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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】光学素子、光学系及び光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20220127BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220127BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20220127BHJP
   G02B 3/04 20060101ALI20220127BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20220127BHJP
   G02B 13/04 20060101ALI20220127BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220127BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B5/00 B
G02B3/08
G02B3/04
G02B17/08 A
G02B13/04 D
G02B7/02 Z
G02B13/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020177232
(22)【出願日】2020-10-22
(62)【分割の表示】P 2019214951の分割
【原出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021086150
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】519424939
【氏名又は名称】佐藤 拙
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拙
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-264854(JP,A)
【文献】特開2010-117584(JP,A)
【文献】特開2011-242504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049689(US,A1)
【文献】特開2010-258117(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107247297(CN,A)
【文献】特開2015-059959(JP,A)
【文献】特開2014-174225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 1/00 - 3/14
G02B 5/00 - 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側又は照射側から順に、光軸を中心として光軸に垂直な方向に拡がる第1レンズと光軸を中心として光軸に垂直な方向に拡がる第2レンズを有し、
前記第1レンズの像側又は被照射側に凸の錐体面が形成され、前記第2レンズの物体側又は照射側に凹の錐体面が形成され、
前記凸の錐体面と前記凹の錐体面が、空気、樹脂又は液体を含む光透過物質を介して対向し、
前記第1レンズと前記第2レンズの外周にそれぞれ反射防止部が設けられ、
前記凸の錐体面と前記凹の錐体面がフレネル面であり、
前記フレネル面は光軸に平行な面を有し、前記光軸に平行な面に反射防止部が設けられており、
下記条件式を満たし、
画角内の光線を透過し、画角外の光線を、前記凸の錐体面で反射させ、前記反射防止部で吸収する光学素子。
0 ≦|L1p+L2p-180|< 10
N1>NIA
N2>NIA
ここで、各記号の定義は以下の通りである。
L1p: 前記凸の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
L2p: 前記凹の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
N1 : 第1レンズの屈折率
N2 : 第2レンズの屈折率
NIA: 前記光透過物質の屈折率
【請求項2】
光軸に沿って物体側又は照射側から順に、光軸を中心として光軸に垂直な方向に拡がる第1レンズと光軸を中心として光軸に垂直な方向に拡がる第2レンズを有し、
前記第1レンズの像側又は被照射側に凸の錐体面が形成され、前記第2レンズの物体側又は照射側に凹の錐体面が形成され、
前記凸の錐体面と前記凹の錐体面が、空気、樹脂又は液体を含む光透過物質を介して対向し、
前記第1レンズと前記第2レンズの外周にそれぞれ反射防止部が設けられ、
前記第1レンズ及び前記第2レンズが光軸を中心として光軸方向に貫通した開口部を有し、
前記開口部の内側に反射防止部が設けられており、
下記条件式を満たし、
画角内の光線を透過し、画角外の光線を、前記凸の錐体面で反射させ、前記反射防止部で吸収する光学素子。
0 ≦|L1p+L2p-180|< 10
N1>NIA
N2>NIA
ここで、各記号の定義は以下の通りである。
L1p: 前記凸の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
L2p: 前記凹の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
N1 : 第1レンズの屈折率
N2 : 第2レンズの屈折率
NIA: 前記光透過物質の屈折率
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学素子を有する光学系。
【請求項4】
請求項3に記載の光学系を有する光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話用撮影レンズ、モバイル機器用撮影レンズ、ロボット用カメラ用レンズ、車載用レンズ、産業カメラ用レンズ、それらのレンズを使う撮像システムまたは照明光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、結像レンズの必要な画角外や照明光学系の配光角外の光線をカットするレンズフードや機器の視野角、配光角を制御するフイルタ、または光学機器の構成部品、及び、それを組み込んだ撮像装置がある。
【0003】
携帯電話(スマートフォン)などにおいては、ワイドカメラとテレカメラの二つを搭載し、画像処理によって疑似的なズームが行われている。上記テレカメラは、低背で焦点距離の長いレンズが使用される。
【0004】
このようなレンズにおいては、必要な画角外や配光角外の光線をカットし、その光線によるゴースト、フレアを防ぐため、ある程度の長さのレンズフードが必要であるが、昨今、薄さが求められる携帯電話の厚みに納まらない。
【0005】
そのため、やむなくゴースト等の対策を諦めるか、携帯電話を厚くすることが行われている。このような背景において、低背のレンズフードが求められている。
【0006】
また、車載カメラ用レンズやロボットカメラ用レンズにおいて、撮影の姿勢や強い光源により、ゴーストが問題となる事が多く、カメラシステムのコンパクト化を妨げない方法が求められている。
【0007】
さらに、照明光学系において、効率良く迷光などの余分な光線をカットする方法が求められている。
【0008】
従来、画角外の入射光線を全反射させる全反射面が、画面外の入射光線に対して凸面形状を有し、画面外の光線を全反射させることにより遮断するものがある(下記特許文献1)。
【0009】
また、従来、少なくとも1つのプリズムを有するプリズム群を光路内に配置し、画面外の入射光線を全反射により光路の外に逃がすものがある(下記特許文献2)。
【0010】
さらに、従来、エアギャップを介して互いに対向する第1のプリズムと第2のプリズムとを配置し、ファインダー観察視野外から第1のプリズムの光入射面に入射した光が、エアギャップに対向する面で全反射するように、当該面の傾斜を設定したファインダー装置がある(下記特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第5097086号公報
【文献】特開2018-84796号公報
【文献】特開2001-264854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1の発明においては、入射光線を凸状面で全反射させ、画角外の入射光線を遮光しても、光束の一部分しかカットできない。したがって、広角の一部のゴースト対策には効果があるが、明るい望遠レンズなどには対応は難しい。仮に対応させると曲面が深くなり、そのことにより収差が強く発生し、その補正が困難となる。その収差を改善すると、レンズの構成枚数が多くなり、入射光を遮断することはおろか、構成枚数が増えたことによるゴーストの対策が困難となる。つまり引用文献1においては、遮光の役割をレンズ面が担うため、レンズ面の本来の役割である収差補正がおろそかになり、設計の自由度が減り、その補正が困難になり、そのためにレンズの大型化を招く。
【0013】
上記特許文献2の発明においては、画角外の入射光線をプリズムで全反射させて遮断する効果が、プリズム1つに対し1方向であり、全方向の画角外の入射光束をカットすることはできない。仮に対応方向を増やそうとすると、対応する方向の数だけプリズムが必要になり、そのためにレンズの大型化を招く。
【0014】
上記特許文献3の発明は、ファインダー視野の輪郭が明瞭で明るく良好なるファインダー像の観察ができる薄型のファインダー装置及びそれを用いた光学機器を提供することを目的としている。撮影レンズの画面外の光線をカットして、ゴースト、フレアを防ぐものではない。特許文献3に記載の発明を撮影レンズのゴースト、フレアを防ぐ目的で使用すると、反射した先に反射防止対策が施されていないため、反射した先で乱反射し、内面反射を引き起こし、画質の劣化が生じる。
【0015】
また、主鏡、副鏡を備える反射光学系においては、フードをつけることにより、主鏡、副鏡と順番に通らず、入射側から撮像素子に到達してしまう漏れ光がある。この光線も、画質の劣化を招く。
【0016】
本発明は、従来技術の上記問題に鑑みてなされたものであって、画面外の光線を確実にカットするコンパクトな光学素子を提供する。具体的には、光学系全体の小型化を可能としながら、必要な画角外や配光角外の光線を確実にカットすることにより画面外の光線によるゴーストやフレア、漏れ光、迷光の発生を防ぎ、画質の劣化を防ぐことが可能な光学素子を提供する。また、照明光学系において、効率よく迷光などの余分な光線をカットする光学素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
光軸に沿って物体側又は照射側から順に、第1レンズと第2レンズを有し、
前記第1レンズの像側又は被照射側に凸の錐体面が形成され、前記第2レンズの物体側又は照射側に凹の錐体面が形成され、
前記凸の錐体面と前記凹の錐体面が、空気、樹脂又は液体を含む光透過物質を介して対向し、
前記第1レンズと前記第2レンズの外周にそれぞれ反射防止部が設けられ、
下記条件式を満たす光学素子とする。
0 ≦|L1p+L2p-180|< 10
N1>NIA
N2>NIA
ここで、各記号の定義は以下の通りである。
L1p: 前記凸の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
L2p: 前記凹の錐体面上の任意の点と錐体の頂点とを結ぶ線と光軸が作る硝材側の角度
N1 : 第1レンズの屈折率
N2 : 第2レンズの屈折率
NIA: 前記光透過物質の屈折率
【0018】
上記光学素子を有する光学系とする。
【0019】
上記光学系を有する光学装置とする。
【発明の効果】
【0020】
光学系全体の小型化を可能としながら、画面外の光線を確実にカットすることにより画面外の光線によるゴースト、フレア、漏れ光の発生を防ぎ、光学素子を入れることによる画質の劣化を防ぐことができる。また、照明光学系に使用した場合、効率よく迷光などの余分な光線をカットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願の実施形態に係る実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4に共通のマスターレンズの光路図である。
図2図1に示すマスターレンズにおける入射角度15度の漏れ光の光路図である。
図3】本願の実施形態に係る実施例1の光学系の構成図である。
図4図3に示す光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。
図5】本願の実施形態に係る実施例2の光学系の構成図である。
図6図5に示す光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。
図7】本願の実施形態に係る実施例3の光学系の構成図である。
図8図7に示す光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。
図9】本願の実施形態に係る実施例4の光学系の構成図である。
図10図9に示す光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。
図11】本願の実施形態に係る実施例5の光学系の構成図である。
図12図11に示す光学系の入射角度14度の画面外光線の光路図である。
図13】本願の実施形態に係る実施例6の光学系の構成図である。
図14図13に示す光学系における入射角度70の画面外光線の光路図である。
図15】本願の実施形態に係る実施例7の光学系の構成図である。
図16図15に示す光学系における入射角度70度の画面外光線の光路図である。
図17図15に示す光学系における入射角度50度の画面外光線の光路図である。
図18】本願の実施形態に係る実施例8の光学系の構成図である。
図19図18に示す光学系の光路図である。
図20図18に示す光学系における入射角度70度の画面外光線の光路図である。
図21図18に示す光学系の横収差図である。
図22図9に示す光学系を備えたテレカメラの断面図である。
図23図22に示すテレカメラとワイドカメラを備える撮像装置の断面図である。
図24図24に示すテレカメラとワイドカメラを備えるスマートフォンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施形態について説明する。
【0023】
本願の実施形態の第1の態様は、光軸に沿って物体側又は照射側から順に、第1レンズと第2レンズを有し、
前記第1レンズの像側又は被照射側に凸の錐体面又は非球面が形成され、前記第2レンズの物体側又は照射側に凹の錐体面又は非球面が形成され、
前記凸の錐体面又は非球面と前記凹の錐体面又は非球面が、空気、樹脂又は液体を含む光透過物質を介して対向し、
前記第1レンズと前記第2レンズの外周にそれぞれ反射防止部が設けられ、
下記条件式を満たす光学素子である。
(1) 0 ≦|L1p+L2p-180|< 10
(2) N1>NIA
(3) N2>NIA
ここで、各記号の定義は以下の通りである。
L1p: 光軸に対する前記凸の錐体面又は非球面の硝材側の角度
L2p: 光軸に対する前記凹の錐体面又は非球面の硝材側の角度
N1 : 第1レンズの屈折率
N2 : 第2レンズの屈折率
NIA: 前記光透過物質の屈折率
【0024】
これにより、画面外の光線を確実にカットするコンパクトな光学素子とすることができる。また、本光学素子を照明光学系の構成部品として使用することで、照明光学系の配光の制御や迷光を抑えることができる。さらに、上記光学素子は、収差の発生が少なく、設計的に取り扱いが容易である。第1レンズと第2レンズの物体側若しくは照射側又は像側若しくは被照射側には、レンズやプリズムなどの光学系を配置してもよく、第1レンズの物体側面又は照射側面と第2レンズの像側面又は被照射面は、収差を補正するために、球面や非球面とすることもできる。なお、本願において、「物体側」及び「像側」という表現は、光学素子を撮像装置に用いる場合を想定した表現であり、「照射側」及び「被照射側」という表現は、光学素子を照明装置に用いる場合を想定した表現である。
【0025】
上記条件式(1)は、第1レンズの像側面又は被照射側面と第2レンズの物体側面又は照射側面の形状を規定する式である。本実施形態の効果を確実なものとするため、条件式(1)の上限値を「2」とすることが好ましく、上限値を「1」とすることが更に好ましい。第1レンズの像側面又は被照射側面で発生した収差を第2レンズの物体側面又は照射側面で補正するためには、|L1p+L2p-180|=0に設定するのが最も好ましい。しかし、|L1p+L2p-180|=10未満であれば、光学系の別の部分で収差補正が可能である。
【0026】
上記条件式(2)は、第1レンズと第2レンズの間の光透過物質の屈折率を規定する式である。条件式(2)を満たさない場合、第1レンズの物体側面又は照射側面で画面外の光束が全反射できず、ゴースト、フレア、漏れ光として、撮像素子に入る。また、条件式(3)を満たさない場合、第2レンズの物体側面又は照射側面で屈折できないため、画面内の光束に収差が発生し、画質の劣化、最悪は撮像素子の目的のポイントに像を結ばない事になる。
【0027】
本願の実施形態の第2の態様は、光軸に沿って物体側又は照射側から順に、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、第4レンズとを有し、
前記第1レンズの像側又は被照射側に凸の錐体面又は非球面が形成され、前記第2レンズの物体側又は照射側に凹の錐体面又は非球面が形成され、前記第3レンズの像側又は被照射側に凹の錐体面又は非球面が形成され、前記第4レンズの物体側又は照射側に凸の錐体面又は非球面が形成され、
前記第1レンズと前記第2レンズ、前記第3レンズと前記第4レンズは、それぞれ、空気、樹脂又は液体を含む光透過物質を介して対向し、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズの外周にそれぞれ反射防止部が設けられ、
下記条件式を満たす光学素子である。
(4) 0 ≦|L1p+L2p-180|< 10
(5) 0 ≦|L3p+L4p-180|< 10
(6) N1>NIA
(7) N2>NIA
(8) N3>NIB
(9) N4>NIB
ここで、各記号の定義は以下の通りである。
L1p : 光軸に対する前記第1レンズの前記凸の錐体面又は非球面の硝材側の角度
L2p : 光軸に対する前記第2レンズの前記凹の錐体面又は非球面の硝材側の角度
L3p : 光軸に対する前記第3レンズの前記凹の錐体面又は非球面の硝材側の角度
L4p : 光軸に対する前記第4レンズの前記凸の錐体面又は非球面の硝材側の角度
N1 : 前記第1レンズの屈折率
N2 : 前記第2レンズの屈折率
NIA : 前記第1レンズと前記第2レンズの間の前記光透過物質の屈折率
N3 : 前記第3レンズの屈折率
N4 : 前記第4レンズの屈折率
NIB : 前記第3レンズと前記第4レンズの間の前記光透過物質の屈折率
【0028】
多くの光学系は、画面外の光束の上側光束のみカットすれば、その他の光束は反射防止処理したレンズコバに入射するため、ゴースト、フレア、漏れ光として撮像素子に入りにくい。しかし、画角の狭い望遠レンズをはじめ、下側光束まで対策が必要な光学系もある。
【0029】
上記第2の態様は、上記第1の態様の第2レンズの像側又は被照射側に、第1レンズ、第2レンズとは凹凸の順序が逆の第3レンズと第4レンズを設置することで、反射防止処理した第1レンズから第4レンズの外周部に画面外の光束を入射させて吸収し、又は、レンズの物体側又は照射側に反射させることにより、ゴースト、フレア、漏れ光として撮像素子に入るのを防ぐ。また、本光学素子を照明光学系の構成部品として使用しても、照明光学系の配光の制御や迷光を抑えることができる。
【0030】
上記条件式(4)は、第1レンズの像側面又は被照射側面と第2レンズの物体側面又は照射側面の形状を規定する式である。本実施形態の効果をより確実なものとするため、条件式(4)の上限値を「2」とすることが好ましく、上限値を「1」とすることが更に好ましい。第1レンズの像側面又は被照射側面で発生した収差を第2レンズの物体側面又は照射側面で補正するため、|L1p+L2p-180|=0であることが最も好ましい。しかし、|L1p+L2p-180|が「10」未満ならば、光学系の別の部分で収差補正が可能である。
【0031】
条件式(5)は、第3レンズの像側面又は被照射側面と第4レンズの物体側面又は照射側の形状を規定する式である。本実施形態の効果をより確実なものとするため、条件式(5)の上限値を「2」とすることが好ましく、上限値を「1」とすることが更に好ましい。第3レンズの像側面又は被照射側面で発生した収差を第4レンズの物体側面又は照射側面で補正するため、|L3p+L4p-180|=0であることが最も好ましい。しかし、|L3p+L4p-180|が「10」未満ならば、光学系の別の部分で収差補正が可能である。
【0032】
条件式(6)、(7)は、第1レンズと第2レンズの間の光透過物質の屈折率を規定する式である。条件式(6)を満たさない場合、第1レンズの像側面又は被照射側面において画面外の光束を全反射できず、ゴースト、フレア、漏れ光として、撮像素子に入る。また、条件式(7)を満たさない場合、第2レンズの像側面又は被照射側面で屈折できないため、画面内の光束に収差が発生し、画質が劣化し、最悪は撮像素子の目的のポイントに像を結ばない事になる。
【0033】
条件式(8)、(9)は、第3レンズと第4レンズの間の光透過物質の屈折率を規定する式である。条件式(8)を満たさない場合、第3レンズの像側面又は被照射側面において画面外の光束を全反射できず、ゴースト、フレア、漏れ光として、撮像素子に入る。また、条件式(9)を満たさない場合、第4レンズの像側面又は被照射側面で屈折できないため、画面内の光束に収差が発生し、画質が劣化し、最悪は撮像素子等の目的のポイントに像を結ばない事になる。
【0034】
本願の実施形態の第3の態様は、前記第2レンズと前記第3レンズが接合されている、又は、一体に形成された上記第2の態様の光学素子である。
【0035】
上記第2の態様の第2レンズと第3レンズを接合もしくは、一体に形成されたレンズとすると、側面に画面外の光束を導く部位が少なくなるが、部品点数を減らす事ができる。
【0036】
本願の実施形態の第4の態様は、前記錐体面又は非球面が非回転対称である上記第1又は2の態様の光学素子である。
【0037】
これにより、画面のパースペクティブに合わせて、遮断する角度を変えることができ、画面外の遮断すべき光束を画面ギリギリまで追い込む事ができる。
【0038】
本願の実施形態の第5の態様は、前記凸の錐体面又は非球面と前記凹の錐体面又は非球面がフレネル面であり、前記フレネル面は光軸に平行な面を有し、前記光軸に平行な面に反射防止部が設けられている上記第1から第4の態様のいずれかに係る光学素子である。
【0039】
フレネルにすることにより、本発明の光学系をさらに薄くし、容積を減らし、軽量にする事ができる。また、ゴーストの原因となる光軸と平行な面(フレネルバック)に墨塗のような光吸収の処置が施された反射防止部を持つことにより、ゴースト、フレアの発生を防ぐことができる。
【0040】
本願の実施形態の第6の態様は、光軸を中心として光軸方向に貫通した開口部を有し、前記開口部の内側に反射防止部が設けられている上記第1から第5の態様のいずれかに係る光学素子である。
【0041】
マスターレンズが、反射望遠レンズの場合、反射望遠の入射瞳がドーナツ状なので、それにつける本発明の光学素子も、中心部分は光線が通らない。そこで、レンズに、最も物体側面又は照射側面から最終面まで貫通した開口部を形成し、その開口部内側と開口部の像側又は照射側に設ける蓋に墨塗のような反射光吸収の処置が施せば、本発明の光学系をさらに薄くし、容積を減らし、軽量にする事ができる。
【0042】
本願の実施形態の第7の態様は、上記第1から第6の態様のいずれかの光学素子を有する光学系である。
【0043】
本願の実施形態の第8の態様は、上記第7の態様の光学系を有する光学装置である。
【0044】
以下、本願の実施形態に係る実施例1から実施例8について、図面を参照して説明する。なお、各実施例に関し、非球面係数を示す表においては、次式のコーニック定数及び偶数次非球面係数を示す。但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数を示す。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
【0045】
実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4は、それぞれ、画面外の光線を遮断し、ゴースト、フレア、漏れ光を防止する光学素子と、反射望遠レンズであるマスターレンズとから構成される。光学素子とマスターレンズは、接触しない距離で光軸方向に離隔して配置される。
【0046】
図1にマスターレンズの光路図を示す。マスターレンズは、光軸に沿って物体側から順に、第1レンズML1と第2レンズML2とを有する。図において、「P」は保護ガラス、「I」は像面を示す。マスターレンズは、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4において共通である。なお、本願の実施例1から8の光学系の構成図においては、図面の奥行方向をX方向、図面の上下方向をY方向、図面の左右方向(光軸方向)をZ方向とする。
【0047】
以下の表1、表2及び表3にマスターレンズのレンズデータを示す。表1、表2及び図1において「R1」から「R12」は光が進む順に光学要素の各面を示している。例えば、物体側から数えて3番目の面は「R3」により示す。図2はマスターレンズにおける入射角度15度の漏れ光の光路図である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
(実施例1)
図3に実施例1の光学系の構成図を示す。実施例1は本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例1の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、ゴースト等を防止するための光学素子と上記マスターレンズとから構成されている。ゴースト等を防止するための光学素子は、光軸に沿って物体側から順に、像側に凸面が形成された凸アキシコンレンズAL1と、物体側に凹面が形成された凹アキシコンレンズAL2とを有する。凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2の間には空気間隔が設けられている。凹アキシコンレンズAL2の外周面には反射防止部として反射防止塗装ACが施されている。
【0052】
凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2のレンズデータを以下の表4に示す。図3及び表4において、「R1」は凸アキシコンレンズAL1の物体側面を、「R2」は凸アキシコンレンズAL2の像側面を、「R3」は凹アキシコンレンズAL3の物体側面を、「R4」は凹アキシコンレンズAL4の像側面を示す。また、図3において「H」はアキシコンの高さ、「OD」は外径を示す。
【0053】
凸アキシコンレンズAL1の物体側面R1は平面を形成し、凸アキシコンレンズAL1の像側面R2は像側に凸の円錐面を形成している。凹アキシコンレンズAL2の物体側面R3は物体側に凹の円錐面を形成し、凹アキシコンレンズAL2の像側面R4は平面を形成している。
【0054】
【表4】
【0055】
図4は、実施例1の光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。実施例1の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0056】
(実施例2)
図5に実施例2の光学系の構成図を示す。実施例2は本願の実施形態の上記第2の態様に対応する。実施例2の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、ゴースト等を防止するための光学素子と上記マスターレンズとから構成されている。ゴースト等を防止するための光学素子は、光軸に沿って物体側から順に、像側に凸面が形成された凸アキシコンレンズAL1と、物体側に凹面が形成された凹アキシコンレンズAL2と、像側に凹面が形成された凹アキシコンレンズAL3と、物体側に凸面が形成された凸アキシコンレンズAL4とを有する。
【0057】
凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2の間、凹アキシコンレンズAL2と凹アキシコンレンズAL3の間、凹アキシコンレンズAL3と凸アキシコンレンズAL4の間には、それぞれ空気間隔が設けられている。
【0058】
凹アキシコンレンズAL2の外周には反射防止部として反射防止塗装AC1が施されている。同様に、凹アキシコンレンズAL3の外周には反射防止部として反射防止塗装AC2が施されている。
【0059】
アキシコンレンズAL1からAL4のレンズデータを下記表5に示す。表5において、「R1」は凸アキシコンレンズAL1の物体側面を、「R2」は凸アキシコンレンズAL1の像側面を、「R3」は凹アキシコンレンズAL2の物体側面を、「R4」は凹アキシコンレンズAL2の像側面を、「R5」は凹アキシコンレンズAL3の物体側面を、「R6」は凹アキシコンレンズAL3の像側面を、「R7」は凸アキシコンレンズAL4の物体側面を、「R8」は凸アキシコンレンズAL4の像側面を示す。
【0060】
凸アキシコンレンズAL1の物体側面R1は平面を形成し、凸アキシコンレンズAL1の像側面R2は像側に凸の円錐面を形成している。凹アキシコンレンズAL2の物体側面R3は物体側に凹の円錐面を形成し、凹アキシコンレンズAL2の像側面R4は平面を形成している。凹アキシコンレンズAL3の物体側面R5は平面を形成し、凹アキシコンレンズAL3の像側面R6は像側に凹の円錐面を形成している。凸アキシコンレンズAL4の物体側面R7は物体側に凸の円錐面を形成し、凸アキシコンレンズAL4の像側面は平面を形成している。
【0061】
【表5】
【0062】
図6は、実施例2の光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。実施例2の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0063】
(実施例3)
図7に実施例3の光学系の構成図を示す。実施例3は本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例3の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、ゴースト等を防止するための光学素子と上記マスターレンズとから構成されている。ゴースト等を防止するための光学素子は、物体側から順に、像側に凸面を向けた凸フレネルレンズFL1と、物体側に凹面を向けた凹フレネルレンズFL2とを有する。凸フレネルレンズFL1と凹フレネルレンズFL2の間には空気間隔が設けられている。凸フレネルレンズFL1と凹フレネルレンズFL2には、光軸を中心として光軸方向に貫通した開口部APが形成されている。
【0064】
凸フレネルレンズFL1と凹フレネルレンズFL2のフレネル面のうち光軸に平行な面には、反射防止部として反射防止塗装AC1、AC2、AC3がそれぞれ施されている。凸フレネルレンズFL1と凹フレネルレンズFL2に形成された開口部APの像側には蓋Cが設けられている。蓋Cにも反射防止処理が施されることが好ましい。
【0065】
凸フレネルレンズFL1と凹フレネルレンズFL2のレンズデータを下記表6及び表7に示す。表6及び表7において、「R1」は凸フレネルレンズFL1の物体側面を、「R2」は凸フレネルレンズFL1の像側面を、「R3」は凹フレネルレンズFL2の物体側面を、「R4」は凹フレネルレンズFL2の像側面を示す。図7において、「AD」は開口径を、「A1」は第1輪帯外径を、「A2」は第2輪帯外径を、「H」はフレネルの高さを示す。
【0066】
凸フレネルレンズFL1の物体側面R1は平面を形成し、凸フレネルレンズFL1の像側面R2は像側に凸のフレネル面を形成している。凹フレネルレンズFL2の物体側面R3は物体側に凹のフレネル面を形成し、凹フレネルレンズFL2の像側は平面を形成している。
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
図8は、実施例3の光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。実施例3の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0070】
(実施例4)
図9に実施例4の光学系の構成図を示す。実施例4は本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例4の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、ゴースト等を防止するための光学素子と上記マスターレンズとから構成されている。ゴースト等を防止するための光学素子は、光軸に沿って物体側から順に、像側に凸面を形成した凸アキシコンレンズAL1と、物体側に凹面を形成した凹アキシコンレンズAL2とから構成されている。凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2の間には空気間隔が設けられている。凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2には、光軸を中心として光軸方向に貫通した開口部APが形成されている。
【0071】
凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2の外周面と開口部APの内側には、反射防止部として、それぞれ、反射防止塗装AC1、AC2が施されている。凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2に形成された開口部APの像側には蓋Cが設けられている。蓋Cにも反射防止処理が施されることが好ましい。
【0072】
凸アキシコンレンズAL1と凹アキシコンレンズAL2のレンズデータを下記表8に示す。表8及び図9において、「R1」は凸アキシコンレンズAL1の物体側面を、「R2」は凸アキシコンレンズAL1の像側面を、「R3」は凹アキシコンレンズAL2の物体側面を、「R4」は凹アキシコンレンズAL2の像側面を示す。図9において、「AD」は開口径を、「OD」は外径を、「H」はアキシコンの高さを示す。
【0073】
凸アキシコンレンズAL1の物体側面R1は平面を形成し、凸アキシコンレンズAL1の像側面R2は像側に凸の円錐面を形成している。凹アキシコンレンズAL2の物体側面R3は物体側に凹の円錐面を形成し、凹アキシコンレンズAL2の像側面R4は平面を形成している。
【0074】
【表8】
【0075】
図10は実施例4の光学系における入射角度15度の画面外光線の光路図である。実施例4の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0076】
(実施例5)
図11に実施例5の光学系の構成図を示す。実施例5は本願の実施形態の上記第2の態様に対応する。実施例5の光学系は、テッサータイプの中望遠レンズを構成するレンズの一部を、画面外光線をカットする光学素子で置き換えたものである。実施例5の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL1と、凸アキシコンレンズAL2と、凹アキシコンレンズAL3と、凹アキシコンレンズAL4と、凸アキシコンレンズAL5と、絞りR11と、両凹レンズL6及び両凸レンズL7を接合してなる接合レンズとから構成されている。凸アキシコンレンズAL2、凹アキシコンレンズAL3、凹アキシコンレンズAL4、凸アキシコンレンズAL5の間には、それぞれ空気間隔が設けられている。
【0077】
アキシコンレンズAL2からAL5が画面外光線をカットする光学素子を構成する。アキシコンレンズAL2からAL5の外周面には、反射防止部として反射防止塗装ACが施されている。
【0078】
実施例5に係る光学系のレンズデータを下記表9、表10、表11に示す。表9、表10及び図11において、「R1」から「R14」は、光軸に沿って物体側から順に光学要素の各面を示す。例えば、物体側から3番目の面は「R3」により示す。
【0079】
凸アキシコンレンズAL2の物体側面R3は物体側に凹の球面を形成し、凸アキシコンレンズAL2の像側面R4は像側に凸の円錐面を形成している。凹アキシコンレンズAL3の物体側面R5は物体側に凹の円錐面を形成し、凹アキシコンレンズAL3の像側面R6は平面を形成している。凹アキシコンレンズAL4の物体側面R7は平面を形成し、凹アキシコンレンズAL4の像側面R8は像側に凹の円錐面を形成している。凸アキシコンレンズAL5の物体側面R9は物体側に凸の円錐面を形成し、凸アキシコンレンズAL5の像側面R10は像側に凹の球面を形成している。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
図12は実施例5の光学系における入射角度14度の画面外光線の光路図である。実施例5の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0084】
(実施例6)
図13に実施例6の光学系の構成図を示す。実施例6は、本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例6の光学系は、レトロフォーカスタイプの魚眼レンズを構成するレンズの一部を、画面外光線をカットする光学素子で置き換えたものである。実施例6の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1と、両凸レンズL2と、両凹レンズL3と、絞りR7と、両凸レンズL4と、視野絞りR10と、両凸レンズL5と像側に凸の負メニスカスレンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7と、赤外線カットフィルターIFと、2枚の保護ガラスP1、P2とから構成されている。両凸レンズL2と両凹レンズL3の間には空気間隔が設けられている。
【0085】
両凸レンズL2と両凹レンズL3が画面外光線をカットする光学素子を構成する。両凸レンズL2と両凹レンズL3の外周には、反射防止部として反射防止塗装ACが施されている。
【0086】
実施例6に係る光学系のレンズデータを下記表12、表13及び表14に示す。表12、表13及び図13において、「R1」から「R19」は、光軸に沿って物体側から順に光学要素の各面を示している。例えば、物体側から3番目の面は「R3」により示す。また、図13及び図14において「I」は像面を示す。
【0087】
両凸レンズL2の物体側面R3は物体側に凸の非球面を形成し、両凸レンズL2の像側面R4は像側に凸の非球面を形成している。両凹レンズL3の物体側面R5は物体側に凹の非球面を形成し、両凹レンズL3の像側面R6は像側に凹の非球面を形成している。
【0088】
【表12】
【0089】
【表13】
【0090】
【表14】
【0091】
図14は実施例6の画面外光線の入射角度70度の光路図である。実施例6の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0092】
(実施例7)
図15に実施例7の光学系の構成図を示す。実施例7は本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例7の光学系は、レトロフォーカスタイプの魚眼レンズを構成するレンズの一部を、画面外光線をカットする光学素子で置き換えたものである。実施例7の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1と、両凸レンズL2と、両凹レンズL3と、絞りR7と、両凸レンズL4と、視野絞りR10と、両凸レンズL5及び像側に凸の負メニスカスレンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7と、赤外線カットフィルターIFと、2枚の保護ガラスとから構成されている。両凸レンズL2と両凹レンズL3の間には空気間隔が設けられている。
【0093】
両凸レンズL2と両凹レンズL3が画面外光線をカットする光学素子を構成する。両凸レンズL2と両凹レンズL3の外周面には、反射防止部として反射防止塗装ACが施されている。
【0094】
実施例7に係る光学系のレンズデータを下記表15、表16及び表17に示す。表15、表16及び図15において、「R1」から「R19」は、光軸に沿って物体側から順に光学要素の各面を示している。例えば、物体側から3番目の面は「R3」により示す。また、図15図16及び図17において「I」は像面を示す。
【0095】
両凸レンズL2の物体側面R3は物体側に凸の非球面を形成し、両凸レンズL2の像側面R4は像側に凸のトーリック面(非回転対称の錐体面)を形成している。両凹レンズL3の物体側面R5は物体側に凹のトーリック面(非回転対称の錐体面)を形成し、両凹レンズL3の像側面R6は像側に凹の非球面を形成している。
【0096】
【表15】
【0097】
【表16】
【0098】
【表17】
【0099】
図16は実施例7の光学系におけるX方向の入射角度70度の画面外光線の光路図である。図17は実施例7の光学系におけるY方向の入射角度50度の画面外光線の光路図である。実施例7の光学素子により画面外光線をカットできることが分かる。
【0100】
(実施例8)
図18に実施例8の光学系の構成図を示す。実施例8は本願の実施形態の上記第1の態様に対応する。実施例8の光学系は、レトロフォーカスタイプの魚眼レンズを構成するレンズの一部を、画面外光線をカットする光学系で置き換えたものである。実施例8の光学系は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズL1と、両凸レンズL2と、両凹レンズL3と、絞りR7と、両凸レンズL4と、視野絞りR10と、両凸レンズL5と像側に凸の負メニスカスレンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7と、赤外線カットフィルターIFと、2枚の保護ガラスとから構成されている。両凸レンズL2と両凹レンズL3の間には空気間隔が設けられている。
【0101】
両凸レンズL2と両凹レンズL3が画面外光線をカットする光学素子を構成する。両凸レンズL2と両凹レンズL3の外周面には、反射防止部として反射防止塗装ACが施されている。
【0102】
実施例8に係る光学系のレンズデータを下記表18、表19及び表20に示す。表18、表19及び図18において、「R1」から「R19」は、光軸に沿って物体側から順に光学要素の各面を示している。例えば、物体側から3番目の面は「R3」により示す。また、図18図19及び図20において「I」は像面を示す。
【0103】
両凸レンズL2の物体側面R3は物体側に凸の非球面を形成し、両凸レンズL2の像側面R4は像側に凸の非球面を形成している。両凹レンズL3の物体側面R5は物体側に凹の非球面を形成し、両凹レンズL3の像側面R6は像側に凹の球面を形成している。
【0104】
【表18】
【0105】
【表19】
【0106】
【表20】
【0107】
図19は実施例8の光学系の光路図である。図20は実施例8の光学系における入射角度70度の画面外光線の光路図である。図21は実施例8の光学系の横収差図である。図21より、収差が良好に補正されていることが分かる。
【0108】
(条件式対応値)
下記表21に実施例1から実施例8に係る光学系の条件式対応値を示す。
【表21】
【0109】
図22は実施例4の光学系を備えたテレカメラTCの断面図である。結像位置に撮像素子ISを配置している。
【0110】
図23は、図21に示すテレカメラTCとワイドカメラWCを備えた撮像装置IAの断面図である。
【0111】
図24は、図22に示す撮像装置IAを備えたスマートフォンSPの斜視図である。
【0112】
以上に本願発明の実施形態を説明したが、本願の発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、画面外光線をカットするための光学素子を構成するレンズの間は、空気間隔に限らず、上記実施形態の条件式を満たす光透過物質で満たしてもよい。光透過物質としては、例えば、樹脂、液体を採用することが考えられる。
【0113】
また、反射防止部としては、反射防止塗装を用いることが好ましいが、光の反射を防ぐものであれば、反射防止塗装に限られない。例えば、反射防止部は、蒸着、エッチングなどにより構成することもできる。また、微細なモスアイ構造に高反射のメッキや蒸着を行っても良い。
【0114】
また、各実施例の特徴を組み合わせても良く、例えば、第1レンズから第4レンズまで有する光学素子において、画面外光線をカットする面をフレネル面としても良く、また、光軸を中心として光軸方向に貫通した開口部を設けても良い。
【符号の説明】
【0115】
ML1 第1レンズ
ML2 第2レンズ
L1~L7 第1レンズ~第7レンズ
I 像面
P 保護ガラス
IF 赤外線カットフィルター
R1~R19 第1面~第19面
IS 撮像素子
TC テレカメラ
WC ワイドカメラ
IA 撮像装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24