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特許6990537車載装置、発車判定システム、及び発車判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】車載装置、発車判定システム、及び発車判定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20220104BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220104BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017148750
(22)【出願日】2017-08-01
(65)【公開番号】P2019028812
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 敬祐
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114535(JP,A)
【文献】特開2015-056081(JP,A)
【文献】特開2000-285368(JP,A)
【文献】特開2002-203299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0097896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
G07C 5/00 ~ 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の経由する停留所に関する情報である運行情報を記憶する記憶部と、
前記車両の有する扉の開閉を検知する開閉検知部と、
前記車両の走行開始又は走行中止を検知する走行検知部と、
前記開閉検知部が前記扉の閉鎖を検知した後に、前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が前記停留所から発車したと判定する発車判定部と、を備え
記発車判定部は、前記走行検知部が前記車両の走行中止を検知した後、前記開閉検知部が前記扉の開放を検知せずに前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知した場合、前記車両が前記停留所から発車したと判定しないことを特徴とする、車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記発車判定部は、前記開閉検知部が前記扉の閉鎖を検知した後に、前記扉の開放を検知せずに前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が前記停留所から発車したと判定することを特徴とする、車載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記開閉検知部が前記扉の開閉を検知した場合、及び前記走行検知部が前記車両の走行開始又は走行中止を検知した場合に、ログ情報を生成するログ生成部を備え、
前記ログ情報は、前記扉の開放、前記扉の閉鎖、前記車両の走行開始、及び前記車両の走行中止を区別する種別を含むことを特徴とする、車載装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記車両が次に停車する予定の前記停留所を含む案内画面の表示情報を生成する表示情報生成部を備え、
前記運行情報は、複数の前記停留所の到着順序を含んでおり、
前記表示情報生成部は、前記運行情報において、前記発車判定部が発車したと判定した前記停留所に連続して停車する予定の次停留所を特定し、該次停留所を前記案内画面に表示させることを特徴とする、車載装置。
【請求項5】
請求項に記載の車載装置であって、
前記運行情報には、前記停留所毎に発車予定時刻が関連付けられており、
前記表示情報生成部は、現在時刻が前記次停留所の発車予定時刻よりも前の時刻である場合と、前記現在時刻が前記次停留所の発車予定時刻以降である場合とで、前記案内画面を異ならせるよう前記表示情報を生成することを特徴とする、車載装置。
【請求項6】
請求項に記載の車載装置であって、
前記走行検知部は、前記車両の走行距離を特定し、
前記発車判定部は、前記開閉検知部が前記扉の閉鎖を検知した後に、前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が走行開始から所定距離を走行した場合に前記車両が発車したと判定することを特徴とする、車載装置。
【請求項7】
車両の有する車載装置と、サーバー装置と、がネットワークを介して通信可能に接続された発車判定システムであって、
前記車載装置は、
車両の経由する停留所に関する情報である運行情報を記憶する記憶部と、
前記車両の有する扉の開閉を検知する開閉検知部と、
前記車両の走行開始又は走行中止を検知する走行検知部と、
前記開閉検知部が前記扉の閉鎖を検知した後に、前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が前記停留所から発車したと判定する発車判定部と、を備え、
前記サーバー装置は、
前記車両の地図上の位置を特定する表示位置特定部と、
前記表示位置特定部の特定した前記位置に前記車両を示す情報を表示する地図画面の表示情報を生成する地図画面情報生成部と、を備え、
前記表示位置特定部は、前記車載装置の前記発車判定部が前記車両が発車したと判定する場合、発車した前記停留所と、前記運行情報において該停留所に連続して停車する予定の次停留所と、の間に前記地図上の位置を特定し、
前記発車判定部は、前記走行検知部が前記車両の走行中止を検知した後、前記開閉検知部が前記扉の開放を検知せずに前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知した場合、前記車両が前記停留所から発車したと判定しないことを特徴とする、発車判定システム。
【請求項8】
請求項に記載の発車判定システムであって、
前記サーバー装置の前記表示位置特定部は、前記開閉検知部が前記扉の開放を検知した場合に、前記次停留所の近傍に前記地図上の位置を特定することを特徴とする、発車判定システム。
【請求項9】
車載装置が行う発車判定方法であって、
前記車載装置は、記憶部と、開閉検知部と、走行検知部と、発車判定部と、を備え、
前記記憶部は、車両の経由する停留所に関する情報である運行情報を記憶しており、
前記開閉検知部は、前記車両の有する扉の開閉を検知する開閉検知手順を実行し、
前記走行検知部は、前記車両の走行開始又は走行中止を検知する走行検知手順を実行し、
前記発車判定部は、前記開閉検知手順において前記扉の閉鎖を検知した後に、前記走行検知手順において前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が前記停留所から発車したと判定する発車判定手順を実行し、
前記発車判定手順において、前記走行検知手順で前記車両の走行中止が検知された後、前記開閉検知手順において前記扉の開放を検知せずに前記走行検知手順で前記車両の走行開始が検知された場合、前記車両が前記停留所から発車したと判定されないことを特徴とする、発車判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、発車判定システム、及び発車判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の停留所を経由する路線バス等の車両において、通過又は停車した停留所に関する運行情報の管理が行われている。
【0003】
特許文献1には、バス運行情報表示装置に関する技術が開示されている。同文献の段落[0025]には、「絶対位置方位検出部23は、GPS信号受信機(GPS:Global Positioning System)であり、GPS衛星(不図示)から送信されたGPS変調信号を、GPS用アンテナ24を介して受信して復調し、この復調結果であるGPS信号を制御部11に転送する。」と記載されている。また、同文献の段落[0039]には、「本第1実施形態において、メインCPU19は、地図データベース35aより読み取った自バス周辺の地図データ、算出した自バスの現在位置及び進行方位、SRAM31cに予め記憶された運行スケジュールデータ及び運行ルートデータ、並びに周辺回路21より入力した現在時刻などに基いて画像データを生成し、この画像データを示す画像信号を表示部15に出力している。つまり、メインCPU19は、表示部15に画像信号を出力することで、表示部15に画像を表示させている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-332004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
停留所への停車又は停留所からの発車を含む車両の運行に関する情報を車両内で取得し、運行情報の管理に用いている。車両内で運行に関する情報の取得を行う場合に、車両が停留所を発車したか否かを装置が適切に認識することが望ましい。例えば、車両の扉の閉鎖を検知すると、車両が停留所を発車したものとして運行情報を管理する技術があるが、扉の閉鎖のタイミングと発車のタイミングとに時間差がある場合があり、運行の状況が正確に反映されているとは言い難い。
【0006】
特許文献1に記載された技術は、GPS信号を用いて地図表示を行うものであるが、運行情報の管理を行うことは考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、適切な運行情報の管理を支援する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る車載装置は、車両の経由する停留所に関する情報である運行情報を記憶する記憶部と、前記車両の有する扉の開閉を検知する開閉検知部と、前記車両の走行開始又は走行中止を検知する走行検知部と、前記開閉検知部が前記扉の閉鎖を検知した後に、前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知すると、前記車両が前記停留所から発車したと判定する発車判定部と、を備え、前記発車判定部は、前記走行検知部が前記車両の走行中止を検知した後、前記開閉検知部が前記扉の開放を検知せずに前記走行検知部が前記車両の走行開始を検知した場合、前記車両が前記停留所から発車したと判定しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適切な運行情報の管理を支援する技術を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発車判定システムの機能ブロックの一例を示す図である。
図2】運行情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3】ログ情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】車載装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】車載装置の発車判定処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
図6】車載装置の発車判定処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
図7】サーバー装置の地図画面表示処理の一例を示すフローチャートである。
図8】案内画面の一例を示す図である。
図9】地図画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
予め定められた経路上にある複数の停留所に順次停車する路線バスの運営において、運行状況を適切に把握することが肝要である。特に、各停留所を発車するタイミングを記録しておくことにより、適切な運行がなされているかを把握しうる。また、停留所を出発するタイミングが認識されれば、運転手や乗客に対して次に停車する停留所を好適なタイミングで案内することができる。
【0014】
従来、停留所を出発すると、路線バスの運転手が通過ボタンの入力を行うことにより、停留所を発車したタイミングを管理していた。しかしながら、運転手はバスの発車後即ち走行中に通過ボタンを入力することになる。特に、経路上の停留所数が多い場合に、運転手がその都度入力操作を行うことは煩雑である。
【0015】
運転手による通過ボタンの入力以外に、バスの有する扉を閉鎖したタイミングを、バスの停留所発車タイミングとして管理することがある。この方法は、運転手が発車タイミングを記録するための入力操作を停留所毎に行う必要がない点で好ましい。しかしながら、例えばバスが扉を閉鎖した後、発車予定時刻までしばらく待機し、その後停留所を発車したような場合、扉が閉鎖されたタイミングが停留所発車タイミングとして認識されると、実際の発車タイミングとタイムラグが生じる。
【0016】
このタイムラグの発生を回避するためには、発車直前に運転手が再度扉を開閉させなければならず、煩わしい。
【0017】
本実施形態では、車両の扉開閉、走行開始及び走行中止を検知し、扉の閉鎖を検知した後に走行開始が検知された場合に、車両が停留所を発車したものと判定する。これにより、実際の運行状況に則した運行管理を行うことが可能となる。
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。図1は、発車判定システム1の機能ブロックの一例を示す図である。発車判定システム1は、ネットワークnを介して通信可能に接続された車載装置10と、サーバー装置20と、を有する。サーバー装置20には、1又は複数の車載装置10が接続される。
【0019】
車載装置10は、車両に搭載されるコンピューター装置である。車載装置10は、例えば運転手に経路情報を提供するナビゲーション装置の一部であってもよい。以下、車載装置10がバスに搭載される例を用いて説明する。
【0020】
バスは、いわゆる路線バスであって、予め定められた経路を走行し、経路に設置された複数の停留所に順次停車する。なお、降車する顧客も乗車する顧客もいない停留所に関し、バスは停車せずに通過することがある。
【0021】
サーバー装置20は、例えばサーバーコンピューターやPC(Personal Computer)等であって、1又は複数の車載装置10から送信される情報に基づき、各車載装置10を有するバスの運行情報を管理する。また、サーバー装置20は、地図上にバスを示す画像を表示する。
【0022】
車載装置10は、制御部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、を備える。制御部110は、車載装置10全体を統括的に制御する。記憶部120は、制御部110による処理に必要な情報を記憶する。入力部130は、タッチパネルやハードウェアボタン等の入力装置を介して、車載装置10への情報の入力を受け付ける。出力部140は、スピーカー等の音声出力装置、及びディスプレイ等の映像出力装置に対して情報を出力させる。通信部150は、サーバー装置20との間で情報を送信又は受信する。
【0023】
制御部110は、開閉検知部111と、走行検知部112と、発車判定部113と、ログ生成部114と、表示情報生成部115と、を備える。開閉検知部111は、後述する扉センサーによりバスの有する1又は複数の扉の開放及び閉鎖を検知する。本実施形態において、バスが複数の扉を有する場合、開閉検知部111は少なくとも1つの扉の開放を検知した場合に扉の開放を検知したものと取り扱い、すべての扉の閉鎖を検知した場合に扉の閉鎖を検知したものと取り扱う。
【0024】
走行検知部112は、後述する車速センサーを用いて、バスの走行開始又は走行中止を検知する。また、走行検知部112は、バスの走行距離を特定する。例えば、走行検知部112は、バスが走行を開始してから計測時までの走行距離を特定する。
【0025】
発車判定部113は、バスが停留所を発車したか否かを判定する。具体的には、発車判定部113は、開閉検知部111が扉の閉鎖を検知した後に、走行検知部112がバスの走行開始を検知すると、バスが停留所から発車したと判定する。なお、発車判定部113は、走行中止が検知された場合であっても、扉の開放が検知されずに走行開始が検知された場合、バスが停留所を発車したものと判定しない。
【0026】
また、より詳細には、発車判定部113は、開閉検知部111が扉の閉鎖を検知した後に、扉の開放を検知せずに走行検知部112がバスの走行開始を検知すると、バスが停留所から発車したと判定する。従って、扉の閉鎖後であっても、扉が開放され、再度の閉鎖がなされずに走行開始が検知された場合、発車判定部113はバスが停留所を発車したものと判定しない。
【0027】
ログ生成部114は、イベントが発生した場合に、イベントの種別を含むログ情報を生成する。イベントとは、例えば扉の開放、扉の閉鎖、車両の走行開始、車両の走行中止、通過ボタンの入力受付、及び発車と判定されたことを示すオートスタート等であって、種別とは発生したイベントを区別する情報である。
【0028】
表示情報生成部115は、タッチパネル等の映像出力装置に表示させる案内画面の表示情報を生成する。案内画面は、経路上次に停車する予定の停留所である次停留所を含んでいる。表示情報生成部115は、次停留所を特定し、案内画面に表示させる。
【0029】
また、表示情報生成部115は、次停留所の発車予定時刻と現在時刻とを比較し、現在時刻の方が前の時刻である場合を早期発車、現在時刻が発車予定時刻以降である場合を通常発車と判定する。表示情報生成部115は、早期発車の場合と通常発車の場合とで、案内画面を異ならせて表示させる。
【0030】
記憶部120は、運行情報121と、ログ情報122とを記憶する。運行情報121は、バスの経由する複数の停留所に関する情報であって、停留所の到着順序と、停留所の発車予定時刻とを含む。ログ情報122は、イベントが発生した場合の情報であって、イベントの履歴に関する情報といえる。
【0031】
サーバー装置20は、制御部210と、記憶部220と、入力部230と、出力部240と、通信部250と、を備える。制御部210は、サーバー装置20全体を統括的に制御する。記憶部220は、制御部210による処理に必要な情報を記憶する。入力部230は、入力装置を介してサーバー装置20への情報の入力を受け付ける。
【0032】
出力部240は、出力装置に対して情報を出力させる。出力部240は、後述の地図画面を、サーバー装置20の有する出力装置を介して出力する。なお、出力部240は、サーバー装置20に通信可能に接続された図示しない管理者端末に地図画面を出力してもよい。通信部250は、1又は複数の車載装置10との間で情報の送信又は受信を行う。
【0033】
制御部210は、ログ受付部211と、表示位置特定部212と、地図画面情報生成部213と、を備える。ログ受付部211は、車載装置10から送信されるログ情報122を受け付け、ログ情報223として記憶部220に記憶させる。
【0034】
表示位置特定部212は、車両装置から受け付けたログ情報223を用いて、バスを示す画像を地図上のどの位置に表示するかを特定する。表示位置特定部212は、バスが停留所を発車したと判定された場合に、発車した停留所と、経路上該停留所に連続して停車する予定の次停留所との間の経路上の任意の位置を、バスを示す画像の表示位置に特定する。また、表示位置特定部212は、扉の開放が検知された場合に、次停留所の近傍にバスを示す画像を表示するよう表示位置を特定する。
【0035】
地図画面情報生成部213は、地図にバスを示す画像を重畳させた地図画面の画面情報を生成する。
【0036】
記憶部220は、地図情報221と、運行情報222と、ログ情報223とを記憶する。地図情報221は、サーバー装置20に接続された車載装置10を有する1又は複数のバスの経路を含む領域の地図情報である。運行情報222は、サーバー装置20に接続された車載装置10を有するバス毎に運行状況を管理する情報であって、データ構造は運行情報121と同様である。ログ情報223は、車載装置10から送信される情報であって、データ構造はログ情報122と同様である。
【0037】
図2は、運行情報121のデータ構造の一例を示す図である。運行情報121は、車両識別子121aと、停留所識別子121bと、発車予定時刻121cと、通過フラグ121dと、を含む。車両識別子121aは、バスを特定する識別情報である。車両識別子122aにより、バスの有する車載装置10が特定可能である。
【0038】
停留所識別子121bは、バスの走行予定の経路に存在する停留所を特定する識別情報である。発車予定時刻121cは、停留所識別子121bにより特定される停留所の発車予定時刻を示す情報である。
【0039】
通過フラグ121dは、停留所識別子121bにより特定される停留所を通過したか否かを示す情報である。この場合の「通過」には、停留所に停車した後に発車した状態と、停留所に停車せず通過した状態とが含まれる。通過フラグ121dは、例えば「0」が未だ通過していないことを示す情報であって、「1」が通過したことを示す情報である。
【0040】
運行情報121は、バスの停留所への到着順序を示す情報を含む。例えば、停留所識別子121bには、到着順序が早いほど若い番号が付されており、連続する番号を有する停留所は連続して停車することが予定されている。図2に示す運行情報121は、停留所識別子121bが「001」、「002」、「003」、「004」、「005」の各々により特定される停留所に順に停車することが予定されている。
【0041】
本図では、停留所識別子121bの「001」、「002」「003」に対して、通過フラグ121dの「1」が関連付けられている。これは、停留所識別子121bの「001」、「002」、「003」により特定される停留所は既に通過しており、停留所識別子121bの「004」、「005」により特定される停留所はまだ通過していないことを示している。
【0042】
以下、既に通過した停留所のうち最も新しい時期に通過した停留所を前停留所、経路上前停留所に連続し、次に通過する予定の停留所を次停留所として説明する。より具体的には、運行情報121において、通過フラグ121dが通過したことを示す情報であるレコードのうち、到着順序の最も遅い(最も後に到着する)レコードの停留所識別子121bに係る停留所が、前停留所として取り扱われる。また、運行情報121において、通過フラグ121dがまだ通過していないことを示す情報であるレコードのうち、到着順序の最も若い(最も先に到着する)レコードの停留所識別子121bに係る停留所が、次停留所として取り扱われる。前停留所と次停留所とは運行情報121において到着順序が連続している。
【0043】
図3は、ログ情報122のデータ構造の一例を示す図である。ログ情報122は、車両識別子122aと、年月日122bと、時刻122cと、種別122dと、を含む。車両識別子122aは、バスを特定する識別情報である。
【0044】
年月日122bは、ログ情報122のレコードの生成年月日を示す情報である。時刻122cは、ログ情報122のレコードの生成時刻を示す情報である。種別122dは、イベントの種別を特定する情報である。
【0045】
図4は、車載装置10のハードウェア構成例を示す図である。車載装置10は、演算処理部11を備える。
【0046】
演算処理部11は、車載装置10における中心的ユニットであり、CPU(Central Processing Unit)12、RAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、及びネットワークI/F(Interface)15を備える。各構成要素はバスにより接続されている。
【0047】
CPU12は、RAM13又は不揮発性メモリ14に記憶されたプログラムに従って処理を実行する。RAM13は記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。不揮発性メモリ14は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリであって、プログラムや各種データの格納先として用いられる。ネットワークI/F15は、車載装置10をネットワークn又は外部機器に接続するためのインターフェイスである。
【0048】
車載装置10では、RAM13又は不揮発性メモリ14上に読み出されたプログラムに従って動作するCPU12により処理が行われる。制御部110を構成する各処理部は、CPU12がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。また、記憶部120は、RAM13又は不揮発性メモリ14によりその機能が実現される。なお、記憶部120は、ネットワークn上の記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0049】
車載装置10は、入力装置31と、出力装置32と、車速センサー33と、扉センサー34とに通信可能に接続される。入力装置31は、ユーザーからの入力操作を受け付ける装置であり、タッチパネル又はハードウェアボタン等であって、先述の通過ボタンを含む。出力装置32は、LCD(Liquid Crystal Display)等の映像出力装置や、スピーカー等の音声出力装置を含む、ユーザーに対して情報を出力する装置である。
【0050】
車速センサー33は、バスの車速を検知するセンサーである。車速センサー33は、例えばタイヤの回転数に応じて発生する車速パルス信号を検知する。例えば、車速センサー33は、車速パルス信号を検知すると走行検知部112に通知する。走行検知部112は、パルス数を計測し、パルス数が予め定められた閾値(例えば1)以上となった時に、走行開始を検知したものと取り扱う。同様に、走行検知部112は、車速センサー33からの通知を用いて走行中止、及び走行距離を検知する。即ち、走行検知部112は、車速センサー33を用いてその機能を実現する。
【0051】
なお、走行検知部112が走行開始、走行中止、及び走行距離等の走行状況を検知する方法は、車速パルス信号を用いる方法に限定されない。例えば走行検知部112は、車載装置10に接続された図示しないカメラを用いて撮影された画像を用いて、走行状況を検知するものであってもよい。以下、走行検知部112は車速パルス信号を用いて、走行状況を検知するものとして説明する。
【0052】
扉センサー34は、バスの有する1又は複数の乗降扉に設置され、乗降扉の開閉に応じた電気接点の有無により扉の開閉を検知するセンサーである。扉センサー34が扉の開閉を検知する方法はこれに限られない。例えば赤外線センサーや撮影画像を用いて扉の開閉を検知するものであってもよい。
【0053】
なお、扉の開閉は、例えばバスの有する図示しない電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)が扉開閉スイッチへの入力操作を検知することにより実行される。開閉検知部111は、ECUから扉の開閉状態を示す信号を受信することにより、扉の開閉を検知してもよい。即ち、開閉検知部111は、扉センサー34又はECUからの出力を用いてその機能を実現する。
【0054】
なお、入力装置31と、出力装置32と、車速センサー33と、扉センサー34とは、車載装置10内に設置されていてもよい。
【0055】
なお、車載装置10の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、車載装置10の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0056】
サーバー装置20は、CPU、RAM、不揮発性メモリ、及びネットワークI/Fを備える演算処理部を有するコンピューターにより実現される。また、サーバー装置20は、地図画面を出力するための出力装置に接続されている。
【0057】
図5は、車載装置10の発車判定処理の一例を示すフローチャート(その1)である。本処理は、例えばバスの走行中に車載装置10により実行される。
【0058】
まず、発車判定部113は、通過ボタンが入力されたか否かを判定する(ステップS11)。バスが次停留所に停車せず通過する場合に、通過ボタンが入力されることが想定される。例えば次停留所への停車を促す降車ボタンの入力が乗客からなされず、かつ次停留所から乗車する顧客がいない場合等に、運転手は通過ボタンを押下する。通過ボタンが押下されると、入力部130は通過ボタンへの入力を発車判定部113に通知する。
【0059】
発車判定部113が、通過ボタンが入力されたと判定する場合(ステップS11で「YES」の場合)、発車判定部113は、運行情報121を更新する(ステップS12)。具体的には、発車判定部113は、運行情報121を参照し、次停留所の通過フラグ121dに対し、通過したことを示す情報を関連付ける。即ち、次停留所は前停留所として取り扱われることとなる。
【0060】
次に、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS13)。具体的には、ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付けてログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したレコードの種別122dに、通過ボタンが入力されたイベントを示す種別を関連付ける。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。
【0061】
その後、制御部110は処理をステップS11に戻す。
【0062】
発車判定部113が、通過ボタンが入力されていないと判定する場合(ステップS11で「NO」の場合)、走行検知部112は、車速パルス信号がOFFであるか否かを判定する(ステップS14)。具体的には、走行検知部112は、車速センサー33からの車速パルス信号を参照し、バスが走行を中止したか否かを判定する。走行検知部112は、バスが走行を中止したと判定する場合、ステップS15に処理を移行させる。
【0063】
走行検知部112が、車速パルス信号がOFFでないと判定する場合(ステップS14で「NO」の場合)、制御部110は処理をステップS11に戻す。
【0064】
走行検知部112が、車速パルス信号がOFFであると判定する場合(ステップS14で「YES」の場合)、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS15)。具体的には、ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付け、レコードの種別122dに、走行が中止されたイベントを示す種別を関連付けたログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。
【0065】
次に、開閉検知部111は、扉が開放されたか否かを判定する(ステップS16)。バスが走行を中止し、扉が開放された場合、停留所に停車したと考えられる。その場合、開閉検知部111は処理をステップS19に移行する。
【0066】
開閉検知部111が、扉が開放されないと判定する場合(ステップS16で「NO」の場合)、走行検知部112は、車速パルス信号がONであるか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、走行検知部112は、車速センサー33からの車速パルス信号を参照し、バスが走行を開始したか否かを判定する。開閉検知部111が、車速パルス信号がONでないと判定する場合(ステップS17で「NO」の場合)、制御部110は処理をステップS16に戻す。
【0067】
走行検知部112が、車速パルス信号がONであると判定する場合(ステップS17で「YES」の場合)、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS18)。具体的には、ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付け、レコードの種別122dに、走行が開始されたイベントを示す種別を関連付けたログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。その後、制御部110は処理をステップS11に戻す。
【0068】
なお、ステップS14において、走行検知部112が車速パルス信号OFFを検知した後、ステップS16において、扉の開放が検知されず、ステップS17において走行開始が検知された場合、バスは信号等により一旦停止し、また走行を開始したと考えられる。その場合、発車判定部113はバスが停留所を発車したものと判定しない。
【0069】
開閉検知部111が、扉が開放されたと判定する場合(ステップS16で「YES」の場合)、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS19)。具体的には、ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付け、レコードの種別122dに、扉が開放されたイベントを示す種別を関連付けたログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。
【0070】
次に、開閉検知部111は、扉が閉鎖されたか否かを判定する(ステップS20)。開閉検知部111は、扉が閉鎖されていないと判定する場合(ステップS20で「NO」の場合)、ステップS20の処理を繰り返す。
【0071】
開閉検知部111が、扉が閉鎖されたと判定する場合(ステップS20で「YES」の場合)、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS21)。ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付け、レコードの種別122dに、扉が閉鎖されたイベントを示す種別を関連付けたログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。
【0072】
次に、表示情報生成部115は、早期発車であるか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、表示情報生成部115は、運行情報121を参照して次停留所を特定し、次停留所の発車予定時刻121cを特定する。表示情報生成部115は、特定した発車予定時刻121cと現在時刻とを比較し、現在時刻の方が早い場合に早期発車であると判定する。発車予定時刻121cと現在時刻とが同じであるか、又は発車予定時刻121cの方が早い場合、表示情報生成部115は早期発車でないと判定する。
【0073】
表示情報生成部115が、早期発車であると判定する場合(ステップS22で「YES」の場合)、表示情報生成部115は、早期発車表示を行う(ステップS23)。表示情報生成部115は、早期発車であることを示す案内画面の画面情報を生成し、出力装置32に出力させる。
【0074】
表示情報生成部115が、早期発車でないと判定する場合(ステップS22で「NO」の場合)、表示情報生成部115は、通常発車表示を行う(ステップS24)。表示情報生成部115は、通常発車であることを示す案内画面の画面情報を生成し、出力装置32に出力させる。
【0075】
図8は、案内画面310の一例を示す図である。図8(A)は、早期発車の際の案内画面310の一例であって、図8(B)は、通常発車の際の案内画面310の一例である。案内画面310は、停留所表示領域311と、次停留所指示表示領域312と、現在時刻表示領域313と、を有する。案内画面310は、バスの運転手に対して表示されるものであり、運転手がバスを走行させる際の目安となる情報が表示される。表示情報生成部115は、運行情報121を用いて案内画面310の表示情報を生成する。
【0076】
停留所表示領域311には、次停留所と、経路上次停留所に連続して停車する予定の1又は複数の停留所と、各々の停留所の発車予定時刻とが表示される。次停留所指示表示領域312は、停留所表示領域311に表示された停留所のうち、次停留所を指示する表示を行う領域である。現在時刻表示領域313は、現在時刻を表示する領域である。
【0077】
表示情報生成部115は、運転手の注意を促すため、早期発車の案内画面310と通常発車の案内画面310とを異ならせて表示させる。図8(A)及び図8(B)に示す案内画面310は、次停留所指示表示領域312の表示が早期発車の場合と通常発車の場合とで異なっている。なお、表示態様はこれに限定されない。例えば停留所表示領域311の背景の色やパターンを異ならせてもよい。
【0078】
本実施形態において、運転手は、早期発車(現在時刻の方が発車予定時刻より早い)の場合に、しばらく発車せず待機する等の対応が可能である。そのため、早期発車の案内画面310の方が、通常発車の案内画面310よりも運転手の目を引く表示態様であることが望ましい。
【0079】
説明を図5に戻す。ステップS23において早期発車表示がなされた場合、又はステップS24において通常発車表示がなされた場合、走行検知部112は、車速パルス信号がONであるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において行われる処理は、ステップS17において行われる処理と同様である。走行検知部112は、車速パルス信号がONでないと判定する場合(ステップS25で「NO」の場合)、処理をステップS22に戻す。ステップS25において、走行検知部112が、車速パルス信号がONであると判定する場合(ステップS25で「YES」の場合)、制御部110は図6に示すステップS26に処理を移行させる。
【0080】
付言すれば、ステップS25における処理が実行される場合には、ステップS20において扉の閉鎖が検知されている(ステップS20で「YES」)。即ち、走行検知部112は、扉が閉鎖されており、かつ車速パルス信号がONである場合に、ステップS26に処理を移行させる。換言すれば、走行検知部112は、扉の閉鎖が検知された後に、扉の開放が検知されずにバスの走行開始を検知した場合に、処理をステップS26に移行させる。
【0081】
なお、開閉検知部111が、ステップS20で扉の閉鎖を検知した後に、再度扉の開放を検知した場合、ログ生成部114が扉開放を示すログ情報122を生成した後、制御部110は処理をステップS20に移行させる。即ち、開閉検知部111は開放された扉が閉鎖されたか否かを判定する。仮に扉が開放されたままバスが発車した場合であっても、ステップS21以降の処理は行われず、バスが発車したと判定されることはない。
【0082】
図6は、車載装置10の発車判定処理の一例を示すフローチャート(その2)である。ステップS26において行われる処理は、ステップS18において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
ステップS27からステップS29において行われる処理は、ステップS22からステップS24において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
次に、走行検知部112は、所定距離を走行したか否かを判定する(ステップS30)。具体的には、走行検知部112は、車速センサー33が取得した車速パルス信号を参照し、ステップS25において走行開始が検知されてから現在までの走行距離を取得する。走行検知部112は、記憶部120の図示しない領域に記憶された所定距離を参照し、所定距離以上の距離を走行したか否かを判定する。
【0085】
走行検知部112が、所定距離を走行していないと判定する場合(ステップS30で「NO」の場合)、走行検知部112は、処理をステップS27に戻す。即ち、ステップS20において、扉の閉鎖が検知され、ステップS25において、バスの走行開始が検知された場合であっても、バスが所定距離以上の距離を走行しない限り、バスが停留所を発車したものと判定されない。
【0086】
バスが停留所を発車し、少々走行したところで乗車希望の顧客が停留所に走りこむなどして乗車の意思表示を行うと、バスが再停車して顧客を乗車させることがある。このように、同じ停留所に複数回停車した場合にもバスが次停留所を発車したと判定すると、バスの運行管理が適切に行われない。そのため、車載装置10は所定距離を記憶し、扉の閉鎖の検知後にバスの走行開始が検知された後、所定距離を走行した場合に、次停留所を発車したものと判定する。
【0087】
なお、ステップS30において、走行検知部112が所定距離を走行していないと判定する場合において、その後車速パルス信号がOFFになり、扉の開閉が検知され、その後車速パルス信号がONになった場合、各々のイベントに応じたログ情報122が生成され、サーバー装置20に送信される。その後、バスが所定距離を走行したと判定されると、走行検知部112は処理をステップS31に移行させる。
【0088】
付言すれば、同じ停留所にバスが複数回停車することが想定されない場合等には、ステップS30の処理は省略することができる。
【0089】
走行検知部112が、所定距離を走行したと判定する場合(ステップS30で「YES」の場合)、発車判定部113は、バスが停留所を発車したと判定する(ステップS31)。即ち、ステップS12と同様に、発車判定部113は運行情報121を参照し、次停留所の通過フラグ121dに対し、通過したことを示す情報を関連付ける。換言すれば、次停留所は前停留所として取り扱われる。
【0090】
次に、ログ生成部114は、ログ情報122を生成する(ステップS32)。ログ生成部114は、車両識別子122aにバスを特定する識別子を、年月日122bに現在の年月日を、時刻122cに現在時刻を関連付け、レコードの種別122dに、オートスタートを示すイベントの種別を関連付けたログ情報122のレコードを生成する。ログ生成部114は、生成したログ情報122をサーバー装置20に送信する。
【0091】
次に、表示情報生成部115は、案内画面を消去する(ステップS33)。具体的には、表示情報生成部115は、ステップS28又はステップS29において表示した案内情報の表示を中止する。その後、制御部110は処理を図5のステップ11に戻す。
【0092】
なお、本実施形態において、扉の閉鎖後に案内画面が表示され、発車判定後に案内画面の表示が中止されるが、案内画面の表示期間はこれに限定されない。例えば、表示情報生成部115は、ステップS22からステップS24における処理を定期的に行い、常時案内画面を表示させるものであってもよい。
【0093】
また、先述したように、案内画面310は運転手に対し表示される画面情報であるが、案内画面310の表示に関連し、顧客に対して次停留所を告知する表示画面が表示されてもよい。この場合、例えば表示情報生成部115は次停留所を示す告知画面の表示情報を生成し、出力部140を介して顧客が視認可能な映像出力装置に告知画面を出力させる。また、出力部140は、次停留所を顧客に告知するための音声情報を生成し、スピーカー等の音声出力装置に出力させてもよい。
【0094】
付言すれば、通過ボタンが入力、又はバスが停留所を発車したと判定されてから案内画面や告知画面の表示までに時間差を設けたい場合、走行距離の閾値を設けてもよい。具体的には、表示情報生成部115は、通過ボタンが入力、又はバスの発車判定がされてからのバスの走行距離を走行検知部112を介して取得し、走行距離が閾値を超えた場合に、案内画面や告知画面を表示してもよい。
【0095】
本実施形態では、車速パルス信号と、扉の開閉を示す情報とを用いて、停留所を発車したか否かが判定される。これにより、バスが停留所を発車したタイミングを適切に管理することができる。また、扉の閉鎖を停留所の発車タイミングとみなす実施形態に比べ、より正確な運行管理が可能となる。
【0096】
図7は、サーバー装置20の地図画面表示処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、サーバー装置20において例えば定期的に実行される。なお、ログ受付部211が車載装置10からログ情報122を受け付けると、ログ情報223として記憶部220に記憶させる。以下、前停留所が「A」、次停留所が「B」、次停留所に連続して停車することが予定されている「次の次停留所」が「C」である例を用いて説明する。
【0097】
まず、ログ受付部211が、通過ボタンログを受信したか否かを判定する(ステップS41)。具体的には、ログ受付部211は、車載装置10から受信したログ情報223の種別を参照し、通過ボタンの入力を示す情報である場合に、通過ボタンログを受信したと判定する。
【0098】
ログ受付部211が、通過ボタンログを受信していないと判定する場合(ステップS41で「NO」の場合)、ログ受付部211は、車速パルスOFFログを受信したか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、ログ受付部211は、車載装置10から受信したログ情報223の種別を参照し、走行中止を示す情報である場合に、車速パルスOFFログを受信したと判定する。
【0099】
ログ受付部211が、車速パルスOFFログを受信していないと判定する場合(ステップS42で「NO」の場合)、ログ受付部211は処理をステップS41に戻す。
【0100】
ログ受付部211が、車速パルスOFFログを受信したと判定する場合(ステップS42で「YES」の場合)、ログ受付部211は、扉開放ログ又は車速パルスONログのどちらを受信したかを判定する(ステップS43)。具体的には、ログ受付部211は、車載装置10から受信したログ情報223の種別を参照し、扉の開放を示す情報であるか、又は走行開始を示す情報であるかを判定する。なお、どちらの種別のログ情報223も受信していない場合、ログ受付部211はどちらかの種別のログ情報223を受信するまで、ステップS43の処理を繰り返す。
【0101】
ログ受付部211が、車速パルスONログを受け付けたと判定する場合(ステップS43で「車速パルスONログ」の場合)、ログ受付部211は処理をステップS41に戻す。
【0102】
ログ受付部211が、扉開放ログを受け付けたと判定する場合(ステップS43で「扉開放ログ」の場合)、表示位置特定部212は、次停留所をバス位置に特定する(ステップS44)。扉の開放が検知された場合、サーバー装置20においてバスが次停留所に到着したものと取り扱われる。具体的には、表示位置特定部212は、ログ情報223に含まれる車両識別子を用いてバスを特定し、特定したバスと関連する運行情報222のレコードを抽出し、抽出したレコードの通過フラグを参照することにより次停留所を特定する。
【0103】
表示位置特定部212は、地図情報221のうち、次停留所の近傍(次停留所から所定距離)の位置を、バスを示す画像であるバス画像の表示位置に特定する。表示位置特定部212は、次停留所の画像とバス画像が重畳するよう表示位置を特定してもよい。
【0104】
次に、地図画面情報生成部213は、バス位置にバス画像を配置して表示する(ステップS45)。具体的には、地図画面情報生成部213は、地図情報221を用いて、ステップS44において特定したバス位置にバス画像を配置した地図画面の画面情報を生成する。地図画面情報生成部213は、生成した画面情報を用いて地図画面を出力部240に出力させる。
【0105】
図9は、地図画面320の一例を示す図である。地図画面320は、停留所画像321と、バス画像322とを含む。図9には、停留所画像321として、前停留所である「A」を示す停留所画像321Aと、次停留所である「B」を示す停留所画像321Bと、次の次の停留所である「C」を示す停留所画像321Cと、が表示されている。
【0106】
本例において、次停留所が「B」であるため、表示位置特定部212はバス位置を停留所画像321Bの近傍に特定する。地図画面情報生成部213は、停留所画像321Bの近傍にバス画像322を配置した地図画面320を表示させる。
【0107】
説明を図7に戻す。次に、ログ受付部211は、オートスタートのログ情報223を受信したか否かを判定する(ステップS46)。具体的には、ログ受付部211は、車載装置10から受信したログ情報223の種別を参照し、オートスタートを示す情報である場合に、オートスタートのログを受信したと判定する。ログ受付部211が、オートスタートのログを受信していないと判定する場合(ステップS46で「NO」の場合)、ログ受付部211は、オートスタートのログを受信するまで本ステップの処理を繰り返す。
【0108】
なお、本ステップにおいて、ログ受付部211は、オートスタートのログ情報223を受信したか否かの判定に代えて、扉閉鎖のログ情報223及び車速パルスONのログ情報223を受信したか否かを判定してもよい。即ち、ログ受付部211は、車載装置10から受信したログ情報223の種別を参照し、扉閉鎖を示す情報であるログ情報223を受信した後、走行開始を示す種別を含むログ情報223を受信した場合に、処理をステップ47に進めるものであってもよい。
【0109】
ログ受付部211が、オートスタートのログを受信したと判定する場合(ステップS46で「YES」の場合)、ログ受付部211は、運行情報222を更新する(ステップS47)。扉閉鎖のログを受け付けた後、走行開始のログを受け付けた場合、車載装置10の発車判定部113は、バスが停留所を発車したと判定するが、サーバー装置20においてもバスが停留所を発車したものと取り扱われる。具体的には、ログ受付部211は、運行情報222を参照し、次停留所の通過フラグに通過したことを示す情報を関連付ける。即ち、次停留所は前停留所として取り扱われる。
【0110】
その結果、前停留所が「B」となり、次停留所が「C」となる。
【0111】
次に、表示位置特定部212は、前停留所と次停留所の間にバス位置を特定する(ステップS48)。具体的には、表示位置特定部212は、発車した停留所(前停留所)と、運行情報222において前停留所に連続して停車する予定の停留所(次停留所)と、の間の経路上の任意の位置を、バス位置に特定する。
【0112】
図9における地図画面320において、前停留所の停留所画像321が停留所画像321Bとなり、次停留所の停留所画像321が次停留所画像321Cとなった。そのため、表示位置特定部212は、停留所画像321Bと停留所画像321Cとの間の経路上の任意の位置を、バス位置に特定する。なお、バス位置は、バスが前停留所を発車したことを認識しうる位置に設定されればよい。例えばバス位置は、前停留所画像と次停留所画像との間の経路上の中間地である。
【0113】
説明を図7に戻す。ステップS49で行われる処理は、ステップS45で行われる処理と同様であるため、説明を省略する。その後、制御部210は処理をステップS41に戻す。
【0114】
ステップS41において、ログ受付部211が、通過ボタンログを受信したと判定する場合(ステップS41で「YES」の場合)、ログ受付部211は、運行情報222を更新する(ステップS51)。具体的には、ログ受付部211は、運行情報222を参照し、次停留所の通過フラグに通過したことを示す情報を関連付ける。
【0115】
ステップS52からステップS53において行われる処理は、ステップS48からステップS49において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。その後、制御部210は処理をステップS41に戻す。
【0116】
本実施形態により、バスの位置を効率的に表示することができる。特に、バスの扉が閉鎖された後にバスの走行開始が検知されると、バスが停留所を発車したと取り扱われ、停留所を発車したことを示す表示が行われる。このため、発車直前に扉を開放させる等の手段を講じずとも、より正確な表示を行うことができる。
【0117】
なお、バスが停留所を出発し走行中であるか、又は停留所に停車中であるかにより、表示を異ならせてもよい。例えば図7のステップ43において扉開放ログを受信し、ステップS47で車速パルスONログを受信するまでの間が停留所に停車している状態であるため、この間、バス画像322の色彩等が他の場合と異なるよう表示してもよい。
【0118】
以上、本発明に係る各実施形態及び変形例の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0119】
なお、車載装置10及びサーバー装置20の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述に示す通り、車載装置10及びサーバー装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0120】
1:発車判定システム、10:車載装置、11:演算処理部、12:CPU、13:RAM、14:不揮発性メモリ、15:ネットワークI/F、20:サーバー装置、31:入力装置、32:出力装置、33:車速センサー、34:扉センサー、110・210:制御部、111:開閉検知部、112:走行検知部、113:発車判定部、114:ログ生成部、115:表示情報生成部、120・220:記憶部、121・222:運行情報、122・223:ログ情報、130・230:入力部、140・240:出力部、150・250:通信部、211:ログ受付部、212:表示位置特定部、213:地図画面情報生成部、221:地図情報、310:案内画面、311:停留所表示領域、312:次停留所指示表示領域、313:現在時刻表示領域、320:地図画面、321:停留所画像、322:バス画像、n:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9