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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/22 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B60R22/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017174196
(22)【出願日】2017-09-11
(65)【公開番号】P2019048567
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 修之
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-129346(JP,U)
【文献】国際公開第2016/046891(WO,A1)
【文献】特開2016-094138(JP,A)
【文献】特開2015-123914(JP,A)
【文献】実開平03-064153(JP,U)
【文献】特開平06-219240(JP,A)
【文献】特開2015-066972(JP,A)
【文献】特開平09-095205(JP,A)
【文献】特開2002-362306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックルを車両側へ固定するブラケットであって
定ボルトが挿通する第1ボルト挿通孔が形成されるバックル固定ブラケット支持部と、前記バックルが連結されるバックル支持部と、を有するバックル固定ブラケットと、
前記固定ボルトが挿通する第2ボルト挿通孔が形成されるハーネス固定ブラケット支持部と、前記バックルから延びるハーネスが固定されるハーネス支持部と、を有するハーネス固定ブラケットと、を備え、
前記バックル固定ブラケットと前記ハーネス固定ブラケットとは、前記バックル固定ブラケット支持部と前記ハーネス固定ブラケット支持部とを重ね、前記第1ボルト挿通孔と前記第2ボルト挿通孔とを合わせた状態で、前記第1ボルト挿通孔及び前記第2ボルト挿通孔を挿通する前記固定ボルトによって車体側に締結固定され、
前記ハーネス支持部は、前第2ボルト挿通孔から離間する位置で所定方向へ延びる
ことを特徴とするブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載のブラケットであって、
前記ハーネス固定ブラケットは、前記バックル固定ブラケット及び前記ハーネス固定ブラケットが車体側に固定されたブラケット固定状態で、前記バックル固定ブラケットと係合する係合部を有し、
前記ハーネス固定ブラケットの前記係合部と前記バックル固定ブラケットとの係合は、前記固定ボルトを中心とした前記バックル固定ブラケットと前記ハーネス固定ブラケットとの相対回転を規制する
ことを特徴とするブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バックル装置とアンカプレートとを連結するインナウエビング(ベルト)を覆う筒状のインナブーツの下部内に、ワイヤハーネスが配索される自動車用バックル支持装置が記載されている。アンカプレートは、中央部に締結固定用の取付孔が形成された下部を備える。ワイヤハーネスは、その先端部がバックル装置に接続され、外側テープが巻き付けられることによってアンカプレートに固定されている。アンカプレートは、下部に形成された取付孔を用いて、車体フロアに固定された長尺状のロアレールに対して車両前後方向にスライド可能に支持された長尺状のアッパレールに回動可能に締結固定されている。また、アンカプレートがロアレールの側面に固定され、アンカプレートに固定されたワイヤハーネスがアンカプレートの取付孔の近傍に配索される構造が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-035465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、ベンチタイプのシートの中央の着座者用にシートベルトを設ける場合では、特許文献1のようにバックル装置(バックル)をシートの側方に固定することができないので、シートに設けられた開口にバックルを挿通し、フロアパネルにアンカプレート(ブラケット本体)を固定ボルトによって固定し、バックルの下部をアンカプレートに固定する。
【0005】
この場合、バックルから延びるワイヤハーネス(ハーネス)は、ブラケットの近傍に配索されるので、固定ボルトの頂面の上方を通る可能性がある。シートクッションを車体側に支持するシートワイヤが固定ボルト及びハーネスの上方に配置されていると、シートに乗員が座ることによってシートが沈み込み、固定ボルトの頂面とシートワイヤとの間にハーネスが挟み込まれ、ハーネスが断線するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ハーネスの断線を防止することが可能なブラケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、バックルを車両側へ固定するブラケッ トであって、バックル固定ブラケットと、ハーネス固定ブラケットを備える。バックル固定ブラケットは、固定ボルトが挿通する第1ボルト挿通孔が形成されるバックル固定ブラケット支持部と、バックルが連結されるバックル支持部と、を有するハーネス固定ブラケットは、固定ボルトが挿通する第2ボルト挿通孔が形成されるハーネス固定ブラケット支持部と、バックルから延びるハーネスが固定されるハーネス支持部と、を有するバックル固定ブラケットとハーネス固定ブラケットとは、バックル固定ブラケット支持部とハーネス固定ブラケット支持部とを重ね、第1ボルト挿通孔と第2ボルト挿通孔とを合わせた状態で、第1ボルト挿通孔及び第2ボルト挿通孔を挿通する固定ボルトによって車体側に締結固定される。ハーネス支持部は、第2ボルト挿通孔から離間する位置で所定方向へ延びる。
【0008】
上記構成では、ブラケット(バックル固定ブラケット及びハーネス固定ブラケット)が車両側に固定されたブラケット固定状態で、第2ボルト挿通孔から離間する位置で所定方向へ延びるハーネス支持部にハーネスが固定されるので、第1ボルト挿通孔及び第2ボルト挿通孔に挿通する固定ボルトの頂面の上方を避けてハーネスを所定のハーネス配索方向へ配索し、保持することができる。従って、シートクッションを車体側に支持するシートワイヤが固定ボルト及びハーネスの上方に配置される場合であっても、固定ボルトの頂面とシートワイヤとの間にハーネスが挟み込まれることがなく、ハーネスの断線を防止することができる。
【0010】
また、第2ボルト挿通孔とハーネス支持部とをハーネス固定ブラケットが有するので、ブラケット固定状態において、固定ボルトとハーネス支持部との距離を一定に保つことができる。従って、固定ボルトの頂面上方にハーネスが入り込むことを防止することができる。
【0011】
また、固定ボルトが挿通する第1ボルト挿通孔とバックル支持部とを有するバックル固定ブラケットと、固定ボルトが挿通する第2ボルト挿通孔とハーネス支持部とを有するハーネス固定ブラケットとからブラケットが構成される。このため、ハーネスが設けられないバックルを車体側に固定する場合には、バックル固定ブラケットのみを用いればよく、ハーネスが設けられるバックルを車体側へ固定する場合には、バックル固定ブラケット及びハーネス固定ブラケットを用いればよい。
【0012】
本発明の第の態様は、第の態様のブラケットであって、ハーネス固定ブラケットは、バックル固定ブラケット及びハーネス固定ブラケットが車体側に固定されたブラケット固定状態で、バックル固定ブラケットと係合する係合部を有する。ハーネス固定ブラケットの係合部とバックル固定ブラケットとの係合は、固定ボルトを中心としたバックル固定ブラケットとハーネス固定ブラケットとの相対回転を規制する。
【0013】
上記構造では、バックル固定ブラケットと係合する係合部をハーネス固定ブラケットが有し、ハーネス固定ブラケットの係合部とバックル固定ブラケットとの係合は、固定ボルトを中心としたバックル固定ブラケットとハーネス固定ブラケットとの相対回転を規制するので、固定ボルトを締付ける際に、バックル固定ブラケットに対してハーネス固定ブラケットが固定ボルトを中心に固定ボルトの締付け方向に回転することがない。従って、ハーネス支持部に固定されるハーネスを所定の配索方向に配索することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハーネスの断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るブラケットを備えた車両の車室内を示す斜視図である。
図2図1の車室の要部断面図である。
図3図1のバックル装置を示す斜視図である。
図4図2のブラケットを示す上面図である。
図5図4のV-V矢視断面斜視図である。
図6】ブラケットの変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、矢印FRは車両の前方を、矢印UPは上方を、矢印INは車幅内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、所謂前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るバックル用ブラケット(ブラケット)26を備えた車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)の上方に配置されるキャブオーバー型の車両であって、車体フレーム(図示省略)の前部の上方に配置されるキャブ2と、キャブ2内の車幅方向右側に配置される助手席シート5と、助手席シート5に対応する3点シートベルト装置6とを備える。
【0018】
キャブ2は、フロアパネル7とバックパネル8と左右1対のサイドパネル9とを有し、その内部に車室3を区画する。なお、左右のサイドパネル9は、車両1の左右に対称的に設けられて、ほぼ同様の構成を有するため、以下では左側について説明し、右側の説明を省略する。
【0019】
フロアパネル7は、車室3の下方で上下方向に交叉して延びて車室3を下方から覆い、フロアパネル前方部7aと、フロアパネル起立部7bと、フロアパネル後方部7cとを有する。フロアパネル前方部7aは、キャブ2の前端から後方へ略水平に延びる。フロアパネル起立部7bは、フロアパネル前方部7aの後端縁から斜め後上方へ傾斜する。フロアパネル後方部7cは、フロアパネル起立部7bの上端縁から後方へ略水平に延びる。フロアパネル起立部7b及びフロアパネル後方部7cの下方には、エンジン等を収容するエンジンルーム(図示省略)が区画される。フロアパネル7の前端部には、後述する助手席シート5の前方側に配置されるインスツルメントパネル(図示省略)が接合されており、助手席シート5とインスツルメントパネルとの間には、助手席シート5に着座した乗員の脚を置くための空間が形成される。バックパネル8は、フロアパネル7の後端縁に溶接等によって接合されて車幅方向に沿って起立して車室3を後方から覆う。サイドパネル9は、車室3の左側方で前後方向に沿って起立する。サイドパネル9は、下端縁及び後端縁がフロアパネル7及びバックパネル8の左側の側縁部に溶接等によって接合される。
【0020】
図1図2図4及び図5に示すように、フロアパネル後方部7cの車幅方向右側の上面には、後述する助手席シート5を支持可能な助手席シート取付部12が設けられる。助手席シート取付部12の車幅方向略中央には、後述する固定ボルト42が挿通する固定ボルト挿通孔10と、固定ボルト42を締付ける際に、後述するバックル固定ブラケット(第1部材)30が固定ボルト42を中心に固定ボルト42の締付け方向に回転することを防止する左右1対のパネル突部11とが形成される。また、フロアパネル後方部7cの車幅方向左側の上面には運転席シート4を支持可能な運転席シート取付部(図巣省略)が設けられる。運転席シート取付部には、スライド機構13を介して運転席シート4が取付けられている。なお、本実施形態の車両1は、フロアパネル後方部7cの車幅方向左側に運転席が設けられる左ハンドル車であるが、これに限定されるものではなく、フロアパネル後方部7cの車幅方向右側に運転席が設けられる右ハンドル車であってもよい。
【0021】
助手席シート5は、フロアパネル後方部7cの車幅方向右側の上面に設けられる助手席シート取付部12の上方に配置され、乗員が前方を向いて着座するシートである助手席シート本体14と、助手席シート本体14をフロアパネル7に取付けるシートワイヤ15とを有する。
【0022】
シートワイヤ15は、固定ボルト挿通孔10の上方を通るようにフロアパネル後方部7cの助手席シート取付部12の外周端に配索される線状部材である。シートワイヤ15は、シートワイヤ固定ブラケット20によって、車幅方向両側の前端部及び後端部がフロアパネル後方部7cの助手席シート取付部12に固定される。
【0023】
助手席シート本体14は、シートワイヤ15に固定され、乗員が着座するシートクッション16と、着座した乗員の背中を支持するシートバック17と、シートバック17の車幅方向右側上端に固定され、乗員の後頭部を支持するヘッドレスト18とを有する。シートクッション16の車幅方向略中央の後方には、後述するバックル装置(バックル)23のバックル本体24が下方から挿通するバックル挿通孔19が形成される。助手席シート本体14は、シートクッション16内に一体形成されているシートワイヤ15によってフロアパネル後方部7cの助手席取付部12に取り付けられる。
【0024】
図1及び図3に示すように、3点シートベルト装置6は、車幅方向右側のサイドパネル9に固定されるリトラクタ(図示省略)と、シートベルト本体21と、フロアパネル7に固定されるアンカー部(図示省略)と、シートベルト本体21に移動可能に取付られる連結金具22と、連結金具22が着脱可能に係止されるバックル装置23とを有する。シートベルト本体21は、連結金具22が移動可能に取付られた状態で、一端側がリトラクタに固定され、他端側がアンカー部に固定される。
【0025】
バックル装置23は、連結金具22が着脱可能に係止されるバックル本体24と、バックル本体24から延びるハーネス25と、バックル装置23を車体側へ固定するバックル用ブラケット26と、バックル本体24とバックル用ブラケット26とを連結するバックルベルト27とを有する。
【0026】
バックル本体24の上部には、連結金具22が挿入される連結金具挿入孔28が設けられる。連結金具22が連結金具挿入孔28に挿入された状態で、バックル本体24に係止されることによって、シートベルト本体21がバックル装置23に対して保持される。従って、助手席シート5に着座した乗員は、連結金具22をバックル本体24に係止することにより、シートに拘束された状態となる。バックル本体24の下部には、バックルベルト27の一端部と、ハーネス25の一端部とが固定されている。バックルベルト27は、一端部がバックル本体24の下部に固定され、他端部が後述するバックル固定ブラケット30のベルト挿通孔35に挿通した状態で固定される。
【0027】
図3図5に示すように、バックル用ブラケット26は、バックルベルト27を介してバックル本体24を車体側へ連結するバックル固定ブラケット30と、ハーネス25を車体側へ支持するハーネス固定ブラケット(第2部材)31とを有する。
【0028】
バックル固定ブラケット30は、固定ボルト42が挿通する固定ボルト挿通孔(第1ボルト挿通孔)34が形成されるバックル固定ブラケット支持部(ブラケット本体)32と、バックルベルト27が挿通するベルト挿通孔35が形成されるベルト支持部(バックル支持部)33とを有する平板状部材である。バックル固定ブラケット支持部32には、略中央に固定ボルト挿通孔34が形成される。ベルト支持部33は、バックル固定ブラケット支持部32の前端縁から斜め前上方に曲折して延び、略中央にベルト挿通孔35が形成される。
【0029】
ハーネス固定ブラケット31は、固定ボルト42が挿通する固定ボルト挿通孔(第2ボルト挿通孔)39が形成されるハーネス固定ブラケット支持部(ブラケット本体)36と、固定ボルト挿通孔39から離間する位置で、ハーネス25を所定方向へ延びるように支持するハーネス支持部37と、バックル固定ブラケット30のベルト支持部33と係合する左右1対の係合爪部(係合部)38とを有する。ハーネス固定ブラケット支持部36には、略中央に固定ボルト挿通孔39が形成される。ハーネス支持部37は、第1支持部40と第2支持部41とを有する。第1支持部40は、ハーネス固定ブラケット支持部36の車幅方向右側後端から車幅方向右側へ延びる。第2支持部41は、第1支持部40の先端部から前方へ曲折して延び、その上面に後述するハーネス25の中間部が固定される。係合爪部38は、ハーネス固定ブラケット支持部36の車幅方向両側前端から前方へ延び、バックル用ブラケット26がフロアパネル後方部7cに固定された状態で、ベルト支持部33の車幅方向両端縁と係合する。
【0030】
ハーネス25は、一端部がバックル本体24の下部に固定された状態でバックル本体24から所定の配索方向へ延び、他端部にコネクタ29を有する。ハーネス25の中間部は、ハーネス固定ブラケット31の第2支持部41の上面に固定される。
【0031】
次に、フロアパネル7にバックル装置23及び助手席シート5を取り付ける場合について説明する。まず、フロアパネル7に対してバックル装置23を取付ける際には、フロアパネル後方部7cに設けられる左右のパネル突部11の間にバックル固定ブラケット30を載置し、バックル固定ブラケット30の上面にハーネス固定ブラケット31を載置する。次に、フロアパネル7、バックル固定ブラケット30及びハーネス固定ブラケット31の固定ボルト挿通孔10,34,39を合わせ、固定ボルト挿通孔10,34,39に固定ボルト42を上方から挿通する。その後、固定ボルト42とフロアパネル7の裏面に固定された固定ナット43とを締結させることによって、バックル固定ブラケット30及びハーネス固定ブラケット31がフロアパネル7に取り付けられる。
【0032】
次に、フロアパネル7に対して助手席シート5を取付ける際には、フロアパネル後方部7cの助手席シート取付部12に、シートクッション16内に一体形成されるシートワイヤ15をシートワイヤ固定ブラケット20によって固定する。この時、固定ボルト42の頂面の上方に、シートワイヤ15が配索される。シートクッション16内に一体形成されているシートワイヤ15がシートワイヤ固定ブラケット20を介して助手席取付部12に取り付けられることによって、助手席シート5がフロアパネル7に取付けられる。上記構造では、固定ボルト42を締付ける際に、左右のパネル突部11によって、バックル固定ブラケット30がフロアパネル後方部7cに対して、固定ボルト42を中心に固定ボルト42の締付け方向に回転することが防止され、左右の係合爪部38によって、ハーネス固定ブラケット31がバックル固定ブラケット30に対して、固定ボルト42を中心に固定ボルト42の締付け方向に回転することが防止される。
【0033】
上記のように構成されたバックル用ブラケット26では、バックル用ブラケット26が車両側に固定されたブラケット固定状態で、固定ボルト挿通孔39から離間する位置で所定方向へ延びるハーネス支持部37にハーネス25が固定されるので、固定ボルト挿通孔39に挿通する固定ボルト42の頂面の上方を避けてハーネス25を所定のハーネス配索方向へ配索し、保持することができる。従って、シートクッション16を車体側に支持するシートワイヤ15が固定ボルト42及びハーネス25の上方に配置される場合であっても、固定ボルト42の頂面とシートワイヤ15との間にハーネス25が挟み込まれることがなく、ハーネス25の断線を防止することができる。
【0034】
また、ボルト挿通孔39とハーネス支持部37とをハーネス固定ブラケット31が有するので、ブラケット固定状態において、固定ボルト42とハーネス支持部37との距離を一定に保つことができる。従って、固定ボルト42の頂面の上方にハーネス25が入り込むことを防止することができる。
【0035】
また、固定ボルト42が挿通する固定ボルト挿通孔34とベルト支持部33とを有するバックル固定ブラケット30と、固定ボルト42が挿通する固定ボルト挿通孔39とハーネス支持部37とを有するハーネス固定ブラケット31とからバックル用ブラケット26が構成される。このため、ハーネス25が設けられないバックル装置23を車体側に固定する場合には、バックル固定ブラケット30のみを用いればよく、ハーネス25が設けられるバックル装置23を車体側へ固定する場合には、バックル固定ブラケット30及びハーネス固定ブラケット31を用いればよい。
【0036】
また、バックル固定ブラケット30のベルト支持部33の車幅方向両側を挟むように配置される1対の係合爪部38をハーネス固定ブラケット31が有するので、固定ボルト42を締付ける際に、バックル固定ブラケット30に対してハーネス固定ブラケット31が固定ボルト42を中心に固定ボルト42の締付け方向に回転することがない。従って、ハーネス支持部37に固定されるハーネス25を所定の配索方向に配索することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、ハーネス固定ブラケット31は、ブラケット固定状態で、ハーネス固定ブラケット支持部36の車幅方向右側後端から車幅方向右側へ延びる第1支持部40と、第1支持部40の先端部から前方へ曲折して延びる第2支持部41とを有するが、これに限定されるものではなく、ブラケット固定状態で、固定ボルト挿通孔39から離間する位置で第2支持部41が所定のハーネス配索方向へ延びればよい。例えば、第1支持部40をハーネス固定ブラケット支持部36の車幅方向内側後端から車幅方向内側へ延ばし、第2支持部41を車幅方向内側後方へ延ばし、第2支持部41に固定されるハーネス25が車幅方向内側後方に配索される構造であってもよい。
【0038】
また、バックル用ブラケット26は、バックル固定ブラケット30とハーネス固定ブラケット31との2つの部材から構成されるが、これに限定されることなく、例えば、図6に示すように、ベルト挿通孔45と、固定ボルト挿通孔46と、ハーネス支持部47とを有する1つの部材であるバックル用ブラケット44であってもよい。
【0039】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るブラケットは、車両に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 キャブ
3 車室
5 助手席シート
6 3点シートベルト装置
7 フロアパネル
7a フロアパネル前方部
7b フロアパネル起立部
7c フロアパネル後方部
10 固定ボルト挿通孔
11 パネル突部
12 助手席シート取付部
14 助手席シート本体
15 シートワイヤ
16 シートクッション
19 バックル挿通孔
20 シートワイヤ固定ブラケット
21 シートベルト本体
22 連結金具
23 バックル装置(バックル)
24 バックル本体
25 ハーネス
26,44 バックル用ブラケット
27 バックルベルト
28 連結金具挿入孔
29 コネクタ
30 バックル固定ブラケット(第1部材)
31 ハーネス固定ブラケット(第2部材)
32 バックル固定ブラケット支持部(ブラケット本体)
33 ベルト支持部(バックル支持部)
34 固定ボルト挿通孔(第1ボルト挿通孔)
35,45 ベルト挿通孔
36 ハーネス固定ブラケット支持部(ブラケット本体)
37,47 ハーネス支持部
38 係合爪部(係合部)
39,46 固定ボルト挿通孔(第2ボルト挿通孔)
40 第1支持部
41 第2支持部
42 固定ボルト
43 固定ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6