(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】有機性廃棄物のメタン発酵装置と方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/65 20220101AFI20220104BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20220104BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B09B3/00 C ZAB
C02F11/04 A
C02F1/44 F
(21)【出願番号】P 2021009238
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2021-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085109
【氏名又は名称】田中 政浩
(72)【発明者】
【氏名】大里 彩
(72)【発明者】
【氏名】冨田 洋平
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004478(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0295625(US,A1)
【文献】特開2006-281087(JP,A)
【文献】中国実用新案第207259514(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103396942(CN,A)
【文献】中国実用新案第202626170(CN,U)
【文献】特開平11-290827(JP,A)
【文献】特開2000-024661(JP,A)
【文献】特開2017-023929(JP,A)
【文献】特開2000-015230(JP,A)
【文献】特表2013-532051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C02F 11/04
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物の膜分離メタン発酵法において、発酵槽に投入される有機性廃棄物を目幅が1.0mm以上10mm以下の第1の分別機で分別し、発酵槽を出て膜分離槽に送られる発酵液を目幅が0.5mm以上3.0mm以下であって第1の分別機より小さい第2の分別機で分別し、第2の分別機で分別された残渣の少なくとも一部を発酵槽に返送し、発酵槽内の発酵液のTS濃度を2~5重量%に保って発酵運転を行う
とともに、発酵槽内の発酵液を攪拌する撹拌機に攪拌を制御するインバーター制御機構を取り付けて、発酵槽から第2の分別機に送る発酵液の汚泥のSS濃度が、発酵槽内部のSS濃度を上回らないように撹拌機の回転数を制御することを特徴とする、有機性廃棄物のメタン発酵方法。
【請求項2】
第2の分別機が、直列に接続された複数の分別機よりなっている請求項1に記載のメタン発酵方法。
【請求項3】
直列に接続された複数の分別機のうち、前段の分別機の目幅が2.0mm以上3.0mm以下であり、後段の分別機の目幅が0.5mm以上2.0mm未満である請求項2に記載のメタン発酵方法。
【請求項4】
発酵槽から第2の分別機に送る発酵液の引抜位置が発酵槽の液位の1/4以上の高さである請求項1ないし3のいずれかに記載のメタン発酵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物を膜分離メタン発酵法で処理する装置と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみのなかで家庭や料理店などから廃棄される生ごみ、総菜や料理の製造工場、農作物や水産物の加工場から排出される生ごみ、下水汚泥などの有機性廃棄物をメタン発酵させることが行われている。メタン発酵すると発酵汚泥が増加していくので発酵槽から引き抜くが、そうするとメタン菌も引き抜かれてしまう。そこで、発酵液を膜分離槽に送って膜分離し、汚泥を発酵槽へ返送する膜分離発酵法が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この膜分離発酵法の概略を
図4に示す。発酵槽に投入される有機性廃棄物は、加圧されて目幅が0.3~0.7mmの分別機(1)に押し出すことによって残渣を分別除去してこれを発酵槽に投入し、メタン発酵させる。発酵温度は膜を透過する液の粘度を下げるため50~57℃の高温を採用している。そして、発酵槽からは発酵汚泥を取り出して膜分離槽との間を循環させ、この循環ラインにも分別機(2)が設けられている。そして、余剰な汚泥は発酵槽の底部から引抜いて脱水機で脱水し、脱水ケーキとして取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
膜分離メタン発酵法では、膜分離の安定運転のために膜分離槽への夾雑物の混入を避ける必要がある。特許文献1では、生ごみ等を加圧して0.3~0.7mmのスリットの篩に押し出すことにより、圧縮粉砕して夾雑物を除去し、さらに発酵槽から膜分離槽に供給するラインにも分別機であるスクリーンを設けている。
【0006】
しかしながら、本発明者らが、この方法を検討したところ、スリットの篩である分別機の目幅が0.3~0.7mmであると、分別機を通過しない残渣の量が多くなって、その処理費が嵩み、また、残渣中には生物分解可能な有機物もかなり含まれているため、本来メタン発酵で有効利用できるものまで廃棄していて処理費がかかることが判明した。
【0007】
本発明の目的は、メタン発酵される有機性廃棄物から膜の安定運転を妨害する夾雑物を効率よく除去するとともに、夾雑物に同伴される有機物を減らして、排出される残渣の処理費を削減できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、有機性廃棄物の膜分離メタン発酵装置において、発酵槽に投入する有機性廃棄物を分別する第1の分別機と、発酵槽を出て膜分離槽へ送られる発酵液を分別する第2の分別機を設け、第1の分別機の目幅が1.0mm以上10mm以下であり、第2の分別機の目幅が0.5mm以上3.0mm以下であって、第1の分別機の目幅は第2の分別機の目幅より大きく、かつ第2の分別機で分別された残渣の少なくとも一部を発酵槽へ返送するように構成されている、有機性廃棄物のメタン発酵装置と、
有機性廃棄物の膜分離メタン発酵法において、発酵槽に投入される有機性廃棄物を目幅が1.0mm以上10mm以下の第1の分別機で分別し、発酵槽を出て膜分離槽に送られる発酵液を目幅が0.5mm以上3.0mm以下であって第1の分別機より小さい第2の分別機で分別し、第2の分別機で分別された残渣の少なくとも一部を発酵槽に返送することを特徴とする、有機性廃棄物のメタン発酵方法
を提供するものである。
【0009】
即ち本発明者は、鋭意検討した結果、発酵槽に投入する前の第1の分別機の目幅を1.0mm以上にしても分別できる残渣の量はあまり減らないが有機物の混在量を大幅に減らせることができることを見出した。そして、発酵槽から膜分離槽に送られる発酵液を分別する第2の分別機の目幅を0.5~3.0mmにすれば、第1の分別機で漏れた夾雑物を効率よく除去して膜分離槽を円滑に長時間運転させることができ、第2の分別機の目詰まりの問題もないことを見出した。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、有機性廃棄物に含まれる膜にダメージを与える夾雑物を効率よく除去してメタン発酵を長時間安定して運転できるようにするとともに、有機物の大半をメタン発酵させて排出される残渣の発生量を減らし、排出される廃棄物の処理費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施態様を示すブロック図である。
【
図2】本発明の別の実施態様を示すブロック図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のメタン発酵装置に投入される有機性廃棄物はメタン発酵されるものであり、家庭や料理店などから廃棄される生ごみ、総菜や料理の製造工場、農作物や水産物の加工場などから排出される生ごみ、下水処理場から排出される汚泥などが含まれる。
【0013】
これらの家庭や料理店などから排出される生ごみは一般にプラスチック袋に入れられ、総菜や料理の製造工場等から排出される生ごみは段ボール箱に入れられているものが多いので、受け入れた有機性廃棄物は破砕機等で破砕して内容物を取り出す。
【0014】
こうして受け入れた有機性廃棄物は、破砕の際に生じたプラスチック袋の破片や有機性廃棄物に混入している石ころ等を取除くために、まず分別が行われる。本発明では、発酵槽に投入する第1の分別機の目幅を1.0mm以上とする。一方、目幅を10mmより大きくすると、発酵槽へ有機性廃棄物を移送するポンプの閉塞が生じやすくなるので目幅は10mm以下とすることが好ましい。従って、本発明における第1の分別機の目幅は1.0mm以上で10mm以下として、好ましくは2.0mm以上8.0mm以下、さらに好ましくは3.0mm以上7.0mm以下とするのがよい。分別機の種類としては、回転ブレード式破袋選別機やハンマーブレード式破砕選別機などがある。第1分別機で分別するのは、プラスチック袋片、段ボール片、石ころ、紙類、布類などのメタン発酵できない物や装置の運転を阻害する物などである。
【0015】
第1の分別機で発酵不適物を残渣として除去した有機性廃棄物は発酵槽に投入される。一方、残渣は、焼却等で処分される。
【0016】
発酵槽は、密閉構造で、上部にはガスの排出口が、底部には汚泥の引抜口が設けられ、さらに膜分離槽との循環ラインを形成するための発酵液の取出口と膜分離槽からの返送汚泥の入口が設けられ、通常、発酵液を攪拌する撹拌機も取り付けられている。その外、液面計や温度計など発酵管理に必要な計器類も取り付けられている。
【0017】
汚泥の引抜口は脱水機に接続されていて、そこで汚泥の脱水が行われ、脱水ケーキとして排出される。脱水ケーキは一部は堆肥や燃料などに利用されるが、多くは焼却処分される。
【0018】
撹拌機は櫂型等の攪拌翼型撹拌機が用いられる。この撹拌機は、第2の分別機の負荷を減らすために発酵液を緩やかに攪拌できるよう回転数をインバーター制御できるようにすることが好ましい。それによって、緩やかな攪拌で残渣を沈殿しやすくし、第2の分別機へ投入される残渣の量を減らすことができる。
【0019】
また、発酵槽と膜分離槽との循環ラインにおける発酵槽からの発酵液の取出口は、低い位置にすると沈殿性の残渣が多く第2の分別機に送られるため、第2の分別機の負荷を減らすため、発酵槽の液位の1/4以上、好ましくは、1/2~3/4程度の高い位置に設けることが好ましい。一方、膜分離槽からの返送汚泥の入口の位置は、高低いずれでもよい。
【0020】
発酵槽から膜分離槽へ送られる発酵液に大きな夾雑物が混入していると、これが膜の間に挟まって膜面ブロワの洗浄能力を損わせたり、膜面に張り付いて有効膜面積を低減させたりして膜間差圧を上昇させ、洗浄頻度を増加させる。そこで、発酵槽から膜分離槽へ発酵液を送るラインに第2の分別機を設けて膜分離の安定運転を妨害する夾雑物を除去する。この第2の分別機の目幅は、小さすぎると目詰まりしやすく、安定した膜分離槽への発酵液の供給ができなくなる。また、膜分離槽での汚泥濃度が高くなりすぎないように、発酵槽から引き抜く発酵液の流量が大きくなり、引抜ポンプが大きくなるので設備コストの観点からも好ましくない。一方、目幅が大きすぎると比較的大きな夾雑物が漏れ出し、膜分離の安定運転を妨害する。
【0021】
そこで、第2の分別機の目幅は0.5mm以上3.0mm以下が適当である。この第2の分別機の目幅はさらに第1の分別機より小さくする。第2の分別機で分離された残渣は、有機物もかなり含まれているので、発酵槽に返送する。返送は、循環ラインの発酵槽への返送側へ合流させてもよく、あるいは発酵槽に直接返送してもよい。
【0022】
第2の分別機は、複数段すなわち複数の分別機を直列に接続して構成してもよい。すなわち、目幅の大きな側で捕捉された残渣は、水分を給水しやすい米などが多く重量が重いため返送はポンプで行ない、また、有機物の割合が低いので系外に排出してもよい。一方、目幅の小さな側で捕捉された残渣は小さな野菜くずなどが多く軽量であるためポンプを使わないで返送することができ、有機物の割合が高いので、これは発酵槽に返送する。第2の分別機を複数設けることによって、スクリーンの表面に溜まる残渣が少なくなり、分別機のメンテナンスが容易になる。目幅としては、例えば前段を2.0mm以上3.0mm以下、後段を0.5mm以上2.0mm未満とする。
【0023】
分別機の種類としては、バースクリーンやドラムスクリーンなどを使用することができる。
【0024】
第2の分別機で夾雑物を除去した発酵液は膜分離槽に入れて膜分離を行なう。膜分離槽には複数の膜モジュールが設けられ、その下には膜を洗浄する散気装置が設置されている。膜は孔径が平均孔径でメタン菌を通さない0.05~0.4μm程度のものが好適である。散気装置には、メタン発酵が嫌気性であるため、空気は好ましくなく、発酵槽から排出されるメタンと二酸化炭素を主成分とするバイオガスなどが使用される。
【0025】
このような装置を用いて行われるメタン発酵方法は、第1の分別機で発酵不適物を残渣として除去した有機性廃棄物を発酵槽に入れ、メタン菌を接種してメタン発酵を行う。その際、有機性廃棄物には水を加えて濃度調整を行い、そのため、第1の分別機と発酵槽の間に混合槽を設けてもよい。濃度はTSで4~10重量%にすることが多い。メタン発酵は常法に従って行えばよく、高温菌を用いて高温発酵を行ってもよいが、通常の35~40℃程度で行えばよい。発酵中はメタン菌の濃度を発酵が円滑に進行するよう維持する必要があり、発酵汚泥の濃度として2~5容積%程度に維持するようにする。そのため、発酵液を発酵槽と膜分離槽との間を循環させて膜で分離された水を引き抜いて汚泥は発酵槽に返送し、発酵槽内で沈殿した余剰汚泥は汚泥の引抜口から取り出す。
【0026】
発酵槽内の発酵液は撹拌機で攪拌するが、攪拌が強すぎると層内に沈降した汚泥が舞上がって第2の分別機の負荷が増すため、回転数を緩やかな攪拌ができるよう、周波数をインバーター制御する。第2の分別機で分別された残渣は有機物が多く含まれているので原則として発酵槽へ返送するが、発酵不適物が多いものは系外に取り出す。
【0027】
発酵は連続的に行ってもよくバッチ処理でもよい。
【0028】
本発明の一実施態様の構成を
図1に示す。有機性廃棄物は、図面の左側から目幅が1.0~10mmの第1の分別機に入れられて発酵不適物が残渣として除去され、発酵槽に投入される。発酵槽では発酵液がインバーター制御された撹拌機で攪拌され、発酵槽と膜分離槽の間をポンプ(図示せず)で循環している。発酵槽と、それから膜分離槽に送られるラインには、それぞれ汚泥濃度計が取り付けられてそれぞれの汚泥濃度が測定され、そのデータが判定装置に入れられて、その指令がインバーターに送られて、撹拌機の攪拌速度が制御されている。そして、目幅が0.5~3.0mmの第2の分別機で発酵液に含まれている夾雑物が除去される。除去された夾雑物である残渣は発酵槽への返送ラインに合流させる。夾雑物が除去されて膜分離槽に入った発酵液は、膜を透過した水が引き抜かれて系外に排出され、発酵汚泥が濃縮されて発酵槽に返送される。膜分離槽では発酵槽から排出されたメタンガスの一部がブロワで膜モジュールの下から放出されて膜面を洗浄している。発酵槽内で沈降した汚泥は発酵槽の底部から引き抜かれて脱水機で脱水されて脱水ケーキとして取り出される。
【0029】
本発明の別の実施態様の構成を
図2に示す。この実施態様では、第2の分別機として2機を直列に接続し、前段の分別機には目幅が2.0~3.0mmのものを用い、後段の分別機には目幅が0.5~2.0mmのものを用い、前段の分別機で分別された残渣をポンプを介して返送ラインに合流させている外は、
図1の実施態様と同じである。
【0030】
本発明のさらに別の実施態様の構成を
図3に示す。この実施態様では、前段の分別機で分別された残渣を系外に排出している外は、
図2の実施態様と同じである。
【実施例】
【0031】
図1に示される装置を用いた。有機性廃棄物には、家庭からビニール袋に入れて廃棄され、集められた生ごみをホッパーに入れ、破砕機を用いて破袋して、第1の分別機へ投入した。そして、第1の分別機としてブレード式破袋選別機を用い、目幅を0.5mmから10mmまで変えて、生ごみを投入して分別を行った。得られた結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
上記の結果、目幅が1.0mmより小さいと分別残渣の割合が大きく、また、有機物の割合も大きくなり、目幅が10mmより大きいと発酵槽への移送ポンプでの閉塞が生じるので、目幅は1.0mm以上で10mm以下とするのがよいことが判明した。
【0034】
そこで、第1の分別機の目幅を10mmとし、分別された有機性廃棄物を発酵槽に入れてメタン発酵を行った。発酵槽は容積が10m3の密閉型の円筒で底部はロート状に形成され、内部には、回転速度のインバーター制御機構の付いた槽型撹拌翼の撹拌機が取り付けられている。発酵運転中は、発酵液を1m3/hで膜分離槽との間で循環させ、有機性廃棄物を連続的に投入を続けるとともに、底部に溜った汚泥を引き抜いて発酵液のTS濃度を2~5重量%(一例として3重量%)に保った。膜分離槽の散気装置に供給される発酵槽からのガスの量は一定速度4NL/min/m2・膜面積とした。
【0035】
こうして、第2の分別機の目幅を0.1mmから4.0mmまで変えて、膜面を洗浄してから膜間差圧が15kPaに達するまでの日数を調べた結果を表2に示す。
【0036】
【0037】
上記の結果、目幅は0.5mm以上で3mm以下が好ましいことが確認された。
【0038】
発酵槽より引き抜いた汚泥のSS濃度が、発酵槽内部のSS濃度を上回ると、第2の分別機で発生する残渣量が多くなり、第2の分別機に負荷がかかる。そのため、発酵槽より引き抜いた汚泥のSS濃度が発酵槽内部のSS濃度を上回った場合には、インバーター制御により撹拌機の回転速度を30rpmから20rpmに低下させることで、より発酵槽内で沈殿を生じやすくさせることで、発酵槽より引き抜いた汚泥のSS濃度を低下させた。
【0039】
また、発酵液の引抜位置が発酵槽液位の1/4の高さである場合と、液位の1/5の高さの場合で、引抜汚泥のSS濃度と発酵槽内部のSS濃度を測定した結果を表3に示す。撹拌機の回転数はどちらも30rpmとした。
【0040】
上記の結果、発酵液引抜位置は発酵槽液位の1/4以上の高さが望ましいことが確認された。
【0041】
【0042】
次に、
図1~3の装置について、第1の分別機の目幅はいずれも10mmとし、第2の分別機の目幅を
図1では0.5mm、
図2と3では前段の目幅を2.5mm、後段の目幅を0.5mmとしてメタン発酵を行い、有機性廃棄物における有機物の分解率を測定した結果を表4に示す。
【0043】
【0044】
尚、有機物はCOD-Crにより定量した。
【0045】
上記の結果、第2の分別機で分別された残渣には有機物がある程度含まれ、これを発酵槽に返送することによって有機物の分解率が向上し、メタンガスの発生量が増加することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により、有機性廃棄物を効率よくメタン発酵させてメタンガスを生成させることができるので、有機性廃棄物のメタン発酵に広く利用できる。
【要約】
【課題】 メタン発酵される有機性廃棄物から膜にダメージを与える夾雑物を効率よく除去するとともに、夾雑物に同伴される有機物を減らして、排出される残渣の処理費を削減できる手段を提供する。
【解決手段】 上記課題は、有機性廃棄物の膜分離メタン発酵装置において、発酵槽に投入する有機性廃棄物を分別する第1の分別機と、発酵槽を出て膜分離槽へ送られる発酵液を分別する第2の分別機を設け、第1の分別機の目幅が1.0mm以上10mm以下であり、第2の分別機の目幅が0.5mm以上3.0mm以下であって、第1の分別機の目幅は第2の分別機の目幅より大きく、かつ第2の分別機で分別された残渣の少なくとも一部を発酵槽へ返送するように構成されている、有機性廃棄物のメタン発酵装置と方法によって解決される。
【選択図】
図1