(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を回収し再利用する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 23/00 20060101AFI20220104BHJP
C02F 9/06 20060101ALI20220104BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C22B23/00 102
C02F9/06
C22B7/00 G
(21)【出願番号】P 2021138438
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】202110836834.6
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520223723
【氏名又は名称】生態環境部華南環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】杜建偉
(72)【発明者】
【氏名】賀框
(72)【発明者】
【氏名】胡小英
(72)【発明者】
【氏名】張明楊
(72)【発明者】
【氏名】黄凱華
(72)【発明者】
【氏名】任艶玲
(72)【発明者】
【氏名】李銘珊
(72)【発明者】
【氏名】温勇
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-52029(JP,A)
【文献】特開2010-229449(JP,A)
【文献】特開2021-90950(JP,A)
【文献】特開平7-54200(JP,A)
【文献】特開平11-226596(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153692(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209583854(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108315558(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 23/00
C02F 9/06
C22B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップS1、廃液濾過
多段セキュリティフィルターシステムによって無電解ニッケルメッキ廃液を濾過し、無電
解ニッケルメッキ廃液中の粒子不純物を除去するステップと、
ステップS2、廃液中のリンの分離濃縮
陰イオン一方向膜電気透析システム(1)を使用して濾過された無電解ニッケルメッキ廃
液に対して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中の次亜リン酸塩と亜リン酸
塩が電界力の作用下で、陰イオン一方向膜(11)を通過してリン濃縮液プール(14)
に入り、無電解ニッケルメッキ廃液中のリンを分離濃縮してリン濃縮液を得るステップと
、
ステップS3、廃液中ニッケルの分離濃縮
陽イオン一方向膜電気透析システム(2)を使用して、ステップS2で処理された無電解
ニッケルメッキ廃液に対して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケ
ルイオンが電界力の作用下で、陽イオン一方向膜(21)を通過してニッケル濃縮液プー
ル(24)に入り、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルを分離濃縮してニッケル濃縮
液を得るステップと、
ステップS4、リン濃縮液の後処理
ステップS2で得られたリン濃縮液のpHを2.5~4に調節し、エレクトロフェントン
技術を使用してリン濃縮液を処理し、エレクトロフェントン反応によって生成されたOH
の作用下で、リン濃縮液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が酸化されてオルトリン酸塩にな
り、オルトリン酸塩とエレクトロフェントン反応系中のFe
3+と反応してリン酸鉄結晶
沈殿物を形成し、得られたリン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄に回収して再利用する
ステップと、
ステップS5、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS3で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、金属ニッケルを回収して再利用
するステップと、
を含むことを特徴とする無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を回収し
再利用する方法。
【請求項2】
前記多段セキュリティフィルターシステムの濾過方法は、無電解ニッケルメッキ廃液を多
段セキュリティフィルターシステムに導入し、多段セキュリティフィルターシステム中の
複数組の濾過タンクによって無電解ニッケルメッキ廃液中の粒子を段階的に濾過および遮
断し、前記濾過タンクの濾過開口径が上から下に向かって徐々に減少し、濾過後、濾過タ
ンク頂端のスプレー洗浄装置を使用して、濾過によって得られた粒子の表面を洗浄し、濾
過粒子に付着した無電解ニッケルメッキ廃液を分離して無電解ニッケルメッキ廃液本体に
返還する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【請求項3】
前記陰イオン一方向膜電気透析システム(1)は、無電解ニッケルメッキ廃液を通過させ
るための陰イオン一方向膜(11)、前記陰イオン一方向膜(11)両側に設けられた第
1の陽極電極タンク(12)、第1の陰極電極タンク(13)を含み、前記第1の陽極電
極タンク(12)と陰イオン一方向膜(11)の間にリン濃縮液プール(14)が設けら
れ、前記陰イオン一方向膜電気透析システム(1)を5~7日間運転した後、前記第1の
陽極電極タンク(12)と第1の陰極電極タンク(13)の位置を入れ替えて、同時にリ
ン濃縮液を第1の陽極電極タンク(12)と陰イオン一方向膜(11)間のリン濃縮液プ
ール(14)内に再び充填する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【請求項4】
前記陽イオン一方向膜電気透析システム(2)は、無電解ニッケルメッキ廃液を通過させ
る陽イオン一方向膜(21)、前記陽イオン一方向膜(21)の両側に設けられた第2の
陽極電極タンク(22)、第2の陰極電極タンク(23)を含み、前記第2の陰極電極タ
ンク(23)と陽イオン一方向膜(21)間にニッケル濃縮液プール(24)が設けられ
、前記陽イオン一方向膜電気透析システム(2)を10~15日間を運転した後、前記第
2の陽極電極タンク(22)と第2の陰極電極タンク(23)の位置を入れ替えて、同時
にニッケル濃縮液を第2の陰極電極タンク(23)と陽イオン一方向膜(21)間のニッ
ケル濃縮液プール(24)内に再び充填する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【請求項5】
前記リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、リン酸鉄結晶沈殿物を蒸
留水で3~5回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を60~80℃で30~50分乾燥
し、そしてリン酸鉄結晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%のアルゴンガスを焼結炉
の保護ガスとして使用し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を130~150℃まで
昇温させ、10~20分間保持した後、10℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を350
~370℃まで昇温させ、350~370℃の条件下で20~30分間加熱してリン酸鉄
を得ることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【請求項6】
前記エレクトロフェントン技術で処理されたリン濃縮液をステップS2に返還して分離お
よび濃縮を継続し、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回数が1~3回である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【請求項7】
前記旋廻流式電解で処理されたニッケル濃縮液をステップS3に返還して分離および濃縮
を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回数が1~5回である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業廃水処理およびリサイクルの技術分野に属し、具体的には、無電解ニッケ
ルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を回収し再利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気メッキは、中国国内の加工および製造業における一般的なプロセスであり、機械、電
子、航空宇宙などの分野で幅広く応用されている。無電解ニッケルめっきは、電気めっき
業界の重要な分野であり、その優れた耐食性、耐摩耗性、はんだ付け性、およびコーティ
ングの均一な厚さにより、世界中で幅広く使用されている。
無電解ニッケルメッキ産業は急速に発展する同時に、大量の無電解ニッケルメッキ廃液を
処理する必要がある問題を引き起こす。無電解ニッケルメッキ廃液には、高濃度のニッケ
ルおよび次亜リン酸塩が含まれ、含有量が1リットルあたり数グラムから数十グラムにも
ある。水域に放出された重金属であるニッケルは、水生生物に明らかな毒性作用を及ぼし
、水域中のニッケルイオン濃度が1.2mg/Lを超えると、魚を死に至らしめる可能性
がある。生化学的処理方法における微生物が廃液中の次亜リン酸塩を効果的に利用できず
、ほとんどの下水処理場では、このような水処理により深刻なリン過剰排出問題が発生し
、大量のリンが水域に排出され水質の汚染が深刻になり、水域の富栄養化の汚染物の1つ
である。中国の電気メッキ汚染物排出標準(GB21900-2008)中の表3標準に
よると、ニッケル許容排出濃度がわずか0.1mg/L、総リン許容排出濃度が0.5m
g/Lと規定されている。
ニッケルは希少で高価の金属資源であり、国際市場でのニッケルの価格は近年高とまりし
ている。2020年、金属ニッケルの価格が14万元/トンに上昇した。同時に、リン資
源も中国の希少の資源の1つであり、中国の国土資源省は、リン資源を2010年以降国
家経済発展のニーズに応えられない重要な鉱物の1つとする。近年、多くの学者が、国内
の下水処理場で発生するスラッジからますます貴重なリン資源を抽出する方法を研究して
いる。無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリンをリサイクルせず任意に排出す
ると、必然的にそのような希少で貴重な資源の浪費になる。
現在、無電解ニッケルメッキ廃液の主な処理方法は、化学沈殿法、フェントン法などがあ
り、これらの方法は、下水処理薬品を大量に添加する必要があり、コストが高く、同時に
廃液中の重金属、リン資源の回収が難しく、資源の浪費になり、スラッジが多く発生し、
二次汚染が発生しやすくなる。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題を考慮して、本発明は、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資
源を回収し再利用する方法を提供し、具体的な技術的解決策は以下のとおりである。無電
解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を回収し再利用する方法は、主に以下
のステップを含む:
S1、廃液濾過
多段セキュリティフィルターシステムによって無電解ニッケルメッキ廃液を濾過し、無電
解ニッケルメッキ廃液中の粒子不純物を去除する、
S2、廃液中のリンの分離濃縮
陰イオン一方向膜電気透析システムを使用して濾過された無電解ニッケルメッキ廃液に対
して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中の次亜リン酸塩と亜リン酸塩が電
界力の作用下で、陰イオン一方向膜を通過してリン濃縮液プールに入り、無電解ニッケル
メッキ廃液中のリンを分離濃縮してリン濃縮液を得る、
S3、廃液中ニッケルの分離濃縮
陽イオン一方向膜電気透析システムを使用して、ステップS2で処理された無電解ニッケ
ルメッキ廃液に対して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルイオ
ンが電界力の作用下で、陽イオン一方向膜を通過してニッケル濃縮液プールに入り、無電
解ニッケルメッキ廃液中のニッケルを分離濃縮してニッケル濃縮液を得る、
S4、リン濃縮液の後処理
エレクトロフェントン技術を使用してステップS2で得られたリン濃縮液を処理し、エレ
クトロフェントン反応によって生成されたOHの作用下で、リン濃縮液中の次亜リン酸塩
、亜リン酸塩が酸化されてオルトリン酸塩になり、オルトリン酸塩とエレクトロフェント
ン反応系中のFe3+と反応してリン酸鉄結晶沈殿物を形成し、得られたリン酸鉄結晶沈
殿物を加工してリン酸鉄に回収して再利用する、
S5、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS3で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、金属ニッケルを回収して再利用
する。
【0004】
本発明の一側面として、前記多段セキュリティフィルターシステムの濾過方法は、無電解
ニッケルメッキ廃液を多段セキュリティフィルターシステムに導入し、多段セキュリティ
フィルターシステム中の複数組の濾過タンクによって無電解ニッケルメッキ廃液中の粒子
を段階的に濾過および遮断し、前記濾過タンクの濾過開口径が上から下に向かって徐々に
減少し、濾過後、濾過タンク頂端のスプレー洗浄装置を使用して、濾過によって得られた
粒子の表面を洗浄し、濾過粒子に付着した無電解ニッケルメッキ廃液を分離して無電解ニ
ッケルメッキ廃液本体に返還するので、多段濾過により無電解ニッケルメッキ廃液中の不
溶性不純物粒子を濾過し粒子径の大きさに応じて分離し、後処理が容易になり、同時にス
プレー洗浄装置を使用して濾過された粒子の表面に付着した無電解ニッケルメッキ廃液を
洗浄し、不純物粒子の後処理が容易になり、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケル、リ
ンの回収率を向上させる。
【0005】
本発明の一側面として、前記陰イオン一方向膜電気透析システムは、無電解ニッケルメッ
キ廃液を通過させるための陰イオン一方向膜、前記陰イオン一方向膜両側に設けられた第
1の陽極電極タンク、第1の陰極電極タンクを含み、前記第1の陽極電極タンクと陰イオ
ン一方向膜の間にリン濃縮液プールが設けられ、陰イオン一方向膜が次亜リン酸塩、亜リ
ン酸塩を通過させる特性を活用して、電界力を印可すれば無電解ニッケルメッキ廃液中の
リンを分離でき、分離コストが低く効率が高い。
【0006】
本発明の一側面として、前記陰イオン一方向膜電気透析システムを5~7日間運転した後
、前記第1の陽極電極タンクと第1の陰極電極タンクの位置を入れ替えて、同時にリン濃
縮液を第1の陽極電極タンクと陰イオン一方向膜間のリン濃縮液プール内に再び充填し、
電極タンクの位置を周期的に入れ替えることで陰イオン一方向膜の両側を使用でき、陰イ
オン一方向膜の長期間使用による詰まりを回避し、電極タンクを入れ替える時電極タンク
内の沈殿物を掃除することもできる。
【0007】
本発明の一側面として、前記陽イオン一方向膜電気透析システムは、無電解ニッケルメッ
キ廃液を通過させる陽イオン一方向膜、前記陽イオン一方向膜の両側に設けられた第2の
陽極電極タンク、第2の陰極電極タンクを含み、前記第2の陰極電極タンクと陽イオン一
方向膜間にニッケル濃縮液プールが設けられ、陽イオン一方向膜がニッケルイオンを通過
させる特性を活用して、電界力を印可すれば無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルを分
離でき、分離コストが低く効率が高い。
【0008】
本発明の一側面として、前記陽イオン一方向膜電気透析システムを10~15日間を運転
した後、前記第2の陽極電極タンクと第2の陰極電極タンクの位置を入れ替えて、同時に
ニッケル濃縮液を第2の陰極電極タンクと陽イオン一方向膜間のニッケル濃縮液プール内
に再び充填し、電極タンクの位置を周期的に入れ替えることで陽イオン一方向膜の両側を
使用でき、陽イオン一方向膜の長期間使用による詰まりを回避し、電極タンクを入れ替え
る時電極タンク内の沈殿物を掃除することもできる。
【0009】
本発明の一側面として、エレクトロフェントン反応系の処理の前に、ステップS2で得ら
れたリン濃縮液のpHを2.5~4に調節し、リン濃縮液のpHが2.5~4であると、
エレクトロフェントン反応系によって生成されたOHの量が大きく、リン濃縮液中の次亜
リン酸塩、亜リン酸塩の酸化効率が高い。
【0010】
本発明の一側面として、前記リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、
リン酸鉄結晶沈殿物を蒸留水で3~5回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を60~8
0℃で30~50分乾燥し、そしてリン酸鉄結晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%
のアルゴンガスを焼結炉の保護ガスとして使用し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度
を130~150℃まで昇温させ、10~20分間保持した後、10℃/分の昇温速度で
焼結炉中の温度を350~370℃まで昇温させ、350~370℃の条件下で20~3
0分間加熱してリン酸鉄を得ることを含み、リン酸鉄結晶沈殿物には結晶水が含まれ、一
般に、リン酸鉄結晶沈殿物の処理には脱水と結晶変換の2つの部分が含まれ、上記加工ス
テップは、昇温速度および高温処理時間が制御される条件下で、2つのステップに分割す
る必要がなく、効率が向上し、コストも節約される。
【0011】
本発明の一側面として、前記エレクトロフェントン技術で処理されたリン濃縮液をステッ
プS2に返還して分離および濃縮を継続し、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回
数が1~3回であり、エレクトロフェントン技術によって、リン濃縮液中のリン濃度を9
3%以上減少し、処理後の液体には少量の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が含まれ、ステップ
S2に返還させ分離および濃縮を継続し、プロセス全体に影響を与えることなくさらにそ
のリンを回収することができる。
【0012】
本発明の一側面として、前記旋廻流式電解で処理されたニッケル濃縮液をステップS3に
返還して分離および濃縮を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回
数が1~5回であり、旋廻流式電解処理によってニッケル濃縮液中のニッケル濃度が90
%以上減少し、処理後の液体にはニッケルイオンが含まれ、ステップS3に返還させ分離
および濃縮を1~5回行い、プロセス全体に影響を与えることなくさらにそのニッケルを
回収することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明によって提供される無電解ニッケルメッキ廃
液中のニッケルおよびリン資源を回収し再利用する方法は、無電解ニッケルメッキ廃液を
多段濾過し、廃液中の不純物粒子を分離および洗浄して、濾過粒子の後処理が容易になる
だけでなく、廃液の回収率も向上し、陰イオン一方向膜および陽イオン一方向膜を使用し
て廃液を段階的に処理し、電界力および一方向膜の一方向通過性により廃液中のリン、ニ
ッケルをそれぞれ濃縮し、処理プロセス中、電極タンクの極性を周期的に入れ替え、イオ
ン一方向膜の使用寿命を延ばし、処理コストを削減し、金属ニッケルおよびリン酸鉄の形
で、廃液中のニッケルリン資源を効果的に回収し、廃液による環境汚染を減らす。一言で
言えば、本発明は、高度な方法、完全なプロセス、高い処理効率、低いコストなどの利点
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の実施例1の電気透析処理システムの構造図である。
【
図3】本発明の実施例11の電気透析処理の構造概略図である。
【0015】
[符号の説明]
1 陰イオン一方向膜電気透析システム
11 陰イオン一方向膜
12 第1の陽極電極タンク
13 第1の陰極電極タンク
14 リン濃縮液プール
2 陽イオン一方向膜電気透析システム
21 陽イオン一方向膜
22 第2の陽極電極タンク
23 第2の陰極電極タンク
24 ニッケル濃縮液プール
1a 双方向膜組
11a 陰イオン交換膜
12a 陽イオン交換膜
14a リン濃縮プール
24a ニッケル濃縮プール
2a 陽極電極タンク
3a 陰極電極タンク
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的解決策の理解を容易にするために、以下、
図1から
図3および具体的な実
施例を参照して本発明をさらに解釈および説明するが、実施例は本発明の保護範囲を限定
するものではない。
【0017】
実施例1:
図1に示すように、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を
回収し再利用する方法は、主に以下のステップを含む:
S1、廃液濾過
多段セキュリティフィルターシステムによって無電解ニッケルメッキ廃液を濾過し、無電
解ニッケルメッキ廃液中の粒子不純物を去除し、多段セキュリティフィルターシステムの
濾過方法は以下のとおりである:無電解ニッケルメッキ廃液を多段セキュリティフィルタ
ーシステムに導入し、多段セキュリティフィルターシステム中の複数組の濾過タンクによ
って無電解ニッケルメッキ廃液中の粒子を段階的に濾過および遮断し、濾過タンクの濾過
開口径が上から下に向かって徐々に減少し、濾過後、濾過タンク頂端のスプレー洗浄装置
を使用して濾過で得られた粒子の表面を洗浄し、濾過粒子に付着した無電解ニッケルメッ
キ廃液を分離して無電解ニッケルメッキ廃液本体に返還させる、
S2、廃液中のリンの分離濃縮
陰イオン一方向膜電気透析システム1を使用して濾過された無電解ニッケルメッキ廃液に
対して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中の次亜リン酸塩と亜リン酸塩が
電界力の作用下で、陰イオン一方向膜11を通過してリン濃縮液プール14に入り、無電
解ニッケルメッキ廃液中のリンを分離濃縮してリン濃縮液を得る、
図2に示すように、陰イオン一方向膜電気透析システム1は、無電解ニッケルメッキ廃液
を通過させる陰イオン一方向膜11、陰イオン一方向膜11の両側に設けられた第1の陽
極電極タンク12、第1の陰極電極タンク13を含み、第1の陽極電極タンク12と陰イ
オン一方向膜11の間にリン濃縮液プール14が設けられる、
陰イオン一方向膜電気透析システム1を6日間運転した後、第1の陽極電極タンク12と
第1の陰極電極タンク13の位置を入れ替えて、同時にリン濃縮液を第1の陽極電極タン
ク12と陰イオン一方向膜11の間のリン濃縮液プール14内に再び充填する、
S3、廃液中ニッケルの分離濃縮
陽イオン一方向膜電気透析システム2を使用ていステップS2で処理された無電解ニッケ
ルメッキ廃液に対して電気透析処理を行い、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルイオ
ンが電界力の作用下で、陽イオン一方向膜21を通過してニッケル濃縮液プール24に入
り、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルを分離および濃縮してニッケル濃縮液を得る
、
図2に示すように、陽イオン一方向膜電気透析システム2は、無電解ニッケルメッキ廃液
を通過させる陽イオン一方向膜21、陽イオン一方向膜21両側に設けられた第2の陽極
電極タンク22、第2の陰極電極タンク23を含み、第2の陰極電極タンク23と陽イオ
ン一方向膜21の間ニッケル濃縮液プール24が設けられる、
陽イオン一方向膜電気透析システム2を13日間運転した後、第2の陽極電極タンク22
と第2の陰極電極タンク23の位置を入れ替えて、同時にニッケル濃縮液を第2の陰極電
極タンク23と陽イオン一方向膜21の間のニッケル濃縮液プール24内に再び充填する
、
S4、リン濃縮液の後処理
ステップS2で得られたリン濃縮液のpHを3に調節し、エレクトロフェントン技術によ
りリン濃縮液を処理し、エレクトロフェントン反応によって生成されたOHの作用下で、
リン濃縮液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が酸化されオルトリン酸塩になり、オルトリン
酸塩がエレクトロフェントン反応系中のFe
3+と反応してリン酸鉄結晶沈殿物を形成し
、得られたリン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄として回収して再利用し、エレクトロ
フェントン技術によって処理されたリン濃縮液をステップS2に返還させ分離および濃縮
を継続し、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回数が2回である、
リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、リン酸鉄結晶沈殿物を蒸留水
で4回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を70℃で40分間乾燥した後、リン酸鉄結
晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%のアルゴンガスを焼結炉の保護ガスとして使用
し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を140℃まで昇温させ、15分間保持した後
、10℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を350℃まで昇温させ、350℃条件下で3
0分間加熱してリン酸鉄を得る、
S5、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS3で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、得られた金属ニッケルを回収し
て再利用し、旋廻流式電解処理されたニッケル濃縮液をステップS3に返還させ分離およ
び濃縮を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回数が3回である。
【0018】
実施例2:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
S1、廃液濾過
無電解ニッケルメッキ廃液を1段濾過し、無電解ニッケルメッキ廃液中の粒子不純物を去
除する。
【0019】
実施例3:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
陰イオン一方向膜電気透析システム1を5日間運転した後、第1の陽極電極タンク12と
第1の陰極電極タンク13の位置を入れ替えて、同時にリン濃縮液を第1の陽極電極タン
ク12と陰イオン一方向膜11の間のリン濃縮液プール14内に再び充填する。
【0020】
実施例4:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
陰イオン一方向膜電気透析システム1を7日間運転した後、第1の陽極電極タンク12と
第1の陰極電極タンク13の位置を入れ替えて、同時にリン濃縮液を第1の陽極電極タン
ク12と陰イオン一方向膜11の間のリン濃縮液プール14内に再び充填する。
【0021】
実施例5:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
陽イオン一方向膜電気透析システム2を10日間運転した後、第2の陽極電極タンク22
と第2の陰極電極タンク23の位置を入れ替えて、同時にニッケル濃縮液を第2の陰極電
極タンク23と陽イオン一方向膜21の間のニッケル濃縮液プール24内に再び充填する
。
【0022】
実施例6:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
陽イオン一方向膜電気透析システム2を15日間運転した後、第2の陽極電極タンク22
と第2の陰極電極タンク23の位置を入れ替えて、同時にニッケル濃縮液を第2の陰極電
極タンク23と陽イオン一方向膜21の間のニッケル濃縮液プール24内に再び充填する
。
【0023】
実施例7:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
S4、リン濃縮液の後処理
ステップS2で得られたリン濃縮液のpHを2.5に調節し、エレクトロフェントン技術
によりリン濃縮液を処理し、エレクトロフェントン反応によって生成されたOH作用下で
、リン濃縮液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が酸化されてオルトリン酸塩になり、オルト
リン酸塩がエレクトロフェントン反応系中のFe3+と反応してリン酸鉄結晶沈殿物を形
成し、得られたリン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄として回収して再利用し、エレク
トロフェントン技術で処理されたリン濃縮液をステップS2に返還させ分離および濃縮を
継続し、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回数が1回である、
リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、リン酸鉄結晶沈殿物を蒸留水
で3回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を60℃で30分間乾燥した後、リン酸鉄結
晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%のアルゴンガスを焼結炉の保護ガスとして使用
し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を130℃まで昇温させ、10分間保持した後
、10℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を360℃まで昇温させ、360℃条件下で2
5分間加熱してリン酸鉄を得る。
【0024】
実施例8:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
S4、リン濃縮液の後処理
ステップS2で得られたリン濃縮液のpHを4に調節し、エレクトロフェントン技術によ
りリン濃縮液を処理し、エレクトロフェントン反応によって生成されたOH作用下で、リ
ン濃縮液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が酸化されてオルトリン酸塩になり、オルトリン
酸塩がエレクトロフェントン反応系中のFe3+と反応してリン酸鉄結晶沈殿物を形成し
、得られたリン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄として回収して再利用し、エレクトロ
フェントン技術で処理されたリン濃縮液をステップS2に返還させ分離および濃縮を継続
し、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回数が3回である、
リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、リン酸鉄結晶沈殿物を蒸留水
で5回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を80℃で50分間乾燥した後、リン酸鉄結
晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%のアルゴンガスを焼結炉の保護ガスとして使用
し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を150℃まで昇温させ、20分間保持した後
、10℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を370℃まで昇温させ、370℃条件下で2
0分間加熱してリン酸鉄を得る。
【0025】
実施例9:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
S5、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS3で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、得られた金属ニッケルを回収し
て再利用し、旋廻流式電解処理されたニッケル濃縮液をステップS3に返還させ分離およ
び濃縮を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回数が1回である。
【0026】
実施例10:以下のことを除いて実施例1と大体同じである:
S5、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS3で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、得られた金属ニッケルを回収し
て再利用し、旋廻流式電解処理されたニッケル濃縮液をステップS3に返還させ分離およ
び濃縮を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回数が5回である。
【0027】
実施例11:無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を回収し再利用する
方法は、主に以下のステップを含む:
S1、廃液濾過
多段セキュリティフィルターシステムによって無電解ニッケルメッキ廃液を濾過し、無電
解ニッケルメッキ廃液中の粒子不純物を去除し、多段セキュリティフィルターシステムの
濾過方法は以下のとおりである:無電解ニッケルメッキ廃液を多段セキュリティフィルタ
ーシステムに導入し、多段セキュリティフィルターシステム中の複数組の濾過タンクによ
って無電解ニッケルメッキ廃液中の粒子を段階的に濾過および遮断し、濾過タンクの濾過
開口径が上から下に向かって徐々に減少し、濾過後、濾過タンク頂端のスプレー洗浄装置
を使用して濾過で得られた粒子の表面を洗浄し、濾過粒子に付着した無電解ニッケルメッ
キ廃液を分離して無電解ニッケルメッキ廃液本体に返還させる、
S2、廃液中のリン、ニッケルを同期に分離および濃縮する
図3に示すように、同期電気透析システムは、無電解ニッケルメッキ廃液を通過させる双
方向膜組1a、双方向膜組1a両側に設けられた陽極電極タンク2a、陰極電極タンク3
aを含み、
双方向膜組1aの陽極電極タンク2aに近い側が陰イオン交換膜11aであり、陰イオン
交換膜11aと陽極電極タンク2aの間にリン濃縮プール14aが設けられ、無電解ニッ
ケルメッキ廃液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が電界力の作用下で、陰イオン交換膜11
aを通過してリン濃縮液14aに入り、無電解ニッケルメッキ廃液中のリンを分離および
濃縮してリン濃縮液を得る、
双方向膜組1aの陰極電極タンク3aに近い側が陽イオン交換膜12aであり、陽イオン
交換膜12aと陰極電極タンク3aの間にニッケル濃縮プール24aが設けられ、無電解
ニッケルメッキ廃液中のニッケルイオンが電界力の作用下で、陽イオン交換膜12aを通
過してニッケル濃縮プール14aに入り、無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルを分離
および濃縮してニッケル濃縮液を得る、
S3、リン濃縮液の後処理
ステップS2で得られたリン濃縮液のpHを3に調節し、エレクトロフェントン技術によ
りリン濃縮液を処理し、エレクトロフェントン反応によって生成されたOH作用下で、リ
ン濃縮液中の次亜リン酸塩、亜リン酸塩が酸化されてオルトリン酸塩になり、オルトリン
酸塩がエレクトロフェントン反応系中のFe
3+と反応してリン酸鉄結晶沈殿物を形成し
、得られたリン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄として回収して再利用し、エレクトロ
フェントン技術処理されたリン濃縮液をステップS2に返還させ分離および濃縮を継続し
、さらにリン濃縮液中のリンを回収し、返還回数が2回である、
リン酸鉄結晶沈殿物を加工してリン酸鉄を得るステップは、リン酸鉄結晶沈殿物を蒸留水
で4回洗浄し、洗浄したリン酸鉄結晶沈殿物を70℃で40分間乾燥した後、リン酸鉄結
晶沈殿物を焼結炉に置き、純度99.9%のアルゴンガスを焼結炉の保護ガスとして使用
し、5℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を140℃まで昇温させ、15分間保持した後
、10℃/分の昇温速度で焼結炉中の温度を350℃まで昇温させ、350℃条件下で3
0分間加熱してリン酸鉄を得る。
S4、ニッケル濃縮液の後処理
旋廻流式電解装置を使用してステップS2で得られたニッケル濃縮液を処理し、ニッケル
濃縮液中のニッケルイオンが還元されて陰極に堆積され、得られた金属ニッケルを回収し
て再利用し、旋廻流式電解処理されたニッケル濃縮液をステップS2に返還させ分離およ
び濃縮を継続し、さらにニッケル濃縮液中のニッケルを回収し、返還回数が3回である。
【0028】
実験例1:多段濾過セキュリティシステムによるニッケルおよびリン資源のリサイクルに
対する影響を研究する
それぞれ実施例1、実施例2の方法によって無電解ニッケルメッキ廃液を処理し、結果が
以下の通りである:
実施例1:多段セキュリティシステムによる無電解ニッケルメッキ廃液中の不純物粒子の
濾過が比較的完全であり、後の電気透析処理では、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜の詰
まり面積が小さく、交換膜の使用寿命が長く、スプレー洗浄された不純物粒子を直接埋め
たり加工処理したりでき、後の処理コストが低い、
実施例2:1段濾過による無電解ニッケルメッキ廃液中の不純物粒子の濾過が完全ではな
く、濾過タンクの詰まりが発生しやすく、後の電気透析処理では、陰イオン交換膜と陽イ
オン交換膜の詰まり面積が大きく、交換膜の使用寿命が短く、濾過で得られた不純物粒子
には無電解ニッケルメッキ廃液が付着しているため、直接に埋めたり加工処理したりでき
ず、後の処理コストが高い。
結論:本発明の実施例1によって提供される多段セキュリティフィルターシステムは、電
気透析処理中の交換膜の使用寿命を延ばし、不純物粒子を濾過した後の処理コストを削減
することができる。
実験例2:電極タンクの入れ替えによるニッケルおよびリン資源のリサイクルに対する影
響を研究する
実施例1、実施例3~6の方法によって無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケル、リン資
源をリサイクルし、比較組1を設定し、比較組1は、以下のことを除いて実施例1と大体
同じであり、比較組1中の第1の陽極電極タンクと第1の陰極電極タンク、第2の陽極電
極タンクと第2の陰極電極タンクの位置を入れ替えず、処理結果が表1に示される:
表1 電極タンクの入れ替えによる無電解ニッケルメッキ廃液処理に対する影響の比較表
【0029】
【0030】
結論:陰極電極タンクおよび陽極電極タンクを周期的に入り替えることで、陰イオン交換
膜と陽イオン交換膜の使用寿命を大幅に延ばし、処理コストを削減することができる。
実験例3:リン濃縮液の後処理液、ニッケル濃縮液の後処理液の返還回数によるニッケル
およびリン資源を回収し再利用する方法に対する影響を研究する
実施例1、実施例7~10の方法により無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケル、リン資
源をリサイクルし、比較組2を設定し、比較組2は、以下のことを除いて実施例1と大体
同じであり、比較組2中のリン濃縮液の後処理液、ニッケル濃縮液の後処理液が直接排出
され、処理結果が表2に示される:
表2 後処理液の返還処理による無電解ニッケルメッキ廃液処理に対する影響の比較表
【0031】
【0032】
結論:リン濃縮液の後処理液、ニッケル濃縮液の後処理液の返還処理回数が多いほど、排
出液中のリン、ニッケルの含有量が低くなるが、それに応じてコストが高くなり、表2か
ら分かるように、実施例1の方法は、コスト性能が高く、排出液中のリン、ニッケル含有
量が排出標準を満たし、且つ処理コストが比較的に低い。
実験例4:廃液中のリン、ニッケルの段階的分離濃縮と同期分離濃縮の区別を研究する
実施例1、実施例11の方法により無電解ニッケルメッキ廃液を処理し、結果が以下のと
おりである:
実施例1では、リン、ニッケルを段階的に分離および濃縮し、陰イオン一方向膜電気透析
システムでは、陽イオン一方向膜電気透析システムと電界力の強度が異なるため、処理時
間も異なり、段階的に処理すれば無電解ニッケルメッキ廃液中のリン、ニッケルを最大限
に分離および濃縮できるが、実施例11ではリン、ニッケルを同期して分離および濃縮し
、陰イオン一方向膜電気透析システムでは、陽イオン一方向膜電気透析システムと電界力
の強度が異なり、処理時間も異なるため、電界力要求の低いまたは高い電気透析システム
に従って電界力を印可すれば、分離効果が悪く、同様に、短いまたは長い処理時間とする
と分離および濃縮効率が低下するため、同期分離濃縮は統合性が高いものの、分離濃縮効
率が低いが、段階的分離濃縮は2段階であるが分離効率が高い。
【要約】 (修正有)
【課題】無電解ニッケルメッキ廃液中のニッケルおよびリン資源を、金属ニッケルおよびリン酸鉄の形で回収し再利用する方法を提供する。
【解決手段】以下のステップを含む:S1、多段セキュリティフィルターシステムによって無電解ニッケルメッキ廃液を濾過する、S2、陰イオン一方向膜電気透析システムを使用して濾過された無電解ニッケルメッキ廃液に対して電気透析処理を行い、リン濃縮液を得る、S3、陽イオン一方向膜電気透析システムを使用して無電解ニッケルメッキ廃液に対して電気透析処理を行い、ニッケル濃縮液を得る、S4、エレクトロフェントン技術を使用してリン濃縮液を処理し、リン酸鉄を回収し再利用する、S5、旋廻流式電解装置を使用してニッケル濃縮液を処理し、金属ニッケルを回収して再利用する。
【選択図】
図1