IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-浴槽洗浄装置 図1
  • 特許-浴槽洗浄装置 図2
  • 特許-浴槽洗浄装置 図3
  • 特許-浴槽洗浄装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018076794
(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公開番号】P2019180931
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 将晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将一
(72)【発明者】
【氏名】三鬼 拓也
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-209968(JP,A)
【文献】特開2009-207753(JP,A)
【文献】特開2011-083478(JP,A)
【文献】特開2000-157437(JP,A)
【文献】特開平11-037564(JP,A)
【文献】特開2010-088595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 1/00
A47L 15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浴槽に噴射する浴槽洗浄装置であって、
前記浴槽の内側面に設けられており、前記浴槽に水を噴射可能な噴射装置と、
洗剤を貯留する洗剤タンクと、
上流端が給水箇所に接続されており、下流端が前記噴射装置に接続されている洗浄水路と、
前記洗浄水路に設けられている洗浄水弁と、
前記洗浄水路に設けられている洗浄液生成部と、
上流端が前記洗剤タンクに接続されており、下流端が前記洗浄液生成部に接続されている洗剤供給路と、
前記洗剤供給路に設けられている洗剤弁と、
不揮発性メモリを備える制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記洗浄水弁及び前記洗剤弁が開状態で動作するように制御して、前記浴槽に水を噴射させる洗浄工程と、
前記洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、前記浴槽に水を噴射させるすすぎ工程と、
を含む洗浄運転を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
前記洗浄運転を開始した後に、前記洗浄運転を実行中であることを示す運転情報を前記不揮発性メモリに記憶させ、
前記洗浄運転が完了する場合に、前記不揮発性メモリに記憶されている前記運転情報を消去するように構成されており、
前記制御装置は、
前記浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されているのか否かを判断し、
前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されていると判断する場合に、前記洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、前記浴槽に所定水量以上の水を噴射させる排出運転を実行するように構成されており、
前記所定水量は、前記洗浄水路において、前記洗浄液生成部から前記噴射装置までの水路に滞留可能な水量以上の水量である、
浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された時に、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されているのか否かを判断する、請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記浴槽洗浄装置は、さらに、
水を前記浴槽に供給するための湯はり水路と、
前記湯はり水路に設けられている湯はり弁と、を備えており、
前記制御装置は、
湯はり指示信号を受信する場合に、前記湯はり弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗浄水弁及び前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御し、前記浴槽に水を供給する湯はり運転を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
前記浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後であって、前記浴槽洗浄装置に電力の供給が開始された後の最初の前記湯はり運転を開始する前に、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されているのか否かを判断し、
前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されていると判断する場合に、前記最初の湯はり運転を開始する前に、前記排出運転を実行する、請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後において、前記湯はり指示信号を受信すると、前記最初の湯はり運転を開始する前に、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されているのか否かを判断し、
前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されていると判断する場合に、前記排出運転を実行する、請求項3に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、前記浴槽に水を噴射させるすすぎ運転を、前記排出運転として実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記洗浄運転を前記排出運転として実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽の内側面に設けられており、浴槽に水を噴射可能な噴射装置と、洗剤を貯留する洗剤タンクと、上流端が給水箇所に接続されており、下流端が噴射装置に接続されている洗浄水路と、洗浄水路に設けられている洗浄水弁と、洗浄液生成部と、上流端が洗剤タンクに接続されており、下流端が洗浄液生成部に接続されている洗剤供給路と、洗剤供給路に設けられている洗剤弁と、制御装置と、を備える浴槽洗浄装置が開示されている。制御装置は、洗浄水弁及び洗剤弁が開状態で動作するように制御して、浴槽に洗浄水を噴射させる洗浄工程と、洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、浴槽に水を噴射させるすすぎ工程と、を含む洗浄運転を実行可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-039605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴槽洗浄装置が洗浄運転を実行している間に停電が発生する場合がある。この場合、水に洗剤が混じっている洗浄液が洗浄水路に残留してしまう。浴槽洗浄装置のユーザは、洗浄水路内の状況を確認することができない。即ち、ユーザは、洗浄水路に洗浄液が残留していることを知ることができない。このような状況において、停電から復帰した後に、ユーザの操作によって浴槽に湯が貯えられる場合がある。浴槽に湯が貯えられると、浴槽内の水に洗浄水路内の洗浄液が混入してしまう虞がある。
【0005】
本明細書では、洗浄水路内の洗浄液が浴槽の水に混入することを防止することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する浴槽洗浄装置は、前記浴槽の内側面に設けられており、前記浴槽に水を噴射可能な噴射装置と、洗剤を貯留する洗剤タンクと、上流端が給水箇所に接続されており、下流端が前記噴射装置に接続されている洗浄水路と、前記洗浄水路に設けられている洗浄水弁と、前記洗浄水路に設けられている洗浄液生成部と、上流端が前記洗剤タンクに接続されており、下流端が前記洗浄液生成部に接続されている洗剤供給路と、前記洗剤供給路に設けられている洗剤弁と、不揮発性メモリを備える制御装置と、を備えており、前記制御装置は、前記洗浄水弁及び前記洗剤弁が開状態で動作するように制御して、前記浴槽に水を噴射させる洗浄工程と、前記洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、前記浴槽に水を噴射させるすすぎ工程と、を含む洗浄運転を実行可能に構成されており、前記制御装置は、前記洗浄運転を開始した後に、前記洗浄運転を実行中であることを示す運転情報を前記不揮発性メモリに記憶させ、前記洗浄運転が完了する場合に、前記不揮発性メモリに記憶されている前記運転情報を消去するように構成されており、前記制御装置は、前記浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されているのか否かを判断し、前記不揮発性メモリに前記運転情報が記憶されていると判断する場合に、前記洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、前記洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、前記浴槽に所定水量以上の水を噴射させる排出運転を実行するように構成されており、前記所定水量は、前記洗浄水路において、前記洗浄液生成部から前記噴射装置までの水路に滞留可能な水量以上の水量である。ここで、「水」は、比較的に温度が低い冷水、比較的に温度が高い温水(即ち湯)、水に洗剤が混じっている洗浄液を含む。
【0007】
上記の構成によると、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されていると判断する場合に、排出運転を実行する。洗浄運転が実行されている間に、浴槽洗浄装置への電力の供給が遮断されると、洗浄水路のうち、洗浄液生成装置と噴射装置の間の水路に洗浄液が残留する。上記の構成では、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されていると判断する場合に、排出運転を実行し、洗浄液生成部から噴射装置までの水路に滞留していた洗浄液を浴槽内に排出する。そして、浴槽に排出された洗浄液は浴槽に設けられている排水口から排水される。従って、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、浴槽に水が貯えられる場合でも、洗浄水路内の洗浄液が浴槽内の水に混入することを防止することができる。
【0008】
制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された時に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されているのか否かを判断してもよい。
【0009】
上記の構成によると、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された直後に排出運転を実行することが可能になる。この場合、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始されてから、比較的早期に、洗浄水路内の洗浄液を浴槽に排出することができる。
【0010】
浴槽洗浄装置は、さらに、水を浴槽に供給するための湯はり水路と、湯はり水路に設けられている湯はり弁と、を備えていてもよい。制御装置は、湯はり指示信号を受信する場合に、湯はり弁が開状態で動作するように制御するとともに、洗浄水弁及び洗剤弁が閉状態で動作するように制御し、浴槽に水を供給する湯はり運転を実行可能に構成されていてもよい。この場合、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後であって、浴槽洗浄装置に電力の供給が開始された後の最初の湯はり運転を開始する前に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されているのか否かを判断し、不揮発性メモリに運転情報が記憶されていると判断する場合に、最初の湯はり運転を開始する前に、排出運転を実行してもよい。
【0011】
上記の構成によると、制御装置は、浴槽洗浄装置に電力の供給が開始された後の最初の湯はり運転を開始する前に、運転情報が不揮発性メモリに記憶されていると判断する場合に、排出運転を実行する。従って、浴槽に水が貯えられる前に、洗浄液生成部から噴射装置までの水路に滞留していた洗浄液を浴槽に排出することができ、浴槽内の水に洗浄液が混入することを防止することができる。
【0012】
制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後において、湯はり指示信号を受信すると、最初の湯はり運転を開始する前に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されているのか否かを判断し、不揮発性メモリに運転情報が記憶されていると判断する場合に、排出運転を実行する。
【0013】
浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後であり、かつ、最初の湯はり運転を開始する前に洗浄運転が実行される場合がある。この場合、洗浄液生成装置と噴射装置の間の水路に残留していた洗浄液は、洗浄運転において浴槽に排出される。また、不揮発性メモリ内の運転情報も消去される。上記の構成によると、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後であり、かつ、最初の湯はり運転を開始する前に洗浄運転が実行された後に、湯はり指示信号を受信する場合に、不揮発性メモリに運転情報が記憶されていないと判断し、排出運転を実行することなく、湯はり運転を実行する。従って、洗浄液生成装置と噴射装置の間の水路に残留していた洗浄液を浴槽に排出済みの状況で、不必要な排出運転が実行されることを抑制することができる。
【0014】
制御装置は、洗浄水弁が開状態で動作するように制御するとともに、洗剤弁が閉状態で動作するように制御して、浴槽に水を噴射させるすすぎ運転を、排出運転として実行してもよい。
【0015】
上記の構成によると、制御装置は、すすぎ運転を排出運転として実行する。この場合、浴槽洗浄装置への電力の供給が遮断される前に、浴槽に噴射された洗浄液が浴槽の壁面に付着していても、当該洗浄液を洗い流し、確実に排水口から排水させることができる。従って、浴槽内の水に洗浄液が混入することを防止することができる。
【0016】
制御装置は、洗浄運転を排出運転として実行してもよい。
【0017】
上記の構成によると、制御装置は、洗浄運転を排出運転として実行する。この場合、制御装置は、浴槽洗浄装置への電力の供給が遮断されたことによって、洗浄運転が中断されても、浴槽洗浄装置への電力の供給が開始された後に、洗浄運転を、自動的に再実行する。従って、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施例に係る浴槽洗浄システムの構成を模式的に示す図である。
図2】第1実施例に係る洗浄運転処理のフローチャートである。
図3】第1実施例に係る排出処理のフローチャートである。
図4】第2実施例に係る浴槽洗浄システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例に係る浴槽洗浄システム2の構成について説明する。実施例に係る浴槽洗浄システム2は、例えば介護施設(図示省略)に設置されている。図1に示すように、浴槽洗浄システム2は、浴槽20を備えている。
【0020】
浴槽20は、湯を貯えることができる。浴槽20では、浴槽洗浄システム2のユーザが入浴をすることができる。例えば介護施設の入所者が浴槽20で入浴をする。浴槽20は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)やステンレスから形成されている。浴槽20は、底面21と、上面23と、側面22と、を備えている。以下では、底面21と側面22とを総称して、「内側面」と記載することがある。
【0021】
浴槽20の底面21は、横方向に延びている。底面21には、排水口24が形成されている。この排水口24は、浴槽20の側面22の近傍に形成されている。排水口24には、排水栓25が設けられている。排水栓25は、排水口24を開閉する。排水栓25が閉状態になると、排水口24が閉鎖され、浴槽20に湯を貯えることができる。排水栓25が開状態になると、排水口24が開放され、浴槽20に貯えられている湯が排水口24から排水される。
【0022】
また、浴槽20の底面21には、ノズル26が取り付けられている。このノズル26は、底面21の横方向の中央部に配置されている。ノズル26は、浴槽20を洗浄するための洗浄液と洗浄水を噴射可能に構成されている。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から側面22に向けて洗浄液又は洗浄水を噴射する。ノズル26には、後述する洗浄水路46が接続されている。洗浄水路46を通じてノズル26に洗浄液と洗浄水が供給される。なお、変形例では、ノズル26は、浴槽20の側面22に設けられていてもよい。即ち、ノズル26は、浴槽20の内側面に設けられていればよい。
【0023】
浴槽20の上面23は、横方向に延びている。上面23は、浴槽20に貯えられる湯の水面より上に位置している。
【0024】
浴槽20の側面22は、縦方向に延びている。側面22は、底面21と上面23の間に形成されている。浴槽洗浄システム2のユーザが浴槽20を使用すると、浴槽20の側面22に汚れが付着することがある。例えば、介護施設の入所者が浴槽20で入浴をすることによって、浴槽20の側面22に汚れが付着することがある。例えば、浴槽20の側面22に皮脂汚れが付着する。皮脂汚れは、ユーザの皮脂に由来する汚れである。
【0025】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、給湯路41と、給水路42と、混合路43と、を備えている。
【0026】
給湯路41の上流端部は、図示省略する給湯源に接続されている。給湯源から給湯路41に湯が供給されている。給湯路41の下流端部は、混合路43の上流端部に接続されている。給湯路41は、給湯源から供給された湯を混合路43に供給する。
【0027】
給湯路41には、給湯サーボ51が設けられている。給湯サーボ51は、給湯路41を開閉して、給湯路41を流れる湯の流量を調整する。給湯サーボ51の開度が調整されると、給湯路41を流れる湯の流量が調整される。
【0028】
また、給湯路41には、湯量センサ61と湯温サーミスタ71が設けられている。湯量センサ61は、給湯路41を流れる湯の流量を検出する。湯温サーミスタ71は、給湯路41を流れる湯の温度を検出する。給湯路41を流れる湯の温度は、例えば55℃である。
【0029】
給水路42は、給湯路41と並列で配置されている。給水路42の上流端部は、図示省略する市水道等の給水源に接続されている。給水源から給水路42に水が供給されている。給水路42の下流端部は、混合路43の上流端部に接続されている。給水路42は、給水源から供給された水を混合路43に供給する。
【0030】
給水路42には、給水サーボ52が設けられている。給水サーボ52は、給水路42を開閉して、給水路42を流れる水の流量を調整する。給水サーボ52の開度が調整されると、給水路42を流れる水の流量が調整される。
【0031】
また、給水路42には、水量センサ62と水温サーミスタ72が設けられている。水量センサ62は、給水路42を流れる水の流量を検出する。水温サーミスタ72は、給水路42を流れる水の温度を検出する。給水路42を流れる水の温度は、例えば15℃である。
【0032】
混合路43は、給湯路41及び給水路42と直列に配置されている。混合路43では、給湯路41を流れた湯と給水路42を流れた水とが合流する。これによって、湯と水が混合される。上述した給湯サーボ51と給水サーボ52の開度が調整されることによって、混合路43で混合される湯と水の混合割合が調整される。
【0033】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、湯はり水路44と、貯水路45と、貯水タンク31と、洗浄水路46(第1洗浄水路46a及び第2洗浄水路46b)と、排水路47と、を備えている。
【0034】
湯はり水路44の上流端部は、混合路43の下流端部に接続されている。湯はり水路44の下流端部には、湯はり口49が形成されている。湯はり口49は、浴槽20に向けて開口している。湯はり口49は、浴槽20の上面23より上側において浴槽20の内側に向けて開口している。湯はり水路44は、混合路43で混合された湯を浴槽20に供給する。湯はり口49から浴槽20に湯が供給される。なお、湯はり口49は、浴槽20の側面22に貫通して設けられてもよい。
【0035】
湯はり水路44には、湯はり弁53が設けられている。湯はり弁53は、湯はり水路44を開閉する。湯はり弁53が開状態になると、湯はり水路44が開放され、湯はり水路44を通じて浴槽20に湯が供給される。湯はり弁53が閉状態になると、湯はり水路44が閉鎖され、浴槽20に湯が供給されなくなる。
【0036】
また、湯はり水路44には、湯はりサーミスタ73が設けられている。湯はりサーミスタ73は、湯はり水路44を流れる湯の温度を検出する。湯はりサーミスタ73は、混合路43で湯と水が混合された後の湯の温度を検出する。
【0037】
貯水路45は、湯はり水路44と並列で配置されている。貯水路45の上流端部は、混合路43の下流端部に接続されている。貯水路45の下流端部は、貯水タンク31に接続されている。貯水路45は、混合路43で湯と水が混合された後の湯を貯水タンク31に供給する。貯水タンク31は、貯水路45によって供給された湯を貯える。なお、上述した給湯サーボ51が閉状態である場合は、給湯路41から混合路43に湯が供給されない。そのため、この場合は、混合路43で湯と水が混合されず、給水路42によって供給された水が、混合路43と貯水路45を通じて貯水タンク31に供給される。貯水タンク31は、貯水路45によって供給された水を貯える。以下では、貯水タンク31に貯えられている湯(または水)を洗浄水という。
【0038】
貯水路45には、貯水弁54が設けられている。貯水弁54は、貯水路45を開閉する。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。貯水弁54が閉状態になると、貯水路45が閉鎖され、貯水タンク31に湯(または水)が供給されなくなる。
【0039】
また、貯水路45には、貯水サーミスタ74が設けられている。貯水サーミスタ74は、貯水路45を流れる湯(または水)の温度を検出する。貯水サーミスタ74は、混合路43で湯と水が混合された後の湯(または水)の温度を検出する。
【0040】
洗浄水路46は、貯水タンク31と浴槽20の間に配置されている。洗浄水路46の上流端部は、貯水タンク31の底部に接続されている。洗浄水路46の下流端部は、浴槽20に取り付けられているノズル26に接続されている。洗浄水路46は、貯水タンク31に貯えられている洗浄水をノズル26に供給する。
【0041】
洗浄水路46には、ポンプ32が設けられている。ポンプ32は、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水を圧送する。また、洗浄水路46には、洗浄水弁55が設けられている。洗浄水弁55は、洗浄水路46を開閉する。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46が開放され、洗浄水路46を通じてノズル26に洗浄水が供給される。洗浄水弁55が閉状態になると、洗浄水路46が閉鎖され、ノズル26に洗浄水が供給されなくなる。また、洗浄水路46には、ベンチュリ構造からなる混合器33が設けられている。混合器33については後述する。なお、以下では、洗浄水路46のうち、貯水タンク31と洗浄水弁55を接続する水路を「第1洗浄水路46a」と記載し、洗浄水弁55とノズル26を接続する水路を「第2洗浄水路46b」と記載することがある。
【0042】
排水路47は、洗浄水路46と並列で配置されている。排水路47の上流端部は、貯水タンク31の上部側面に接続されている。排水路47は、貯水路45の接続箇所より下側において貯水タンク31に接続されている。排水路47の下流端部には、出口48が形成されている。排水路47は、貯水タンク31に貯えられている余分な洗浄水を外部に排水する。出口48から洗浄水が排水される。
【0043】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、洗剤タンク12と洗剤路13をさらに備えている。洗剤タンク12は、浴槽20を洗浄するための液体の洗剤を貯えている。
【0044】
洗剤路13の上流端部は、洗剤タンク12の底部に接続されている。洗剤路13の下流端部は、混合器33に接続されている。洗剤路13は、洗剤タンク12に貯えられている洗剤を混合器33に供給する。混合器33はベンチュリとなっており、洗浄水路46に洗浄水が流れることによって、洗剤タンク12に貯えられている洗剤が、洗剤路13を通じて、混合器33に導入される。混合器33に供給された洗剤は、洗浄水路46を流れる洗浄水と合流する。洗浄水と洗剤が混合器33で混合されて洗浄液が生成される。洗浄液は、浴槽20を洗浄するための洗剤と洗浄水が混合された液体である。生成された洗浄液は、洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。
【0045】
洗剤路13には、第1洗剤弁14aと第2洗剤弁14bが設けられている。以下では、第1洗剤弁14aと第2洗剤弁14bをまとめて洗剤弁14という。洗剤弁14は、洗剤路13を開閉する。洗剤弁14が開状態になると、洗剤路13が開放され、洗剤路13を通じて混合器33に洗剤が供給される。混合器33で洗剤と洗浄水が混合される。この場合は、洗剤と洗浄水が混合された洗浄液が洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。一方、洗剤路13が閉状態になると、洗剤路13が閉鎖され、洗剤路13を通じて混合器33に洗剤が供給されなくなる。そのため、混合器33で洗剤と洗浄水が混合されない。この場合は、洗浄水のみが洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。
【0046】
また、実施例に係る浴槽洗浄システム2は、リモコン200と制御装置100を備えている。リモコン200には、各種のボタンが設けられている。例えば、リモコン200には、湯はりボタン201と、浴槽洗浄ボタン202と、温度ボタン203とが設けられている。湯はりボタン201は、浴槽20に湯はりをするためのボタンである。浴槽洗浄ボタン202は、浴槽20を洗浄するためのボタンである。温度ボタン203は、湯はり設定温度を設定するためボタンである。湯はり設定温度は、浴槽20に湯はりをするときに浴槽20に供給される湯の温度である。湯はり設定温度は、ユーザによって設定される。
【0047】
制御装置100は、CPUと不揮発性メモリ110を備えている。制御装置100は、浴槽洗浄システム2の動作を制御する。制御の詳細については後述する。不揮発性メモリ110には、後述する洗浄運転処理(図2)及び排出処理(図3)で利用される洗浄フラグが記憶されている。
【0048】
次に、上記の浴槽洗浄システム2の動作について説明する。上記の浴槽洗浄システム2では、湯はり運転と浴槽洗浄運転と洗浄液排出運転とを実行可能である。
【0049】
(湯はり運転)
まず、湯はり運転について説明する。湯はり運転は、浴槽20に湯はりをする運転である。上記の浴槽洗浄システム2では、ユーザがリモコン200の湯はりボタン201を押すと、湯はり指示信号がリモコン200から制御装置100に送信される。例えば、浴槽洗浄システム2が設置されている介護施設の介護士が、リモコン200の湯はりボタン201を押すと、湯はり指示信号が制御装置100に送信される。
【0050】
制御装置100は、湯はり指示信号を受信すると、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度を調整する。給湯サーボ51の開度が調整されると、給湯路41を流れる湯の流量が調整される。また、給水サーボ52の開度が調整されると、給水路42を流れる水の流量が調整される。
【0051】
給湯路41を流れる湯と、給水路42を流れる水とは、混合路43で混合される。制御装置100は、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度を調整することによって、混合路43で混合される湯と水の流量を調整する。すなわち、制御装置100は、湯と水の混合割合を調整する。制御装置100は、混合路43で混合された後の湯の温度が湯はり設定温度になるように、湯と水の混合割合(すなわち、給湯サーボ51の開度と給水サーボ52の開度)を調整する。制御装置100は、湯はりサーミスタ73の検出温度が湯はり設定温度になるように、湯と水の混合割合を調整する。
【0052】
また、制御装置100は、湯はり指示信号を受信すると、湯はり水路44に設けられている湯はり弁53を開状態にする。湯はり弁53が開状態になると、湯はり水路44を通じて湯が流れるようになる。そうすると、混合路43で混合された後の湯が、湯はり水路44を通じて浴槽20に供給される。このようにして湯はりが行われる。
【0053】
湯はりが行われた後に、浴槽洗浄システム2のユーザが浴槽20を使用すると、浴槽20の側面22に汚れが付着することがある。例えば、介護施設の入所者が浴槽20で入浴をすることによって、浴槽20の側面22に汚れが付着することがある。より詳細には、浴槽20で入浴をした後に、浴槽20内の湯を排水すると、浴槽20の側面22に皮脂汚れが付着することがある。
【0054】
(浴槽洗浄運転)
次に、浴槽洗浄運転について説明する。浴槽洗浄運転は、浴槽20を洗浄する運転である。制御装置100は、図2の洗浄運転処理を実行することによって、浴槽洗浄システム2に浴槽洗浄運転を実行させる。浴槽洗浄システム2では、ユーザがリモコン200の浴槽洗浄ボタン202を押すと、洗浄指示信号がリモコン200から制御装置100に送信される。例えば、浴槽洗浄システム2が設置されている介護施設の介護士が、リモコン200の浴槽洗浄ボタン202を押すと、洗浄指示信号が制御装置100に送信される。制御装置100は、洗浄指示信号を受信すると、洗浄運転処理(図2)を開始する。以下では、図2を参照して、洗浄運転処理について説明する。
【0055】
S10において、制御装置100は、洗浄フラグを「OFF」から「ON」に変更する。洗浄フラグは、浴槽洗浄運転を実行中であるのか否かを示す情報である。
【0056】
S12において、制御装置100は、排水栓25を閉状態から開状態に変更する。これにより、浴槽20に貯えられている湯が排水口24から排水される。
【0057】
S14において、制御装置100は、排水栓25を開状態に変更してからの経過時間が第1所定時間(例えば、10分)を経過することを監視する。第1所定時間は、浴槽20が空になるまでに必要な時間である。排水栓25を開状態に変更してからの経過時間が第1所定時間を超える場合に、制御装置100はS14でYESと判断し、処理はS20に進む。なお、洗浄運転処理を開始する時点において、排水栓25が開状態である場合、制御装置100は、S12、S14の処理を省略してもよい。
【0058】
S20において、制御装置100は、予備洗浄工程を実行する。予備洗浄工程では、水噴射工程Wが実行される。制御装置100は、貯水路45に設けられている貯水弁54及び洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、予備洗浄工程では、制御装置100は、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。ノズル26に圧送された洗浄水は、ノズル26から浴槽20の内側面に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から側面22に向けて洗浄水を噴射する。
【0059】
S22において、制御装置100は、予備洗浄工程が終了することを監視する。具体的には、制御装置100は、予備洗浄工程を開始してからの経過時間が第2所定時間(例えば40秒)を超えたのか否かを判断する。予備洗浄工程を開始してからの経過時間が第2所定時間を超える場合に、制御装置100はS22でYESと判断し、処理はS24に進む。
【0060】
S24において、制御装置100は、洗浄工程を実行する。洗浄工程は、洗浄液噴射工程Vと、待機工程Xと、水噴射工程Wと、を含む。制御装置100は、洗浄液噴射工程V、待機工程X、水噴射工程Wの各工程を実行する。
【0061】
洗浄液噴射工程Vは、浴槽20の側面22に洗浄液を噴射する工程である。洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、貯水路45に設けられている貯水弁54及び洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。洗浄水弁55が開状態になると、貯水タンク31に貯えられている洗浄水が、洗浄水路46を通じて流れるようになる。また、洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。
【0062】
また、洗浄液噴射工程Vでは、制御装置100が、洗剤路13に設けられている洗剤弁14を開状態にする。洗剤弁14が開状態になると、洗剤路13を通じて洗剤が流れるようになる。そうすると、混合器33のベンチュリ構造によって発生する負圧によって洗剤タンク12に貯えられていた洗剤が吸引され、洗剤路13を通じて洗浄水路46に供給される。洗浄水路46に供給された洗剤が、洗浄水路46を流れる洗浄水に合流する。これによって、洗浄水と洗剤が混合されて洗浄液が生成される。生成された洗浄液は、洗浄水路46を通じてノズル26に供給される。ノズル26に供給された洗浄液は、ノズル26から浴槽20の内側面に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面に向けて洗浄液を噴射する。ノズル26から噴射された洗浄液は、浴槽20の内側面に付着する。浴槽20の内側面に付着した洗浄液は、その内側面に付着している皮脂汚れに絡みつく。洗浄液噴射工程Vにおける洗浄液の噴射時間は、例えば3秒である。
【0063】
続いて、制御装置100は、待機工程Xを実行する。制御装置100は、上述した洗浄液噴射工程Vの後に待機工程Xを実行する。待機工程Xは、洗浄液と洗浄水を噴射せずに待機する工程である。待機工程Xは、上述した洗浄液噴射工程Vと後述する水噴射工程Wとの間に実行される。待機工程Xでは、制御装置100が、貯水路45に設けられている貯水弁54及び洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を閉状態にする。また、制御装置100は、洗浄水路46に設けられているポンプ32を停止させる。また、制御装置100は、洗剤路13に設けられている洗剤弁14を閉状態にする。待機工程Xでは、ノズル26から洗浄液と洗浄水が噴射されなくなる。これにより、浴槽20の内側面に付着している皮脂汚れに洗浄液が浸透する。待機工程Xにおける待機時間は、例えば40秒である。
【0064】
続いて、制御装置100は、水噴射工程Wを実行する。制御装置100は、上述した待機工程Xを実行した後に水噴射工程Wを実行する。水噴射工程Wは、浴槽20の内側面に洗浄水を噴射する工程である。水噴射工程Wでは、制御装置100が、貯水路45に設けられている貯水弁54及び洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、水噴射工程Wでは、制御装置100が、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。ノズル26に圧送された洗浄水は、ノズル26から浴槽20の内側面に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から内側面に向けて洗浄水を噴射する。ノズル26から噴射された洗浄水は、浴槽20の内側面に付着している洗浄液を洗い流す。そのときに、洗浄液が絡みついている皮脂汚れが洗い流される。水噴射工程Wにおける洗浄水の噴射時間は、例えば2秒である。
【0065】
S26において、制御装置100は、洗浄工程が終了することを監視する。具体的には、制御装置100は、上述の洗浄液噴射工程V、待機工程X、及び、水噴射工程Wが2回ずつ実行されたのか否かを判断する。洗浄液噴射工程V、待機工程X、及び、水噴射工程Wが2回ずつ実行されると、制御装置100はS26でYESと判断し、処理はS28に進む。
【0066】
S28において、制御装置100は、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程では、水噴射工程Wが実行される。制御装置100は、貯水路45に設けられている貯水弁54及び洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。貯水弁54が開状態になると、貯水路45が開放され、貯水路45を通じて貯水タンク31に湯(または水)が供給される。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、すすぎ工程では、制御装置100は、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。洗浄水路46を流れる洗浄水が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。ノズル26に圧送された洗浄水は、ノズル26から浴槽20の内側面に向けて噴射される。ノズル26は、浴槽20の底面21の位置から側面22に向けて洗浄水を噴射する。
【0067】
S30において、制御装置100は、すすぎ工程が終了することを監視する。具体的には、制御装置100は、すすぎ工程を開始してからの経過時間が第3所定時間(例えば90秒)を超えたのか否かを判断する。すすぎ工程を開始してからの経過時間が第3所定時間を超える場合に、制御装置100はS30でYESと判断し、処理はS32に進む。
【0068】
S32において、制御装置100は、洗浄フラグを「ON」から「OFF」に変更する。また、制御装置100は、貯水弁54及び洗浄水弁55を閉状態にして、ポンプ32の動作を停止させる。S32が終了すると、図2の処理が終了する。
【0069】
(洗浄液排出運転)
次に、洗浄液排出運転について説明する。洗浄液排出運転は、第2洗浄水路46b内の洗浄液を浴槽20に排出する運転である。制御装置100は、図3の排出処理において、洗浄液排出運転を実行する。このため、制御装置100によって実行される排出処理を説明する際に、洗浄液排出運転の詳細について説明する。
【0070】
(排出処理;図3
図3を参照して、制御装置100によって実行される排出処理について説明しる。制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始される場合に、図3の処理を実行する。
【0071】
S50において、制御装置100は、不揮発性メモリ110内の洗浄フラグが「ON」であるのか否かを判断する。洗浄フラグが「ON」である場合に、制御装置100はS50でYESと判断し、処理はS52に進む。一方、洗浄フラグが「OFF」である場合に、制御装置100はS50でNOと判断し、図3の処理が終了する。なお、S50でYESと判断される場合とは、例えば、洗浄運転を実行している間に停電が発生し、その後に、停電から復帰した場合である。
【0072】
S52において、制御装置100は、排水栓25が開状態であるのか否かを判断する。排水栓25が開状態である場合、制御装置100はS52でYESと判断し、処理はS60に進む。一方、排水栓25が閉状態である場合、制御装置100はS52でNOと判断し、処理はS70に進む。S70において、制御装置100は、洗浄フラグを「ON」から「OFF」に変更し、図3の処理が終了する。なお、S50でYESと判断され、S52でNOと判断される場合とは、停電中に、ユーザによって排水栓25が手動で開状態から閉状態に切替えられた場合である。この場合、制御装置100は、S60の洗浄液排出運転を実行しない。
【0073】
S60において、制御装置100は、洗浄液排出運転を実行する。洗浄液排出運転では、第2洗浄水路46b内の洗浄液がノズル26から噴射される。制御装置100は、洗浄水路46に設けられている洗浄水弁55を開状態にする。洗浄水弁55が開状態になると、洗浄水路46を通じて洗浄水が流れるようになる。また、洗浄液排出運転では、制御装置100は、洗浄水路46に設けられているポンプ32を動作させる。ポンプ32が動作すると、洗浄水路46の上流側から下流側へ洗浄水が圧送される。この際に、第2洗浄水路46b内の洗浄液が、洗浄水路46の下流端部に接続されているノズル26に向けて圧送される。
【0074】
S62において、制御装置100は、洗浄液排出運転が完了することを監視する。制御装置100は、第2洗浄水路46b内の全ての洗浄液が、浴槽20に噴射される場合に、洗浄液排出運転が完了したと判断する。本実施例では、制御装置100は、洗浄液排出運転を開始してからの経過時間が第4所定時間を超える場合に、第2洗浄水路46b内の全ての洗浄液が浴槽20に噴射されたと判断し(S62でYES)、処理はS64に進む。なお、変形例では、制御装置100は、第2洗浄水路46bにおいて、少なくとも混合器33からノズル26内の全ての洗浄液が、浴槽20に噴射される場合に、洗浄液排出運転が完了したと判断してもよい。
【0075】
S64において、制御装置100は、洗浄運転処理(図2参照)を実行する。即ち、制御装置100は、洗浄運転を実行する。なお、S64の開始時点において、洗浄フラグは「ON」であり、排水栓25は開状態である。このため、制御装置100は、図2のS10~S14の処理を実行しない。そして、制御装置100は、予備洗浄工程、洗浄工程、すすぎ工程が完了すると(図2のS20~S30)、S32において、洗浄フラグを「ON」から「OFF」に変更する。S64の処理が終了すると、図3の処理が終了する。
【0076】
上記の構成によると、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始され、不揮発性メモリ110に記憶されている洗浄フラグが「ON」であると判断する場合(図3のS50でYES)に、洗浄液排出運転を実行する(図3のS60)。洗浄運転が実行されている間に、浴槽洗浄システム2への電力の供給が遮断されると、洗浄水路46のうち、混合器33とノズル26の間の水路に洗浄液が残留する。そこで、本実施例では、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後に、不揮発性メモリ110に記憶されている洗浄フラグが「ON」であると判断する場合(図3のS50でYES)に、洗浄液排出運転を実行し(図3のS60)、混合器33とノズル26までの水路に滞留していた水を浴槽20に排出する。この場合、浴槽20に排出された洗浄液は浴槽20に設けられている排水口24から排水される。そして、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後に、浴槽20に水が貯えられる場合(即ち湯はり運転が実行される場合)でも、洗浄水路46内の洗浄液が浴槽20の水に混入することを防止することができる。
【0077】
また、浴槽洗浄システム2への電力の供給が遮断されている時間が長くなると、洗浄水弁55から混合器33までの水路内の水にも洗浄液が混じっていく。即ち、洗浄水弁55からノズル26までの第2洗浄水路46bに希釈化された洗浄液が滞留し得る。本実施例では、制御装置100は、洗浄液排出運転を実行し(図3のS60)、洗浄水弁55から洗浄水路46の下流端までの水路に滞留していた水を浴槽20に排出する。即ち、第2洗浄水路46bに滞留していた全ての洗浄液が浴槽20に排出される。そして、浴槽20に排出された洗浄液は浴槽20に設けられている排水口24から排水される。従って、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後に、浴槽20に水が貯えられる場合(即ち湯はり運転が実行される場合)でも、洗浄水路46内の洗浄液が浴槽20の水に混入することをより防止することができる。
【0078】
また、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された直後に洗浄液排出運転を実行する。この場合、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始されてから、比較的早期に、洗浄水路46内の洗浄液を浴槽20に排出することができる。
【0079】
また、制御装置100は、洗浄液排出運転を実行した後に、洗浄運転を実行する(図3のS64)。この場合、洗浄液排出運転の際に浴槽20に排出された洗浄液が浴槽20に設けられている排水口24から排水される。なお、変形例では、制御装置100は、図3のS60、S62の処理を実行しなくてもよい。本変形例では、制御装置100は、洗浄運転を洗浄液排出運転として実行する。
【0080】
また、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が遮断されたことによって、洗浄運転が中断されても、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後に、洗浄運転を、自動的に再実行する。従って、ユーザの利便性が向上する。
【0081】
(対応関係)
浴槽洗浄システム2が、「浴槽洗浄装置」の一例である。ノズル26、混合器33が、それぞれ、「噴射装置」、「洗浄液生成部」の一例である。給水源又は給湯源が、「給水箇所」の一例である。洗浄液排出運転が、「排出運転」の一例である。洗浄フラグ「ON」が、「運転情報」の一例である。
【0082】
(第2実施例)
第2実施例の浴槽洗浄システム302は、給水路42、混合路43、湯はり水路44、給水サーボ52、水量センサ62、及び、水温サーミスタ72を有さない点を除いて、第1実施例の浴槽洗浄システム2と同様である。なお、以下では、実施例間で共通する構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
図4に示すように、浴槽洗浄システム302では、給湯路41と貯水路45が接続されている。また、貯水路45に、貯水弁54及び貯水サーミスタ74が設けられている。また、湯はり口49には、図示省略の給湯源から湯が供給される。
【0084】
浴槽洗浄システム302においても、制御装置100は、洗浄運転処理(図2)、及び、排出処理(図3)を実行する。従って、本実施例の浴槽洗浄システム302でも、実施例1の浴槽洗浄システム2と同様の効果を奏することができる。
【0085】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0086】
(第1変形例)制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始され、湯はり指示信号を受信する場合に、湯はり運転を開始する前に図3の排出処理を実行してもよい。浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後であり、かつ、最初の湯はり運転を開始する前に洗浄運転が実行される場合がある。この場合、混合器33とノズル26の間の水路に残留していた洗浄液は、洗浄運転において浴槽20に排出される。また、不揮発性メモリ110内の洗浄フラグも「OFF」に変更される。本変形例では、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始された後であり、かつ、最初の湯はり運転を開始する前に洗浄運転が実行された後に、湯はり指示信号を受信する場合に、不揮発性メモリ110の洗浄フラグが「OFF」であると判断し(図3のS50でNO)、洗浄液排出運転を実行することなく、湯はり運転を実行する。従って、混合器33とノズル26の間の水路に残留していた洗浄液を浴槽20に排出済みの状況で、不必要な洗浄液排出運転が実行されることを抑制することができる。また、別の変形例では、制御装置100は、浴槽洗浄システム2への電力の供給が開始されてから第5所定時間(例えば、10分)が経過する場合に、図3の排出処理を実行してもよい。
【0087】
(第2変形例)図2の洗浄運転処理において、制御装置100は、洗浄フラグを「OFF」から「ON」に変更する処理を、S12~S24の間に実行してもよい。
【0088】
(第3変形例)図3のS64において、制御装置100は、すすぎ工程のみを実行するように構成されていてもよい。本変形例では、すすぎ工程が、「すすぎ運転」の一例である。本変形によると、すすぎ工程を実行することによって、洗浄液排出運転の際に、浴槽洗浄システム2への電力の供給が遮断された直前の洗浄運転で浴槽20に噴射された洗浄液が浴槽20の側面22に付着していても、当該洗浄液を洗い流し、排水口24から排水させることができる。従って、ユーザの利便性が向上する。なお、本変形例において、制御装置100は、図3のS60、S62の処理を実行しなくてもよい。
【0089】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0090】
2:浴槽洗浄システム、12:洗剤タンク、13:洗剤路、14:洗剤弁、14a:第1洗剤弁、14b:第2洗剤弁、20:浴槽、21:底面、22:側面、23:上面、24:排水口、25:排水栓、26:ノズル、31:貯水タンク、32:ポンプ、33:混合器、41:給湯路、42:給水路、43:混合路、44:湯はり水路、45:貯水路、46:洗浄水路、46a:第1洗浄水路、46b:第2洗浄水路、47:排水路、48:出口、49:湯はり口、51:給湯サーボ、52:給水サーボ、53:湯はり弁、54:貯水弁、55:洗浄水弁、61:湯量センサ、62:水量センサ、71:湯温サーミスタ、72:水温サーミスタ、73:湯はりサーミスタ、74:貯水サーミスタ、100:制御装置、110:不揮発性メモリ、200:リモコン、201:湯はりボタン、202:浴槽洗浄ボタン、203:温度ボタン
図1
図2
図3
図4