IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧

特許6990549木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物
<>
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図1
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図2
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図3
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図4
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図5
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図6
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図7
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図8
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図9
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図10
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図11
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図12
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図13
  • 特許-木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/12 20060101AFI20220127BHJP
   E04B 1/10 20060101ALI20220127BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20220127BHJP
   E04B 1/58 20060101ALN20220127BHJP
   E04B 1/26 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
E04C2/12 E
E04B1/10 B
E04B1/61 501
E04B1/61 505Z
E04B1/58 506L
E04B1/26 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017185524
(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2019060135
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】相馬 智明
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】島村 高平
(72)【発明者】
【氏名】坂口 裕美
(72)【発明者】
【氏名】御所園 武
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-156427(JP,A)
【文献】特許第5834376(JP,B1)
【文献】特開2006-029076(JP,A)
【文献】特開2000-129802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/12,2/30
E04B 1/04,1/10
E04B 1/26
E04B 1/38 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床、または壁を構成する木質構造用パネルであって、
パネル本体部と、
当該パネル本体部の材端面に線状材にて固定された鋼材プレートと、
高力ボルト及びナットと、を備え、
前記鋼材プレートは、前記材端面に形成された欠込み部を塞ぐ位置に設置され
前記鋼材プレートは、他の前記木質構造用パネルの前記鋼材プレートと重ね合わされ、前記欠込み部に設けられた前記高力ボルトに、前記鋼材プレートを挟んで設けられた前記ナットを螺着させることで、前記鋼材プレート同士が摩擦接合されることを特徴とする木質構造用パネル。
【請求項2】
木質構造用パネルの接合構造であって、
対向して配設される複数の前記木質構造用パネルと、
前記木質構造用パネル同士を接合させる高力ボルト及びナットを備え、
前記木質構造用パネルのパネル本体部の材端面、またはパネル表面には鋼材プレートが線状材で固定され、前記鋼材プレートにはボルト挿通孔が形成され、前記鋼材プレートが前記材端面に固定される場合には、前記材端面に欠込み部が形成され、前記鋼材プレートが前記パネル表面に固定される場合には、前記パネル表面とその反対側のパネル裏面とを貫通する貫通孔が形成され、前記欠込み部または前記貫通孔は、前記ボルト挿通孔に連通する位置に設けられ、
異なる前記木質構造用パネルの前記鋼材プレート同士が互いに重ね合わされ、一方の前記木質構造用パネルの前記欠込み部または前記貫通孔から、重ね合わされた前記鋼材プレートの前記ボルト挿通孔に前記高力ボルトを挿通させて、他方の前記木質構造用パネルの前記欠込み部または前記貫通孔に設けられた前記ナットが、前記高力ボルトに螺着され、前記鋼材プレート同士が摩擦接合されていることを特徴とする木質構造用パネルの接合構造。
【請求項3】
請求項2に記載の木質構造用パネルの接合構造によって前記木質構造用パネルが複数連結されて、壁を含む構造体が形成されていることを特徴とする壁版建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を構成する木質構造用パネルと、木質構造用パネルの接合構造、及び木質構造用パネルを複数連結させた壁版建物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の建物の構造体を構成する壁や床を、木質構造用パネルで構成する場合、壁を構成する木質構造用パネル(以下、これを壁パネルと称する)同士の接合部、床を構成する木質構造用パネル(以下、これを床パネルと称する)と床パネル上に設けられる壁パネルとの接合部等において、パネル同士は、ボルト等で接合されることが多い。
【0003】
このようなパネル同士の接合強度を高めるため、例えば特許文献1には、木質パネルの両面に沿って棒状部材を設け、木質パネル同士が互いに対向する部分において、一方の木質パネルに沿う棒状部材に埋設固定したボルトと、他方の木質パネルに沿う棒状部材に埋設固定したボルトとを、連結ボックスを介して連結する構成が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されたような構成では、木質パネル同士を接合するのに必要なボルトの本数に応じて、木質パネルに沿う棒状部材を設けなければならない。木質パネル同士の接合強度をさらに高めるには、棒状部材及びボルトの本数を増やすことになるが、これでは、パネル同士の接合部の構造が複雑となる。
【0004】
また、特許文献2には、床パネルの上面上に固定されるジベル部と、ジベル部から垂直上方に延びて壁パネルの表面に沿うガイド部と、を有する断面L字状の接合部材を用い、床パネルと壁パネルとを接合する構成が開示されている。この構成においては、ジベル部、ガイド部を、それぞれスクリュー釘等で床パネル、壁パネルに固定する。
特許文献2に開示されたような構成では、接合部材は、ジベル部が床パネルにスクリュー釘等で固定され、ガイド部がスクリュー釘等で壁パネルに固定され、床パネルと壁パネルとは、断面L字状の接合部材を介して接合されている。このため、床パネルと壁パネルとの接合強度を高めるには、接合部材の板厚を増大させる等して接合部材自体を強固にしなければならない。接合部材を強固にすると、接合部材の大型化に繋がるため、接合強度を有効に高めるには限度がある。
【0005】
さらに、特許文献3には、第一木質系部材と第二木質系部材との間に鋼板を挟み、第一木質系部材及び第二木質系部材と鋼板とを、高力ボルトを用いた締結部材で圧着固定する構成が開示されている。
特許文献3に開示されたような構成では、締結部材で第一木質系部材と第二木質系部材とを締結することで、第一木質系部材、第二木質系部材に生じる圧縮歪みを一定以上とすることで、第一木質系部材と第二木質系部材との接合強度を高めている。接合強度をさらに高めるために第一木質系部材と第二木質系部材との締結部材による締結力を高めると、第一木質系部材、第二木質系部材に生じる圧縮歪みが大きくなりすぎ、第一木質系部材、第二木質系部材に変形が生じてしまう場合がある。したがって、このような構成においても、接合強度を有効に高めるには限度がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-144509号公報
【文献】特開平9-13541号公報
【文献】特開2011-144537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で安定した耐力を確保することができる木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び木質構造用パネルを複数連結させた壁版建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、木質構造用パネルの接合構造として、木質構造用パネルの材端面やパネル表面に鋼材プレートを固着させるとともに、高力ボルトを締め付けるために鋼材プレートの裏面側のパネル本体に欠込み部や貫通孔を設けて、その欠込み部や貫通孔に高力ボルトの締付け治具を配置し、木質構造用パネルの材端面の鋼材プレート同士を摩擦接合によって接合させた。本接合構造は、簡単な構成でありながら、安定した高い接合強度を確保できるという特徴があり、本発明の木質構造用パネルの接合構造と、その木質構造用パネル同士を複数連結させた壁版建物の発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、第1の発明の木質構造用パネルは、建物を構成する木質構造用パネルであって、パネル本体部と、当該パネル本体部の材端面に線状材にて固定された鋼材プレートと、を備え、当該鋼材プレートは、前記材端面形成された欠込み部を塞ぐ位置に設置されていることを特徴とする。具体的には、鋼材プレートは、欠込み部が設けられたパネル本体部の材端面に設置する。
このような構成によれば、木質構造用パネル同士を接合するには、パネル本体部の材端面に固定された鋼材プレート同士を重ね合わせた状態で、高力ボルトで鋼材プレート同士を締結する。すると、互いに重ね合わせた鋼材プレート同士の間に摩擦力が生じる。これにより、パネル本体部の材端面に固定された鋼材プレート同士が摩擦接合され、木質構造用パネル同士を強固に固定できる。
また、高力ボルトを、材端面に形成された欠込み部に配置することで、高力ボルトがパネル本体部を介することなく、互いに重ね合わせた鋼材プレート同士を直接締結することができる。
【0009】
第2の発明は、木質構造用パネルの接合構造であって、対向して配設される複数の前記木質構造用パネルと、前記木質構造用パネル同士を接合させる高力ボルトを備え、前記木質構造用パネルのパネル本体部の材端面、またはパネル表面には鋼材プレートが線状材で固定されているとともに、異なる前記木質構造用パネルの前記鋼材プレート同士が互いに重ね合わされて、前記高力ボルトで締着されていることを特徴とする。
このような構成によれば、其々の木質構造用パネルに設けられた鋼材プレート同士を重ね合わせた状態で、高力ボルトにて鋼材プレート同士を締め付けて摩擦接合させることで、木質構造用パネル同士を強固に接合することができる。
また、木質構造用パネルには、接合面に対応するパネル本体部の材端面やパネル表面に、線状材を使用して鋼材プレートを固定されていることで、高力ボルトの締め付けで導入されるボルト軸部に生じる圧縮力を、鋼材プレートの平板部分から広い範囲に亘ってほぼ均等に加えることができる。
【0010】
第3の発明の壁版建物は、上記木質構造用パネルの接合構造によって前記木質構造用パネルが複数連結されて、壁を含む構造体が形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の木質構造用パネル同士が摩擦接合で連結された壁が、鉛直荷重を支持する軸組みと、地震時の水平力を負担する耐力壁として機能することで、このような壁を含む強固な壁版建物の構造体を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能な木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び木質構造用パネルを複数連結させた壁版建物を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】壁版建物の構造体の床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を示す斜視展開図である。
図2図1の床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を示す断面図である。
図3】床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を模した試験体の構成を示す平面図である。
図4】床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を模した試験体の外観図である。
図5図3の木質構造用パネルの面内荷重試験体の正面図である。
図6】(a)は面内荷重試験体と木質構造用パネル用の試験装置の構成を示す正面図、(b)は試験状況図である。
図7】面内荷重試験体と木質構造用パネル用の試験装置の側面図である。
図8図3、5に示す木質構造用パネルの面内荷重試験による面内荷重と変位量の関係を示す試験結果である。
図9】床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を模した他の試験体の構成を示す正面図である。
図10図9に示す木質構造用パネルの面外荷重試験による面外荷重と変位量の関係を示す試験結果である。
図11】第2の実施形態における、壁を構成する木質構造用パネル同士の接合構造を示す部分斜視図である。
図12】第2の実施形態における、壁を構成する木質構造用パネル同士の接合構造を示す断面図である。
図13】木質構造用パネルのパネル本体部のパネル表面に鋼材プレートを埋設する変形例を示す部分斜視図である。
図14】木質構造用パネルのパネル本体部の材端面に鋼材プレートを埋設する変形例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、建物を構成する木質構造用パネルと、木質構造用パネルの接合構造、及び木質構造用パネルを複数連結された壁版建物である。本発明の木質構造用パネルは、材端面、またはパネル表面に欠込み部を設け、その欠込み部を塞ぐパネル材端面に線状材によって鋼材プレートが固定されている点を特徴とする(図1図14)。また、木質構造用パネルの接合構造では、木質構造用パネルの材端面、またはパネル表面に固定された鋼材プレート同士を高力ボルトで摩擦接合される点を特徴とする。第1実施形態は、床板の木質構造用パネルと壁板の木質構造用パネルとの接合構造である(図1図2)。第2実施形態は、壁板の木質構造用パネル同士の接合構造である(図11図12)。また、壁版建物は、上記木質構造用パネルを複数連結されて、壁部分と床部分、及び屋根部分を形成された構造体である。
以下、添付図面を参照して、本発明による木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
壁版建物の構造体の床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を示す斜視展開図を図1に示す。図1の床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を示す断面図を図2に示す。
図1図2に示されるように、壁版建物(建物)の構造体1を構成する床2と、床2上に設けられる壁3とは、それぞれ木質構造用パネル20によって形成されている。
床2を構成する木質構造用パネル20Fは、板状のパネル本体部21Fと、パネル本体部21Fの長辺方向のパネル表面21fに設けられた鋼材プレート25Fと、を備えている。
パネル本体部21Fは、例えばCLT(Cross Laminated Tinber)をはじめとする各種の集成材等から形成されている。
鋼材プレート25Fは、鉄やステンレス等の金属材料からなる板材で、パネル本体部21Fのパネル表面21fに、複数のネジビス(線状材)26によって固定されている。鋼材プレート25Fには、ボルト挿通孔25hが形成されている。この実施形態では、ボルト挿通孔25hは、鋼材プレート25Fの中央部の1個所にのみ形成されているが、鋼材プレート25Fの複数個所に設けるようにしてもよい。
また、パネル本体部21Fには、パネル表面21fとその反対側のパネル裏面21gとを貫通する貫通孔23が、鋼材プレート25Fのボルト挿通孔25hに連通する位置に形成されている。
【0014】
壁3を構成する木質構造用パネル20Wは、板状のパネル本体部21Wと、パネル本体部21Wの長手方向の材端面21sに設けられた鋼材プレート25Wと、を備えている。
パネル本体部21Fは、床2を構成するパネル本体部21Fと同様、例えばCLTをはじめとする各種の集成材等から形成されている。
鋼材プレート25Wは、パネル本体部21Wの材端面21sに、複数のネジビス26で固定されている。このように、パネル本体部21Wの材端面21sや、既に説明したパネル本体部21Fのパネル表面21fに設ける鋼材プレート25W、25Fは、並列に配置されたネジビス26にてパネル本体部21W、21Fに固定することで、後に説明するようにパネル本体21W,21F同士を接合した際に、パネル接合部に作用するねじれ応力を低減し、強固にパネルと一体化できる。
鋼材プレート25Wには、ボルト挿通孔25hが形成されている。
また、パネル本体部21Wには、鋼材プレート25Wが設けられた材端面21sからパネル本体部21Wの長手方向に窪む欠込み部24が、鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hに連通する位置に形成されている。本実施形態においては、パネル本体部21Wの材端面21sに設ける欠込み部24は、パネル1枚ごとの材端面21sに1箇所が形成され、欠込み部24を塞ぐ材端面21s全面を覆うように鋼材プレート25Wが設置されている。また、鋼材プレート25Wを材端面21s全面に設けることで、次に説明するようにパネル本体21W,21F同士を接合した際に、鋼材プレート25W、25Fが固定されたパネル本体21W,21F同士の隙間を無くすことができる。
【0015】
このような床2を構成する木質構造用パネル20Fと、壁3を構成する木質構造用パネル20Wとは、以下のようにして接合される。
床2を構成する木質構造用パネル20F上に、壁3を構成する木質構造用パネル20Wの下端部を接合する場合、木質構造用パネル20Fは、鋼材プレート25Fが設けられたパネル表面21fを上方に向けて配置される。壁3を構成する木質構造用パネル20Wは、木質構造用パネル20Wの下方の材端面21sに設けられた鋼材プレート25Wを、木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fに重ね合わせて配置される。このとき、鋼材プレート25Fのボルト挿通孔25hと、鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hとは、互いに連通するようにする。
このようにして、木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fと、木質構造用パネル20Wの鋼材プレート25Wとを互いに重ね合わせた状態で、木質構造用パネル20Wに形成された欠込み部24から、鋼材プレート25Fのボルト挿通孔25hと鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hとに高力ボルト27の軸部27sを挿通させる。そして、木質構造用パネル20Fの貫通孔23内で、高力ボルト27の軸部27sに、ナット28を螺着させる。高力ボルト27及びナット28は、予め定めた所定のトルクで締結される。
また、壁3を構成する木質構造用パネル20Wの上端部上に、床2を構成する木質構造用パネル20Fを接合する場合、壁3を構成する木質構造用パネル20Wの上方の材端面21sに設けられた鋼材プレート25W上に、パネル表面21fを下方に向けた木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fを重ね合わせて配置する。そして、鋼材プレート25Fのボルト挿通孔25hと、鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hとに、高力ボルト27の軸部27sを挿通させてナット28を螺着させ、所定のトルクで締結する。
このようにして、床2を構成する木質構造用パネル20Fと、壁3を構成する木質構造用パネル20Wとの接合部において、互いに重ね合わせた木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fと木質構造用パネル20Wの鋼材プレート25Wとの間には、高力ボルト27及びナット28の締結力による圧縮力が生じる。その結果、鋼材プレート25F,25Wの間に生じる摩擦力が高められて、鋼材プレート25F,25Wは摩擦接合され、床2を構成する木質構造用パネル20Fと、壁3を構成する木質構造用パネル20Wとが強固に接合される。
【0016】
ところで、一つの木質構造用パネル20に複数の欠込み部24を形成する場合、複数の欠込み部24を、パネル本体部21Wの同じ側のパネル表面21jに形成せず、互いに異なる側のパネル表面21jとパネル表面21kとに分散して形成するのが好ましい。欠込み部24をパネル本体部21Wの同じ側に形成した場合には、複数の欠込み部24が形成されて強度が低下するのに対し、互いに異なる側のパネル表面21jとパネル表面21kとに分散して形成することで、パネル本体部21Wの強度低下を抑えることができる。
【0017】
[パネル接合部の確認実験]
木質構造用パネルの接合部を対象に、パネルと平行方向、及び直交方句に荷重が作用した場合について、面内せん断抵抗、及び面外せん断抵抗に関する性能検証を行った。図3図8に、パネル接合部の面内せん断実験の試験体概要と実験結果を示す。また、図9図10に、パネル接合部の面外せん断実験の試験体概要と実験結果を示す。
具体的には、木質構造用パネルの長手方向の材端面に沿ったパネル本体部には欠込み部を形成し、木質構造用パネルの表面の下方側には欠込み部に設ける高力ボルトと整合するように、パネル本体部に対して面外方向に貫通孔23を設ける。
【0018】
まず、パネル接合部の面内せん断実験とその結果について説明する。
床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を模した試験体の構成を示す平面図を図3に示し、図4に試験体の外観図を示す。また、図3の試験体の正面図を図5に示す。
試験体30として、木質構造用パネル20Wの両端部に、それぞれ木質構造用パネル20Fをクランク型に接合したものを用いた。ここで、木質構造用パネル20Wのパネル本体部21Wとしては、板厚150mm、長手方向(図3の左右方向)の長さ600mm、短手方向(図3の紙面に直交する方向)の長さ300mmの、スギを用いたCLT材を用いた。鋼材プレート25Wは、パネル本体部21Wの材端面21sと同じ大きさの150×300mm、板厚9mmの鋼板を用い、材端面21sにM6.5mmのネジビス26を8本用いて固定した。
また、木質構造用パネル20Fのパネル本体部21Fは、板厚150mm、300×300mmの、スギを用いたCLT材を用いた。鋼材プレート25Fは、板厚9mm、150×300mmの鋼板を用い、パネル本体部21Fのパネル表面21fに、M6.5mmのネジビス26を8本用いて固定した。
木質構造用パネル20Wの両端部の鋼材プレート25Wに対し、それぞれ、木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fを重ね合わせ、鋼材プレート25Wと鋼材プレート25Fとを、M12の高力ボルト27およびナット28で、132N・mの締付トルクで締結した。
【0019】
試験装置の構成を示す正面図を図6(a)に示し、図6(b)に実験状況図を示す。また、試験装置の側面図を図7に示す。
図6図7に示されるように、試験装置100としては、矩形のフレーム101の内側に、試験体30を載置する台102と、台102上の試験体30に荷重を加える油圧ジャッキ103とを備えたものを用いた。
このような試験装置100により、両端部に木質構造用パネル20Fが接合された木質構造用パネル20Wに対し、木質構造用パネル20Wのパネル本体部21Fのパネル表面21f及び材端面21sに直交するパネル側面21tに、パネル表面21fに沿った方向D1(面内方向)に面外荷重を繰り返し作用させた。実験では、油圧ジャッキ103によって加えられた面外荷重をロードセル104で計測し、試験体30の変位量を変位計105で計測した。なお、試験体数は3体であり、各試験体で同様の計測を繰り返し行った。
【0020】
図8に、木質構造用パネルの接合部を対象とした面内荷重試験による面内荷重と変位量関係について、実験結果を実線で示し、実験結果に基づく特性値モデルを破線で示す。実験結果は、繰り返し載荷時における其々の最大面内荷重とその時の変位量の点を順次結んだ包絡線である。また、特性値モデルは、「(公財)日本住宅・木材技術センター発行、2016年度CLTを用いた建築物の設計施工マニュアル、PP.156~158に示された10.6節の評価方法」に基づく、完全弾塑性モデルである。
実験結果によると、3体の試験体の最大面内荷重は略等しく100kN程度であり、最大耐力後の荷重~変位量関係は緩やかに低下した。また、最大耐力時には、パネル材端面に設けた鋼材プレートをパネル本体部に固定するビスネジがパネルを形成する木材を割りさく現象が確認された。また、実験結果より算定される特性値モデルに着目すると、実験結果の面内荷重と変位量関係の包絡線より求まる完全弾塑性モデルの第1折れ点の終局耐力は55kN程度で実験結果の最大面内荷重の約55%であった。変形性能については、完全弾塑性モデルの第1折れ点の終局耐力時の変位を完全弾塑性モデルの降伏点変位と仮定し、当該降伏点変位に対する実験結果の最大面内荷重後の0.8PMAX時の包絡線上の終局変位との割合で示される塑性率は4を上回った。したがって、実験結果に基づく特性値モデルの降伏耐力、及び終局時変位はともに大きく、エネルギー吸収性能に優れた構造体であることが確認できた。
よって、図6図8に示す実験結果と、その特性値モデルとの比較結果から、木質構造用パネルの接合部は、十分な面内せん断抵抗を有することが確認できた。
【0021】
次に、パネル接合部の面外せん断実験とその結果について説明する。
床を構成する木質構造用パネルと壁を構成する木質構造用パネルとの接合構造を模した木質構造用パネルの面外荷重試験体31の構成を示す正面図を図9に示す。
図9に示されるように、試験体31として、木質構造用パネル20Wの両端部に、それぞれ木質構造用パネル20Fを門型状に接合したものを用いた。ここで、木質構造用パネル20W、20Fのパネル本体部21W、21F、鋼材プレート25W、25Fとしては、上記と同様のものを用いた。
木質構造用パネル20Wの両端部の鋼材プレート25Wに対し、それぞれ、木質構造用パネル20Fの鋼材プレート25Fを重ね合わせ、鋼材プレート25Wと鋼材プレート25Fとを、M12の高力ボルト27およびナット28で、132N・mの締付トルクで締結した。
このような試験体31に対し、試験装置100により、図9に示されるように、両端部に木質構造用パネル20Fが接合された木質構造用パネル20Wのパネル本体部21Fのパネル表面21kに、パネル表面21kに直交する方向D2(面外方向)に面外荷重を加えた。そのときの、油圧ジャッキ103によって加えられた面外荷重をロードセル104で計測し、試験体31の変位量を変位計で計測した。なお、試験体数は3体であり、各試験体で同様の計測を繰り返し行った。
【0022】
図10に、木質構造用パネルの接合部を対象とした面外荷重試験による面外荷重と変位量関係について、実験結果を実線で示し、実験結果に基づく特性値モデルを破線で示す。実験結果は、繰り返し載荷時における其々の最大面外荷重とその時の変位量の点を順次結んだ包絡線である。また、特性値モデルは、上述の通り図8に示す評価方法と同様に、完全弾塑性モデルで評価した。
実験結果によると、3体の試験体の最大面外荷重についてはばらつきがみられるものの、3体の試験体の最大面内荷重は略等しく103kN程度であり、完全弾塑性モデルの第1折れ点の終局耐力は55kN程度で実験結果の最大面内荷重の約54%であった。変形性能については、図10に示すように、完全弾塑性モデルの降伏点変位に対する実験結果による最大面内荷重後の0.8PMAX時の変位量の実験値(終局変位)との比で表わされる塑性率は6を上回り、優れた変形性能が認められた。
したがって、今回の面外せん断実験に基づく特性値モデルの降伏耐力、及び終局時変位は、面内せん断実験の実験結果と同様に、エネルギー吸収性能に優れた構造体であることが確認できた。
【0023】
上述したような木質構造用パネル20Wによれば、パネル本体部21Wと、パネル本体部21Wの材端面21sにネジビス26にて固定された鋼材プレート25Wと、を備え、鋼材プレート25Wは、材端面21sに形成された欠込み部24を塞ぐ位置に設置されている。
このような構成によれば、木質構造用パネル20Wに対して直交する木質構造用パネル20Fを接合する部位において、パネル本体部21W、21F同士は、パネル本体部21W,21Fに固定された鋼材プレート25W,25F同士を重ね合わせた状態で高力ボルト27によって締結される。すると、互いに重ね合わせた鋼材プレート25W,25F同士の間に摩擦力が生じ、鋼材プレート25W,25Fが摩擦接合され、木質構造用パネル20W,20F同士を強固に固定することができる。
また、高力ボルト27は、材端面21sに形成された欠込み部24に配置することで、高力ボルト27がパネル本体部21Wを介することなく、互いに重ね合わせた鋼材プレート25W、25F同士を直接締結する。
このように上記木質構造用パネル20Wを用いることで、壁版建物の構造体1において、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能となる。
【0024】
また、上述したような木質構造用パネル20の接合構造によれば、対向して配設される複数の木質構造用パネル20(20W,20F)と、木質構造用パネル20(20W,20F)同士を接合させる高力ボルト27を備え、パネル本体部21Wの材端面21s、またはパネル本体部21Fの長辺方向のパネル表面21fには、鋼材プレート25W,25Fがネジビス26で固定されているとともに、異なる木質構造用パネル20(20W,20F)の鋼材プレート25W,25F同士が互いに重ね合わされて、高力ボルト27で締着されている。
このような構成によれば、其々の木質構造用パネル20に設けられた鋼材プレート25W,25F同士を重ね合わせた状態で、高力ボルト27にて鋼材プレート25W,25F同士を締め付けることで、木質構造用パネル20同士が高剛性の鋼材プレート25W,25Fを挟んで摩擦接合できる。
また、木質構造用パネル20には、接合面に対応するパネル本体部21Wの材端面21sやパネル本体部21Fのパネル表面21fに、ネジビス26を使用して鋼材プレート25W,25Fが固定されていることで、高力ボルト27の締め付けで導入される軸部27sに生じる圧縮力を、鋼材プレート25W,25Fの平板部分から広い範囲に亘ってほぼ均等に加えることができる。
したがって、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能となる。
通常、木材同士の摩擦接合は容易ではないが、上述したように木材からなるパネル本体部21W、21Fに設けた鋼材プレート25W、25F同士を摩擦接合することにより、木材間の摩擦接合が可能となる。これにより、木材による接合構造であっても、建物の設計施工時における接合強度の力学的な管理が容易である。
【0025】
また、上述したような壁版建物は、上記木質構造用パネル20の接合構造によって木質構造用パネル20が複数連結されて、壁3を含む構造体1が形成されている。
このような構成によれば、複数の木質構造用パネル20同士が摩擦接合で連結された壁3が、鉛直荷重を支持する軸組みと、地震時の水平力を負担する耐力壁として機能することで、このような壁3を含む強固な壁版建物の構造体1を実現できる。
したがって、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能となる。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、本発明の木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物の第2実施形態について説明する。
第2の実施形態における、壁を構成する木質構造用パネル同士の接合構造について、図11に部分斜視図を示し、図12に断面図を示す。図11図12に示されるように、壁版建物の構造体1を構成する壁3は、複数枚の木質構造用パネル20Wを連結することで構成されている。
壁3を構成する木質構造用パネル20Wは、上記第1の実施形態と同様、板状のパネル本体部21Wと、パネル本体部21Wの長手方向の材端面21sに設けられた鋼材プレート25Wと、を備えている。
各パネル本体部21には、鋼材プレート25Wが設けられた材端面21sから長手方向に窪む欠込み部24が、鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hに連通する位置に形成されている。
上下に連結される木質構造用パネル20Wの其々の欠込み部24は、図12に示されるように、上部側の木質構造用パネル20Wと下部側の木質構造用パネル20Wで同一の側面に設けられておらず、其々反対側の側面に設けられている。また、壁を構成する木質構造用パネル20W同士は、図11に示すように、所定間隔置きに設けられた欠込み部24を塞ぐように鋼材プレート25Wが配置され、鋼材プレート25W同士を摩擦接合させて一体化されている。
【0027】
このような壁3を構成する複数枚の木質構造用パネル20Wは、以下のようにして接合される。
壁3を構成する複数枚の木質構造用パネル20W同士の接合部において、それぞれの木質構造用パネル20Wは、木質構造用パネル20Wの材端面21sに設けられた鋼材プレート25W同士を互いに重ね合わせて配置される。このとき、鋼材プレート25W同士は、ボルト挿通孔25hが互いに連通するようにする。
このようにして、鋼材プレート25W同士を互いに重ね合わせた状態で、一方の木質構造用パネル20Wに形成された欠込み部24から、互いに重ね合わせた鋼材プレート25Wのボルト挿通孔25hに高力ボルト27の軸部27sを挿通させる。そして、他方の木質構造用パネル20Fの欠込み部24内で、高力ボルト27の軸部27sに、ナット28を螺着させ、高力ボルト27及びナット28を、予め定めた所定のトルクで締結する。
このようにして、木質構造用パネル20W同士の接合部において、互いに重ね合わせた鋼材プレート25W同士の間には、高力ボルト27及びナット28の締結力による圧縮力が生じる。その結果、鋼材プレート25W同士の間に生じる摩擦力が高められて、鋼材プレート25W同士は摩擦接合され、壁3を構成する複数枚の木質構造用パネル20W同士が強固に接合される。
【0028】
上述したような木質構造用パネル20Wによれば、パネル本体部21Wと、パネル本体部21Wの材端面21sにネジビス26にて固定された鋼材プレート25Wと、を備え、鋼材プレート25Wは、材端面21sに形成された欠込み部24を塞ぐ位置に設置されている。
このような構成によれば、木質構造用パネル20W同士の接合部において、パネル本体部21W同士は、鋼材プレート25W同士を重ね合わせた状態で高力ボルト27によって締結される。すると、互いに重ね合わせた鋼材プレート25W同士の間に摩擦力が生じて鋼材プレート25W同士が摩擦接合され、木質構造用パネル20W同士を強固に固定することができる。
また、高力ボルト27は、材端面21sに形成された欠込み部24に配置することで、高力ボルト27がパネル本体部21Wを介することなく、互いに重ね合わせた鋼材プレート25W、25F同士を直接締結する。
このように上記木質構造用パネル20Wを用いることで、壁版建物の構造体1において、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能な壁部分を構築できる。
【0029】
また、上述したような木質構造用パネル20Wの接合構造によれば、対向して配設される複数の木質構造用パネル20Wと、木質構造用パネル20W同士を接合させる高力ボルト27を備え、木質構造用パネル20Wのパネル本体部21Wの材端面21sには、鋼材プレート25Wがネジビス26で固定されているとともに、異なる木質構造用パネル20Wの鋼材プレート25W同士が互いに重ね合わされて、高力ボルト27で締着されている。
このような構成によれば、其々の木質構造用パネル20Wに設けられた鋼材プレート25W同士を重ね合わせた状態で、高力ボルト27にて鋼材プレート25W同士を締め付けることで、木質構造用パネル20W同士が高剛性の鋼材プレート25Wを挟んで摩擦接合できる。
また、木質構造用パネル20Wには、接合面に対応するパネル本体部21Wの材端面21sに、ネジビス26を使用して鋼材プレート25Wが固定されていることで、高力ボルト27の締め付けで導入される軸部27sに生じる圧縮力を、鋼材プレート25Wの平板部分から広い範囲に亘ってほぼ均等に加えることができる。
したがって、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能となる。
【0030】
また、上述したような壁版建物は、上記木質構造用パネル20Wの接合構造によって木質構造用パネル20Wが複数連結されて、壁3を含む構造体1が形成されている。
このような構成によれば、複数の木質構造用パネル20W同士が摩擦接合で連結された壁3が、鉛直荷重を支持する軸組みと、地震時の水平力を負担する耐力壁として機能することで、このような壁3を含む強固な壁版建物の構造体1を実現できる。
したがって、簡単な構成で安定した耐力を確保することが可能となる。
【0031】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の木質構造用パネル、木質構造用パネルの接合構造、及び壁版建物は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態では、パネル本体部21Wの材端面21s、パネル本体部21Fの長辺方向のパネル表面21fに、鋼材プレート25W、25Fを設けるようにしたが、これに限らない。
木質構造用パネルのパネル本体部のパネル表面に鋼材プレートを埋設する変形例を示す斜視図を図13に示す。木質構造用パネルのパネル本体部の材端面に鋼材プレートを埋設する変形例を示す部分拡大図を図14に示す。
図13に示されるように、パネル本体部21Fのパネル表面21fに、鋼材プレート25Fを埋め込む凹部40Fを形成するようにしてもよい。また、図14に示されるように、パネル本体部21Wの材端面21sに、鋼材プレート25Wを埋め込む凹部40Wを形成するようにしてもよい。この凹部40F、40Wに鋼材プレート25W,25Fを埋め込むことで、木質構造用パネル20W,20F同士の接合部において、鋼材プレート25W,25Fが目立つのを抑えることができる。
【0032】
(その他の変形例)
また、上記各実施形態およびその変形例においては、上記接合構造を、床2を構成する木質構造用パネル20Fと、壁3を構成する木質構造用パネル20Wとの接合部、壁3を構成する木質構造用パネル20W同士の接合部に適用するようにしたが、これに限らない。床2を構成する木質構造用パネル20F同士や、建物の屋根部を構成する木質構造用パネル同士の接合部等、他の部位にも、本発明を適用するようにしてもよい。
上述の各実施形態では、鋼材プレートは、並列に配置させたネジビスでパネル本体に固定したが、ネジビス単体の固着性能が優れていれば、1列であってもよい。鋼材プレートを1例のネジビスで固定出来れば、短工期、低コストで木質構造用パネルの接合構造、及び木質構造用パネルを複数連結させて壁版建物を実現できる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 構造体 24 欠込み部
3 壁 25F、25W 鋼材プレート
20、20F、20W 木質構造用パネル 26 ネジビス(線状材)
21F、21W パネル本体部 27 高力ボルト
21f パネル表面 30 木質構造用パネルの面内荷重試験体
21s 材端面 31 木質構造用パネルの面外荷重試験体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14