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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】物品収容ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20220104BHJP
   B65D 5/489 20060101ALI20220104BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65D5/50 B
B65D5/489
B65D5/42 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017142486
(22)【出願日】2017-07-24
(65)【公開番号】P2019023092
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】512173737
【氏名又は名称】近江製函株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】菅野彰広
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-000132(JP,Y1)
【文献】実公昭40-031586(JP,Y1)
【文献】実開昭58-126930(JP,U)
【文献】実開昭50-071323(JP,U)
【文献】登録実用新案第3009526(JP,U)
【文献】実開昭47-022040(JP,U)
【文献】特開2002-370727(JP,A)
【文献】特開平8-91356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物が載置される平面視で方形の載置板と、
前記載置板における少なくとも3辺にそれぞれ起立する第1側壁、第2側壁および第3側壁とを備えた物品収容ケースであって、
前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁は、
前記物品収容ケースの周方向に折り部を介して繋がった1枚の板状体で構成されており、
前記載置板は、
前記物品収容ケースにおける互いに対向する前記第1側壁および前記第3側壁のうちの一方から折り部を介して他方側に延びる載置本体板と、
前記物品収容ケースにおける互いに対向する前記第1側壁および前記第3側壁のうちの前記他方から折り部を介して前記一方側に延びる斜面板とを備え、
前記斜面板は、
折り曲げられた状態で前記載置本体板に連結されることで傾斜面形成されているとともに、同斜面板が形成された前記他方側となる前記第1側壁側または前記第3側壁側と前記一方側となる前記第1側壁側または前記第3側壁側とにそれぞれ折られた蛇腹状の蛇腹折り部を前記斜面板の下方に有して弾性的に支持されていることを特徴とする物品収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載した物品収容ケースにおいて、さらに、
前記載置板の四方を囲むために前記第3側壁に折り部を介して一体的に繋がった第4側壁を備え、
前記第1側壁および前記第4側壁は、
互いに隣接する各辺に互いを連結するための連結部を備えることを特徴とする物品収容ケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した物品収容ケースにおいて、
前記斜面板は、
前記蛇腹折り部側から前記載置本体板に連結されている部分側に向かって幅が広く形成されていることを特徴とする物品収容ケース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した物品収容ケースにおいて、さらに、
前記載置板の下方に配置されて同載置板の下面を覆う底板を備えることを特徴とする物品収容ケース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した物品収容ケースにおいて、
前記載置本体板は、
同載置本体板に対して折り曲げられて起立する小片状の起立片を有することを特徴とする物品収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品や製品などの被収容物を見栄え良く収容することができる物品収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容対象物である被収容物を安定性および収容状態の見栄えを良くするために仕切りを設けた物品収容ケースがある。例えば、下記特許文献1には、段ボール製の板材を折って4つの収容空間を形成した中仕切りを箱内の収容空間に配置した内容物収納箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-761号公報
【0004】
しかしながら、このような上記特許文献1に記載された内容物収納箱などの物品収容箱においては、中仕切りなどの被収容物を安定的または見栄え良く支持する支持部材が物品収容箱と別体で構成されているため、製造上のコスト負担および組立作業負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、被収容物を安定的または見栄え良く支持する支持部材を有しつつ経済的かつ簡単に組み立てることができる物品収容ケースを提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被収容物が載置される平面視で方形の載置板と、載置板における少なくとも3辺にそれぞれ起立する第1側壁、第2側壁および第3側壁とを備えた物品収容ケースであって、第1側壁、第2側壁および第3側壁は、物品収容ケースの周方向に折り部を介して繋がった1枚の板状体で構成されており、載置板は、物品収容ケースにおける互いに対向する第1側壁および第3側壁のうちの一方から折り部を介して他方側に延びる載置本体板と、物品収容ケースにおける互いに対向する第1側壁および第3側壁のうちの他方から折り部を介して前記一方側に延びる斜面板とを備え、斜面板は、折り曲げられた状態で載置本体板に連結されることで傾斜面形成されているとともに、同斜面板が形成された前記他方側となる第1側壁側または第3側壁側と前記一方側となる第1側壁側または第3側壁側とにそれぞれ折られた蛇腹状の蛇腹折り部を斜面板の下方に有して弾性的に支持されていることにある。この場合、斜面板の折り曲げは、折るおよび曲げるのうちの少なくとも一方である。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、物品収容ケースは、互いに連結されることで傾斜面を構成する斜面板と載置本体板とが物品収容ケースの周壁のうちの互いに対向する第1側壁および第3側壁に互いに相手側に向かって延びて形成されているため、製造コストおよび組み立て作業負担を軽減することができる。
【0008】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、物品収容ケースは、斜面板は、同斜面板が形成された第1側壁側または第3側壁側に折られた後、載置本体板が形成された第1側壁側または第3側壁側に折られた2つの折り部によって互いに反対側に三つ折りされて蛇腹状に形成されているため、被収容物を平面上で弾性的に支持することで被収容物を安定的で衝撃の吸収性が良い状態で収容することができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記物品収容ケースにおいて、さらに、載置板の四方を囲むために第3側壁に折り部を介して一体的に繋がった第4側壁を備え、第1側壁および第4側壁は、互いに隣接する各辺に互いを連結するための連結部を備えることにある。
【0010】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、物品収容ケースは、載置板の四方を囲むために第3側壁に折り部を介して一体的に繋がった第4側壁を備えているとともに、この第4側壁および第1側壁における互いに隣接する各辺に互いを連結するための連結部を備えているため、第1側壁と第4側壁とを連結部を介して連結することで載置板の四方を囲む箱状体を容易に組み立てることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記物品収容ケースにおいて、斜面板は、前記蛇腹折り部側から前記載置本体板に連結されている部分側に向かって幅が広く形成されていることにある。
【0012】
削除
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、物品収容ケースは、載置板の下方に配置されて同載置板の下面を覆う底板を備えているため、載置板の下面を直接保護しつつ緩衝材として機能して載置板および被収容物の損傷を防止することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記物品収容ケースにおいて、載置本体板は、同載置本体板に対して折り曲げられて起立する小片状の起立片を有することにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、物品収容ケースは、載置本体板が同載置本体板に対して折り曲げられて起立する小片状の起立片を有しているため、被収容物の位置ずれを防止して安定的に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る物品収容ケースの使用状態を示す斜視図である。
図2図1に示す物品収容ケースの内部構造を説明するために第4側壁を開いた状態で示す斜視図である。
図3図1に示す物品収容ケースを展開した状態を示す展開平面図である。
図4図3に示す展開状態の物品収容ケースを箱状に組み立てる一過程を示した斜視図である。
図5図3に示す展開状態の物品収容ケースを箱状に組み立てる別の一過程を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る物品収容ケースの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る物品収容ケース100の使用状態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す物品収容ケース100の内部構造を説明するために第4側壁104を開いた状態で示す斜視図である。また、図3は、図1に示す物品収容ケース100を展開した状態を示す展開平面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表していることがあるため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この物品収容ケース100は、食品を樹脂製の袋内に封入したパウチを被収容物WKとして複数収容して梱包することができる包装箱である。
【0018】
物品収容ケース100は、物品収容ケース100を構成する各部を一体的に配置した段ボール、ボール紙またはクラフト紙などの厚紙を切り抜いた板状体を組み立てることで構成されている。具体的には、物品収容ケース100は、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104をそれぞれ備えている。
【0019】
第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104は、物品収容ケース100における4つの側壁をそれぞれ構成する部分であり、物品収容ケース100における周方向の延びる長方形状の板状に形成されている。これらの第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104は、物品収容ケース100における周方向に沿って直列的に繋がった帯状に形成されている。この場合、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104は、物品収容ケース100として箱状に組み立てられたとき、第1側壁101と第3側壁103および第2側壁102と第4側壁104はそれぞれ互いに対向する側壁を構成するため、周方向の長さが互いに同じ長さに形成されている。
【0020】
また、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104における互いに隣接する境界部分には、折り部105がそれぞれ形成されている。折り部105は、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104の各間で相互に折り易くするための部分であり、線状の圧縮痕またはミシン目などによって構成されている。これらの第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104における図示各上側には、蓋板106a,106b,106c,106dがそれぞれ形成されている。
【0021】
蓋板106a,106b,106c,106dは、物品収容ケース100における開口部107を覆う蓋を構成する部分であり、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104の幅よりも若干狭い幅で図示上方にそれぞれ延びる長方形状に形成されている。この場合、蓋板106a,106b,106c,106dは、少なくとも互いに対向する蓋板106aと蓋板106cまたは蓋板106bと蓋板106dによって開口部107を覆う大きさに形成される。
【0022】
本実施形態においては、蓋板106bと蓋板106dとが互いに突き合わされることで開口部107の全体を覆う一方で、蓋板106aおよび蓋板106cは蓋板106bおよび蓋板106dの各下方で互いに突き合わされることなく離間した状態で開口部107の一部を覆った状態で配置される。すなわち、蓋板106a,106b,106c,106dは、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104から図示上方に向かってそれぞれ同じ突出量で延びて形成されている。
【0023】
また、蓋板106a,106b,106c,106dは、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104に対して前記折り部105と同様の折り部108を介して形成されている。なお、蓋板106a,106b,106c,106dは、物品収容ケース100における開口部107を覆うことができればよいため、開口部107を覆うことができる1つまたは2つの蓋板で構成することもできる。
【0024】
一方、これらの第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104における図示各下側には、前記折り部108と同様の折り部109を介して底板110a,110b、載置本体板111および斜面板114がそれぞれ形成されている。底板110a,110bは、物品収容ケース100における下面を構成する部分であり、第2側壁102および第4側壁104よりも若干狭い幅で図示下方にそれぞれ延びる長方形状に形成されている。すなわち、底板110a,110bは、蓋板106b,106dと同じ大きさおよび形状に形成されている。
【0025】
載置本体板111は、物品収容ケース100内において被収容物WKを載置するための部分であり、第3側壁103よりも若干狭い幅で図示下方に延びる方形の板状に形成されている。この場合、載置本体板111が図示下方に延びる長さは、特に限定されないが、対向する第1側壁101までの距離の半分以上でかつ同第1側壁101に達しない長さに形成するとよい。
【0026】
この載置本体板111は、挿し込み凹部112および起立片113a,113bをそれぞれ備えている。挿し込み凹部112は、斜面板114を固定するための部分であり、斜面部117の挿し込み部118が挿し込み可能な切欠き形状に形成されている。本実施形態においては、挿し込み凹部112は、載置本体板111が第3側壁103から延びる方向に直交する幅方向両端部にそれぞれ長方形状に切り欠かれて構成されている。
【0027】
起立片113a,113bは、載置本体板111または斜面板114上に載置される被収容物WKの位置ずれを防止するための部分であり、載置本体板111に対して一部が凸状に切断されるとともに他の一部が折られることによって起立するように形成されている。この起立片113a,113bは、載置本体板111の幅方向中央部で前記挿し込み凹部112よりも第2側壁102側方向に並んで2つ起立するように形成されている。
【0028】
斜面板114は、物品収容ケース100内において被収容物WKを傾斜した状態で載置するための部分であり、第1側壁101よりも若干狭い幅で図示下方に延びる板状に形成されている。この場合、斜面板114が図示下方に延びる長さは、載置本体板111に対して傾斜面を形成することができれば特に限定されないが、載置本体板111と同じ長さに形成することで効率的な材料取りができるとともに展開状態での保管性が向上する。
【0029】
この斜面板114は、支持部115および斜面部117をそれぞれ備えている。支持部115は、斜面部117を支持する部分であり、斜面板114における第1側壁101側に板状に形成されている。この支持部115には、折り部105と同様の蛇腹折り部116a,116bがそれぞれ形成されている。蛇腹折り部116a,116bは、支持部115に斜面部117を弾性的に支持させるための部分であり、斜面板114の幅方向に沿って互いに平行に延びて形成されている。
【0030】
この場合、蛇腹折り部116aは、斜面部117を第1側壁101側に折るための部分であり、支持部115の中央部に形成されている。また、蛇腹折り部116bは、斜面部117を第3側壁103側に折るための部分であり、斜面部117との境界部分に形成されている。すなわち、蛇腹折り部116a,116bは、互いに反対側に折られる部分である。また、この場合、支持部115は、第1側壁101側から蛇腹折り部116aに向かって幅が狭くなるように形成されており、物品収容ケース100内で折り曲げ易くなっている。
【0031】
斜面部117は、支持部115および載置本体板111にそれぞれ支持されて斜面を形成する部分であり、支持部115から板状に延びて形成されている。この場合、斜面部117は、被収容物WKの少なくとも1/3以上を載置可能な大きさに形成されている。また、斜面部117は、蛇腹折り部116bから挿し込み部118側に向かって幅が広くなるように形成されている。この場合、斜面部117の先端部の幅は、第2側壁102と第4側壁104との距離以下に形成するとよいが、同距離と同じまたは同距離も若干広く形成することで斜面部117の安定性を良くすることができる。そして、この斜面部117の先端部には、挿し込み部118が形成されている。
【0032】
挿し込み部118は、載置本体板111の挿し込み凹部112に挿し込まれて斜面部117を固定する部分であり、斜面部117の先端部における幅方向両端部からそれぞれ張り出して形成されている。
【0033】
また、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104のうちの長尺方向の両端に形成された第1側壁101および第4側壁104の各端部には、連結部119a,119bがそれぞれ形成されている。
【0034】
連結部119a,119bは、物品収容ケース100を組み立てる際に第1側壁101と第4側壁104とを互いに連結するための部分であり、互いに反対方向に屈曲してスリットを形成する鉤状に形成されている。これらの連結部119a,119bは、第1側壁101および第4側壁104の各端部に対して物品収容ケース100の内側方向に折り曲げ可能な状態で張り出して形成されている。
【0035】
(物品収容ケース100の作動)
次に、このように構成された物品収容ケース100の作動について説明する。まず、作業者は、平面状に切り抜かれた物品収容ケース100を箱状に組み立てる。具体的には、作業者は、図4示すように、3つの折り部105をそれぞれ同じ方向に折り曲げて第1側壁101と第4側壁104とを接近させて連結部119aと連結部119bとを互いに引っ掛けることにより第1側壁101と第4側壁104とを互いに連結する。この場合、作業者は、連結部119a,119bを物品収容ケース100の内側にそれぞれ折り曲げて互いに引っ掛ける。これにより、物品収容ケース100は、連結部119a,119bが物品収容ケース100の外側に露出して美観を損ねることを防止することができる。
【0036】
次に、作業者は、図5に示すように、斜面板114の支持部115における蛇腹折り部116a、116bをそれぞれ折るとともに折り部109を介して斜面板114を第1側壁101に対して物品収容ケース100の内側に折る。次に、作業者は、載置本体板111を折り部109を介して第3側壁103に対して物品収容ケース100の内側に略直角に折る。そして、作業者は、斜面板114の斜面部117における挿し込み部118を載置本体板111の挿し込み凹部112に挿し込む。
【0037】
この場合、作業者は、挿し込み部118を挿し込み凹部112内に挿し込むだけでもよいが、挿し込み部118と挿し込み凹部112との挿し込み部分に接着剤を塗布して完全に両者を完全に固定することができる。これにより、作業者は、載置本体板111の先端部側に斜面部117を傾斜した状態で形成して斜面板114全体を載置本体板111で固定することができる。そして、作業者は、載置本体板111における2つの起立片113a,113bを載置本体板111の裏面側から押してそれぞれ起立させる。
【0038】
次に、作業者は、底板110a,110bを折り部109を介して第2側壁102および第4側壁104に対して物品収容ケース100の内側にそれぞれ略直角に折る。そして、作業者は、底板110aの先端部と底板110bの先端部との突合せ部分を粘着テープで張り付けて底部を形成する。これにより、作業者は、蓋板106a~106dが開いた状態の物品収容ケース100を完成させることができる(図1参照)。
【0039】
次に、作業者は、物品収容ケース100内に被収容物WKを収容する。具体的には、作業者は、物品収容ケース100内における斜面部117上に被収容物WKを載置した後、この斜面部117上に配置した被収容物WKに隣接する載置本体板111上の位置に起立片113aを介して配置するとともに、この載置本体板111上に配置した被収容物WKに隣接する載置本体板111上の位置に起立片113bを介して配置する。これにより、作業者は、物品収容ケース100内に3つの被収容物WKを傾斜した状態で見栄え良くかつ安定的に収容することができる。なお、この場合、作業者は、物品収容ケース100の内部に配置された被収容物WK上にエアキャップなどの緩衝材を充填させてもよい。
【0040】
次に、作業者は、蓋板106a,蓋板106cを折り部109を介して第1側壁101および第3側壁103に対して物品収容ケース100の内側にそれぞれ略直角に折った後、蓋板106b,蓋板106dを折り部109を介して第2側壁102および第4側壁104に対して物品収容ケース100の内側にそれぞれ略直角に折る。そして、作業者は、蓋板106bの先端部と蓋板106dの先端部との突合せ部分を粘着テープで張り付けて開口部107を閉塞する。これにより、作業者は、蓋板106a~106dが閉じた状態の物品収容ケース100を完成させることができ被収容物WKを輸送または保管することができる。
【0041】
物品収容ケース100が輸送されている状態においては、物品収容ケース100は、載置本体板111または斜面板114と底板110a,110bとによる二重底および3つ折りにされた斜面板114によって被収容物WKを衝撃の吸収性が良い状態で収容することができる。また、物品収容ケース100を開封するに際しては、作業者は、蓋板106b,106dを閉じる粘着テープを剥がすことで蓋板106b,106dを開いた後、蓋板106a,106cを開くことができる。この場合、物品収容ケース100は、被収容物WKを斜面板114によって直接または間接的に傾斜した状態で収容しているため、収容状態の美観を高めることができる。
【0042】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、物品収容ケース100は、互いに連結されることで傾斜面を構成する斜面板114と載置本体板111とが物品収容ケース100の周壁のうちの互いに対向する第1側壁101および第3側壁103に互いに相手側に向かって延びて形成されているため、製造コストおよび組み立て作業負担を軽減することができる。
【0043】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、載置本体板111を第3側壁103に隣接して形成するとともに斜面板114を第1側壁101に隣接して形成した。すなわち、載置本体板111および斜面板114が、本発明に係る載置板に相当する。しかし、載置板は、載置本体板111を第1側壁101に隣接して形成するとともに、斜面板114を第3側壁103に隣接して形成することもできる。
【0045】
また、上記実施形態においては、斜面板114は、三つ折り状態で載置本体板111に連結されている。しかし、斜面板114は、被収容物WKを載置可能な傾斜面で構成されていればよく、2つ折りまたは4つ折り以上に折られて構成されていてもよい。さらに、斜面板114は、折られることなく円弧状に曲げられた状態で載置本体板111に連結されてもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、物品収容ケース100は、第1側壁101、第2側壁102、第3側壁103および第4側壁104の4つの側壁およびこれらに隣接配置した状態で4つの蓋板106a~106bを備えて構成した。しかし、物品収容ケース100は、載置板の周囲の少なくとも一部を囲む少なくとも3つの側壁を備えて構成されていればよい。したがって、物品収容ケース100は、第1側壁101、第2側壁102および第3側壁103の3つの側壁を備えて構成することができる。すなわち、物品収容ケース100は、第4側壁104および4つの蓋板106a~106bを省略して構成することができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、物品収容ケース100は、第1側壁101と第4側壁104とを互いに連結するための連結部119a、119bをそれぞれ備えて構成した。しかし、物品収容ケース100は、連結部119a,119bを省略して構成することもできる。この場合、物品収容ケース100は、第1側壁101の端部と第4側壁104の端部とを粘着テープ、接着剤またはステープラなどを用いて連結することができる。
【0048】
また、上記実施形態においては、物品収容ケース100は、底板110a、110bをそれぞれ備えて構成した。しかし、物品収容ケース100は、底板110a、110bを省略して構成することもできる。この場合、物品収容ケース100は、載置本体板111および斜面板114が物品収容ケース100の下面を構成する。
【0049】
また、上記実施形態においては、物品収容ケース100は、折り部105,108,109および蛇腹折り部116a,116bをそれぞれ備えて構成した。しかし、物品収容ケース100は、折り部105,109および蛇腹折り部116a,116bを省略して構成することもできる。この場合、物品収容ケース100は、折り部を形成する位置に折り部であることを示す線状または記号からなる印を付けてもよいし、何ら印になるものを付けなくてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、載置本体板111は、2つの起立片113a,113bをそれぞれ備えて構成した。しかし、載置本体板111は、1つまたは3つ以上の起立片を備えて構成してもよい。また、載置本体板111は、の起立片113a,113bを省略して構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、物品収容ケース100は、3つの被収容物WKを収容するように構成した。しかし、物品収容ケース100は、少なくとも1つの被収容物WKを収容するように構成されていればよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、被収容物WKは、食品を樹脂製の袋内に封入したパウチで構成した。この場合、食品には、固体状、半固体状、流動体状、粉末状または粒状状ものが含まれる。しかし、被収容物WKは、食品以外の物、例えば薬品などを封入したパウチでもよいし、パウチに収容されていない食品自体であってもよい。また、被収容物WKは、食品以外のもの、例えば、石鹸、靴および毛布などの日用品、電化製品、美術工芸品、生花および各種工業部品などが考えられる。
【符号の説明】
【0053】
WK…被収容物、
100…物品収容ケース、101…第1側壁、102…第2側壁、103…第3側壁、104…第4側壁、105…折り部、106a~106d…蓋板、107…開口部、108…折り部、109…折り部、
110a,110b…底板、111…載置本体板、112…挿し込み凹部、113a,113b…起立片、114…斜面板、115…支持部、116a,116b…蛇腹折り部、117…斜面部、118…挿し込み部、119a,119b…連結部。
図1
図2
図3
図4
図5