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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】クリップ式ケース
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220104BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H05K5/02 E
H05K5/02 V
H05K5/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017110315
(22)【出願日】2017-06-02
(65)【公開番号】P2018206924
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 禎治
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-108978(JP,U)
【文献】実開昭58-103168(JP,U)
【文献】実開昭57-125583(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0069518(US,A1)
【文献】特表2013-533753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193751(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103281879(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子機器を収納するクリップ式ケースであって、
第一のケース部材と、当該第一のケース部材に対向して設けられる第二のケース部材と、
前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の一端に配置され、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の他端を互いに近づける方向に付勢するばね部材と、
前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の一端に設けられ、前記第一のケース部材と前記第二のケース部材とを連結するとともに、弾性体によって構成された連結部材と、を具備し、
前記連結部材と、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材との連結面は、前記連結部材の弾性力によってシールされるとともに、
前記ばね部材を前記連結部材の内部を通じて前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材に固定したことを特徴とするクリップ式ケース。
【請求項2】
前記ばね部材は板ばねであり、
当該板ばねは、前記第一のケース部材又は前記第二のケース部材の何れか一方のケース部材の内側面に直接固定されるとともに、前記第一のケース部材又は前記第二のケース部材の何れか他方のケース部材に対しては、当該ケース部材の外表面の一部を構成する外側面を有し、かつ、当該ケース部材とは別部材として構成される板ばね固定部材を介して固定され、
当該板ばね固定部材と前記他方のケース部材との固定面にシール部材が介挿される請求項1に記載のクリップ式ケース。
【請求項3】
前記他方のケース部材には、前記板ばね固定部材の外側面に対応する開口部が設けられるとともに、当該開口部の内方側の周囲に、前記板ばね固定部材との固定面を形成するケース側固定部が設けられ、
前記板ばね固定部材には、前記他方のケース部材との固定面を形成する板ばね固定部材側固定部が設けられるとともに、前記他方のケース部材の開口部に対してケース内方側から固定され、
前記ケース側固定部と、前記板ばね固定部材側固定部とが前記シール部材を介して固定されることにより、前記板ばね固定部材が前記他方のケース部材に組み付けられる請求項2に記載のクリップ式ケース。
【請求項4】
前記連結部材は、前記板ばねが通される第一中空部と、前記二つのケース部材の内部を連通する第二中空部と、を有する請求項2又は3に記載のクリップ式ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を収納するためのクリップ式ケースに関し、気密性を確保しつつクリップ構造を内部に収納する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子機器にクリップを固定する構造が開示されている。ここでは、電子機器のケース外側面に嵌入用の溝が形成されたU字状のレールを設け、レールにアダプタ金具を嵌入して固定し、さらにアダプタ金具にクリップユニットをネジ留めで取り付けることで、電子機器にクリップを固定している。このように、クリップ構造を電子機器とは別部材として固定することで、電子機器の気密性及び防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-50394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のクリップ構造では、クリップユニットが外観に露出しており、デザインの制約となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
内部に電子機器を収納するクリップ式ケースであって、第一のケース部材と、当該第一のケース部材に対向して設けられる第二のケース部材と、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の一端に配置され、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の他端を互いに近づける方向に付勢するばね部材と、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材の一端に設けられ、前記第一のケース部材と前記第二のケース部材とを連結するとともに、弾性体によって構成された連結部材と、を具備し、前記連結部材と、前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材との連結面は、前記連結部材の弾性力によってシールされるとともに、前記ばね部材を前記連結部材の内部を通じて前記第一のケース部材及び前記第二のケース部材に固定した。
【0006】
前記ばね部材は板ばねであり、当該板ばねは、前記第一のケース部材又は前記第二のケース部材の何れか一方のケース部材の内側面に直接固定されるとともに、前記第一のケース部材又は前記第二のケース部材の何れか他方のケース部材に対しては、当該ケース部材の外表面の一部を構成する外側面を有し、かつ、当該ケース部材とは別部材として構成される板ばね固定部材を介して固定され、当該板ばね固定部材と前記他方のケース部材との固定面にシール部材が介挿される。
【0007】
前記他方のケース部材には、前記板ばね固定部材の外側面に対応する開口部が設けられるとともに、当該開口部の内方側の周囲に、前記板ばね固定部材との固定面を形成するケース側固定部が設けられ、前記板ばね固定部材には、前記他方のケース部材との固定面を形成する板ばね固定部材側固定部が設けられるとともに、前記他方のケース部材の開口部に対してケース内方側から固定され、前記ケース側固定部と、前記板ばね固定部材側固定部とが前記シール部材を介して固定されることにより、前記板ばね固定部材が前記他方のケース部材に組み付けられる。
【0008】
前記連結部材は、前記板ばねが通される第一中空部と、前記二つのケース部材の内部を連通する第二中空部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、意匠性の高いクリップ式ケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係るクリップ式ケースの斜視図
図2】クリップ式ケースの側面図
図3】クリップ式ケースの側面図であり、(a)は挟持した状態を示す図、(b)は開いた状態を示す図
図4】クリップ式ケースの側面断面図
図5】第二実施形態に係るクリップ式ケースの側面断面図
図6】クリップ式ケースの分解断面図
図7】クリップ式ケースの組み付け手順を示す図
図8】クリップ式ケースの組み付け手順を示す図
図9】クリップ式ケースの組み付け手順を示す図
図10】クリップ式ケースの組み付け手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から図4を参照して、第一実施形態に係るクリップ式ケース1の全体構成について説明する。以下において、図1に示す前後左右上下方向をクリップ式ケース1の前後左右上下方向として規定して説明する。
【0012】
クリップ式ケース1は、第一のケース部材10、第二のケース部材20、ばね部材としての板ばね30、及び、連結部材40を具備し、内部に電子機器50が収納されている(図2参照)。電子機器50としては、特定の機能を発揮する装置やセンサ類、これらの装置類に電源を供給する二次電池等の電源装置などが挙げられるが、これらに限定されることはない。さらに、図2は、第一のケース部材10と第二のケース部材20の両方に電子機器50を収納する構成を示しているが、第一のケース部材10と第二のケース部材20の何れか一方に電子機器50を収納する構成としても良い。
【0013】
第一のケース部材10は、一面(前面)が開口した箱状に形成された収納部11、及び、収納部11の開口面を塞ぐ蓋部12を備える。収納部11の底面(第一のケース部材10の後面)はクリップ式ケース1の挟持面13として機能する。蓋部12は、収納部11に対して適宜のシール構造を介して固定される。これにより、収納部11の開口側の気密性が確保される。収納部11の第二のケース部材20と対向する側面の一端(挟持面13の上端)には、連結部材40が嵌入される開口部14が形成される。開口部14に連結部材40を嵌入することで、開口部14における連結面(連結部材40と開口部14が接触している面)のシール性が確保されている。
【0014】
第二のケース部材20は、一面(後面)が開口した箱状に形成された収納部21、及び、収納部21の開口面を塞ぐ蓋部22を備える。収納部21の底面(第二のケース部材20の前面)はクリップ式ケース1の挟持面23として機能する。蓋部22は、収納部21に対して適宜のシール構造を介して固定される。これにより、収納部21の開口側の気密性が確保される。収納部21の第一のケース部材10と対向する側面の一端(挟持面23の上端)には、連結部材40が嵌入される開口部24が形成される。開口部24に連結部材40を嵌入することで、開口部24における連結面(連結部材40と開口部24が接触している面)のシール性が確保されている。
【0015】
板ばね30は、弾性体によって構成されている。板ばね30は、薄板を同じ方向に二回折り曲げて形成される「コ」字形状を有する。板ばね30は、中央の支持片31と支持片31の両端部から折り曲げて延出される二つの挟持片32とによって構成される。板ばね30は、支持片31を中心として挟持片32が互いに近づく方向(閉じる方向)に復元力(付勢力)が発生し、外力が付与されていない状態では、二つの挟持片32が近接又は接触した状態となる。なお、板ばね30の形状は、「コ」字状に限定されず、中央部分で湾曲させてなる「U」字状等、他の形状でも良く、第一のケース部材10と第二のケース部材20の一端側に配置され、これらの他端を互いに近接する方向に付勢力を発揮できる形状であれば良い。
【0016】
第一のケース部材10の内側面(収納部11の内底面)に突起15が設けられ、第二のケース部材20の内側面(収納部21の内底面)に突起25が設けられている。これらの突起15・25は、板ばね30を保持するためのものである。突起15・25は円錐台状の突起であり、突出方向中途部に抜け止め(又は滑り止め)が設けられている。他方、板ばね30の挟持片32には、突起15・25のそれぞれが嵌入可能な係止穴33が設けられている。板ばね30の係止穴33・33に突起15・25を嵌入することで、板ばね30が第一のケース部材10と第二のケース部材20に固定される。
【0017】
連結部材40は、中空の略角筒状に形成される弾性部材である。連結部材40は、第一のケース部材10の開口部14と、第二のケース部材20の開口部24とを封止するとともに、これらのケース部材10・20を連結するものである。また、ケース部材10・20を動かす(つまり、クリップ式ケース1を開いて挟持する)際に、連結部材40が弾性変形して追従することにより、開口部14・24の封止を維持したままクリップ式ケース1の変形を許容する。つまり、連結部材40は、第一のケース部材10の下端と第二のケース部材20の下端が互いに近接離間する方向に移動可能に連結している(図3参照)。
【0018】
具体的には、連結部材40には、開口部14の内周形状に応じた形状を有する第一連結部41と、開口部24の内周形状に応じた形状を有する第二連結部42が形成されている。第一連結部41及び第二連結部42は、連結部材40の他の部位よりも小さい外周形状を有する溝として形成されている。連結部材40を開口部14に嵌入する際に、連結部材40の第一連結部41と第一のケース部材10の開口部14とを密着させることで、これらの連結面が連結部材40の弾性力によってシールされる。同様に、連結部材40を開口部24に嵌入する際に、連結部材40の第二連結部42と第二のケース部材20の開口部24とを密着させることで、これらの連結面が連結部材40の弾性力によってシールされる。
【0019】
連結部材40の内部空間には、板ばね30の一部が配置される。具体的には、板ばね30の支持片31が連結部材40の内側面と接するように配置される。また、連結部材40の両端部に、板ばね30の挟持片32が通過可能な切り欠き43・44が設けられている。連結部材40の切り欠き43・44を通じて、板ばね30の挟持片32が第一のケース部材10及び第二のケース部材20側に延出され、それらの内側面に沿って配置される(図4参照)。
【0020】
以上のように、クリップ式ケース1は、第一のケース部材10と第二のケース部材20の上端を連結部材40で連結するとともに、これら二つのケース部材10・20の下端を互いに近づける方向に付勢するばね部材30を、連結部材40の内部を通じて配置している。そして、ばね部材30の付勢力により、二つのケース部材10・20の挟持面13・23で挟持可能に構成されている。ばね部材30の付勢力に抗して挟持面13・23の間隔を広げることで、挟持する対象の厚みに合わせて挟持態様を適宜調整できる。
【0021】
板ばね30は、連結部材40の内部空間を通じて、第一のケース部材10の内側面と第二のケース部材20の内側面に延出されて固定されている。このように、クリップ式ケース1の二つのケース部材10・20を連結する連結部材40の内部に板ばね30を配置することで、板ばね30を外部に露出させない構造を実現している。従って、従来のクリップユニットが外部に露出した構造と比べて、クリップ式ケース1のデザイン性を大幅に向上することができる。
【0022】
クリップ式ケース1の開口部は、蓋部12・22、及び、連結部材40によってそれぞれ封止され、防水性が確保されている。このように、クリップ式ケース1は、内部に収納される電子機器50を保護するための防水性の確保と、板ばね30を外観に露出しないことによるデザイン性の向上とを両立している。
【0023】
また、中空構造の連結部材40を通じて第一のケース部材10の内部と第二のケース部材20の内部とを連通することで、二つのケース部材10・20のそれぞれに収納される電子機器50をケース内で接続することが可能となる等、ケース部材10・20の収納空間を最大限利用することが可能となり、クリップ式ケース1に収納できる電子機器50のバリエーションを増やすこともできる。
【0024】
次に、図5及び図6を参照して、第二実施形態に係るクリップ式ケース100について説明する。クリップ式ケース100は、第一のケース部材110、第二のケース部材120、板ばね130、連結部材140、及び、板ばね固定部材150を具備し、内部に電子機器(不図示)が収納される。
【0025】
第一のケース部材110は、一面(前面)が開口した箱状に形成された収納部111、及び、収納部111の開口面を塞ぐ蓋部112を備える。収納部111の底面(第一のケース部材110の後面)はクリップ式ケース100の挟持面113として機能する。蓋部112は、収納部111に対して適宜のシール構造を介して固定される。これにより、収納部111の開口側の気密性が確保される。収納部111の第二のケース部材120と対向する側面の一端(挟持面113の上端)には、連結部材140が嵌入される第一開口部114が形成される。第一開口部114に連結部材140を嵌入することで、第一開口部114における連結面(連結部材140と第一開口部114が接触している面)のシール性が確保されている。
【0026】
第二のケース部材120は、一面(後面)が開口した箱状に形成された収納部121、及び、収納部121の開口面を塞ぐ蓋部122を備える。収納部121の底面(第二のケース部材120の前面)はクリップ式ケース100の挟持面123として機能する。蓋部122は、収納部121に対して適宜のシール構造を介して固定される。これにより、収納部121の開口側の気密性が確保される。収納部121の第一のケース部材110と対向する側面の一端(挟持面123の上端)には、連結部材140が嵌入される開口部124が形成される。開口部124に連結部材140を嵌入することで、開口部124における連結面(連結部材140と開口部124が接触している面)のシール性が確保されている。第二のケース部材120の内側面(収納部121の内底面)に、板ばね130を固定するための突起125が設けられている。突起125は、略円錐台状の突起であり、突出方向中途部に抜け止め又は滑り止めが設けられている。
【0027】
板ばね130は、弾性体によって構成されている。板ばね130は、薄板を同じ方向に二回折り曲げて形成される「コ」字形状を有する。板ばね130は、中央の支持片131と支持片131の両端部から折り曲げて延出される二つの挟持片132とによって構成される。板ばね130は、支持片131を中心として挟持片132が互いに近づく方向(閉じる方向)に復元力(付勢力)が発生し、外力が付与されていない状態では、二つの挟持片132が近接又は接触した状態となる。各挟持片132の中央部には、係止穴133が設けられている。なお、板ばね130の形状は、「コ」字状に限定されず、中央部分で湾曲させてなる「U」字状等、他の形状でも良く、第一のケース部材110と第二のケース部材120の一端側に配置され、これらの他端を互いに近接する方向に付勢力を発揮できる形状であれば良い。
【0028】
連結部材140は、中空の略角筒状に形成される弾性部材である。連結部材140は、第一のケース部材110の第一開口部114と、第二のケース部材120の開口部124とを封止するとともに、これらのケース部材110・120を連結するものである。また、ケース部材110・120を動かす(つまり、クリップ式ケース100を開いて挟持する)際に、連結部材140が弾性変形して追従することにより、第一開口部114及び開口部124との封止を維持したままクリップ式ケース100の変形を許容する。つまり、連結部材140は、第一のケース部材110の下端と第二のケース部材120の下端が互いに近接離間する方向に移動可能に連結している。
【0029】
第一のケース部材110には、第二開口部115が設けられている。第二開口部115は、第一開口部114とは別に設けられている開口である。つまり、第一のケース部材110の第二のケース部材120と対向する面(後面)には、第一開口部114と第二開口部115の二つの開口部が設けられている。そして、第二開口部115の第一のケース部材110の内方側(前側)の周囲には、リブ116が立設されている。リブ116は、第一のケース部材110の内側面から前方に向けて突出して設けられる環状の突起である。
【0030】
第一のケース部材110には、第二開口部115を内方側(前側)から塞ぐように、板ばね固定部材150が設けられている。板ばね固定部材150は、第一のケース部材110とは別部材として設けられている。板ばね固定部材150は、上下面が開放された略角筒状の部材である。板ばね固定部材150の後面は、第一のケース部材110の後面(挟持面113)と連続する同一平面を形成することで、第一のケース部材110の外表面の一部を構成する外側面151として形成される。板ばね固定部材150の前面には、リブ116の端面と当接可能なフランジ152が形成される。フランジ152は、板ばね固定部材150の前面に上下左右方向に延出して設けられ、リブ116の外周よりも大きい外周形状を有する。板ばね固定部材150は、後面を形成する外側面151と前面を形成するフランジ152との間に、板ばね130を固定するための空間を有している。
【0031】
板ばね固定部材150のフランジ152と第一のケース部材110のリブ116との間に、シール部材160が介挿される。つまり、第一のケース部材110のリブ116は、板ばね固定部材150との固定面を形成するケース側の固定部であり、板ばね固定部材150のフランジ152は、第一のケース部材110との固定面を形成する板ばね固定部材側の固定部である。シール部材160を介して板ばね固定部材150を第一のケース部材110に組み付けることで、これらの固定面のシール性を確保している。言い換えれば、シール部材160によって、板ばね固定部材150が設けられている第一のケース部材110の第二開口部115からの浸水を防止している。
【0032】
板ばね固定部材150の内側面(外側面151の裏面)に、板ばね130を固定するための突起153が設けられる。突起153は、板ばね130の係止穴133に応じた形状を有する突出部であり、突起153を板ばね130の係止穴133に嵌入することで、板ばね130が板ばね固定部材150に固定される。
【0033】
連結部材140は、板ばね130が通される第一中空部141と、第一のケース部材110と第二のケース部材120の内部を連通する第二中空部142とを含む中空構造を有する。このように、板ばね130を通す通路と別に、二つのケース部材110・120の内部空間を連通する通路を設けて、第一中空部141と第二中空部142の機能を明確に分けている。これにより、第一のケース部材110の内部に収納される電子機器と第二のケース部材120の内部に収納される電子機器との間の内部配線が容易になる等の利点がある。
【0034】
最後に、図7から図10を参照して、クリップ式ケース100を組み付ける手順について簡単に説明する。
【0035】
図7に示すように、板ばね130を板ばね固定部材150に組み付ける。具体的には、板ばね130の係止穴133と板ばね固定部材150の突起153とが係合するように、板ばね130を板ばね固定部材150の内部に挿入する。この際、板ばね130は適宜の治具によって広げた状態で作業を行うことが好ましい。
【0036】
図8に示すように、板ばね130を組み付けた板ばね固定部材150を第一のケース部材110の第二開口部115に組み付ける。具体的には、板ばね固定部材150のフランジ152と第一のケース部材110のリブ116との間にシール部材160を介挿した状態で、板ばね固定部材150をケース内方側から第二開口部115に挿入して固定する。この際、図示は省略しているが、フランジ152に設けた穴を用いて、ビス止めやボルト止めによってシール部材160が圧着することで封止される。
【0037】
図9に示すように、板ばね130を組み付けた板ばね固定部材150を第一のケース部材110に組み付けた後、連結部材140を第一のケース部材110の第一開口部115に組み付ける。具体的には、連結部材140の第一中空部141に板ばね130を通しつつ、連結部材140を第一開口部114に嵌入する。連結部材140によって、第一開口部114のシール性が確保される。
【0038】
図10に示すように、板ばね130を組み付けた板ばね固定部材150を第一のケース部材110に組み付け、連結部材140を第一開口部114に組み付けた後、第二のケース部材120を組み付ける。具体的には、板ばね130の係止穴133を第二のケース部材120の内側面の突起125に嵌入して固定し、かつ、連結部材140を第二のケース部材120の開口部124に嵌入させる。連結部材140によって、開口部124のシール性が確保される。そして、適宜内部に電子機器を収納した後に、蓋部112・122を収納部111・121に固定し、クリップ式ケース100が組み付けられる。
【0039】
以上のように、板ばね固定部材150を第一のケース部材110とは別部材とし、板ばね130を固定する工程を別に設けることで、組み付け性を向上することができる。また、板ばね固定部材150は、第一のケース部材110の外側面(後面)と面一となる外側面151を有することで、別部材として板ばね固定部材150を組み付けた際にも、クリップ式ケース100の意匠性を損なうことがなく、全体として高い意匠性を維持することが可能である。そして、板ばね固定部材150と第一のケース部材110との固定面にシール部材160を介挿することで、別部材として組み込まれる板ばね固定部材150における防水性を確保している。
【0040】
また、第一のケース部材110の後面には、板ばね固定部材150の外側面151に対応する第二開口部115が設けられ、第二開口部115の周囲に内方側(前側)に向けて突出するようにリブ116が設けられている。一方、板ばね固定部材150には、リブ116と当接可能なフランジ152が設けられている。つまり、第一のケース部材110の内方側から外方側(前側から後側)に向けて板ばね固定部材150を組み付けることとなり、板ばね130を固定するための仕組みを第一のケース部材110の内側に設ける構成となっている。このように、別部材として設けられる板ばね固定部材150を第一のケース部材110の内側に設けることによって、ケース外部に板ばね固定部材150を突出させることがなく、ケース自体の寸法を大きくする必要がない。
【符号の説明】
【0041】
1:クリップ式ケース、10:第一のケース部材(他方のケース部材)、20:第二のケース部材(一方のケース部材)、30:板ばね(ばね部材)、40:連結部材、50:電子機器、100:クリップ式ケース、110:第一のケース部材(他方のケース部材)、115:第二開口部、120:第二のケース部材(一方のケース部材)、130:板ばね(ばね部材)、140:連結部材、150:板ばね固定部材、160:シール部材
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