(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】苗木の袋詰め補助具
(51)【国際特許分類】
A01G 23/04 20060101AFI20220104BHJP
B65B 25/04 20060101ALI20220104BHJP
B65B 67/12 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A01G23/04 503A
A01G23/04 503Z
B65B25/04 B
B65B67/12 B
(21)【出願番号】P 2017091026
(22)【出願日】2017-05-01
【審査請求日】2020-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】516160636
【氏名又は名称】長倉 良守
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】長倉 良守
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-085508(JP,A)
【文献】特開2000-085732(JP,A)
【文献】実開平03-056506(JP,U)
【文献】実公昭39-008889(JP,Y1)
【文献】米国特許第04939865(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00-23/14
B65B 25/02-25/04
B65B 67/00-67/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の苗木の根鉢を一方端側に揃えて袋詰めするための補助具であって、
長手方向に貫通する筒状
体には長手方向に沿って少なくとも1本の苗木の根鉢と枝が挿通可能な大きさのスリットが形成され
、
長手方向に形成された前記スリットは蓋部材により開閉可能であり、
前記苗木の袋詰め補助具は、閉鎖保持手段により前記スリットの閉鎖状態が保持された状態で下方端部が平坦な円環を成し、該下方端部に袋が被せられた状態で苗木ごと自立可能になっている苗木の袋詰め補助具。
【請求項2】
前記スリットは、前記筒状体の長手方向の両端部に連続して切り欠かれていることを特徴とする請求項
1に記載の苗木の袋詰め補助具。
【請求項3】
前記筒状体は、アルミで形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の苗木の袋詰め補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗木を袋詰めする際に使用する補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
挿し木による山林樹木の育苗は、木材生産用に適しており、スギの生産等に用いられる。このような挿し木による山林樹木の育苗技術として、例えば、特許文献1に示されるようなものが開発されている。特許文献1に示される山林樹木の育苗技術は、苗木を室内において製造する方法であり、採穂園から採穂した穂木を挿し木し、該穂木から発根がなされた後に根の伸長を促進させる根伸長工程を行うことにより、根鉢(根と土が塊状となったもの)の形成が促進される。このようにして植樹可能な状態にまで育成された苗木は、複数本(例えば30本)をセットにして袋詰めされて出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-172685号公報(第5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような袋詰め作業にあっては、袋の上部開口から複数の苗木を順次袋詰めするようになっているため、袋内に先行して収納した苗木の枝が後続の苗木を袋に収容する作業時に邪魔になり、かかる作業が煩雑であるとともに、苗木を傷付けてしまう虞があった。また、先行して収納した苗木の枝が邪魔になることで、後続の苗木の根鉢を先行して収納した苗木の根鉢に近付けて配置することが困難であり、袋に対して効率よく苗木を収容できなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、根鉢を整頓した状態で、且つ苗木を傷つけることなく簡便に苗木の袋詰め作業を行うことができる苗木の袋詰め補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の苗木の袋詰め補助具は、
複数の苗木の根鉢を一方端側に揃えて袋詰めするための補助具であって、
長手方向に貫通する筒状体には長手方向に沿って少なくとも1本の苗木の根鉢と枝が挿通可能な大きさのスリットが形成され、
長手方向に形成された前記スリットは蓋部材により開閉可能であり、
前記苗木の袋詰め補助具は、閉鎖保持手段により前記スリットの閉鎖状態が保持された状態で下方端部が平坦な円環を成し、該下方端部に袋が被せられた状態で苗木ごと自立可能になっていることを特徴としている。
この特徴によれば、苗木の袋詰め補助具を構成する筒状体内に側方からスリットを介して苗木を挿入し、筒状体に袋を被せた状態で袋から筒状体を引き抜くことで該筒状体の長手方向の一方から苗木が通過して袋内に収容されるため、苗木の根鉢を整頓した状態で配置することができるとともに、苗木を傷つけることなく簡便に袋詰め作業を行うことができる。
【0008】
前記スリットは、前記筒状体の長手方向の両端部に連続して切り欠かれていることを特徴としている。
この特徴によれば、苗木の枝や幹に干渉させずに袋から筒状体を引き抜くことができる。
【0011】
前記筒状体は、アルミで形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状体の剛性を確保しつつ、軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は実施例1における苗木の袋詰め補助具の閉鎖状態を示す斜視図、(b)は補助具の開放状態を示す斜視図である。
【
図2】補助具内に苗木を配置する様子を示す斜視図である。
【
図3】(a)~(c)は苗木の根鉢を積み重ねて配置する手順の一例を示す概略図である。
【
図4】先に筒状体内に収容した苗木を避けて後続の苗木を収容する様子を示す破断拡大図である。
【
図5】(a)は補助具内に苗木を配置した状態を示す斜視図、(b)は苗木を配置した補助具を閉鎖状態とした斜視図である。
【
図6】(a)は
図5(b)の状態から補助具に袋をセットした状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から補助具を立設させた状態を示す斜視図である。
【
図7】(a)は補助具を袋から引き抜く様子を示す斜視図、(b)は苗木の袋詰めが完了した状態を示す斜視図である。
【
図9】(a)は変形例における閉鎖保持手段を用いて苗木を緩めに保持する形態を示す底面図、(b)は同じく苗木をきつめに保持する形態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る苗木の袋詰め補助具を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る苗木の袋詰め補助具につき、
図1から
図7を参照して説明する。
【0015】
図7(b)に示されるように、本実施例の苗木の袋詰め補助具1(以下、単に補助具1という)は、ポットやコンテナに挿し木することにより植樹可能となった苗木Nを複数本(例えば、30本)をセットにして袋詰めして出荷する場合において、その袋詰め作業に用いられるものである。尚、袋詰めする苗木Nの本数は適宜変更できる。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、補助具1は、長手方向に貫通した略円柱状の筒状体2と、筒状体2のスリット3を開閉可能な蓋部材4と、蓋部材4の閉鎖状態を保持する閉鎖保持手段6と、を主に備えている。
【0017】
筒状体2は、略円筒状のアルミ材により形成されており、該筒状体2の長手方向両端部に設けられた貫通孔21,22に連続するように長手方向に沿って切り欠かれたスリット3が形成されている。すなわち、筒状体2は、該筒状体2の端部側(貫通孔21,22側)から見て略C字形状を成している。スリット3は、苗木Nの枝Naと根鉢Nbとが挿通可能な大きさに形成されており、筒状体2の側方からスリット3を介して該筒状体2の内部に苗木Nを配置できるようになっている(特に
図2参照)。
【0018】
また、筒状体2内には、複数本の苗木N,N,…を収容できるようになっている。詳しくは、筒状体2は、苗木Nの根鉢Nbを径方向に複数収容でき、且つ長手方向に複数積み重ねて収容できる寸法に形成されている(
図5(a)参照)。
【0019】
蓋部材4は、スリット3を形成するために筒状体2の周壁を切り欠いた切片であり、スリット3と同一の外形と筒状体2と同一の曲率を有している。この蓋部材4は、スリット3の周方向における両端縁3a,3bのうち一方側(ここでは、端縁3a)に蝶番5,5により取付けられており、蝶番5,5の上下方向に延びる回動軸(図示略)を中心として、筒状体2に対して蓋部材4が回動可能となっている。したがって、スリット3は、蓋部材4により閉塞された閉鎖状態(
図1(a)参照)と、蓋部材4が開放された開放状態(
図1(b)参照)と、に変更することができる。
【0020】
閉鎖保持手段6は、筒状体2の外面においてスリット3の端縁3bの近傍に設けられる面ファスナからなる接続部61と、一端が蓋部材4の外面に固定され他端が接続部61まで延びる帯状部62と、帯状部62の他端側に設けられ接続部61に接続可能な面ファスナからなる被接続部63と、を備えており、蓋部材4によりスリット3を閉鎖した閉鎖状態において、被接続部63と被接続部63とを係着させることによりスリット3の閉鎖状態が保持される。尚、本実施例の接続部61及び被接続部63は、面ファスナである形態を例示しているが、ボタンなどの他の留め具で接続するようになっていてもよい。
【0021】
次に、筒状体2内に苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を積み重ねて配置する手順の一例について
図3及び
図4に基づいて説明する。尚、ここでは、苗木Nの根鉢Nbのみを図示し、枝Naの図示を省略する。さらに尚、根鉢Nbにおける枝Naが生える面をα面、枝Naが生える面とは反対側の面をβ面として説明する。
【0022】
図3(a)に示されるように、先ず、筒状体2を横方向に倒した状態とし、該筒状体2の内周面におけるスリット3から遠い位置(スリット3から見て奥側)に1段目の根鉢Nb1,Nb1,…を5つ配置する(1段目外側)。このとき、根鉢Nb1,Nb1,…も横方向に倒した状態にするとともに、該根鉢Nb1,Nb1,…のβ面を筒状体2の一方の貫通孔22側に寄せて配置する。このように、スリット3を介して筒状体2の側方から順次苗木N,N,…を収容できるため、筒状体2内に先行して収納した苗木Nの枝Naが後続の苗木Nを挿入する際に邪魔にならず、根鉢Nb1,Nb1,…同士を近付けて整頓した状態で筒状体2内に配置できる。
【0023】
次いで、
図3(b)に示されるように、1段目の根鉢Nb1,Nb1,…のα面に2段目の根鉢Nb2,Nb2,…のβ面を近付けるように6つ配置する(2段目外側)。
図4に示されるように、2段目の根鉢Nb2,Nb2,…を1段目の根鉢Nb1,Nb1,…の側方から配置できるため、例えば、1段目の根鉢Nb1,Nb1,…の枝Na,Na,…側から2段目の根鉢Nb2,Nb2,…を配置することに比べ、1段目の根鉢Nb1,Nb1,…の枝Na,Na,…を避けて根鉢Nb2,Nb2,…を配置しやすい。尚、2段目の苗木N,N,…の枝Na,Na,…は、筒状体2の他方の貫通孔21側を介して貫通孔21側の外部に突出させることができる。
【0024】
次いで、
図3(c)に示されるように、1段目の根鉢Nb1,Nb1,…の上方(筒状体2の内径方向)に根鉢Nb3,Nb3,…を載置して6つ配置する(1段目内側)。その後、図示しないが、2段目の根鉢Nb2,Nb2,…の上方に別の根鉢を載置して配置し、これを繰り返すことにより、筒状体2内に所定本数(30本)の苗木N,N,…が収納される。このように、筒状体2におけるスリット3から遠い位置から根鉢Nb,Nb,…を徐々に積み重ねて配置することにより、根鉢Nb,Nb,…同士を近付けて筒状体2内に簡便に収容することができる。
【0025】
尚、筒状体2内に苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を積み重ねて配置する上記手順は一例であり、一度に配置する根鉢の数量や順番等は自由に変更することができる。例えば、本実施例では、根鉢Nbを筒状体2の長手方向に2段配置する形態を例示したが、筒状体2の長手方向に1段または3段以上配置するようにしてもよい。
【0026】
次いで、補助具1を用いた袋詰め作業について、
図5~
図7に基づいて説明する。
【0027】
先ず、
図5(a)に示されるように、補助具1を横向きに倒すとともに、スリット3を開放状態とし、筒状体2内に苗木N,N,…を所定本数配置する。前述のように筒状体2は、略円筒状を成しているため、略円筒状を成す苗木Nの根鉢Nbを効率よく収容できる。
【0028】
次に、
図5(b)に示されるように、蓋部材4を閉動作させてスリット3を閉鎖状態とするとともに、閉鎖保持手段6によりスリット3の閉鎖状態を保持する。これにより、スリット3から苗木N,N,…が脱落することが防止される。尚、蓋部材4は、スリット3を形成するために筒状体2の周壁を切り欠いた切片であり、筒状体2と同一の曲率を有しているため、スリット3の閉鎖状態にあっては、筒状体2の内周面と蓋部材4の内周面とが連続して略円筒状を成す。
【0029】
次に、
図6(a)に示されるように、補助具1における筒状体2の貫通孔22側にネット状の袋7を被覆させる。このとき、袋7の開口側を外側に折り込んだ状態で補助具1に袋7を被覆させる。そして、
図6(b)に示されるように、筒状体2の貫通孔22側を下にして補助具1を地面や床面に立設させる。
【0030】
その後、
図7(a)に示されるように、袋7の折り込みを戻しながら補助具1を上方に引き抜く。これにより、筒状体2の貫通孔22から苗木N,N,…が通過して袋7内に収容されることとなる。このように、苗木N,N,…を収容した状態で補助具1を立設させる作業や補助具1を袋7から引き抜く作業時には、閉鎖保持手段6によりスリット3の閉鎖状態が保持されているため、上記作業を両手を使って行うことができ、操作性が良い。
【0031】
また、スリット3の閉鎖状態にあっては、筒状体2の内周面と蓋部材4の内周面とが連続して略円筒状を成しているため、筒状体2の内周面と蓋部材4の内周面との段差が形成されず、苗木Nに引っ掛かることなく補助具1の引き抜き作業を行うことができる。更に、前述の蝶番5,5は筒状体2及び蓋部材4の外周面に取付けられていることから、補助具1の内周面側に突出せず、補助具1内に収容した苗木Nを傷つけることがない。
【0032】
そして、
図7(b)に示されるように、補助具1が袋7から取出され、袋7の開口に設けられる紐7aで該開口を縛ることで苗木N,N,…の袋詰め作業が完了する。
【0033】
以上説明したように、補助具1は、長手方向に貫通する筒状体2の長手方向に沿って少なくとも1本の苗木Nの根鉢Nbと枝Naが挿通可能な大きさのスリット3が形成されている。これによれば、スリット3を介して筒状体2の側方から順次苗木N,N,…を収容できるため、筒状体2内に先行して収納した苗木Nの枝Naが後続の苗木Nを挿入する際に邪魔にならず、根鉢Nb,Nb,…を近付けて整頓した状態で筒状体2内に配置できるとともに、苗木N,N,…を傷つけることを抑制できる。また、苗木N,N,…を収容した状態で補助具1に袋7を被せ該補助具1を袋7から引き抜くことで、筒状体2の一方の貫通孔22から苗木N,N,…が通過するため、複数本の苗木N,N,…を一度に袋7内に収容できる。
【0034】
また、スリット3は、筒状体2の両端部の貫通孔21,22に連続して切り欠かれていることにより、筒状体2は撓曲変形可能となっている。これによれば、例えば、筒状体2内に苗木N,N,…を配置するときに、スリット3の両端縁3a,3bが離間するように筒状体2を撓曲変形させることで、スリット3の周方向の開口領域を大きくすることができ、苗木N,N,…を筒状体2内に挿入しやすくできるため、作業性が向上する。
【0035】
また、筒状体2及び蓋部材4は、アルミで形成されているため、筒状体2及び蓋部材4の剛性を確保しつつ、軽量化することができる。尚、筒状体2及び蓋部材4は、ある程度の剛性を有するものであれば、例えば、段ボールや樹脂、その他金属等のアルミ以外の部材で構成されていてもよい。
【0036】
次に、閉鎖保持手段の変形例として次のようなものもある。
図8に示されるように、補助具1’における閉鎖保持手段60は、接続部61’が筒状体2の周方向に長くなるように形成されている。
【0037】
図9(a)に示されるように、接続部61’のスリット3側の端部に被接続部63を係着させることで、苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を緩めに保持することができる。また、
図9(b)に示されるように、接続部61’のスリット3と離れる側の端部に被接続部63を係着させることで、筒状体2の内径を縮径させるように撓曲変形させ、苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を締め付けて保持することができる。
【0038】
これによれば、苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を締め付けて保持することで、補助具1’に袋7を被せる作業時(
図6(a)参照)や補助具1’を立設させる作業時(
図6(b)参照)等に筒状体2の貫通孔21,22から苗木N,N,…が脱落しないようにできる。尚、前記実施例では、貫通孔22からの苗木N,N,…の脱落を防止するために、筒状体2を略水平方向に維持したまま持ち上げ、その状態で袋7を被せる作業を行っていたが、根鉢Nb,Nb,…を締め付けて保持する場合、貫通孔21,22から苗木N,N,…が脱落しないため、補助具1’を略垂直方向に立てた状態で袋7に差し込むことができる。
【0039】
また、苗木N,N,…の根鉢Nb,Nb,…を緩めに保持するように変更することで、補助具1’を袋7から引き抜く作業時(
図7(a)参照)等に苗木N,N,…が筒状体2の貫通孔22から抜けやすくできる。
【0040】
尚、前記実施例においては、筒状体2にスリット3を開閉可能な蓋部材4が取付けられている形態を例示したが、これに限定されるものではなく、蓋部材4の構成を省略してもよい。この場合であっても、筒状体2の側方からスリット3を介して苗木N,N,…を挿入できるため、根鉢Nb,Nb,…同士を近付けた状態で、且つ傷つけることなく簡便に配置できる。さらに、スリット3は、筒状体2の貫通孔21,22に連続するように長手方向に沿って切り欠かれているため、筒状体2の内周面に苗木N,N,…を干渉させることなく補助具1を袋7から引き抜く作業を行える。尚、蓋部材4の構成を省略した場合、筒状体2は、スリット3から苗木N,N,…が脱落しにくくするために、該筒状体2の端部側(貫通孔21,22側)から見て半円以上の弧を有する略C字形状を成すことが好ましい。
【0041】
また、前記実施例では、筒状体2が略円筒形状を成す形態を例示したが、略円筒状の根鉢Nb,Nb,…を収容しやすいように内周面が略円筒形状を成していればよく、例えば、外周面は多角形の筒状等に自由に設計してもよい。
【0042】
また、前記実施例では、スリット3が筒状体2の貫通孔21,22に連続するように長手方向に沿って切り欠かれている形態を例示したが、枝Na及び根鉢Nbが挿通可能な大きさであればよく、例えば、筒状体2の壁部に周縁が囲われた矩形状のスリットであってもよいし、矩形状以外の形状を有するスリットであってもよい。
【0043】
また、前記実施例では、蓋部材4は、スリット3を形成するために筒状体2の周壁を切り欠いた切片である形態を例示したが、これに限られず、筒状体2とは別に蓋部材を用意してもよい。
【0044】
また、前記実施例では、蓋部材4が蝶番5,5により筒状体2に対して回動可能に取付けられていたが、スリット3を開閉可能であれば自由に設計できる。例えば、スリット3の両端縁3a,3bに向き合うように凹状のレール溝を設け、該レール溝に蓋部材の両端縁を嵌合及びスライドさせて筒状体に蓋部材が着脱可能となっていてもよい。
【0045】
また、前記実施例では、閉鎖保持手段6が接続部61、帯状部62、被接続部63により構成される形態を例示したが、蓋部材4によるスリット3の閉鎖状態を保持できればよく、例えば、筒状体2と蓋部材4との外周面に渡って延びる環状のバンドなどであってもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、補助具1を横に倒した状態で苗木N,N,…を配置し、その後、補助具1を立設させて袋7内に苗木N,N,…を収容する形態を例示したが、例えば、立設した補助具1の下端に予め袋7を被せた状態で、筒状体2の側方からスリット3を介して苗木N,N,…を収容する形態であってもよい。尚、この場合、蓋部材4が袋7と干渉する虞があるため、上述のように蓋部材4の構成を省略する形態か、蓋部材4が筒状体2に対して着脱可能な形態とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1,1’ 袋詰め補助具
2 筒状体
3 スリット
4 蓋部材
6 閉鎖保持手段
7 袋
21,22 貫通孔
60 閉鎖保持手段
N 苗木
Na 枝
Nb 根鉢