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特許6990590電子部品挿入装置、電子部品収納テープ製造装置、電子部品挿入方法、ならびに、電子部品収納テープ製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】電子部品挿入装置、電子部品収納テープ製造装置、電子部品挿入方法、ならびに、電子部品収納テープ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 15/04 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B65B15/04 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018007850
(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公開番号】P2018193129
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2017097123
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】多胡 秀明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-029505(JP,A)
【文献】特開2005-035569(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151896(WO,A1)
【文献】特開2011-011748(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087485(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に電子部品用の収納凹部を等ピッチで有する帯状のキャリアテープを間欠移動させ、挿入位置にてn個(nは2以上の整数)の電子部品を前記キャリアテープのn個の収納凹部に一括挿入するための電子部品挿入装置であって、
(A1)前記挿入位置よりも手前の撮像位置にて、前記n個の収納凹部を包含する撮像範囲で前記キャリアテープを撮像するための撮像手段と、
(A2)前記撮像手段で得た画像に基づいて、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置を検出するための位置検出手段と、
(A3)前記位置検出手段で検出された前記2次元位置に基づいて、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するためのズレ量演算手段と、
(A4)前記ズレ量演算手段で演算された前記ズレ量に基づいて、前記n個の収納凹部に対応した共通補正量を演算するための補正量演算手段と、
(A5)前記挿入位置にて、前記n個の電子部品を前記画像に含まれる前記n個の収納凹部に一括挿入する前に、前記補正量演算手段で演算された共通補正量に基づいて、前記キャリアテープの少なくとも前記挿入位置に対応する部分を変位させて前記n個の収納凹部の2次元位置を変化させるための位置補正手段とを備え、
前記キャリアテープは、長さ方向に送り孔を前記収納凹部と異なる等ピッチで有しており、
前記位置補正手段は、前記送り孔に係合可能な突起を外周面に有する間欠移動用のスプロケットを、前記キャリアテープの長さ方向と幅方向に移動させるための2次元移動機構を有している、
電子部品挿入装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記撮像位置にて前記n個の収納凹部と少なくとも1個の送り孔とを包含する撮像範囲で、前記キャリアテープを撮像するように構成されており、
前記位置検出手段は、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置と前記画像に含まれる前記少なくとも1個の送り孔の2次元位置とを検出するように構成されており、
前記ズレ量演算手段は、前記位置検出手段で検出された前記少なくとも1個の送り孔の2次元位置を基準として、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するように構成されている、
請求項1に記載の電子部品挿入装置。
【請求項3】
前記ズレ量演算手段は、前記画像に2個以上の前記送り孔が含まれているときに、2個以上のうちの1個の2次元位置を基準として、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するように構成されている、
請求項2に記載の電子部品挿入装置。
【請求項4】
前記ズレ量演算手段は、前記画像に前記n個の収納凹部よりも多いn個+1個以上の収納凹部が含まれているときに、n個+1個以上のうちの前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量のみを演算するように構成されている、
請求項2または3に記載の電子部品挿入装置。
【請求項5】
前記n個は、2個~6個の範囲内で選択されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子部品挿入装置。
【請求項6】
前記収納凹部は、略直方体状を成している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品挿入装置。
【請求項7】
前記電子部品は、最大基準寸法が0.6mm以下の電子部品である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品挿入装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子部品挿入装置と、
前記電子部品が挿入された後の前記収納凹部を閉塞するためのカバーテープを前記キャリアテープに付着するカバーテープ付着手段とを備えている、
電子部品収納テープ製造装置。
【請求項9】
長さ方向に電子部品用の収納凹部を等ピッチで有する帯状のキャリアテープを間欠移動させ、挿入位置にてn個(nは2以上の整数)の電子部品を前記キャリアテープのn個の収納凹部に一括挿入するための電子部品挿入方法であって、
(B1)前記挿入位置よりも手前の撮像位置にて、撮像手段によって、前記n個の収納凹部を包含する撮像範囲で前記キャリアテープを撮像するステップと、
(B2)前記撮像手段で得た画像に基づいて、位置検出手段によって、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置を検出するステップと、
(B3)前記位置検出手段で検出された前記2次元位置に基づいて、ズレ量演算手段によって、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するステップと、
(B4)前記ズレ量演算手段で演算された前記ズレ量に基づいて、補正量演算手段によって、前記n個の収納凹部に対応した共通補正量を演算するステップと、
(B5)前記挿入位置にて、前記n個の電子部品を前記画像に含まれる前記n個の収納凹部に一括挿入する前に、前記補正量演算手段で演算された共通補正量に基づいて、位置補正手段によって、前記キャリアテープの少なくとも前記挿入位置に対応する部分を変位させて前記n個の収納凹部の2次元位置を変化させるステップとを備え、
前記キャリアテープは、長さ方向に送り孔を前記収納凹部と異なる等ピッチで有しており、
前記位置補正手段は、前記送り孔に係合可能な突起を外周面に有する間欠移動用のスプロケットを、前記キャリアテープの長さ方向と幅方向に移動させるための2次元移動機構を有している、
電子部品挿入方法。
【請求項10】
前記撮像手段は、前記撮像位置にて前記n個の収納凹部と少なくとも1個の送り孔とを包含する撮像範囲で、前記キャリアテープを撮像するように構成されており、
前記位置検出手段は、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置と前記画像に含まれる前記少なくとも1個の送り孔の2次元位置とを検出するように構成されており、
前記ズレ量演算手段は、前記位置検出手段で検出された前記少なくとも1個の送り孔の2次元位置を基準として、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するように構成されている、
請求項9に記載の電子部品挿入方法。
【請求項11】
前記ズレ量演算手段は、前記画像に2個以上の前記送り孔が含まれているときに、2個以上のうちの1個の2次元位置を基準として、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するように構成されている、
請求項10に記載の電子部品挿入方法。
【請求項12】
前記ズレ量演算手段は、前記画像に前記n個の収納凹部よりも多いn個+1個以上の収納凹部が含まれているときに、n個+1個以上のうちの前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量のみを演算するように構成されている、
請求項10または11に記載の電子部品挿入方法。
【請求項13】
前記n個は、2個~6個の範囲内で選択されている、
請求項9~12のいずれか1項に記載の電子部品挿入方法。
【請求項14】
前記収納凹部は、略直方体状を成している、
請求項9~13のいずれか1項に記載の電子部品挿入方法。
【請求項15】
前記電子部品は、最大基準寸法が0.6mm以下の電子部品である、
請求項9~14のいずれか1項に記載の電子部品挿入方法。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか1項に記載の電子部品挿入方法と、
前記電子部品が挿入された後の前記収納凹部を閉塞するためのカバーテープを、カバーテープ付着手段によって、前記キャリアテープに付着するステップとを備えている、
電子部品収納テープ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入位置にてn個(nは2以上の整数)の電子部品をキャリアテープのn個の収納凹部に一括挿入するための電子部品挿入装置および電子部品挿入方法と、これら装置および方法にカバーテープ付着手段およびカバーテープ付着方法を組み合わせた電子部品収納テープ製造装置および電子部品収納テープ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品収納テープを製造する際に用いられる帯状のキャリアテープは、長さ方向に電子部品用の収納凹部を等ピッチで有している。このキャリアテープは、所定の挿入位置にて電子部品を収納凹部に挿入した後に当該収納凹部を閉塞するためのカバーテープを付着することによって電子部品収納テープとなる。ちなみに、この電子部品収納テープは、例えばカバーテープを剥離しながら電子部品を収納凹部から取り出せるようにするテープフィーダに装着して使用される。
【0003】
電子部品の収納凹部への挿入に関しては、従来、電子部品を1個ずつ収納凹部に挿入する方法が採用されていたが、最近は、電子部品の挿入効率、換言すれば電子部品収納テープの製造効率を高めるために、複数個の電子部品を同数の収納凹部に一括挿入する方法が検討されている(後記特許文献1~3を参照)。
【0004】
ところで、挿入対象の電子部品、例えばコンデンサやインダクタやバリスタ等は、需要者側の要求に基づく小型化が進んでおり、現状では、最大基準寸法が0.6mm以下の電子部品、例えば略直方体状のものにあっては長さ(基準寸法)が0.6mm以下で幅(基準寸法)が0.3mm以下の電子部品も汎用されている。また、この電子部品の小型化に伴って、小型の電子部品に対応した収納凹部を有するキャリアテープも市販されている。
【0005】
このキャリアテープの収納凹部のサイズ(寸法公差を含む)は、挿入対象の電子部品の基準寸法および寸法公差を考慮のうえで定められているため、個々の収納凹部に関して言えば、電子部品が小型であっても個別挿入に特段の支障は生じない。
【0006】
しかしながら、小型の電子部品に対応した収納凹部のサイズは当然ながら小さく、かつ、収納凹部それぞれの2次元位置(キャリアテープの長さ方向と幅方向の位置)にも公差があるため、先に述べた複数個の電子部品を同数の収納凹部に一括挿入する方法を採用する場合には、複数個の収納凹部それぞれの2次元位置のバラツキを十分に考慮する必要がある。
【0007】
すなわち、複数個の収納凹部それぞれの2次元位置のバラツキによっては、複数個の電子部品を同数の収納凹部に一括挿入するときに、幾つかの電子部品が収納凹部の内側面に接触して挿入がスムースに行われない懸念が生じる。つまり、複数個の電子部品を同数の収納凹部に一括挿入する場合、とりわけ電子部品が小型である場合には、一括挿入がよりスムースに行えるような技術的配慮が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-292252号公報
【文献】特開2002-029505号公報
【文献】特開2006-168754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、複数個の電子部品をキャリアテープの同数の収納凹部に一括挿入する場合、とりわけ電子部品が小型である場合でも、一括挿入をよりスムースに行える電子部品挿入装置および電子部品挿入方法を提供することと、この電子部品挿入装置および電子部品挿入方法を用いた電子部品収納テープ製造装置および電子部品収納テープ製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る電子部品挿入装置は、長さ方向に電子部品用の収納凹部を等ピッチで有する帯状のキャリアテープを間欠移動させ、挿入位置にてn個(nは2以上の整数)の電子部品を前記キャリアテープのn個の収納凹部に一括挿入するための電子部品挿入装置であって、(A1)前記挿入位置よりも手前の撮像位置にて、前記n個の収納凹部を包含する撮像範囲で前記キャリアテープを撮像するための撮像手段と、(A2)前記撮像手段で得た画像に基づいて、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置を検出するための位置検出手段と、(A3)前記位置検出手段で検出された前記2次元位置に基づいて、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するためのズレ量演算手段と、(A4)前記ズレ量演算手段で演算された前記ズレ量に基づいて、前記n個の収納凹部に対応した共通補正量を演算するための補正量演算手段と、(A5)前記挿入位置にて、前記n個の電子部品を前記画像に含まれる前記n個の収納凹部に一括挿入する前に、前記補正量演算手段で演算された共通補正量に基づいて、前記キャリアテープの少なくとも前記挿入位置に対応する部分を変位させて前記n個の収納凹部の2次元位置を変化させるための位置補正手段とを備えている。
【0011】
また、本発明に係る電子部品収納テープ製造装置は、前掲の電子部品挿入装置と、前記電子部品が挿入された後の前記収納凹部を閉塞するためのカバーテープを前記キャリアテープに付着するカバーテープ付着手段とを備えている。
【0012】
さらに、本発明に係る電子部品挿入方法は、長さ方向に電子部品用の収納凹部を等ピッチで有する帯状のキャリアテープを間欠移動させ、挿入位置にてn個(nは2以上の整数)の電子部品を前記キャリアテープのn個の収納凹部に一括挿入するための電子部品挿入方法であって、(B1)前記挿入位置よりも手前の撮像位置にて、撮像手段によって、前記n個の収納凹部を包含する撮像範囲で前記キャリアテープを撮像するステップと、(B2)前記撮像手段で得た画像に基づいて、位置検出手段によって、前記画像に含まれる前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置を検出するステップと、(B3)前記位置検出手段で検出された前記2次元位置に基づいて、ズレ量演算手段によって、前記n個の収納凹部それぞれの2次元位置のズレ量を演算するステップと、(B4)前記ズレ量演算手段で演算された前記ズレ量に基づいて、補正量演算手段によって、前記n個の収納凹部に対応した共通補正量を演算するステップと、(B5)前記挿入位置にて、前記n個の電子部品を前記画像に含まれる前記n個の収納凹部に一括挿入する前に、前記補正量演算手段で演算された共通補正量に基づいて、位置補正手段によって、前記キャリアテープの少なくとも前記挿入位置に対応する部分を変位させて前記n個の収納凹部の2次元位置を変化させるステップとを備えている。
【0013】
さらに、本発明に係る電子部品収納テープ製造方法は、前掲の電子部品挿入方法と、 前記電子部品が挿入された後の前記収納凹部を閉塞するためのカバーテープを、カバーテープ付着手段によって、前記キャリアテープに付着するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子部品挿入装置および電子部品挿入方法によれば、複数個の電子部品をキャリアテープの同数の収納凹部に一括挿入する場合、とりわけ電子部品が小型である場合でも、一括挿入をよりスムースに行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る電子部品収納テープ製造装置および電子部品収納テープ製造方法によれば、キャリアテープの収納凹部への電子部品の挿入を高効率で行って電子部品収納テープを高効率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)はキャリアテープの一例を示す図、図1(B)は挿入対象の電子部品の一例を示す図である。
図2図2は本発明に係る電子部品挿入装置の部分図である。
図3図3図2に示した電子部品挿入装置の動作制御系を示す図である。
図4図4(A)および図4(B)は3個の電子部品を3個の収納凹部に一括挿入する場合のキャリアテープの送り動作の説明図である。
図5図4(A)は図2に示した挿入位置におけるキャリアテープの第1の停止状態を示す図、図4(B)は同第2の停止状態を示す図である。
図6図6は共通補正量の演算に係る動作フローを示す図である。
図7図7(A)は図2に示した撮像位置におけるキャリアテープの第1の停止状態を示す図、図7(B)は同第2の停止状態を示す図である。
図8図8(A)は図7(A)に示した第1の停止状態で得た画像の一例を示す図、図8(B)は図7(B)に示した第2の停止状態で得た画像の一例を示す図である。
図9図9は収納凹部の位置補正に係る動作フローを示す図である。
図10図10は2個の電子部品を2個の収納凹部に一括挿入する場合のキャリアテープの挿入位置および撮像位置における停止状態の説明図である。
図11図11は4個の電子部品を4個の収納凹部に一括挿入する場合のキャリアテープの挿入位置および撮像位置における停止状態の説明図である。
図12図12は5個の電子部品を5個の収納凹部に一括挿入する場合のキャリアテープの挿入位置および撮像位置における停止状態の説明図である。
図13図13は6個の電子部品を6個の収納凹部に一括挿入する場合のキャリアテープの挿入位置および撮像位置における停止状態の説明図である。
図14図14図1(A)に示したキャリアテープと送り孔のピッチが異なるキャリアテープを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図1を用いて、キャリアテープの一例と、挿入対象の電子部品の一例について説明する。
【0018】
図1(A)に示したキャリアテープCTは帯状であり、長さ方向(図中のX方向、以下長さ方向をX方向と言う)に電子部品用の略直方体状の収納凹部CTaを等ピッチPaで有するとともに、収納凹部CTaと幅方向(図中のY方向、以下幅方向をY方向と言う)に間隔をおき、X方向に送り孔CTbを収納凹部CTaと異なる等ピッチPbで有している。ちなみに、キャリアテープCTの加工タイプに特段の制限は無く、例えば圧縮加工タイプのキャリアテープやエンボス加工タイプのキャリアテープ等が適宜使用できる。
【0019】
図1(B)に示した電子部品ECは略直方体状であり、基準寸法において長さd1>幅d2=高さd3(図示省略)の寸法関係を有している。ちなみに、電子部品ECの種類に特段の制限は無く、例えばコンデンサやインダクタやバリスタ等の電子部品が適宜使用できる。
【0020】
参考までに、図1(A)の基になっているキャリアテープCTのY方向寸法Wは4mm±0.05mmである。また、各収納凹部CTaのY方向寸法Dyは0.46mm±0.02mm、X方向寸法Dxは0.25mm±0.02mm、Y方向およびX方向と直交する方向の寸法Dz(深さ、図示省略)は0.25mm±0.02mmである。さらに、各送り孔CTbの直径φは0.9mm±0.05mmである。さらに、収納凹部CTaのピッチPaは1mm±0.02mm、送り孔CTbのピッチPbは2mm±0.04mmである。さらに、各収納凹部CTaの中心と各送り孔CTbの中心とのY方向間隔(符号省略)は1.8mm±0.02mmである。図1(B)の基になっている電子部品ECは0402と称されるものであり、長さd1は0.4mm±0.02mm、幅d2および高さd3(図示省略)は0.2mm±0.02mmである。
【0021】
つぎに、図2図5を用いて、図1(A)に示したキャリアテープCTと図1(B)に示した電子部品ECを用いた電子部品挿入装置の構成について説明する。
【0022】
この電子部品挿入装置は、キャリアテープCT(図1(A)を参照)を+X方向に間欠移動させ、キャリアテープCTの3個の収納凹部CTaが挿入位置IPで停止するたびに、この3個の収納凹部CTaに3個の電子部品EC(図1(B)を参照)を一括挿入する機能を有している。ちなみに、キャリアテープCTの間欠移動はガイドレール(図示省略)によって案内されている。
【0023】
図2および図3の符号12は、キャリアテープCTの収納凹部CTaのうちの3個が順次挿入位置IPで停止するように、当該キャリアテープCTを間欠移動させるためのモータである。この間欠移動用モータ12のシャフト(符号省略)には、図2および図4に示したように、キャリアテープCTの送り孔CTbに係合可能な突起11aを外周面に等角度間隔で有する間欠移動用スプロケット11の中心が連結されている。また、この間欠移動用スプロケット11の突起11aの幾つかは、キャリアテープCTの送り孔CTbに係合している。
【0024】
キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaは送り孔CTbのピッチPbの1/2であるため、図4に示したように、キャリアテープCTおよび間欠移動用スプロケット11は、挿入位置IPにおいて、2種類の状態(後述する第1の停止状態Sip1と第2の停止状態Sip2)で交互に停止する。
【0025】
図4(A)および図5(A)は第1の停止状態Sip1を示し、この第1の停止状態Sip1では、間欠移動用スプロケット11の1個の突起11aの中心が目標位置TG(挿入位置IPのX方向中央に相当する位置)と一致するようにキャリアテープCTが停止する。図4(B)および図5(B)は第2の停止状態Sip2を示し、この第2の停止状態Sip2では、間欠移動用スプロケット11の2個の突起11aの中央が目標位置TGと一致するようにキャリアテープCTが停止する。図5(A)および図5(B)に示したように、第1の停止状態Sip1と第2の停止状態Sip2において、3個の収納凹部CTaが挿入位置IPで同じように停止することに変わりはない。
【0026】
図2の符号13は、2次元移動機構、例えばXYテーブル等であり、X方向とY方向に移動可能な可動部13aを有しており、この可動部13aに間欠移動用モータ12が固定されている。図3の符号13bは2次元移動機構13のX方向移動用モータを示し、符号13cは2次元移動機構13のY方向移動用モータを示す。この2次元移動機構機構13は、X方向移動用モータ13bとY方向移動用モータ13cの動作によって、可動部13aおよびこれに固定された間欠移動用モータ12をX方向とY方向に移動させ、これにより間欠移動用モータ12のシャフトに連結された間欠移動用スプロケット11をX方向とY方向に移動させることができる。
【0027】
すなわち、図4および図5に示した第1の停止状態Sip1と第2の停止状態Sip2では、間欠移動用スプロケット11の幾つかの突起11aがキャリアテープCTの送り孔CTbに係合している。そのため、2次元移動機構13によって間欠移動用スプロケット11をX方向とY方向に移動させることにより、キャリアテープCTの少なくとも挿入位置IPに対応する部分を変位させて、挿入位置IPに対応する3個の収納凹部CTaの2次元位置(X方向とY方向の位置)を変化させることができる。
【0028】
図2の符号14は、電子部品ECを挿入位置IPに搬送するための部品搬送ディスクである。図示を省略したが、部品搬送ディスク14の外周部分には、電子部品ECを収容可能な矩形状溝や矩形状孔等から成る部品保持部が、キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaと見合う間隔で設けられている。図2に示した電子部品挿入装置は、挿入位置IPにて3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入するものであるため、部品搬送ディスク14の部品保持部の総数は3の倍数であり、かつ、3個毎にその向きが挿入位置IPで停止した3個の収納凹部CTaの向きと整合するようになっている。また、図示を省略したが、部品搬送ディスク14には、部品保持部に電子部品ECが保持された状態を維持するためのエア吸引通路が設けられており、このエア吸引通路の集合部分はエアチューブを介してエア吸引装置に接続されている。
【0029】
図3の符号14aは、部品搬送ディスク14の部品保持部のうちの3個が順次挿入位置IPで停止するように、当該部品搬送ディスク14を間欠回転させるためのモータである。この間欠回転用モータ14aのシャフト(図示省略)には、部品搬送ディスク14の中心が連結されている。
【0030】
図3の符号15は、部品搬送ディスク14の部品保持部のうちの3個が挿入位置IPで停止するたびに、この3個の部品保持部に保持されている3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入するための挿入駆動源である。図示を省略したが、挿入駆動原は好ましくはソレノイドであり、このソレノイドのプランジャには、挿入位置IPで停止した3個の部品保持部に保持されている電子部品ECに対応した3本の部品挿入ピンが設けられている。ちなみに、挿入駆動原にはエア吐出装置も利用でき、この場合には、エア吐出装置に接続されたエアチューブの先端を挿入位置IPで停止した3個の部品保持部に保持されている電子部品ECに向き合うようにするとともに、吐出エアによって3個の部品保持部に保持されている3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入するようにするとよい。
【0031】
図示を省略したが、部品搬送ディスク14には、部品保持部に電子部品ECを供給するための部品供給装置が付設されている。この部品供給装置は、ボールフィーダに連結されたリニアフィーダの先端から部品保持部に電子部品ECを順次供給するものであってもよいし、バルク状態(向きがばらばらな状態)の電子部品ECを自重やエア等を利用して部品保持部に順次供給するものであってもよい。
【0032】
図2の符号PPは、挿入位置IPよりも手前(-X方向)に設定された撮像位置である。また、図3の符号16は、撮像位置PPにて、3個の収納凹部CTaを包含する撮像範囲IA(図7を参照)で、キャリアテープCTを撮像するためのカメラであり、MOSやCMOSやCCD等の撮像素子を内蔵している。図示を省略したが、カメラ16またはその周囲には、撮像時にキャリアテープCTを照明する照明器が配置されている。
【0033】
先に述べたように、図2に示した電子部品挿入装置は、挿入位置IPにて3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入するものであるため、撮像位置PPの3個の収納凹部CTaと挿入位置IPの3個の収納凹部CTaとの間には3の倍数(図2では27個)の収納凹部CTaが存在する。ちなみに、撮像位置PPは図2に示した位置よりも挿入位置IPに近い位置に設定してもよいし、図2に示した位置よりも挿入位置IPから離れた位置に設定してもよい。また、図7には、便宜上、撮像範囲IAを挿入位置IPおよび停止位置PPを示す矩形枠と同じ大きさで描いているが、当該撮像範囲IAは挿入位置IPおよび停止位置PPを示す矩形枠と異なる大きさであってもよい。
【0034】
図3の符号17は、マイクロコンピュータ、各種ドライバおよび各種インターフェースを有する制御部であり、動作制御用のプログラムをROMに格納している。図3の符号18は、カメラ16で得た画像を一時的に記憶するための記憶部であり、この記憶部16には後記共通補正量等も一時的に記憶される。
【0035】
なお、電子部品挿入装置の部品搬送ディスク14は水平または略水平な向きであってよいし、その回転軸線が鉛直線に対して鋭角範囲内で傾く向きであってもよい。いずれの場合も、図2に示したキャリアテープCTの上面と間欠移動用スプロケット11の回転軸線と2次元移動機構13の可動部13aの上面が、部品搬送ディスク14と同じの向きとなるようにすれば、所期の動作を実現できる。
【0036】
次に、図2図5を用いて、電子部品挿入装置における部品挿入の基本動作について説明する。
【0037】
図2および図4に示した間欠移動用スプロケット11と図2に示した部品搬送ディスク14は、同期して間欠回転する。図2に示した電子部品挿入装置は、挿入位置IPにて3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入するものであるため、キャリアテープCTは3個の収納凹部CTaが挿入位置IPで順次停止するように間欠移動、すなわち、+X方向の移動と停止を繰り返し、部品搬送ディスク14は3個の保持部が挿入位置IPで順次停止するように間欠回転、すなわち、図2の反時計回り方向の回転と停止を繰り返す。
【0038】
図2図4および図5に示したように、キャリアテープCTと部品搬送ディスク14が停止すると挿入駆動源15が動作し、挿入位置IPで停止した3個の部品保持部に保持されている電子部品ECが、同挿入位置IPで停止した3個の収納凹部CTaに一括挿入される。この一括挿入が完了とすると、キャリアテープCTが次の3個の収納凹部CTaが挿入位置IPで停止するように+X方向に移動するとともに、部品搬送ディスク14も次の3個の部品保持部が挿入位置IPで停止するように反時計回り方向に回転する。この後も同様の一括挿入と、キャリアテープCTの移動および停止と、部品搬送ディスク14の回転および停止が繰り返される。すなわち、挿入位置IPにて3個の電子部品ECがキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入される動作が繰り返される。
【0039】
次に、図6図9を用いて、電子部品挿入装置における位置補正の動作、すなわち、挿入位置IPにて3個の電子部品ECをキャリアテープCTの3個の収納凹部CTaに一括挿入する前段階で行われる3個の収納凹部CTaの2次元位置(X方向とY方向の位置)の補正動作について説明する。
【0040】
図7に示したように、間欠移動するキャリアテープCTが撮像位置PPで停止すると、この撮像位置PPにて、カメラ16(図3を参照)によって、3個の収納凹部CTaを包含する撮像範囲IA(図7を参照)でキャリアテープCTが撮像される(図6のステップST11およびST12を参照)。
【0041】
キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaは送り孔CTbのピッチPbの1/2であるため、図7に示したように、キャリアテープCTは、撮像位置PPにおいて、2種類の状態(後述する第1の停止状態Spp1と第2の停止状態Spp2)で交互に停止する。
【0042】
図7(A)は第1の停止状態Spp1を示し、この第1の停止状態Spp1では1個の送り孔CTbが撮像位置PPのX方向中央に相当する位置と一致するようにキャリアテープCTが停止する。図7(B)は第2の停止状態Spp2を示し、この第2の停止状態Spp2では2個の送り孔CTbの中央が撮像位置PPのX方向中央に相当する位置と一致するようにキャリアテープCTが停止する。図7(A)に示した第1の停止状態Spp1と図7(B)に示した第2の停止状態Spp2において、3個の収納凹部CTaが撮像位置ppで同じように停止して撮像範囲IAに収まることに変わりはない。
【0043】
すわなち、ステップST12では、撮像位置PPにて、図7(A)に示した第1の停止状態Spp1と、図7(B)に示した第2の停止状態Spp1が、交互に撮像される。
【0044】
ステップST12で得た画像が図7(A)に示した第1の停止状態Spp1の画像である場合には、この画像に基づいて1個の送り孔CTbと3個の収納凹部CTaの2次元位置が検出され、検出された2次元位置に基づいて各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量が演算され、演算されたズレ量に基づいて3個の収納凹部CTaに対応した共通補正量(ΔXおよびΔY)が演算され、演算された共通補正量が記憶される(図6のステップST13~ST17を参照)。
【0045】
また、ステップST12で得た画像が図7(B)に示した第2の停止状態Spp2の画像である場合には、この画像に基づいて2個の送り孔CTbと3個の収納凹部CTaの2次元位置が検出され、検出された2次元位置に基づいて各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量が演算され、演算されたズレ量に基づいて3個の収納凹部CTaに対応する共通補正量が演算され、演算された補正量が記憶される(図6のステップST13~ST17を参照)。
【0046】
ここで、図8に示した画像の一例を用いて、図6のステップST13~ST17の処理について詳述する。
【0047】
図8(A)は第1の停止状態Spp1で得た画像IM1の一例を示し、図8(B)は第2の停止状態Spp2で得た画像IM2の一例を示す。ちなみに、図8(A)に示した画像IM1にあっては、3個の収納凹部CTaのうちの左側と右側の2個の収納凹部CTaの2次元位置が理想位置(ズレがない位置を意味する、破線枠を参照)とズレている。また、図8(B)に示した画像IM2にあっては、3個の収納凹部CTaのうちの左側と中央の2個の収納凹部CTaの2次元位置が理想位置(ズレがない位置を意味する、破線枠を参照)とズレている。
【0048】
図8(A)に示した画像IM1の場合は、まず、送り孔CTbと収納凹部CTaのそれぞれに対応したテンプレートと同じパターンをサーチするパターン検出法によって、1個の送り孔CTbと3個の収納凹部CTaの2次元位置を検出する。そして、1個の送り孔CTbの2次元位置(+印で示した中心位置)をXY座標系の原点(X0,Y0)とし、この原点(X0,Y0)を基準として3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置(+印で示した中心位置)をXY座標系で演算する。
【0049】
原点(X0,Y0)を基準とした3個の収納凹部CTaそれぞれの理想位置(X1,Y1)、(X2,Y2)および(X3,Y3)はキャリアテープCTの設計上の各基準寸法から予め算出しておくことができるため、3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置のXY座標は好ましくは各々の理想位置とのズレ量が分かるように演算する。すなわち、画像IM1では、左側の収納凹部CTaの2次元位置が斜め左上にズレているため、そのXY座標は(X1+a,Y1-b)となる。また、中央の収納凹部CTaにはズレがないため、そのXY座標は(X2,Y2)となる。さらに、右側の収納凹部CTaの2次元位置が斜め左上にズレているため、そのXY座標は(X3+c,Y3-d)となる。
【0050】
そして、3個の収納凹部CTaそれぞれのXY座標(X1+a,Y1-b)、(X2,Y2)および(X3+c,Y3-d)に基づいて、3個の収納凹部CTaで共通のX方向の補正量ΔXを{(+a)+(0)+(+c)}/3で演算するとともに、3個の収納凹部CTaで共通のY方向の補正量ΔYを{(-b)+(0)+(-c)}/3で演算する。そして、この(ΔX,ΔY)を画像IM1に含まれる3個の収納凹部CTaに対応した共通補正量として記憶する。
【0051】
図8(B)に示した画像IM2の場合は、まず、前記同様のパターン検出法によって、2個の送り孔CTbと3個の収納凹部CTaの2次元位置を検出する。そして、2個の送り孔CTbのうちの1個(ここでは左側)の送り孔CTbの2次元位置(+印で示した中心位置)をXY座標系の原点(X0,Y0)とし、この原点(X0,Y0)を基準として3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置(+印で示した中心位置)をXY座標系で演算する。
【0052】
原点(X0,Y0)を基準とした3個の収納凹部CTaそれぞれの理想位置(X4,Y4)、(X5,Y5)および(X6,Y6)はキャリアテープCTの設計上の各基準寸法から予め算出しておくことができるため、3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置のXY座標は好ましくは各々の理想位置とのズレ量が分かるように演算する。すなわち、画像IM2では、左側の収納凹部CTaの2次元位置が斜め左上にズレているため、そのXY座標は(X4+e,Y4-f)となる。また、中央の収納凹部CTaの2次元位置が斜め右上にズレているため、そのXY座標は(X5-g,Y5-h)となる。さらに、中央の収納凹部CTaにはズレがないため、そのXY座標は(X6,Y6)となる。
【0053】
そして、3個の収納凹部CTaそれぞれのXY座標(X4+e,Y4-f)、(X5-g,Y5-h)および(X6,Y6)に基づいて、3個の収納凹部CTaで共通のX方向の補正量ΔXを{(+e)+(-g)+(0)}/3で演算するとともに、3個の収納凹部CTaで共通のY方向の補正量ΔYを{(-f)+(-h)+(0)}/3で演算する。そして、この(ΔX,ΔY)を画像IM2に含まれる3個の収納凹部CTaに対応した共通補正量として記憶する。
【0054】
つまり、キャリアテープCTは3個の収納凹部CTaを単位として間欠移動するため、先に述べた共通補正量(ΔX,ΔY)は3個の収納凹部CTaを単位として順次記憶される。
【0055】
なお、図8(A)に示した画像IM1において1個の送り孔CTbの2次元位置(+印で示した中心位置)をXY座標系の原点(X0,Y0)とし、図8(B)に示した画像IM2において2個の送り孔CTbのうちの一方(+印で示した中心位置)をXY座標系の原点(X0,Y0)とした理由は、キャリアテープCTの間欠移動を行う間欠移動用スプロケット11の突起11aがキャリアテープCTの送り孔CTbに係合しているため、送り孔CTbの2次元位置を基準とした方が各収納凹部CTaの2次元位置のバラツキを把握し易いことにある。すなわち、送り孔CTbの2次元位置を基準として収納凹部CTaの2次元位置のズレ量を演算した方が、前述のズレ量の演算および共通補正量の演算が好適に行えることに基づいている。
【0056】
一方、間欠移動するキャリアテープCTが挿入位置IPで停止して3個の収納凹部CTaへの3個の電子部品ECの一括挿入が完了すると、記憶されている共通補正量(ΔX,ΔY)の中から次の3個の収納凹部CTaに対応した共通補正量(ΔX,ΔY)が読み出される(図9のステップST24およびST21を参照)。
【0057】
続いて、次の3個の収納凹部CTaに3個の電子部品ECが一括挿入される前に、読み出された共通補正量(ΔX,ΔY)に基づいて3個の収納凹部CTaの2次元位置が補正される(図9のステップST22を参照)。この位置補正は、読み出された補正量(ΔX,ΔY)に基づき2次元移動機構13によって間欠移動用スプロケット11をX方向とY方向に移動させ、この移動によりキャリアテープCTの少なくとも挿入位置IPに対応する部分を共通補正量(ΔX,ΔY)だけX方向とY方向に変位させることによって行われる。
【0058】
続いて、位置補正が為された後の3個の収納凹部CTaに3個の電子部品ECが一括挿入される(図9のステップST23を参照)。
【0059】
前述の共通補正量(ΔX,ΔY)は、挿入位置IPで停止する3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置のズレを考慮した共通補正量であるため、3個の収納凹部CTaへの3個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。また、3個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置が図8に示した画像IM1およびIM2とは異なった態様でズレていても、3個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0060】
次に、図10図13を用いて、3個以外の個数の電子部品を同数の収納凹部に一括挿入する場合におけるキャリアテープの挿入位置および撮像位置における停止状態について説明する。
【0061】
図10は2個の電子部品ECを2個の収納凹部CTaに一括挿入する場合のキャリアテープCTの挿入位置IPおよび撮像位置PPにおける停止状態を示す。この場合、キャリアテープCTは2個の収納凹部CTaを単位として間欠移動するため、キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPbの1/2であると、キャリアテープCTの挿入位置IPの停止状態は1種類(Sipを参照)しかなく、撮像位置PPの停止状態も1種類(Sppを参照)しかない。この場合も、図6と同様の処理によって2個の収納凹部CTaに対応した共通補正量を演算して記憶すれば、図9と同様の処理によって2個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0062】
図11は4個の電子部品ECを4個の収納凹部CTaに一括挿入する場合のキャリアテープCTの挿入位置IPおよび撮像位置PPにおける停止状態を示す。この場合、キャリアテープCTは4個の収納凹部CTaを単位として間欠移動するため、キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPbの1/2であると、キャリアテープCTの挿入位置IPの停止状態は1種類(Sipを参照)しかなく、撮像位置PPの停止状態も1種類(Sppを参照)しかない。また、撮像位置PPで得た画像には必ず2個の送り孔CTbが含まれるため、2個の送り孔CTbのうちの1個の送り孔CTbの2次元位置をXY座標系の原点(X0,Y0)とする。この場合も、図6と同様の処理によって4個の収納凹部CTaに対応した共通補正量を演算して記憶すれば、図9と同様の処理によって4個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0063】
図12は5個の電子部品ECを5個の収納凹部CTaに一括挿入する場合のキャリアテープCTの挿入位置IPおよび撮像位置PPにおける停止状態を示す。この場合、キャリアテープCTは5個の収納凹部CTaを単位として間欠移動するため、キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPbの1/2であると、キャリアテープCTの挿入位置IPの停止状態は2種類(Sip1とSip2を参照)となり、撮像位置PPの停止状態も2種類(Spp1とSpp2を参照)となる。また、撮像位置PPで得た画像には3個の送り孔CTbが含まれる場合(Spp1を参照)と2個の送り孔CTbが含まれる場合(Spp2を参照)があるため、3個のうちの1個の送り孔CTbの2次元位置と2個のうちの1個の送り孔CTbの2次元位置を各々のXY座標系の原点(X0,Y0)とする。この場合も、図6と同様の処理によって5個の収納凹部CTaに対応した共通補正量を演算して記憶すれば、図9と同様の処理によって5個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0064】
図13は6個の電子部品ECを6個の収納凹部CTaに一括挿入する場合のキャリアテープCTの挿入位置IPおよび撮像位置PPにおける停止状態を示す。この場合、キャリアテープCTは6個の収納凹部CTaを単位として間欠移動するため、キャリアテープCTの収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPbの1/2であると、キャリアテープCTの挿入位置IPの停止状態は1種類(Sipを参照)しかなく、撮像位置PPの停止状態も1種類(Sppを参照)しかない。また、撮像位置PPで得た画像には必ず3個の送り孔CTbが含まれるため、3個の送り孔CTbのうちの1個の送り孔CTbの2次元位置をXY座標系の原点(X0,Y0)とする。この場合も、図6と同様の処理によって6個の収納凹部CTaに対応した共通補正量を演算して記憶すれば、図9と同様の処理によって6個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0065】
次に、図14を用いて、図1(A)に示したキャリアテープと送り孔のピッチが異なるキャリアテープについて説明する。
【0066】
図14に示したキャリアテープCT-1が、図1(A)に示したキャリアテープCTと異なるところは、収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPb-1の1/4である点にある。このキャリアテープCT-1は、収納凹部CTaのピッチPaが送り孔CTbのピッチPb-1の1/4であるが故に、2個の電子部品ECを2個の収納凹部CTaに一括挿入する場合と、3個の電子部品ECを3個の収納凹部CTaに挿入する場合に、2個または3個の収納凹部CTaと少なくとも1個の送り孔CTbを含む画像を得ることができない。よって、このようなキャリアテープCT-1を用いて2個一括挿入と3個一括挿入を行う場合には、例えば1個の送り孔CTbと4個以上の収納凹部CTaを含む画像を得ておいて、挿入対象となる2個または3個の収納凹部CTaのみのズレ量の演算と共通補正量の演算のみを行うようにするとよい。
【0067】
次に、前述の電子部品挿入装置および電子部品挿入方法によって得られる、主たる作用効果について説明する。
【0068】
〈作用効果1〉n個(nは2以上の整数)を単位として間欠移動するキャリアテープCTが停止するたびに、挿入位置IPよりも手前の撮像位置PPにてn個の収納凹部CTaを包含する撮像範囲IAでキャリアテープCTを撮像し、撮像により得た画像に基づいてこのn個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置検出およびズレ量演算を行ってn個の収納凹部CTaに対応した共通補正量(ΔX,ΔY)を演算して順次記憶するとともに、挿入位置IPにてn個の収納凹部CTaにn個の電子部品ECを一括挿入する前に、このn個の収納凹部CTaに対応した共通補正量(ΔX,ΔY)を読み出し、この共通補正量(ΔX,ΔY)に基づいてキャリアテープCTの少なくとも挿入位置IPに対応する部分を変位させてn個の収納凹部CTaの2次元位置を補正することができる。すなわち、n個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置にバラツキがあっても、とりわけ電子部品ECが小型であっても、このn個の収納凹部CTaへのn個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0069】
〈作用効果2〉前記撮像範囲IAにn個の収納凹部CTaの他に少なくとも1個の送り孔CTbが含まれるようにし、この送り孔CTbの2次元位置を基準としてn個の収納凹部CTaそれぞれの2次元位置のズレ量を演算している。すなわち、キャリアテープCTの間欠移動を行う間欠移動用スプロケット11の突起11aがキャリアテープCTの送り孔CTbに係合しているため、送り孔CTbの2次元位置を基準とした方が各収納凹部CTaの2次元位置のバラツキを把握し易く、前記のズレ量の演算および共通補正量の演算も好適に行うことができる。
【0070】
〈作用効果3〉一括挿入する電子部品ECの個数nが変更されても、前記と同様、n個の送り孔CTbの2次元位置の検出、ズレ量の演算および共通補正量の演算が行えるので、n個の収納凹部CTaへのn個の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0071】
〈作用効果4〉前述の電子部品挿入装置および電子部品挿入方法に、電子部品ECが挿入された後の収納凹部CTaを閉塞するためのカバーテープをキャリアテープCTの熱圧着等によって付着するカバーテープ付着手段およびカバーテープ付着方法を組み合わせることによって、キャリアテープCTの収納凹部CTaへの電子部品ECの挿入を高効率で行って電子部品収納テープを高効率で製造できる電子部品収納テープ製造装置および電子部品収納テープ製造方法を提供することができる。
【0072】
次に、前記同様の作用効果が得られる、前述の電子部品挿入装置および電子部品挿入方法の変形例について説明する。
【0073】
〈変形例1〉図1(A)にキャリアテープCTの一例を示したが、長さ方向に電子部品EC用の収納凹部CTaを等ピッチで有するものであれば、種々のキャリアテープ、例えばY方向寸法Wの基準寸法が8mm、収納凹部CTaのピッチPaの基準寸法が2mm、送り孔CTbのピッチPbの基準寸法が4mmのキャリアテープや、各収納凹部CTaのY方向の基準寸法、X方向寸法の基準寸法、Y方向およびX方向と直交する方向の基準寸法(深さ)が異なるキャリアテープ等を、適宜使用することができる。また、図1(B)に挿入対象の電子部品ECの一例を示したが、長さd1>幅d2=高さd3以外の基準寸法関係を有する電子部品、例えば基準寸法関係が長さd1>幅d2>高さd3の電子部品や、基準寸法関係が長さd1>高さd3>幅d2の電子部品等であっても、これらを収納可能な収納凹部CTaを有するキャリアテープを用いることによって適宜挿入対象とすることができる。
【0074】
〈変形例2〉一括挿入する電子部品ECの個数nとして2~6個の場合を説明したが、一括挿入する電子部品ECの個数nを7個以上としても、図6と同様の処理によって7個以上の収納凹部CTaに対応した共通補正量を演算して記憶すれば、図9と同様の処理によって7個以上の電子部品ECの一括挿入を極めてスムースに行うことができる。
【0075】
〈変形例3〉図6のステップST13およびST14における送り孔CTbと収納凹部CTaの2次元位置の検出にパターン検出法を利用したものを示したが、2次元位置が検出可能な他の方法、例えばエッジ検出法を、適宜利用することができる。ちなみに、送り孔CTbと収納凹部CTaの2次元位置の検出にエッジ検出法を利用する場合には、送り孔CTbの輪郭の少なくとも3箇所、収納凹部CTaの輪郭の4箇所(X方向の2辺とY方向の2辺)をサーチして、各々の2次元位置を検出するようにするとよい。
【0076】
〈変形例4〉図6のステップST15におけるズレ量の演算方法として、送り孔CTbの2次元位置を基準として各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量を演算する方法を示したが、他のズレ量演算方法、例えばステップST13における送り孔CTbの2次元位置を検出せずに、撮像範囲IA内に基準点を予め設定しておいてこの基準点に基づいて各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量を演算する方法や、撮像により得た画像中に基準点を設定してこの基準点に基づいて各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量を演算する方法や、ステップST14で検出された収納凹部CTaの相対位置に基づいて各収納凹部CTaの2次元位置のズレ量を演算する方法等を、適宜使用することができる。
【符号の説明】
【0077】
CT,CT-1…キャリアテープ、CTa…収納凹部、CTb…送り孔、EC…電子部品、11…間欠移動用スプロケット、12…間欠移動用モータ、13…2次元移動機構、13a…可動部、13b…X方向移動用モータ、13c…Y方向移動用モータ、14…部品搬送ディスク、14a…間欠回転用モータ、15…挿入駆動源、16…カメラ、17…制御部、18…記憶部、IP…挿入位置、PP…撮像位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14