ピニオン27は、回転軸部21が回転することにより、回転軸部21と一体で回転中心軸AX3の軸まわりに回転する。ピニオン27の外周面に形成された歯が、ラック28と噛み合っている。
【0030】
ラック28は、左右の鏡筒10のそれぞれにおけるレンズ保持部材23に設けられる。左側のラック28Lは、左側のレンズ保持部材23Lに設けられる。また、右側のラック28Rは、右側のレンズ保持部材23Rに設けられる。ラック28は、レンズ保持部材23の外周に設けられ、光軸3の光軸方向に沿って複数の歯を有する。ラック28は、複数の歯がピニオン27の外周面の歯と噛み合う。この構成により、回転力伝達部24は、回転軸部21の軸まわりの回転によるピニオン27の回転力をラック28に伝達してレンズ保持部材23を光軸方向に移動させる。この構成に限定されず、レンズ保持部材23とは別に作成されたラックがレンズ保持部材23に取り付けられる構成であってもよい。
【0031】
なお、回転力伝達部24は、ラック・アンド・ピニオン機構が用いられることに限定されない。回転軸部21の回転をレンズ保持部材23の直線移動に変換可能な任意の回転・直動変換機構が用いられてもよい。また、レンズ保持部材23の移動を、電動モータ等の駆動力によって行ってもよい。
【0032】
クラッチ25は、一対の回転軸部21の軸まわりの一体とした回転、及び、互いに独立した回転との切替えを行う切替え部である。クラッチ25は、一対の回転軸部21どうしの接続(連結)及び解除を行う。クラッチ25は、クラッチ部材29と、弾性体30と、クラッチスライド31と、接続/解除部材32とを有する。
図7は、
図5のD-D線に沿った断面図である。
図8は、
図6に示すクラッチ25の一部を拡大して示す図である。
図9は、クラッチ25の一例を示す斜視図である。
図10は、
図9に示すクラッチ25を分解した分解斜視図である。
【0033】
図7から
図10に示すように、クラッチ部材29は、円板状の部材であり、一対の回転軸部21が互いに対向する側の端部にそれぞれ取り付けられる。左側のクラッチ部材29Lは、左側の回転軸部21Lの+X側の端部に取り付けられ、回転軸部21Lと一体となって回転する。また、右側のクラッチ部材29Rは、右側の回転軸部21Rの-X側の端部に取り付けられ、回転軸部21Rと一体となって回転する。
【0034】
クラッチ25は、左側のクラッチ部材29Lの+X側の端面29Laと、右側のクラッチ部材29Rの-X側の端面29Raとが対向して配置される。クラッチ25は、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが接触して一体として回転する接続状態と、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが離間した解除状態とに設定可能である。接続状態では、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが連結されて、回転軸部21L、21Rのいずれか一方の回転を、回転軸部21L、21Rのいずれか他方に伝達する。解除状態では、回転軸部21L、21Rのいずれか一方を回転させても、その回転を回転軸部21L、21Rいずれか他方には伝達しない。
【0035】
クラッチ部材29Lの端面29Laにおける外縁部分、及び、クラッチ部材29Rの端面29Raにおける外縁部分には、互いに接触した際に噛み合う歯型29tがそれぞれ設けられている。歯型29tは、それぞれ端面29La、29Raの外周に沿って設けられる。歯型29tが設けられることにより、上記した接続状態では、クラッチ部材29Lの歯型29tと、クラッチ部材29Rの歯型29tとが噛み合って、両者間に滑りが生じるのを防止し、回転軸部21Lと回転軸部21Rとを一体として回転させることが可能となっている。
【0036】
クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが接続状態となることにより、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとの間で回転中心軸AX3の軸まわりの回転が伝達され、一対の回転軸部21L、21Rが一体として回転中心軸AX3の軸まわりに回転する。また、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが解除状態となることにより、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとの間で回転が伝達されないため、回転軸部21L、21R(一対の回転軸部21)のそれぞれが独立して回転中心軸AX3の軸まわりに回転可能となる。このように、一対の回転軸部21は、回転中心軸AX3の軸まわりに一体とした回転と、互いに独立した回転とが可能である。
【0037】
右側のクラッチ部材29Rは、中心部分に回転中心軸AX3に沿って貫通する挿入穴29Rbを有する。右側の回転軸部21Rには、-X側の先端に小径部21aが設けられている。クラッチ部材29Rの挿入穴29Rbには、小径部21aが挿入される。小径部21aは、回転軸部21Rの-X側の先端部分が段部21bにおいて外径が縮小された状態である。小径部21aの-X側の端面には、ネジ部材33Rが取り付けられる。クラッチ部材29Rは、ネジ部材33Rにより小径部21aにおける-X方向への抜けが規制されている。ネジ部材33Rのヘッドは、右側のクラッチ部材29Rの端面29Raに設けられる歯型29tに干渉しない径に形成される。このクラッチ部材29Rは、段部21bとネジ部材33Rとの間の部分を回転中心軸AX3方向(X方向)に移動可能である。
【0038】
また、小径部21aは、オリフラ部21fを有する。一方、クラッチ部材29Rの挿入穴29Rbは、オリフラ部21fに対応する平面部を有する。従って、この挿入穴29Rbの平面部がオリフラ部21fに対応することで、クラッチ部材29Rは、小径部21aにおいて段部21bとネジ部材33Rとの間を移動可能でありながら、回転中心軸AX3の軸まわりへの回転が規制される。
なお、小径部21aとクラッチ部材29Rのそれぞれにキー溝を形成し、両部材のキー溝にキーを挿入する構成としてもよい。
【0039】
また、左側のクラッチ部材29Lは、中心部分に回転中心軸AX3に沿って貫通する挿入穴29Lbを有する。左側の回転軸部21Lには、+X側の先端に小径部21cが設けられている。挿入穴29Lbには、小径部21cが挿入される。小径部21cは、回転軸部21Lの+X側の先端部分が段部21dにおいて外径が縮小された状態である。小径部21cの+X側の端面には、ネジ部材33Lが取り付けられる。クラッチ部材29Lは、ネジ部材33Lにより小径部21cにおける+X方向への抜けが規制されている。左側のクラッチ部材29Lは、ネジ部材33Lに当接した状態で配置される。
【0040】
クラッチ部材29Lと段部21dとの間には、スペーサ34が配置される。このスペーサ34により、クラッチ部材29Lは、X方向への移動が規制された状態となっている。クラッチ部材29Lは、スペーサ34とネジ部材33Lとに挟まれることにより、回転中心軸AX3方向(X方向)への移動が規制される。このように、スペーサ34を用いることにより、左側の回転軸部21Lにおける小径部21c、段部21dの構成を、右側の回転軸部21Rの小径部21a、段部21bの構成と同様にすることができる。従って、左右の回転軸部21及び左右のクラッチ部材29を左右で個別に設計する必要がなく、左右共通の部材を用いることができるため、設計負担の低減化、製造コストの低減化を図ることができる。
【0041】
また、回転軸部21Lの小径部21cは、回転軸部21Rの小径部21aと同様にオリフラ部を有する。一方、クラッチ部材29Lの挿入穴29Lbは、クラッチ部材29Rの挿入穴29Rbと同様に平面部を有している。従って、挿入穴29Lbの平面部がオリフラ部に対応することで、クラッチ部材29Lは、小径部21cにおいて回転中心軸AX3の軸まわりへの回転が規制される。
【0042】
なお、上記した構成では、左側のクラッチ部材29Lが回転中心軸AX3方向への移動を規制され、右側のクラッチ部材29Rが回転中心軸AX3方向に移動可能としているが、この構成に限定されない。例えば、クラッチ25は、右側のクラッチ部材29Rが回転中心軸AX3方向への移動を規制され、左側のクラッチ部材29Lが回転中心軸AX3方向に移動可能な構成であってもよいし、左側のクラッチ部材29L及び右側のクラッチ部材29Rの双方が回転中心軸AX3方向に移動可能であってもよい。
【0043】
クラッチ25は、右側のクラッチ部材29Rを-X方向に移動させて、左側のクラッチ部材29Lと接触させることにより、クラッチ部材29同士の接続を行う。本実施形態において、右側のクラッチ部材29Rの歯型29tは、端面29Raがネジ部材33Rに当接又はほぼ当接する位置で左側のクラッチ部材29Lの歯型29tと噛み合うように設定されている。以下、右側のクラッチ部材29Rが左側のクラッチ部材29Lと接続される接続状態の位置を接続位置(連結位置)P1と表記する。
【0044】
また、クラッチ25は、右側のクラッチ部材29Rを+X方向に移動させて、左側のクラッチ部材29Lと離間させることにより、クラッチ部材29同士の接続が解除される。以下、右側のクラッチ部材29Rが左側のクラッチ部材29Lとの接続が解除される解除状態の位置を解除位置P2と表記する。
【0045】
弾性体30は、移動可能な右側のクラッチ部材29Rに対して、左側のクラッチ部材29L側に向けた-X方向の弾性力を付与する。弾性体30としては、例えばバネ部材が用いられる。本実施形態では、弾性体30は、コイルばねであり、クラッチ部材29Rと右側のピニオン27Rとの間において回転軸部21Rの外周に装着される。弾性体30の+X側の端部は、右側のピニオン27Rに支持される。弾性体30の-X側の端部は、右側のクラッチ部材29Rの+X側の面に当接している。この構成により、弾性体30は、右側のクラッチ部材29Rに対して-X方向に弾性力を付与する。
【0046】
クラッチスライド31は、基部31aと、2本の腕部31bと、2つの案内溝31c、31dとを有する。基部31aは、矩形の板状であり、連結部13の+Z側の内面13aに接触した状態で配置される。腕部31bは、基部31aの+X側端辺において+Y側及び-Y側のからそれぞれ-Z方向に突出して設けられている。2本の腕部31bは、クラッチ部材29Rの+X側に設けられているフランジ部29fの-X側の面側に差し込まれる。
【0047】
案内溝31c、31dは、それぞれ長円形状であり、X方向に延びるように設けられている。案内溝31c、31dには、連結部13の内面13aに設けられた突起部13c、13dがそれぞれ挿入される。この突起部13c、13dは、X方向に並んで設けられている。クラッチスライド31は、案内溝31c、31dが突起部13c、13dにガイドされることにより、X方向(回転中心軸AX3方向)に移動し、Y方向への移動及びZ方向の軸まわりの回転が規制される。なお、2つの案内溝31c、31dを用いることに限定されず、例えば、1つの長円形状の案内溝が設けられて、2つの突起部13c、13dの双方が挿入されるような構成であってもよい。
【0048】
また、クラッチスライド31は、案内溝31c、31dの寸法分だけ、回転中心軸AX3方向へスライド可能である。クラッチスライド31が移動することにより、2本の腕部31bが差し込まれたクラッチ部材29Rを回転中心軸AX3方向に移動させることができる。すなわち、クラッチスライド31は、回転中心軸AX3方向においてクラッチ部材29Rと一体として移動する。
なお、案内溝31c、31dの寸法を十分長く確保しておき、クラッチ部材29Rがネジ部材33R(-X方向)と段部21b(+X方向)のそれぞれに接触する位置を規制位置として、その範囲内でクラッチスライド31がスライド可能となるように構成しても良い。
【0049】
また、クラッチ部材29Rは、弾性体30により-X方向に弾性力が付与されている。従って、クラッチスライド31は、クラッチ部材29Rを介して弾性体30により-X方向に弾性力が付与された状態となっている。クラッチスライド31は、弾性体30の弾性力に抗して+X方向にスライド可能であり、このスライドによりクラッチ部材29Rを+X方向に移動させることができる。また、+X側にスライドした後のクラッチスライド31は、クラッチ部材29Rが弾性体30の弾性力により-X方向に移動することに伴って、-X方向にスライドする。
【0050】
クラッチ25は、クラッチスライド31を+X方向にスライドさせないときは、弾性体30の弾性力により-X方向に移動しており、この状態ではクラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが接続した接続状態となる。また、クラッチ25は、クラッチスライド31を弾性体30の弾性力に抗して+X方向にスライドさせると、クラッチ部材29Rが+X方向に移動し、クラッチ部材29Rがクラッチ部材29Lから離れた解除状態となる。
【0051】
接続/解除部材32は、クラッチ部材29Rが接続位置P1又は解除位置P2となるように、切替える。接続/解除部材32は、本体部11における連結部13に設けられる。接続/解除部材32は、クラッチノブ32aと、カム部32bとを有する。クラッチノブ32aは、連結部13の外部、例えば連結部13の+Z側の面に配置される。クラッチノブ32aは、観察者が手で操作する部分である。クラッチノブ32aは、ノブ中心軸AX4(
図11参照)を中心に回転可能である。ノブ中心軸AX4は、Z方向に平行又はほぼ平行であるが、Z方向に対して傾いて設定されてもよい。カム部32bは、クラッチノブ32aの-Z側にクラッチノブ32aと一体で設けられる。カム部32bは、クラッチノブ32aと一体でノブ中心軸AX4の軸まわりに回転する。
【0052】
図11(A)及び(B)は、回転力伝達部24及びクラッチ25の一例を示す斜視図である。
図11(A)及び(B)では、カム部32bがノブ中心軸AX4を中心に回転する場合の一例を示している。
図11(A)及び(B)に示すように、カム部32bは、平面視において、直線部分C1と円形部分C2とを組み合わせた形状を有しており、この形状の外周面に沿ったカム面32cを有する。直線部分C1と円形部分C2とは滑らかに接続するように設けられている。カム部32bは、カム面32cがクラッチスライド31の-X側の端部に当接するように配置される。カム面32cには、クラッチスライド31を介して、弾性体30の弾性力を受けた状態となっている。カム面32cは、-X方向に移動するクラッチスライド31を受け止めており、クラッチスライド31のX方向の位置を規定する。
【0053】
カム面32cの直線部分C1は、ノブ中心軸AX4からの距離がL1であり、円形部分C2は、ノブ中心軸AX4からの距離がL2である。なお、距離L1は、距離L2よりも小さく設定されている。クラッチスライド31に当接するカム面32cの位置を直線部分C1と円形部分C2との間で切替えることにより、本体部11(連結部13)に固定のノブ中心軸AX4に対して、クラッチスライド31のX方向の位置が距離L1と距離L2とに切替えることができる。すなわち、クラッチノブ32aをノブ中心軸AX4を中心に回転させることにより、クラッチスライド31の位置を変更することができる。クラッチスライド31の位置の変更に伴い、クラッチ部材29RのX方向の位置が変更される。
【0054】
本実施形態では、
図11(A)に示すように、カム面32cの直線部分C1がクラッチスライド31に当接する場合、クラッチスライド31は弾性体30に押されて-X側に配置される。その結果、右側のクラッチ部材29Rが接続位置P1に配置され、左側のクラッチ部材29Lに接触することで接続状態となる。また、
図11(B)に示すように、カム面32cの円形部分C2がクラッチスライド31に当接する場合、クラッチスライド31は、弾性体30の弾性力に抗して+X側に移動する。その結果、クラッチ部材29Rが解除位置P2に配置され、クラッチ部材29Lから離れることで解除状態となる。
【0055】
クラッチノブ32aは、右側のクラッチ部材29Rが接続位置P1に配置されるときの回転位置R1と、右側のクラッチ部材29Rが解除位置P2に配置されるときの回転位置R2との間で回転可能である。クラッチノブ32aは、涙型に設けられており、回転位置R1又は回転位置R2に回転している状態を観察者が視認可能になっている。また、クラッチノブ32aは、例えば、回転位置R1及び回転位置R2のそれぞれの位置に配置された状態において、クラッチノブ32aがそれぞれの位置を保持するように、保持部材又は保持機構等が設けられてもよい。なお、回転位置R1では、直線部分C1がクラッチスライド31に当接しているため、カム部32b(クラッチノブ32a)の回転が規制された状態となっている。なお、回転位置R1では、直線部分C1とクラッチスライド31とが非接触であっても構わない。この場合、クラッチスライド31には、クラッチ部材29Rを介して弾性体30によって-X方向側に弾性力が作用するため、クラッチスライド31は-X方向側への移動が規制される位置で固定される。また、回転位置R2では、円形部分C2がクラッチスライド31に当接しているため、カム部32bが多少回転しても円形部分C2の半径である距離L2が維持されるので、クラッチスライド31の移動を規制している。
【0056】
回転軸部21Lと回転軸部21Rとを(左右の回転軸部21を)一体として回転させる場合、クラッチノブ32aを上記した回転位置R1に配置させる。この場合、
図11(A)に示すように、カム面32cの直線部分C1がクラッチスライド31に当接するため、右側のクラッチ部材29Rが接続位置P1に配置される。その結果、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが(左右のクラッチ部材29同士が)接続された接続状態となる。
【0057】
この状態において、左右の合焦ノブ22のいずれか一方を回転中心軸AX3の軸まわりに回転させることにより、その合焦ノブ22が取り付けられた回転軸部21が回転中心軸AX3の軸まわりに回転し、この回転がクラッチ25を介して他方の回転軸部21に伝達される。従って、左右の回転軸部21が一体となって回転する。
【0058】
左右の回転軸部21が一体となって回転することで、左右のピニオン27が一体となって回転する。左右のピニオン27の回転により、左右のラック28に対して同様の回転力が伝達され、左右のレンズ保持部材23が同様又はほぼ同様にY方向に移動する。左右のレンズ保持部材23の移動により、左右の合焦レンズ14が同様又はほぼ同様に光軸3の軸方向(Y方向)に移動する。このため、左右の光学系2における合焦が同時又はほぼ同時に行われる。なお、左右の合焦ノブ22のいずれか一方を回転させた際には、他方の合焦ノブ22も回転するので、観察者は、他方の合焦ノブ22(操作していない合焦ノブ22)の回転を確認することで、左右の回転軸部21が一体で回転していることを容易に確認可能である。
【0059】
回転軸部21Lと回転軸部21Rとを(左右の回転軸部21を)独立して回転させる場合、クラッチノブ32aを上述した回転位置R2に配置させる。この場合、
図11(B)に示すように、カム面32cの円形部分C2がクラッチスライド31に当接するため、クラッチスライド31が+X方向に移動し、クラッチ部材29Rが解除位置P2に配置される。その結果、クラッチ部材29Rがクラッチ部材29Lから離れて、左右のクラッチ部材29同士の接続が解除された解除状態となる。
【0060】
図12から
図15は、左右のクラッチ部材29同士の接続が解除された解除状態を示す図である。
図12は、
図5に対応した図である。
図13は、
図12のE-E線に沿った断面図であり、
図6に対応した図である。
図14は、
図12のF-F線に沿った断面図であり、
図7に対応した図である。
図15は、
図13に示すクラッチの一部を拡大して示す図であり、
図8に対応した図である。
図12から
図15において、上記と同一の部材等については同一の符号付して、その説明を省略する。
【0061】
図12から
図15に示すように、左右のクラッチ部材29L、29R同士の接続が解除された解除状態において、左右の合焦ノブ22L、22Rの一方を回転中心軸AX3の軸まわりに回転させることにより、一方の回転軸部21L、21Rが回転中心軸AX3の軸まわりに回転する。ここで、左右のクラッチ部材29L、29R同士の接続が解除されたているため、一方の回転軸部21(例えばクラッチ部材29R)を回転させても、この回転は他方の回転軸部21(例えばクラッチ部材29L)には伝達されない。従って、左右の回転軸部21L、21Rのうち、合焦ノブ22L、22Rを回転させた方の回転軸部21L、21Rを独立して回転させることが可能となる。
【0062】
左右の回転軸部21L、21Rが独立して回転することで、左右のピニオン27L、27Rが回転軸部21L、21Rと一体で独立して回転する。例えば、左側の合焦ノブ22Lを回転させると、左側のピニオン27Lが回転して、左側のラック28Lにその回転が伝達される。また、右側の合焦ノブ22Rを回転させると、右側のピニオン27Rが回転して、右側のラック28Rに回転が伝達される。このように、左右のラック28L、27Rに回転が独立して伝達されることにより、左右のレンズ保持部材23L、23RがY方向に独立して移動する。左右のレンズ保持部材23L、23Rの独立した移動により、左右の合焦レンズ14が独立して光軸3L、3R方向(Y方向)に移動する。その結果、左右の光学系2L、2Rにおいて合焦動作が独立して行われる。
【0063】
図12から
図15に示す状態から、クラッチノブ32aを上記した回転位置R1に配置させることにより。カム面32cの直線部分C1がクラッチスライド31に当接するため、右側のクラッチ部材29Rが接続位置P1に配置される。その結果、クラッチ部材29Lとクラッチ部材29Rとが(左右のクラッチ部材29同士が)接続された接続状態となり、
図5に示す状態とすることができる。
【0064】
なお、上記したクラッチ25において、カム部32bの形態は、図示の形態に限定されない。例えば、カム部32bとして、平面視で楕円形状のカム部であってもよいし、平面視で円形状のカム部であってもよい。楕円形状のカム部を用いる場合、カム部を回転させることにより、長軸側と短軸側とでノブ中心軸AX4からの距離を変更させることが可能となる。また、円形状のカム部を用いる場合、ノブ中心軸AX4をカム部に対して偏心させることにより、カム部の回転位置によってノブ中心軸AX4からの距離を変更させることが可能となる。
【0065】
なお、カム部を用いずに、観察者がクラッチスライド31を手で直接操作してもよい。この場合、クラッチスライド31を解除位置P2までスライドさせて、別途設けた固定部材でクラッチスライド31を固定することで、クラッチ部材29Rを解除位置で固定することができる。一方、クラッチスライド31を固定部材による固定から外すと、クラッチ部材29Rは弾性体30による弾性力によって-X方向への移動が規制される位置、すなわち、接続位置P1まで移動し、併せてクラッチスライド31も接続位置P1までスライドされる。このとき、クラッチスライド31には、常に弾性体30による弾性力が-X方向に作用する。
【0066】
また、切替え部としてのクラッチ25は、上記した構成に限定されず、左右の回転軸部21を一体とし(左右のクラッチ部材29同士を接続し)、又は切り離すことが可能な任意の機構を用いることができる。また、上記したクラッチスライド31のスライドを接続/解除部材32のカム部32bの回転により行う構成に限定されず、クラッチスライド31の移動を、例えば電動モータ等の駆動力を用いて行うような構成であってもよい。
【0067】
また、例えば、クラッチ25の代わりに強力な磁力を持った磁石を左右それぞれの回転軸部21に取付けてもよい。いずれか一方の回転軸部21にN極の磁石を、他方の回転軸部21にS極の磁石を取り付けて、左右の磁石を接近させることで、磁力により左右の回転軸部21を同時に回転させることができる。一方、左右の磁石を互いの磁力が弱まる位置まで離間させることで、左右の回転軸部21をそれぞれ独立して回転させることができる。
【0068】
次に、上述した双眼鏡100の合焦方法を説明する。双眼鏡100の合焦方法は、左右の鏡筒10L、10Rのそれぞれに配置された、対象物の像を形成する光学系2L、2Rの合焦レンズ14を、X方向に沿った回転中心軸AX3について同軸で配置された一対の回転軸部21L、21Rを互いに独立して回転させることにより、それぞれの光軸3L、3Rの光軸方向(Y方向)に移動させて光学系2L、2Rごとに対象物に合焦させることと、一対の回転軸部21L、21Rを一体として回転させることにより、光学系2L、2Rの合焦レンズ14を、それぞれの光軸3L、3Rの光軸方向(Y方向)に同時に移動させて双方の光学系2L、2Rにおいて対象物に合焦させることと、を含む。
【0069】
上述した双眼鏡100を使用する場合、観察者は、まず、左右の視度差を調整する。以下の説明では、例えば、利き目である右眼について先に焦点合わせを行った後に、左目について焦点合わせを行い、左右の視度差を調整する手順について説明する。観察者は、クラッチノブ32aを回転位置R1に配置した状態として、所定の対象物について右眼により双眼鏡100の目当て7Rから覗きながら、左右の一方の合焦ノブ22R、22Lを回転させることで、左右の回転軸部21L、21Rを一体で回転させ、左右の合焦レンズ14の位置を一体で同時に調整する。このとき、左右の合焦レンズ14の位置が同時に調整されるので、右眼においては焦点が合った状態となっていても、左目には焦点があっていない可能性がある。
【0070】
その後、観察者は、クラッチノブ32aを回転位置R2に配置した状態とする。この状態で、観察者は、所定の対象物について左目により双眼鏡100の目当て7Lから覗きながら、合焦ノブ22Lを回転させることで回転軸部21Lを回転させ、光学系2Lにおける合焦レンズ14の位置を調整する。このとき、合焦ノブ22Rを回転させないように手で保持してもよいし、合焦ノブ22Rに触れないようにしてもよい。また、上述した双眼鏡100は、回転軸部21L、21Rの回転位置を保持する保持機構が設けられてもよい。この保持機構により回転軸部21Rを保持した状態で合焦ノブ22Lを回転させることにより、回転軸部21Lを回転させつつ、回転軸部21Rの回転を規制できる。
【0071】
このようにして、観察者の右眼及び左眼について、それぞれ焦点位置が合わされ、左右の眼の視度差が調整される。なお、上記の例では右眼について先に焦点位置を調整しているが、左目から先に焦点位置の調整を行ってもよい。その後、観察者は、クラッチノブ32aを回転位置R1に配置した状態とする。例えば、他の対象物を観察する際にその対象物に対して焦点位置を合わせる場合には、観察者は、左右の両眼で対象物を観察しながら、左右の一方の合焦ノブ22L、22Rを回転させて合焦動作を行う。この動作により、左右の回転軸部21L、21Rが一体で回転し、左右の合焦レンズ14の位置が一体で同時に調整される。すなわち、左右の視度差を保持した状態で、対象物に対する合焦動作を左右同時に行うことができる。
【0072】
なお、左右の視度差を再調整する場合、観察者は、クラッチノブ32aを回転位置R2に配置した状態とし、焦点位置を再調整したい側の合焦ノブ22L、22Rを回転させる。この合焦ノブ22L、22Rの回転により、焦点位置を再調整したい側の回転軸部21L、21Rが回転し、この回転により合焦レンズ14の位置が移動して焦点位置を再調整することが可能である。その後、観察者は、クラッチノブ32aを回転位置R1に配置した状態とすることにより、合焦ノブ22L、22Rの一方を回転させることで、左右の視度差が再調整された状態で、対象物に対する合焦動作を左右同時に行うことができる。
【0073】
本実施形態に係る双眼鏡100及び合焦方法によれば、左右の光学系2を対象物に合焦させる場合、左右の光学系2を一体として光軸3の光軸方向に移動させる動作と、左右の光学系2を互いに独立して光軸3の光軸方向に移動させる動作とを、切替えて行うことができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態で説明した態様に限定されない。上記した実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。
【0075】
上記した実施形態では、合焦機構20によって光軸3の光軸方向に移動させる対象となる光学系2として、合焦レンズ14を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、合焦機構20によって接眼レンズ17の一部又は全部を光軸3の光軸方向に移動させる構成であってもよいし、対物レンズ16の一部又は全部を光軸3の光軸方向に移動させる構成であってもよい。この場合、合焦機構20は、接眼レンズ17又は対物レンズ16に合わせて配置されるが、合焦ノブ22は、観察者の手が届く範囲に配置される。
【0076】
また、上記した実施形態では、左右の回転軸部21L、21Rのそれぞれが、同軸に配置されている構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、左右の回転軸部21L、21Rが、同軸からずれて配置されていてもよい。
【0077】
また、上記した実施形態では、左右の合焦ノブ22が左右の鏡筒10L、10Rの外側の配置された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されず、他の位置に配置されてもよい。また、例えば、左側の回転軸部21Lを回転させる合焦ノブ22Lと、右側の回転軸部21Rを移動させる合焦ノブ22Rとが、一方の鏡筒10L、10Rに配置されてもよいし、左右の鏡筒10L、10Rの間の中央部分(例えば連結部13)に配置されてもよい。
【0078】
また、上記した実施形態では、合焦機構20及び合焦ノブ22は、水平回転軸AX2よりも接眼レンズ17側で、かつ、正立プリズム15より対物側の範囲に配置される構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、合焦機構20及び合焦ノブ22の少なくとも一方が、水平回転軸AX2よりも対物側に配置されてもよいし、正立プリズム15よりも接眼レンズ17側に配置されてもよい。
【0079】
また、上記した実施形態では、合焦レンズ14がレンズ保持部材23に保持され、このレンズ保持部材23をY方向に移動させることで合焦を行う構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、合焦レンズ14がレンズ保持部材23に保持されず、合焦レンズ14を直接Y方向に移動させる構成が適用されてもよい。
【0080】
また、上記した実施形態では、回転力伝達部24の構成として、左右の鏡筒10L、10Rで同一のピニオン27及びラック28を有する構成を例に挙げて説明したが、この形態に限定されない。例えば、回転軸部21の回転力をレンズ保持部材23に伝達可能な構成であれば、左右の鏡筒10L、10Rにおいて異なる構成の回転力伝達部24が適用されてもよい。例えば、回転軸部21とレンズ保持機構23との接触部をゴムのような弾性体で形成し、回転軸部21を回転させた時の回転力を接触部における摩擦力に変換してレンズ保持機構23に伝達する構成でもよい。また、法令で許容される限りにおいて、本明細書で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0081】
P1・・・接続位置、P2・・・解除位置、R1、R2・・・回転位置、AX1・・・垂直回転軸、AX2・・・水平回転軸、AX3・・・回転中心軸、AX4・・・ノブ中心軸、AX5・・・カム中心軸、100・・・双眼鏡(光学機器)、2、2L、2R・・・光学系、2c、12c、31b・・・腕部、3、3L、3R・・・光軸、10、10L、10R・・・鏡筒、11・・・本体部、13・・・連結部、13a・・・内面、13c、13d・・・突起部、14・・・合焦レンズ、15・・・正立プリズム、16・・・対物レンズ、17・・・接眼レンズ、20・・・合焦機構、21、21L、21R・・・回転軸部、22、22L、22R・・・合焦ノブ、23、23L、23R・・・レンズ保持部材、24・・・回転力伝達部、25・・・クラッチ(切替え部)、27、27L、27R・・・ピニオン、28、28L、28R・・・ラック、29、29L、29R・・・クラッチ部材、29t・・・歯型、29La、29Ra・・・端面、30・・・弾性体、31・・・クラッチスライド、32・・・接続/解除部材、32a・・・クラッチノブ、32b・・・カム部、32c・・・カム面