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特許6990307摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置及び方法
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  • 特許-摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B23K20/12 340
B23K20/12 344
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020526077
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 DE2018000334
(87)【国際公開番号】W WO2019101253
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】102017010965.6
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】314014416
【氏名又は名称】グレンツェバッハ・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイグル,マルクス
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203843367(CN,U)
【文献】特開2007-313520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0209586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接によって接合される部材の幾何学的配置又は材料むらにより必要となった場合に、摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置であって、
d)摩擦溶接ヘッド(12)のサスペンション(10)のために、溶接テーブル(15)及びブリッジサポート(5)を有するメインボディ(1)を備え、前記摩擦溶接ヘッド(12)は、前記溶接テーブル(15)の全域を水平及び鉛直方向に無段階に移動可能であり、
e)前記摩擦溶接ヘッド(12)の溶接ピンチップ(14)を固定及び駆動するためのピンマウント(13)を備え、前記溶接ピンチップ(14)は、多点でマウント及び制御された溶接ショルダマウント(17)によってあらゆる空間方向に傾斜可能な溶接ショルダ(18)によりガイドされ、
f)前記溶接ショルダマウント(17)は、互いに角度を隔てた多点で制御され、各々の点では、プッシュプルロッド(16)が中心で作用するばねパッケージ(25)の圧力に対抗した状態で、メイン調節ドライブ(21)が前記摩擦溶接ヘッド(12)に連結されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも一つの前記プッシュプルロッド(16)において、前記メイン調節ドライブ(21)がピエゾ精密制御装置(22)を有し、作用する力が圧力測定センサ(23)によりモニタされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ばねパッケージ(25)は、ばね部及び制御ピエゾ部を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
生成された溶接は、パターン認識手段を有する少なくとも一つのカメラ(26)により観察されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記溶接ショルダ(18)の傾斜角度を測定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記溶接ショルダ(18)は、加熱可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
溶接操作の間に前記溶接ピンチップ(14)の領域で、ギャップ型配置によって溶接金属の導入及び排出が可能となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
溶接によって接合される部材の幾何学的配置又は材料むらにより必要となった場合に、摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する方法であって、
c)摩擦溶接ヘッド(12)のサスペンション(10)のために、溶接テーブル(15)及びブリッジサポート(5)を有するメインボディ(1)を備え、前記摩擦溶接ヘッド(12)は、前記溶接テーブル(15)の全域を水平及び鉛直方向に無段階に移動可能であり、前記摩擦溶接ヘッド(12)の溶接ピンチップ(14)を固定及び駆動するためのピンマウント(13)を備え、前記溶接ピンチップ(14)は、多点でマウント及び制御された溶接ショルダマウント(17)によってあらゆる空間方向に傾斜可能な溶接ショルダ(18)によりガイドされ
d)前記溶接ショルダマウント(17)は、互いに角度を隔てた多点で制御され、各々の点では、プッシュプルロッド(16)が中心で作用するばねパッケージ(25)の圧力に対抗した状態で、メイン調節ドライブ(21)が前記摩擦溶接ヘッド(12)に連結されていることによって接合する部材に対して所望の接触角を与えるように調節可能となっていることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記プッシュプルロッド(16)は、ピエゾ精密制御装置(22)を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プログラムがコンピュータで実行される場合に、請求項8又は請求項9に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項11】
プログラムがコンピュータで実行される場合に、請求項8又は請求項9に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムのプログラムコードを有する機械可読キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接によって接合される部材の幾何学的配置又は材料むらにより必要となった場合に、摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦撹拌溶接(FSW)は、 航空宇宙工学、鉄道輸送技術及び自動車製造での使用が高まってきている。この単純で、クリーン且つ革新的な接合方法は、自動化への高いポテンシャル及びリベット必要性の排除において際立っており、製造コストを低減し、同方法により生産された構造物を軽量化する。
【0003】
本出願人により出願されたDE 10 2014 004 331 B3が、従来技術として引用される。この文献は、摩擦撹拌溶接における溶接の質を向上させる方法及び装置、並びに同方法を実行するためのコンピュータプログラム及びプログラムコードを有する機械可読キャリアに関する。
【0004】
この文献は、いわゆるエンドホール(溶接終わりに残される撹拌ツールによるくぼみ)の完全回避を達成し、その結果、溶接の質を向上させるものであり、摩擦撹拌溶接における溶接操作を最適化するという目的に基づいている。
【0005】
この目的を達成するため、摩擦撹拌溶接における溶接の質を向上させる以下の特性を有する装置が、特許クレーム1でクレームされている。
a)駆動ヘッド(2)を有するレセプタクル板(1)であって、前記駆動ヘッド(2)は、取り付け座(3)を受け入れるためのレセプタクルフランジ(19)を有し、前記取り付け座(3)には、溶接ピンチップ(5)を有する溶接シュー(4)が結合ナット(7)によって結合されており、
b)前記溶接シュー(4)は、基礎部分が円形を有し、その上には断面を横断して前記基礎部分に対して直角に立ち上がった横方向ウエブが設置され、該横方向ウエブは、前記基礎部分の直径の約1/4乃至1/5の幅を有してアーチ状のシュー摺動面兼シュー平滑面(9)を有し、このシュー摺動面兼シュー平滑面(9)の両側の周囲領域には、切り欠きテーパー(16)が配置されており、
c)前記溶接ピンチップ(5)は、鋭く傾斜したねじ山状の表面構造を有しており、このねじ山状の表面構造は、完全な円形となるようには配置されておらず、各ねじ山のピッチは、円周上に分布された3つの平坦な場所を有しており、これらの平坦な場所の中心は、互いに120度の角度で設置されており、これらのねじ山状の表面構造のリードは0.5mmで、側面の高さは0.25mmから0.05mmの間で変化している。
【0006】
多くの溶接プロセスでは、溶接操作の間に接合される各々の部材により課される要求性に対応する様式で、溶接シュー又は溶接ショルダの接触角度や溶接ピンのガイドを迅速且つ精密に変更する必要がある。この目的のため、摩擦撹拌溶接プロセスを駆動及び制御する機器は、その全体で必要な変化を行う必要があり、本発明は、機器から溶接ヘッド又は摩擦ツールへのFSWプロセスに必要なショルダ接触角度を局所的に変位させることを目的としている。
【0007】
この目的は、特許クレーム1の特性により達成される。
溶接によって接合される部材の幾何学的配置又は材料むらにより必要となった場合に、摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する装置であって、
a)摩擦溶接ヘッド(12)のサスペンション(10)のために、溶接テーブル(15)及びブリッジサポート(5)を有するメインボディ(1)を備え、前記摩擦溶接ヘッド(12)は、前記溶接テーブル(15)の全域を水平及び鉛直方向に無段階に移動可能であり、
b)前記摩擦溶接ヘッド(12)の溶接ピンチップ(14)を固定及び駆動するためのピンマウント(13)を備え、前記溶接ピンチップ(14)は、多点でマウント及び制御された溶接ショルダマウント(17)によってあらゆる空間方向に傾斜可能な溶接ショルダ(18)によりガイドされ、
c)前記溶接ショルダマウント(17)は、互いに角度を隔てた多点で制御され、各々の点では、プッシュプルロッド(16)が中心で作用するばねパッケージ(25)の圧力に対抗した状態で、メイン調節ドライブ(21)が前記摩擦溶接ヘッド(12)に連結されている。
【0008】
また、少なくとも一つの前記プッシュプルロッド(16)において、前記メイン調節ドライブ(21)がピエゾ精密制御装置(22)を有し、作用する力が圧力測定センサ(23)によりモニタされること、前記ばねパッケージ(25)は、ばね部及び制御ピエゾ部を含むこと、生成された溶接は、パターン認識手段を有する少なくとも一つのカメラ(26)により観察されること、記溶接ショルダ(18)の傾斜角度を測定する手段を備えること、前記溶接ショルダ(18)は、加熱可能であること、溶接操作の間に前記溶接ピンチップ(14)の領域で、ギャップ型配置によって溶接金属の導入及び排出が可能となっていることもクレームされる。
【0009】
また、溶接によって接合される部材の幾何学的配置又は材料むらにより必要となった場合に、摩擦撹拌溶接システムにおいて溶接ショルダの溶接方向を実質的に遅延なく変更する方法であって、
c)摩擦溶接ヘッド(12)のサスペンション(10)のために、溶接テーブル(15)及びブリッジサポート(5)を有するメインボディ(1)を備え、前記摩擦溶接ヘッド(12)は、前記溶接テーブル(15)の全域を水平及び鉛直方向に無段階に移動可能であり、前記摩擦溶接ヘッド(12)の溶接ピンチップ(14)を固定及び駆動するためのピンマウント(13)を備え、前記溶接ピンチップ(14)は、多点でマウント及び制御された溶接ショルダマウント(17)によってあらゆる空間方向に傾斜可能な溶接ショルダ(18)によりガイドされ
d)前記溶接ショルダマウント(17)は、互いに角度を隔てた多点で制御され、各々の点では、プッシュプルロッド(16)が中心で作用するばねパッケージ(25)の圧力に対抗した状態で、メイン調節ドライブ(21)が前記摩擦溶接ヘッド(12)に連結されていることによって接合する部材に対して所望の接触角を与えるように調節可能となっている。
【0010】
また、前記プッシュプルロッド(16)は、ピエゾ精密制御装置(22)を有する方法、プログラムがコンピュータで実行される場合に、前記方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム、プログラムがコンピュータで実行される場合に、前記方法を実行するためのコンピュータプログラムのプログラムコードを有する機械可読キャリアもクレームされる。
【0011】
本発明は、以下でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る装置の全体斜視図。
図2】本発明に係る摩擦溶接ヘッドの斜視図。
図3】溶接ピンを固定するためのピンマウントの側面図及び下から見た平面図。
図4】溶接ピンを固定するためのピンマウントの詳細図。
図5】溶接ショルダマウント17領域における適応封止リング36を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る装置の全体斜視図を示している。
【0014】
本発明に係るガントリ型溶接装置のメインボディ1は、その上方に、摩擦溶接ヘッド12のサスペンション10を有するブリッジサポート5を移動させるための、ブリッジサポート5の両側それぞれに設けられた縦ガイドレール2を備える。サスペンション10は、ブリッジサポート5の縦方向調節のための駆動・調節スピンドル3によって、各々の縦ガイドレール2と平行にドライブ4により駆動される。摩擦溶接ヘッド12のサスペンション10の横方向への移動は、駆動・調節スピンドル7によってレール11に沿ってドライブ6により実行される。ガントリ型溶接装置の操作のための供給・制御ライン8が、サスペンション10及び縦方向調節装置9に繋がっている。サスペンション10は、溶接ピンチップ14を有する溶接ピンが固定されるピンマウント13を有する。溶接テーブル15は、溶接により接合される部材を支持及び/又は固定するのに用いられる。
【0015】
図2は、本発明に係る摩擦溶接ヘッドの斜視図を示している。
【0016】
摩擦溶接ヘッド12の下方にあるのは、溶接ピンを固定及び制御するためのピンマウント13である。溶接ショルダ18は、溶接ピンチップ14と共に、カルダニックサスペンションを有して溶接ショルダマウント17として機能するディスク形状プレートによって、複数の調節ユニット20により実質的に遅延なく精密に制御される。回転している摩擦ピンをマウントするための従来のシリンダボア配置とは対照的に、この溶接ショルダマウント17は、あらゆる空間方向へのピッチング運動を可能とする。
【0017】
ピッチング運動がフィード方向にのみ可能となった、すなわち、溶接操作の間にドラッギング接触角がある程度確立されるような溶接ショルダマウント17の最も単純な構成に対して、図2は、更に進んだ構成を示している。この溶接ショルダマウント17の更に進んだ構成では、ディスク形状ショルダのホルダが、あらゆる空間方向に傾斜し得る、すなわち、ある程度タンブル運動を実行し得るようになっている。溶接ショルダ18への対応する力伝達は、互いに90度ずつ角度を隔てて配置された4個のプッシュプルロッド16により行われる。詳細は、図3から読み取れる。
【0018】
この構成の形態は、単に例示として与えられる。プッシュプルロッド16同士の相互作用は、円周上で対称配置された更なるプッシュプルロッド16により補完される。しかしながら、各々の溶接接続が、回転している摩擦ピンのピッチング運動の移動に対して異なる要求を課すので、ディスク形状ショルダのマウントは、必ずしも回転対称である必要はない。このような構成により、本発明に係る溶接ショルダマウント17のディスク形状は、溶接の低摩擦及び円滑表面を可能とする。各々の調節ユニット20は、供給・制御ライン19を有する。
【0019】
図2aは、調節ユニット20の詳細を示している。
【0020】
ここで、プッシュプルロッド16を移動させるためにプッシュプルロッド16の領域に配置されているのは、互いに対向する2つの方向に移動可能で、且つ油圧シリンダ33内にある2つの制御ライン35(対応して作動可能)により作動される複動式ピストン34である。このような配置は、単に例示として与えられる。当然ながら、あらゆるタイプの電気駆動装置が使用される。構成の更なる特別な形態としては、ヒータが溶接ショルダを加熱するために設けられる。
【0021】
図3は、溶接ピンを固定するためのピンマウントの側面図及び下から見た平面図を示している。
【0022】
図3aでは、溶接ピンを固定するためのピンマウント13の側面が見られる。プッシュプルロッド16のプッシュ-ロッド移動のための各々のメイン調節ドライブ21は、油圧装置により実行され得る。プッシュプルロッド16の移動は、ピエゾ装置22により精密に制御され、圧力測定センサ23が、発生する力を記録するのに用いられる。連結レバー24により四方から4つのプッシュプルロッド16で移動される溶接ショルダマウント17は、溶接ピンチップ14の周囲中央にマウントされたばねパッケージ25によって、溶接ショルダ18の中央に押圧されている。ばねパッケージ25によって一方に課される圧縮力と、4つのプッシュプルロッド16によって課される反発力との相互作用により、溶接ショルダマウント17のディスク形状プレートが、カルダニックサスペンションとして作用する。
【0023】
ピンマウント13の側方に示されるカメラ26は、終了した溶接を観察する構成システム(なんら特異的に限定されない)を象徴的に示している。図3bでは、溶接ピンチップ14が、溶接ピン28を有する溶接ショルダ18の真ん中に見られ、溶接ショルダ18は、グラブねじ27により固定されている。或いは、半田付けや焼きばめのような永久接続も可能である。
【0024】
図4は、溶接ピンを固定するために使用されるピンマウントの詳細図を示している。
【0025】
図4aでは、接合部材29に対する溶接操作の際の固定が示されている。
【0026】
図4bでは、溶接ショルダ18を有して僅かに傾斜した溶接ショルダマウント17によって溶接操作を行っているピンマウント13が示されている。ここで左側に示されているのは、メイン調節ドライブ21及びそれに結合して伸長位置にあるプッシュプルロッド16であり、この結果、ばねパッケージ25のカウンター押圧効果により溶接ショルダマウント17が僅かに傾斜する。結果として生じる傾斜角度又は接合部材の表面に対する溶接ショルダの調節角度31は、この場合、最大で2から5度である。一般的には、調節角度31は、3度までで十分である。連結レバーの連結レバーヘッド30が、この図では前面から見える。図示された溶接ピンチップ14は、右側に示される太い参照矢印に従って、溶接し終わった部分32より今から溶接される領域へと進む。
【0027】
当業者に知られた手段が、溶接シューショルダの調節角度31を測定するために設けられている。
【0028】
図5は、溶接ショルダマウント17の領域にある適応封止リング36を示している。
【0029】
図5aでは、溶接ピンチップ14の可動性に関与して丸みを帯びた側面を有する封止リング36が、溶接ショルダ18の真ん中に見られる。溶接ショルダマウント17及びピンマウント13の領域にあるばねパッケージ25は、溶接ピンチップ14を保持するためのツールシャンク39を含んでいる。
【0030】
図5bには、図5aのA-A線断面が示されている。溶接ショルダ18は、互いに対向配置された締め付けねじ37の各々によりマウント17上に固定されている一方、適応封止リング36は、締め付けねじ38により固定されている。或いは、半田付けや焼きばめのような永久接続も可能である。
【0031】
摩擦撹拌溶接の間に達成可能な最大送り速度を増加させるためには、好ましくは、高い熱伝導度を有する硬質金属ショルダが用いられる。好ましくは、タングステン炭化物/コバルト硬質金属が用いられる。溶接ショルダにヒータを組み込んで、活性位置において適切な温度調節を可能とすることで、動的処理制御下であっても摩擦ピンは、過剰なせん断やその結果である時期尚早なピン不具合を引き起こし得る冷えた材料に遭遇しなくなる。ツールの摩耗成分とは無関係に、なんら変化及び変更を必要とすること無く、ショルダと付随するサポートとの間にショルダヒータが設置される。
【0032】
特別な構成形態では、溶接操作の間に溶接ピンチップ14の領域で、ギャップ型配置によって溶接金属の導入及び排出が可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 ガントリ型溶接装置のメインボディ
2 縦ガイドレール
3 縦方向調節のための駆動・調節スピンドル
4 縦方向調節のドライブ
5 ガントリ型溶接装置のブリッジサポート
6 サスペンション10の横方向移動のためのドライブ
7 横方向移動のための駆動・調節スピンドル
8 操作のための供給・制御ライン
9 摩擦溶接ヘッドのための縦方向調節装置
10 摩擦溶接ヘッドのサスペンション
11 ガントリ型溶接装置の横方向ガイダンスのためのレール
12 摩擦溶接ヘッド
13 溶接ピンを固定するためのピンマウント
14 溶接ピンチップ
15 溶接テーブル
16 調節ユニット20のプッシュプルロッド
17 溶接ショルダマウント(カルダニックサスペンションを有するディスク形状プレート)
18 溶接ショルダ(固定ショルダ)
19 調節ユニット20の供給・制御ライン
20 溶接ショルダマウントディスク17を調節するための調節ユニット
21 プッシュプルロッド16のプッシュ-ロッド移動のためのメイン調節ドライブ(例えば、油圧)
22 プッシュプルロッド16のピエゾ精密制御装置
23 圧力測定センサ
24 連結レバー
25 マウントディスク17へのストレスを生み出すばねパッケージ(例えば、カップばね)
26 溶接をモニタリングするためのパターン認識を行うカメラ
27 溶接シューを固定するためのグラブねじ
28 溶接ピン
29 接合される部材
30 連結レバーヘッド
31 接合部材の表面に対する溶接シューの調節角度(最大5度)
32 溶接部分
33 油圧シリンダ
34 複動式ピストン
35 制御ライン
36 適応封止リング
37 ショルダを固定するための締め付けねじ
38 封止リング36を固定するための締め付けねじ
39 溶接ピンチップ14を保持するためのツールシャンク


図1
図2
図3
図4
図5