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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】分析装置及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220104BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019174022
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051541
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】高山 伸也
(72)【発明者】
【氏名】清水 大介
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180996(JP,A)
【文献】特開2012-079005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する端末の位置を示す端末位置情報と、前記端末が前記位置に存在した時刻とを関連付けた位置履歴情報に基づいて、前記ユーザが分析対象のエリアに所定時間以上滞在するユーザを示す滞在ユーザであるか、前記エリアに前記所定時間以上滞在しておらず、前記エリアを移動中であるユーザを示す移動中ユーザであるかを判定し、前記滞在ユーザと判定されたユーザと、前記移動中ユーザと判定されたユーザを含む前記エリアに存在したユーザを特定するユーザ特定部と、
前記ユーザ特定部が特定したユーザを識別するユーザ識別情報に基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバから、前記ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得する取得部と、
前記ユーザ特定部が特定した前記エリアに存在した前記ユーザに対応する前記端末位置情報と、前記取得部が取得した前記ユーザに対応する前記資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成する生成部と、
前記移動中ユーザを示すユーザの種別と、前記滞在ユーザを示すユーザの種別との少なくともいずれかのユーザの種別の選択を受け付ける受付部と、
前記受付部が選択を受け付けたユーザの種別に対応する前記ユーザの前記端末位置情報と、前記資産収支情報とを関連付けた一つのマップを含む分析結果画面を前記分析情報として出力する出力部と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記移動中ユーザの移動手段の選択を受け付ける受付部と、
前記受付部が選択を受け付けた移動手段で移動中と判定された前記移動中ユーザに対応する前記端末位置情報と、前記資産収支情報とを関連付けた前記分析情報を出力する出力部と、
をさらに備える請求項に記載の分析装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザ特定部が特定した前記ユーザに対応する前記ユーザ識別情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記資産収支情報を取得する、
請求項1又は2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられているアカウント情報であって、前記金融機関のサーバにおいて用いられる前記ユーザのアカウント情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記ユーザに対応する資産収支情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記ユーザ識別情報と、前記アカウント情報とを関連付けて記憶する記憶部を備え、
前記取得部は、前記記憶部を参照し、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記アカウント情報を特定し、特定したアカウント情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記ユーザに対応する前記資産収支情報を取得する、
請求項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記資産収支情報として、前記金融機関のサーバから、前記金融機関において管理されている前記ユーザの口座残高を示す情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
前記金融機関は、クレジットカードの決済額を管理する機関、又はユーザが保有する証券を管理する機関であり、
前記取得部は、前記資産収支情報として、前記金融機関のサーバから、前記ユーザが所持するクレジットカードによる決済額、又は前記ユーザが保有する証券の評価額を示す情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記取得部は、複数の前記金融機関のサーバのそれぞれから、前記ユーザに対応する前記資産収支情報を取得する、
請求項1からのいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられているアカウント情報であって、複数の前記金融機関のサーバのそれぞれにおいて用いられる前記ユーザの複数のアカウント情報に基づいて、複数の前記金融機関のサーバのそれぞれから前記ユーザに対応する資産収支情報を取得する、
請求項に記載の分析装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記エリアに存在する前記ユーザに対応する前記端末位置情報及び前記資産収支情報に基づいて、前記エリアにおける複数の位置のそれぞれに、当該位置に対応する前記資産収支情報が示す資産収支の統計値を関連付けた分布情報を生成する、
請求項1からのいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項11】
前記ユーザ特定部が特定した一以上のユーザの中から、ユーザを選択する選択部をさらに備え、
前記取得部は、前記選択部が選択したユーザについて、前記エリアに対応する前記端末位置情報を複数取得し、
前記生成部は、前記選択部が選択したユーザに対応して前記取得部が取得した複数の端末位置情報と、前記取得部が取得した当該ユーザの資産収支情報とを関連付けた、当該ユーザの動線情報を生成する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
ユーザが所持する端末の位置を示す端末位置情報と、前記端末が前記位置に存在した時刻とを関連付けた位置履歴情報に基づいて、前記ユーザが分析対象のエリアに所定時間以上滞在するユーザを示す滞在ユーザであるか、前記エリアに前記所定時間以上滞在しておらず、前記エリアを移動中であるユーザを示す移動中ユーザであるかを判定し、前記滞在ユーザと判定されたユーザと、前記移動中ユーザと判定されたユーザを含む前記エリアに存在したユーザを特定するステップと、
特定されたユーザを識別するユーザ識別情報に基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバから、前記ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得するステップと、
特定された前記エリアに存在した前記ユーザに対応する前記端末位置情報と、取得された前記ユーザに対応する前記資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成するステップと、
前記移動中ユーザを示すユーザの種別と、前記滞在ユーザを示すユーザの種別との少なくともいずれかのユーザの種別の選択を受け付けるステップと、
選択を受け付けたユーザの種別に対応する前記ユーザの前記端末位置情報と、前記資産収支情報とを関連付けた一つのマップを含む分析結果画面を前記分析情報として出力するステップと、
を備える分析方法。
【請求項13】
前記取得するステップにおいて、前記コンピュータは、特定された前記ユーザに対応する前記ユーザ識別情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記資産収支情報を取得する、
請求項12に記載の分析方法。
【請求項14】
前記取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザ識別情報に関連付けられているアカウント情報であって、前記金融機関のサーバにおいて用いられる前記ユーザのアカウント情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記ユーザに対応する資産収支情報を取得する、
請求項12又は13に記載の分析方法。
【請求項15】
前記取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザ識別情報と、前記アカウント情報とを関連付けて記憶する記憶部を参照し、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記アカウント情報を特定し、特定したアカウント情報に基づいて、前記金融機関のサーバから前記ユーザに対応する前記資産収支情報を取得する、
請求項14に記載の分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エリア内に滞在する複数のユーザの端末の位置情報と、ユーザの属性とを対応付けて可視化するエリアマーケティング手法が知られている。特許文献1には、エリアの指定及びユーザの属性の指定を受け付けると、指定されたエリアにおいて、指定された属性を有するユーザの分布を特定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-79005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法は、指定されたエリアにおいて指定された属性を有するユーザの分布を特定することができるものの、ユーザの資産又は収支に着目した分布を特定することができない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、エリアにおけるユーザの資産収支状況を把握することができる分析装置及び分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る分析装置は、ユーザが所持する端末の位置を示す端末位置情報に基づいて、分析対象のエリアに存在したユーザを特定するユーザ特定部と、ユーザを識別するユーザ識別情報に基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバから、前記ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得する取得部と、前記ユーザ特定部が特定した前記エリアに存在した前記ユーザに対応する前記端末位置情報と、前記取得部が取得した前記ユーザに対応する前記資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成する生成部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係る分析方法は、コンピュータが実行する、ユーザが所持する端末の位置を示す端末位置情報に基づいて、分析対象のエリアに存在したユーザを特定するステップと、ユーザを識別するユーザ識別情報に基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバから、前記ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得するステップと、特定された前記エリアに存在した前記ユーザに対応する前記端末位置情報と、取得された前記ユーザに対応する前記資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エリアにおけるユーザの資産収支状況を把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る分析装置の概要を示す図である。
図2】第1実施形態に係る分析装置の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る位置履歴情報の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係るアカウント管理情報の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る受付画面の一例を示す図である。
図6】第1実施形態に係る分析結果画面の一例を示す図である。
図7】第1実施形態に係る分析装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る分析装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
[分析装置1の概要]
図1は、第1実施形態に係る分析装置1の概要を示す図である。分析装置1は、エリアに存在するユーザの資産収支状況を分析するコンピュータである。
【0011】
分析装置1は、エリアの分析を行うユーザからエリアの指定を受け付ける(図1の(1))。分析装置1は、携帯電話回線を利用する端末ユーザが使用する携帯端末の位置情報である端末位置情報に基づいて、指定されたエリアに存在した端末ユーザを特定する(図1の(2))。
【0012】
分析装置1は、複数のサービスのそれぞれが提供する端末ユーザの資産又は収支に関する資産収支情報を統合した統合情報をユーザに提供する統合サービスと連携されており、端末ユーザを識別するユーザ識別情報と、資産又は収支を管理する金融機関のサーバ2において用いられるアカウント情報とを関連付けて記憶している。
【0013】
分析装置1は、エリアに存在した端末ユーザのユーザ識別情報に関連付けられているアカウント情報に基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバ2から、端末ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得する(図1の(3))。そして、分析装置1は、エリアに存在した複数の端末ユーザのそれぞれについて、端末位置情報と、取得した資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成し(図1の(4))、分析結果を出力する(図1の(5))。このようにすることで、エリアの分析を行うユーザは、エリアに存在するユーザの資産収支状況を把握することができる。
【0014】
[分析装置1の構成]
続いて、分析装置1の構成を説明する。図2は、第1実施形態に係る分析装置1の構成を示す図である。図2に示すように、分析装置1は、操作部11と、表示部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0015】
操作部11は、分析装置1を使用する装置ユーザが操作を入力するためのデバイスであり、例えば、キーボード及びマウスである。表示部12は、例えば液晶ディスプレイであり、エリアの分析結果が表示される。通信部13は、分析装置1が外部装置との間でデータを送受信するネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLANコントローラを含んで構成されている。
【0016】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部14は、制御部15を、受付部151、ユーザ特定部152、取得部153、生成部154、及び出力部155として機能させる分析プログラムを記憶している。
【0017】
また、記憶部14は、端末ユーザが所持する携帯端末の位置を示す端末位置情報を含む位置履歴情報を記憶する。位置履歴情報は、例えば、携帯電話回線に係るサービスを提供する通信事業者が収集した情報である。図3は、第1実施形態に係る位置履歴情報の一例を示す図である。図4に示すように、位置履歴情報は、端末ユーザを識別するユーザ識別情報としてのユーザIDと、時刻と、当該時刻における端末ユーザの携帯端末の位置を示す端末位置情報とを関連付けた情報である。
【0018】
また、記憶部14は、統合サービスを利用する端末ユーザのユーザIDと、資産収支情報を提供する複数のサービスのそれぞれに対応する当該端末ユーザの複数のアカウント情報とを関連付けたアカウント管理情報を記憶する。アカウント情報は、例えば、資産収支情報を提供するサービスにログインし、資産収支情報を取得するための、当該サービスにおけるユーザIDとパスワードとの組合せである。
【0019】
図4は、第1実施形態に係るアカウント管理情報の一例を示す図である。図4に示す例では、ユーザID「U0001」に、Aサービス及びBサービスのそれぞれに対応するアカウント情報が関連付けて記憶され、ユーザID「U0002」に、Cサービス及びDサービスのそれぞれに対応するアカウント情報が関連付けて記憶されていることが確認できる。
【0020】
ここで、統合サービスに関連付けられるサービスとしては、銀行の入出金情報等の照会サービス、クレジットカードの利用状況を提供するサービス、携帯電話回線の利用に係るサービス、通信事業者が携帯電話回線の利用に付随して提供するサービス、株式、債券、仮想通貨等の資産状況を提供するサービス、電気、ガス、水道料金の利用に係るサービス等が挙げられる。なお、統合サービスに関連付けられるサービスとしては、これらに限らず、資産又は収支に関する情報を提供するその他のサービスも含まれていてもよい。
【0021】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶された分析プログラムを実行することにより、受付部151、ユーザ特定部152、取得部153、生成部154、及び出力部155として機能する。
【0022】
受付部151は、分析装置1を使用する装置ユーザから、端末ユーザの資産収支状況の分析対象となるエリアの指定を受け付ける。例えば、受付部151は、表示部12に分析対象のエリアの指定を受け付ける受付画面を表示させ、受付画面において、操作部11を介して装置ユーザからの操作入力を受け付けることにより、分析対象のエリアの指定を受け付ける。
【0023】
図5は、第1実施形態に係る受付画面の一例を示す図である。図5に示すように受付部151は、受付画面に地図を表示させ、装置ユーザから、地図上の地点又は地域を受け付ける。地図は、経度方向及び緯度方向に分割された正方形の領域であるメッシュ領域に分割されている。受付部151は、受け付けた地点又は地域を含むメッシュ領域を、装置ユーザが指定した分析対象のエリアとすることにより、分析対象のエリアの指定を受け付ける。
【0024】
なお、本実施形態では、装置ユーザから、地図上の地点又は地域を受け付けることにより分析対象エリアの指定を受け付けたが、これに限らない。例えば、受付部151は、装置ユーザから、住所、POI(Point Of Interest)、施設名の入力を受け付けることにより、分析対象エリアの指定を受け付けてもよい。また、分析対象エリアは施設の内部であってもよい。例えば、受付部151は、住所、POI、施設名の入力を受け付けた場合に、対応する施設の内部を分析対象エリアとするか否かを装置ユーザから受け付けたことに応じて、分析対象エリアを施設の内部としてもよい。
【0025】
受付画面には、分析対象となる端末ユーザを特定するための特定条件の指定を受け付ける受付欄が複数設けられている。受付部151は、当該受付欄を介して分析対象となる端末ユーザを特定するための一以上の特定条件の指定を受け付ける。
【0026】
具体的には、受付画面には、分析を行う対象の期間である分析対象期間を受け付ける期間受付欄が設けられている。受付部151は、期間受付欄を介して、特定条件として、分析対象期間を受け付ける。
【0027】
また、受付画面には、分析を行う対象とする日にちの種別を受け付ける日にち種別受付欄が設けられている。日にちの種別としては、日にちの種別を限定しない「期間全体」と、「平日」と、「祝休日」とが設けられている。受付部151は、日にち種別受付欄を介して、特定条件として、日にちの種別を受け付ける。図5に示す例では、日にち種別受付欄において「平日」が選択されている。
【0028】
また、受付画面には、エリアにおける端末ユーザの移動種別を受け付ける移動種別受付欄が設けられている。移動種別を示す属性には、「滞在」と、「移動」との2種類の属性が設けられているとともに、移動種別を限定しない「全体」が設けられている。受付部151は、移動種別受付欄を介して、特定条件として、移動種別の指定を受け付ける。受付部151は、移動種別受付欄を介して、「全体」、「滞在」、「移動」のいずれかの選択を受け付ける。図5に示す例では、移動種別受付欄において「全体」が選択されている。
【0029】
また、受付画面には、移動種別「滞在」の定義を受け付ける滞在人口定義受付欄が設けられている。滞在人口定義受付欄は、移動種別受付欄において「全体」又は「滞在」が選択されている場合に有効となる。受付部151は、滞在人口定義受付欄を介して、特定条件として、端末ユーザがエリアに滞在しているとみなされる時間範囲を受け付ける。
【0030】
また、受付画面には、移動種別「移動」における移動手段を受け付ける移動人口定義受付欄が設けられている。移動人口定義受付欄は、移動種別受付欄において「全体」又は「移動」が選択されている場合に有効となる。図5に示すように、「移動」には、端末ユーザの属性である移動手段として、「電車」、「自動車」、「徒歩」の3種類の種別が設けられている。受付部151は、特定条件として、これらの3種類の種別と、これらの3種類のすべてを含む「全体」との中から移動手段の選択を受け付ける。図5に示す例では、移動手段として「徒歩」が選択されている。
【0031】
また、受付画面には、分析の開始を受け付ける分析開始ボタンBが設けられている。分析開始ボタンBが押下されると、ユーザ特定部152による端末ユーザの特定、取得部153による資産収支情報の取得、及び生成部154による分析情報の生成が開始される。
【0032】
ユーザ特定部152は、端末ユーザが所持する携帯端末の端末位置情報に基づいて、受付部151が指定を受け付けた分析対象のエリアに存在した端末ユーザを特定する。具体的には、ユーザ特定部152は、記憶部14に記憶されている位置履歴情報を参照し、受付部151が受け付けた特定条件に基づいて、分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザを特定する。
【0033】
より具体的には、ユーザ特定部152は、記憶部14に記憶されている位置履歴情報の時刻及び端末位置情報を参照し、受付部151が受け付けた分析対象期間及び日にちの種別に対応する時刻に分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザのユーザIDを特定する。
【0034】
また、ユーザ特定部152は、記憶部14に記憶されている位置履歴情報を参照し、分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザのそれぞれについて、分析対象のエリアにおける端末ユーザの移動種別を特定する。例えば、ユーザ特定部152は、分析対象のエリアに存在した端末ユーザに関連付けられている、分析対象期間及び日にちの種別に対応する各時刻の端末位置情報と、滞在人口定義受付欄において受け付けた「滞在」とみなす時間範囲とに基づいて、移動種別が「滞在」の端末ユーザを特定する。
【0035】
また、ユーザ特定部152は、分析対象のエリアに存在した端末ユーザに関連付けられている、分析対象期間及び日にちの種別に対応する各時刻の端末位置情報に基づいて、単位時間当たりの端末ユーザの移動速度を特定する。そして、ユーザ特定部152は、当該移動速度に基づいて、分析エリアに存在し、移動種別が「移動」の端末ユーザを特定する。さらに、ユーザ特定部152は、単位時間当たりの端末ユーザの移動速度に基づいて、移動種別が「移動」である端末ユーザの移動手段を「電車」、「自動車」、「徒歩」のいずれかに特定する。
【0036】
図5に示す受付画面の例では、移動種別として「全体」が選択され、滞在人口定義が60分以上120分未満、移動人口定義において「徒歩」が選択されていることから、ユーザ特定部152は、第1エリアに存在した端末ユーザとして、60分以上120分未満滞在している端末ユーザと、移動手段が「徒歩」と特定された端末ユーザとを特定する。このようにすることで、分析装置1は、装置ユーザが指定した、端末ユーザの特定条件に対応し、分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザを特定することができる。
【0037】
なお、ユーザ特定部152は、複数の時間帯のそれぞれに対応して、分析対象のエリアに存在し、受付部151が受け付けた特定条件に対応した複数の端末ユーザを特定する。例えば、ユーザ特定部152は、1時間ごとに、分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザを特定する。
【0038】
取得部153は、ユーザ特定部152が特定した端末ユーザを識別するユーザIDに基づいて、資産又は収支を管理する複数の金融機関のサーバ2のそれぞれから、当該端末ユーザの資産収支情報を取得する。取得部153は、ユーザ特定部152が特定した端末ユーザのユーザIDに関連付けられているアカウント情報であって、金融機関のサーバ2において用いられる端末ユーザのアカウント情報に基づいて、サーバ2から当該端末ユーザに対応する資産収支情報を取得する。
【0039】
具体的にはまず、取得部153は、記憶部14に記憶されているアカウント管理情報を参照し、ユーザ特定部152が特定した端末ユーザのユーザIDに関連付けられているアカウント情報を特定する。そして、取得部153は、特定したアカウント情報に基づいてサーバ2にアクセスすることにより、当該サーバ2から、端末ユーザに対応する資産収支情報を取得する。
【0040】
取得部153は、例えば、金融機関に含まれる銀行が管理するサーバ2から、資産収支情報として、銀行において管理されている端末ユーザの口座残高を示す情報を取得する。また、取得部153は、金融機関に含まれる、クレジットカードの決済額を管理する機関、又は端末ユーザが保有する証券を管理する機関が管理するサーバ2から、資産収支情報として、端末ユーザが所持するクレジットカードによる決済額、又は端末ユーザが保有する証券の評価額を示す情報を取得する。なお、取得部153は、資産収支情報として、端末ユーザが所持するクレジットカードの決済額に付随する情報を取得してもよい。クレジットカードの決済額に付随する情報は、例えば、支出先、出金先、収入元、入金元、出入金日付、利用明細等を示す情報である。
【0041】
なお、本実施形態では、取得部153は、記憶部14のアカウント管理情報を参照して、ユーザIDに関連付けられているアカウント情報を特定し、当該アカウント情報に基づいてサーバ2から資産収支情報を取得したが、これに限らない。例えば、サーバ2において、ユーザIDと、アカウント情報とを関連付けて記憶していてもよく、取得部153が、ユーザIDを含み、当該ユーザIDに対応するユーザの資産収支情報の取得を要求する取得要求をサーバ2に送信してもよい。そして、サーバ2が、当該取得要求に含まれるユーザIDに関連付けられているアカウント情報に基づいて、端末ユーザの資産収支情報を取得し、分析装置1に送信してもよい。
【0042】
生成部154は、ユーザ特定部152が特定した分析対象のエリアに存在した端末ユーザに対応する端末位置情報と、取得部153が取得した端末ユーザに対応する資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成する。生成部154は、分析対象のエリアに存在する端末ユーザに対応する端末位置情報及び資産収支情報に基づいて、エリアにおける複数の位置のそれぞれに、当該位置に対応する資産収支情報が示す資産収支の統計値を関連付けた分布情報を生成する。
【0043】
具体的には、まず、生成部154は、分析対象のエリアを、複数のメッシュに分割する。生成部154は、複数の時間帯のそれぞれに対応して、ユーザ特定部152が特定した分析対象のエリアに存在した端末ユーザに対応する端末位置情報に基づいて、分析対象のエリアに存在した複数の端末ユーザを、分割された複数のメッシュのそれぞれに割り当てる。
【0044】
ここで、生成部154は、端末ユーザの端末位置情報が複数存在することにより、当該端末ユーザを複数のメッシュに割当可能である場合には、当該端末ユーザを、複数のメッシュのそれぞれに割り当てる。なお、生成部154は、メッシュにおける滞在時間が所定時間以上である場合に、当該メッシュに端末ユーザを割り当ててもよい。また、生成部154は、滞在時間が最も長いメッシュに限定して端末ユーザを割り当ててもよい。
【0045】
生成部154は、複数のメッシュのそれぞれについて、メッシュに割り当てられた複数の端末ユーザのそれぞれに対応する資産収支情報に基づいて、資産収支の統計値を算出する。統計値は、例えば、複数の端末ユーザの資産収支の平均値、中央値、分散、偏差である。生成部154は、例えば、分析対象のエリアの複数のメッシュのそれぞれに対応する資産収支の統計値を、異なる色によって視覚化したヒートマップを生成する。生成部154は、複数の時間帯のそれぞれに対応して、ヒートマップを生成する。
【0046】
出力部155は、生成部154が生成したヒートマップを含む分析結果画面を表示部12に出力する。図6は、第1実施形態に係る分析結果画面の一例を示す図である。図6には、図5に示す受付画面の地図において選択された分析対象のエリアに対応するヒートマップと、受付画面において受け付けた端末ユーザを特定するための特定条件と、時間帯の選択欄とが示されている。図6に示す例では、10時~11時に対応するヒートマップが示されているが、生成部154は、時間帯の選択欄を介して、装置ユーザから、他の時間帯の選択を受け付けて、選択された時間帯に対応するヒートマップを分析結果画面に表示可能である。装置ユーザは、図6に示すヒートマップを確認することにより、エリアにおけるユーザの資産収支状況を把握することができる。
【0047】
なお、出力部155は、分析結果画面に、分析対象のエリアに対応する端末ユーザの数を表示させるようにしてもよい。また、出力部155は、分析結果画面において、ヒートマップを構成する複数のメッシュのうち、いずれかのメッシュが選択されたことに応じて、当該メッシュに対応する端末ユーザの数を表示させるようにしてもよい。
【0048】
[分析装置1の処理の流れ]
続いて、分析装置1における処理の流れについて説明する。図7は、第1実施形態に係る分析装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
まず、受付部151は、受付画面を介して、分析対象のエリア、端末ユーザの特定条件の指定を受け付ける(S1)。
続いて、ユーザ特定部152は、指定された端末ユーザの特定条件に基づいて、分析対象エリアに存在した端末ユーザを特定する(S2)。
【0050】
続いて、取得部153は、S2において特定された複数の端末ユーザについて、ユーザIDに関連付けられているアカウント情報に基づいてサーバ2から資産収支情報を取得する(S3)。
【0051】
続いて、生成部154は、分析対象のエリアに存在する端末ユーザに対応する端末位置情報及び資産収支情報に基づいて、エリアにおける複数の位置のそれぞれに、当該位置に対応する資産収支情報が示す資産収支の統計値を関連付けた分布情報を生成する(S4)。
続いて、出力部155は、S4において生成された分布情報を含む分析結果画面を表示部12に出力する(S5)。
【0052】
[変形例]
上述の実施形態では、取得部153は、ユーザ特定部152が特定した端末ユーザの資産収支情報を取得したが、これに限らない。まず、取得部153が、端末ユーザの資産収支情報を取得し、その後、ユーザ特定部152が、資産収支情報を取得したユーザのうち、分析対象のエリアに存在する端末ユーザを特定してもよい。
【0053】
[第1実施形態における効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る分析装置1は、端末ユーザが所持する携帯端末の位置を示す端末位置情報に基づいて、分析対象のエリアに存在した端末ユーザを特定し、端末ユーザを識別するユーザIDに基づいて、資産又は収支を管理する金融機関のサーバ2から、端末ユーザの資産又は収支を示す資産収支情報を取得する。そして、分析装置1は、分析対象のエリアに存在した端末ユーザに対応する端末位置情報と、当該端末ユーザに対応する資産収支情報とを関連付けた分析情報を生成する。このようにすることで、分析装置1を使用する装置ユーザは、分析対象のエリアにおける端末ユーザの資産収支情報を把握することができる。
【0054】
<第2実施形態>
[端末ユーザの動線情報を生成する]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る分析装置1は、分析対象のエリアに存在した端末ユーザから、端末ユーザを選択し、選択した端末ユーザに対応する動線情報を生成する点で第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係る分析装置1について説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0055】
図8は、第2実施形態に係る分析装置1の構成を示す図である。第2実施形態に係る分析装置1は、選択部156をさらに備える。第2実施形態において、選択部156は、ユーザ特定部152が特定した一以上の端末ユーザの中から、端末ユーザを選択する。例えば、選択部156は、表示部12に、ユーザ特定部152が特定した一以上の端末ユーザのユーザIDを表示させ、装置ユーザから一以上のユーザIDの選択を受け付ける。選択部156は、装置ユーザが選択した一以上のユーザIDの端末ユーザを選択する。
【0056】
取得部153は、選択部156が選択した端末ユーザが分析対象のエリアにおいて通過した複数の位置を示す複数の位置情報を取得する。具体的には、取得部153は、記憶部14に記憶されている位置履歴情報を参照し、選択部156が選択した端末ユーザに対応する端末位置情報であって、分析対象のエリアに対応する端末位置情報を複数取得する。
【0057】
生成部154は、選択部156が選択した端末ユーザに対応して取得部153が取得した複数の端末位置情報と、取得部153が取得した当該端末ユーザの資産収支情報とを関連付けた、当該端末ユーザの動線情報を生成する。例えば、生成部154は、資産収支情報が示す支出情報には、端末ユーザが支出した店舗を示す店舗情報及び支出日時が含まれており、当該店舗情報及び支出日時と、取得部153が取得した複数の端末位置情報に対応する日時とに基づいて、端末ユーザが支出を行った場所(店舗)を特定する。そして、生成部154は、端末ユーザが支出を行った位置に支出金額を関連付けた当該端末ユーザの動線を示した分析対象のエリアの地図を生成する。出力部155は、生成部154が生成した端末ユーザの動線情報を示した分析対象のエリアの地図を含む分析結果画面を表示部12に出力する。
【0058】
[第2実施形態における効果]
以上説明したように、第2実施形態に係る分析装置1は、選択した端末ユーザに対応して取得した複数の端末位置情報と、当該端末ユーザの資産収支情報とを関連付けた、当該端末ユーザの動線情報を生成して出力する。このようにすることで、分析装置1を使用する装置ユーザは、エリアにおける端末ユーザの詳細な支出状況を把握することができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0060】
1・・・分析装置、11・・・操作部、12・・・表示部、13・・・通信部、14・・・記憶部、15・・・制御部、151・・・受付部、152・・・ユーザ特定部、153・・・取得部、154・・・生成部、155・・・出力部、156・・・選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8