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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】荷崩れ防止具
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/04 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B62B3/04 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019059828
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020157941
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】597053038
【氏名又は名称】中村被服株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】西屋 浩
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-142811(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139328(JP,U)
【文献】特開2013-233970(JP,A)
【文献】独国実用新案第202018105415(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264165(US,A1)
【文献】特開2003-54624(JP,A)
【文献】特開2007-326634(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137361(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の床面パネルと、鉛直材と水平材とからなる一対の側面パネルと、前記床面パネルの底面側に直接又は間接的に設けられるキャスターと、を備えてなるスライドカートに積載される荷物の荷崩れを防止するために用いられる補助具であって、
前記スライドカートの周側面上に巻回される保護シートと、
前記スライドカートに巻回された前記保護シートを環状に保持するための固定構造と、
前記保護シートを前記側面パネルに着脱可能に保持するための保持構造と、
前記側面パネルにおける前記鉛直材の内寸法を1とした場合に、前記保護シートの巻回方向における幅Lが0.5≦L≦1を満たし、前記保護シートの端部に配され、前記保護シートよりも硬い材質からなる巻取り芯と、
前記保護シートにおいて前記巻取り芯が設けられていない側の端部に設けられ、前記巻取り芯に巻回された前記保護シートを収納するポケットと、を備えていることを特徴とする荷崩れ防止具。
【請求項2】
前記巻取り芯に巻回された前記保護シートを前記ポケットに収納した際の前記荷崩れ防止具の厚みは、前記スライドカートをネスティングした場合に隣接する前記側面パネル同士の空隙以下であることを特徴とする請求項1に記載の荷崩れ防止具。
【請求項3】
前記固定構造は、
前記保護シートの前記巻取り芯が設けられている端部に延設されるバンドと、
前記保護シートの前記巻取り芯が設けられていない側の端部に設けられ、前記バンドを係止するための環状具と、を備え、
前記バンドは、前記巻取り芯と重なっている積層領域を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の荷崩れ防止具。
【請求項4】
前記ポケットは、その開口を所望に広げるための開閉具を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の荷崩れ防止具。
【請求項5】
前記ポケットは、その上面に第2のポケット又はシール貼付け台を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の荷崩れ防止具。
【請求項6】
前記スライドカートの前記側面パネルの鉛直方向の50%以上の領域を被覆する前記保護シートを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の荷崩れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドカート等の手押しタイプの台車の使用時に、荷物が荷崩れを起こすのを防止するための荷崩れ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物流の現場ではスライドカート等の手押しタイプの台車を用いて荷物を運搬している。この場合、台車の操作時に、荷崩れが起こると搬送中の荷物が破損する、あるいは荷物が損傷するおそれがあった。
このような事情に対処するため、荷物を積載した台車の周囲に使い捨ての薄膜状のフィルムを巻回して荷物の荷崩れを防止する、あるいは繰り返し使用可能なシート状の荷崩れ防止具を、荷物を積載した台車の周囲に巻回する等の対策がとられている。
特に前者の場合は、薄膜状のフィルムは使い捨てされるため、その購入及び廃棄にコストがかかるという課題があった。加えて、薄膜状のフィルムは通常焼却廃棄されるため、その処分時の環境負荷が高く、好ましくないという課題もあった。
また、後者の場合、荷崩れ防止具を構成する保護シートは通常、長尺で大判のシート体である。このため、保護シートの畳み方によっては荷崩れ防止具が嵩張ってしまいコンパクトに収納保管できない、あるいはスライドカート等から一時的に取り外したことが原因で、荷崩れ防止具の紛失が起こるといった課題が生じていた。
上述のような課題に対処するための先行技術としては例えば、以下に示すようなものが知られている。
【0003】
特許文献1には「手押し台車の荷崩れ防止用積載物固定ベルト」という名称で、荷物運搬用手押し台車の積載物の荷崩れを防止する固定ベルトに関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される考案である荷崩れ防止用積載物固定ベルトは、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、手押し台車の手押し部5に荷崩れ防止用積載物固定ベルト1a、1bを挿入係止帯との間にできる開口部を挿入して係止し、荷崩れ防止用積載物固定ベルトを収納袋3から引き出して積載物7を取り巻くように一周させて用いるものである。さらに、上記構成の特許文献1に開示される考案における固定ベルトは、止め具を通過、反転させて適度の力で引張し積載物とフィットするように締めて固定部材で固定して用いるものである。
また、特許文献1に開示される考案は、不使用時に荷崩れ防止用積載物固定ベルトを収納袋に納めておくことで、長いベルトの整理と次の使用に備えることができるという利点を有している。
【0004】
また、特許文献2には「荷くずれ防止装置」という名称で、左右側面に保護柵を配し、前後面を開放して成るカートに各種の積載物を積載したときの荷くずれを防止するようにした荷くずれ防止装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、左右側面に保護柵を配し且つ前後面を開放し、積載物を段積み状に積載可能としたカートの保護柵周囲、もしくはカートに積載されている積載物周囲を巻回するに足りる長さを有し、端部相互が牽引されて引き締められた状態で互いに連結固定する固定手段を介して保護柵周囲もしくは積載物周囲に固定保持可能にした少なくとも2つのシートカバーを備え、カートの保護柵周囲、もしくはカートに積載されている積載物周囲でシートカバーを複数段状に巻回配置させると共に、下段側に配したシートカバーの外側面に配した面ファスナーと上段側に配したシートカバーの内側面に配した面ファスナーとを相互に止着して上下で一体状にする止着手段を備えて成ることを特徴とするものである。
上述のような特許文献2に開示される発明によれば、カート上に段積み状に積載した各種の積載物の周囲側面、上部、下部それぞれを結束固定してカートからの荷くずれを未然に防止することができるという効果を奏する。
【0005】
なお、本願出願人は、本発明とやや関連性を有する技術分野の発明として過去に、特開2017-095164号公報(特許文献3)、特開2013-233970号公報(特許文献4)等を発明し、出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】登録実用新案第3139328号公報
【文献】特開2004-142811号公報
【文献】特開2017-095164号公報
【文献】特開2013-233970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような特許文献1に開示されている考案は、荷崩れ防止用積載物固定ベルトを収納保管しておくための収納袋を備え、この収納袋は、台車に常設できるよう構成されている。このため、特許文献1に開示されている考案によれば、荷崩れ防止用積載物固定ベルトを使用しない場合は、収納袋内に格納して台車に常設しておくことができるというメリットを有する。
他方、特許文献1に開示されている考案を、従来公知のスライドカートに常設しようとすると、荷崩れ防止用積載物固定ベルトを格納した収納袋の厚みが大きい場合に、スライドカートをネスティングさせることができなくなるという別の課題が生じてしまっていた。
【0008】
また、特許文献2に開示される発明の場合は、例えばスライドカートの鉛直上方側に配される荷物の荷崩れを防止することができさえすればよいというような時でも、その都度スライドカートの全域にシートカバーを覆設する作業を行う必要があり、使用者にとって作業負担が大きいという課題があった。
また、特許文献2の発明の取付け手順に関して、同文献の明細書段落0019には、「本発明装置の使用の一例を説明するに、図1(特許文献2)に示すように、保形芯材6が内設されていることで剛性化されているシートカバー1Aのいずれか一方の端部のスリット5を備えている側の端部側をカートP一端側の保護柵Qに位置する積載された積載物C相互間に挿入して、あるいは保護柵Qに巻回して仮止めしておく。」との記載がある。
そして、スライドカートに積載される荷物の重量が特に重い場合は、上記抜粋部分に記載される作業自体が困難である場合や、あるいは「積載された積載物C相互間」に「シートカバー1Aのいずれか一方の端部のスリット5を備えている側の端部側」を挿入している又は取り外している最中に、荷崩れが起きてしまう懸念があり、安全かつ確実に特許文献2に開示される発明を着脱させることが難しいという課題もあった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、不使用時の収納作業を迅速に行うことができ、その着脱作業を安全にかつ容易に行うことができ、しかもスライドカートに常設しておいてもネスティングの妨げにならない荷崩れ防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため第1の発明である荷崩れ防止具は、板状の床面パネルと、鉛直材と水平材とからなる一対の側面パネルと、床面パネルの底面側に直接又は間接的に設けられるキャスターと、を備えてなるスライドカートで運搬される荷物の荷崩れを防止するための補助具であって、スライドカートの周側面上に巻回される保護シートと、スライドカートに巻回された保護シートを環状に保持するための固定構造と、保護シートを側面パネルに着脱可能に保持するための保持構造と、側面パネルにおける鉛直材の内寸法を1とした場合に、保護シートの巻回方向における幅Lが0.5≦L≦1を満たし、保護シートの端部に配され、保護シートよりも硬い材質からなる巻取り芯と、保護シートにおいて巻取り芯が設けられていない側の端部に設けられ、巻取り芯に巻回された保護シートを収納するポケットと、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において保護シートは、スライドカートの外側面上を略水平に巻回されることで環状をなし、その際に保護シートの中空部内に収容されている荷物の揺動を抑制する作用を有する。また、固定構造は、保護シートを環状に形成した場合に、隣接し合う保護シートの端部同士を連結して環状を保持させるという作用を有する。さらに、保持構造は、スライドカートの側面パネルに保護シートを着脱可能に保持させるという作用を有する。加えて、巻取り芯を保護シートよりも硬い材質により構成し、保護シートの一部をなすようにその端部に配し、さらに保護シートの巻回方向における幅Lが、側面パネルにおける鉛直材の内寸法を1とする場合に、0.5≦L≦1を満たすよう構成することで、巻取り芯に保護シートを巻回する際の巻取り芯の回転数を少なくするという作用を有する。加えて、巻取り芯が上記特徴を備えていることで、巻取り芯に巻回された状態の保護シートの巻回方向における幅が、側面パネルの水平方向幅を大きく超えないようにするという作用を有する。また、ポケットはその一部が保護シートにより構成されることで、ポケット自体も保護シートの一部として作用する。さらに、ポケットはその中空部内に巻取り芯に巻き取られた保護シートを収容保持するという作用を有する。
【0011】
第2の発明である荷崩れ防止具は、上述の第1の発明であって、巻取り芯に巻回された保護シートをポケットに収納した際の荷崩れ防止具の厚みは、スライドカートをネスティングした場合に隣接する側面パネル同士の空隙以下であることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明と同じ作用を有する。加えて、第2の発明では、巻取り芯に巻回した保護シートをポケットに収納した際の荷崩れ防止具の厚みを、スライドカートをネスティングした際の隣接する側面パネル同士の空隙以下に設定しておくことで、収納状態の第2の発明を側面パネルに取設したままスライドカートをネスティングすることが可能になる。
【0012】
第3の発明である荷崩れ防止具は、上述の第1又は第2の発明であって、固定構造は、保護シートの巻取り芯が設けられている端部に延設されるバンドと、保護シートの巻取り芯が設けられていない側の端部に設けられ、バンドを係止するための環状具と、を備え、バンドは、巻取り芯と重なっている積層領域を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1の発明又は第2の発明と同じ作用を有する。また、第3の発明においてバンドは、保護シートをスライドカートの周囲に巻回した際に、保護シートの巻回方向における長さの一部を補うという作用を有する。また、第3の発明では、バンドと環状具との掛止構造により保護シート環状に保つという作用を有する。
さらに、バンドと巻取り芯からなる積層領域を備えることで、巻取り芯は、バンドの補強材としても作用する。このため、バンドに大きな張力が作用した際に、バンドが保護シート(巻取り芯)から引きちぎれるのを防ぐという作用を有する。
【0013】
第4の発明である荷崩れ防止具は、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、ポケットは、その開口を所望に広げるための開閉具を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、ポケットの開閉具は、ポケットの開口を広げるという作用を有する。そして、ポケットの開口が広がることで、巻取り芯に巻回された保護シートのポケットへの出し入れを容易かつ迅速にするという作用を有する。
【0014】
第5の発明である荷崩れ防止具は、上述の第1乃至第4のいずれかの発明であって、ポケットは、その上面に第2のポケット又はシール貼付け台を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、ポケットがその上面に第2のポケットを備えている場合は、第5の発明の使用対象であるスライドカートの所属先に関する情報や、そのスライドカートに積載される荷物に関する情報が記された書類を第2のポケットに収容してスライドカートとともに送り届けることを可能にするという作用を有する。
また、第5の発明がポケットの上面にシール貼付け台を備えていることで、スライドカートの所属先に関する情報や、そのスライドカートに積載される荷物に関する情報が記されたシールを、シール貼付け台に貼り付けてスライドカートとともに搬送することが可能になる。
【0015】
第6の発明である荷崩れ防止具は、上述の第1乃至第5のいずれかの発明であって、スライドカートの側面パネルの鉛直方向の50%以上の領域を被覆する保護シートを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、保護シートのサイズを、スライドカートの側面パネルの鉛直方向の50%以上の領域を被覆することができる程度の大きさに特定することで、1枚の保護シートを用いてスライドカートの鉛直方向における広範囲を保護シートで保定することを可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
上述のような第1の発明によれば、保護シートの巻回方向における巻取り芯の幅Lが、側面パネルにおける鉛直材の内寸法を1とする場合に、0.5≦Lを満たすよう構成されていることで、保護シートの巻取り芯として例えば棒体を用いる場合に比べて保護シートを素早く巻取り芯に巻き取ることができる。
さらに、巻取り芯の幅Lが、側面パネルにおける鉛直材の内寸法を1とする場合に、L≦1を満たすよう構成されていることで、巻取り芯に巻回された後の保護シートの巻回方向における幅を、側面パネルの水平方向幅と同じかそれよりもやや小さくすることができる。
したがって第1の発明によれば、保護シートを巻回してポケットに収納した際の荷崩れ防止具の水平方向幅を、スライドカートの側面パネルの水平方向幅と略同じかそれよりも小さくすることができる。
これにより、第1の発明である荷崩れ防止具をスライドカートに常設した際に、その側面パネルの左右方向に、巻取り保管中の崩れ防止具がはみ出すのを好適に防ぐことができる。
この結果、第1の発明である荷崩れ防止具を備えたままスライドカートを移動させる際に、荷崩れ防止具がスライドカートの移動の妨げになるのを防止できる。
【0017】
第2の発明によれば、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明によれば、側面パネルに収納状態の荷崩れ防止具を取設したまま、複数のスライドカートをネスティングすることができる。
したがって、第2の発明によれば、収納状態の荷崩れ防止具を常設したままネスティングも含めてスライドカートを通常通り使用することができる。
【0018】
第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果に加えて、巻取り芯にバンドが固設されていることで、荷物を積載したスライドカートに保護シートを巻回する際に、バンドに大きな張力が作用しても保護シートからバンドが引きちぎれるのを防ぐことができる。
したがって、第3の発明によれば、耐久性に優れた荷崩れ防止具を提供することができる。
【0019】
第4の発明によれば、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明によれば、開閉具を操作することでポケットの開口を広げることができる。
この場合、ポケットの開口を広げられることで、ポケット内への保護シート出し入れをスムーズに行うことができる。
よって、第4の発明によれば、操作性に優れた荷崩れ防止具を提供することができる。
【0020】
第5の発明によれば、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明によれば、スライドカートに関する情報や、それに積載される荷物に関する情報を、第5の発明である荷崩れ防止具ともに送り届けることができる。
よって、第5の発明によれば、利便性に優れた荷崩れ防止具を提供することができる。
【0021】
第6の発明によれば、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第6の発明によれば、スライドカートの鉛直方向の広範囲を1枚の保護シートで被覆することができる。
よって、第6の発明によれば、利便性に優れた荷崩れ防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具をスライドカートに装着した様子を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具を環状に形成した場合の外観図である。
図3】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具の外観図である。
図4】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具の巻取り芯に保護シートを巻き取った状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具において巻取り芯に巻き取った保護シートをポケットに収納している様子を示す斜視図である。
図6】(a)本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具において保護シートをポケットに収納した状態の正面図であり、(b)同荷崩れ防止具の背面図である。
図7】保護シートが収納された状態の本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具をスライドカートの側面パネルに取り付けた様子を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具を取り付けた状態でスライドカートをネスティングした様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態に係る荷崩れ防止具について図1乃至図8を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施の形態に係る荷崩れ防止具の構造について図1乃至図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具をスライドカートに装着した様子を示す斜視図である。また、図2図1中に示される荷崩れ防止具を抜き出して示す外観図である。さらに、図3は、本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具の外観図である。
本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、スライドカート8に積載される荷物(図1中には図示せず)の荷崩れを防止するために用いられる補助具である。また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1を装着するスライドカートの形態としては、例えば、図1に示すような、板状の床面パネル9と、鉛直材10aと水平材10bとからなる一対の側面パネル10と、床面パネル9の底面側に直接又は間接的に設けられる複数のキャスター11とを備えてなるスライドカート8を想定している。
このようなスライドカート8に装着して用いられる本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、例えば図1乃至図3に示すように、スライドカート8の周側面上に巻回される保護シート2と、スライドカート8に巻回されたスライドカート8を環状に保持するための固定構造3と、保護シート2を側面パネル10に着脱可能に保持するための保持構造4と、保護シート2の端部に設けられ保護シート2を巻き取る際の芯材として用いられる巻取り芯5と、保護シート2において巻取り芯5が設けられていない側の端部に設けられ、巻取り芯5に巻回された保護シート2を収納するポケット6を備えてなるものである。
【0025】
上述のような本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、図1に示すように、スライドカート8の周側面上に保護シート2を巻回した状態で用いられる。この場合、スライドカート8に沢山の荷物を積載して移動する際に、保護シート2によってこの荷物の揺動を防止することができる。これにより、本実施形態に係る荷崩れ防止具1によれば、荷物をスライドカート8により搬送する際の荷崩れを好適に防止することができる。この結果、スライドカート8を用いて荷物を搬送する際に、荷崩れが起きて、搬送中の荷物が破損するあるいは損傷するのを防ぐことができる。
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、不使用時には保護シート2の端部に設けられている巻取り芯5に保護シート2を巻き取り、巻取り芯5に巻回された保護シート2をポケット6内に収容することで、コンパクトに収納保管しておくことができる。
【0026】
さらに、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、保護シート2の背面側に、より具体的には、保護シート2においてポケット6の背面側に保持構造4を備えている。このため、ポケット6内に収納された保護シート2(荷崩れ防止具1)を、スライドカート8の側面パネル10に着脱可能に取設しておくことができる。
さらに、このポケット6の背面側は、保護シート2の端部により構成されている。より具体的には、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、保護シート2の端部に、ポケット6が設けられている。つまり、本実施形態に係る荷崩れ防止具1におけるポケット6は、保護シート2をスライドカート8に巻回する際の、巻き始めの始点位置をなしている。
このため、保持構造4によりポケット6をスライドカート8の側面パネル10に取設することで、保護シート2をスライドカート8に巻回する際の、巻き始めの始点位置を固定する作業が完了する。
【0027】
続いて、図3及び図4乃至図6を参照しながら本実施形態に係る荷崩れ防止具1をポケット6に収容する手順について説明する。
図4は本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具の巻取り芯に保護シートを巻き取った状態を示す斜視図である。また、図5は同荷崩れ防止具において巻取り芯に巻き取った保護シートをポケットに収納している様子を示す斜視図である。さらに、図6(a)は本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具において保護シートをポケットに収納した状態の正面図であり、(b)は同荷崩れ防止具の背面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る荷崩れ防止具1をポケット6に収納するには、まず、帯状をなす保護シート2の端部に設けられている巻取り芯5(図3を参照)に、保護シート2を固定構造3とともに巻き付ける(図4を参照)。
この後、巻取り芯5に巻回された保護シート2を、ポケット6の開口6aからその中空部内に入れ込むことで(図5を参照)、保護シート2の収納作業が完了する
図6(a),(b)を参照)。
【0028】
本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、巻取り芯5に巻回した状態で保護シート2をポケット6内に収容するため、保護シート2が収納されたポケット6の厚みを薄くすることができる。
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、保護シート2の巻回方向、すなわち図3における保護シート2の長辺と平行な方向における巻取り芯5の幅L(図1乃至図3を参照)が、スライドカート8の側面パネル10における鉛直材10aの内寸法Aを1とした場合に、0.5A≦Lを満たすよう構成されている。
この場合、巻取り芯5をシンプルな棒体で構成する場合に比べて、巻取り完了後の保護シート2の厚みを薄くすることができる。加えて、巻取り芯5に保護シート2を巻回する際に、巻取り芯5を回転させる回数を少なくすることができるというメリットも有する。
【0029】
さらに、上記特徴に加えて、本実施形態に係る巻取り芯5の幅Lは、L≦Aについても満たすよう構成されている。この場合、上記メリットに加えて、巻取り芯5に巻回された保護シート2のその巻取り方向における幅L図4を参照)を、側面パネル10における鉛直材10aの内寸法Aと略同じかそれよりもやや小さくすることができる。
【0030】
ここで、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の巻取り芯5の幅Lを上述のように特定することのメリットについて図7を参照しながら説明する。
図7は保護シートが収納された状態の本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具をスライドカートの側面パネルに取り付けた様子を示す斜視図である。また、図8は本発明の実施形態に係る荷崩れ防止具を取り付けた状態でスライドカートをネスティングした様子を示す斜視図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態に係る荷崩れ防止具1によれば、ポケット6に保護シート2を収納した状態の水平方向幅L図6(a),(b)を参照)を、スライドカート8の側面パネル10の水平方向幅Aと略同じかそれよりも小さくすることができる。つまり、本実施形態に係る荷崩れ防止具1によれば、ポケット6に保護シート2を収納した状態の荷崩れ防止具1が、スライドカート8の側面パネル10の幅方向に大幅にはみ出さないようにすることができる。
このため、本実施形態に係る荷崩れ防止具1によれば、保護シート2をポケット6に収納した状態でスライドカート8の側面パネル10に常設していても、荷崩れ防止具1がスライドカート8の移動の妨げになり難い。
【0031】
さらに、本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、図8に示すように、保護シート2をポケット6に収納した状態の厚みが、スライドカート8をネスティングした際に隣接する側面パネル10同士の空隙Bと同じか、それよりも小さくなるよう構成しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、側面パネル10に本実施形態に係る荷崩れ防止具1を装着したままの状態でスライドカート8をネスティングすることが可能になる。つまり、このような本実施形態に係る荷崩れ防止具1によれば、スライドカート8の側面パネル10に常設しても、スライドカート8を通常通り使用することができる。
【0032】
続いて、図1乃至図8を参照しながら本実施形態に係る荷崩れ防止具1の細部構造について詳細に説明する。
本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、巻取り芯5が、可撓性を有する平板材により構成されている場合は、ポケット6の開口6aをそれ以上広げることができなくとも、巻取り芯5に巻回された保護シート2をポケット6内に出し入れすることができるので、荷崩れ防止具1の使用には何ら差し支えない。これは、ポケット6の開口6aをそれ以上広げることができない場合でも、保護シート2が巻回された巻取り芯5を撓ませるなどすれば、巻取り芯5に巻回された保護シート2をポケット6内に出し入れすることができるためである。
しかしながらこの場合は、巻取り芯5に巻回された保護シート2を出し入れする作業をスムーズに行えないことも想定される。そして、この場合は、スライドカート8に保護シート2の着脱させる際の作業性を向上させることができない懸念があった。
このような事情に鑑み、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、先の図1乃至図8に示すように、ポケット6の開口6aに開閉具7を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、例えば図3乃至図5に示すように、必要に応じてポケット6の開口6aを広げることができる。そして、ポケット6の開口6aを広げることができる場合は、図5に示すように、巻取り芯5に巻回された保護シート2のポケット6への出し入れが容易になる。
よって、ポケット6がその開口6aに開閉具7を備える場合は、スライドカート8への保護シート2の着脱作業をスムーズかつ効率良く行うことができる。
【0033】
さらに、先の図1乃至図8では、ポケット6の開口6aに設けられる開閉具7がファスナ7aである場合を例に挙げて説明しているが、この開閉具7はファスナ7aに特定される必要はない。より具体的には、開閉具7として、ボタン及びボタンホールからなる開閉具(図示せず)、スナップボタン(図示せず)、面ファスナ(図示せず)、あるいはこれらのように所望にポケット6の開口6aの広狭を調節させるような従来公知の開閉構造を適宜採用すればよい。
なお、ポケット6の開口6aの開閉具7として特にファスナ7aを用いる場合は、ファスナ7aが設けられている部分で、開口6aの広狭を無段階で自在に調整することができる。さらに、開閉具7が特にファスナ7aである場合は、スライダーをスライドさせるだけで開口6aの開度を調整できるので、作業者が片手で開閉具7を操作できるというメリットもある。よって、開閉具7をファスナ7aに特定する場合は、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の操作性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では保護シート2をスライドカート8に巻回して環状に保持しておくための固定構造3として、細長帯状のバンド3aと、このバンド3aを係止するための環状具3cを備えている。
また、このような固定構造3におけるバンド3aは、その一部が保護シート2の端部に固設され、さらにそれに続く部分が保護シート2の端部に延設されている。加えて、このようなバンド3aは、保護シート2に固定される部分に表面にオス又はメスタイプの面ファスナを備えるとともに、保護シート2の端部から延設される部分の表面にはメス又はオスタイプの面ファスナを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
そして、上述のようにバンド3aを構成することで、バンド3aを保護シート2の端部において保護シート2側に折り畳んだ際に、タイプの異なる面ファスナ同士を接合させて、バンド3aを2つ折りにした状態で固定しておくことができる。
そして、本実施形態に係る荷崩れ防止具1が、固定構造3として上述のようなバンド3a及び環状具3cを備える場合は、先の図2に示すように、保護シート2の端部に延設されるバンド3aを、保護シート2の他の端部に設けられる環状具3cに挿通した後、この挿通されたバンド3aを環状具3cにおいて折り返し、さらに保護シート2に固設される側のバンド3aの端部に重ね合わせることで、保護シート2を環状に保持しておくことができる。
また、保護シート2の環状状態を解除するには、上述の手順を逆に行えばよい。
【0035】
そして、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の固定構造3が上述のようなバンド3a及び固定構造3を備える場合は、スライドカート8に積載される荷物が側面パネル10の幅方向(水平方向)にはみ出している場合でも、環状具3cにおけるバンド3aの掛止位置を調整することで、保護シート2の長さの不足をバンド3aで補うことができる。
さらに、固定構造3がバンド3a及び固定構造3を備える場合は、環状具3cにおけるバンド3aの掛止位置を調整することで、スライドカート8に積載される荷物の保護シート2による締付け具合を適宜調節することができる。
加えて、固定構造3がバンド3a及び固定構造3を備える場合は、保護シート2を環状に保持するために、保護シート2の一部をスライドカート8の側面パネル10に係止させる等の作業(特許文献2を参照)を行う必要がない。
このことは、スライドカート8に保護シート2を巻回する際に、側面パネル10と積載されている荷物の隙間を広げる作業を行う必要がないことを意味している。このため、固定構造3としてバンド3a及び固定構造3を備えている場合は、保護シート2の着脱時に、スライドカート8に積載される荷物が荷崩れするのを防ぐことができるという効果も有する。
【0036】
なお、本実施形態に係る荷崩れ防止具1における固定構造3は、上述のようなバンド3a及び環状具3cを備えている必要は必ずしもなく、必要に応じて保護シート2の長さを補うことができ、保護シート2による荷物の締付けの具合を調節できるよう構成されるものであれば、上述以外の構成を用いることもできる。例えば、固定構造3として、ベルトの長さを調整可能なクイックリリースタイプのジョイントを使用することもできる。
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1では固定構造3として、2組のバンド3a及び環状具3cを備える場合を例に挙げて説明しているが、バンド3a及び環状具3cは1組以上の所望の組数を備えていればよい。ただし、バンド3a及び環状具3cの組数が多くなるほど、保護シート2の着脱作業が煩雑になるため、バンド3a及び環状具3cの組数は、必要最小限度にすることが望ましい。
【0037】
さらに、本実施形態に係る荷崩れ防止具1において固定構造3が上述のようなバンド3a及び環状具3cにより構成される場合は、荷崩れ防止具1の使用時に、保護シート2とバンド3aの接続部分に大きな張力が作用する。
このため、本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、保護シート2とバンド3aの接続部分において、バンド3aが引きちぎられる等の不具合が起こりやすいという懸念があった。
このような事情に鑑み本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、保護シート2の端部に配される巻取り芯5とバンド3aを積層した状態でこれらを一体に固設している。すなわち、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、巻取り芯5とバンド3aが重なった状態で一体に固定されてなる積層領域3bを備えている(図2,3を参照)。
このように、本実施形態に係る荷崩れ防止具1が巻取り芯5とバンド3aとが重なった積層領域3bを備えていることで、巻取り芯5を保護シート2とバンド3aの接続部分における補強材としても利用することができる。
この結果、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の耐久性を向上させることができる。
【0038】
また、特に図示しないが、本実施形態に係る荷崩れ防止具1のポケット6はその上面に第2のポケット又はシール貼付け台を備えていてもよい(いずれも任意選択構成要素)。
そして、本実施形態に係る荷崩れ防止具1のポケット6がその上面に第2のポケットを備えている場合は、この第2のポケットにスライドカート8やそれに積載されている荷物に関する情報を記した書類等を収納することができる。
この場合、第2のポケットを、透視性を有する材質により構成しておくことで、上述のような書類の情報を、第2のポケットから取り出すことなく目視して確認することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1のポケット6がその上面にシール貼付け台を備える場合も、スライドカート8やそれに積載されている荷物に関する情報が記されたシールを貼設しておくことができる。この場合も、使用者は荷崩れ防止具1のポケット6の上面側を見るだけでそのスライドカート8やそれに積載されている荷物に関する情報を得ることができる。
なお、このシール貼付け台としては、例えば表面にエンボス加工を施すなどしてシールの着脱性を適度に調節したシート体(例えば、シボシート等)を用いることができる。
【0040】
よって、本実施形態に係る荷崩れ防止具1のポケット6が、その上面に第2のポケット又はシール貼付け台を備える場合は、スライドカート8に荷崩れ防止具1を常設する際に、荷崩れ防止具1とともにスライドカート8やそれに積載される荷物に関する情報についても送り届けることができる。
この結果、本実施の形態に係る荷崩れ防止具1の利便性を向上させることができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係る荷崩れ防止具1は、ポケット6が設けられた部分の保護シート2を、スライドカート8の側面パネル10に着脱可能に取設するための保持構造4としてフック4aを備えている。
このフック4aは、例えば、形状保持性を有する合成樹脂を、断面J字形を成すように形成したものを、保護シート2の所望位置に縫着してなるものである。なお、フック4aの保護シート2への取設方法を縫着に特定する必要は特にない。しかしながら、保護シート2やポケット6の材質として布や不織布、あるいは、合成樹脂製のシート材等を用い、保護シート2にポケット6やバンド3aを縫着して固定する場合は、その作業の一環としてフック4aを保護シート2に縫着して固定することができる。このため、保持構造4として上述のようなフック4aを用いる場合は、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の生産性を向上させることができる。
そして、保持構造4として図1,2,6に示すようなフック4aを用いる場合は、スライドカート8の側面パネル10にワンタッチで荷崩れ防止具1を着脱させることができる。
また、保持構造4は、上述のようなフック4a以外にも、金属製のフック等を支障なく用いることができる。この場合は、保護シート2への取設方法を変更する必要がある可能性があるものの、より耐久性に優れた保持構造4を提供することができる。
【0042】
その一方で、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の保持構造4としてフック(例えばフック4a等)を用いる場合は、荷崩れ防止具1を取設できる場所が、側面パネル10における水平材10bに特定されてしまうという別の課題が生じてしまう。
このような場合は、荷崩れ防止具1の保持構造4としてフック(例えばフック4a等)を用いる代わりに、ポケット6の背面側の保護シート2に、固定具(例えば、面ファスナ等)を備えたバンドや固定用紐などを取り付けておき、このバンドを側面パネル10の鉛直材10aに巻回する、あるいは固定紐を鉛直材10aに緊縛するなどして、側面パネル10の鉛直方向の所望位置に荷崩れ防止具1を取設できるよう構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合は、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の利便性を一層向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、特に図示しないが、保護シート2の保持構造4として上述のフック(例えば、フック4a等)と、側面パネル10の鉛直材10aに巻回して保護シート2を保持するバンドや、緊縛用の紐を併用してもよい。より具体的には、ポケット6の鉛直上方側の背面(保護シート2)にフック(例えばフック4a等)を設けるとともに、ポケット6の鉛直下方側の背面(保護シート2)に側面パネル10の鉛直材10a又は水平材10bに巻回して固定するバンド又は紐からなる保持構造4を備えていてもよい。
この場合、本実施形態に係る荷崩れ防止具1が保持構造4としてフック(例えば、フック4a等)のみを備える場合に比べて、スライドカート8に荷崩れ防止具1を常設する際に、側面パネル10から荷崩れ防止具1を外れ難くすることができるというメリットがある。
この場合、スライドカート8に本実施形態に係る荷崩れ防止具1を常設する際の荷崩れ防止具1の外れや落下に伴う紛失を防止することができる。
【0044】
また、本実施形態ではスライドカート8の鉛直方向の50%に満たない領域を、保護シート2で被覆する場合を例に挙げて説明しているが、このような保護シート2に代えて、スライドカート8の鉛直方向の50%以上の領域を被覆することができるような保護シート2を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
一般に、スライドカート8で荷物を搬送する場合は、鉛直上方に配される荷物ほど荷崩れを起こしやすい。このため、スライドカート8において鉛直上方に位置する荷物の周囲に保護シート2を巻回しておけば、スライドカート8で搬送する際の荷物の荷崩れの大半を防ぐことができる。
他方、本実施形態に係る1が、スライドカート8の鉛直方向の50%以上の領域を被覆することができるような保護シート2を備える場合は、そうでない場合と比べてより確実にスライドカート8で搬送される荷物の荷崩れを防止することができる。
【0045】
なお、本実施の形態に係る保護シート2の材質については特に特定されないが、強度や耐久性の点から布を用いることが望ましい。
また、保護シート2の厚みが大きいと耐久性や強度が向上する一方で、巻取り芯5に巻き取られた保護シート2が嵩張ってしまい、収納状態でスライドカート8に常設した際に、スライドカート8の動作の妨げになる懸念があり好ましくない。
このような事情に鑑み、荷崩れ防止具1を構成する保護シート2の厚みは、スライドカート8の側面パネル10を構成する鉛直材10aの内寸法A(図1を参照)と略同じ寸法を有する巻取り芯5に巻回した際の保護シート2の寸法L図4を参照)が、側面パネル10の幅A図1を参照)以下になるよう設定しておくとよい。
この場合、巻取り芯5に巻回された保護シート2をポケット6内に収容した場合でも、ポケット6の水平方向幅L図6を参照)が側面パネル10の幅A図1を参照)を大幅に超えることがない。この結果、本実施形態に係る荷崩れ防止具1をスライドカート8に常設する場合に、荷崩れ防止具1がスライドカート8の動作の妨げになるのを一層確実に防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態に係る荷崩れ防止具1では、巻取り芯5の平面形状が矩形状である場合を例に挙げて説明しているが、巻取り芯5の平面形状は、上記矩形状の中央部分を切り抜いてなるロ字形をなしていてもよいし、コ字形をなしていてもよい。ただし、巻取り芯5の平面形状をコ字形にする場合は、保護シート2の長手方向端縁側に巻取り芯5の切欠き部分を配しない、つまり、保護シート2の長手方向端縁の全域が巻取り芯5を備えている必要がある。
なお、本実施形態に係る荷崩れ防止具1の巻取り芯5の平面形状を上述のようにロ字形やコ字形にする場合でも、その保護シート2の巻回方向における巻取り芯5の幅Lは、スライドカート8の側面パネル10における鉛直材10aの内寸法Aを1とした場合に、0.5A≦L≦Aを満たしている必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように本発明は、スライドカートで荷物を搬送する際に荷崩れが起こるのを好適に防止することができ、スライドカートへの着脱作業が容易で、しかも不使用時にはコンパクトに収納することができ、スライドカートに常設してもスライドカートの動作の妨げにならない荷崩れ防止具であり、物流や物流設備に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…荷崩れ防止具 2…保護シート 3…固定構造 3a…バンド 3b…積層領域 3c…環状具 4…保持構造 4a…フック 5…巻取り芯 6…ポケット 6a…開口 7…開閉具 7a…ファスナ 8…スライドカート 9…床面パネル 10…側面パネル 10a…鉛直材 10b…水平材 11…キャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8