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特許6990470レナリドミド胃内滞留型徐放錠及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】レナリドミド胃内滞留型徐放錠及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20220104BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220104BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/22
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
A61P35/00
A61P37/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020555458
(86)(22)【出願日】2018-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2018108771
(87)【国際公開番号】W WO2019218576
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】201810471714.9
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518208624
【氏名又は名称】広州帝奇医薬技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 鋒
(72)【発明者】
【氏名】羅 華鋒
(72)【発明者】
【氏名】何 静瑜
(72)【発明者】
【氏名】譚 暁峰
(72)【発明者】
【氏名】頼 樹挺
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103610658(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
A61K 31/454
A61K 9/22
A61K 47/10
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/38
A61P 35/00
A61P 37/02
・DB
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3~14wt%のレナリドミドと、14~68wt%の低嵩密度の放出促進剤と、23~70wt%の低嵩密度の徐放剤と、残量の他の薬学的に許容される補剤とを含み、前記放出促進剤の嵩密度は0.24~0.52g/cmであり、前記徐放剤の嵩密度は0.29~0.51g/cmであり、
前記放出促進剤は、クロスポビドン、マイクロクリスタルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせであり、
前記徐放剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせである、ことを特徴とするレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項2】
前記徐放剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、その重量平均分子量は200000以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項3】
前記カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースの2%水溶液の粘度は3000mPa・sよりも大きい、ことを特徴とする請求項に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項4】
前記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の硬さは3~10kg/cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項5】
前記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の密度は0.755~0.991g/cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項6】
前記他の薬学的に許容される補剤は、滑剤、流動化剤を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【請求項7】
(1)原薬、補剤のそれぞれを篩に掛ける工程と、
(2)配合量の原薬と、滑剤以外のすべての補剤を、均一な混合物になるように混合する工程と、
(3)混合物に配合量の滑剤を加えて適宜に混合し、最終混合物を得る工程と、
(4)最終混合物を錠剤としてプレスする工程と、
を備える、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠の調製方法。
【請求項8】
前記錠剤硬さは3~10kg/cmであり、密度は0.755~0.991g/cmである、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に属し、具体的には、レナリドミド胃内滞留型徐放錠及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レナリドミドは、抗腫瘍免疫調節剤の1つであり、今のところ、臨床上には既に多発性骨髄腫(MM)に広く適用され、セルジーン社(Celgene)によって研究・開発されてカプセル剤型として市販されている。
【0003】
市販のレナリドミドカプセルは経口後、胃腸管に速やかに吸収され、最高血中濃度到達時間は0.5~1.5hであり、半減期は約3hである。給薬量が5~50mgである場合、最高血中濃度(Cmax)と血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、いずれも量の増加に伴って比例的に増加することができる。しかしながら、血中濃度が大幅に変動し、副作用が明らかで好中球の数及び血小板の数が顕著に低減してしまう。そのため、最大血中濃度と最小血中濃度の差分を低減し、比較的安定な血中濃度を実現し、副反応を低減するように、血中濃度の変動が小さい徐放製剤として製造する必要がある。
【0004】
経口徐放製剤とは、給薬後、比較的長い時間内に薬物を継続して放出できる製剤を意味する。徐放製剤における薬物は、適切な速度で緩やかに放出し、一般剤型の給薬による血中濃度の最大・最小現象を低減し、血中濃度を長期間に比較的安定な有効範囲内に維持させ、薬物の安全性が向上された。生物学的半減期が短い、又は、頻繁な給薬が必要である薬物を徐放製剤として製造することによって、給薬回数を低減し、薬への依頼性を改良することができる。
【0005】
特許文献1には、レナリドミド徐放剤及びその調製方法が提供され、当該発明に係るレナリドミド徐放錠によると、徐放骨格剤を利用することによって、薬物を緩やかで均一に放出し、放出速度の低減を達成し、最高血中濃度到達時間を遅延させ、レナリドミドの機能時間を延長し、均一で定常の血中濃度を与えることができる。しかしながら、一般的な徐放製剤は、胃排出と腸管運送による影響のため、人における消化管(胃、十二指腸)内の停留時間が短く、薬物の一部は、錠剤から放出する又は完全に吸収される前に、既に下部消化管に運送され、最も好ましい吸収箇所が失われるため、血中濃度時間曲線下面積(AUC)が低減し、バイオアベイラビリティが低減し、薬物による治療効果が影響される。
【0006】
胃内滞留徐放製剤は、徐放製剤の範囲内に属し、胃において一定の位置で放出する特徴を有し、胃腸管(主に胃)における薬物の放出時間を延長し、胃腸管における薬物の吸収程度を増加することができる。胃において薬物を継続に放出することによって、体液pHによる薬物放出レートへの影響が低減され、一部の薬物のバイオアベイラビリティ又は治療効果が向上された。一部の活性物質の安定性は、腸管環境pHの上昇に伴って低減し(例えば、レナリドミド、カプトプリル)、胃内滞留徐放製剤として調製される場合、活性成分が比較的低いpH環境に放出して吸収されることができ、バイオアベイラビリティが向上された。ただ一部の所で活性を発揮する薬物(例えば、L-ドパ又はリボフラビンは上部腸管に吸収ウィンドウがある)にとって、その胃における停留時間を延長することが非常に重要である。
【0007】
レナリドミドは、pH1.2の塩酸バッファでの溶解度が約18mg/mlであり、溶液媒体のpHが4.6よりも大きい場合、その溶解度は0.6mg/mlよりも小さい。レナリドミドの安定性は、溶媒のpHに関連し、pHが増加すると、その分解が激しくなる。pH1.2の溶媒に6時間経過すると濃度は変化しなく、pH4.5の溶媒に6時間経過すると濃度は6%低減し、pH6.8の溶媒に6時間経過すると濃度は16%低減した。正常な生理条件下、胃内のpH範囲は1~4の程度であり、腸管pHの範囲は5~8の程度であり、レナリドミドの胃内の安定性と溶解性は、腸管内よりも好ましいため、胃内滞留という機能を有するレナリドミド徐放錠は、一般的な徐放錠に比べると、徐放効果を保持すると共に、放出後の活性成分の安定さを更に保証し、バイオアベイラビリティを向上し、分解物により引き起こされ得る副作用を低減することができる。
【0008】
目の前に、胃内滞留製剤の滞留メカニズムは、主にバイオ接着、サイズ排除と浮遊である。その中、バイオ接着型胃内滞留徐放製剤は、その接着の無選択性のため、胃内容物に接着して胃蠕動によって胃部から排出される可能性があり、サイズ排除型胃内滞留徐放製剤は、そのサイズが大きいため、患者の飲み込みに不利で、また、胃幽門を阻塞するリスクがあり、胃蠕動の正常な機能が影響され、浮遊型胃内滞留徐放製剤は、軽質のワックス剤(漂白助剤)又はガスを生成できる炭酸塩(発泡剤)からなる。汎用の漂白助剤としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、べヘン酸グリセリル、カルナウバロウ、白蝋、水素化植物油などがあるが、これらの安定性が悪くて融点が低く、製剤の安定性に不利で、生産にも不利である。汎用の発泡剤は、塩基性を有する炭酸塩又は炭酸水素塩であり、塩基に不安定である薬物に適用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許出願公開第103610658号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術にある技術問題を解決するために、レナリドミド胃内滞留型徐放錠及びその調製方法を提供し、提供された徐放錠は胃環境において速やかに浮上でき、浮遊状態になり、胃内滞留時間が長く、胃内容物に伴って排出され難く、薬物のバイオアベイラビリティが高くて副作用が小さい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した技術目的を実現するために、3~14wt%のレナリドミドと、14~68wt%の低嵩密度の放出促進剤と、23~70wt%の低嵩密度の徐放剤と、残量の他の薬学的に許容される補剤とを含むことを特徴とするレナリドミド胃内滞留型徐放錠であり、その中、好ましくは、配合重量に占める上記放出促進剤の使用量の割合は40%~68%であり、上記放出促進剤の嵩密度は0.24~0.52g/cmであり、好ましくは、配合重量に占める上記徐放剤の使用量の割合は30%~50%であり、上記徐放剤の嵩密度は0.29~0.51g/cmである。
【0012】
その中、上記レナリドミドの結晶型は、結晶型A、結晶型B、結晶型E、結晶型F、結晶型H、結晶型I、結晶型II、結晶型IV、結晶型X、及び結晶型αを含み、好ましくは結晶型B、結晶型IV、結晶型α、結晶型I、結晶型IIであり、より好ましくは結晶型Bである。
【0013】
レナリドミドの異なる結晶型の物理的性質は、以下の通りである。
【0014】
[結晶型A]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約8、14.5、16、17.5、20.5、24及び26である箇所に特性吸収ピークがあり、融点は約270℃である。
【0015】
[結晶型B]
半水和物であり、そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約16、18、22及び27である箇所に特性吸収ピークがあり、融点は約267℃である。
【0016】
[結晶型H]
その融点は約269℃であり、DSC熱量分析グラフには、約50℃~約125℃に熱吸収があり且つ約269℃に熱吸収があるということが示され、そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約12.5、15.2、26及び31である箇所に特性吸収ピークがある。
【0017】
[結晶型E]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約20、24.5及び29である箇所に特性吸収ピークがある。
【0018】
[結晶型F]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約19、19.5及び25である箇所に特性吸収ピークがある。
【0019】
[結晶型X]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは約12.0、14.3、14.8、16.2、17.6、21.5、22.6、23.8、24.0、26.0、28.3、29.8、31.9、32.6及び33.5である箇所に回折ピークがある。
【0020】
[結晶型I]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは7.9、8.6、14.2、14.5、15.8、17.0、18.0、18.4、18.8、19.6、21.6、22.0、22.9、23.3、24.0、24.4、25.4、26.8、29.1、29.6、30.2、31.0、32.0である箇所に回折ピークがあり、融点は267~269℃である。
【0021】
[結晶型α]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは10.1、12.4、17.3、18.1、18.4、19.7、21.5、22.9、24.5、25.6、26.6、27.9、32.4である箇所に回折ピークがある。
【0022】
[結晶型II]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは12.0、12.5、13.2、13.6、15.2、15.7、17.1、18.0、18.9、19.5、19.9、25.6、28.6、29.1、30.2、30.6、31.0、31.9、34.1、34.5である箇所に回折ピークがあり、融点は267~269℃である。
【0023】
[結晶型IV]
そのX線回折グラフにおいて、度で示される2θは7.7±0.2、11.9±0.2、25.8±0.2、15.6±0.2、16.4±0.2、17.6±0.2、20.4±0.2、21.2±0.2、24.0±0.2、24.7±0.2、27.4±0.2及び29.0±0.2である箇所に回折ピークがあり、そのDSC走査において、第1の熱吸収ピークの範囲は115~142℃の間にあり、第2の熱吸収ピークの範囲は261~271℃の間にある。
【0024】
上記放出促進剤は水に不溶し、水と接触して体積膨張することによって、錠剤の体積を更に膨張させ、錠剤と胃液との接触面積を増大し、薬物の放出を促進することができ、また、錠剤の体積膨張のため、その密度が更に低減し、胃液に浮遊状態を保持し、錠剤の胃内における放出時間を延長することができる。
【0025】
具体的には、上記放出促進剤は、クロスポビドン、マイクロクリスタルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせである。好ましくは、上記放出促進剤はクロスポビドンとマイクロクリスタルセルロースの一方又はその組み合わせである。促進剤が上記クロスポビドンとマイクロクリスタルセルロースとの組み合わせである場合、クロスポビドンとマイクロクリスタルセルロースとの割合は、1:9~4:1である。上記徐放剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせである。好ましくは、上記徐放剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0026】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記徐放剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、その重量平均分子量は200000以上である。上記カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースの2%水溶液の粘度は、3000mPa・sよりも大きいことが好ましい。
【0027】
上記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の硬さは、3~10kg/cmである。好ましくは、上記レナリドミド胃内滞留型徐放錠を、硬さ5~6kg/cmの徐放錠として調製する。
【0028】
好ましくは、上記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の密度は、0.755~0.991g/cmである。
【0029】
具体的には、上記他の薬学的に許容される補剤は、滑剤、流動化剤を含む。
【0030】
上記流動化剤は、二酸化ケイ素、タルク粉などから選ばれる1つ又はその組み合わせであり、好ましくは二酸化ケイ素である。配合重量に占める流動化剤の使用量の割合は、0.6%~2.5%である。
【0031】
上記滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク粉などから選ばれる1つ又はその組み合わせであり、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。配合重量に占める滑剤の使用量の割合は0.6%~4.0%である。
【0032】
本発明は更に、上記のレナリドミド胃内滞留型徐放錠の調製方法を提出し、
(1)原薬、補剤のそれぞれを篩、好ましくは60メッシュの篩に掛ける工程と、
(2)配合量の原薬と、滑剤以外の全ての補剤を、均一な混合物になるように混合する工程と、
(3)混合物に配合量の滑剤を加えて適宜に混合し、最終混合物を得る工程と、
(4)最終混合物を錠剤としてプレスする工程と、
を含む。
【0033】
好ましくは、プレスされた錠剤の硬さは3~10kg/cmであり、密度は0.755~0.991g/cmである。
【0034】
更に、調製された錠剤は、更に常法によってコートされてもよい。
【0035】
上記コートに利用されるコート剤としては、胃溶解型オパドライが好ましく、コート液を配合する過程において、適量のレナリドミドを添加することによって、コート錠のコート層がレナリドミドを含有し、コート速放層を構成してレナリドミドの速放と徐放の効果を実現することができる。
【0036】
本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠は、錠ごとに5~30mgのレナリドミドを含み、24時間ごとに1回飲み込むようになる。
【0037】
本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠は、既に少なくとも1種の治療法を受け、5q染色体欠失があり、他の細胞遺伝学異常が存在する又は存在しない低リスク又は中度-1リスクの骨髄異形成症候群(MSD)による輸血依存性サラセミアの治療に用いられ、デキサメタゾンと連用して多発性骨髄腫(MM)の治療に用いられてもよく、1回のボルテゾミブ治療法を既に受けた2回治療後の再発と発展性マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0038】
上記のレナリドミド胃内滞留型徐放錠は従来技術に比べると、以下の利点がある。胃環境に速やかに浮上でき、浮遊状態になり、サイズが好適で飲み込みやすく、患者適性が高く、胃内滞留時間が長く、胃内容物に伴って排出され難く、融点の漂白助剤(例えばワックス剤)を含まなく、貯蔵安定性が高く、シェルフライフが長く、塩基性を有する発泡剤を含まなく、塩基に不安定である薬物に好適し、薬物のバイオアベイラビリティが高く、副作用が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
本発明において、徐放剤と放出促進剤の嵩密度の測定方法としては、100mlメスシリンダーを採取し、体積100mlの徐放剤又は放出促進剤を仕込み、当該体積100mlの徐放剤又は放出促進剤の重量を量り、100mlの徐放剤又は放出促進剤の重量を体積で除いてその嵩密度とする。
【0041】
本発明において、錠剤の密度は、JT-1200EN型多機能固体かさ密度テスター(台湾matsuhaku)を用いて測定される。
【0042】
本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠の生体外浮遊性能及び生体外放出効果は、中国薬局方2015年版四部通則〈0931〉第2法を参照して測定される。
【0043】
生体外浮遊性能の具体的な調査方法としては、溶出媒体が装入される溶出カップに徐放錠を投入してからいつに浮上できるか、また、液体においていくつかの時間で浮遊できるかを観察する。
【0044】
生体外放出度の具体的な調査条件としては、pH1.2の塩酸溶液500mlを溶出媒体とし、溶出装置の回転数は100回/分間とし、上記方法に従って操作する。所定の時点にそれぞれ溶液5mlを採取し、ろ過し、即時に操作容器に同温度の同じ溶剤5mlを補うようにする。ろ液に対して含有量を測定し、錠剤放出度を算出する。
【0045】
[実施例1]
レナリドミド 5g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 82g
マイクロクリスタルセルロース 144g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 85g
クロスポビドン 36g
二酸化ケイ素 7g
ステアリン酸マグネシウム 7g
1000錠を製造した。
【0046】
【表1】
【0047】
レナリドミドはB結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK200Mの重量平均分子量は約1200000であり、錠剤の調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは9~10kg/cmであり、錠剤の密度は0.991g/cmである。
【0048】
[実施例1の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0049】
【表2】
【0050】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約16時間である。
【0051】
[実施例2]
レナリドミド 25g
クロスポビドン 26g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 128g
二酸化ケイ素 2g
ステアリルフマル酸ナトリウム 2g
1000錠を製造した。
【0052】
【表3】
【0053】
レナリドミドはA結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK250の重量平均分子量は約200000であり、調製方法としては、上記のステアリルフマル酸ナトリウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリルフマル酸ナトリウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは3~4kg/cmであり、錠剤密度は0.755g/cmである。
【0054】
[実施例2の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0055】
【表4】
【0056】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約14時間である。
【0057】
[実施例3]
レナリドミド 15g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 25g
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム 70g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 150g
二酸化ケイ素 7g
タルク粉 11g
1000錠を製造した。
【0058】
【表5】
【0059】
レナリドミドはII結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK750の重量平均分子量は約250000であり、調製方法としては、上記のタルク粉以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてタルク粉を加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは5~6kg/cmであり、錠剤の密度は0.949g/cmである。
【0060】
[実施例3の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0061】
【表6】
【0062】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約16時間である。
【0063】
[実施例4]
レナリドミド 20g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 101g
ヒドロキシプロピルセルロース 65g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0064】
【表7】
【0065】
レナリドミドはE結晶型であり、調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは3~4kg/cmであり、錠剤密度は0.836g/cmである。
【0066】
[実施例4の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0067】
【表8】
【0068】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約16時間である。
【0069】
[実施例5]
レナリドミド 25g
マイクロクリスタルセルロース 220g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 75g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0070】
【表9】
【0071】
レナリドミドはIV結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK100Mの重量平均分子量は約1000000であり、調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは7~8kg/cmであり、錠剤の密度は0.966g/cmである。
【0072】
[実施例5の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0073】
【表10】
【0074】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約16時間である。
【0075】
[実施例6]
レナリドミド 10g
ヒドロキシエチルセルロース 50g
マイクロクリスタルセルロース 200g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 60g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0076】
【表11】
【0077】
レナリドミドはX結晶型であり、調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは6~7kg/cmであり、錠剤密度は0.977g/cmである。
【0078】
[実施例6の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0079】
【表12】
【0080】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約18時間である。
【0081】
[実施例7]
レナリドミド 20g
マイクロクリスタルセルロース 150g
ポリエチレンオキシド 50g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 70g
二酸化ケイ素 4g
ステアリン酸マグネシウム 4g
1000錠を製造した。
【0082】
【表13】
【0083】
レナリドミドはI結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4Mの重量平均分子量は約400000であり、調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは5~6kg/cmであり、錠剤の密度は0.930g/cmである。
【0084】
[実施例7の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0085】
【表14】
【0086】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約14時間である。
【0087】
[実施例8]
レナリドミド 25g
クロスポビドン 74g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 98g
二酸化ケイ素 2g
ステアリルフマル酸ナトリウム 2g
1000錠を製造した。
【0088】
【表15】
【0089】
レナリドミドはα結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK1500の重量平均分子量は約300000であり、調製方法としては、上記のステアリルフマル酸ナトリウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリルフマル酸ナトリウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは4~5kg/cmであり、錠剤の密度は0.871g/cmである。
【0090】
[実施例8の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0091】
【表16】
【0092】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約14時間である。
【0093】
[実施例9]
レナリドミド 30g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 82g
マイクロクリスタルセルロース 79g
ヒドロキシプロピルセルロース 92g
二酸化ケイ素 7g
ステアリン酸マグネシウム 7g
1000錠を製造した。
【0094】
【表17】
【0095】
レナリドミドはB結晶型であり、錠剤調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、ステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは5~6kg/cmであり、錠剤の密度は0.967g/cmである。
【0096】
[実施例9の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に24時間継続して浮遊していた。
【0097】
【表18】
【0098】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約18時間である。
【0099】
[実施例10]
レナリドミド 25g
マイクロクリスタルセルロース 26g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 68g
ヒドロキシエチルセルロース 46g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0100】
【表19】
【0101】
レナリドミドはF結晶型であり、調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは5~6kg/cmであり、錠剤の密度は0.975g/cmである。
【0102】
[実施例10の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0103】
【表20】
【0104】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約10時間である。
【0105】
[実施例11]
レナリドミド 25g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 82g
マイクロクリスタルセルロース 18g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 85g
クロスポビドン 152g
二酸化ケイ素 7g
ステアリン酸マグネシウム 7g
1000錠を製造した。
【0106】
【表21】
【0107】
レナリドミドはB結晶型であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK200Mの重量平均分子量は約1200000であり、錠剤調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さ7~8kg/cmであり、錠剤の密度は0.968g/cmである。
【0108】
[実施例11の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると速やかに浮上し、溶出媒体に少なくとも24時間継続して浮遊していた。
【0109】
【表22】
【0110】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約12時間である。
【0111】
本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠が胃内滞留という有利な効果を有することを更に明らかに説明するために、比較例としてレナリドミド一般徐放錠を調製し、一般徐放錠(実施例12)の配合は、実施例5を参照し、異なる点は、実施例5におけるマイクロクリスタルセルロースの代わりに嵩密度が比較的大きい乳糖を利用することにある(先発カプセル製剤に乳糖とマイクロクリスタルセルロースが用いられた)。一般徐放錠(実施例13)の配合は実施例8を参照し、異なる点は、実施例13における徐放剤として、代わりに嵩密度が比較的高いヒドロキシエチルセルロースを利用することにある。
【0112】
[実施例12]
[レナリドミド一般徐放錠]
レナリドミド 25g
乳糖 220g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K100M) 75g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0113】
レナリドミドはB結晶型であり、錠剤調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは7~8kg/cmであり、錠剤の密度は1.158g/cmである。
【0114】
[一般徐放錠の浮遊性能]
錠剤は、溶出カップに投入されると沈み、24時間内に浮遊現象が認められていなかった。
【0115】
【表23】
【0116】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド一般徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約18時間であるが、一般徐放錠は浮遊性能を有していなく、胃内滞留の効果に達すことはできない。
【0117】
[実施例13]
[レナリドミド一般徐放錠]
レナリドミド 25g
クロスポビドン 74g
ヒドロキシエチルセルロース 98g
二酸化ケイ素 2g
ステアリルフマル酸ナトリウム 2g
1000錠を製造した。
【0118】
【表24】
【0119】
レナリドミドはα結晶型であり、調製方法としては、上記のステアリルフマル酸ナトリウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリルフマル酸ナトリウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは4~5kg/cmであり、錠剤の密度は1.098g/cmである。
【0120】
[実施例13の胃浮遊徐放錠の浮遊性能]
錠剤、溶出カップに投入されると、24時間内には浮上が認められていない。
【0121】
【表25】
【0122】
試験の結果から明らかであるように、レナリドミド胃内滞留型徐放錠は、顕著な徐放特徴を有し、薬物の80%放出に要する時間は約20時間である。
【0123】
[レナリドミド製剤薬物動態学パラメータ比較試験]
[試験サンプル]
(1)速放カプセル:アメリカCelgene生物製薬社製のレナリドミドカプセル(レブラミド,仕様:25mg)
(2)一般徐放錠:実施例12(仕様:25mg)
(3)胃内滞留型徐放錠:実施例5(仕様:25mg)
【0124】
[試験方法]
Beagle犬18匹をランダムに3つのグループに分け、それぞれ市販のレナリドミド速放カプセル、レナリドミド一般徐放錠、及び本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠の製剤の1単位を給与した。高速液体クロマトグラフによって給薬後の異なる時点での血漿中レナリドミドの濃度を測定し、薬物動態学パラメータを算出し、以下の表に詳細に示す。
【0125】
【表26】
【0126】
結果から明らかであるように、レナリドミド速放カプセルの方より、レナリドミド胃内滞留型徐放錠はレナリドミドの最高血中濃度到達時間(Tmax)を有効に遅延させ、最高濃度(Cmax)を顕著に低減し、胃内滞留型徐放錠のバイオアベイラビリティ(AUC)は一般徐放錠よりも遥かに高い。
【0127】
本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠は、漂白助剤又は発泡剤を添加した一般胃浮遊錠よりも良い安定性を有することを更に説明するために、発泡剤添加一般胃浮遊錠と漂白助剤(ワックス剤)添加一般胃浮遊錠を調製し、レナリドミド一般胃浮遊錠と本発明に係る胃内滞留型徐放錠の加速安定性を比較して調査した。
【0128】
[実施例14]
[漂白助剤(ステアリルアルコール)添加レナリドミド一般胃浮遊錠]
レナリドミド 25g
ステアリルアルコール 90g
マイクロクリスタルセルロース 140g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K100M) 75g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0129】
レナリドミドはB結晶型であり、錠剤調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスし、錠剤の硬さは7~8kg/cmであり、錠剤の密度は0.928g/cmである。
【0130】
[実施例15]
[発泡剤(炭酸カルシウム)添加レナリドミド一般胃浮遊錠]
レナリドミド 25g
炭酸カルシウム 50g
マイクロクリスタルセルロース 172g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K100M) 75g
二酸化ケイ素 2g
ステアリン酸マグネシウム 2g
1000錠を製造した。
【0131】
レナリドミドはB結晶型であり、錠剤調製方法としては、上記のステアリン酸マグネシウム以外の原薬・補剤を量り取り、それぞれ60メッシュの篩に掛けて均一に混合し、そしてステアリン酸マグネシウムを加えて適宜に混合した後、錠としてプレスする。錠剤の硬さは7~8kg/cmであり、錠剤の密度は1.098g/cmである。
【0132】
[加速安定性試験条件]
温度40℃±2℃、相対湿度75%±5%、サンプルセットの前に0月サンプル検査を行い、サンプルセット後、1、2、3、6か月にサンプリングして検査する。
【0133】
【表27】
【0134】
【表28】
【0135】
安定性調査の結果から明らかであるように、発泡剤添加一般胃浮遊錠は加速試験過程において、含有量が顕著に低減し、関連物質が顕著に増加し、漂白助剤添加一般胃浮遊錠の含有量もが顕著に低減し、関連物質が顕著に増加したが、本発明に係る胃内滞留型徐放錠は含有量が安定してほぼ変化しなく、関連物質はわずかに増加した。本発明に係るレナリドミド胃内滞留型徐放錠の安定性は、漂白助剤又は発泡剤を添加して調製された一般胃浮遊錠よりも遥かに優れる。
【0136】
(付記)
(付記1)
3~14wt%のレナリドミドと、14~68wt%の低嵩密度の放出促進剤と、23~70wt%の低嵩密度の徐放剤と、残量の他の薬学的に許容される補剤とを含み、前記放出促進剤の嵩密度は0.24~0.52g/cmであり、前記徐放剤の嵩密度は0.29~0.51g/cmである、ことを特徴とするレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0137】
(付記2)
前記放出促進剤は、クロスポビドン、マイクロクリスタルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせである、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0138】
(付記3)
前記徐放剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムの中のいずれか1つ又は複数の組み合わせである、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0139】
(付記4)
前記徐放剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、その重量平均分子量は200000以上である、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0140】
(付記5)
前記カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースの2%水溶液の粘度は3000mPa・sよりも大きい、ことを特徴とする付記3に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0141】
(付記6)
前記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の硬さは3~10kg/cmである、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0142】
(付記7)
前記レナリドミド胃内滞留型徐放錠の密度は0.755~0.991g/cmである、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0143】
(付記8)
前記他の薬学的に許容される補剤は、滑剤、流動化剤を含む、ことを特徴とする付記1に記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠。
【0144】
(付記9)
(1)原薬、補剤のそれぞれを篩に掛ける工程と、
(2)配合量の原薬と、滑剤以外のすべての補剤を、均一な混合物になるように混合する工程と、
(3)混合物に配合量の滑剤を加えて適宜に混合し、最終混合物を得る工程と、
(4)最終混合物を錠剤としてプレスする工程と、
を備える、ことを特徴とする付記1~7のいずれか1つに記載のレナリドミド胃内滞留型徐放錠の調製方法。
【0145】
(付記10)
前記錠剤硬さは3~10kg/cmであり、密度は0.755~0.991g/cmである、ことを特徴とする付記9に記載の方法。