(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】水分バリア層を備えた不織布研磨ホイール
(51)【国際特許分類】
B24D 13/08 20060101AFI20220104BHJP
B24D 11/00 20060101ALI20220104BHJP
B24D 13/04 20060101ALI20220104BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20220104BHJP
D04H 1/413 20120101ALI20220104BHJP
【FI】
B24D13/08
B24D11/00 D
B24D11/00 P
B24D13/04
B32B5/24
D04H1/413
(21)【出願番号】P 2017528996
(86)(22)【出願日】2015-11-24
(86)【国際出願番号】 US2015062394
(87)【国際公開番号】W WO2016089672
(87)【国際公開日】2016-06-09
【審査請求日】2018-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-01
(32)【優先日】2014-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ポルハ, ローリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ビヴァリッジ, ジェーコブ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ, ディーン エス.
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514173(JP,A)
【文献】中国実用新案第201346747(CN,Y)
【文献】特開2012-157944(JP,A)
【文献】特表2009-500250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 13/00 - 13/20
B24D 11/00 - 11/08
B32B 5/00 - 5/32
D04H 1/00 - 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向両端部に第1及び第2の表面を有し、かつ、不織布繊維ウェブと、研磨粒子と、バインダ材と、を含む、不織布研磨本体と、
前記第1及び第2の
表面のうちの少なくとも一方を覆う水分バリア層と、を備え
、
前記水分バリア層は、金属化フィルムを含み、前記金属化フィルムは、ポリマー層及び金属層を含み、
前記バインダ材が、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリレート、エポキシ、又は、これらの組み合わせを含む、不織布研磨ホイール。
【請求項2】
前記不織布研磨本体は、少なくとも
0.061g/cm
3
、かつ、
2.136g/cm
3
以下の密度を有する、請求項1に記載の不織布研磨ホイール
。
【請求項3】
軸方向両端部に第1及び第2の表面を有し、かつ、不織布繊維ウェブと、研磨粒子と、バインダ材と、を含む不織布研磨本体を提供することと、
前記
不織布研磨本体の前記第1及び第2の
表面のうちの少なくとも一方を覆うように水分バリア層を貼着することと、を含
み、
前記水分バリア層は、金属化フィルムを含み、前記金属化フィルムは、ポリマー層及び金属層を含み、
前記バインダ材が、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリレート、エポキシ、又は、これらの組み合わせを含む、不織布研磨ホイールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(背景)
本開示は、一体型研磨ホイール及び回旋状研磨ホイールなどの不織布研磨物品に関する。より詳細には、本開示は、水分バリア層を有する不織布研磨物品、及び水分バリア層を有する不織布研磨物品の製造方法に関するものである。
【0002】
研磨動作に有用な不織布研磨物品は、一般に、不織布繊維ウェブ(例えば、嵩高な開放型の繊維ウェブ)、研磨粒子、及び、繊維を互いに結合させて研磨粒子を繊維ウェブに固定するバインダ材(通常は「バインダ」と呼ばれる)、を有する。不織布研磨物品の例としては、3M Company(Saint Paul,Minnesota)から商品名「SCOTCH-BRITE」として販売されているものなどの、不織布研磨ハンドパッドが挙げられる。研磨物品の他の例としては、回旋状研磨ホイール及び一体型研磨ホイールが挙げられる。不織布研磨ホイールは、典型的には、不織布繊維ウェブの層を一緒に結合して、同様に研磨粒子を不織布繊維ウェブに結合するバインダ材と一緒に結合された不織布繊維ウェブの層全体に分散された研磨粒子を有する。一体型研磨ホイールは、中空の軸コアを有する円筒を形成するような様式で平行に配置された不織布繊維ウェブの個々のディスクを有する。あるいは、回旋状研磨ホイールは、螺旋状に配設されてコア部材に貼着された不織布繊維ウェブを有する。
【0003】
例えば、湿度などの形態の水分は、かかる不織布研磨物品の性能に悪影響を及ぼし得る。より具体的には、湿度は、不織布研磨物品の寿命及び/又は切断速度を低下させる恐れがある。この問題に対処するために、不織布研磨物品は低湿度環境に保管するか、又は例えばデシケータに入れてもよい。
【0004】
(概要)
上述の欠点を克服する不織布研磨物品の必要性が存在している。即ち、湿度や水分の影響に耐える、一体型ホイール又は回旋状ホイールなどの不織布研磨物品を提供することが望ましく、これによって、高湿度環境での長寿命及び高レベルの研磨性能を維持し、特別な取り扱いを必要とせず、低湿度条件で不織布研磨物品を保管する必要もない。
【0005】
一態様では、本発明は、対向する第1及び第2の主面を有し、かつ、不織布繊維ウェブと、研磨粒子と、バインダ材と、を含む、不織布研磨本体と、第1及び第2の主面のうちの少なくとも一方の上に配置された水分バリア層と、を備える不織布研磨ホイールを提示する。
【0006】
別の態様では、本発明は、不織布研磨ホイールの製造方法であって、不織布研磨ホイールを提供することと、水分バリア層を提供することと、不織布研磨ホイールの少なくとも1つの主面に水分バリア層を貼着することと、を含む方法を提示する。水分バリア層は、研磨ホイールの形成中、又は研磨ホイールが形成された後のいずれかで、不織布研磨ホイールに貼着してもよい。
【0007】
別の態様では、本発明は、回旋状研磨ホイールの製造方法であって、繊維ウェブに硬化性バインダ組成物を含浸させることと、コア部材の周りに含浸繊維ウェブを螺旋状に巻き付けて硬化性母材を形成することと、硬化性母材を硬化させて回旋状研磨ホイールを提供することと、回旋状研磨ホイールの少なくとも1つの主面に多層複合バリアの少なくとも1つの層を貼着することと、を含む方法を提示する。
【0008】
別の態様では、本発明は、中空の軸コアを有する円筒を形成する不織布繊維ウェブのディスクと、研磨粒子と、研磨粒子を不織布繊維ウェブの層の繊維に結合させて不織布繊維ウェブの層を互いに結合させるバインダと、上述の一体型不織布研磨ホイールの少なくとも1つの主面に貼着された多層複合バリアの少なくとも1つの層と、を含む一体型研磨ホイールを提示する。
【0009】
別の態様では、本発明は、中空の軸コアを有する一体型研磨ホイールの製造方法であって、硬化性バインダ組成物が含浸された不織布繊維ウェブの層を提供することと、研磨粒子が硬化性組成物で含浸された不織布繊維ウェブの層を圧縮して硬化性母材を提供することと、硬化性母材を硬化させて硬化した母材を提供することと、硬化した母材を一体型研磨ホイールに形成することと、多層複合バリアの少なくとも1つの層を上述の一体型不織布研磨ホイールの少なくとも1つの主面に貼着することと、を含む方法を提示する。
【0010】
上述の研磨物品及びその製造方法では、不織布繊維ウェブは、その上にプレボンド樹脂を有してもよい。
【0011】
驚くべきことに、本発明に係る不織布研磨物品は、対応する先行技術の不織布研磨物品と比較した場合、本明細書に提示された試験方法に従って評価すると、切断性能において著しい改善を呈することが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】先行技術に係る例示的な不織布研磨物品の斜視図である。
【
図2】先行技術に係る例示的な回旋状研磨ホイールの斜視図である。
【
図3】先行技術に係る例示的な一体型研磨ホイールの斜視概略図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る回旋状研磨ホイールの斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る一体型研磨ホイールの斜視図である。
【0013】
(詳細な説明)
ここで図面を参照すると、類似の参照符号はいくつかの図を通して類似の又は対応する特徴部に言及し、
図1A及び
図1Bは、バインダ材8によって共に保持された絡み合ったフィラメント又は繊維6で形成された開放型の低密度繊維ウェブ4を含む嵩高な不織布研磨物品2を示す。研磨粒子10は、繊維ウェブ4全体に分散され、バインダ材8によって繊維ウェブ4に固定される。バインダ材8は、フィラメント6の一部をコーティングし、フィラメント6の表面に付着する小球であって、及び/又は接触フィラメント6の交差部に集まる小球12を形成し、それによって不織布研磨物品2の全体に研磨部位を提供する。
【0014】
図2に示される回旋状研磨ホイール及び
図3に示される一体型研磨ホイールを含む、本発明に係るさまざまな例示的な不織布研磨物品は、
図1A及び
図1Bに記載された嵩高な不織布研磨物品2を使用して製造することができる。以下に、より詳細に記載されるように、回旋状又は一体型の研磨ホイールの形成において、嵩高な不織布研磨物品2は、それぞれ螺旋状又は積み重ね配置のいずれかで配置され、次いで圧縮(即ち、高密度化)される。
【0015】
回旋状及び一体型の研磨ホイールは、一般に、不織布繊維ウェブ4をバインダ前駆体及び研磨粒子でコーティングすることと、コーティングされた不織布繊維ウェブ4を螺旋構造(回旋状ホイールの場合)に巻き付けること又は複数のディスクが積み重ねられた構成(一体型ホイールの場合)に配置することと、ウェブ4を圧縮することと、バインダ前駆体を硬化して、研磨粒子10を層状不織布研磨剤に結合するのに役立つ硬化バインダ8を提供することと、を含む、公知の技術を用いて製造することができる。不織布繊維ウェブ4は、バインダ前駆体を繊維ウェブ4に最初に塗布した後、研磨粒子10を前駆体に塗布する液滴塗布、又は最初に研磨粒子10をバインダ前駆体と混合し、次にこのスラリー混合物を繊維ウェブ4に塗布するスラリー塗布、を含む公知のコーティング技術を用いてコーティングすることができる。
【0016】
例示的な回旋状研磨ホイール16が
図2に示されている。回旋状研磨ホイールは、コア部材14(例えば、紙、フェノール樹脂又は合成プラスチック材料で形成された管状又は棒状のコア部材)の周りに、不織布研磨ウェブ4の層を圧縮するように不織布研磨ウェブ4を張力をかけて巻き付け、続いて、研磨粒子10を層状の不織布研磨剤に結合するのを助ける硬化バインダを提供するためにバインダ前駆体を硬化(例えば、熱を使用して)することによって、製造することができる。このようにして、研磨粒子10を層状の不織布繊維ウェブに結合して、層状の不織布繊維ウェブの層を互いに結合するバインダ材8でコーティングされた層状の不織布繊維ウェブ18がコア部材14の周りに螺旋状に配設され、コア部材14に貼着される。次いで、研磨ホイールを所望の厚さに切断する。所望であれば、回旋状研磨ホイールは、例えば研磨剤分野において公知である方法を用いて、使用前に目直しし、表面の凹凸を取り除くことができる。
【0017】
例示的な一体型研磨ホイール20を
図3に示す。例えば、上述の未硬化の含浸不織布繊維ウェブ4を、例えば連続ウェブとして、又はシート若しくはディスク21の積層体として積層し、この不織布繊維層を圧縮し、バインダ前駆体を硬化し(例えば、熱を使用して)、得られた研磨物品をダイカットして、中空の軸方向の貫通穴又は開口部を有する一体型研磨ホイールを提供することができる。このようにして形成された一体型研磨ホイール20は、別個のコア部材を必要としない。
【0018】
含浸された不織布繊維ウェブの層を圧縮する際に、層(即ち、螺旋状の巻付けによって形成された層18又はディスクによって形成された層21)は、典型的には圧縮されて、非圧縮状態の層密度の1~20倍の密度を有するスラブ(slab)を形成する。次に、スラブは、典型的には、バインダ前駆体及びスラブサイズに応じて、典型的には高温(例えば、135℃)で熱成形(例えば、2~20時間)される。
【0019】
ここで
図4A及び
図4Bを参照すると、本発明の一実施形態に係る回旋状ホイール22が示されている。回旋状ホイール22は、コア23と、そのコア23の周りを覆う螺旋状に巻き付けられた研磨不織布ウェブの形態の不織布研磨本体24と、を備え、それによって、半径方向に配置された複数の研磨層25を形成する。研磨本体24は、対向する第1及び第2の主面26、28と、第1及び第2の主面26、28にそれぞれ配置された一対の水分バリア層30、32と、を有する。図示の実施形態では、回旋状ホイール22は、周囲条件にさらされたままにされる恐れのある外周縁部46を含んでいる。不織布研磨本体24は、一般に、
図1A及び
図1Bを参照して上述したような研磨粒子及びバインダ材を有する不織布繊維ウェブを含む。
【0020】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、本発明の別の実施形態に係る一体型ホイール34が示されている。一体型ホイール34は、軸方向に配置された複数の不織布ディスク37で形成された不織布研磨本体36を備えている。研磨本体36は、対向する第1及び第2の主面38、40と、第1及び第2の主面38、40にそれぞれ配置された一対の水分バリア層42、44と、を有する。
図4A及び
図4Bを参照して説明した回旋状ホイール22の場合と同様に、一体型ホイール34は、周囲条件にさらされたままにされる恐れのある外周縁部46を含み、不織布研磨本体36は、
図1A及び
図1Bを参照して上述したような研磨粒子及びバインダ材を有する不織布繊維ウェブを備えている。
【0021】
驚くべきことに、不織布研磨ホイールの第1及び第2の主面のうちの少なくとも一方に水分バリア層を設けることによって、研磨ホイールの性能に対する湿度及び水分の有害な影響を大幅に低減できることが見出された。不織布研磨ホイールは不織布研磨本体を含むので、水分バリアを有さない不織布研磨ホイールで生成されたものと同様の湿度及び水分が研磨本体及び製品結果に迅速に浸透することが予想された。したがって、改善された性能は驚くべきかつ予想外のものであった。
【0022】
本発明の特定の態様では、回旋状ホイール22の不織布研磨本体24及び一体型ホイール34の不織布研磨本体36は、少なくとも約1g/in3、少なくとも約2g/in3、又は少なくとも約4g/in3の密度を有し、かつ、約35g/in3以下、約50g/in3以下、又は約75g/in3以下の密度を有し得る。
【0023】
一実施形態では、水分バリア層30、32、42、44は、金属化フィルムを含むことができる。この金属化フィルムは、研磨ホイールが製造されるときに、例えば、金属化フィルムを研磨本体24、36に押し付けることによって、接着剤なしで不織布研磨ホイールの研磨本体に直接貼着してもよい。あるいは、金属化フィルムは、研磨本体24、36が製造された後に、研磨本体24、36に接着接合されてもよい。
【0024】
一実施形態では、金属化フィルムは、ポリマー層及び金属層を含むことができる。図示の実施形態では、水分バリア層30、32、42、44は、金属層32a、44a、ポリマー層32b、44b、及び接着剤層32cを含む。このようにして、水分バリア層20、32、42、44は、回旋状ホイール22及び一体型ホイール34のそれぞれ対向する主面26、28、38、40にそれぞれ接着接合され得る金属化フィルムテープの形態で提供される。
【0025】
特定の実施形態では、金属層32a、44aとしては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、金、白金、銀及びそれらの混合物が挙げられ、ポリマー層32b、44bとしては、ポリエステルフィルム層(即ち、ポリエチレンテレフタレート)が挙げられ、接着剤層としてはアクリル接着剤が挙げられる。
【0026】
一態様では、金属化フィルムは、少なくとも約0.5mil、少なくとも約1.0mil、又は少なくとも約1.5milの厚さ、かつ約6mil以下、約4mil以下、約3mil以下の厚さにすることができる。
【0027】
別の態様では、金属化フィルムは、ASTM F1249-01(Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rater Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor)に従って測定した場合、約0.05g/100in2/24時間未満、約0.04g/100in2/24時間未満、又は約0.03g/100in2/24時間未満の水蒸気透過率を有する。
【0028】
特定の態様において、水分バリア層30、32、42、44は、第1の主面26、38ののうちの少なくとも一方、及び第2の主面28、40のうちの少なくとも一方、の全体に接着接合された金属化ポリエステルフィルムテープを含む。しかし、所望の水分保護レベルに応じて、水分バリア層30、32、42、44は、第1の主面26、38及び第2の主面28、40の全体よりも少ない範囲に設けられてもよいことが認識されるであろう。図示の実施形態では、水分バリア層30、32、42、44が第1の主面26、38及び第2の主面42、44のそれぞれに設けられている。しかし、所望の水分保護のレベルに応じて、水分バリア層が第1の主面26、38、42、44及び第2の主面のうちの一方にのみ設けられてもよいことが認識されるであろう。
【0029】
水分バリア層30、32、42、44に好適な材料としては、Technical Tapes and Solutions(Nashville,Tennessee)から入手可能な金属化ポリエステルフィルムテープ(MMYP-1を含む)、Celplast Metallized Products Ltd(Toronto,Ontario)から入手可能な金属化ポリエステルフィルム(48 ga FOILMET PLUS POLYESTER金属化ポリエステルフィルムを含む)、及びZoro(Buffalo Grove,Illinois)から入手可能なValueブランドの金属化フィルムテープが挙げられる。
【0030】
有用なバインダ前駆体としては、例えば、硬化性ポリウレタンプレポリマー、有効量のアミン硬化剤、及びフェノール樹脂、を含むポリウレタン組成物が挙げられる。バインダ前駆体は、任意の添加剤を更に含んでもよい。
【0031】
前述の研磨物品に使用するのに好適な不織布繊維ウェブ4は、研磨剤の分野で公知である。典型的には、不織布繊維ウェブ4は、フィラメント又は繊維6の絡み合ったウェブを含んでいる。繊維6は、連続繊維、短繊維、又はそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、繊維ウェブ4は、少なくとも約20ミリメートル(mm)、少なくとも約30mm、又は少なくとも約40mm、かつ約110mm未満、約85mm未満、又は約65mm未満の長さを有するが、これらより短い繊維及び長い繊維(例えば、連続フィラメント)もまた有用であり得る。繊維は、少なくとも約1.7デシテックス(dtex、即ちg/10000m)、少なくとも約6dtex、又は少なくとも約17dtex、かつ約560dtex未満、約280dtex未満、又は約120dtex未満の繊度又は線密度を有してよいが、これらより小さな及び/又は大きな線密度を有する繊維は有用であり得る。異なる線密度を有する繊維の混合物もまた、例えば、使用時に特に好ましい表面仕上がりが得られる研磨物品を提供するために有用であり得る。スパンボンド不織布を用いる場合、フィラメントは、実質的により大きな直径、例えば、直径2mm以下又はそれより大きくてもよい。
【0032】
繊維ウェブ4は、例えば、従来のエアレイド、カード、ステッチボンド、スパンボンド、ウェットレイド及び/又はメルトブローン法により製造することができる。エアレイド繊維ウェブは、例えば、Rando Machine Company(Macedon,New York)から市販されている商品名「RANDO WEBBER」として入手可能なもののような設備を用いて調製することができる。
【0033】
不織布繊維ウェブは、典型的には、接着バインダ及び研磨粒子と好適に適合するように選択されるが、物品の他の成分と組み合わせて加工可能であり、典型的には、バインダ前駆体の塗布及び硬化中に使用されるような処理条件(例えば、温度)に耐えることができる。繊維は、例えば、可撓性、弾性、耐久性又は耐用寿命、磨耗性、及び仕上がり特性のような研磨物品の特性に影響を与えるように選択することができる。好適であり得る繊維の例としては、天然繊維、合成繊維、並びに天然繊維及び/又は合成繊維の混合物が挙げられる。合成繊維の例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(例えば、ヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム)、ポリプロピレン、アクリロニトリル(即ち、アクリル)、レーヨン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン-塩化ビニルコポリマー、及び塩化ビニル-アクリロニトリルコポリマーから製造されるものが挙げられる。好適な天然繊維の例としては、リュウゼツラン、綿、羊毛、ジュート、及び麻が挙げられる。繊維は、未使用材料又は、例えば、衣類裁断、カーペット製造、繊維製造、若しくは繊維加工から再生された、回収材料若しくは屑材料によるものであってもよい。繊維は、均質であってもよく、又は2成分繊維(例えば、共紡糸芯鞘型繊維)のような複合体であってもよい。繊維は、伸張されていてもよく、捲縮されていてもよいが、また押出成形プロセスによって形成されるもののような連続フィラメントであってもよい。繊維の組み合わせもまた、使用してよい。
【0034】
バインダ前駆体で含浸する前に、不織布繊維ウェブは、典型的には、少なくとも約50グラム/平方メートル(gsm)、少なくとも約100gsm、若しくは少なくとも約200gsm、かつ/又は、(例えば、硬化性組成物又は任意のプレボンド樹脂による)任意のコーティングの前に測定した場合には、約400gsm未満、約350gsm未満、若しくは約300gsm未満である、単位面積当たりの重量(即ち坪量)を有するが、これらより大きい、及び、小さい坪量も使用し得る。更に、硬化性組成物で含浸する前に、繊維ウェブは、典型的には、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、若しくは少なくとも約10mm、かつ/又は約200mm未満、約75mm未満、若しくは約30mm未満の厚さを有するが、これらよりも厚い、及び薄いものも有用であり得る。
【0035】
不織布研磨物品、研磨ホイール及びそれらの製造方法に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第2,958,593号(Hooverら)、同第5,591,239号(Larsonら)、同第6,017,831号(Beardsleyら)、及び同第7,189,784号(Barber,Jr.)に見出され、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
研磨の分野において公知のように、バインダ前駆体でコーティングする前に、プレボンド樹脂を不織布繊維ウェブに塗布することがしばしば有用である。プレボンド樹脂は、例えば、取り扱い中の不織布繊維ウェブの一体性を維持するのを助け、また、不織布繊維ウェブへのバインダ前駆体の結合を容易にすることができる。プレボンド樹脂の例としては、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、膠、アクリル樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本方式で用いられるプレボンド樹脂の量は、典型的には、架橋接点で繊維同士を結合するのに合致した最小量に調節されている。不織布繊維ウェブが熱結合性繊維を含む場合、不織布繊維ウェブの熱結合もまた、加工中のウェブの一体性を維持するのに有益であり得る。
【0037】
有用な研磨粒子の例としては、研磨剤分野において公知である任意の研磨粒子が挙げられる。代表的な有用研磨粒子としては、酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム(1種以上の金属酸化物変性剤及び/又は種剤若しくは成核剤を含んでもよい)、及び熱処理された酸化アルミニウムなどの融合酸化アルミニウム系材料、炭化ケイ素、共融合アルミナ-ジルコニア、ダイアモンド、セリア、二ホウ化チタン、立方晶系窒化ホウ素、炭化ホウ素、ガーネット、フリント、エメリー、ゾル-ゲル誘導研磨粒子、並びにこれらの混合物が挙げられる。研磨粒子は、例えば、個々の粒子、凝集物、複合粒子、形成された研磨粒子、及びそれらの混合物の形態であり得る。
【0038】
研磨粒子は、例えば、少なくとも約0.1マイクロメートル、少なくとも約1マイクロメートル、又は少なくとも約10マイクロメートル、かつ約2000未満、約1300マイクロメートル未満、又は約1000マイクロメートル未満の平均直径を有してよいが、これらより大きな及び小さな研磨粒子もまた用いてよい。例えば、研磨粒子は、研磨剤業界が仕様を定めた公称等級を有する場合がある。かかる研磨剤業界に認められた等級分け規格としては、アメリカ規格協会(ANSI)規格、欧州砥粒製造協会(FEPA)規格、及び日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。代表的なANSI等級の表記(即ち、特定の公称等級)としては、ANSI4、ANSI6、ANSI8、ANSI16、ANSI24、ANSI36、ANSI40、ANSI50、ANSI60、ANSI80、ANSI100、ANSI120、ANSI150、ANSI180、ANSI220、ANSI240、ANSI280、ANSI320、ANSI360、ANSI400、及びANSI600が挙げられる。代表的なFEPA等級表記としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、600、P800、P1000、及びP1200が挙げられる。代表的なJIS等級表記としては、HS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000、及びJIS10000が挙げられる。
【0039】
典型的には、研磨粒子のコーティング重量(バインダ前駆体中の他の成分とは無関係に)は、例えば、使用される特定のバインダ前駆体、研磨粒子を適用するプロセス、及び研磨粒子のサイズに依存し得る。例えば、(圧縮前の)不織布繊維ウェブ上の研磨粒子のコーティング重量は、少なくとも200グラム/平方メートル(g/m2)、少なくとも600g/m2、若しくは少なくとも800g/m2、かつ/又は、2000g/m2未満、約1600g/m2未満、若しくは約1200g/m2未満であってもよく、これらより大きい又は小さいコーティング重量もまた使用してよい。
【0040】
好適な架橋性バインダ前駆体は、縮合硬化性材料又は付加重合性材料のいずれかを含むことができる。付加重合性材料は、エチレン性不飽和モノマー及び/又はオリゴマーであり得る。架橋可能な材料の例としては、フェノール樹脂、ビスマレイミドバインダ、ビニルエーテル、ペンダントα、β不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト、ウレタン、エポキシ、アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、尿素-ホルムアルデヒド、イソシアヌレート、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシ、又は上記のいずれかの混合物が挙げられる。
【0041】
フェノール材料は、その熱的特性、入手性、コスト、及び取り扱いの容易さのために、好ましいバインダ前駆体であり得る。レゾールフェノール樹脂は、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が1以上、典型的には1.5:1.0~3.0:1.0である。ノボラックフェノール樹脂は、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が1.0:1.0未満である。市販のフェノール樹脂の例としては、Occidental Chemicals Corp.のDUREZ及びVARCUMの商品名によって知られているもの、MonsantoのRESINOX、Ashland Chemical Co.のAROFENE、及びAshland Chemical Co.のAROTAPが挙げられる。
【0042】
いくつかのバインダ前駆体は、ラテックスと混合したフェノール樹脂を含む。かかるラテックスの例としては、アクリロニトリルブタジエン、アクリル、ブタジエン、ブタジエン-スチレン、及びこれらの組み合わせを含む物質が挙げられる。これらのラテックスは、多種多様な供給源から市販されており、RHOPLEX及びACRYLSOLという商品名でRohm and Haas Companyから市販されているもの、FLEXCRYL及びVALTACという商品名でAir Products&Chemicals Inc.から市販されているもの、SYNTHEMUL、TYCRYL、及びTYLACという商品名でReichold Chemical Co.から市販されているもの、HYCAR及びGOODRITEという商品名でB.F.Goodrichから市販されているもの、CHEMIGUMという商品名でGoodyear Tire and Rubber Co.から市販されているもの、NEOCRYLという商品名でICIから市販されているもの、BUTAFONという商品名でBASFから市販されているもの、並びにRESという商品名でUnion Carbideから市販されているものが挙げられる。
【0043】
エポキシ、即ち開環によって重合することができるオキシラン基を有する材料は、モノマー化合物として、又は中若しくは高分子量の二量体、三量体、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーなどのいずれかとして、バインダ前駆体中で有用であり得る。エポキシ化合物は、その主鎖及び置換基の性質が大きく変化し得る。例えば、主鎖は、エポキシ官能性ポリマーに通常関連付けられた任意のタイプのものでよく、その上の置換基は、室温でオキシラン基と反応する活性水素原子を含まない任意の基とすることができる。許容可能な置換基の代表的な例としては、ハロゲン、エステル基、エーテル基、スルホン酸基、シロキサン基、ニトロ基及びリン酸基が挙げられる。いくつかの好ましいエポキシ材料の例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む組成物、並びにEPON 828、EPON 1004、及びEPON 1001Fという商品名でShell Chemical Co.から市販されている材料、DER-331、DER-332、及びDER-334という商品名でDow Chemical Co.から市販されている材料が挙げられる。他の好適なエポキシとしては、フェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical Co.から入手可能なDEN-431及びDEN-428)が挙げられる。
【0044】
エチレン性不飽和バインダ前駆体の例としては、ペンダントα、β-不飽和カルボニル基を有するアミノプラストモノマー又はオリゴマー、エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、アクリル化イソシアヌレートモノマー、アクリル化ウレタンオリゴマー、アクリル化エポキシモノマー又はオリゴマー、エチレン性不飽和モノマー又は希釈剤、アクリレート分散液又はそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
アミノプラストバインダ前駆体は、分子又はオリゴマー当たり少なくとも1つのペンダントα,β-不飽和カルボニル基を有する。これらの材料は、米国特許第4,903,440号及び同第5,236,472号に記載されており、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーは、単官能、二官能、三官能、又は四官能、又は更に高い官能のものであってもよい。本明細書で使用される用語「アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方を含むことを意図している。エチレン性不飽和バインダ前駆体として、炭素、水素、及び酸素、並びに任意選択的に窒素及びハロゲンの原子を含む、モノマー、オリゴマー及びポリマーの化合物が挙げられる。酸素原子又は窒素原子又はその双方は、一般に、エーテル基、エステル基、ウレタン基、アミド基又は尿素基に存在する。エチレン性不飽和化合物は、約4,000未満の分子量を有することが好ましく、脂肪族モノヒドロキシ基又は脂肪族ポリヒドロキシ基を含有する化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸との反応から調製されるエステルが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの代表例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールテトラメタクリレートが挙げられる。他のエチレン性不飽和樹脂としては、モノアリルエステル、ポリアリルエステル、及びポリメタリルエステル、並びにカルボン酸のアミド(フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びN,N-ジアリルアジパミドなど)が挙げられる。更に、その他として、トリス(2-アクリル-オキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリ(2-メチルアクリロキシエチル)-s-トリアジン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N-メチル-アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニル-ピロリドン、N-ビニル-ピペリドンなどの窒素含有化合物が挙げられる。
【0047】
少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアヌレート誘導体及び少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体は、更に米国特許第4,652,274号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。好ましいイソシアヌレート物質には、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートがある。
【0048】
アクリル化ウレタンの例としては、ヒドロキシ末端イソシアネート伸長ポリエステル又はポリエーテルのジアクリレートエステルが挙げられる。市販のアクリレート化ウレタンの例としては、UVITHANE782という商品名でMorton Chemicalから入手可能なもの、CMD6600、CMD8400及びCMD8805という商品名でUCB Radcure Specialtiesから入手可能なものが挙げられる。アクリル化エポキシの例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルなどのエポキシ樹脂のジアクリレートエステルが挙げられる。市販のアクリレート化エポキシの例としては、CMD3500、CMD3600、及びCMD3700という商品名でUCB Radcure Specialtiesから入手可能なものが挙げられる。
【0049】
アクリル化ウレタンの例としては、ヒドロキシ末端NCO伸長ポリエステル又はポリエーテルのジアクリレートエステルが挙げられる。市販のアクリレート化ウレタンの例としては、Morton Thiokol Chemicalから入手可能なUVITHANE782、並びに、Radcure Specialtiesから入手可能なCMD6600、CMD8400、及びCMD8805が挙げられる。
【0050】
アクリル化エポキシの例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルなどのエポキシ樹脂のジアクリレートエステルが挙げられる。市販のアクリレート化エポキシの例としては、Radcure Specialtiesから入手可能なCMD3500、CMD3600、及びCMD3700が挙げられる。
【0051】
エチレン性不飽和希釈剤又はモノマーの例は、米国特許第5,236,472号(Kirkら)及び同第5,667,842号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、これらのエチレン性不飽和希釈剤は、水と適合する傾向があるために有用である。
【0052】
アクリレート分散体に関する更なる詳細は、米国特許第5,378,252号(Follensbee)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
有用なウレタンプレポリマーの例としては、ポリイソシアネート類及びそのブロックされた形が挙げられる。典型的には、ブロックされたポリイソシアネートは、周囲条件(例えば、約20℃~約25℃の範囲の温度)下で、イソシアネート反応性化合物(例えば、アミン、アルコール、チオールなど)に対して実質的に不活性であるが、十分な熱エネルギーを加えると、ブロッキング剤が放出され、アミン硬化剤と反応して共有結合を形成するイソシアネート官能基が生成される。
【0054】
有用なポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、脂環式ポリイソシアネート(例えば、水素化キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネート)、芳香族ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)、前述のポリイソシアネートのいずれかと多価アルコールとの付加物(例えば、ジオール、低分子量の水酸基を含有するポリエステル樹脂、水など)、前述のポリイソシアネートの付加物(例えば、イソシアヌレート、ビウレット)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
有用な市販のポリイソシアネートとしては、例えばChemtura Corporation(Middlebury,Connecticut)から「ADIPRENE」という商品名で入手可能なもの(例えば、「ADIPRENE L 0311」、「ADIPRENE L 100」、「ADIPRENE L 167」、「ADIPRENE L 213」、「ADIPRENE L 315」、「ADIPRENE L 680」、「ADIPRENE LF 1800A」、「ADIPRENE LF 600D」、「ADIPRENE LFP 1950A」、「ADIPRENE LFP 2950A」、「ADIPRENE LFP 590D」、「ADIPRENE LW 520」、「ADIPRENE PP 1095」)、Bayer Corporation(Pittsburgh,Pennsylvania)から「MONDUR」という商品名(例えば、「MONDUR 1437」、「MONDUR MP-095」、又は「MONDUR 448」)で入手可能なポリイソシアネート、Air Products and Chemicals(Allentown,Pennsylvania)から「AIRTHANE」及び「VERSATHANE」の商品名(例えば、「AIRTHANE APC-504」、「AIRTHANE PST-95A」、「AIRTHANE PST-85A」、「AIRTHANE PET-91A」、「AIRTHANE PET-75D」、「VERSATHANE STE-95A」、「VERSATHANE STE-P95」、「VERSATHANE STS-55」、「VERSATHANE SME-90A」及び「VERSATHANE MS-90A」)で入手可能なポリイソシアネートが挙げられる。
【0056】
可使時間を延長するために、例えば、上記などのポリイソシアネート類を、当該分野において公知である種々の技術に従って、ブロッキング剤でブロックすることができる。例示的なブロッキング剤としては、ケトキシム(例えば、2-ブタノンオキシム)、ラクタム(例えば、イプシロン-カプロラクタム)、マロン酸エステル(例えば、マロン酸ジメチル及びマロン酸ジエチル)、ピラゾール(例えば、3,5-ジメチルピラゾール)、第三級アルコール(例えば、t-ブタノール又は2,2-ジメチルペンタノール)を含むアルコール、フェノール類(例えば、アルキル化フェノール類)、及び記載されるようなアルコールの混合物が挙げられる。
【0057】
代表的な、有用な市販のブロックされたポリイソシアネート類としては、Chemtura Corporationにより「ADIPRENE BL11」、「ADIPRENE BL16」、「ADIPRENE BL31」という商品名で販売されているブロックされたポリイソシアネート類、及びBaxenden Chemicals,Ltd.(Accrington,England)により「TRIXENE」(例えば、「TRIXENE BL7641」、「TRIXENE BL7642」、「TRIXENE BL7772」、及び「TRIXENE BL7774」)という商品名で販売されているブロックされたポリイソシアネート類、が挙げられる。
【0058】
典型的には、硬化性組成物中に存在するウレタンプレポリマーの量は、硬化性組成物の総重量を基準として10~40重量%、より典型的には15~30重量%、更により典型的には20~25重量%であるが、これらの範囲外の量もまた用いてよい。
【0059】
好適なアミン硬化剤としては、芳香族、アルキル-芳香族、又はアルキル多官能性アミン、好ましくは一級アミンが挙げられる。有用なアミン硬化剤の例としては、4,4’-メチレンジアニリン;Dow Chemical Companyから市販されている「CURITHANE 103」という商品名で知られているもの、及びBayer Corporation(Pittsburgh,Pennsylvania)の「MDA-85」、を含む2.1~4.0の官能価を有するポリマー性メチレンジアニリン;1,5-ジアミン-2-メチルペンタン;トリス(2-アミノエチル)アミン;3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(即ち、イソホロンジアミン)、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート、ビス(o-アミノフェニルチオ)エタン、4,4’-メチレンビス(ジメチルアントラニル酸)、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン(例えば、日本化薬株式会社(東京、日本)により商品名「KAYAHARD AA」という商品名で市販)、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン(例えば、Lonza,Ltd.(Basel,Switzerland)により商品名「LONZACURE M-DEA」という商品名で市販)、及びそれらの混合物が挙げられる。所望であれば、ポリオール(単数又は複数)を硬化性組成物に添加し、例えば、意図する用途の必要性に応じて硬化速度を変更する(例えば、遅らせる)ことができる。
【0060】
アミン硬化剤は、ブロックされたポリイソシアネートを、目的とする用途に必要な程度まで硬化させるのに有効な量で存在しなければならない。例えば、アミン硬化剤は、硬化剤対イソシアネート(又はブロックされたイソシアネート)の化学量論比が0.8~1.35の範囲、例えば、0.85~1.20の範囲、又は0.90~0.95の範囲で存在し得るが、これらの範囲外の化学量論比もまた使用することができる。
【0061】
典型的には、硬化性組成物は、不織布繊維ウェブ上への硬化性組成物のコーティングを促進する少なくとも1種の有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール又はメチルエチルケトン)を含むが、これは必要条件ではない。
【0062】
任意選択的に、硬化性組成物は1種以上の添加剤と混合されてもよく、かつ/又は、その添加剤を含んでもよい。例示的な添加剤としては、充填材、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤(例えば、顔料)、殺菌剤、殺真菌剤、粉砕助剤、及び静電気防止剤が挙げられる。
【0063】
本発明に係る不織布研磨物品の1つの例示的な製造方法では、次の順序で、(例えば、ロールコーティング又はスプレーコーティングによって)不織布繊維ウェブにプレボンドコーティングを塗布することと、プレボンドコーティングを硬化することと、不織布繊維ウェブにバインダ前駆体を含浸させる(例えば、ロールコーティング又はスプレーコーティングによって)ことと、硬化性組成物を硬化することと、が存在する。
【0064】
典型的には、不織布繊維ウェブ上に、1120~2080gsm、より典型的には1280~1920gsm、更により典型的には1440~1760gsmの量の硬化性組成物(存在し得る任意の溶媒を含む)がコーティングされるが、これらの範囲外の値もまた用いることができる。