(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】無人飛行検査機の組立方法及び無人飛行検査機を用いた検査対象物の検査方法
(51)【国際特許分類】
B64C 25/66 20060101AFI20220104BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220104BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220104BHJP
B64F 5/50 20170101ALI20220104BHJP
B64C 1/30 20060101ALI20220104BHJP
F22B 37/02 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B64C25/66
B64C27/08
B64C39/02
B64F5/50
B64C1/30
F22B37/02 E
(21)【出願番号】P 2018057191
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 雅幹
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-211995(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03239048(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0002035(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377405(US,A1)
【文献】特表2016-523759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/66
B64C 27/08
B64C 39/02
B64F 5/50
B64C 1/30
F22B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の開口部から前記検査対象物内に、本体及び前記本体に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのプロペラを有する無人飛行機と、
互いに直交する2以上の軸を含むジンバル機構を介して前記本体に取り付けられる
衝撃分散用の球状の外枠と、前記無人飛行機に搭載される検査装置と、を備えた無人飛行検査機を、
前記ジンバル機構を有する第1半球状体および前記第1半球状体とともに前記外枠を構成する第2半球状体に少なくとも前記外枠
を分解した状態で搬入するステップと、
前記ジンバル機構を有する前記第1半球状体の内側に
前記ジンバル機構を介して前記無人飛行機が配置された状態で、
前記第1半球状体および前記第2半球状体を分割可能に連結して
球状の前記外枠を構成するステップと、
を備えた無人飛行検査機の組立方法。
【請求項2】
前記第1半球状体及び前記第2半球状体を連結するステップでは、
各々が球状多面体の縁を画定するように配置された梁を含む
前記第1半球状体及び前記第2半球状体における複数の前記梁の端部を、前記球状多面体の頂部でそれぞれ分割可能に締結して前記外枠を構成する
請求項
1に記載の無人飛行検査機の組立方法。
【請求項3】
前記第1半球状体及び前記第2半球状体を連結するステップでは、
ねじ又はボルト・ナットを含む締結部材により
前記第1半球状体及び前記第2半球状体を連結する
請求項1
又は2に記載の無人飛行検査機の組立方法。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載の無人飛行検査機の組立方法を用いて前記検査対象物の内部で前記無人飛行検査機を組み立てるステップと、
組み立てられた前記無人飛行検査機を用い
てボイラ内を検査するステップと、
を備えた検査方法。
【請求項5】
前記検査対象物内で少なくとも前記外枠を
前記第1半球状体及び前記第2半球状体に分解するステップと、
前記開口部を介して
前記第1半球状体及び前記第2半球状体を前記ボイラの前記開口部から搬出するステップと、をさらに備えた請求項
4に記載の検査方法。
【請求項6】
少なくとも組み立てられた状態の前記外枠が前記開口部より大寸法であり、
前記検査対象物の前記開口部を通過させる際に、前記開口部の寸法に応じて
前記第1半球状体及び前記第2半球状体を変形させるステップをさらに備える
請求項
4又は5に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行検査機の組立方法及び無人飛行検査機を用いた検査対象物の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと称されるプロペラ式の無人飛行機の種々の用途での利用が推進されており、例えば、特許文献1には、無人飛行機の外側にバンパーを設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような無人飛行機に検査装置を搭載し、ボイラ火炉等の検査対象物の内壁面を検査することができれば検査を効率的に行うことができる。
しかし、一般に、ボイラ火炉に設けられた開口部(マンホール)は人がかろうじて通れる程度の小さなものであり、上記特許文献1に記載されたようなバンパー構造を備えた無人飛行検査機は、開口部からボイラ火炉の内部に運び込むことが困難であり、仮に開口部を通過できる大きさとした場合は、飛行時間や可搬重量等の飛行性能が低下するため、検査に支障が出る虞がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、検査に影響を及ぼすことなく、検査対象物の内部に持ち込んで検査可能な無人飛行検査機、及び、無人飛行検査機を用いた検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る無人飛行検査機の組立方法は、
検査対象物の開口部から前記検査対象物内に、本体及び前記本体に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのプロペラを有する無人飛行機と、前記本体に取り付けられる外枠と、前記無人飛行機に搭載される検査装置と、を備えた無人飛行検査機を、少なくとも前記外枠を複数の外枠構成体に分解した状態で搬入するステップと、
複数の前記外枠構成体の何れか一つの内側に前記無人飛行機が配置された状態で、複数の前記外枠構成体の各々を分割可能に連結して前記外枠を構成するステップと、
を備える。
【0007】
上記(1)の方法によれば、組み立てられた状態では検査対象物に設けられた開口部を通過できない大きさの無人飛行検査機であっても、少なくとも外枠を分解した状態で開口部を通過させることができる検査対象物に対しては、分解した外枠構成体を開口部から搬入したり搬出したりすることができる。よって、開口部よりもサイズの大きな外枠を有する無人飛行検査機を検査対象物内に持ち込んで検査することができる。また、外枠は外枠構成体の単位に組み立てた状態で開口部を通過させることができるから、開口部の通過に際して少なくとも外枠の分解又は組立時間の短縮を図ることができる。さらに、外枠が分解及び組立て可能で繰り返し再利用できることにより、無人飛行検査機を用いた検査対象物内の検査において、検査の度に外枠を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に抑制することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記外枠は、互いに直交する2以上の軸を含むジンバル機構を介して前記本体に取り付けられ、
複数の前記外枠構成体を連結するステップでは、前記ジンバル機構の内側に前記無人飛行機を配置してもよい。
【0009】
上記(2)の方法によれば、無人飛行機の本体がジンバル機構を介して外枠に連結される。よって、姿勢安定性に優れ検査に適した無人飛行検査機を得ることができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の方法において、
前記外枠構成体は、第1半球状体及び第2半球状体を含み、
複数の前記外枠構成体を連結するステップでは、前記第1半球状体と前記第2半球状体とを分割可能に連結して球状の前記外枠を構成してもよい。
【0011】
上記(3)の方法によれば、外枠を球状に構成したことにより、外枠に対する任意の方向からの衝撃を分散させることができるから、無人飛行機を衝撃から適切に保護することができる。また、外枠が第1半球状体及び第2半球状体という二つの外枠構成体、すなわち最小の分割単位で構成されるから、検査対象物の開口部を通過可能でありつつ、外枠の分解又は組み立ての際の工数を可能な限り抑制し、工期を短縮することができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の何れか一つに記載の方法において、
複数の前記外枠構成体を連結するステップでは、
各々が球状多面体の縁を画定するように配置された梁を含む前記外枠構成体における複数の前記梁の端部を、前記球状多面体の頂部でそれぞれ分割可能に締結して前記外枠を構成してもよい。
【0013】
上記(4)の方法によれば、外枠が球状多面体の縁を確定する梁で構成されることにより、軽量化を図りつつ耐衝撃性に優れた外枠を形成することができる。また、強度を確保しつつ十分に細い梁を採用することにより、外枠内外の通気性に優れ、プロペラによる浮力や推力を可能な限り阻害しない外枠を備えた無人飛行検査機を得ることができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れか一つに記載の方法において、
複数の前記外枠構成体を連結するステップでは、
ねじ又はボルト・ナットを含む締結部材により複数の前記外枠構成体を連結してもよい。
【0015】
上記(5)の方法によれば、締結部材を締結したり緩めたりするという簡易な方法で外枠の分解又は組立て作業を容易に実現することができる。よって、少なくとも外枠の分解又は組立てに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記外枠は、前記無人飛行機の両側に回転可能に配置され、各々の回転軸方向に相互に離間した少なくとも一対の回転体と、前記一対の回転体を同軸に連結する連結軸とを含み、
前記外枠構成体は、前記回転体を少なくとも径方向に分割した複数の円弧部を含み、
複数の前記外枠構成体を連結するステップでは、
前記円弧部を分割可能に連結して前記回転体を構成してもよい。
【0017】
上記(6)の方法によれば、組み立てられた状態では検査対象物に設けられた開口部を通過できない大きさの無人飛行検査機であっても、少なくとも外枠を分解した状態で開口部を通過させることができる検査対象物に対しては、分解した外枠構成体を開口部から搬入したり搬出したりすることができる。その際、回転体は径方向に分割して円弧部として開口部から搬入及び搬出することができる。つまり、例えば、組み立てられた状態では開口部よりも大きな径を有し該開口部を通過できない回転体を、複数の円弧部に分解して検査対象物内に持ち込み、無人飛行検査機に用いることができる。
【0018】
(7)本開示の少なくとも一実施形態に係る検査方法は、
上記(1)~(6)の何れか1つに記載の無人飛行検査機の組立方法を用いて前記検査対象物の内部で前記無人飛行検査機を組み立てるステップと、
組み立てられた前記無人飛行検査機を用いて前記検査対象物内を検査するステップと、
を備える。
【0019】
上記(7)の方法によれば、上記(1)で述べたように、開口部よりもサイズの大きな外枠を有する無人飛行検査機を検査対象物内に持ち込んで検査することができる。また、外枠は外枠構成体の単位に組み立てた状態で開口部を通過させることができるから、開口部の通過に際して少なくとも外枠の分解又は組立時間の短縮を図ることができる。さらに、外枠が分解及び組立て可能で繰り返し再利用できることにより、無人飛行検査機を用いた検査対象物内の検査において、検査の度に外枠を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に抑制することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の方法において、
前記検査対象物内で少なくとも前記外枠を複数の前記外枠構成体に分解するステップと、
前記開口部を介して前記外枠構成体を前記検査対象物の前記開口部から搬出するステップと、をさらに備えていてもよい。
【0021】
上記(8)の方法によれば、検査対象物内の検査後に、外枠が複数の外枠構成体に分解されて開口部から搬出される。搬出された外枠構成体は、次回の検査において再度、開口部から搬入可能であり、外枠に組み立てることができるから、検査の度に外枠を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に低減することができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)又は(8)の方法において、
少なくとも組み立てられた状態の前記外枠が前記開口部より大寸法であり、
前記検査対象物の前記開口部を通過させる際に、前記開口部の寸法に応じて前記外枠構成体を変形させるステップをさらに備えていてもよい。
【0023】
上記(9)の方法によれば、検査対象物に設けられた開口部を通過できない大きさの外枠構成体であっても、少なくとも開口部の寸法に応じて変形させた状態で開口部を通過させることができる検査対象物に対して、変形させた状態の外枠構成体を開口部から搬入したり搬出したりすることができる。よって、変形させずに開口部を通過可能な外枠構成体を採用するよりも、外枠全体の大きさを大きく確保できるため、例えば、搭載性や可搬性を向上させた無人飛行検査機を用いることができるため、検査の自由度や精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、検査に影響を及ぼすことなく、検査対象の内部に持ち込んで検査可能な無人飛行検査機、及び、無人飛行検査機を用いた検査対象物の検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態における無人飛行検査機を概略的に示す正面図である。
【
図2】一実施形態に係る無人飛行検査機の組立方法を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態における無人飛行検査機を概略的に示す図である。
【
図4】他の実施形態に係る無人飛行検査機の組立方法を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態における無人飛行検査機と開口部とを示す図である。
【
図6】他の実施形態における無人飛行検査機と開口部とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
図1は、一実施形態に係る無人飛行検査を概略的に示す正面図である。
図2は、一実施形態に係る無人飛行検査機の組立方法を示すフローチャートである。
図1及び
図2に非限定的に例示するように、本開示の少なくとも一実施形態に係る無人飛行検査機の組立方法は、例えば、検査対象物50の開口部51(
図5及び
図6参照)から検査対象物50内に、本体3及び本体3に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのプロペラ4を有する無人飛行機2と、本体3に取り付けられる外枠10と、無人飛行機2に搭載される検査装置5と、を備えた無人飛行検査機1を、少なくとも外枠10を複数の外枠構成体11に分解した状態で搬入する工程(ステップS10)と、複数の外枠構成体11の何れか一つの内側に無人飛行機2が配置された状態で、複数の外枠構成体11の各々を分割可能に連結して外枠10を構成する工程(ステップS20)と、を備えている。
【0028】
上記の方法によれば、組み立てられた状態では検査対象物50に設けられた開口部51を通過できない大きさの無人飛行検査機1であっても、少なくとも外枠10を分解した状態で開口部51を通過させることができる検査対象物50に対しては、分解した外枠構成体11を開口部51から搬入したり搬出したりすることができる。よって、開口部51よりもサイズの大きな外枠10を有する無人飛行検査機1を検査対象物50内に持ち込んで検査することができる。また、外枠10は外枠構成体11の単位に組み立てた状態で開口部51を通過させることができるから、開口部51の通過に際して少なくとも外枠10の分解又は組立時間の短縮を図ることができる。さらに、外枠10が分解及び組立て可能で繰り返し再利用できることにより、無人飛行検査機1を用いた検査対象物50内の検査において、検査の度に外枠を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に抑制することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、上記の方法において、外枠10は、互いに直交する2以上の軸21を含むジンバル機構20を介して本体3に取り付けられ、複数の外枠構成体11を連結する工程(ステップS20)では、ジンバル機構20の内側に無人飛行機2を配置してもよい(
図1参照)。
【0030】
上記の方法によれば、無人飛行機2の本体3がジンバル機構20を介して外枠10に連結される。よって、姿勢安定性に優れ検査に適した無人飛行検査機1を得ることができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、上記の何れかに記載の方法において、外枠構成体11は、第1半球状体12及び第2半球状体13を含み、複数の外枠構成体11を連結する工程(ステップS20)では、第1半球状体12と第2半球状体13とを分割可能に連結して球状の外枠10を構成してもよい(
図1及び
図3参照)。
【0032】
上記の方法によれば、外枠10を球状に構成したことにより、外枠10に対する任意の方向からの衝撃を分散させることができるから、無人飛行機2を衝撃から適切に保護することができる。また、外枠10が第1半球状体12及び第2半球状体13という二つの外枠構成体11、すなわち最小の分割単位で構成されるから、検査対象物50の開口部51を通過可能でありつつ、外枠10の分解又は組み立ての際の工数を可能な限り抑制し、工期を短縮することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、上記何れか一つに記載の方法において、複数の外枠構成体11を連結する工程(ステップS20)では、各々が球状多面体15の縁を画定するように配置された梁16を含む外枠構成体11における複数の梁16の端部18を、球状多面体15の頂部19でそれぞれ分割可能に締結して外枠10を構成してもよい(
図1及び
図3参照)。
【0034】
上記の方法によれば、外枠10が球状多面体15の縁を確定する梁16で構成されることにより、軽量化を図りつつ耐衝撃性に優れた外枠10を形成することができる。また、強度を確保しつつ十分に細い梁16を採用することにより、外枠10内外の通気性に優れ、プロペラ4による浮力や推力を可能な限り阻害しない外枠10を備えた無人飛行検査機1を得ることができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、上記何れか一つに記載の方法において、複数の外枠構成体11を連結する工程(ステップS20)では、ねじ又はボルト・ナットを含む締結部材30により複数の外枠構成体11を連結してもよい。
【0036】
上記の方法によれば、締結部材を締結したり緩めたりするという簡易な方法で外枠10の分解又は組立て作業を容易に実現することができる。よって、少なくとも外枠10の分解又は組立てに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、上記の方法において、外枠10は、無人飛行機2の両側に回転可能に配置され、各々の回転軸方向に相互に離間した少なくとも一対の回転体と、一対の回転体を同軸に連結する連結軸21とを含んでもよく、外枠構成体11は、回転体を少なくとも径方向に分割した複数の円弧部を含んでもよい(例えば
図6参照)。
回転体は、例えば車輪のような環状体であってもよい。
そして、複数の外枠構成体11を連結する工程(ステップS20)では、円弧部を分割可能に連結して回転体を構成してもよい。
【0038】
上記方法によれば、組み立てられた状態では検査対象物50に設けられた開口部51を通過できない大きさの無人飛行検査機1であっても、少なくとも外枠10を分解した状態で開口部51を通過させることができる検査対象物50に対しては、分解した外枠構成体11を開口部51から搬入したり搬出したりすることができる。その際、回転体は径方向に分割して円弧部として開口部51から搬入及び搬出することができる。つまり、例えば、組み立てられた状態では開口部51よりも大きな径を有し該開口部51を通過できない回転体を、複数の円弧部に分解して検査対象物50内に持ち込み、無人飛行検査機1に用いることができる。
【0039】
本開示の少なくとも一実施形態に係る無人飛行検査機を用いた検査対象物の検査方法は、例えば、
図4に非限定的に例示するように、本開示の上記何れか1つに記載の無人飛行検査機の組立方法を用いて検査対象物50としてのボイラ50Aの内部で無人飛行検査機1を組み立てる工程(ステップS30)と、組み立てられた無人飛行検査機1を用いてボイラ50A内を検査する工程(ステップS40)と、を備えている。
【0040】
上記方法によれば、開口部51よりもサイズの大きな外枠10を有する無人飛行検査機1を検査対象物50内に持ち込んで検査することができる。また、外枠10は外枠構成体11の単位に組み立てた状態で開口部51を通過させることができるから、開口部51の通過に際して少なくとも外枠10の分解又は組立時間の短縮を図ることができる。さらに、外枠10が分解及び組立て可能で繰り返し再利用できることにより、無人飛行検査機1を用いた検査対象物50内の検査において、検査の度に外枠10を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に抑制することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、上記の検査方法において、ボイラ50A内で少なくとも外枠10を複数の外枠構成体11に分解する工程(ステップS50)と、開口部51を介して外枠構成体11をボイラ50Aの開口部51から搬出する工程(ステップS60)と、をさらに備えていてもよい。
【0042】
上記の方法によれば、ボイラ50A内の検査後に、外枠10が複数の外枠構成体11に分解されて開口部51から搬出される。搬出された外枠構成体11は、次回の検査において再度、開口部51から搬入可能であり、外枠10に組み立てることができるから、検査の度に外枠10を廃棄したり新たに製造したりする必要がなく、検査コストを大幅に低減することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、上記の何れかに記載の検査方法において、少なくとも組み立てられた状態の外枠10が開口部51より大寸法であり、ボイラ50Aの開口部51を通過させる際に、開口部素の寸法に応じて外枠構成体11を変形させる工程(ステップS55)をさらに備えていてもよい。
【0044】
上記方法によれば、検査対象物50に設けられた開口部51を通過できない大きさの外枠構成体11であっても、少なくとも開口部51の寸法に応じて変形させた状態で開口部51を通過させることができる検査対象物50に対して、変形させた状態の外枠構成体11を開口部51から搬入したり搬出したりすることができる。よって、変形させずに開口部51を通過可能な外枠構成体11を採用するよりも、外枠10全体の大きさを大きく確保できるため、例えば、搭載性や可搬性を向上させた無人飛行検査機1を用いることができるため、検査の自由度や精度の向上を図ることができる。
【0045】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、検査に影響を及ぼすことなく、検査対象の内部に持ち込んで検査可能な無人飛行検査機、及び、無人飛行検査機を用いたボイラの検査方法を提供される。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0047】
1 無人飛行検査機
2 無人飛行機
3 本体
4 プロペラ
5 検査装置
10 外枠
11 外枠構成体
12 第1半球状体
13 第2半球状体
15 球状多面体
16 梁
18 端部
19 頂部
20 ジンバル機構
21 軸
30 締結部材
50 検査対象物
50A ボイラ
51 開口部
61 伝熱管