(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】屑管理システム及びこれに用いられる屑量通信装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220104BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
(21)【出願番号】P 2016235659
(22)【出願日】2016-12-05
【審査請求日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2016002283
(32)【優先日】2016-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501315762
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】野口 善弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘一
(72)【発明者】
【氏名】小野木 幹夫
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-042076(JP,A)
【文献】国際公開第2008/136442(WO,A1)
【文献】特開2010-287089(JP,A)
【文献】特開2002-085994(JP,A)
【文献】特開2014-178923(JP,A)
【文献】特開2005-314065(JP,A)
【文献】特開2006-212479(JP,A)
【文献】特開2009-093362(JP,A)
【文献】特開2011-070456(JP,A)
【文献】特開2006-159155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0220418(US,A1)
【文献】特開2015-156214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄すべき屑が収容可能な複数の管理対象物と、各管理対象物に収容される屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末と、前記管理対象物及び前記回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置とを備えた屑管理システムであって、
前記各管理対象物は、
廃棄すべき屑を収容する屑収容体と、
当該管理対象物を特定するための対象情報を認識する対象認識手段と、
前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能になるように別途搭載される屑量通信装置と、を有し、
前記屑量通信装置は、前記屑収容体内の屑量情報を認識する屑量認識手段と、
前記管理拠点との間で通信可能とする通信手段と、
当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記対象情報及び前記屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段と、
を含むものであり、
前記個別端末は、前記管理拠点との間で情報通信可能な通信手段と、
当該通信手段により前記管理対象物に収容された屑に対する回収作業情報を取得する取得手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記各管理対象物及び前記個別端末との間で夫々通信可能とする通信手段と、
前記各管理対象物から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて各管理対象物に収容された屑情報を収集する収集手段と、
前記収集手段にて収集された屑情報に基づいて各管理対象物に収容された屑の回収の要否を判別する判別手段と、
前記判別手段にていずれかの管理対象物が屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象物に適した回収拠点を選定する選定手段と、
前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき屑の回収作業情報を作成する作成手段と、を
有することを特徴とする屑管理システム。
【請求項2】
廃棄すべき被細断物を細断し、細断屑が収容可能な複数の管理対象物としての管理対象シュレッダと、各管理対象シュレッダに収容された細断屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末と、前記管理対象シュレッダ及び前記回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置とを備えた屑管理システムであって、
前記各管理対象シュレッダは、
廃棄すべき被細断物を細断する細断機構と、
前記細断機構にて細断された細断屑を収容する屑収容体と、
当該管理対象シュレッダを特定するための機体情報を認識する対象認識手段と、
前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能になるように別途搭載される屑量通信装置と、を有し、
前記屑量通信装置は、前記屑収容体に収容される細断屑量情報を認識する屑量認識手段と、
前記管理拠点との間で通信可能とする通信手段と、
当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記機体情報及び前記細断屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段と、
を含むものであり、
前記個別端末は、前記管理拠点との間で情報通信可能な通信手段と、
当該通信手段により前記管理対象シュレッダに収容された細断屑に対する回収作業情報を取得する取得手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記各管理対象シュレッダ及び前記個別端末との間で夫々通信可能とする通信手段と、
前記各管理対象シュレッダから送信された機体情報及び細断屑量情報に基づいて各管理対象シュレッダに収容された細断屑情報を収集する収集手段と、
前記収集手段にて収集された細断屑情報に基づいて各管理対象シュレッダに収容された細断屑の回収の要否を判別する判別手段と、
前記判別手段にていずれかの管理対象シュレッダが細断屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象シュレッダに適した回収拠点を選定する選定手段と、
前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき細断屑の回収作業情報を作成する作成手段と、を
有することを特徴とする屑管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記収集手段で収集された屑情報に基づいて回収屑の搬入先情報を決定する決定手段を有し、
前記作成手段は、前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき屑の回収作業情報として、前記管理対象物の設置場所情報、対象情報、屑量情報及び前記決定手段で決定した搬入先情報を少なくとも含む回収作業情報を作成することを特徴とする屑管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記屑量認識手段は、前記屑収容体に収容された屑の容量を光学的に検出する検出器であることを特徴とする屑管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の屑管理システムにおいて、
前記検出器は、前記屑収容体に収容された屑の満杯予定位置よりも上方に設置され、屑の表面部に対して光を照射すると共に、屑の表面部からの反射光の出力レベルにて屑量を検出するものであることを特徴とする屑管理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の屑管理システムにおいて、
前記屑量認識手段は、前記細断機構の運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段にて構成されていることを特徴とする屑管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の屑管理システムにおいて、
前記運転状況認識手段は、前記管理対象シュレッダの前記細断機構による累積細断時間及び前記細断機構の駆動負荷を計測し、前記細断屑情報として細断屑量を収集可能とすることを特徴とする屑管理システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記個別端末は、前記取得手段にて取得した屑に対する回収作業情報に基づいて対応する管理対象物に収容された屑の回収作業が完了したときに、前記管理装置に対して回収完了を通知する通知手段を有することを特徴とする屑管理システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記収集手段にて収集された屑情報が前記屑の回収作業情報として使用された後、前記収集手段にて収集された対応する管理対象物の屑情報をリセットすることを特徴とする屑管理システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記個別端末はGPS機能を搭載しており、
前記選定手段は、前記GPS機能を利用することで、回収先である管理対象物の近くに位置する一若しくは複数の回収拠点を選定候補とするものであることを特徴とする屑管理システム。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の屑管理システムにおいて、
前記管理装置の判別手段は、各管理対象物のユーザからの屑の回収作業要請を例外的なトリガとし、屑の回収が必要であると判別するものであることを特徴とする屑管理システム。
【請求項12】
請求項2に記載の屑管理システムにおいて、
前記廃棄すべき被細断物が書類の素性要約であるメタデータが書き込まれた重要書類であり、
前記各管理対象シュレッダは、前記重要書類である被細断物を細断するときに当該被細断物のメタデータが読取り可能な読取手段、及び、各種情報を記録するメモリを有し、前記メモリには細断廃棄された重要書類として少なくともメタデータを廃棄情報として記録することを特徴とする屑管理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の屑管理システムにおいて、
更に、前記管理対象シュレッダは、被細断物を廃棄作業する担当者を特定する担当者特定器を有し、
前記メモリには細断廃棄された前記重要書類としての被細断物に対しては、担当者特定器にて特定された担当者と、前記対象認識手段にて認識された機体情報の全部又は一部とを前記メタデータと共に廃棄情報として記録することを特徴とする屑管理システム。
【請求項14】
請求項12に記載の屑管理システムにおいて、
前記管理対象シュレッダは、前記重要書類を細断廃棄したときには、前記通信手段を用いて前記メモリに記録したメタデータを含む廃棄情報を前記管理装置側に送信することを特徴とする屑管理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の屑管理システムにおいて、
前記重要書類が作成された書類作成元は前記管理装置との間で通信可能な通信手段、及び、前記重要書類に関する各種情報が記録されるメモリを有しており、
前記管理装置は、前記重要書類を細断廃棄したときに、前記管理対象シュレッダから送信された前記重要書類のメタデータを含む廃棄情報を受け取ると共に、前記書類作成元に対して前記メタデータを含む廃棄情報を送信し、前記メモリに当該廃棄情報を記録することを特徴とする屑管理システム。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の屑管理システムに用いられる屑量通信装置であって、
前記管理対象物
又は前記管理対象シュレッダに別途搭載され、
前記屑収容体内の屑量情報を認識する前記屑量認識手段と、
前記管理拠点との間で通信可能とする前記通信手段と、
当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記対象情報及び前記屑量情報が送信可能になるように制御する前記通信制御手段と、を含み、前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能であることを特徴とする屑量通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄すべき屑(例えばシュレッダの細断屑や廃棄書類等)を管理する屑管理システムに係り、特に、廃棄すべき屑を効率良く回収することを企図した屑管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、廃棄すべき屑を管理する屑管理システムとして、シュレッダを例に挙げると、例えば特許文献1~4に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、文書細断機によって細断された古紙を離解するパルパーと、該離解された再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機とからなり、抄紙機のドライヤーパート部を改善した文書細断屑用古紙再生装置が開示されている。
特許文献2には、書類IDに関連付けて印刷物の出力状態および廃棄状態を管理する文書管理サーバと、書類IDが付された印刷物を出力するプリンタ、電子黒板、MFPと、印刷物を廃棄処理するネットワークシュレッダであって、書類IDを読み取る読取手段と、この読取手段により読み取った書類IDが付された印刷物が廃棄されたことを文書管理サーバに通知する廃棄通知手段とを備えたネットワークシュレッダとを有するシステムが開示されている。
特許文献3には、シュレッダー管理システムは、シュレッダーと、このシュレッダーとネットワークを介して接続されている端末とを有し、シュレッダーは、個人情報読取部と、書類投入口と、コントローラとを有し、プログラムROMに格納された各部などへ送信するための各種制御指令(コマンド)等がプログラム(認証プログラム、利用許可プログラム、履歴情報生成プログラム、利用不可履歴情報生成プログラム等)を実行できるものであり、端末では、操作入力部の操作により、プログラムROMに格納された履歴情報確認プログラム、利用不可履歴情報確認プログラムを実行できるようになっている。
特許文献4には以下のような文書廃棄管理システムが開示されている。つまり、シュレッダは、文書を裁断する前に、文書をスキャンして文書の画像データを生成し、記録する。そして、文書を裁断する。また、画像データに含まれる文書の識別情報を抽出し、抽出した識別情報を解析し、文書の有効期限を得る。その後、文書の有効期限が経過すると、シュレッダは、記録している文書の画像データを削除する。文書の作成者は、文書の画像データがシュレッダに記録されている間は、PCを利用して、当該画像データにアクセスすることを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-169710号公報(発明を実施するための最良の形態,
図1)
【文献】特開2007-004431号公報(実施の形態,
図1)
【文献】特開2009-098708号公報(発明を実施するための最良の形態,
図3)
【文献】特開2011-097157号公報(発明を実施するための形態,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、廃棄すべき屑の回収作業を容易に管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、廃棄すべき屑が収容可能な複数の管理対象物と、各管理対象物に収容される屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末と、前記管理対象物及び前記回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置とを備えた屑管理システムであって、前記各管理対象物は、廃棄すべき屑を収容する屑収容体と、当該管理対象物を特定するための対象情報を認識する対象認識手段と、前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能になるように別途搭載される屑量通信装置と、を有し、前記屑量通信装置は、前記屑収容体内の屑量情報を認識する屑量認識手段と、前記管理拠点との間で通信可能とする通信手段と、当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記対象情報及び前記屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段と、を含むものであり、前記個別端末は、前記管理拠点との間で情報通信可能な通信手段と、当該通信手段により前記管理対象物に収容された屑に対する回収作業情報を取得する取得手段と、を有し、前記管理装置は、前記各管理対象物及び前記個別端末との間で夫々通信可能とする通信手段と、前記各管理対象物から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて各管理対象物に収容された屑情報を収集する収集手段と、前記収集手段にて収集された屑情報に基づいて各管理対象物に収容された屑の回収の要否を判別する判別手段と、前記判別手段にていずれかの管理対象物が屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象物に適した回収拠点を選定する選定手段と、前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき屑の回収作業情報を作成する作成手段と、を有することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第2の技術的特徴は、廃棄すべき被細断物を細断し、細断屑が収容可能な複数の管理対象物としての管理対象シュレッダと、各管理対象シュレッダに収容された細断屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末と、前記管理対象シュレッダ及び前記回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置とを備えた屑管理システムであって、前記各管理対象シュレッダは、廃棄すべき被細断物を細断する細断機構と、前記細断機構にて細断された細断屑を収容する屑収容体と、当該管理対象シュレッダを特定するための機体情報を認識する対象認識手段と、前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能になるように別途搭載される屑量通信装置と、を有し、前記屑量通信装置は、前記屑収容体に収容される細断屑量情報を認識する屑量認識手段と、前記管理拠点との間で通信可能とする通信手段と、当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記機体情報及び前記細断屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段と、を含むものであり、前記個別端末は、前記管理拠点との間で情報通信可能な通信手段と、当該通信手段により前記管理対象シュレッダに収容された細断屑に対する回収作業情報を取得する取得手段と、を有し、前記管理装置は、前記各管理対象シュレッダ及び前記個別端末との間で夫々通信可能とする通信手段と、前記各管理対象シュレッダから送信された機体情報及び細断屑量情報に基づいて各管理対象シュレッダに収容された細断屑情報を収集する収集手段と、前記収集手段にて収集された細断屑情報に基づいて各管理対象シュレッダに収容された細断屑の回収の要否を判別する判別手段と、前記判別手段にていずれかの管理対象シュレッダが細断屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象シュレッダに適した回収拠点を選定する選定手段と、前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき細断屑の回収作業情報を作成する作成手段と、を有することを特徴とする屑管理システムである。
【0006】
本発明の第3の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記管理装置は、前記収集手段で収集された屑情報に基づいて回収屑の搬入先情報を決定する決定手段を有し、前記作成手段は、前記選定手段にて選定された回収拠点に設けられた個別端末に対して送信すべき屑の回収作業情報として、前記管理対象物の設置場所情報、対象情報、屑量情報及び前記決定手段で決定した搬入先情報を少なくとも含む回収作業情報を作成することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第4の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記屑量認識手段は、前記屑収容体に収容された屑の容量を光学的に検出する検出器であることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記検出器は、前記屑収容体に収容された屑の満杯予定位置よりも上方に設置され、屑の表面部に対して光を照射すると共に、屑の表面部からの反射光の出力レベルにて屑量を検出するものであることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第6の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記屑量認識手段は、前記細断機構の運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段にて構成されていることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第7の技術的特徴は、第6の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記運転状況認識手段は、前記管理対象シュレッダの前記細断機構による累積細断時間及び前記細断機構の駆動負荷を計測し、前記細断屑情報として細断屑量を収集可能とすることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第8の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記個別端末は、前記取得手段にて取得した屑に対する回収作業情報に基づいて対応する管理対象物に収容された屑の回収作業が完了したときに、前記管理装置に対して回収完了を通知する通知手段を有することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第9の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記管理装置は、前記収集手段にて収集された屑情報が前記屑の回収作業情報として使用された後、前記収集手段にて収集された対応する管理対象物の屑情報をリセットすることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第10の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記個別端末はGPS機能を搭載しており、前記選定手段は、前記GPS機能を利用することで、回収先である管理対象物の近くに位置する一若しくは複数の回収拠点を選定候補とするものであることを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第11の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記管理装置の判別手段は、各管理対象物のユーザからの屑の回収作業要請を例外的なトリガとし、屑の回収が必要であると判別するものであることを特徴とする屑管理システムである。
【0007】
本発明の第12の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記廃棄すべき被細断物が書類の素性要約であるメタデータが書き込まれた重要書類であり、前記各管理対象シュレッダは、前記重要書類である被細断物を細断するときに当該被細断物のメタデータが読取り可能な読取手段、及び、各種情報を記録するメモリを有し、前記メモリには細断廃棄された重要書類として少なくともメタデータを廃棄情報として記録することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第13の技術的特徴は、第12の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、更に、前記管理対象シュレッダは、被細断物を廃棄作業する担当者を特定する担当者特定器を有し、前記メモリには細断廃棄された前記重要書類としての被細断物に対しては、担当者特定器にて特定された担当者と、前記対象認識手段にて認識された機体情報の全部又は一部とを前記メタデータと共に廃棄情報として記録することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第14の技術的特徴は、第12の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記管理対象シュレッダは、前記重要書類を細断廃棄したときには、前記通信手段を用いて前記メモリに記録したメタデータを含む廃棄情報を前記管理装置側に送信することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第15の技術的特徴は、第14の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記重要書類が作成された書類作成元は前記管理装置との間で通信可能な通信手段、及び、前記重要書類に関する各種情報が記録されるメモリを有しており、前記管理装置は、前記重要書類を細断廃棄したときに、前記管理対象シュレッダから送信された前記重要書類のメタデータを含む廃棄情報を受け取ると共に、前記書類作成元に対して前記メタデータを含む廃棄情報を送信し、前記メモリに当該廃棄情報を記録することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第16の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた屑管理システムに用いられる屑量通信装置であって、前記管理対象物又は前記管理対象シュレッダに別途搭載され、前記屑収容体内の屑量情報を認識する前記屑量認識手段と、前記管理拠点との間で通信可能とする前記通信手段と、当該通信手段を用いて前記管理拠点に対し前記対象情報及び前記屑量情報が送信可能になるように制御する前記通信制御手段と、を含み、前記屑収容体に収容される屑量情報が前記管理装置との間で通信可能であることを特徴とする屑量通信装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の技術的特徴によれば、既存の管理対象物に屑量通信装置を搭載するだけで、廃棄すべき屑の回収作業を容易に管理することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、既存の管理対象シュレッダに屑量通信装置を搭載するだけで、シュレッダにて廃棄すべき被細断物の細断屑の回収作業を容易に管理することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、廃棄すべき屑の回収作業を、回収した屑の搬入先も含めて容易に管理することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、簡易な構成で、屑収容体に収容される屑量を認識することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、簡易な構成で、屑収容体に収容される屑量の経時変化を認識することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、シュレッダの運転状況を利用することで、シュレッダにて廃棄すべき被細断物の細断屑の回収作業を容易に管理することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、複数枚単位の被細断物を同時に細断する態様であっても、細断屑情報としての細断屑量を正確に割り出すことができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、本構成を有さない態様に比べて、屑の回収作業の進捗状況をリアルタイムで管理することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、各管理対象物に収容された屑の回収作業を繰り返し実行することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、各管理対象物の所在地に対して最適な回収拠点を容易に選定することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、屑管理を管理拠点側に任せるほか、各管理対象物のユーザ側からの屑の回収作業要請にも応えることができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、管理対象シュレッダによって廃棄される被細断物のうち重要書類については、細断廃棄された被細断物のメタデータを含む廃棄情報を廃棄記録として管理対象シュレッダ側に残すことができる。
本発明の第13の技術的特徴によれば、管理対象シュレッダによって廃棄される被細断物のうち重要書類については、細断廃棄された被細断物のメタデータ以外に廃棄担当者、廃棄処理したシュレッダ情報を含む廃棄情報を廃棄記録として管理対象シュレッダ側に残すことができる。
本発明の第14の技術的特徴によれば、管理対象シュレッダによって廃棄される被細断物のうち重要書類については、細断廃棄された被細断物のメタデータを含む廃棄情報を廃棄記録として管理対象シュレッダ及び管理装置の両方で残すことができる。
本発明の第15の技術的特徴によれば、管理対象シュレッダによって廃棄される被細断物のうち重要書類については、細断廃棄された被細断物のメタデータを含む廃棄情報を廃棄記録として管理対象シュレッダ、管理装置及び書類作成元で残すことができる。
本発明の第16の技術的特徴によれば、既存の管理対象物に搭載するだけで、廃棄すべき屑の回収作業を管理する屑管理システムを容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明が適用された屑管理システムの実施の形態の概要を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図3】(a)は実施の形態1で用いられるシュレッダの構成を示す説明図、(b)は(a)に示すシュレッダの駆動伝達系を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1で用いられるシュレッダの制御系を示す説明図である。
【
図5】(a)は実施の形態1に係るシュレッダの細断枚数と駆動電流との関係を示す説明図、(b)は同シュレッダの累積細断量と駆動電流との関係を示す説明図である。
【
図6】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑回収システムにおける管理者側の管理装置の一例を示す説明図である。
【
図7】(a)は実施の形態1で用いられるシュレッダ送信情報の一例を示す説明図、(b)は管理用サーバに保存されている顧客データベースの一例を示す説明図である。
【
図8】実施の形態1で用いられるシュレッダの通信制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態1で用いられる管理装置のシュレッダ管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおけるシュレッダの累積細断量とシュレッダ管理処理との関係を示す説明図である。
【
図11】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける細断屑の回収処理例を模式的に示す説明図である。
【
図12】比較の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける細断屑の回収処理例を模式的に示す説明図である。
【
図13】実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図14】実施の形態2で用いられるシュレッダに追加した構成を示す説明図である。
【
図15】実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける廃棄情報記録処理を示すフローチャートである。
【
図16】(a)は重要書類を細断廃棄する場合の
図15に示す廃棄情報記録処理を示す説明図、(b)は重要書類以外の被細断物を細断廃棄する場合の
図15に示す廃棄情報記録処理を示す説明図である。
【
図17】実施の形態3に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図18】(a)は実施の形態3で用いられる屑量通信装置の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す屑量通信装置の構成例を示す説明図である。
【
図19】(a)は光学式センサによる屑量の検出原理を示す説明図、(b)は光学式センサの出力変化を示す模式図、(c)は光学式センサ出力に基づく屑量サンプリング例を示す説明図である。
【
図20】(a)は外部電源の場合における屑量レベルの判定処理例を示すフローチャート、(b)は内部電源(バッテリー)の場合における屑量レベルの判定処理例を示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態4に係る屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された屑管理システムの実施の形態の概要を示す。
同図において、屑管理システムは、廃棄すべき屑が収容可能な複数の管理対象物1(本例では1a~1c)と、各管理対象物1に収容される屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末10と、管理対象物1及び回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置20とを備え、各管理対象物1は、廃棄すべき屑を収容する屑収容体(図示せず)と、管理対象物1を特定するための対象情報を認識する対象認識手段3と、屑収容体内の屑量情報を認識する屑量認識手段4と、管理拠点との間で通信可能とする通信手段5と、当該通信手段5を用いて管理拠点に対し対象情報及び屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段6と、を有し、個別端末10は、管理拠点との間で情報通信可能な通信手段11と、当該通信手段11により管理対象物1に収容された屑に対する回収作業情報を取得する取得手段12と、を有し、管理装置20は、各管理対象物1及び個別端末10との間で夫々通信可能とする通信手段21と、各管理対象物1から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて各管理対象物1に収容された屑情報を収集する収集手段22と、収集手段22にて収集された屑情報に基づいて各管理対象物1に収容された細断屑の回収の要否を判別する判別手段23と、判別手段23にていずれかの管理対象物1が屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象物1に適した回収拠点を選定する選定手段24と、選定手段24にて選定された回収拠点に設けられた個別端末10に対して送信すべき屑の回収作業情報を作成する作成手段25と、を有するものである。
尚、
図1中、Xはネットワークを示す。
【0011】
このような技術的手段において、屑管理システムは、管理対象物1としては例えば管理対象シュレッダが挙げられるが、これに限られるものではなく、回収ボックスやダストボックス等広く含むものであり、更には、複数台のシュレッダ等の集合体を管理対象物1として扱ってもよい。また、廃棄対象は、シュレッダの細断屑に限られず、廃棄すべき書類等を広く含む。
ここで、屑管理システムの基本的構成要素は、管理対象物1、個別端末10及び管理装置20を有し、管理対象物1は、図示外の屑収容体、対象認識手段3、屑量認識手段4、通信手段5及び通信制御手段6を有する。
本例では、屑収容体は屑を収容する屑受け、屑入れを広く含み、その形態も箱状、袋状を問わず、また、管理対象物1内に設置されるものに限られず、管理対象物1そのものである態様でもよい。
また、対象認識手段3は管理対象物1を特定するための対象情報(管理対象物1に付された管理番号など)を認識するものであればよい。
更に、屑量認識手段4は屑の容量や重量を認識するものであれば各種検出器や測定器を広く含む。
更にまた、個別端末10は回収拠点毎に設けられるものであって、管理拠点との間で直接的に通信してもよいし、中間サーバを介して間接的に通信するものでもよい。本例では回収拠点は移動型、固定型のいずれもあり、移動型回収拠点は例えば回収作業者Wが携帯型の個別端末10を持つ場合を想定し、また、固定型回収拠点は据え置き型の個別端末10を想定し、当該回収拠点に所属する回収作業者Wに対して指示するようにしたものである。
また、取得手段12は、屑に対する回収作業情報(回収すべき管理対象物1、回収すべき屑量、回収した屑の搬入先など)を取得するものであればよく、回収作業者Wはこの回収作業情報に従って作業すればよい。
【0012】
また、管理装置20は、各管理対象物1及び各個別端末10との間で通信可能であることを要し、更に、収集手段22、判別手段23、選定手段24、作成手段25を備えていればよい。
ここで、収集手段22は管理対象物1から送信されてきた対象情報と屑量情報から、屑情報を収集するものであればよい。
また、判別手段23は収集手段22からの屑情報に基づいて管理対象物1に収容された屑を回収する必要があるか否かを判別すればよく、回収の要否判別の基準はユーザ毎に適宜選定して差し支えない。
更に、選定手段24は、判別手段23にて屑の回収が必要であると判別された管理対象物1の設置場所まで回収作業者Wが出向く必要があるため、回収作業者Wが管理対象物1に至るまでの時間を考慮して、時間効率の良い観点から、回収作業者Wが属する回収拠点を選定することが好ましい。
更にまた、作成手段25は回収作業者Wに指示するために屑の回収作業情報を作成するものであればよく、回収作業者Wが管理対象物1のユーザの所在地に出向いて屑の回収作業を実施する上で必要な情報を少なくとも作成するようにしておけばよい。
【0013】
ここで、屑管理システムを管理対象物1としての管理対象シュレッダに適用した態様を例示すると、以下のようである。
つまり、シュレッダの細断屑管理システムは、廃棄すべき被細断物Sを細断し、細断屑が収容可能な複数の管理対象シュレッダ1(本例では1a~1c)と、各管理対象シュレッダ1に収容された細断屑を回収する回収拠点に個別に設けられる個別端末10と、管理対象シュレッダ1及び回収拠点を管理する管理拠点に設けられる管理装置20とを備え、各管理対象シュレッダ1は、廃棄すべき被細断物Sを細断する細断機構2と、細断機構2にて細断された細断屑を収容する屑収容体(図示せず)と、当該管理対象シュレッダ1を特定するための機体情報を認識する対象認識手段3と、屑収容体に収容される細断屑量情報を認識する屑量認識手段4と、管理拠点との間で通信可能とする通信手段5と、当該通信手段5を用いて管理拠点に対し機体情報及び細断屑量情報が送信可能になるように制御する通信制御手段6と、を有し、個別端末10は、管理拠点との間で情報通信可能な通信手段11と、当該通信手段11により管理対象シュレッダ1に収容された細断屑に対する回収作業情報を取得する取得手段12と、を有し、管理装置20は、各管理対象シュレッダ1及び個別端末10との間で夫々通信可能とする通信手段21と、各管理対象シュレッダ1から送信された機体情報及び細断屑量情報に基づいて各管理対象シュレッダ1から生成される細断屑情報を収集する収集手段22と、収集手段22にて収集された細断屑情報に基づいて各管理対象シュレッダ1に収容された細断屑の回収の要否を判別する判別手段23と、判別手段23にていずれかの管理対象シュレッダ1が細断屑を回収する必要があると判別された条件では、当該管理対象シュレッダ1に適した回収拠点を選定する選定手段24と、選定手段24にて選定された回収拠点に設けられた個別端末10に対して送信すべき細断屑の回収作業情報を作成する作成手段25と、を有するものである。
【0014】
この種のシュレッダの細断屑管理システムにおいては、管理装置20との間で通信可能であり、管理拠点にて管理対象シュレッダ1に収容された細断屑情報(細断サイズ、細断屑量など)が収集可能となるように、少なくとも機体情報及び細断屑量情報を提供するようにすればよい。
また、対象認識手段3は、機体情報として機種名、製造番号など細断性能を把握可能な情報を認識するものであればよい。機体情報は例えばメモリ8内に読出し可能に書き込まれている。
更に、屑量認識手段4としては、屑収容体に収容される細断屑量を認識するものであれば、細断屑量を直接的に計測可能な検出器や測定器を用いる態様でもよいし、あるいは、細断屑量を間接的に計測可能な態様(例えば細断機構の運転状況から細断屑量を割り出す態様)でもよい。
【0015】
次に、本実施の形態に係る屑管理システムの代表的な態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、管理対象物1の好ましい態様としては、屑収容体に収容される屑量情報が管理装置20との間で通信可能な屑量通信装置16を搭載し、当該屑量通信装置16が、管理対象物1の屑量認識手段4、通信手段5及び通信制御手段6を含むものが挙げられる。本例は、管理対象物1に屑量通信装置16を外付けし、管理対象物1の屑収容体に収容される屑量を屑管理システムにおいて通信可能としたものである。
また、屑量認識手段4の代表的態様としては、屑収容体に収容された屑の容量を光学的に検出する検出器である態様が挙げられる。本例は、屑収容体に収容される屑の容量を光学的に検出するもので、重量の嵩む屑についても簡易な構成で対応可能な態様である。ここで、検出器としてはフォトカプラを始め適宜選定して差し支えなく、少なくとも屑の満杯状態が検出可能であればよく、検出器の数については一つに限らず複数用いるようにしてもよい。
更に、屑量認識手段4として光学式検出器を採用する場合の好ましい態様としては、屑収容体に収容された屑の満杯予定位置よりも上方に設置され、屑の表面部に対して光を照射すると共に、屑の表面部からの反射光の出力レベルにて屑量を検出するものが挙げられる。本例は、光学式検出器と屑の表面部との距離に応じて光学式検出器の出力レベルを変化させることで、屑量の経時変化を連続的又は定期的に把握することが可能である。
【0016】
また、シュレッダの細断屑管理システムの屑量認識手段4の代表的態様としては、細断機構2の運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段にて構成されている態様が挙げられる。ここでいう運転状況認識手段は、運転状況としては細断屑情報を収集する上で必要な情報、例えば累積細断時間(通常細断時間+過負荷細断時間)などを認識するものであればよい。本例では、収集手段22は管理対象シュレッダ1から送信されてきた機体情報と運転状況から、細断屑情報を収集するものであればよく、例えば機体情報から細断サイズを、運転状況から累積細断時間を収集し、両者から生成された細断屑量を収集するようにすればよい。
特に、運転状況認識手段の好ましい態様としては、管理対象シュレッダ1の細断機構2による累積細断時間及び細断機構2の駆動負荷を計測し、細断屑情報として細断屑量を収集可能とする態様が挙げられる。本例のように、複数枚単位の被細断物Sを同時に細断する態様においては、累積細断時間に加えて細断機構2の細断負荷を考慮することで、累積細断量を正確に割り出すことが可能である。ここで、細断機構2の細断負荷を計測するには、例えば細断機構2の駆動源の駆動電流をモニタしておき、駆動電流の変化に応じて細断負荷が通常負荷であるか高負荷であるかを判断したり、あるいは、被細断物Sの厚さを検出することで細断負荷の程度を判断するようにしてもよい。
【0017】
また、個別端末10の好ましい態様としては、取得手段12にて取得した屑に対する回収作業情報に基づいて対応する管理対象物1に収容された屑の回収作業が完了したときに、管理装置20に対して回収完了を通知する通知手段(図示せず)を有する態様が挙げられる。このような通知手段を備えることにより、管理装置20は回収作業者Wによる作業状況の進捗を把握することが可能である。
更に、管理装置20の好ましい態様としては、収集手段22にて収集された屑情報が屑の回収作業情報として使用された後、収集手段22にて収集された対応する管理対象物1の屑情報をリセットする態様が挙げられる。本例では、収集手段22で収集された屑情報は、屑の回収作業のために使用された後にリセットされた後、次のサイクルに移行する。これにより、屑の回収作業が適切な屑情報に基づいて無駄なく行われる。
また、選定手段24の好ましい態様としては、個別端末10はGPS機能を搭載しており、選定手段24は、GPS機能を利用することで、回収先である管理対象物1の近くに位置する一若しくは複数の回収拠点を選定候補とするものが挙げられる。本例では、選定手段24は、個別端末10(移動型、固定型のいずれをも含む)のGPS機能を利用し、個別端末10の位置から回収拠点の現在位置を把握し、回収先である管理対象物1に近い一若しくは複数の回収拠点を選定候補とするものである。
また更に、ユーザからの屑の回収作業要請にも対応可能なシステムとしては、管理装置20の判別手段23は、各管理対象シュレッダ1のユーザからの屑の回収作業要請を例外的なトリガとし、屑の回収が必要であると判別するものである。このため、本例は、管理拠点側の判別に限られず、各管理対象物1のユーザ側からの屑の回収作業要請にも対応することができるため、ユーザにとっては好都合である。
【0018】
また、シュレッダの細断屑管理システムにおいて、重要書類の廃棄に適したシステムとしては、廃棄すべき被細断物Sが書類の素性要約であるメタデータが書き込まれた重要書類であり、各管理対象シュレッダ1は、重要書類である被細断物Sを細断するときに当該被細断物Sのメタデータが読取り可能な読取手段7、及び、各種情報を記録するメモリ8を有し、メモリ8には細断廃棄された重要書類として少なくともメタデータを廃棄情報として記録する態様が挙げられる。
近年施行されたマイナンバー制度では、マイナンバー書類を細断するとき、単に廃棄削除するだけでは事足りず、当該書類を細断廃棄したという記録を残す必要がある(内閣府ガイドライン)。ここで、廃棄削除に関する内容としては、廃棄した特定個人情報の書類名称、部数、担当者名、廃棄手段等を記録することが挙げられる。
【0019】
そこで、この種の重要書類にはメタデータ(タイトル、枚数等の書類の素性要約)を予め、あるいは、別途書込み、管理対象シュレッダ1にて細断廃棄する際にスキャナ等の読取手段7にてメタデータを読取り、これを記録として残すようにすればよい。
そして、メタデータを予め書き込む方法としては、プリンタやコピー機で印刷、コピーする際にメタデータも他の情報と一緒に印刷、コピーするようにすればよい。この場合、メタデータとしては、書類上に目視可能に作成してもよいし、また、書類上では目視し難いように形成してもよいが、いずれの場合でも、管理対象シュレッダ1の読取手段7にはメタデータを読み取ることは可能である。但し、廃棄した記録内容にはマイナンバーを記載したり、転記したりしないように留意することが必要である。
記録したメタデータの取扱いについては、ユーザが管理対象シュレッダ1の読取手段7で読み取るので、ユーザ側で保管することは可能であるが、これに限られるものではなく、管理対象シュレッダ1のみならず、管理装置20側でも管理するようにしてもよいし、更には、管理装置20での管理対象シュレッダ1に、書類作成元15のプリンタやコピー機を加え、書類作成元15に廃棄したメタデータを送信し、書類作成元15で廃棄処分されたものとして管理するようにしてもよい。
【0020】
また、重要書類の廃棄に適したシステムの別の態様としては、更に、管理対象シュレッダ1は、被細断物Sを廃棄作業する担当者を特定する担当者特定器9を有し、メモリ8には細断廃棄された重要書類としての被細断物Sに対しては、担当者特定器9にて特定された担当者と、対象認識手段3にて認識された機体情報の全部又は一部とをメタデータと共に廃棄情報として記録するものが挙げられる。
本例は、重要書類を細断廃棄するに当たって、当該重要書類のメタデータに加えて、廃棄処理を担当した担当者、及び、管理対象シュレッダ1の機体情報の全部又は一部を記録として残す。ここで、担当者特定器9としては、入退室カード、身分証明書、指紋認証、顔認証あるいは個人ID番号入力等で担当者を特定できるものを広く含む。
更に、重要書類の廃棄に適したシステムの他の態様としては、管理対象シュレッダ1は、重要書類を細断廃棄したときには、通信手段5を用いてメモリ8に記録したメタデータを含む廃棄情報を管理装置20側に送信することが挙げられる。
本例は、重要書類を細断廃棄するときに、管理対象シュレッダ1及び管理装置20の両方に重要書類に関する廃棄情報を残す。これにより、重要書類については廃棄の経緯を必要に応じて追跡することが可能になる。
また、重要書類の廃棄に適したシステムの更に別の態様としては、重要書類が作成された書類作成元15は管理装置20との間で通信可能な通信手段(図示せず)、及び、重要書類に関する各種情報が記録されるメモリ(図示せず)を有しており、管理装置20は、重要書類を細断廃棄したときに、管理対象シュレッダ1から送信された重要書類のメタデータを含む廃棄情報を受け取ると共に、書類作成元15に対してメタデータを含む廃棄情報を送信し、メモリに当該廃棄情報を記録する態様が挙げられる。
本例は、重要書類を細断廃棄するときに、管理対象シュレッダ1及び管理装置20に加えて、書類作成元15にも重要書類に関する廃棄情報を残す。これにより、重要書類については、管理対象シュレッダ1、管理装置20に加えて書類作成元15でも廃棄の経緯を必要に応じて追跡することが可能になる。
【0021】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-シュレッダの細断屑管理システムの全体構成-
図2は実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す。
同図において、シュレッダの細断屑管理システムは、一若しくは複数の顧客Uに対して設置される通信可能な管理対象としての複数のシュレッダ30(例えば30a~30c…)と、管理者M/管理センタ側に設けられ、各シュレッダ30とネットワークXを介して通信可能に設置され、各シュレッダ30から送信された情報に基づいて各シュレッダ30で細断配置された細断屑を管理する管理装置100と、を備えている。
また、本例では、細断屑を回収する回収作業者W(本例ではWa,Wb)は、例えば個別端末としての携帯端末200を所持しており、ネットワークXを介して管理装置100と通信可能になっている。尚、
図2中、符号75,110は通信用モデムを示す。
【0022】
-シュレッダの基本構成-
図3(a)は実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す。
同図において、シュレッダ30は、略直方体形状のシュレッダ筐体31を有し、このシュレッダ筐体31の上面には細断する被細断物としての用紙Sが投入される投入口32を開設し、この投入口32には一対のガイドシュートで区画された搬入経路33を設け、この搬入経路33の途中に細断ユニット34を配設し、シュレッダ筐体31内の細断ユニット34の下方には用紙Sの細断屑Saが収容される屑容器37を出し入れ可能に配設したものである。
ここで、細断ユニット34は、用紙Sを細断する細断機構35と、この細断機構35を清掃する清掃機構36とを備えている。
本例では、細断機構35は、
図3に示すように、カッタ要素として例えば対構成の刃付ドラム41,42が用いられるカットクロス方式を採用したもので、対構成の刃付ドラム41,42の噛み合い領域に用紙Sを挿通させることで、用紙Sの搬入方向に沿う方向(縦方向)及びこれに略直交する交差方向(横方向)について縦横同時に細断するようにしたものである。
尚、
図3中、符号50は細断機構35を駆動する駆動装置、符号60はシュレッダ30を操作するための操作パネルである。また、細断機構35のカッタ要素としては、カットクロス方式に限られるものではなく、例えば用紙Sを短冊状に細断するストレートカッタと、短冊状の細断物を所定のピッチ間隔で切断するスパイラルカッタ及びフラットカッタとを組み合わせて用いてもよいことは勿論である。
【0023】
-駆動装置-
本実施の形態において、駆動装置50は、
図3(a)(b)に示すように、駆動源としての駆動モータ51と、この駆動モータ51からの駆動力を細断機構35の対構成の刃付ドラム41,42に伝達する駆動伝達機構59とを有している。
本例において、駆動伝達機構59としては、例えば駆動モータ51の駆動軸及び第1の刃付ドラム41の回転軸に夫々プーリ59a,59bを固着すると共に、これらプーリ59a,59b間に伝達ベルト59cを掛け渡し、更に、対構成の刃付ドラム41,42の各回転軸には伝達ギア59d,59eを互いに噛合させた状態で固着するようにしたものである。
【0024】
-制御装置-
更に、本実施の形態では、各シュレッダ30は制御装置70によって制御されるようになっている。
本例において、制御装置70は、
図4に示すように、CPU71、ROM72、RAM73及び図示外の入出力ポートを含むマイクロコンピュータシステムからなるものであるが、本例では、CPU71は、主として細断機構35が駆動される駆動装置50を制御対象とする細断用CPU71aと、管理者M側の管理装置100と管理対象であるシュレッダ30との間で必要な情報を通信するための通信用CPU71bと、を有している。
ここで、通信用CPU71bは、図示外の入出力ポート及び通信用モデム75(専用のモデムでもよいし、LAN環境の構成部品であるモデムを利用してもよい)を経由してネットワークX環境に接続可能になっており、ネットワークXを介して管理者Mの管理装置100と通信可能に接続されるものである。尚、ネットワークXは例えばWiFi等の無線網であってもよく、また、シュレッダ30に例えばPLCアダプタ(図示せず)を搭載するようにすれば、電源コンセントから通信環境を得ることも可能である。
そして、制御装置70は、後述する各入力信号を入出力ポートを介して受け取り、CPU71・RAM73によってROM72内に予めインストールされている細断制御プログラムを実行し、細断機構35の駆動装置50に対し所定の制御信号を送出して細断処理を実施したり、あるいは、CPU71・RAM73によってROM72内に予めインストールされている通信制御プログラム(
図8参照)を実行し、管理者M側へ送信すべき情報を読み出して通信処理を実施する。
【0025】
<制御装置への入力信号>
ここで、制御装置70に入力される入力信号Inとしては例えば以下のものが挙げられる。
(In-1)操作パネル60からの操作信号
(In-2)搬入経路33の途中に設けられて投入口32に用紙Sが搬入されたか否かを検知する投入口センサ81からの信号
(In-3)屑容器37に収容される細断屑Saが満杯に至ったか否かを検知する屑満杯センサ82からの信号
(In-4)シュレッダ筐体31の扉31a(
図3参照)の開閉を検知する扉開閉センサ83からの信号
(In-5)細断機構35の駆動装置50の駆動源である駆動モータ51の駆動電流を計測する電流計80からの計測信号
(In-6)駆動モータ51が連続稼働によって予め決められたレベルを超える高温状態に至ったときに、当該駆動モータ51の稼働を停止させる過熱防止器(図示せず)からの動作信号
尚、本例では、操作パネル60は、
図4に示すように、シュレッダ30に電源を投入するためのスタートスイッチ61(図中STと表記)と、管理者Mに送信すべき送信条件を顧客U側で指定するときに操作する指定スイッチ62(図中MSと表記)と、シュレッダ30の動作状態を表示する表示器63と、を有している。また、投入口センサ81は用紙Sが通過したことを検知可能な構成であれば、機械的、光学式センサなど適宜選定して差し支えない。
【0026】
<送信すべき情報>
本例では、RAM73の送信情報格納領域には管理装置100に送信すべき情報が読出し可能に格納されている。
本例で用いられる送信すべき情報としては、
図7(a)に示すような機体情報や運転状況情報が挙げられる。
(J-1)機種名
管理対象シュレッダ30の製品名である。
(J-2)製造番号
管理対象シュレッダ30の製造に関して付された番号(製造工場、製造時期その他)である。
(J-3)通常運転時間
細断機構35による細断処理が実施されている運転時間を示すもので、例えば駆動モータ51の駆動電流値の無負荷時に対する負荷時の時間を累計することで得られる。
(J-4)通常運転回数
細断機構35による細断処理が実施されている運転回数を示すもので、例えば投入口センサ81の検知回数を累計することで得られる。
(J-5)過負荷運転時間
細断機構35による細断処理が実施されている運転中、投入した用紙量が多すぎることにより、駆動モータ51の駆動電流値の負荷が予め決められた閾値以上である過負荷時の時間を累計したものである。
(J-6)過負荷運転回数
細断機構35による細断処理が実施されている運転中、投入した用紙量が多すぎることにより、駆動モータ51の駆動電流値の負荷が予め決められた閾値以上の過負荷状態に至った回数を累計したものである。
【0027】
(J-7)オートリバース回数
オートリバース処理は、細断機構35に対し細断処理能力以上の高負荷の用紙Sが投入されたときに、細断機構35での紙詰まりを未然に防止するために、駆動モータ51を逆転させることで投入された用紙Sを戻して投入口32から排出するものであり、例えば細断機構35の運転中における駆動モータ51の逆転回数を計数することで得られる。
(J-8)放熱回数
駆動モータ51には過熱防止器(図示せず)が付設されており、この過熱防止器の作動回数を計数することで得られる。
(J-9)屑満杯センサ検知回数
屑満杯センサ82は、屑容器37内の細断屑Saの容積がある満杯レベルに至ると検知するものであり、例えば図示外の屑均し機構により屑容器37内の細断屑Saが均されると、一旦屑満杯センサ82の検知信号はオフになることから、通常屑満杯センサ82の検知信号が複数回検知されたときに屑容器37内の細断屑Saが実質的に満杯であることを把握することが可能である。
(J-10)投入口センサ検知回数
投入口32に投入される用紙枚数である。
(J-11)扉開閉センサ検知回数
シュレッダ筐体31の扉31aの開閉数に相当し、扉31aの開閉は屑容器37の細断屑処理の回数に略対応する。
:
:
【0028】
(J-SR)使用履歴情報
本例では、細断機構35による細断処理が繰り返し実施されたときの用紙Sの累積細断量が用いられる。この累積細断量は以下の計算式で算出される細断量を累積することで得られる。
累積細断量=Σ(運転時間×細断負荷)
ここで、‘運転時間’は細断機構35による各細断処理における通常運転時間を指し、‘細断負荷’は細断機構35による細断処理時の負荷、具体的には駆動モータ51の駆動電流比に相当する同時に細断される用紙枚数に相当する。つまり、駆動電流Iは、
図5(a)に示すように、細断機構35による細断処理が同時に複数枚の用紙Sを細断可能であると仮定すると、同時に細断される用紙枚数(細断枚数)の増加に伴って比例的に増加する。このとき、細断枚数が1枚のときの駆動電流I(1)から無負荷時の駆動電流I(0)の差分をΔI(1)とし、また、細断枚数がn(n:2以上の整数)枚のときの駆動電流I(n)から無負荷時の駆動電流I(0)の差分をΔI(n)とすると、ΔI(n)/ΔI(1)≒nという関係を満たすことから、細断機構35による細断処理において、同時に細断する用紙枚数を考慮した細断量が算出されることになり、これを累計すれば、累積細断量が算出される。
【0029】
また、駆動モータ51の駆動電流Iは、シュレッダ30の初期状態(新品)のときに無負荷運転すると、
図5(b)に示すように、Ifを示すが、ある一定期間経過すると、累積細断量の増加(例えば1t~3t)に伴って、Ia,Ib,Ic(If<Ia<Ib<Ic)と増加する傾向を示す。
これは、細断機構35が経時的に使用されると、細断機構35のカッタ要素に紙粉や細断屑などの紙詰まりが生じたり、あるいは、カッタ要素の摩耗が起こり、これに伴って、無負荷運転時においても、細断機構35による細断負荷が増加してしまうものと推測される。
よって、このような駆動モータ51の無負荷運転時の駆動電流Iを定期的若しくは不定期的にモニタしておけば、このモニタ変化を見て、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)を把握することが可能である。
更に、このような細断機構35の劣化に伴って、細断機構35による細断処理時の駆動電流Iも変化することからすれば、細断機構35の劣化度合を踏まえて計測された駆動電流Iを補正するようにすれば、各細断処理における細断負荷がより正確に算出されることから、その分、累積細断量がより正確に算出される点で好ましい。
【0030】
(J-ER)エラー履歴情報
例えば細断機構35による細断処理が用紙Sが詰まって停止した場合や、各種センサ(投入口センサ81、屑満杯センサ82など)の検知動作が不安定になった場合に、これらの誤動作に対して、エラーの種類として予め決められたエラーコード及びその発生時期を示すものである。
【0031】
-管理装置-
本実施の形態において、管理装置100は、
図6に示すように、通信用モデム110を介してネットワークXに通信可能に接続され、回収作業者Wが携帯端末200を通じてアクセス可能な管理用サーバ120(本例では所謂ウェブサーバを使用)を有し、この管理用サーバ120には管理対象シュレッダ30の情報(主として運転状況情報)が更新可能に格納される顧客データベース130を設け、管理者Mが顧客データベース130を閲覧可能としたものである。
特に、本例では、管理装置100は、顧客データベース130に基づいて、管理対象シュレッダ30で細断廃棄された細断屑Saに対する回収作業の要否を診断し、回収作業が必要であるときに、回収作業者Wを選定し、選定された回収作業者Wに向けて細断屑の回収作業指示書141が作成可能な作業診断部140を有している。
そして、本例では、管理装置100は、例えば
図9に示すようなシュレッダ管理処理を実行するようになっている。
そして、回収作業者Wは、管理装置100から携帯端末200に送信された回収作業指示書141を参照し、顧客Uのところに出向き、管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saの回収作業を実施するようになっている。
【0032】
<顧客データベース>
本例で用いられる顧客データベース130としては
図7(b)に示すものが挙げられる。
同図において、顧客データベース130は、ユーザ情報131、機体情報132、運転状況情報133、使用履歴/エラー履歴その他の情報134を含んでおり、管理対象シュレッダ30から情報を受信する毎に更新処理がなされるようになっている。
ここで、ユーザ情報131としては、例えば社名、住所、担当者、連絡先、納入日などが挙げられ、また、機体情報132としては機種名、製造番号等が挙げられ、更に、運転状況情報133としては通常運転時間、通常運転回数……各種センサ検知回数等が挙げられ、使用履歴/エラー履歴その他の情報134としては、累積細断量(例えば予め決められた規定値)や各種エラーコード及びその発生時期の表示、更に、管理者M側から管理対象シュレッダ30に対し定期的に送信要請するような場合の送信要請条件などが挙げられる。
尚、本例では、運転状況情報133の一つとして、細断機構35のカッタ要素の劣化度合を診断するため、駆動モータ51の無負荷運転時の駆動電流値を、初期運転時から定期的又は不定期的に計測して格納しており、これも顧客データベース130に格納されるようになっている。
【0033】
次に、本実施の形態に係るシュレッダ管理システムの動作過程について説明する。
-管理対象シュレッダ側での処理-
管理対象シュレッダ30の制御装置70は、例えば
図8に示すシュレッダ通信制御プログラムを実行する。
同図に示すように、制御装置70は、先ず、細断機構35による細断処理を実施したか否かを判断し、細断処理を実施した場合には、細断実施条件を確認する。例えば通常運転時間、通常運転回数、駆動モータ51の駆動電流等を確認すると共に、細断処理に付随する各種機体情報(過負荷運転時間、過負荷運転回数、オートリバース回数、放熱回数、各種センサ検知回数など)を収集する。
そして、前述した細断実施条件に基づいて細断機構35による細断量を算出し、今までの細断量に累積して累積細断量を算出する。
この後、制御装置70は、算出した累積細断量が予め決められた規定値に到達したか否かをチェックし、規定値に到達した条件にて管理者Mに対し情報の送信時期に達したと判断し、管理者Mに必要な情報(
図7(a)参照)を送信する。
尚、情報の送信処理に当たっては、通信先との間でセキュリティ確保のための前処理(パスワード確認など)を実施することが好ましい。
更に、制御装置70が累積細断量に基づいて送信時期に達していないと判断した場合には、警告通知があるか否か、あるいは、管理者Mからの送信要請があるか否かをチェックした後、いずれの要請もなければ情報の送信処理を実行せず、いずれかの要請があれば、その要請に従って必要な情報について管理者Mに対し送信処理を実施する。
ここで、‘警告通知’とは、管理対象シュレッダ30が通常運転を継続する上で支障をきたす事態に至る蓋然性が高いという警告を通知するものであり、例えば屑満杯センサ82(
図4参照)の検知回数が予め決められた閾値k回に到達したときに、細断屑Saが満杯で細断機構35による細断処理を継続することが困難になるような場合に警告として通知するものである。
【0034】
-管理装置側での処理-
管理装置100は、例えば
図9に示すシュレッダ管理プログラムを実行するようになっている。
同図において、管理装置100は、管理対象シュレッダ30に送信要請するか否かを判断する。このとき、例えば顧客データベース130の使用履歴/エラー履歴その他の情報134に付記された送信時期情報に合致するか否かをチェックする。
そして、管理者M側からの送信要請がある場合には、管理対象シュレッダ30に対し送信要請する。
一方、前述した管理者M側からの送信要請がない場合には、回収作業者Wからの直接的な要請があるか否かを判断し、回収作業者Wからの要請があれば、管理対象シュレッダ30に送信要請し、回収作業者Wからの要請がない場合には、管理対象シュレッダ30からの受信か否かを常時監視し、管理対象シュレッダ30からの受信である場合には当該受信を許可する。
この後、管理装置100は、
図6に示すように、管理対象シュレッダ30から送信されてきた情報を読込み、管理用サーバ120の顧客データベース130を更新する。
そして、作業診断部140によって送信されてきた情報から管理対象シュレッダ30を診断し、細断屑の回収作業が必要と診断された場合には回収作業者Wに送信すべき回収作業指示書141を作成する。
【0035】
ここで、作業診断部140による処理内容を詳述すると、以下のようである。
(1)回収の要否についての判別工程
これは、顧客データベース130の管理対象シュレッダ30の細断屑情報に基づいて当該管理対象シュレッダ30から生成される細断屑Saの回収の要否を判別するものであり、本例では、例えば
図10に示すように、累積細断量をT、細断屑Saの回収作業を必要とする規定値(例えば顧客Uの要請により屑容器37が満杯になった量の整数倍で予め選定可能な規定値)をT1とすれば、T=T1に至った条件で、細断屑Saの回収が必要であると判別されることになる。
そして、本例では、細断屑情報としての累積細断量T1の情報が細断屑Saの回収作業情報として利用されると、顧客データベース130での累積細断量T1がリセットされ、累積細断量T1の累積計算が再スタートされる。
(2)回収作業者Wの選定工程
管理対象シュレッダ30に対して判別工程にて細断屑Saの回収が必要であると判別された条件では、当該管理対象シュレッダ30に適した回収作業者Wが選定される。
このとき、回収作業者Wの好ましい選定法は、例えば携帯端末200がGPS機能を具備する態様にあっては、当該GPS機能を利用し、携帯端末200の位置から回収拠点としての回収作業者Wの現在位置を把握することが可能であるため、回収先である管理対象シュレッダ30に近い一若しくは複数の回収拠点を選定候補として最終的に担当する回収作業者Wを選定するようにすればよい。
(3)回収作業指示書の作成工程
管理対象シュレッダ30に対する回収作業者Wが選定されると、選定された回収作業者Wに送信すべき回収作業指示書141が作成される。
ここで、回収作業指示書141の記載内容としては、回収作業者Wが管理対象シュレッダ30の顧客Uの所在他に出向き、細断屑Saの回収作業を実施する上で必要な情報を記載するようにすればよい。
例えば以下のようである。
・顧客Uの所在地
・管理対象シュレッダ30の機体情報
・細断屑Saの回収量
・回収した細断屑Saの搬入先
このとき、管理対象シュレッダ30の機種等の機体情報から、細断屑Saの細断サイズが把握されることから、例えば搬入先としては、細断屑Saを再利用して再生するものを考慮し、細断サイズ及び細断屑Saの回収量から管理者Mが決定する。
【0036】
-回収作業者W側での処理-
回収作業者Wは管理者Mから携帯端末200宛に送信された回収作業指示書141を取得すると、当該ジョブを受任する場合には、携帯端末200から管理装置100宛に受任通知を送信する。
この後、回収作業者Wは、管理対象シュレッダ30の顧客Uに対して訪問の都合を確認した後、顧客Uの元に出向き、管理対象シュレッダ30に対する細断屑Saの回収作業を実施する。
このとき、
図6に示すように、管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saは例えば屑入れ袋90に収容されているため、回収作業者Wは当該屑入れ袋90に、回収元情報、細断屑情報(例えば細断サイズ、細断屑の回収量など)、搬入先情報が記載された廃棄回収ラベル91を貼付して当該屑入れ袋90を回収し、顧客Uに対しては細断屑Saの回収作業完了書面を手渡す。
尚、廃棄回収ラベル91は例えば回収作業指示書141と共に予め貼付可能に作成しておくことが好ましい。
この状態において、回収作業者Wは、携帯端末200から管理者M(管理装置100)宛に細断屑Saの回収完了通知を送信する。これにより、管理者Mは回収作業者Wによる作業状況の進捗を把握することができる。そして、回収作業者Wは、直接若しくは別の担当者を経由して回収した細断屑Saを搬入先に搬入する。
【0037】
-実施の形態1での細断屑管理の概要-
図11に本実施の形態に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける顧客U、管理者M/管理センタ及び回収作業者Wの相互の関係を模式的に示す。
同図によれば、以下のようである。
(1)管理者Mは、顧客Uが所有する管理対象シュレッダ30から情報収集(機体情報・運転状況情報)する。
(2)管理者Mは、細断屑Saの回収作業条件が整った段階で、回収作業者Wに回収作業指示を出す。
(3)回収作業者Wは顧客Uの管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saの回収作業を実施する。
(4)回収作業者Wは回収した細断屑Saを搬入先(処理業者Q)に搬入する。
【0038】
-実施の形態1での保守・修理管理の概要-
本実施の形態では、管理装置100は管理対象シュレッダ30の機体情報、運転状況情報を収集しているため、前述した細断屑管理以外に、管理対象シュレッダ30の保守・修理管理をも実施することが可能である。
1.シュレッダの保守管理
今、
図10に示すように、累積細断量T=T2(例えば1t)のとき、保守点検時期として予め選定しておけば、例えば
図5(b)に示すように、管理対象シュレッダ30の無負荷運転時における駆動モータ51の駆動電流Iの値をチェックすることで、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)を推測することが可能であることから、このデータチェックに基づいて、例えば保守・修理作業指示書142が作成される。尚、前述した駆動モータ51の駆動電流Iの値が予測される範囲を超えて増加しているような場合には、細断機構35の劣化度合がより進行していると診断し、その旨の追記事項が付されるようになっている。
この結果、管理者Mは、
図11に(5)で示すように、保守・修理作業指示書142を保守・修理要員Pに送信し、保守・修理要員Pは、前述した保守・修理作業指示書142を参照することで管理対象シュレッダ30の運転状況を把握し、必要に応じて保守部品等を事前に用意し、現場に出向いて管理対象シュレッダ30の保守作業(メンテナンス)を実施する。
2.シュレッダの修理管理
今、
図10に示すように、累積細断量T=T3(例えば3t)のとき、細断機構35の保障寿命に到達した時期と仮定すると、例えば
図5(b)に示すように、管理対象シュレッダ30の無負荷運転時における駆動モータ51の駆動電流Iの値をチェックすることで、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)が寿命に到達していることの判断が可能である。このようなデータチェックに基づいて、細断機構35が寿命時期に到達したことが確認された場合には、その旨の保守・修理作業指示書142が作成される。
この結果、管理者Mは、
図11に(6)で示すように、保守・修理作業指示書142を保守・修理要員Pに送信し、保守・修理要員Pは、前述した保守・修理作業指示書142を参照することで管理対象シュレッダ30の運転状況を把握し、細断機構35が寿命であると判断されるときには細断機構35の交換部品を用意し、現場に出向いて管理対象シュレッダ30のオーバーホールを実施する。
【0039】
-比較の形態1での細断屑管理の概要-
図12に比較の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける顧客U、管理者M/管理センタ及び回収作業者Wの相互の関係を模式的に示す。
ここで、比較の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムは、管理対象シュレッダ30’と管理装置100’とは通信可能に接続されておらず、管理者M/管理センタの管理装置100’と回収作業者W(又は保守・修理要員P)の携帯端末200’とは通信可能に接続されているものである。
同図によれば、以下のようである。
(1)顧客Uは、所有する管理対象シュレッダ30’から生成された細断屑の回収作業の必要性を感じたときに、回収作業者W(又は管理センタ:(1)’)に細断屑の回収作業依頼を連絡する。
(2)回収作業者Wは(又は管理センタから委託された回収作業者W)は顧客Uの管理対象シュレッダ30’から生成された細断屑の回収作業を実施する。
(3)回収作業者Wは、顧客Uに出向いたときに取引ラベル(細断サイズ、細断屑の回収量など)を参照し、これをどの搬入先(処理業者Q)に搬入するか否かを管理者Mと相談し、搬入先を決定する。
(4)回収作業者Wは、回収した細断屑を搬入先に搬入する。
このように、実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムは、比較の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムに比べて、顧客Uを煩わせることなく、管理対象シュレッダ30から生成される細断屑の回収作業を容易に管理可能であることが理解される。
【0040】
-比較の形態1での保守・修理管理の概要-
比較の形態1では、シュレッダの保守・修理管理は、
図12に示すように行われる。
(5)顧客Uは、所有する管理対象シュレッダ30’の保守・修理の必要性を感じたときに、保守・修理要員P(又は管理センタ:(1)’)に保守・修理作業依頼を連絡する。
(6)保守・修理要員P(又は管理センタから委託された保守・修理要員P)は顧客Uの管理対象シュレッダ30’に対して保守・修理作業を実施する。
(7)保守・修理要員P(又は管理センタから委託された保守・修理要員P)は、管理対象シュレッダ30’に対して事前に運転状況などを把握できないため、想定した保守・修理作業についてはその場で対応可能であるものの、想定外の保守・修理作業については管理者Mと相談して保守・修理方針を決めた後、再度訪問して保守・修理作業を行う必要がある。
このように、実施の形態1に係るシュレッダの保守・修理管理システムは、比較の形態1に係るシュレッダの保守・修理管理システムに比べて、顧客Uを煩わせることなく、保守・修理要員Pによる管理対象シュレッダ30の保守・修理作業を無駄なく管理可能であることが理解される。
【0041】
◎実施の形態2
図13は実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
同図において、シュレッダの細断屑管理システムの基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、重要書類を作成するプリンタ、コピー機等の書類作成元300(例えば300a~300c)を有し、これらも、管理対象シュレッダ30(例えば30a~30c)と共に、ネットワークXを介して管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能に接続され、重要書類の廃棄に適したシステムとして構成されている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、顧客U1~Unは、
図14に示すように、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))と書類作成元300(例えば300(1)~300(n))とを有しており、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))は、シュレッダ筐体31の投入口32の縁部に投入前の被細断物である用紙Sが案内保持される案内トレイ38を有しており、この案内トレイ38に対向した部位に情報読取デバイス(例えばイメージセンサ)160を配設し、案内トレイ38に沿って置かれた用紙Sを読み取るようになっている。更に、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))は、夫々IDリーダ170を搭載しており、使用する担当者を特定するためのIDカード171について認証可能になっている。
本例では、情報読取デバイス160で読み取ったデータ及びIDリーダ170で読み取ったデータはいずれもRAM73に記録されるようになっている。
【0042】
また、本実施の形態では、プリンタやコピー機等からなる書類作成元300(例えば300(1)~300(n))は、重要書類にはメタデータ(タイトル、枚数等の書類の素性要約)が予め、あるいは、事後的に書き込まれるようになっている。
この種のメタデータは、書類上に目視可能に作成されていてもよいし、あるいは、目視し難い形式(例えばイエロで作成)で作成されていてもよく、書類作成元300であるプリンタやコピー機等で印刷やコピーする際に他の情報と一緒に印刷、コピーされるようになっている。
そして、本例では、情報読取デバイス160はメタデータが目視し難い形式で作成されていたとしても、読み取り可能になっている。
本実施の形態では、管理対象シュレッダ30及び管理装置100は、管理対象シュレッダ30にて廃棄する用紙Sが重要書類である場合には、
図15に示すような廃棄情報記録処理を行うようになっている。
【0043】
本実施の形態では、シュレッダの細断屑管理システムは、実施の形態1と略同様な作用を奏するほか、以下に示すような廃棄情報記録処理を行う。
この種の廃棄情報記録処理は、
図15に示すように、管理対象シュレッダ30にて被細断物としての用紙Sを細断廃棄する際に、情報読取デバイス160にて用紙S上の情報に対して読取処理を行い、メタデータのある重要書類か否かを判別する。
このとき、用紙Sにメタデータが存在する場合には、
図16(a)に示すように、用紙Sを細断廃棄するほか、廃棄情報記録を実施する。つまり、メタデータがある場合には、ID情報(IDリーダ170によるIDカード171情報に相当)を認証し、管理対象シュレッダ30のRAM73にメタデータ、ID情報、機体情報を廃棄情報として記録する。
本例では、更に、管理装置100に廃棄情報を送信して記録すると共に、重要書類の書類作成元300に対し廃棄情報を送信して記録する。
このように、本実施の形態では、重要書類を細断廃棄した場合には、管理対象シュレッダ30、管理装置100及び書類作成元300に対して廃棄情報記録を残すようにしたので、重要書類を廃棄した場合の事実関係が証拠として記録保管される点で好ましい。
一方、メタデータのない用紙Sについては重要書類でないと判断し、管理対象シュレッダ30にて用紙Sを細断廃棄し、廃棄情報記録については実施しない。
【0044】
◎実施の形態3
図17は実施の形態3に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
同図において、シュレッダの細断屑管理システムの基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、顧客Uの管理対象シュレッダ30(例えば30a)に、屑容器37に収容された細断屑Saの容量(以下屑量という)に関する情報を通信するための屑量通信装置400が設けられており、例えば顧客Uの敷地内で有効なゲートウェイ80(無線LAN、Bluetoothなど)を経てネットワークXに接続され、管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能になっている。そして、管理装置100が屑量通信装置400からの情報に基づいて屑容器37内の屑量が予め決められた満杯レベルに到達したと判断した場合には、屑容器37の細断屑Saは例えば屑入れ袋90に収容された後、回収作業者Wによる細断屑回収作業が行われるようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0045】
本実施の形態では、屑量通信装置400は、
図17に示すように、例えば屑容器37の開口縁部に後付け装着されるものであって、
図18(a)(b)に示すように、通信装置筐体401の一部に屑量センサ410を組み込み、通信装置筐体401内には少なくとも送信モデム機能を具備した通信部421と、屑量センサ410による検出処理や通信部421による通信処理を制御する制御装置420とを備えている。
そして、屑量通信装置400には内部電源(バッテリー)430又は外部電源431が切替スイッチ432を介して切替選択可能に接続されるようになっている。
また、本例では、屑量センサ410は、
図18(a)(b)に示すように、例えばLEDなどの発光素子411とフォトダイオードなどの受光素子412とを有するフォトカプラにて構成されており、屑容器37の開口縁部位置から屑容器37の底部に向かって斜め下方向に発光素子411からの照射光Bmを照射し、屑容器37に収容された細断屑Saの表面部からの反射光Bm’を受光素子412にて受光するようにしたものである。
ここで、
図18(b)中、符号413は発光素子410への通電量を調整する抵抗であり、符号414は受光素子412の通電に伴う出力電圧を取り出すための抵抗である。
【0046】
次に、屑量センサ410の動作原理について説明する。
今、
図19(a)に示すように、屑容器37内に収容される細断屑Saの容量が次第に増加していくと、細断屑Saの表面位置が図中d
6→d
5→d
4→d
3→d
2→d
1と順次上昇することになる。このとき、屑量センサ410の設置位置をd
0とすれば、屑量センサ410から細断屑Saまでの距離dはd
6>d
5>d
4>d
3>d
2>d
1のようである。尚、本例では、細断屑Saの表面位置d
1が細断屑Saの満杯レベルと仮定する。
この状態において、発光素子411からの照射光Bmが細断屑Saの表面部で反射した後、受光素子412に至る反射光Bmの出力レベルは、
図19(b)に示すように、屑量センサ410の発光素子411から受光素子412に戻るまでの光路長が長いほど低く、光路長が短くなるにつれて次第に増加する傾向になり、d
1の位置でVmaxを示す。
また、本例では、屑量センサ410は、
図19(c)に示すように、所定の検出周期で予め決められたサンプリング時間ts(例えば1秒)だけLED等の発光素子411をONし、受光素子412の出力(
図18(b)中のA点)を検出し、これを所定のサンプリング間隔でサンプリングし、例えば平均化処理することで屑量センサ410の出力値とすればよい。このように平均化処理するのは、シュレッダの細断処理時には受光素子412の出力がばらつくことによる。尚、サンプリング方法については、必ずしも平均化処理することに限定されるものではなく、最大値、最小値を除いて平均化するなど適宜選定して差し支えない。
【0047】
また、本例では、制御装置420は、屑量センサ410の出力(受光素子412の出力)の特性グラフ(
図19(b))を図示外のメモリに格納しており、所定の検出周期毎に屑量センサ410の出力を検出し、これに対応する屑量センサ410から細断屑Saまでの距離dに関する情報(例えば16レベルの屑量レベル)を演算し、通信部421を介して送信する。
また、制御装置420のメモリには、管理対象シュレッダ30の機体情報及び屑量通信装置400の電源に関する情報として例えば以下の情報が書き込まれており、前述した屑量レベルと共に送信されるようになっている。
(1)機種名
(2)製造番号
(3)製造ロット番号
(4)設置年月日
(5)修理履歴
(6)電源(内部/外部)
(7)バッテリー交換/否
(8)バッテリー交換日
(9)ユーザ名
【0048】
次に、本実施の形態で用いられる屑量通信装置の作動について説明する。
本実施の形態では、屑量通信装置400は、外部電源431を使用する場合と、内部電源(バッテリー)430を使用する場合とで作動が相違するので、以下場合を分けて説明する。
-外部電源の場合-
図20(a)に示すように、外部電源431から電力が供給されている間屑量センサ410による検出動作を連続で行い、屑量センサ410による屑量レベルを制御装置420にて判定し、レベル変動があると、短時間の一定時間t
1(例えば10秒)毎に屑量レベル情報を送信する。一方、予め決められた時間(例えば30秒)にレベル変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。
【0049】
-内部電源-
図20(b)に示すように、内部電源(バッテリー)430を使用する場合には、内部電源430の消耗を抑えるための制御が必要である。尚、
図20(b)中、Bで示す箇所は
図20(a)のBで囲んだ領域を示す。
先ず、内部電源430が低電圧であるか否かをチェックし、低電圧であることを検出した場合には、予め決められた時間t
3(例えば1時間)毎にバッテリーの交換情報を送信する。
一方、内部電源430が低電圧でない場合には、屑量レベル判定を行い、屑容器37内に収容される細断屑Saの屑量が予め決められたレベル(例えば細断屑Saの表面位置がd
6のときの屑量センサ410の出力レベルVth)以上か否かをチェックする。
このとき、屑量センサ410の出力レベルがVth未満の場合には、屑量レベルの判定間隔をt
4(例えば1分)、送信間隔をt
5(本例ではt
5=t
4)として屑量レベル情報を送信する。この判定間隔t
4のうち1秒間を10回サンプリングし、屑量のレベル変動を均一化するために平均化処理する。尚、平均化処理以外の処理、例えば最小値又は最大値を使用する等にすることも可能である。
また、屑量センサ410の出力レベルがVth以上の場合には、細断屑Saの表面位置がd
6以上に位置することになるが、この場合には、屑量レベルの判定間隔をt
6(例えば10秒)、送信間隔をt
7本例ではt
7=t
6)として屑量レベル情報を送信する。
尚、屑量センサ410による屑量レベルに30秒間変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。但し、屑量レベルの判定間隔がt
4(例えば1分)の場合には、屑量レベルに3分間変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、屑量通信装置400が屑容器37内に収容される屑量を計測し、管理対象シュレッダ30の機体情報や屑量通信装置400の電源情報と共に屑量レベル情報を管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、管理対象シュレッダ30の屑容器37に収容された細断屑Saの屑量変化を把握し、屑量レベルが満杯レベルに至った際に、回収作業者Wによる細断屑回収作業を指示し、また、屑量通信装置400にメンテナンス作業、例えばバッテリー交換などが必要になる場合には、保守・修理要員Pによるメンテナンス作業を指示し、夫々の作業を迅速に実施させることが可能である。
【0051】
尚、本実施の形態では、屑量通信装置400は屑容器37の開口縁部に後付け装着されているが、これに限られるものでなく、シュレッダ筐体31の内壁に後付け装着されるようにしてもよい。また、本実施の形態では、屑量センサは一つ通信装置筐体に組み込まれているが、これに限られるものではなく、複数箇所に設置されるようにしてもよい。この態様では、例えば屑容器37に収容される細断屑Saの分布に片寄りが生じたとしても、複数の屑量センサの出力を平均することで、一つの屑量センサの場合に比べて、より正確な屑量レベルを検出することが可能になる等、より複合的に利用することができる。
【0052】
◎実施の形態4
図21は実施の形態4に係る屑回収システムの全体構成を示す。
同図において、屑管理システムの基本的構成は、実施の形態1~3とは異なり、顧客Uの管理対象がシュレッダ以外の回収ボックス500(例えば500a)であり、回収ボックス500には廃棄書類などの廃棄屑520を細断などすることなくそのまま廃棄するようになっている。
本例では、回収ボックス500は、ボックス本体501の一部、例えば上壁に廃棄屑520が投入される投入口502を開設し、ボックス本体501の側方には鍵付きの開閉扉503を開閉可能に設けたものである。
そして、ボックス本体501内には廃棄屑520が収容される屑容器510が収納されており、この屑容器510に投入口502から投入された廃棄屑520が落下してそのまま収容されるようになっている。
そして、顧客Uの管理対象回収ボックス500(例えば500a)に、屑容器510に収容された廃棄屑510の容量(以下屑量という)に関する情報を通信するための屑量通信装置400が設けられており、例えば顧客Uの敷地内で有効なゲートウェイ80(無線LAN、Bluetoothなど)を経てネットワークXに接続され、管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能になっている。そして、管理装置100が屑量通信装置400からの情報に基づいて屑容器510内の屑量が予め決められた満杯レベルに到達したと判断した場合には、回収ボックス500の開閉扉503を開放した後、廃棄屑520が収容された屑容器510を引出し、例えば屑容器510を予め梱包可能な構成にしておけば、廃棄屑520はそのまま屑容器510に梱包され、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業が行われるようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0053】
本例では、屑量通信装置400は、例えばボックス本体501の内側壁の一部に後付け装着されるようになっており、実施の形態3と略同様に、通信装置筐体の一部に屑量センサを組み込み、通信装置筐体内には少なくとも送信モデム機能を具備した通信部と、屑量センサによる検出処理や通信部による通信処理を制御する制御装置とを備えている。
ここで、屑量センサは例えばフォトカプラにて構成され、屑容器510に収容された廃棄屑520の表面部に光を照射し、その反射光の出力レベルを検出することで、廃棄屑520の屑量レベルを割り出すものである。
そして、屑量通信装置400の制御装置のメモリには管理対象回収ボックス500の機体情報や屑量通信装置400の電源情報などが書き込まれており、廃棄屑520の屑量レベル情報と共に前述した機体情報や電源情報が管理者M/管理センタの管理装置100に適宜送信されるようになっている。
従って、本実施の形態によれば、屑量通信装置400が屑容器510内に収容される廃棄屑520の容量を計測し、管理対象回収ボックス500の機体情報や屑量通信装置400の電源情報と共に屑量レベル情報を管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、管理対象回収ボックス500の屑容器510に収容された廃棄屑520の屑量変化を把握し、屑量レベルが満杯レベルに至った際に、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業を指示し、また、屑量通信装置400にメンテナンス作業、例えばバッテリー交換などが必要になる場合には、保守・修理要員Pによるメンテナンス作業を指示し、夫々の作業を迅速に実施させることが可能である。
尚、本実施の形態でも一つの屑量センサが用いられているが、複数の屑量センサを設置し、これらの屑量センサの出力を平均することで屑量レベルを検出するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、
図21に示すように、管理対象を回収専用箱600(例えば600a)そのものとし、回収専用箱600に廃棄書類等の廃棄屑(図示せず)を満杯レベル又はその近傍に至るまで収容した後に梱包する。
そして、梱包された回収専用箱600の表面には屑量通信装置として機能する屑量通信タグ420を貼り付ける。ここで、屑量通信タグ420には、回収専用箱600を特定するための情報(管理番号、ユーザ名、箱サイズ、廃棄屑の種類など)と、回収専用箱600内に収容されている廃棄屑が満杯レベル(又はその近傍レベル)にあり、回収準備が完了していることを示す情報が書き込まれている。
このため、本例では、屑量通信タグ420が回収専用箱600内に廃棄屑が満杯レベル又はその近傍レベルにあることを、回収専用箱600を特定する情報と共に、管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、管理対象回収専用箱600に収容される廃棄屑の屑量レベルが満杯レベル又はその近傍に至った際に、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業を指示し、廃棄屑回収作業を迅速に実施させることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1(1a~1c)…管理対象物(管理対象シュレッダ),2…細断機構,3…対象認識手段,4…屑量認識手段,5…通信手段,6…通信制御手段,7…読取手段,8…メモリ,9…担当者特定器,10…個別端末,11…通信手段,12…取得手段,15…書類作成元,16…屑量通信装置,20…管理装置,21…通信手段,22…収集手段,23…判別手段,24…選定手段,25…作成手段,S…被細断物,W…回収作業者,X…ネットワーク