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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20220104BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220104BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220104BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612U
G09G3/20 632G
G09G3/20 641Q
G09G3/20 642D
G09G3/20 680E
G09G3/20 680H
G02F1/133 550
H04N5/66 102B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017068356
(22)【出願日】2017-03-30
(65)【公開番号】P2018169553
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520154173
【氏名又は名称】株式会社パソナナレッジパートナー
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神門 俊和
(72)【発明者】
【氏名】中西 英行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克浩
【審査官】斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0279749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G02F 1/133
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する表示装置であって、
第1画像を表示する第1表示パネルと、
第2画像を表示する第2表示パネルと、
入力映像信号に基づいて、前記第1画像に対応する第1画像データと、前記第2画像に対応する第2画像データとを生成する画像処理部と、
を含み、
前記画像処理部は、前記入力映像信号に基づく画像データにおいて輝度が変化する境界を検出する微分フィルタ処理を実行する第1微分フィルタ処理部と、前記第1微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データの階調に、所望の値に設定可能な補正係数を乗算する乗算部と、前記補正係数が乗算された画像データと前記入力映像信号に基づく前記画像データとを加算して得られた画像データに対して平滑化処理を実行する第1平滑化処理部と、を含み、
前記画像処理部は、前記入力映像信号と前記平滑化処理が施された画像データとに基づいて前記第1画像データを生成し、前記平滑化処理が施された画像データに基づいて前記第2画像データを生成する、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1平滑化処理部は、前記入力映像信号に基づく前記画像データに対して、正規分布となるフィルタ係数を有する平均値フィルタにより前記平滑化処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、さらに、前記入力映像信号に基づく前記画像データのピーク輝度と、前記第2画像データのピーク輝度とが等しくなるように前記補正係数を算出する補正係数算出部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2画像データの階調分布に、前記入力映像信号に基づく前記画像データのピーク輝度に略等しい第1領域と、前記第1領域の左右の第2領域であって、該ピーク輝度より高い輝度の第2領域とが含まれ、
前記第2画像データの階調分布において、前記第1領域及び前記第2領域を合わせた幅と、前記ピーク輝度の幅とが互いに略等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記補正係数算出部は、前記入力映像信号に基づく前記画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記補正係数算出部は、
前記入力映像信号に基づく前記画像データおいて前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、
前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、
前記入力映像信号に基づく前記画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、
前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、
前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、
を含み、
前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルのガンマ特性に応じて前記第1画像データの階調を決定する第1階調決定部と、
前記入力映像信号に基づいて、前記第2表示パネルのガンマ特性に応じて前記第2画像データの階調を決定する第2階調決定部と、
をさらに含み、
前記第1微分フィルタ処理部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行し、
前記補正係数算出部は、
前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、
前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、
前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、
前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部と、
前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、前記拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、
前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、
を含み、
前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数とし、
前記第1平滑化処理部は、前記乗算部により前記補正係数が乗算された画像データと、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データとを加算して得られた画像データに対して、前記平滑化処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルのガンマ特性に応じて前記第1画像データの階調を決定する第1階調決定部と、
前記入力映像信号に基づいて、前記第2表示パネルのガンマ特性に応じて前記第2画像データの階調を決定する第2階調決定部と、
をさらに含み、
前記第1微分フィルタ処理部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行し、
前記補正係数算出部は、
前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、
前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、
前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、
前記第2階調決定部により階調が決定される前の、前記入力映像信号に基づく前記画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部と、
前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、前記拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、
前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、
を含み、
前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数とし、
前記第1平滑化処理部は、前記乗算部により前記補正係数が乗算された画像データと、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データとを加算して得られた画像データに対して、前記平滑化処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記平滑化処理は、ガウシアンフィルタ処理である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置のコントラストを向上させる技術として、2枚の表示パネルを重ね合わせて、入力映像信号に基づいて、それぞれの表示パネルに画像を表示させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には例えば、前後に配置された2枚の表示パネルのうち前側(観察者側)の表示パネルにカラー画像を表示し、後側(バックライト側)の表示パネルに白黒画像を表示することにより、コントラストの向上を図るものである。また上記液晶表示装置では、視差による表示不良の低減を図るために、後側の表示パネルに供給する映像信号に対して、入力映像信号の信号レベルが高い部分を局所的に数画素分広げるスムージング処理(平滑化処理)を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-191269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の液晶表示装置では、m画素×m画素のスムージングサイズによりスムージング処理を行っているため、後側の表示パネルに出力する画像データに対応する輝度が、入力映像信号に対応する輝度より低くなり、表示品位が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の表示パネルを重ね合わせて構成された液晶表示装置において、輝度の低下を抑え表示品位の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示装置は、複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する表示装置であって、第1画像を表示する第1表示パネルと、第2画像を表示する第2表示パネルと、入力映像信号に基づいて、前記第1画像に対応する第1画像データと、前記第2画像に対応する第2画像データとを生成する画像処理部と、を含み、前記画像処理部は、前記入力映像信号に基づく画像データにおいて輝度が変化する境界を検出する微分フィルタ処理を実行する第1微分フィルタ処理部と、前記第1微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データの階調に、所望の値に設定可能な補正係数を乗算する乗算部と、前記補正係数が乗算された画像データと前記入力映像信号に基づく画像データとを加算して得られた画像データに対して平滑化処理を実行する第1平滑化処理部と、を含み、前記画像処理部は、前記入力映像信号に基づく画像データと前記平滑化処理が施された画像データとに基づいて前記第1画像データを生成し、前記平滑化処理が施された画像データに基づいて前記第2画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第1平滑化処理部は、前記入力映像信号に基づく画像データに対して、正規分布となるフィルタ係数を有する平均値フィルタにより前記平滑化処理を実行してもよい。
【0008】
本発明に係る液晶表示装置では、前記画像処理部は、さらに、前記入力映像信号に基づく画像データのピーク輝度と、前記第2画像データのピーク輝度とが等しくなるように前記補正係数を算出する補正係数算出部を含んでもよい。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2画像データの階調分布に、前記入力映像信号に基づく画像データのピーク輝度に略等しい第1領域と、前記第1領域の左右の第2領域であって、該ピーク輝度より高い輝度の第2領域とが含まれ、前記第2画像データの階調分布において、前記第1領域及び前記第2領域を合わせた幅と、前記ピーク輝度の幅とが互いに略等しくてもよい。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置では、前記補正係数算出部は、前記入力映像信号に基づく画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部を含んでもよい。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置では、前記補正係数算出部は、前記入力映像信号に基づく画像データおいて前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、前記入力映像信号に基づく画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、前記拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、を含み、前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数としてもよい。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置では、前記入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルのガンマ特性に応じて前記第1画像データの階調を決定する第1階調決定部と、前記入力映像信号に基づいて、前記第2表示パネルのガンマ特性に応じて前記第2画像データの階調を決定する第2階調決定部と、をさらに含み、前記第1微分フィルタ処理部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行し、前記補正係数算出部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部と、前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、前記拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、を含み、前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数とし、前記第1平滑化処理部は、前記乗算部により前記補正係数が乗算された画像データと、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データとを加算して得られた画像データに対して、前記平滑化処理を実行してもよい。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置では、前記入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルのガンマ特性に応じて前記第1画像データの階調を決定する第1階調決定部と、前記入力映像信号に基づいて、前記第2表示パネルのガンマ特性に応じて前記第2画像データの階調を決定する第2階調決定部と、をさらに含み、前記第1微分フィルタ処理部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行し、前記補正係数算出部は、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記微分フィルタ処理を実行する第2微分フィルタ処理部と、前記第2微分フィルタ処理部により前記微分フィルタ処理が施された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第2平滑化処理部と、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データに対して前記平滑化処理を実行する第3平滑化処理部と、前記第2階調決定部により階調が決定される前の、前記入力映像信号に基づく画像データに対して、注目画素と該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、該フィルタサイズ内で輝度の最大値を該注目画素の輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行する拡張フィルタ処理部と、前記第3平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調と、前記拡張フィルタ処理が施された画像データの階調とを加算する加算部と、前記加算された画像データの階調を、前記第2平滑化処理部により前記平滑化処理が施された画像データの階調で除算する除算部と、を含み、前記補正係数算出部は、前記除算部による算出結果を前記補正係数とし、前記第1平滑化処理部は、前記乗算部により前記補正係数が乗算された画像データと、前記第2階調決定部により階調が決定された画像データとを加算して得られた画像データに対して、前記平滑化処理を実行してもよい。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置では、前記平滑化処理は、ガウシアンフィルタ処理でもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る液晶表示装置によれば、複数の表示パネルを重ね合わせて構成された液晶表示装置において、輝度の低下を抑え表示品位の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る表示パネル100の概略構成を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る表示パネル200の概略構成を示す平面図である。
図4図2及び図3のA-A´断面図である。
図5】本実施形態に係る液晶表示装置の画素配置の他の例を示す平面図である。
図6】本実施形態に係る画像処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
図7】入力階調と出力階調との関係を示すグラフである。
図8】ガウシアンフィルタの一例を示す図である。
図9図8に示すガウシアンフィルタの中心位置に対応するフィルタ係数の二次元分布(正規分布)を示すグラフである。
図10】本実施形態に係る画像処理部の他の構成を示すブロック図である。
図11】(a)は入力画像Aの階調を示す図であり、(b)は入力画像Aに対する第2画像(出力画像)の階調を示す図である。
図12】(a)は入力画像Bの階調を示す図であり、(b)は入力画像Bに対する第2画像(出力画像)の階調を示す図である。
図13】本実施形態に係る画像処理部の他の構成を示すブロック図である。
図14】(a)は入力画像Bの階調を示す図であり、(b)は入力画像Bに対する第2画像(出力画像)の階調を示す図である。
図15】本実施形態に係る画像処理部の他の構成を示すブロック図である。
図16】(a)は輝点画像を示す図であり、(b)は(a)に示す輝点画像を画像処理部に入力したときのゲイン係数の分布を示すグラフである。
図17】(a)は輝線画像を示す図であり、(b)は(a)に示す輝線画像の輝線階調と背景階調とを示す図であり、(c)は(a)に示す輝線画像を画像処理部に入力したときのゲイン係数の分布を示すグラフである。
図18】(a)は第1画像を示す図であり、(b)は第2画像を示す図である。
図19】第1画像及び第2画像を合成した合成画像(表示画像)を示す図である。
図20】(a)は輝線画像の輝線階調と背景階調とを示す図であり、(b)はゲイン係数の分布を示すグラフである。
図21】(a)は第1画像を示す図であり、(b)は第2画像を示す図である。
図22】第1画像及び第2画像を合成した合成画像(表示画像)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。本実施形態に係る液晶表示装置は、画像を表示する複数の表示パネルと、それぞれの表示パネルを駆動する複数の駆動回路(複数のソースドライバ、複数のゲートドライバ)と、それぞれの駆動回路を制御する複数のタイミングコントローラと、外部から入力される入力映像信号に対して画像処理を行い、それぞれのタイミングコントローラに画像データを出力する画像処理部と、複数の表示パネルに背面側から光を照射するバックライトと、を含んでいる。表示パネルの数は限定されず2枚以上であればよい。また複数の表示パネルは、観察者側から見て前後方向に互いに重ね合わされて配置されており、それぞれが画像を表示する。以下では、2枚の表示パネルを備える液晶表示装置10を例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置10の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、液晶表示装置10は、観察者に近い位置(前側)に配置された表示パネル100と、表示パネル100より観察者から遠い位置(後側)に配置された表示パネル200と、表示パネル100に設けられた第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130と、第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130を制御する第1タイミングコントローラ140と、表示パネル200に設けられた第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230と、第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230を制御する第2タイミングコントローラ240と、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に画像データを出力する画像処理部300と、を含んでいる。表示パネル100は入力映像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域110に表示し、表示パネル200は入力映像信号に応じた白黒画像を第2画像表示領域210に表示する。画像処理部300は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、後述する画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ140に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ240に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部300は、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に同期信号等の制御信号(図1では省略)を出力する。第1画像データDAT1はカラー画像表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は白黒画像表示用の画像データである。尚、液晶表示装置10は、表示パネル100が白黒画像を第1画像表示領域110に表示し、表示パネル200がカラー画像を第2画像表示領域210に表示する構成であってもよい。バックライト(図1では省略)は、表示パネル200の背面側に配置されている。画像処理部300の具体的な構成は後述する。
【0019】
図2は表示パネル100の概略構成を示す平面図であり、図3は表示パネル200の概略構成を示す平面図である。図4は、図2及び図3のA-A´断面図である。
【0020】
図2及び図4を用いて、表示パネル100の構成について説明する。図4に示すように、表示パネル100は、バックライト400側に配置された薄膜トランジスタ基板101と、観察者側に配置され、薄膜トランジスタ基板101に対向する対向基板102と、薄膜トランジスタ基板101及び対向基板102の間に配置された液晶層103と、を含んでいる。表示パネル100のバックライト400側には偏光板104が配置されており、観察者側には偏光板105が配置されている。
【0021】
薄膜トランジスタ基板101には、図2に示すように、第1方向(例えば列方向)に延在する複数のデータ線111(ソース線)と、第1方向とは異なる第2方向(例えば行方向)に延在する複数のゲート線112とが形成され、複数のデータ線111と複数のゲート線112とのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタ113(TFT)が形成されている。表示パネル100を平面的に見て、隣り合う2本のデータ線111と隣り合う2本のゲート線112とにより囲まれる領域が1つの画素114として規定され、該画素114がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のデータ線111は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線112は、列方向に等間隔で配置されている。薄膜トランジスタ基板101には、画素114ごとに画素電極115が形成されており、複数の画素114に共通する1つの共通電極(図示せず)が形成されている。薄膜トランジスタ113を構成するドレイン電極はデータ線111に電気的に接続され、ソース電極は画素電極115に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線112に電気的に接続されている。
【0022】
図4に示すように、対向基板102には、各画素114に対応して複数のカラーフィルタ102a(着色層)が形成されている。各カラーフィルタ102aは、光の透過を遮断するブラックマトリクス102bで囲まれており、例えば矩形状に形成されている。また、複数のカラーフィルタ102aは、赤色(R色)の材料で形成され、赤色の光を透過する赤色カラーフィルタと、緑色(G色)の材料で形成され、緑色の光を透過する緑色カラーフィルタと、青色(B色)の材料で形成され、青色の光を透過する青色カラーフィルタと、を含んでいる。赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、及び青色カラーフィルタは、行方向にこの順に繰り返し配列され、同一色のカラーフィルタが列方向に配列され、行方向及び列方向に隣り合うカラーフィルタ102aの境界部分にブラックマトリクス102bが形成されている。各カラーフィルタ102aに対応して、複数の画素114は、図2に示すように、赤色カラーフィルタに対応する赤色画素114Rと、緑色カラーフィルタに対応する緑色画素114Gと、青色カラーフィルタに対応する青色画素114Bと、を含んでいる。尚、表示パネル100では、1つの赤色画素114R、1つの緑色画素114G及び1つの青色画素114Bを含んで1つの画素グループ124を構成し、複数の画素グループ124がマトリクス状に配置されている。
【0023】
第1タイミングコントローラ140は、周知の構成を備えている。例えば第1タイミングコントローラ140は、画像処理部300から出力される第1画像データDAT1と第1制御信号CS1(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第1画像データDA1と、第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP1、データクロックDCK1、ゲートスタートパルスGSP1、ゲートクロックGCK1)とを生成する(図2参照)。第1タイミングコントローラ140は、第1画像データDA1と、データスタートパルスDSP1と、データクロックDCK1とを第1ソースドライバ120に出力し、ゲートスタートパルスGSP1とゲートクロックGCK1とを第1ゲートドライバ130に出力する。
【0024】
第1ソースドライバ120は、データスタートパルスDSP1及びデータクロックDCK1に基づいて、第1画像データDA1に応じたデータ信号(データ電圧)をデータ線111に出力する。第1ゲートドライバ130は、ゲートスタートパルスGSP1及びゲートクロックGCK1に基づいて、ゲート信号(ゲート電圧)をゲート線112に出力する。
【0025】
各データ線111には、第1ソースドライバ120からデータ電圧が供給され、各ゲート線112には、第1ゲートドライバ130からゲート電圧が供給される。共通電極には、コモンドライバ(図示せず)から共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線112に供給されると、ゲート線112に接続された薄膜トランジスタ113がオンし、薄膜トランジスタ113に接続されたデータ線111を介して、データ電圧が画素電極115に供給される。画素電極115に供給されたデータ電圧と、共通電極に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶を駆動してバックライト400の光の透過率を制御することによって画像表示を行う。表示パネル100では、赤色画素114R、緑色画素114G、青色画素114Bそれぞれの画素電極115に接続されたデータ線111に、所望のデータ電圧を供給することにより、カラー画像表示が行われる。尚、表示パネル100は、周知の構成を適用することができる。
【0026】
次に、図3及び図4を用いて、表示パネル200の構成について説明する。図4に示すように、表示パネル200は、バックライト400側に配置された薄膜トランジスタ基板201と、観察者側に配置され、薄膜トランジスタ基板201に対向する対向基板202と、薄膜トランジスタ基板201及び対向基板202の間に配置された液晶層203と、を含んでいる。表示パネル200のバックライト400側には偏光板204が配置されており、観察者側には偏光板205が配置されている。表示パネル100の偏光板104と、表示パネル200の偏光板205との間には、拡散シート301又は接着シートが配置されている。
【0027】
薄膜トランジスタ基板201には、図3に示すように、列方向に延在する複数のデータ線211(ソース線)と、行方向に延在する複数のゲート線212とが形成され、複数のデータ線211と複数のゲート線212とのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタ213が形成されている。表示パネル200を平面的に見て、隣り合う2本のデータ線211と隣り合う2本のゲート線212とにより囲まれる領域が1つの画素214として規定され、該画素214がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のデータ線211は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線212は、列方向に等間隔で配置されている。薄膜トランジスタ基板201には、画素214ごとに画素電極215が形成されており、複数の画素214に共通する1つの共通電極(図示せず)が形成されている。薄膜トランジスタ213を構成するドレイン電極はデータ線211に電気的に接続され、ソース電極は画素電極215に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線212に電気的に接続されている。表示パネル100の各画素114と、表示パネル200の各画素214とは、互いに1対1の関係で配置されており、平面視で互いに重なっている。例えば、図2に示す画素グループ124を構成する赤色画素114R、緑色画素114G及び青色画素114Bそれぞれと、図3に示す3個の画素214それぞれとが平面視で重なっている。尚、表示パネル100の画素114と、表示パネル200の画素214とは、互いに3対1の関係で配置されてもよい。例えば図5に示すように、表示パネル100の赤色画素114R、緑色画素114G及び青色画素114Bで構成される1個の画素グループ124(図5(a)参照)と、表示パネル200の1個の画素214(図5(b)参照)とが平面視で重なっていてもよい。
【0028】
図4に示すように、対向基板202には、各画素214の境界部分に対応する位置に、光の透過を遮断するブラックマトリクス202bが形成されている。ブラックマトリクス202bで囲まれた領域202aには、カラーフィルタは形成されておらず、例えばオーバーコート膜が形成されている。
【0029】
第2タイミングコントローラ240は、周知の構成を備えている。例えば第2タイミングコントローラ240は、画像処理部300から出力される第2画像データDAT2と第2制御信号CS2(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第2画像データDA2と、第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP2、データクロックDCK2、ゲートスタートパルスGSP2、ゲートクロックGCK2)とを生成する(図3参照)。第2タイミングコントローラ240は、第2画像データDA2と、データスタートパルスDSP2と、データクロックDCK2とを第2ソースドライバ220に出力し、ゲートスタートパルスGSP2とゲートクロックGCK2とを第2ゲートドライバ230に出力する。
【0030】
第2ソースドライバ220は、データスタートパルスDSP2及びデータクロックDCK2に基づいて、第2画像データDA2に応じたデータ電圧をデータ線211に出力する。第2ゲートドライバ230は、ゲートスタートパルスGSP2及びゲートクロックGCK2に基づいて、ゲート電圧をゲート線212に出力する。
【0031】
各データ線211には、第2ソースドライバ220からデータ電圧が供給され、各ゲート線212には、第2ゲートドライバ230からゲート電圧が供給される。共通電極には、コモンドライバから共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線212に供給されると、ゲート線212に接続された薄膜トランジスタ213がオンし、薄膜トランジスタ213に接続されたデータ線211を介して、データ電圧が画素電極215に供給される。画素電極215に供給されたデータ電圧と、共通電極に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶を駆動してバックライト400の光の透過率を制御することによって画像表示を行う。表示パネル200では、白黒画像表示が行われる。尚、表示パネル200は、周知の構成を適用することができる。
【0032】
図6は、画像処理部300の具体的な構成を示すブロック図である。画像処理部300は、第1階調決定部311(第1画像データ生成部)と、第1画像出力部312と、第2画像データ生成部321と、第2階調決定部322と、微分フィルタ処理部323(第1微分フィルタ処理部)と、乗算部324と、加算部325と、ガウシアンフィルタ処理部326(第1平滑化処理部)と、第2画像出力部327と、を含んでいる。画像処理部300は、入力映像信号Dataに基づいて後述する画像処理を行い、例えば、表示パネル100用のカラー画像の第1画像データDAT1と、表示パネル200用の白黒画像の第2画像データDAT2とを生成する。また、画像処理部300は、カラー画像と白黒画像とを合成した表示画像の合成ガンマ値(γ値)が所望の値(例えばγ=2.2)になるように、第1画像データDAT1の階調(第1階調)と、第2画像データDAT2の階調(第2階調)とを決定する。
【0033】
画像処理部300は、外部のシステムから送信された入力映像信号Dataを受信すると、入力映像信号Dataを、第1階調決定部311と第2画像データ生成部321とに転送する。尚、入力映像信号Dataは、例えば輝度情報(階調情報)と色情報とを含んでいる。色情報は、色を指定するための情報であり、例えば、入力映像信号Dataが8ビットの場合、R色、G色、B色を含む複数色それぞれの色を0~255の値で表すことができる。上記複数色には、少なくともR色、G色及びB色を含み、さらにW(白)色及び/又はY(黄)色が含まれてもよい。上記複数色がR色、G色及びB色である場合、入力映像信号Dataの色情報は、「RGB値」([R値,G値,B値])で表される。例えば、入力映像信号Dataに対応する色が「白」の場合、「RGB値」は[255,255,255]で表され、入力映像信号Dataに対応する色が「赤」の場合、「RGB値」は[255,0,0]で表され、入力映像信号Dataに対応する色が「黒」の場合、「RGB値」は[0,0,0]で表される。
【0034】
第2画像データ生成部321は、入力映像信号Dataを取得すると、入力映像信号Dataの色情報を示す各色の値(ここではRGB値:[R値,G値,B値])のうち最大値(R値、G値又はB値)を用いて白黒画像に対応する白黒画像データを生成する。具体的には、第2画像データ生成部321は、注目画素214に対応するRGB値において、該RGB値のうち最大値を注目画素214の値に設定することにより白黒画像データを生成する。第2画像データ生成部321は、生成した白黒画像データを第2階調決定部322に出力する。
【0035】
第2階調決定部322は、生成された白黒画像データを取得すると、階調テーブル(階調LUT)を参照して、白黒画像データに対応する階調(第2階調)を決定する(第2ガンマ処理)。例えば、第2階調決定部322は、表示パネル200用のガンマ特性に基づいて白黒画像の階調を決定する。表示パネル200用のガンマ特性は、例えば図7に示すように、入力階調が所定階調(64階調)以下の領域では出力階調が入力階調に応じて変化し、入力階調が所定階調(64階調)より高い領域では出力階調が256階調となる特性を有する。第2階調決定部322は、上記第2ガンマ処理を施した白黒画像データを、微分フィルタ処理部323と加算部325とに出力する。
【0036】
微分フィルタ処理部323は、第2階調決定部322から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、輝度が大きく変化する境界(エッジ)を検出(強調)する微分フィルタ処理(エッジ検出処理ともいう。)を実行する。微分フィルタ処理部323は、例えばPrewittフィルタ又はSobelフィルタを用いて上記微分フィルタ処理を行う。上記微分フィルタ処理によれば、低周波成分が削除されるため輝度変化が大きいエッジを強調することができる。また上記微分フィルタ処理は、周知の方法を適用することができる。微分フィルタ処理部323は、上記微分フィルタ処理を施した白黒画像データを乗算部324に出力する。
【0037】
乗算部324は、微分フィルタ処理部323から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データの階調にゲイン係数GF(補正係数)を乗算する(乗算処理)。白黒画像データの階調にゲイン係数GFを乗算することにより、該階調が増大する。ゲイン係数GFは、後述する式(4)により算出される値であり、線形変化が可能に制御され、所望の値に設定される。乗算部324は、上記乗算処理した白黒画像データを加算部325に出力する。
【0038】
加算部325は、第2階調決定部322から取得した白黒画像データと、乗算部324から取得した白黒画像データとを加算して、ガウシアンフィルタ処理部326に出力する。
【0039】
ガウシアンフィルタ処理部326は、加算部325から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、ガウシアンフィルタ処理を実行する。ガウシアンフィルタ処理とは、例えば、注目画素に近いほど平均値を計算するときのフィルタ係数の重みが大きくなり、注目画素から遠くなるほど上記フィルタ係数の重みが小さくなるような正規分布(以下の関数式(1)参照)の特性を有するガウシアンフィルタ(平均値フィルタ)を用いて、画像を平滑化する処理(平滑化処理)をいう。
【数1】
【0040】
ガウシアンフィルタ処理部326は、例えば、図8に示す27×27画素領域(フィルタサイズ)のフィルタを用いてガウシアンフィルタ処理を実行する。図9は、図8に示すフィルタ(ガウシアンフィルタ)の中心位置に対応するフィルタ係数の二次元分布(正規分布)を示すグラフである。尚、図8に示すフィルタは、上記式(1)の分散係数σが4.2に設定され、各画素214に対応するフィルタ係数の総和が214に設定されている。例えば、ガウシアンフィルタ処理部326は、加算部325から取得した白黒画像データにおいて、注目画素と注目画素の上下左右13画素(参照画素)とを含む27×27画素のそれぞれの階調に、図8に示すフィルタのフィルタ係数を掛けた値の総和を214で割って算出された結果を、注目画素の階調に決定する。ガウシアンフィルタ処理部326は、全ての画素214に対して上記ガウシアンフィルタ処理を実行した後、上記ガウシアンフィルタ処理を施した白黒画像データを第1階調決定部311と第2画像出力部327とに出力する。
【0041】
第1階調決定部311は、外部のシステムから受信した入力映像信号Dataと、ガウシアンフィルタ処理部326から取得した白黒画像データとに基づいて、表示パネル100で表示するカラー画像に対応する階調(第1階調)を決定する(第1ガンマ処理)。例えば、第1階調決定部311は、白黒画像とカラー画像とを合成した合成画像(表示画像)の合成ガンマ値が2.2になるように、カラー画像の階調を決定する。第1階調決定部311は、上記第1ガンマ処理を施したカラー画像データを第1画像出力部312に出力する。
【0042】
第1画像出力部312は、カラー画像データ(第1階調)を第1画像データDAT1として第1タイミングコントローラ140に出力し、第2画像出力部327は、白黒画像データ(第2階調)を第2画像データDAT2として第2タイミングコントローラ240に出力する。また画像処理部300は、第1タイミングコントローラ140に第1制御信号CS1を出力し、第2タイミングコントローラ240に第2制御信号CS2を出力する(図2及び図3)。
【0043】
ここで、図9に示す正規分布において、分布の範囲が広く、分布の端部(裾野)がフィルタサイズを超える場合、第2画像において、注目画素の階調が目標階調より高くなり、白黒(明暗)の画像が逆転する現象が起こり得る。尚、正規分布の端部は、フィルタ係数が最小値(例えば「0」~「2」)となる部分に相当する。また正規分布は、正規分布関数(上記式(1))の分散係数σに応じて変化する。このため、本実施形態では、図9に示すように、正規分布の端部がフィルタサイズに収まるように、フィルタサイズに応じて分散係数σを決定することが好ましい。これにより、第2画像の明暗の画像が逆転することを防ぐことができる。
【0044】
次に、図6に示すゲイン係数GFを算出するための方法について説明する。ゲイン係数GFは、入力映像信号Dataに対応する入力画像(ここでは第2階調決定部322により決定された階調)のピーク輝度(ピーク階調)と、第2画像データDAT2に対応する第2画像(白黒画像)のピーク輝度(ピーク階調)とが一致するように設定される(以下の式(2)参照)。
入力画像のピーク輝度=第2画像のピーク輝度 ・・・(2)
【0045】
上記式(2)において、第2画像のピーク輝度は、図6に示す構成に対応する以下の式(3)で表される。
第2画像のピーク輝度=(入力画像のピーク輝度×微分フィルタ処理×ゲイン係数GF+入力画像のピーク輝度)×ガウシアンフィルタ処理 ・・・(3)
【0046】
上記式(3)を、ゲイン係数GFについて求めると、以下の式(4)となる。
ゲイン係数GF=(入力画像のピーク輝度-入力画像のピーク輝度×ガウシアンフィルタ処理)/(入力画像のピーク輝度×微分フィルタ処理×ガウシアンフィルタ処理) ・・・(4)
【0047】
図10は、図6に示す画像処理部300にゲイン係数算出部330(補正係数算出部)を追加したブロック図である。ゲイン係数算出部330は、上記式(4)に対応する構成を表している。すなわち、ゲイン係数算出部330は、微分フィルタ処理部331(第2微分フィルタ処理部)と、ガウシアンフィルタ処理部332(第2平滑化処理部)と、ガウシアンフィルタ処理部333(第3平滑化処理部)と、加算部334と、除算部335とを含んでいる。微分フィルタ処理部331は、微分フィルタ処理部323と同じ機能を有し、ガウシアンフィルタ処理部332、333は、ガウシアンフィルタ処理部326と同じ機能を有する。
【0048】
微分フィルタ処理部331は、微分フィルタ処理部323と同様に、第2階調決定部322から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、上記微分フィルタ処理(エッジ検出処理)を実行する。微分フィルタ処理部331は、上記微分フィルタ処理を施した白黒画像データをガウシアンフィルタ処理部332に出力する。ガウシアンフィルタ処理部332は、微分フィルタ処理部331から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、上記ガウシアンフィルタ処理を実行する。ガウシアンフィルタ処理部332は、上記ガウシアンフィルタ処理を施した白黒画像データを除算部335に出力する。
【0049】
ガウシアンフィルタ処理部333は、第2階調決定部322から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、上記ガウシアンフィルタ処理を実行する。ガウシアンフィルタ処理部333は、上記ガウシアンフィルタ処理を施した白黒画像データを加算部334に出力する。
【0050】
加算部334は、第2階調決定部322から出力された白黒画像データの階調から、上記ガウシアンフィルタ処理を施した白黒画像データの階調を減算し、減算結果を除算部335に出力する。
【0051】
除算部335は、減算結果(階調)を、ガウシアンフィルタ処理部332により上記ガウシアンフィルタ処理が施された白黒画像データの階調で除算する。除算部335は、除算結果をゲイン係数GFとして乗算部324に出力する。
【0052】
上記構成を有する画像処理部300における、入力画像及び出力画像の一例について説明する。図11(a)は、上記入力画像(第2階調決定部322により決定された階調)の一例(入力画像A)を示している。入力画像Aは、1個又は複数個の画素214が200階調(ピーク輝度)であり、その周囲(背景)の画素214が30階調である微小輝点画像を示している。図11(b)は、入力画像Aに対する第2画像(出力画像)を示している。図10に示す画像処理部300によれば、図11(b)に示すように、第2画像のピーク輝度は入力画像Aのピーク輝度と等しくなる。よって、微小輝点画像や微小輝線画像において、目標の輝度を得ることができる。
【0053】
ここで、上記入力画像が、図12(a)の入力画像Bに示すような、20個の画素214が200階調(ピーク輝度)であり、その周囲(背景)の画素214が30階調である輝点画像(入力画像B)の場合、第2画像(出力画像)のピーク輝度は入力画像Bのピーク輝度と等しくなるが、高輝度領域の幅Wが広がらない(若しくは狭くなる)ため視差による表示不良を十分に低減することが難しい。そこで、上記視差の問題を解消するために、図13に示すように、ゲイン係数算出部330が拡張フィルタ処理部341を含むことが好ましい。図13は、本実施形態に係る画像処理部300の他の構成を示している。図13に示す画像処理部300は、図10に示す画像処理部300と比較して、拡張フィルタ処理部341が追加されており、その他の構成は同一である。
【0054】
拡張フィルタ処理部341は、第2階調決定部322から白黒画像データを取得すると、該白黒画像データに対して、拡張フィルタ処理を実行する。具体的には、拡張フィルタ処理部341は、各画素214(注目画素)について、所定のフィルタサイズ(例えば13画素×13画素)内の輝度の最大値をその画素(注目画素)の輝度に設定する処理(拡張フィルタ処理)を実行する。上記拡張フィルタ処理により、全体的に高輝度領域(例えば白色領域)が拡張する。尚、フィルタサイズは、13×13画素領域に限定されず、またフィルタ形状は、正方形に限定されず円形でもよい。
【0055】
図14(a)は、図12(a)と同じ入力画像Bを示している。図14(b)は、図13に示す画像処理部300における、入力画像Bに対する第2画像(出力画像)を示している。図14(b)に示すように、第2画像の階調分布には、入力画像Bのピーク輝度(200階調)に略等しい第1領域a1と、第1領域の左右の第2領域a2であって、ピーク輝度(200階調)より高い輝度の第2領域とが含まれている。また第1領域及び第2領域を合わせた幅が、入力画像Bのピーク輝度の幅W1と略等しくなっており、さらに30階調~200階調の高輝度領域が拡張されている。このように、図13に示す画像処理部300によれば、図14(b)に示すように、第2画像のピーク輝度が入力画像Bのピーク輝度と等しいか若しくはそれ以上となり、また高輝度領域の幅が広がる。よって、幅のある輝点画像や輝線画像において、所望の輝度を得ることができるとともに、視差の問題を解消することができる。
【0056】
図15は、画像処理部300のさらに他の構成を示すブロックである。図15に示す画像処理部300は、図13に示す画像処理部300と比較して、拡張フィルタ処理部341に入力される入力データが異なっており、その他の構成は同一である。図15に示す画像処理部300では、第2階調決定部322による上記第2ガンマ処理を実行する前の画像データ、すなわち、第2画像データ生成部321により生成された白黒画像データが、拡張フィルタ処理部341に入力される。図16(b)は、1個の画素214(注目画素)がピーク輝度となる輝点画像(図16(a)参照)を入力したときの、注目画素におけるゲイン係数GFの分布を示すグラフである。尚、図16(a)において、「1」は輝点部分を示し、「0」は背景部分を示している。図16(b)に示すように、輝点部分の階調が高く、背景部分の階調が低いほど、ゲイン係数GFが大きくなることが分かる。
【0057】
図17(a)は、1列の画素214がピーク輝度となる輝線とその周囲の背景とからなる輝線画像(入力画像)を示し、図17(b)は、入力画像の輝線階調(100階調)と背景階調(30階調)の一例を示している。図17(c)は、図17(a)の輝線画像を入力したときの注目画素におけるゲイン係数GFの分布を示すグラフである。図17(b)の画像(第2階調決定部322により決定される前の階調)を入力すると、図17(c)に示す分布により、ゲイン係数GFは0.00となる。図15に示す画像処理部300において、ゲイン係数GFが算出(GF=0.00)されると、図18(b)に示す第2画像が生成される。また生成された第2画像に基づき、図18(a)に示す第1画像が生成される。ゲイン係数GFが0.00の場合、第2画像は、第2階調決定部322で決定された白黒画像データに対してガウシアンフィルタ処理を実行して得られる画像となるため、階調が略一定(フラット)の画像となる(図18(b)参照)。この場合、第1画像では、第2画像で不足する分の輝度を補って、ピーク輝度が135階調となる(図18(a)参照)。図19(a)は、第1画像及び第2画像を合成した合成画像(表示画像)を示している。図19(a)に示すように、正面方向から見たときは、合成画像のピーク輝度は入力画像(図17(a)参照)のピーク輝度と等しくなる。また、図19(b)に示すように、斜め方向から見たときも、合成画像のピーク輝度は入力画像(図17(a)参照)のピーク輝度と等しくなる。また、図19(b)に示すように、フレア部の出現を最小限に抑えることができる。
【0058】
図20(a)は、図17(a)に示す輝線画像(入力画像)の輝線階調を200とし、背景階調を10としたときの入力画像(第2階調決定部322により決定される前の階調)を示している。図20(b)は、図17(c)と同じゲイン係数の分布を示している。図20(b)に示す分布において、図20(a)の画像を入力すると、ゲイン係数GFは0.523となる。図15に示す画像処理部300において、ゲイン係数GFが算出(GF=0.523)されると、図21(b)に示す第2画像が生成される。また生成された第2画像に基づき、図21(a)に示す第1画像が生成される。第1画像では、第2画像で不足する分の輝度が割り当てられ、ピーク輝度が255階調となる。尚、これは、第1画像で輝度補正が可能な最大値が選ばれるようにゲイン係数GFが算出されることを意味する。図22(a)及び図22(b)は、第1画像及び第2画像を合成した合成画像(表示画像)を示している。図22(b)に示すように、斜め方向から見たときは、合成画像のピーク輝度が入力画像(図20(b)参照)のピーク輝度より低くなるものの、図22(a)に示すように、正面方向から見たときは、合成画像のピーク輝度は入力画像(図20(b)参照)のピーク輝度と等しくなる。また図20(a)に示す輝線画像の場合、第1画像が255階調の限界点に到達するまで輝度補正を行うこととなるが、255階調を超えて補正できない輝度分は第2画像で輝度を確保することとなる。このため、図22(b)に示すように、フレア部が僅かに残ることとなる。但し、フレア部は、表示品位の低下を招かない程度に抑えることができる。
【0059】
ここで、合成画像(表示画像)の階調は、(第1画像の階調)×(第2画像の階調)/255階調で表される。このため、第2画像の階調を低くし過ぎると第1画像の階調が上がり過ぎて調整できなくなる。また、第2画像の階調変化が急峻になると、合成画像にフレア部が視認され易くなる。この点、上記構成によれば、画像処理部300は、第2画像の階調を略一定(フラット)にしつつ、第2画像で輝度が足りない分を第1画像で補うように、第1画像の階調と第2画像の階調とを適切に分担させることにより、輝点の輝度を確保しつつフレア部の出現を最小限に抑えることができる。
【0060】
本発明の液晶表示装置10は上記構成に限定されない。例えば、上記構成では、第1平滑化処理部による平滑化処理の一例として、正規分布関数(式(1)参照)を用いたガウシアンフィルタ処理を挙げたが、平滑化処理はこれに限定されず、ハニング窓、フラットトップ窓、ブラックマン・ハリス窓、カイザー・ベッセル窓等の窓関数を用いた処理や、単純な円錐形状のフィルタを用いた処理であってもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
10 液晶表示装置、100,200 表示パネル、120 第1ソースドライバ、130 第1ゲートドライバ、140 第1タイミングコントローラ、220 第2ソースドライバ、230 第2ゲートドライバ、240 第2タイミングコントローラ、300 画像処理部、311 第1階調決定部、312 第1画像出力部、321 第2画像データ生成部、322 第2階調決定部、323,331 微分フィルタ処理部、324 乗算部、325,334 加算部、326,332,333 ガウシアンフィルタ処理部、327 第2画像出力部、330 ゲイン係数算出部、335 除算部、341 拡張フィルタ処理部。
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