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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】香料混合物
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20220104BHJP
   C07C 69/593 20060101ALI20220104BHJP
   C07C 67/333 20060101ALI20220104BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 9/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C11B9/00 S
C07C69/593
C07C67/333
C11B9/00 Z
C11D3/50
A61K8/37
A61Q19/10
A61Q9/02
A61Q5/02
A61Q19/00
A61Q17/04
A61Q9/04
A61Q19/04
A61Q5/06
A61Q15/00
A61Q13/00 101
A61Q5/10
A61Q5/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019534329
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017074461
(87)【国際公開番号】W WO2018114073
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-08-19
(31)【優先権主張番号】16205788.9
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン,ヴィジャヤナンド
(72)【発明者】
【氏名】パンテン,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ディアス ゴメス,エディソン
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-520828(JP,A)
【文献】特開2015-214690(JP,A)
【文献】特表2003-507403(JP,A)
【文献】特開昭61-060602(JP,A)
【文献】Berichte der deutschen chemischen Gesellschaft,Vol.14, No.2,pp.1634-1637 (1881).
【文献】Food and Cosmetics Toxicology,Vol.14, Supplement,p.749 (1976).
【文献】Huaxue Shiji,Vol.36, No.11,pp.1009-1013 (2014).
【文献】Modern Food Science and Technology,Vol.31, No.12,pp.394-399 (2015).
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00- 15/00
C11C 1/00- 5/02
C07B 31/00- 63/04
C07C 1/00-409/44
C07D 307/00-307/94
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(i)、式(ii)及び式(iii):
【化1】

(式中、
はそれぞれ、1~10の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキルラジカル、芳香脂肪族または芳香族のラジカル、好ましくはメチルまたはエチルのラジカルを表し、且つ
はそれぞれ、1~10の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキルラジカル、芳香脂肪族または芳香族のラジカル、好ましくはメチルまたはエチルのラジカルを表す。)から成る群から選択される、3つすべての化合物を知覚的有効量含む香料混合物。
【請求項2】
式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物におけるR及び/またはRがそれぞれ同じラジカルである請求項1に記載の香料混合物。
【請求項3】
及びRがそれぞれ独立して直鎖または分岐鎖のメチル、エチル、プロピル、及びブチルのアルキルラジカルから成る群から選択される請求項1または2に記載の香料混合物。
【請求項4】
式(i)、式(ii)及び式(iii)の前記化合物がそれぞれ以下:
(i)(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、
(ii)(Z)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、及び
(iii)2-メチレンブタンジカルボン酸ジエチルエステル
のとおりである請求項1~3のいずれか1項に記載の香料混合物。
【請求項5】
香料混合物における式(ii)及び式(iii)の2つの化合物の合計に対する式(i)の化合物の比率が、1(式(ii)及び式(iii)の2つの化合物の合計)に対して少なくとも8(式(i)の化合物)である請求項1~4のいずれか1項に記載の香料混合物。
【請求項6】
前記香料混合物に基づいて式(i)、式(ii)及び式(iii)の前記化合物を合わせて0.001~99.999重量%、好ましくは0.05~50重量%までの量含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の香料混合物。
【請求項7】
(1)炭化水素;
(2)脂肪族アルコール
(3)脂肪族アルデヒド及びそれらのアセタール
(4)脂肪族ケトン及びそれらのオキシム
(5)脂肪族イオウ含有化合物
(6)脂肪族ニトリル
(7)脂肪族カルボン酸のエステル
(8)非環式テルペンアルコール
(9)非環式テルペンアルデヒド及びケトン;
(10)環状テルペンアルコール;
(11)環状テルペンアルデヒド及びケトン
(12)環状アルコール;
(13)脂環式アルコール;
(14)環状及び脂環式のエーテル;
(15)環状及び大環状のケトン;
(16)脂環式アルデヒド;
(17)脂環式ケトン;
(18)環状アルコールのエステル;
(19)脂環式アルコールのエステル;
(20)脂環式カルボン酸のエステル;
(21)芳香脂肪族アルコール;
(22)芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル;
(23)芳香脂肪族エーテル;
(24)芳香族及び芳香脂肪族のアルデヒド;
(25)芳香族及び芳香脂肪族のケトン;
(26)芳香族及び芳香脂肪族のカルボン酸及びそれらのエステル;
(27)窒素含有芳香族化合物;
(28)フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;
(29)複素環化合物;
(30)ラクトン;
及びそれらの混合物から成る群から選択される1以上のさらなる香料を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の香料混合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の香料混合物を含有する香油、化粧剤、適用剤または洗浄剤及び洗剤。
【請求項9】
前記剤に基づいて0.05~5重量%の量で請求項1~7のいずれか1項に記載の香料混合物を含有することを特徴とする請求項8に記載の剤。
【請求項10】
固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、化粧品エマルション、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、日焼け後クリーム及びローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、髭剃り後クリーム及びローション、タンニングクリーム及びローション、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な染髪剤、毛髪変形剤、ヘアトニック、ヘアクリーム及びローション、脱臭剤、腋窩スプレー、伸縮自在の下着、脱臭スティック、脱臭クリーム及び装飾的化粧製品、と同様に、芳香抽出物、オードパルファン、オードトワレ、髭剃りローション、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン、清涼ティシュ、酸性、アルカリ性及び中性の洗剤、床クリーナー、窓ガラスクリーナー、食器洗剤、トイレ衛生クリーナー、磨き乳液、固形及び液状のWCクリーナー、粉状及び発泡性のカーペットクリーナー、液状の洗浄剤、粉状の洗浄剤、洗濯物予備処理剤、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、布地柔軟剤、洗浄石鹸、洗浄錠剤、殺菌剤、液状形態、ゲル様形態または固体キャリアに適用される形態での表面殺菌剤、空気清浄剤、エアゾールスプレー、家具艶出し剤、床ワックス、靴艶出し剤から成る群から選択されることを特徴とする請求項8または9に記載の剤。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載の香料混合物の調製方法であって、
以下の工程:
(i)イタコン酸を無水酢酸と反応させて無水イタコン酸を得ることと、
(ii)無水イタコン酸の無水シトラコン酸への異性化と、
(iii)1~10の炭素原子を有する脂肪族、芳香脂肪族または芳香族のアルコールまたは1~5のヒドロキシル基を有するジオールにより無水シトラコン酸をエステル化して式(ii)のシトラコン酸ジエステルを得ることと、
(iv)式(ii)のシトラコン酸ジエステルの、式(i)のメサコン酸ジエステルへの再構成と、
を含み、
式(ii)のシトラコン酸ジエステルと式(iii)のイタコン酸ジエステルが、異性体混合物として式(i)のメサコン酸ジエステルと一緒に得られる、前記方法。
【請求項12】
工程(ii)において、ポリアルキレングリコール(PAG)を含む高沸点溶媒(好ましくは150℃を超える沸点を有する)と、さらに90~120℃の間の沸点を有する共溶媒(好ましくはジオキサン)とを含む溶媒系が使用される、請求項11に記載の香料混合物の調製方法。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項に記載の香料混合物の調製方法であって、
以下の工程:
(i)少なくとも1つのシトラコン酸ジエステルと、任意で溶媒とを含む溶液を提供することと、
(ii)前記溶液にヨウ素を加えることと、
(iii)前記ヨウ素を含有する溶液を約170~約200℃に加熱することと、
(iv)任意で、得られた生成物の蒸留精製と、
を含み、
式(ii)のシトラコン酸ジエステルと式(iii)のイタコン酸ジエステルが、異性体混合物として式(i)のメサコン酸ジエステルと一緒に得られる、前記方法。
【請求項14】
前記メサコン酸ジエステルが、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルであることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
香料混合物、香油、化粧剤、適用剤または洗浄剤及び洗剤にて果物のような洋ナシに似た芳香の香調を付与する、変更するまたは強化する方法であって、
以下の工程:
(a1)請求項1~7のいずれか1項に記載の香料混合物を提供すること;及び
(a2)仕上がり調製物において、果物のような洋ナシに似た芳香を得るのに十分な追加の香料混合物と、知覚的有効量の物質(単数)もしくは物質(複数)を混合すること;
または
(b1)請求項1~7のいずれか1項に記載の香料混合物を提供すること;及び
(b2)仕上がり調製物において、果物のような洋ナシに似た芳香を得るのに十分な香油、化粧剤、適用剤または洗浄剤及び洗剤と、知覚的有効量の物質(単数)もしくは物質(複数)を混合すること
を含む、前記方法。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか1項に記載の式(i)の化合物、式(ii)の化合物及び式(iii)の化合物からなる群より選択される3つすべての化合物の混合物の香料としての使用
【請求項17】
香料混合物、香油、化粧剤、適用剤または洗浄剤及び洗剤において、果物のような洋ナシに似た芳香を付与、変更または強化するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の式(i)、式(ii)及び式(iii)の前記化合物からなる群より選択される3つすべての化合物の混合物の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料の分野であり、特別な香料または香料混合物を含有する果物のような洋ナシに似た香調の調製物を伴った香料混合物、洋ナシに似た香調を持つ特別な香料を製造するプロセス、香りで満たすプロセス、及び洋ナシに似た芳香の香調を作り出すための特別な香料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の既存の香料にもかかわらず、香水産業は未だに新しい香料の一般的なニーズを有している。特に、新しい且つ独創的な芳香の香調を特徴とするだけでなく、嗅覚特性に加えて追加の有益な二次的特性、たとえば、特定の使用条件下での大きな安定性及び存在性、さらに良好な付着性、さらに大きな輝き、低い閾値またはさらに良好な皮膚科学及び毒物学の成績、たとえば、良好な生分解性も有する香料に対するニーズがある。
【0003】
特に、低い用量で、比較物質と同じまたはそれよりも高い芳香寄与を提供し、環境への低い投入量(低容量-高影響)をもたらす香料に対するニーズがある。または、同じ芳香寄与にてはるかに低価格でどれを利用可能にできるのか。複雑な嗅覚特性を持つ、たとえば、果物のような洋ナシに似た香料に対する特別なニーズがある。しかしながら、その洋ナシに似た芳香で別に知られる酢酸アミルエステルはこれらの条件を満たさない。
【0004】
従って、本検討の課題は、最先端技術の前述の短所を克服する、すなわち、特に低用量で、高い芳香寄与を提供し、種々の芳香剤及び最終製品製剤に容易に且つ安定して組み込むことができ、少ない技術的尽力と低いコストで製造することができる再生可能な原料(好ましくは廃棄物)に基づいて洋ナシに似た芳香を持つ香料及び芳香組成物を提供することだった。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の目的は、式(i)、式(ii)及び(iii):
【化1】

(式中、R1はそれぞれ、1~10の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基、芳香脂肪族または芳香族の基を表し、R2はそれぞれ、1~10の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基、芳香脂肪族または芳香族の基を表す。)によって構成される群に由来する1、2、または3すべての化合物を知覚的有効量で含有する香料混合物に関するものである。
【0006】
驚くべきことに、特に式(i)の化合物は洋ナシに似た香料として好適であり、上記に記載されている複雑な要件プロファイルを完全に満たすことが見いだされた。式(ii)及び式(iii)の物質は製造中に存在し、これらも減衰した洋ナシに似た芳香を有する。これらの物質が再生可能な原料から、特に製糖産業に由来する廃棄物から得られることは特に注目に値する。これらの物質を永続的に安定な方法で多数の様々な製剤に組み込むことができ、特にデカジエン酸エチルの標準を超えることも驚くべきことである。
【0007】
上記式中、好ましくは、R1及びR2はそれぞれ、1~8または1~6の炭素原子を有する同一のまたは異なる直鎖、分岐鎖または環状のアルキルラジカル、好ましくは、メチルまたはエチルのラジカルである。直鎖ラジカル、特に1~4の炭素原子を持つアルキルラジカルは特に有益である。或いは、この数の炭素原子を持つ分岐鎖アルキルラジカルが好ましい。
【0008】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物における1~10の炭素原子を有するR1及びR2について、好ましい直鎖アルキルラジカルの群は、以下のラジカル:メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシルから構成される。好ましい直鎖アルキルラジカルはメチル、エチルであるが、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルも好適である。特に好ましい直鎖アルキルラジカルはメチル、エチル、n-プロピル及びn-ブチルである。
【0009】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物における1~10の炭素原子を有するR1及びR2についての分岐鎖アルキルラジカルの群は、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、tert-ペンチル、イソ-ヘキシル、tert-ヘキシル、イソ-ヘプチル、イソ-オクチル、tert-オクチル、イソ-ノニル、tert-ノニル、tert-デシル及びイソ-デシルから構成される。好ましい分岐鎖アルキルラジカルはイソプロピル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。特に好ましい分岐鎖アルキルラジカルはイソプロピル及びイソブチルである。
【0010】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物における1~10の炭素原子を有するR1及びR2についての環状アルキルラジカルの群は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタンから構成される。好ましい環状アルキルラジカルはシクロペンタン及びシクロヘキサンである。
【0011】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物におけるR1及びR2についての芳香脂肪族ラジカルの群は、1以上の水素原子が芳香族ラジカルによって置換されているアルキルラジカルを意味する。式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物における芳香脂肪族ラジカルの群はトルエン、2-メチルフラン、3-メチルフラン、ピコリン、クレゾール、キシレン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン及びエチルベンゼンから構成される。好ましい芳香脂肪族ラジカルはトルエン及びエチルベンゼンである。
【0012】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物におけるR1及びR2についての芳香族ラジカルの群はピリミジン、フラン、チラン、ベンゼン、ナフタレン、フェノール、ピリジン及びベンゾジアゼピンから構成される。好ましい芳香族ラジカルはフラン及びベンゼンである。
【0013】
知覚的有効量とは、果物のような洋ナシに似た匂いの印象を生じるのに十分な混合物における式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の物質の比率を意味する。この果物のような洋ナシに似た嗅覚の印象は、一般に、式(i)、式(ii)及び式(iii)の1つ、2つまたは3つすべての化合物によって少なくとも0.001重量%の香料混合物が存在する場合に生じる。
【0014】
本発明の好ましいさらなる変更態様において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1及び/またはR2は、それぞれ独立してC1~C4ラジカル、すなわち特に、メチル、エチル、プロピル及びブチルのラジカルである。これらの化合物は作製するのに特に容易であり、最も印象的な匂いプロファイルを示す。
【0015】
本発明の代わりの優先的なさらなる変更態様において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1は、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル及び/またはブチルのラジカルであり、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR2は、それぞれ独立してメチルラジカルまたはエチルラジカルである。
【0016】
本発明のさらに好ましい変更態様において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR2は、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル及びブチルであり、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1は、それぞれ独立してメチルまたはエチルである。
【0017】
本発明の第2の変形例において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのR1及びR2は、それぞれ同一のラジカルである。このことは製造を簡略化する。
【0018】
本発明の第3の変形例において、記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1及びR2は、それぞれ独立して直鎖または分岐鎖のメチル、エチル、プロピル、及びブチルのアルキルラジカルから成る群から選択される。特に、直鎖アルキルラジカル及びさらに短い分岐鎖アルキルラジカルは匂い結合ポケットに嵌るのに好適である。
【0019】
本発明の好ましいさらなる変更態様において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1及びR2は、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル及びブチルである。
【0020】
本発明のさらに好ましい変更態様において、上記に記載されている香料混合物における式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物でのラジカルR1及びR2は、それぞれ独立してメチル及びプロピルのラジカルである。
【0021】
第4の変形例において、本発明は、
(i)(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル((E)-2-methyl-but-2-endicarboxylic acid diethyl ester)、
(ii)(Z)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル((Z)-2-methyl-but-2-endicarboxylic acid diethyl ester)、及び
(iii)2-メチレンブタンジカルボン酸ジエチルエステル
によって構成される群に由来する1、2または3すべての化合物を知覚的有効量で含有する香料混合物に関する。
【0022】
これら3つの化合物(i)、(ii)及び(iii)はそれぞれ、香料混合物の本発明の式の最も好ましい変形例を表すが、メチルエステルまたはプロピルエステルも好ましい。エチルエステル、メチルエステル及び/またはプロピルエステルの組み合わせも可能である。
【0023】
香料:
存在する本発明の香料では、メサコン酸ジエチルエステルとしても知られている式(I):
【化2】

の物質(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルは本発明で特に重要であり、たとえば、文献からすでに知られている。以下の引用を参照のこと:Advanced Synthesis & Catalysis,2012,354(14-15),2859-2864;Organic Letters,2008;10(21),4815-4818;Organic & Biomolecular Chemistry,2010,8(19),4444-4450;Journal of American Chemical Society,2005,127(15),5518-5527;Tetrahedrone Letters,1996,37(5),629-632;Tetrahedrone Letters,1983,39(9),1475-1485;Journal of American Chemical Society,2015,137(26),8556-8563;Organic Letters,2011;13(7),1884-1887;Australian Journal of Chemistry,1984,37(2),417-424;Tetrahedron Letters,1981,22(5),381-384;Synthetic Communications,1977,7(6),375-382;Helvetica Chimica Acta,1974,57(3),856-863。
【0024】
以下では、2つの用語、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル及びメサコン酸ジエチルエステルは同意語として使用される。この化合物の知覚特性及び特に特殊な強い洋ナシの香調を持つ香料としてのその好適性は今まで知られていなかった。従って、その化合物の香料としてのその使用も本発明の主題である。
【0025】
式(ii)及び式(iii)の2つの化合物は、調製の間に異性体混合物として普通、メサコン酸ジエチルエステルと一緒に得られるシトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルである。化合物(ii)について特に好ましいのは(Z)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルであり、化合物(iii)について特に好ましいのはメサコン酸ジエチルエステル(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルとの好ましい化合物混合物である2-メチレンブタンジカルボン酸ジエチルエステルである。これらの化合物の個々の使用または香料もしくは香料の混合物としてのメサコン酸ジエチルエステルとの組み合わせでの使用も本発明に従って提供されている。
【0026】
好ましいのは、少なくとも50~100重量%、特に約70~約90重量%、及び特に好ましくは約75~85重量%の量で式(i)の化合物、好ましくは(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルを含有する異性体混合物である。
【0027】
本発明の第5の好ましい変更態様において、式(i)、式(ii)及び式(iii)の化合物の合計に基づく式(i)の化合物は50~100重量%の量で香料混合物に存在する。これは、各ジエチルエステルの特に好ましい化合物にも適用される。本発明に倣い、メサコン酸ジエチルエステルは少なくとも98.0%純度であることが好ましいが、上記すべては100.0%純度である。純粋なまたはほとんど純粋なメサコン酸ジエチルエステルを伴った香料混合物は洋ナシの香調を持つ特に強い匂いを示す。
【0028】
本発明の好ましい変形例において、香料混合物における式(ii)及び式(iii)の2つの化合物の合計に対する式(i)の化合物との間の関係は、1(式(ii)及び式(iii)の2つの化合物の合計)に対する少なくとも8(式(i)の化合物)であり、さらに好ましくは9:1の比、または式(i)がさらに高い比率をしめる。これらの比はメサコン酸ジエチルエステルのシトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルに対する化合物混合物にも適用される。メサコン酸ジエチルエステルのさらに高い比率は、さらに強い洋ナシの芳香を生じさせる。
【0029】
特に、一般に(i)、(ii)及び(iii)の異性体混合物及び化合物(i)のメサコン酸エステル、特にメサコン酸ジエチルエステルは、洋ナシに似た香りを付与(impart)、改良(modify)及び/または強化(enhance)するのに特に優れていることが見いだされた。化合物がそのような表現豊かな芳香を有するという事実は、上記に記載されている嗅覚特性において類似の構造を持つ既知の物質とは異なっており驚くべきことである。たとえば、フマル酸ジエチルエステル(II)はブテンジカルボン酸構造も有するが、ほとんど無臭であると記載されている(出典:安全性データシート フマル酸ジエチルエステル、Merck)。
【化3】
【0030】
しかしながら、匂いで似ている化合物、たとえば、2,4-デカジエン酸エチル(III)は完全に異なる構造を有する(参照:H.Surburg,J.Panten,Common Fragrance and Flavor Materials,6th ed.,Wiley-VCH,Weinheim,2016,p.25)。
【化4】
【0031】
これらの物質は匂いの強さ及び付着性という点で有意に弱いことも判明している。
【0032】
特殊な嗅覚的利点に加えて、たとえば、一般化粧品溶媒における溶解性、そのような製品の他の成分との相溶性及び化合物の毒性上の無害性のような優れた物質特性も言及されるべきであり、それは、前述の目的のために、本発明に基づく化合物の特別の好適性を強調している。類似の匂い特性を持つ従来の香料(たとえば、式III)を超えるさらなる利点はその非常に好都合な有用性及び製造である。
【0033】
本発明の第6の好ましい変更態様において、式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物は香料混合物に対して0.001~99.999重量%の量で一緒に含有される。
【0034】
一層さらに好ましくは、式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物は香料混合物に基づいて0.05~50重量%の量で一緒に存在する。このことは各ジエチルエステルの特に好ましい化合物にも適用される。
【0035】
本発明の代わりに好ましい実施形態において、式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物は芳香混合物に基づいて1~30重量%の併用量で含有される。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態において、混合物は、0.001~99.999重量%の知覚的有効量で、好ましくは約0.01~約90重量%の量で、好ましくは約0.05~約50重量%の量で、さらに好ましくは約0.5~約25重量%の量で、それぞれ、一般に式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルを単独で含有してもよく、特に、シトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルの混和物における前記メサコン酸ジエチルエステルを含有してもよい。次いで100重量%の合計は、香料混合物の場合、他の香料及び適宜、溶媒及び/または保存剤によって普通補われる。用途に応じて、他の添加物が加えられてもよい。
【0037】
香料:
本発明に係る香料混合物は必ず、さらなる香料、すなわち、少なくとも2つの香料成分を含有し、または少なくとも1つのさらなる香料と共に式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物の異性体混合物、及び特に知覚的有効量での(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルから成る。普通、香料は二元または三元の混合物では使用されないが、時には非常に少量で10、20、50または100以上の香料を含有してもよい洗練された複合混合物の成分として使用されて特に円熟した匂いプロファイルを与える。この意味で、本発明の本混合物は、すなわち、1、2、3、4、5、10、好ましくははるかに多い数の香料との(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物の混合物として理解されるべきである。
【0038】
本発明の第7の変更態様において、記載されている香料混合物は、(1)炭化水素;(2)脂肪族アルコール;(3)脂肪族アルデヒド及びそれらのアセタール;(4)脂肪族ケトン及びそれらのオキシム;(5)脂肪族イオウ含有化合物;(6)脂肪族ニトリル;(7)脂肪族カルボン酸のエステル;(8)アクリル系テルペンアルコール;(9)アクリル系テルペンアルデヒド及びケトン;(10)環状テルペンアルコール;(11)環状テルペンアルデヒド及びケトン;(12)環状アルコール;(13)脂環式アルコール;(14)環状エーテル及び脂環式エーテル;(15)環状及び大環状のケトン;(16)脂環式アルデヒド;(17)脂環式ケトン;(18)環状アルコールのエステル;(19)脂環式アルコールのエステル;(20)脂環式カルボン酸のエステル;(21)芳香脂肪族アルコール;(22)芳香脂肪族アルコール及び芳香脂肪族カルボン酸のエステル;(23)芳香脂肪族エーテル;(24)芳香族及び芳香脂肪族のアルデヒド;(25)芳香族及び芳香脂肪族のケトン;(26)芳香族及び芳香脂肪族のカルボン酸及びそのエステル;(27)窒素含有芳香族化合物;(28)フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;(29)複素環化合物;(30)ラクトン;ならびにそれらの混合物によって構成される群から選択される任意の数の他の香料を含有する。
【0039】
香料の選択は非常に包括的であり;メサコン酸ジエチルエステルと有利に組み合わせることができる相当する物質は、たとえば、“S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,Vol.I and II,Montclair,N.J.,1969,Selbstverlag”または“H.Surburg und J.Panten,Common Fragrance and Flavor Materials,6th ed.,Wiley-VCH,Weinheim,2016”にて見いだすことができる。詳細は以下に述べられている。
【0040】
天然の原料からの抽出物:
この群は、精油、凝固体、純油、樹脂、樹脂状物質、バルサム、チンキ剤、たとえば、アンバーグリス・チンキ;アミリス油;アンゼリカ種子油;アンゼリカ根茎油;アニス油;バレリアン油;メボウキ油;フロウソウ純油;ベイ油;オオヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋純油;樺タール油;苦扁桃油;サイボリー油;ブッコ葉油;カブリューバ油;トショウ油;カルムス油;ショウノウ油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシャ油;カッシャ純油;カストリューム純油;ヒマラヤスギ葉油;ヒマラヤスギ樹木油;シスタス油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスツス根茎油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルハーブ油;ディル種子油;オーデブロウツ(eau de brouts)純油;オークモス純油;エレミ油;タラゴン油;レモンユーカリ油;ユーカリ油;ウイキョウ油;トウヒ針葉油;ガルバナム油;ガルバナム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアヤク油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ムギワラギク純油;ムギワラギク油;ショウガ油;イリスルート純油;イリスルート油;ジャスミン純油;ショウブ油;ブルーカモミール油;ローマンカモミール油;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;クリスプミント(crisped mint)油;カラウエー油;ラブダナム油;ラブダナム純油;ラブダナム樹脂;ラバンジン純油;ラバンジン油;ラベンダー純油;ラベンダー油;レモングラス油;ラベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロエ油;アオモジ油;月桂樹葉油;メース油;マジョラム油;マンダリン油;マソイア樹皮油;ミモザ純油;ムスク種子油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ナツメグ油;ミルラ純油;ミルラ油;ギンバイカ油;丁子葉油;丁子花油;橙花油;オリバナム純油;オリバナム油;オポパナクス油;オレンジ花純油;オレンジ油;マヨラナ油;パルマローザ油;パチョリ油;エゴマ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレイン油;ペパーミント油;コショウ油;ピメント油;マツ油;ポレイ油;バラ純油;シタン油;バラ油;ローズマリー油;ダルマチアセージ油;スペインセージ油;ビャクダン油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;エゴノキ油;マリーゴールド油;モミ葉油;ティーツリー油;テレビン油;タイム油;トルバルサム;トンカ純油;月下香純油;バニラ抽出物;スミレ葉純油;バーベナ油;ベチベル油;ジュニパーベリー油;ワイン酵母油;ヨモギ油;冬緑油;イラン油;イソップ(ysop)油;シベット純油;シナモン葉油;シナモン樹皮油及びそれらの分画またはそれから単離される成分を表す。
【0041】
個々の香料:
個々の香料は以下のような多数の部類に分けることができる。
【0042】
炭化水素、たとえば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンス;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタン
【0043】
脂肪族アルコール、たとえば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキサノール;(E)-及び(Z)-3-ヘキサノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オール
【0044】
脂肪族アルデヒド及びそれらのアセタール、たとえば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-doデセナール;2,6,10-triメチル-9-unデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシ-プロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセン
【0045】
脂肪族ケトン及びそれらのオキシム、たとえば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノン オキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オン
【0046】
脂肪族イオウ含有化合物、たとえば、3-メチルチオヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオール
【0047】
脂肪族ニトリル、たとえば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリル
【0048】
脂肪族カルボン酸のエステル、たとえば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテニル;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;イソ酪酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;2-メチルペンタン酸エチル;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル-(E,Z)-2,4-デカジエン酸;メチル-2-オクチン酸;メチル-2-ノニン酸;アリル-2-イソアミルオキシ酢酸;メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸;クロトン酸4-メチル-2-ペンチル
【0049】
アクリル系テルペンアルコール、たとえば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバズロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;及びそれらのギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、クロトン酸、チグリン酸及び3-メチル-2-ブテン酸のエステル
【0050】
アクリル系テルペン及びケトン、たとえば、ゲラニアル;ネラール;シトノレラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;及びゲラニアル,ネラール,7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタール
【0051】
環状テルペンアルコール、たとえば、メントール;イソプレゴール;アルファ-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;酸化リナロール;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアイオール;及びそれらのギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、クロトン酸、チグリン酸及び3-メチル-2-ブテン酸エステル
【0052】
環状テルペンアルデヒド及びケトン、たとえば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;ショウノウ;フェンコン;アルファ-イオノン;ベータ-イオノン;アルファ-n-メチルイオノン;ベータ-n-メチルイオノン;アルファ-イソメチルイオノン;ベータ-イソメチルイオノン;アルファ-鉄;アルファ-ダマスコン;ベータ-ダマスコン;ベータ-ダマセノン;デルタ-ダマスコン;ガンマ-ダマスコン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;アルファ-シネンサール;ベータ-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)
【0053】
環状アルコール、たとえば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール
【0054】
脂環式アルコール、たとえば、アルファ,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール
【0055】
環状及び脂環式エーテル、たとえば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;アルファ-セドレネポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-Triメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン
【0056】
環状及び大環状ケトン、たとえば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペントen-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノン
【0057】
脂環式アルデヒド、我々はこれに、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドを参照させる
【0058】
脂環式ケトン、たとえば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-octaヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン
【0059】
環状アルコールのエステル、たとえば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカヒドロ-2-ナフチル;クロトン酸2-シクロペンチルシクロペンチル;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5,または酢酸6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5,またはプロピオン酸6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5,またはイソ酪酸6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5,または酢酸6-インデニル
【0060】
脂環式アルコールのエステル、たとえば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチル
【0061】
脂環式カルボン酸のエステル、たとえば、アリル-3-シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;cis-及びtrans-メチルジヒドロファスモネート;cis-及びtrans-メチルファスモネート;メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート
【0062】
芳香脂肪族アルコール、たとえば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール
【0063】
芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、たとえば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸アルファ-トリクロロメチルベンジル;酢酸アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチル;酪酸アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジル
【0064】
芳香脂肪族エーテル、たとえば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル-1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロール アセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン
【0065】
芳香族及び芳香脂肪族のアルデヒド、たとえば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパノール;ヒドラトロプアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパノール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパノール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパノール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパノール;3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパノール;桂皮酸アルデヒド;アルファ-ブチル桂皮酸アルデヒド;アルファ-アミル桂皮酸アルデヒド;アルファ-ヘキシル桂皮酸アルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタンal;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパノール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパノール
【0066】
芳香族及び芳香脂肪族のケトン、たとえば、アセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトンナフトン
【0067】
芳香族及び芳香脂肪族のカルボン酸及びそれらのエステル、たとえば、安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;ベンジル-安息香酸;酢酸メチルフェニル;酢酸エチルフェニル;酢酸ゲラニルフェニル;酢酸フェニルエチル-フェニル;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;酢酸アリルフェノキシ;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;グリシド酸エチル-3-フェニル;グリシド酸エチル-3-メチル-3-フェニル
【0068】
窒素含有芳香族化合物、たとえば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン;桂皮酸ニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;メチルアントラニレート;メチル-N-メチルアントラニレート;メチルアントラニレートの7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパノールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのシッフ塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジン
【0069】
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、たとえば、エストラゴール;アネトール;ユーゲノール;ユーゲニルメチルエーテル;イソユーゲノール;イソユーゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;ベータ-ナフチルメチルエーテル;ベータ-ナフチルエチルエーテル;ベータ-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;酢酸ユーゲニル;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;酢酸p-クレシルフェニル
【0070】
複素環化合物、たとえば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン
【0071】
ラクトン、たとえば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカネオリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカノリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;1,5-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタデカノリド;cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート;エチレン-1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン
【0072】
及びそれらの混合物。
【発明を実施するための形態】
【0073】
適用形態
【0074】
本発明の第8の態様は、記載されている本発明の香料混合物を含有する香油、化粧剤、適用剤(application agent)、または洗浄剤及び洗剤に関する。
【0075】
適用剤は、香油、化粧剤または洗浄剤及び洗剤の群に該当しない、本明細書で言及される作用剤すべてを意味すると解釈される。
【0076】
本発明の第9の変更態様に倣って、これらの作用剤は作用剤に基づいて0.05~0.5重量%の量で本発明の香料混合物を含有する。従って、本発明は、作用剤に基づいて約0.05~約5重量%の量で、好ましくは約0.1~約3重量%、及び特に約0.5~2重量%の量で、一般的に記載すると式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物あるいは(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルを含有し、あるいは特に記載するとシトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルとの混合物中のメサコン酸ジエチルエステル、またはそれに相当するような上記の香料混合物を含有する、香料を入れたまたはよい香りがする製品を含む香油、化粧剤、適用剤と洗浄剤及び洗剤の双方に関する。
【0077】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、またはメサコン酸ジエチルエステルとシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合物を含有する香料混合物及び香油は溶媒で希釈されていないまたは希釈された液状形態にて香水に使用することができる。好適な溶媒には、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、等が挙げられる。
【0078】
これらの香料混合物は、最大90重量%、好ましくは約5~約70重量%、特に約10~約50重量%、及び特に好ましくは約15~約25重量%の前記溶媒を含有してもよい。
【0079】
一部の適用については、製品における香料の微細分布及び適用の間での制御された放出を確実にするキャリア上に吸着させた式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または好ましくは、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、またはメサコン酸ジエチルエステルとシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合物を含有する香油(香料混合物)を使用することも有利である。そのようなキャリアは、たとえば、軽質硫酸塩、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、発泡コンクリート等のような多孔質無機材料、または、たとえば、材木、セルロース系材料、糖またはたとえば、PVP、酢酸ポリビニルもしくはポリウレタンのようなプラスチックのような有機材料であってもよい。
【0080】
他の適用については、本発明の香油または香料混合物を使用して、マイクロカプセル化させ、または噴霧乾燥させ、封入複合体または押出製品(extrusion product)として、香料を入れられる(予備的)製品にこの形態で加えることが有利である。
【0081】
場合によっては、そのような改良された香油または香料混合物の特性は、好適物質によるいわゆるコーティングによってさらに最適化され、たとえば、好ましくはポリビニルアルコールのようなワックス様プラスチックを使用して、香料のさらに標的化された放出を期待することができる。
【0082】
本発明の香油または香料混合物のマイクロカプセル化は、たとえば、ポリウレタン様物質または軟質ゼラチンのようなカプセル材を用いた、いわゆるコアセルベーション過程によって達成することができる。噴霧乾燥させた香油は、たとえば、修飾デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物ゴムをキャリアとして用いて香油を含有するエマルションまたは分散液を噴霧乾燥させることによって製造することができる。封入複合体は、香油とシクロデキストリンまたは尿素誘導体との分散液を好適な溶媒、たとえば、水に加えることによって調製することができる。押出製品は、香油を好適な蝋様物質と融合させることにより、及び必要に応じて、好適な溶媒、たとえば、イソプロピルアルコールにおける押出しとその後の固化によって得ることができる。
【0083】
化粧剤及びボディケア製品
【0084】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物,または好ましくは、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、またはメサコン酸ジエチルエステルとシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合物に加えて、本発明に係る化粧剤及びボディケア製品は以下のように製剤化することができ;これらの化合物または混合物を含有する香料混合物は、他の典型的な補助剤及び添加剤、たとえば、以下にリストにした穏和な界面活性剤、油体、乳化剤、真珠光沢のあるワックス、稠度増強剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、UV光保護因子、保湿剤、生体活性成分、抗酸化剤、脱臭剤、制汗剤、フケ防止剤、成膜剤、膨潤剤、防虫剤、セルフタンニング剤、チロシン阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、保存剤、香油、染料、等を含有する。用語「化粧剤」、「ボディケア製品」及び「香料入り物品」は互いに同意語として使用され、製品はすべて知覚的有効量の式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または好ましくは、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、またはメサコン酸ジエチルエステルとシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合物またはそのようなジエステルを含有する芳香混合物を含有することだけを前提とする。好ましい添加剤は以下でリストにされている。
【0085】
界面活性剤:
表面活性物質として、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び/または両性または双性の界面活性剤が使用されてもよく、作用剤におけるその比率は普通、約1~70、好ましくは5~50、及び特に10~30重量%である。アニオン性界面活性剤の典型例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルカンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキルエーテルスルホン酸、グリセロールエーテルスルホン酸、α-メチルエステルスルホン酸及びスルホ脂肪酸、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、グリセロールエーテル硫酸、脂肪酸エーテル硫酸、ヒドロキシ混合エーテル硫酸、モノグリセリド(エーテル)硫酸、脂肪酸アミド(エーテル)硫酸、モノ-及びジアルキルスルホコハク酸、モノ-及びジアルキルスルホスクシンアミド酸、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸及びそれらの塩、脂肪酸イソチオン酸、脂肪酸アクロシン酸、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸、たとえば、アシル乳酸塩、アシル酒石酸塩、アシルグルタミン酸塩及びアシルアスパラギン酸塩、アルキルオリゴグルコシド硫酸塩、タンパク質脂肪酸縮合物(特にコムギに基づく植物製品)及びアルキル(エーテル)リン酸である。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有するならば、これらは従来の、しかし、好ましくは狭められた相同分布を有してもよい。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、任意で部分酸化されたアルキル/アルケニルオリゴグリコシドまたはグルコロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特にコムギに基づく植物製品)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート及びアミン酸化物である。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有するならば、これらは従来の、しかし、好ましくは狭められた相同分布を有してもよい。カチオン性界面活性剤の典型例は、四級アンモニウム化合物、たとえば、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム、及びエステルクワット、特に、四級化された脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。両性または双性の界面活性剤の典型例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオン酸、アミノグリシン酸、イミダゾリニウムベタイン及びスルホベタインである。言及されている界面活性剤は専ら既知の化合物である。特に好適な穏和な、すなわち、特に皮膚に適合性の界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコール硫酸エステル、モノグリセリド硫酸塩、スルホコハク酸モノアルキル及び/またはジアルキル、脂肪酸コメチオン酸塩、脂肪酸アルコシン酸塩、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタミン酸塩、スルホン酸α-オレフィン、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンフォアセタール及び/またはタンパク質脂肪酸縮合物、好ましくはコムギタンパク質に基づく後者である。
【0086】
油体:
たとえば、6~18、好ましくは8~10の炭素原子を持つ脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C-C22脂肪酸の直鎖または分岐鎖のC-C22脂肪アルコールとのエステル、または分岐鎖C-C13カルボン酸の直鎖または分岐鎖のC-C22脂肪アルコールとのエステルたとえば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ミベヘン酸リスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル及びエルカ酸エルシル。加えて、直鎖C-C22脂肪酸の分岐鎖アルコールとのエステル、特に、2-エチルヘキサノール、C18-C38アルキルヒドロキシカルボン酸の直鎖または分岐鎖C-C22脂肪アルコールとのエステル、特に、リンゴ酸ジオクチル、直鎖及び/または分岐鎖脂肪酸の多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール、二量体ジオールまたは三量体トリオール)及び/またはゲルベアルコールとのエステル、C-C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C-C18脂肪酸に基づく液状モノ-/ジ-/トリグリセリド混合物、C-C22脂肪アルコール及び/またはゲルベアルコールの芳香族カルボン酸、特に、安息香酸とのエステル、C-C12ジカルボン酸の1~22炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコールまたは2~10炭素原子及び2~6のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖1級アルコール、置換されたシクロヘキサン、直鎖及び分岐鎖C-C22脂肪アルコール炭酸、たとえば、ジカプリリル炭酸(Cetiol(登録商標)CC)、6~18、好ましくは8~10の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベ炭酸、安息香酸の直鎖及び/または分岐鎖C-C22アルコールとのエステル(たとえば、Finsolv(登録商標)TN)、直鎖または分岐鎖、対称のまたは非対称のアルキル基当たり6~22の炭素原子を有するジアルキルエーテル、たとえば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ポリオールとのエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、珪素-メチコン型等)及び/または脂肪族またはナフテン炭化水素、たとえば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン。
【0087】
乳化剤:
たとえば、以下の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤は乳化剤として使用することができる:
・2~30モルの酸化エチレン及び/または0~5モルの酸化プロピレンの8~22の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコールへの、12~22の炭素原子を有する脂肪酸への、アルキル基にて8~15の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、及びアルキルラジカルにて8~22の炭素原子を有するアルキルアミンへの付加生成物;
・アルキル/アルケニルラジカルにて8~22の炭素原子を有するアルキル及び/またはアルケニルオリゴグリコシド及びそれらのエトキシ化類似体;
・ヒマシ油及び/または硬化ヒマシ油に対する1~15モルの酸化エチレンの付加生成物;
・ヒマシ油及び/または硬化ヒマシ油に対する15~60モルの酸化エチレンの付加生成物;
・グリセロール及び/またはソルビタンの、12~22の炭素原子を有する不飽和、直鎖または飽和、分岐鎖の脂肪酸及び/または3~18の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステル、及び1~30モルの酸化エチレンとのそれらの付加物;
・ポリグリセロール(平均自己縮合度2~8)、ポリエチレングリコール(分子量400~5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、糖アルコール(たとえば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(たとえば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)及びポリグルコシド(たとえば、B.セルロース)の、12~22の炭素原子を有する飽和及び/または不飽和、直鎖または分岐鎖の脂肪酸及び/または3~18の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステル、及び1~30モルの酸化エチレンとのそれらの付加物;
・ペンタエリスリトールと脂肪酸とクエン酸と脂肪アルコールとの混合エステル及び/または6~22の炭素原子を有する脂肪酸とメチルグルコースとポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールとの混合エステル;
・モノ-、ジ-及びトリ-アルキルリン酸、と同様にモノ-、ジ-及び/またはトリ-PEG-アルキルリン酸及びそれらの塩;
・ウールワックスアルコール;
・ポリシロキサン-ポリアルキルポリエーテルコポリマーまたは相当する誘導体;
・ブロックコポリマー、たとえば、ポリエチレングリコール-30ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、たとえば、GoodrichのPemulenタイプ(TR-1、TR-2)またはCognisのCosmedia(登録商標)SP;
・ポリアルキレングリコール、ならびに
・炭酸グリセリン。
【0088】
特に好適な乳化剤は以下でさらに詳細に説明されている。
【0089】
アルコキシル化物:
酸化エチレン及び/または酸化プロピレンの脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールまたはヒマシ油に対する付加生成物は既知の市販の製品である。これらは、その平均アルコキシル化度が酸化エチレン及び/または酸化プロピレンと付加反応が行われる基質との量の比に相当する均質な混合物である。酸化エチレンのグリセロールに対する付加生成物のC12/18脂肪酸モノ-及びジ-エステルは化粧品用のリファットニング剤として知られる。
【0090】
アルキル及び/またはアルケニルオリゴグリコシド:
アルキル及び/またはアルケニルオリゴグリコシド、それらの調製及び使用は最先端技術である。それらは、特に、グルコースまたはオリゴ糖を8~18の炭素原子を有する1級アルコールと反応させることによって製造される。グリコシド基に関して、環状糖基が脂肪アルコールにグリコシド結合しているモノグリコシド、及び好ましくは約8までのオリゴ化度を有するオリゴマーグリコシドの双方が好適である。オリゴ化度はそのような工業製品に普通である同族体分布に基づく統計的平均値である。
【0091】
部分グリセリド:
好適な部分グリセリドの典型例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシンオレイン酸ジグリセリド、リシンオレイン酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、シトロンジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド及びそれらの工業系混合物であり、それらは製造工程に由来する少量のトリグリセリドを含有してもよい。言及されている1~30、好ましくは5~10モルの酸化エチレンの部分グリセリドに対する付加生成物も好適である。
【0092】
ソルビタンエステル:
使用されているソルビタンエステルはモノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン及びジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノエルカ酸ソルビタン、セスキエルカ酸ソルビタン、ソルビタンジアンスケート(dianthucate)、トリオエルカ酸ソルビタン、モノリシンオレイン酸ソルビタン、セスキリシンオレイン酸ソルビタン、ジリシンオレイン酸ソルビタン、トリリシンオレイン酸ソルビタン、モノヒドロキシステアリン酸ソルビタン、セスキヒドロキシステアリン酸ソルビタン、ジヒドロキシステアリン酸ソルビタン、トリヒドロキシステアリン酸ソルビタン、モノ酒石酸ソルビタン、セスキ酒石酸ソルビタン、二酒石酸ソルビタン、二酒石酸ソルビタン、モノクエン酸ソルビタン、セスキクエン酸ソルビタン、ジクエン酸ソルビタン、トリクエン酸ソルビタン、モノマレイン酸ソルビタン、セスキマレイン酸ソルビタン、ジマレイン酸ソルビタン、トリマレイン酸ソルビタン及びそれらの工業系混合物である。好適なのはまた、1~30、好ましくは5~10モルの酸化エチレンの言及されているソルビタンエステルに対する付加生成物である。
【0093】
ポリグリセロールエステル:
好適なポリグリセロールエステルの典型例は、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(Dehymuls(登録商標)PGPH)、ジイソステアリン酸ポリグリセロール-3(Lameform(登録商標)TGI)、イソステアリン酸ポリグリセリル-4(Isolan(登録商標)GI 34)、オレイン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ジイソステアロイルポリグリセリル-3(Isolan(登録商標)PDI)、メチルグルコースジステアリン酸ポリグリセリル-3(Tego Care(登録商標)450)、蜜蝋ポリグリセリル-3(Cera Bellina(登録商標))、カプリン酸ポリグリセリル-4(Polyグリセロール Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3セチルエーテル(Chimexane(登録商標)NL)、ジステアリン酸ポリグリセリル-3(Cremophor(登録商標)GS 32)及びポリリシンオレイン酸ポリグリセリル(Admul(登録商標)WOL 1403)ジリンゴ酸イソステアリン酸ポリグリセリル及びそれらの混合物である。さらに好適なポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールの、任意で1~30モルの酸化エチレンと反応したラウリン酸、ココナッツ脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、等とのモノ-、ジ-及びトリ-エステルである。
【0094】
アニオン性乳化剤:
典型的なアニオン性乳化剤は、12~22の炭素原子を有する脂肪族脂肪酸、たとえば、アルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、及び12~22の炭素原子を有するジカルボン酸、たとえば、アゼライン酸またはセバシン酸である。
【0095】
両性及びカチオン性の乳化剤:
さらに、双性界面活性剤も乳化剤として使用することができる。双性界面活性剤は、分子にて少なくとも1つの四級アンモニウム基と少なくとも1つのカルボン酸塩と1つのスルホン酸基を有する表面活性化合物である。特に好適な双性界面活性剤は、いわゆるベタイン類、たとえば、それぞれアルキル基またはアシル基にて8~18の炭素原子を持つグリシン酸N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム、たとえば、グリシン酸ココスアルキルジメチルアンモニウム、グリシン酸N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム、たとえば、グリシン酸ココスアシルアミノプロピルジメチルアンモニウム、及び2-アルキル-3-カルボキシルメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、と同様にグリシン酸ココスアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルである。コカミドプロピルベタイン(CTFA)として知られる脂肪酸アミド誘導体は特に好ましい。両性界面活性剤も好適な乳化剤である。両性界面活性剤は、分子におけるC8/18アルキル基またはアシル基に加えて少なくとも1つの遊離のアミノ基と少なくとも1つの-COOH-基または-SOH-基を含有し、分子内塩を形成することができる表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基にて約8~18の炭素原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココスアルキルアミノプロピオン酸、ココスアシルアミノエチルアミノプロピオン酸及びC12/18-アシルサルコシンである。最終的に、カチオン性界面活性剤も乳化剤と見なすことができ、それによってエステルクワット型のもの、好ましくはメチル四級化した二脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましい。
【0096】
脂肪及び蝋状物質:
脂肪の典型例は、蝋状物質が、天然蝋、たとえば、キャンデリラ蝋、カルナウバ蝋、木蝋、アフリカハネガヤ(esparto grass)ワックス、コルクワックス、グアムルマ(guaruma)ワックス、コメヌカ油蝋、サトウキビ蝋、ウリキュリー(ouricury)蝋、モンタン蝋、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(ウールワックス)、さび脂肪、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロワックス;化学的に修飾された蝋状物質(硬蝋)、たとえば、モンタンエステルワックス、サソールワックス、水素添加ホホバワックス、及び合成ワックス、たとえば、当該のポリアルキレンワックスやポリエチレングリコールワックスに由来するので、グリセリドであり、すなわち、固形または液状の植物産物または動物産物である。脂肪に加えて、脂肪に似た物質、たとえば、レシチン及びリン脂質も添加剤として使用することができる。レシチンは、エステル化によって脂肪酸、グリセロール、リン酸及びコリンから形成されるそれらグリセロリン脂質である。従って、レシチンは科学界ではホスファチジルコリン(PC)と呼ばれることが多い。天然のレシチンの例は、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体であるホスファチジル酸としても知られるセファリンである。一方、リン脂質は普通、一般に脂肪として分類されるグリセリンとのリン酸のモノエステル及び好ましくはジエステル(グリセリンリン酸)であると理解されている。スフィンゴシン及びスフィンゴ脂質も考えられる。
【0097】
真珠光沢のある蝋状物質:
真珠光沢のある蝋状物質、たとえば、アルキレングリコールエステル、特に、エチレングリコージステアリン酸;脂肪酸アルカノールアミド、特に、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特に、ステアリン酸モノグリセリド;多価の、任意でヒドロキシ置換されたカルボン酸の6~22の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に、酒石酸の長鎖エステル;脂肪性物質、たとえば、合計で少なくとも24の炭素原子を有する脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテル及び脂肪炭酸、特にラウロン及びジステアリルエーテル;脂肪酸、たとえば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12~22の炭素原子を有するオレフィンエポキシドの開環生成物、12~22の炭素原子を有する脂肪アルコール及び/または2~15の炭素原子を有し、且つ2~10のヒドロキシル基を有するポリオールとの開環生成物、及びそれらの混合物が使用されてもよい。
【0098】
冷却剤:
冷却剤は皮膚にて冷感を作り出す化合物である。原則として、これらは、基本的なメントール構造自体に加えて、たとえば、メントールメチルエーテル、メントングリセリルアセタール(FEMA GRAS3807)、メントングリセリルケタール(FEMA GRAS3808)、乳酸メンチル(FEMA GRAS3748)、炭酸メントールエチレングリコール(FEMA GRAS3805)、炭酸メントールプロピレングリコール(FEMA GRAS3806)、メンチル-N-エチルオキサメート、コハク酸モノメンチル(FEMA GRAS3810)、グルタミン酸モノメンチル(FEMA GRAS4006)、メントキシ-1,2-プロパンジオール(FEMA GRAS3784)、メントキシ-2-メチル-1,2-プロパンジオール(FEMA GRAS3849)及びメンタン-カルボン酸エステル及びアミドWS-3、WS-4、WS-5、WS-12、WS-14及びWS-30及びそれらの混合物から成る群から選択されるメントール化合物である。FEMAは「香味料及び抽出物製造協会」を表し、GRASは「安全だと広く考えられている」として定義される。FEMA GRASの指定は、こうしてラベルを付けられた物質が常法によって調べられ、毒性上無害であるとみなされていることを意味する。
【0099】
これらの物質の第1の重要な代表例はコハク酸モノメンチル(FEMA GRAS3810)である。コハク酸モノメンチル及び類似のグルタル酸モノメンチルは双方とも、ジカルボン酸及びポリカルボン酸に基づくモノメンチルエステルの重要な代表例である:
【化5】
【0100】
これらの物質の適用の例は、広報WO2003043431(Unilever)またはEP1332772A1(IFF)にて見いだすことができる。
【0101】
本発明という意味で好ましいメントール化合物の次に重要な群には、メントール及び、たとえば、グリコール、グリセロールのようなポリオールまたは炭水化物の炭酸エステル、たとえば、炭酸メントールエチレングリコール(FEMA GRAS3805=Frescolat(登録商標)MGC)、炭酸メントールプロピレングリコール(FEMA GRAS3784=Frescolat(登録商標)MPC)、炭酸メントール2-メチル-1,2-プロパンジオール(FEMA GRAS3849)または相当する糖誘導体が挙げられる。メントール化合物、乳酸メンチル(FEMA GRAS3748= Frescolat(登録商標)ML)、及び特に、メントングリセリルアセタール(FEMA GRAS3807)または名称Frescolat(登録商標)MGAのもとで市販されているメントングリセリルケタール(FEMA GRAS3808)も好ましい。出願者が名称Frescolat(登録商標)MGA、Frescolat(登録商標)ML、Frecolat(登録商標)MGC及びFrescolat(登録商標)MPCのもとで販売しているメントングリセリルアセタール/ケタール及び乳酸メンチルと同様に炭酸メントールエチレングリコール及び炭酸メントールプロピレングリコールはこれらの物質の間で特に有利であることが判明している。
【0102】
前世紀の70年代に、3位でC-C結合を有し、その多数の代表例も使用することができるメントール化合物が初めて開発された。これらの物質は一般にWS型と呼ばれる。基本体は、ヒドロキシル基がカルボキシル基によって置き換えられる(WS-1)メントール誘導体である。他のWS型、たとえば、好ましい種、WS-3、WS-4、WS-5、WS-12、WS-14及びWS-30はこの構造に由来する。
【0103】
稠度増強剤及び増粘剤:
稠度増強剤は、12~22及び好ましくは16~18の炭素原子を持つ1級脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、及びまた、部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質のアルキルオリゴグルコシド及び/または同じ鎖長の脂肪酸N-メチルグルカミド及び/またはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアリン酸との組み合わせが好ましい。好適な増粘剤には、アエロジル型(親水性シリカ)、多糖類、特に、キサンタンゴム、グアーグアー、寒天・寒天、アルギン酸塩及びチロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、と同様に、脂肪酸の高分子量ポリエチレングリコールモノエステル及びジエステル、ポリアクリレート(たとえば、GoodrichによるCarbopoles(登録商標)及びPemulen型;SigmaによるSynthalenes(登録商標);KelcoによるKeltrol型;SeppicによるSepigel型;Allied ColloidsによるSalcare型)、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンが挙げられる。たとえば、Bentone(登録商標)Gel VS-5PC(Rheox)のようなベントナイト、シクロペンタシロキサンとジステアルジモニウムヘクトライトと炭酸プロピレンとの混合物も特に効果的であることが判明している。他の考えられる界面活性剤には、エトキシ化脂肪酸グリセリド、脂肪酸の、たとえば、ペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパンのようなポリオールとのエステル、狭められた同族分布を持つ脂肪アルコールのエトキシ化物またはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、たとえば、塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムのような電解質が挙げられる。
【0104】
過脂肪剤及び安定剤:
たとえば、ラノリン及びレシチンと同様にポリエトキシ化されたまたはアシル化されたラノリン及びレシチンの誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド及び脂肪酸アルカノールアミドのような界面活性剤は過脂肪剤として使用することができ、後者は泡状安定剤としても役立つ。
【0105】
たとえば、ステアリン酸またはリシノレイン酸マグネシウム、アルミニウム及び/または亜鉛のような脂肪酸の金属塩は安定剤として使用することができる。
【0106】
ポリマー:
好適なカチオン性ポリマーは、たとえば、カチオン性セルロース誘導体、たとえば、名称Polymer JR 400(登録商標)のもとでAmercholから入手できる四級化されたヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマー、四級化されたビニルピロリドン/ビニルイミダゾールのポリマー、たとえば、Luviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンとの縮合生成物、四級化されたコラーゲンポリペプチド、たとえば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)、四級化されたコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、たとえば、アモジメチコン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとのコポリマー(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸の塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマー(Merquat(登録商標)550/Chemv鉄)、ポリアミノポリアミド及びその架橋された水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体、たとえば、四級化されたキトサン、ジハロゲノアルキレンの任意で微細結晶分布した縮合生成物、たとえば、ビスジアルキルアミン、たとえば、ビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパンを伴ったジブロモブタン、カチオン性グアーゴム、たとえば、CelaneseのJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16、四級化されたアンモニウム塩ポリマー、たとえば、MiranolのMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1である。
【0107】
アニオン性、双性、両性及び非イオン性のポリマーには、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びそれらのエステル、ポリオールと架橋された非架橋のポリアクリル酸、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリル酸コポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリル酸/tert-ブチルアミノエチルメタクリル酸/2-ヒドロキシプロピルメタクリル酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリル酸/ビニルカプロラクタムターポリマー及び任意で誘導体化されたセルロースエーテル及びシリコーンが挙げられる。
【0108】
シリコーン化合物:
好適なシリコーン化合物は、たとえば、室温で液体または樹脂状であってもよいジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状のシリコーン、と同様にアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシド及び/またはアルキルで修飾されたシリコーン化合物である。200~300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を持つジメチコンの水素添加珪酸塩との混合物であるシメチコンも好適である。
【0109】
UV光保護因子:
UV光保護因子には、たとえば、室温で液体または結晶であり、紫外線を吸収することができ、且つ吸収されたエネルギーを長波放射線、たとえば、熱の形態で放出することができる有機物質(光保護フィルター)が挙げられる。UV光保護因子は普通、0.1~5、好ましくは0.2~1重量%の量で存在する。UVBフィルターは油溶性または水溶性であることができる。言及される油溶性の物質は、たとえば、
・3-ベンジリデンショウノウまたは3-ベンジリデンノルショウノウ及びその誘導体、たとえば、3-(4-メチルベンジリデン)ショウノウ;
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸-2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸-2-オクチルエステル及び4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
・桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン);
・サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸4-イソ-プロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル;
・ベンゾフェノン誘導体、好ましく2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシルエステル;
・トリアジン誘導体、たとえば、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチル-1’-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン及びオクチルトリアゾンまたはジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB);
・プロパン-1,3-ジオン、たとえば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
・ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体である。
【0110】
好適な水溶性物質は、
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカアンモニウム塩;
・1H-ベンズイミダゾール-4,6-diスルホン酸、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス-,ジソジウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾ-フェノン-5-スルホン酸及びその塩;
・3-ベンジリデンショウノウのスルホン酸誘導体、たとえば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸及び2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸及びそれらの塩である。
【0111】
典型的なUV-Aフィルターは、ベンゾイルメタン誘導体、たとえば、1-(4’-tert-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1、3-ジオン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)、1-フェニル-3-(4’-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3-ジオン及びエナミン化合物である。UV-A及びUV-Bのフィルターは当然、混合物でも使用することができる。特に有益な組み合わせは、桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル及び/または4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル及び/または4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステルとの組み合わせでのベンゾイルメタンの誘導体、たとえば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)及び2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)から成る。そのような組み合わせは、水溶性フィルター、たとえば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びそのアルカリ、アルカリ土類、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカアンモニウムの塩と有利に組み合わせられる。
【0112】
上記で言及された可溶性物質に加えて、不溶性の光保護色素、すなわち、微細に分散させた金属酸化物または金属塩もこの目的に使用することができる。好適な金属酸化物の例は特に、酸化亜鉛及び二酸化チタン及びまた鉄、ジルコニウム、珪素、マンガン、アルミニウム及びセリウムの酸化物、と同様にそれらの混合物である。珪酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛を塩として使用することができる。酸化物及び塩は、肌の手入れ及び皮膚の保護のエマルション及び装飾化粧品のための色素の形態で使用される。粒子の平均直径は100nm未満、好ましくは5~50nmの間、及び特に15~30nmの間であるべきである。それらは球形を有してもよいが、楕円形または球形とは異なる形状を持つ粒子も使用されてもよい。色素は表面処理することもでき、すなわち、親水化または疎水化することもできる。典型例は、コーティングした二酸化チタン、たとえば、二酸化チタンT805(Degussa)またはEusolex(登録商標)T2000、Eusolex(登録商標)T、Eusolex(登録商標)T-ECO、Eusolex(登録商標)T-S、Eusolex(登録商標)T-Aqua、Eusolex(登録商標)T-45D(すべてMerck)、Uvinul TiO(BASF)である。シリコーン及び特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンは疎水性コーティング剤と見なすことができる。いわゆるマイクロ色素またはナノ色素は好ましくは日焼け止め剤にて使用される。好ましくは、微粉化した酸化亜鉛、たとえば、Z-COTE(登録商標)またはZ-COTE HP1(登録商標)が使用される。
【0113】
保湿剤:
保湿剤は、組成物の感覚特性をさらに最適化し、皮膚の含水量を調節するのに役立つ。同時に、特にエマルションの場合、本発明に従った調製物の低温安定性を高める。保湿剤は普通、0.1~15重量%、好ましくは1~10重量%、及び特に5~10重量%の量で存在する。
【0114】
本発明に係る好適な製品には、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸及びその塩、ラクチトール、尿素及び尿素誘導体、尿酸、グルコサミン、クレアチニン、コラーゲンの切断産物、キトサンまたはキトサン塩/誘導体、及び特に、ポリオール及びポリオール誘導体(たとえば、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、たとえば、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20)糖及び糖誘導体(すなわち、フルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビトールシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸及びそれらの塩)、エトキシ化ソルビトール(Sorbeth-6、Sorbeth-20、Sorbeth-30、Sorbeth-40)、蜂蜜及び硬化蜂蜜、硬化デンプン加水分解物及び硬化コムギタンパク質とPEG-20酢酸コポリマーの混合物が挙げられる。本発明によれば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン及びブチレングリコールが好ましくは保湿剤として使用される。
【0115】
生体作用剤及び抗酸化剤:
生体作用剤には、トコフェロール、トコフェロール酢酸、トコフェロールパルミチン酸、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸及びそれらの断片化産物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、偽セラミド、精油、植物抽出物、たとえば、スモモ抽出物、バンバラナッツ抽出物及びビタミン複合体が挙げられる。
抗酸化剤は、紫外線が皮膚に浸透すると引き起こされる光化学的な反応連鎖を遮断する。典型例は、アミノ酸(たとえばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びそれらの誘導体、イミダゾール(たとえば、ウロカニン酸)及びそれらの誘導体、ペプチド、たとえば、D、L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びそれらの誘導体(たとえば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(たとえば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(たとえば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(たとえば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びそれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオン酸、ジステアリルチオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)及びスルホオキシミン化合物(たとえば、ブチオニンスルホオキシミン、ホモシステインスルホオキシミン、ブチオニンスルホン、非常に低い耐性用量(たとえば、pmol~μmol/kg)でのペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホオキシミン)、さらに(金属)キレーター(たとえば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(たとえば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体(たとえば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びその誘導体、ビタミンC及び誘導体(たとえば、パルミチン酸アスコルビル、Mgリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(たとえば、ビタミンE 酢酸)、ビタミンA及び誘導体(ビタミン-A-パルミチン酸)、と同様に安息香酸樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアジャック(guajac)樹脂酸、ノルジヒドログアジャル(guajaretic)酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びそれらの誘導体、マンノース及びその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛及びそれらの誘導体(たとえば、ZnO、ZnSO)、セレニウム及びその誘導体(たとえば、セレニウム-メチオニン)、スチルベン及びその誘導体(たとえば、酸化スチルベン、酸化trans-スチルベン)ならびに本発明に好適である活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)である。
【0116】
脱臭剤及び細菌抑制剤:
化粧用脱臭剤(脱臭剤)は体臭を弱め、隠し、または除去する。体臭はアポクリン汗における皮膚細菌の作用が原因で生じ、不快な臭いのする分解産物を形成する。従って、脱臭剤は、細菌抑制剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気隠蔽剤として作用する有効成分を含有する。
【0117】
抗菌剤:
グラム陽性細菌に対して有効な物質、たとえば、4-ヒドロキシ安息香酸及びその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチル-フェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、ブチルカルバミン酸3-ヨード-2-プロピニル、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗菌香料、チモール、タイム油、ユーゲノール、丁子油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、モノカプリン酸グリセロール、モノカプリル酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール(GML)、モノカプリン酸ジグリセロール(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド、たとえば、サリチル酸n-オクチルアミドまたはサリチル酸n-デシルアミドはすべて細菌抑制剤として好適である。
【0118】
酵素阻害剤:
たとえば、エステラーゼ阻害剤は酵素阻害剤として好適である。これらは好ましくは、クエン酸トリアルキル、たとえば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル及び特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT)である。その物質は酵素活性を阻害するので臭気形成を低減する。エステラーゼ阻害剤と見なすことができる他の物質は、ステロール硫酸またはリン酸、たとえば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロール硫酸またはリン酸、ジカルボン酸及びそれらのエステル、たとえば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそれらのエステル、たとえば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエステル、及び亜鉛グリシン酸である。
【0119】
臭気吸収剤:
臭気吸収剤は臭気形成化合物を吸収し、大部分保持する物質である。それらは個々の成分の部分圧を下げるのでその伝播速度も低下させる。芳香が影響を受けないままであることが重要である。臭気吸収剤は細菌に対して有効ではない。それらは、たとえば、主成分としてのリシノール酸の亜鉛錯塩、または、たとえば、ラブダナムもしくはエゴノキの抽出物もしくは特定のアビエチン酸誘導体のような、「固定剤」として専門家に知られる特殊な大部分無臭の香料を含有する。香料または香油は、臭気隠蔽剤としてのその機能に加えて、各芳香に脱臭剤を与える臭気隠蔽剤として作用する。香油には、たとえば、天然及び合成の香料の混合物が含まれる。天然の香料は、花、茎及び葉、果実、果皮、根、木材、ハーブ及び草、針葉及び小枝の抽出物、と同様に松脂及び香膏である。動物原料、たとえば、麝香ネコ及び海狸香も検討される。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素の型の生成物である。エステル型の香料化合物は、たとえば、酢酸ベンジル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、スチルアリルプロピオネート及びベンジルサリシレートである。エーテルには、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドには、8~18の炭素原子を持つ直鎖アルカナール、シトラル、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトノレラル、リリアル及びブルゲオナールが挙げられ、ケトンには、たとえば、ヨノン及びメチルセドリルケトン、アルコールアネトール、シトロネロール、ユーゲノール、イソユーゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが挙げられ、炭化水素は主としてテルペン及びバルサムである。しかしながら、魅力的な芳香を一緒に生じる様々な香料の混合物を使用することが好ましい。ほとんど芳香成分として使用される揮発性の低い精油、たとえば、セージ油、カモミール油、丁子油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラブダナム油及びラバンジン油も香油として好適である。単独でのまたは混合物でのベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラル、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシル桂皮アルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、BOISAMBRENE FORTE、アンブロキシド、インドール、ヘジオン、サンデリセ、クエン油、タンジェリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレートが好ましい、―単独でのまたは混合物でのシクロベルタール、ラバンジン油、マスカットサージ油、β-ダマスコン、ゼラニウム油Bourbon、シクロヘキシルサリチル酸、Vertofix Coeur、Iso-E-Super、Fixolide NP、Evernyl、Iraldeinガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、酢酸ベンジル、ローズオキシド、Romilat、Irotyl及びFloramat。
【0120】
発汗抑制剤:
発汗抑制剤(制汗剤)はエクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことによって発汗を軽減するので、腋下の湿り及び体臭を抑える。制汗剤の水性または無水の製剤は通常、以下の成分を含有する:
・収斂剤、
・油成分、
・非イオン性乳化剤、
・共乳化剤、
・稠度増強剤、
・たとえば、増粘剤または錯化剤のような賦形剤及び/または
・たとえば、エタノール、プロピレングリコール及び/またはグリセロールのような非水性溶媒。
【0121】
最も好適な収斂性の制汗剤の有効成分は、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。そのような好適な発汗抑制活性物質は、たとえば、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシルアルミニウム、ジクロルヒドロキシルアルミニウム、セスキクロロヒドロキシルアルミニウム及びたとえば、プロピレングリコール-1,2.を伴ったそれらの錯体化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、塩化酒石酸アルミニウム、トリクロロヒドロキシルアルミニウムジルコニウム、テトラクロロヒドロキシルアルミニウムジルコニウム、ペンタクロロヒドロキシルアルミニウムジルコニウム及びたとえば、グリシンのようなアミノ酸を伴ったそれらの錯体化合物である。加えて、制汗剤は少量の油溶性及び水溶性の補助剤を含有してもよい。そのような油溶性補助剤は、たとえば、
・抗炎症性の、皮膚保護用の、または芳香性の精油、
・合成皮膚保護有効成分及び/または
・油溶性香油であってもよい。
【0122】
一般的な水溶性添加剤は、たとえば、保存剤、水溶性香料、pH値調整剤、たとえば、緩衝液混合物、水溶性増粘剤、たとえば、水溶性の天然のまたは合成のポリマー、たとえば、キサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子酸化ポリエチレンである。
【0123】
成膜剤:
一般的な成膜剤には、キトサン、微細結晶性キトサン、四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸シリーズのポリマー、四級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸またはその塩及び類似の化合物が挙げられる。
【0124】
フケ防止有効成分:
フケ防止有効成分には、ピロクトンオラミン(1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(登録商標)(Climbazole)、Ketoconazol(登録商標)、(4-アセチル-1-{-4-[2-(2.4-ジクロロフェニル)r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、Ketoconazol、Elubiol、二硫化セレニウム、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレイン酸、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウタール蒸留物、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組み合わせで)、ウンデシレン酸モノエタノールアミドスルホコハク酸ナトリウム塩、Lamepon(登録商標)UD(タンパク質ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン及びマグネシウムピリチオン/硫酸マグネシウムジピリチオンが挙げられる。
【0125】
膨潤剤:
モントモリロナイト、粘土鉱物、Pemulen及びアルキル修飾したカルボポール型(Goodrich)は水性相のための膨潤剤として使用することができる。さらに好適なポリマー及び膨潤剤は、R.LochheadのCosm.Toil.108,95(1993)の概説に見いだすことができる。
【0126】
防虫剤:
N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはブチルアセチルアミノプロピオン酸エチルは防虫剤として使用されてもよい。ジヒドロキシアセトンはセルフ・タンニングに好適である。メラニンの形成を妨げ、且つ脱色剤で使用されるチロシン阻害剤には、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマル酸及びアスコルビン酸(ビタミンC)が挙げられる。
【0127】
口腔ケア及び歯科ケアの製品のための成分:
練り歯磨き剤または歯磨きクリーム剤は、水、増粘剤、保湿剤、研磨剤またはクリーニング粒子、界面活性剤、甘味剤、香味剤、脱臭剤、と同様に口腔疾患及び歯科疾患に対する作用物質のゲル状またはペースト状の調製物であると一般に理解されている。本発明に係る練り歯磨き剤は、たとえば、胡粉、リン酸二カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、珪酸アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、微粉化した合成樹脂、珪酸塩、酸化アルミニウム及び酸化アルミニウム三水和物のような一般的なクリーニング剤すべてを含有することができる。
【0128】
本発明の練り歯磨き剤に好ましくは好適なクリーニング粒子は、練り歯磨き剤の15~40重量%の量での上記の微粉化した胡粉、リン酸二カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、珪酸アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、微粉化した合成樹脂、珪酸塩、酸化アルミニウム及び酸化アルミニウム三水和物またはこれらクリーニング体の混合物である。保湿剤として、50重量%までの量での低分子量のポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトールまたはこれらの生成物の混合物が主に使用される。既知の増粘剤の間では、増粘する、微粉化されたゲルシリカ及びヒドロコロイド、たとえば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルピロリドン、高分子ポリエチレングリコール、植物ゴム、たとえば、トラガント、寒天-寒天、カラギーンモス、アラビアゴム、キサンタンゴム及びカルボキシビニルポリマー(たとえば、Carbopol(登録商標)型)が好適である。メントフランとメントール化合物との混合物に加えて、口腔及び歯科ケア製品は、表面活性物質、特に、好ましくは、アニオン性及び非イオン性の発泡性が高い界面活性剤、たとえば、上記ですでに言及された物質、しかし、特にアルキルエーテル硫酸塩、アルキルポリグルコシド及びそれらの混合物を含有することができる。
【0129】
他の一般的な練り歯磨き剤の添加剤は、
・保存剤及び抗微生物物質、たとえば、メチル、エチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゼンネート、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ブロモクロロフェン、サリチル酸フェニルエステル、チモール、等;
・歯石防止剤、たとえば、オルガノリン酸、たとえば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、1-ホスホノプロパン-1,2,3-トリカルボン酸及び、たとえば、US3,488,419、DE 2224430 A1及びDE 2343196 A1から知られる他のもの;
・他の虫歯抑制物質、たとえば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ;
・甘味剤、たとえば、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、スクロース、ラクトース、マルトース、フルクトースまたはApartam(登録商標)(L-アスパルチルL-フェニルアラニンメチルエステル)、Stivia抽出物またはそれらの甘味成分、特にレバウディオサイド;
・追加の香味剤、たとえば、ユーカリ油、アニス油、ウイキョウ油、カラウエー油、酢酸メチル、桂皮アルデヒド、アネトール、バニリン、チモール及びこれらと他の天然や合成の香味剤との混合物;
・顔料、たとえば、二酸化チタン;
・染料
・緩衝液物質、たとえば、1級、2級または3級のアルカリリン酸塩またはクエン酸/クエン酸ナトリウム;
・創傷治癒及び抗炎症の物質、たとえば、アラントイン、尿素、アズレン、カモミール活性成分及びアセチルサリチル酸誘導体。
【0130】
化粧品の好ましい製剤は、研磨剤、保湿剤、粘度調節剤、及び任意でさらなる通常の成分、及び0.5~2重量%の量でのメントフランとメントール化合物との混合物を含有する水性ペースト状分散物の形態での練り歯磨き剤である。
【0131】
洗口剤では、種々の程度の精油、乳化剤、収斂剤及び調色薬抽出物、歯石防止剤、抗菌添加剤、及び味覚修正剤の水性アルコール性溶液との組み合わせが容易に可能である。本発明の別の好ましい型は、0.5~2重量%の量でのメントフランとメントール化合物との混合物を含有する水溶液または水性アルコール性溶液の形態での洗口剤である。使用する前に希釈される洗口剤では、意図された希釈比率に従った高濃度で十分な効果を達成することができる。
【0132】
ヒドロトロープ:
たとえば、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールのようなヒドロトロープは流動挙動を改善するのにも使用することができ;これらの物質は大部分、上記に記載されているキャリアに相当する。ここで考慮されるポリオールは好ましくは2~15の炭素原子と少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。ポリオールはまた他の官能基、特にアミノ基も含有してもよく、または窒素で修飾されてもよい。典型例は、
・グリセリン;
・100~1,000ダルトンの平均分子量を持つ、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール及びポリエチレングリコールのようなアルキレングリコール;
・1.5~10の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、たとえば、40~50重量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキルラジカルにて1~8の炭素を持つもの、たとえば、メチルグルコシド及びブチルグルコシド;
・5~12の炭素原子を持つ糖アルコール、たとえば、ソルビトールまたはマンニトール;
・5~12の炭素原子を持つ糖、たとえば、グルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、たとえば、グルカミン;
・ジアルコールアミン、たとえば、ジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0133】
保存剤:
好適な保存剤には、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、と同様に名称Surfacine(登録商標)のもとで知られる銀錯体及び化粧品規制の付属文書6、パートA及びBでリストにされている他の物質のクラスが挙げられる。
【0134】
染料:
化粧品目的に好適な及びそれで認可されている物質は、たとえば、Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft,Verlag Chemie,Weinheimによって出版された出版物「Kosmetische Faerbemittel」,1984,p.81-106にてリストにされたような染料として使用されてもよい。例は、コチニール赤A(C.I.16255)、パテントブルーV(C.I.42051)、インジゴチン(C.I.73015)、クロロフィリン(C.I.75810)、キノリン黄(C.I.47005)、二酸化チタン(C.I.77891)、インダントロン青RS(C.I.69800)及びマダーレーキ(C.I.58000)である。ルミノールも発光染料として含有されてもよい。これらの染料は普通、全混合物に基づいて0.001~0.1重量%の濃度で使用される。
【0135】
賦形剤及び添加剤の総量は、作用剤に基づいて1~50、好ましくは5~40重量%であることができる。作用剤の調製は普通の低温または高温の工程によって行うことができ、好ましくは位相反転温度法が使用される。
【0136】
洗浄剤及び洗剤
【0137】
式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または好ましくは(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、またはメサコン酸ジエチルエステルとシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合物または本発明の意味の範囲内で本発明の芳香混合物を含有する洗浄剤及び洗剤(WSR剤と略記されている)は、粉末、顆粒、錠剤等としての固体形態であってもよいが、液体、ゲルまたはペーストの形態であってもよい。それらは好ましくは、特に繊維製品の手動及び自動双方の洗浄に好適な洗浄剤である。それらはまた、工業用または家庭用の洗浄剤または洗剤であってもよい。洗剤は、たとえば、硬質表面をきれいにするのにも使用することができる。それらは、たとえば、手動または自動の食器洗いに使用される食器洗い洗剤であってもよい。それらはまた、たとえば、家具表面、タイル、タイル、壁及び床の敷物のような硬質表面をきれいにするのに使用される一般的な工業用または家庭用のクリーナーであることもできる。食卓用食器類に加えて、他の硬質表面、特にガラス、セラミックス、プラスチックまたは金属で出来ているものも家庭及び仕事での硬質表面と見なすことができる。
【0138】
WSR剤は、他の市販の成分、たとえば、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白剤活性化因子、増粘剤、酵素、電解質、pH調節剤、着色剤及び芳香剤、発泡抑制剤、再付着防止剤、光学的光沢剤、灰色化抑制剤、防シワ剤、抗微生物剤、保存剤、抗酸化剤、帯電防止剤、UV吸収剤、重金属錯化剤、等を含有してもよい。これらの賦形剤は以下でさらに詳細に記載されている。
【0139】
界面活性剤:
非イオン性界面活性剤に加えて、アニオン性、カチオン性、両性及び/または非イオン性の界面活性剤及び分岐鎖アルキル硫酸も洗浄剤及び洗剤の製造にて界面活性剤として使用することができる。
【0140】
使用される非イオン性の界面活性剤は好ましくはアルコキシル化された、有利にはエトキシ化された、特に好ましくは8~18の炭素原子及びアルコールのモル当たり平均1~12モルの酸化エチレン(EO)を有する1級アルコールであり、それらは普通、オキソアルコールラジカルに存在するので、アルコールラジカルはメチル分岐した直鎖または好ましくは2位にあってもよく、または混合物にて直鎖ラジカルとメチル分岐したラジカルを含有してもよい。しかしながら、特に、12~18の炭素原子を持つネイティブ起源のアルコール、たとえば、ココナッツ、パーム、獣脂の脂肪またはオレイルアルコールの直鎖ラジカルを持ち、且つアルコールのモル当たり平均2~8のEOを持つアルコールエトキシレートが好ましい。好ましいエトキシ化されたアルコールには、たとえば、3のEO、4のEOまたは7のEOを伴ったC12-14のアルコール、7のEOを伴ったC9-11のアルコール、3のEO、5のEO、7のEOまたは8のEOを伴ったC13-5のアルコール、3のEO、5のEOまたは7のEOを伴ったC12-18のアルコール及びそれらの混合物、たとえば、3のEOを伴ったC12-4のアルコールと7のEOを伴ったC12-8のアルコールとの混合物が挙げられる。エトキシ化の述べられている程度は統計的平均であり、それは特定の生成物について整数であってもよいし、または分数であってもよい。好ましいアルコールエトキシレートは同族体の狭い範囲を有する(狭い範囲のエトキシレート、NRE)。これらの非イオン性の界面活性剤に加えて、12を超えるEOを持つ脂肪アルコールも使用することができる。例は、14のEO、25のEO、30のEOまたは40のEOを持つ獣脂脂肪アルコールである。分子にてEO基とPO基を一緒に含有する非イオン性界面活性剤も本発明に従って使用することができる。EO-POブロック単位またはPO-EOブロック単位を持つブロックコポリマーも使用することができるが、EO-PO-EOコポリマーまたはPO-EO-POコポリマーも使用することができる。当然、混合されたアルコキシル化された非イオン性界面活性剤も使用することができ、その際、EO及びPOの単位はブロックではなく統計的に分布する。そのような生成物は脂肪アルコールにおける酸化エチレンと酸化プロピレンの同時作用によって得ることができる。
【0141】
アルキルポリグリコシド(APG)は洗浄剤または洗剤の製造で有利に使用することができる別のクラスの非イオン性界面活性剤である。使用できるアルキルポリグリコシドは一般式RO(G)Zを満たし、その際、Rは2位における8~22、好ましくは12~18の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、特にメチル分岐した飽和または不飽和の脂肪族ラジカルを示し、Gは5または6の炭素原子を有するグリコース、好ましくはグルコースを表す記号である。グリコシド化の程度zは1.0~4.0の間、好ましくは1.0~2.0の間、及び特に1.1~1.4の間である。
【0142】
酸化アミン型の非イオン性界面活性剤、たとえば、酸化N-ココノスアルキル-N,N-ジメチルアミンや酸化N-獣脂アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミン、及び脂肪酸アルカノールアミドも洗浄剤または洗剤の製造で好適であってもよい。これら非イオン性界面活性剤の量は好ましくはエトキシ化された脂肪アルコールの量を超えるべきではなく、特に多くてその半分とすべきである。
【0143】
さらに好適な界面活性剤は式R-CO-N(R1)-[Z]のポリヒドロキシ脂肪酸アミドであり、式中、RCOは6~22の炭素原子を有する脂肪族アシルラジカルであり、R1は水素、1~4の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキルのラジカルであり、[Z]は3~10の炭素原子及び3~10のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖のポリヒドロキシアルキルラジカルである。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは普通、アンモニア、アルキルアミンまたはアルカノールアミンによる還元糖の還元的アミノ化と、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸塩化物によるその後のアシル化によって得ることができる既知の物質である。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群は、式R-CO-N(R1-O-R2)-[Z]の化合物も含み、式中、Rは7~12の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルまたはアルケニルのラジカルであり、R1は2~8の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキルラジカルまたはアシルラジカルであり、R2は1~8の炭素原子を有する直鎖またはアリールラジカルまたはオキシアルキルラジカルであり、C1-4アルキルまたはフェニルのラジカルが好まれ、[Z]はそのアルキル鎖が少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されている直鎖ポリヒドロキシアルキルラジカル、またはこのラジカルのアルコキシル化された、好ましくはエトキシ化されたもしくはプロポキシ化された誘導体を表す。[Z]は好ましくは、たとえば、グルコース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロースのような糖の還元的アミノ化によって得られる。次いで、触媒としてのアルコキシドの存在下での脂肪酸メチルエステルとの反応によって、N-アルコキシまたはN-アリールオキシで置換した化合物を所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換することができる。
【0144】
液状の洗浄剤及び洗剤における非イオン性界面活性剤の含量はどの場合も作用物質全体に基づいて好ましくは5~30重量%、好ましくは7~20重量%、及び特に9~15重量%である。
【0145】
アニオン性界面活性剤として、たとえば、スルホン酸塩型及び硫酸塩型のものが使用される。使用されるスルホン酸塩型の界面活性剤は好ましくはC9-3-アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、すなわち、アルケン及びヒドロキシアルケンスルホン酸塩とジスルホン酸塩の混合物、たとえば、気体状の三酸化イオウによるスルホン化とその後のスルホン化産物のアルカリ性または酸性の加水分解によって末端または内部に二重結合を有するC12-8-モノオレフィンから得られるものである。たとえば、スルホ塩素化またはスルホ酸化とその後の加水分解または中和によってC12-8のアルカンから得られるアルカンスルホン酸塩も好適である。アルファ-スルホ脂肪酸のエステル(スルホン酸エステル)、たとえば、水素添加されたココナッツ、パーム核または獣脂の脂肪酸のアルファ-スルホン化されたメチルエステルも好適である。
【0146】
不飽和脂肪酸、たとえば、オレイン酸のスルホン化産物も少量で、特に約2~3重量%を超えない量で好適である。特に、エステル基で4の炭素原子を超えないアルキル鎖、たとえば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステルを有するアルファ-スルホ脂肪酸アルキルエステルが好ましい。アルファ-スルホ脂肪酸のメチルエステル(MES)も使用されるが、それらの鹸化した二塩は特に有利に使用される。
【0147】
考慮することができる他のアニオン性界面活性剤は、たとえば、N-メチルタウリン(タウリド)及び/またはN-メチルグリシン(サルコシド)のようなアミノ酸の脂肪酸誘導体である。特に、サルコシド及びサルコシネート、特に、オレイルサルコシネートのような高級でたぶんモノ不飽和またはポリ不飽和の脂肪酸のサルコシネートが好ましい。
【0148】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、スルホン化された脂肪酸グリセロールエステルである。脂肪酸グリセロールエステルは、1~3モルの脂肪酸によるモノグリセロールのエステル化による調製にて、または0.3~2モルのグリセロールを持つトリグリセリドのエステル交換にて得られるようなモノ-、ジ-及びトリ-エステル及びそれらの混合物である。好ましいスルホン化された脂肪酸グリセロールエステルは、6~22の炭素原子を持つ飽和脂肪酸、たとえば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸のスルホン化産物である。
【0149】
アルキル/アルケニル硫酸塩として、C12~C18脂肪アルコール、たとえば、ココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコール、またはC10~C20オキソアルコールの硫酸セミエステルの及びこれらの鎖長の二次アルコールのそれらセミエステルのアルカリ塩、特にナトリウム塩が好ましい。石油化学に基づいて調製される合成直鎖アルキルラジカルを含有し、且つ脂肪化学の原料に基づく適当な化合物に類似の分解挙動を有する上記鎖長のアルキル/アルケニル硫酸塩も好ましい。C12~C16アルキル硫酸塩及びC12~C15アルキル硫酸塩と同様にC14~C15アルキル硫酸塩は洗浄目的で好ましい。名称DAN(R)のもとでのShell Oil Companyの市販製品として得ることができる2,3-アルキル硫酸塩も好適なアニオン性界面活性剤である。
【0150】
1~6モルの酸化エチレンでエトキシ化された直鎖または分岐鎖のC7-21のアルコール、たとえば、平均3.5モルの酸化エチレン(EO)を伴う2-メチル分岐のC9-11のアルコール、または1~4のEOを伴うC12-18の脂肪アルコールの硫酸モノエステルも好適である。それらの高い発泡性の挙動のせいで、それらは相対的に少量で、たとえば、1~5重量%の量でしか洗剤にて使用されない。
【0151】
他の好適なアニオン性界面活性剤はまた、スルホスクシネートとしても知られるアルキルスルホコハク酸の塩、またはスルホコハク酸のアルコール、好ましくは脂肪アルコール、及び特にエトキシ化された脂肪アルコールとのモノエステル及び/またはジエステルであるスルホコハク酸エステルである。好ましいスルホスクシネートはC8~C18の脂肪アルコールラジカルまたはそれらの混合物を含有する。特に、好ましいスルホスクシネートは、それ自体で非イオン性界面活性剤である(以下の記載を参照のこと)エトキシ化された脂肪アルコールに由来する脂肪アルコールラジカルを含有する。その脂肪アルコールラジカルが狭められた同族分布を持つエトキシ化された脂肪アルコールに由来するスルホスクシネートが特に好ましい。アルキル/アルケニル鎖またはその塩にて好ましくは8~18の炭素原子を持つアルキル/アルケニルコハク酸を使用することも考えられる。
【0152】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は石鹸である。好適なのは、飽和及び不飽和の脂肪酸石鹸、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素添加された)、エルカ酸及びベヘン酸の塩、と同様に天然の脂肪酸、たとえば、ココナッツ油、パーム核油、オリーブ油または獣脂の脂肪酸に由来する石鹸混合物である。
【0153】
石鹸を含むアニオン性界面活性剤は、それらのナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩、及びたとえば、モノ-、ジ-またはトリ-エタノールアミンのような有機塩基の可溶性塩の形態であってもよい。アニオン性界面活性剤は好ましくはそのナトリウム塩またはカリウム塩の形態で、特にナトリウム塩の形態で存在する。
【0154】
好ましい液状の洗浄剤及び洗剤におけるアニオン性界面活性剤の含量は、作用物質全体に基づいて1~30重量%、好ましくは4~25重量%、及び特に5~22重量%である。脂肪酸石鹸の量が少なくとも2重量%であることが特に好まれ、特に好ましいのは少なくとも3重量%であり、及び特に好ましいのは少なくとも4重量%である。
【0155】
いわゆるジェミニ型界面活性剤は、本発明に基づく洗浄剤または洗剤の製造のためのさらなる界面活性剤と見なすことができる。一般に、これは、分子当たり2つの親水性基と2つの疎水性基を有する化合物を指す。これらの基は普通、いわゆる「スペーサー」によって互いから分離されている。このスペーサーは、親水性基が独立して作用するのに十分な間隔を有するのに十分に長くすべきである炭素鎖である。そのような界面活性剤は一般に、異常に低い臨界ミセル濃度と水の表面張力を大きく低下させる能力とを特徴とする。しかしながら、例外的な場合、用語、ジェミニ型界面活性剤は二量体界面活性剤だけでなく、三量体界面活性剤も意味すると理解される。
【0156】
洗浄剤または洗剤の製造に関するジェミニ型界面活性剤は、たとえば、ドイツ特許出願DE-A-4321022に係る硫酸化ヒドロキシ混合エステル、またはドイツ特許出願DE-A-19503061に係る二量体アルコールビス-硫酸塩及び三量体アルコールトリス-硫酸塩及びエーテル硫酸塩である。ドイツ特許出願DE-A-19513391に係る末端基を封止した二量体及び三量体の混合エーテルは特にそれらの二官能性及び多官能性を特徴とする。上記で言及された界面活性剤は、良好な湿潤特性を有し、発泡性が低いので、それらは機械的な洗浄または洗濯の工程での使用に特に好適である。
【0157】
適用の観点から、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物が好ましい。液状の洗浄剤及び洗剤における界面活性剤全体の含量は、液状の洗浄剤及び洗剤全体に基づいて好ましくは40重量%を下回り、特に好ましくは35重量%を下回る。
【0158】
ビルダー材料:
液状の洗浄剤及び洗剤に含有されてもよいビルダー材料には、珪酸塩、珪酸アルミニウム(特にゼオライト)、炭酸塩、有機コビルダー、リン酸塩、有機ジカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、と同様にこれら材料の混合物が挙げられる。
【0159】
好適な結晶性の層状珪酸ナトリウムは、一般式NaMSi2x+1 Oを有し、式中、Mはナトリウムまたは水素であり、xは1.9~4の数であり、yは0~20の数であり、xについての好ましい値は2、3または4である。所与の式の好ましい結晶性のフィロシリケートは、Mがナトリウムであり、xが2または3であるものである。特に、二珪酸ベータ-及びデルタ-ナトリウムNaSi yHOが好ましい。
【0160】
適用できるのはまた、低速溶解性であり、且つ二次的な洗浄特性を有する、1:2~1:3.3、好ましくは1:2~1:2.8、及び特に1:2~1:2.6の比率NaO:SiOを持つ非晶質の珪酸ナトリウムである。従来の非晶質珪酸ナトリウムと比べた溶解遅延は、種々の方法で、たとえば、表面処理、配合、圧密/圧縮または過乾燥によって引き起こすことができる。本発明の文脈では、用語「非晶質」は「X線非晶質」を意味するとも理解される。これは、X線回折実験における珪酸塩は、それらが結晶性物質について典型的なので鋭いX線反射を提供しないが、回折角の幾つかの度単位の幅を有する散乱したX線照射の多くても1以上の最大値を提供することを意味する。しかしながら、珪酸塩粒子が電子回折実験にてぼやけたまたはさらに狭い回折最大値を提供するならば、それは特に良好なビルダー特性を非常に良好にもたらすことさえもできる。このことは、50nmの最大値までの値、特に20nmの最大値までが好ましい値で10~数百nmのサイズでの微細結晶領域を生成物が有するような方法で解釈されるべきである。そのようないわゆるX線非晶質珪酸塩はまた従来の水ガラスと比べて溶解遅延を示す。圧縮された/圧密された非晶質珪酸塩、配合された非晶質珪酸塩及び過乾燥させたX線非晶質珪酸塩は特に好ましい。
【0161】
好適な微細結晶の合成及び水に結合したゼオライトは、好ましくはゼオライトA及び/またはPである。ゼオライトMAP TM(Crosfieldの市販製品)はゼオライトPとして特に好ましい。しかしながら、ゼオライトXと同様にA、X及び/またはPの混合物も好適である。市販の且つ本発明の範囲内で好ましく使用されるのは、たとえば、式:nNa(1-n)KAl.(2-2.5)SiO.(3.5-5.5)Oによって記載することができる、商品名VEGOBOND AX(R)のもとでSASOLによって流通しているゼオライトXとゼオライトA(およそ80重量%のゼオライトX)の共結晶化物である。ゼオライトは噴霧乾燥させた粉末として、または製造から依然として湿り気を持つ乾燥させていない安定化させた懸濁液として使用することができる。ゼオライトが懸濁液として使用されるのであれば、それは、たとえば、ゼオライトに基づいて1~3重量%での、2~5の酸化エチレン基を伴ったエトキシ化されたC12~C18脂肪アルコール、4~5の酸化エチレン基を伴ったC12~C14脂肪アルコール、またはエトキシ化されたイソトリデカノールの非イオン性界面活性剤の少ない添加を安定剤として含有してもよい。好適な安定剤は10μmの平均粒度(値分布;測定方法:Coulter Counter)を有し、好ましくは18~22重量%、特に20~22重量%の結合した水を含有する。
【0162】
当然、そのような使用が経済的な理由で回避されるべきではないという条件で、一般に知られているリン酸塩をビルダーとして使用することも可能である。オルソリン酸、ピロリン酸及び特にトリポリリン酸のナトリウム塩が特に好適である。
【0163】
好適なビルダーは有機コビルダーであり、特に、ポリカルボキシレート/ポリカルボン酸、高分子ポリカルボキシレート、アスパラギン酸、ポリアセタール、デキストリン及びホスホネートである。
【0164】
ポリマーポリカルボキシレートは、たとえば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩であり、たとえば、500~70000g/モルの相対分子量を持つものである。この公開における高分子ポリカルボキシレートについて与えられるモル質量は各酸形態の重量平均モル質量Mwであり、それは基本的にUV検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定された。測定は外部ポリアクリル酸標準に対して行われたが、それは検討されるポリマーとの構造的な関係のゆえに実際的な分子量の値を提供する。ポリスチレンスルホン酸が標準として使用される場合、これらの特定は分子量の特定とは有意に異なる。ポリスチレンスルホン酸に対して測定される分子量はこの公開で与えられている分子量よりも一般に有意に大きい。
【0165】
好適なポリマーは、特にポリアクリレートであり、それは好ましくは2000~20000g/モルの分子量を有する。それらの優れた溶解性のせいで、2000~10000g/モル、及び特に3000~5000g/モルの分子量を持つ短鎖ポリアクリレートがこの群から好まれてもよい。
【0166】
好適なのはまた、コポリマーのポリカルボキシレートであり、特に、メタクリル酸とアクリル酸を伴ったアクリル酸またはマレイン酸を伴ったメタクリル酸のものである。50~90重量%のアクリル酸と50~10重量%のマレイン酸を含有するアクリル酸のマレイン酸とのコポリマーは特に好適であることが判明している。遊離の酸と比べたそれらの相対分子量は一般に2,000~70,000g/モル、好ましくは20,000~50,000g/モル、特に30,000~40,000g/モルである。
【0167】
特に、2を超える異なる単量体単位から成る生分解性ポリマー、たとえば、アクリル酸とマレイン酸の塩とビニルアルコールまたはビニルアルコール誘導体とを単量体として、またはアクリル酸と2-アルキルアリルスルホン酸の塩と糖誘導体とを単量体として含有するものが好ましい。
【0168】
他の好ましいコポリマーは、好ましくはアクロレインとアクリル酸/アクリル酸の塩とを、またはアクロレインと酢酸ビニルとを単量体として含有するものである。
【0169】
他の好ましいビルダーには、高分子アミノジカルボン酸、それらの塩またはそれらの前駆体が挙げられる。ポリアスパラギン酸またはそれらの塩及び誘導体は、それらがコビルダー特性だけでなく、漂白剤安定化効果も有するので、特に好ましい。
【0170】
他の好適なビルダーは、5~7の炭素原子と少なくとも3のヒドロキシル基とを有するポリカルボン酸とジアルデヒドを反応させることによって得ることができるポリアセタールである。好ましいポリアセタールは、たとえば、グリオキサール、グルタールアルデヒド、テレフタルアルデヒドのようなジアルデヒド及びそれらの混合物から、ならびにたとえば、グルコン酸及び/またはグルコヘプトン酸のようなポリオールカルボン酸から得られる。
【0171】
他の好適な有機ビルダーは、デキストリン、たとえば、炭水化物のオリゴマーまたはポリマーであり、それはデンプンの部分加水分解によって得ることができる。加水分解は従来の方法、たとえば、酸または酵素の触媒に従って行うことができる。好ましくは、これらは、400~500,000g/モルの範囲での中程度の分子量を持つ加水分解産物である。0.5~40、特に2~30の範囲でのデキストロース当量(DE)を有する多糖類が好まれ、その際、DEは100のDEを有するデキストロースと比べた多糖類の還元効果の共通基準である。好適なのは3~20の間のDEを持つマルトデキストリン及び20~37のDEを持つ無水グルコースシロップ、と同様に2000~30000g/モルの範囲での大きな分子量を持ついわゆる黄色デキストリン及び白色デキストリンである。
【0172】
そのようなデキストリンの酸化誘導体は、糖環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化することができる酸化剤によるその反応生成物である。糖環のC6に対して酸化された生成物は特に有利であることができる。
【0173】
好ましいデキストリンは英国特許出願GB9,419,091 B1に記載されている。そのようなデキストリンの酸化誘導体は、糖環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化することができる酸化剤によるその反応生成物である。そのような酸化されたデキストリン及びその製造方法は、たとえば、欧州特許出願EP032202A、EP0427349A、EP0472042A及びEP0542496Aならびに国際特許出願WO1992/018542A、WO1993/008251A、WO1994/028030A、WO1995/007303A、WO1995/012619A及びWO1995/020608Aから知られている。糖環のC6に対して酸化された生成物が特に有利であることができる。
【0174】
オキシジスクシネート及びジスクシネートの他の誘導体、好ましくは、ジコハク酸エチレンジアミンも好適なコビルダーである。エチレンジアミン-N,N’-ジスクシネート(EDDS)はそのナトリウム塩またはマグネシウム塩の形態で好ましくは使用される。たとえば、米国特許明細書US4,524,009、US4,639,325、欧州特許出願EP0150930A及び日本特許出願JP1993/339896Aにて記載されているようなジコハク酸グリセリン及びトリコハク酸グリセリンもこの文脈で好ましい。
【0175】
他の有用な有機コビルダーは、たとえば、アセチル化されたヒドロキシカルボン酸またはその塩であり、それらはラクトンの形態で存在してもよく、且つ少なくとも4の炭素原子と少なくとも1のヒドロキシ基と、同様に最大2の酸基とを含有する。そのようなコビルダーは、たとえば、国際特許出願WO1995/020029Aに記載されている。
【0176】
ホスホネートはコビルダー特性を持つ別の部類の物質である。これらは特にヒドロキシアルカンホスホネートまたはアミノアルカンホスホネートである。ヒドロキシアルカンホスホネートの間で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)はコビルダーとして特に重要である。それは好ましくはナトリウム塩として使用され、それによって二ナトリウム塩が中性に反応し、テトロン酸ナトリウム塩はアルカリ(pH9)で反応する。好ましいアミノアルカンホスホネートは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びそれらの高級同族体である。それらは好ましくは中性反応するナトリウム塩、たとえば、EDTMPのヘキサネートナトリウム塩またはDTPMPのヘプタ及びオクタナトリウム塩の形態で使用される。HEDPはホスホネートの部類からの好ましいビルダーである。アミノアルカンホスホネートはまた、顕著な重金属結合能も有する。従って、特に洗浄剤及び洗剤が漂白剤も含有するのであれば、それは、そのアミノアルカンホスホネート、特にDTPMP、またはこれらのホスホネートの混合物を使用することを好んでもよい。
【0177】
加えて、アルカリ土類イオンと共に錯体を形成することができる化合物はすべてコビルダーとして使用することができる。
【0178】
他の有用な有機フレームワーク物質も、そのナトリウム塩の形態で使用することができるポリカルボン酸であり、それによってポリカルボン酸が1を超える酸官能基を運ぶそれらカルボン酸である。たとえば、これらは、そのような使用が経済的な理由から好ましくなくはないという条件で、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、及びそれらの混合物である。好ましい塩は、たとえば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸のようなポリカルボン酸の塩、及びそれらの混合物である。
【0179】
酸自体を使用することもできる。そのビルダー効果に加えて、酸は通常、酸性化成分の特性も有するので、洗浄剤及び/または洗剤の低い及び弱いpHを調整するのにも役立つ。特に、クエン酸コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸及びそれらの混合物が言及されるべきである。
【0180】
漂白剤及び漂白触媒:
水において漂白剤として使用され、Hを供給する化合物の間で、過ホウ酸ナトリウム4水和物及び過ホウ酸ナトリウム1水和物は特に重要である。他の有用な漂白剤には、過炭酸ナトリウム、ペルオキシピロリン酸塩、クエン酸過水和物、と同様に過酸の塩またはHを提供する過酸、たとえば、過安息香酸塩、ペルオキソフタル酸塩、二過アゼライン酸、フタロイミノ過酸、またはジペルドデカンジオン酸が挙げられる。60℃以下の温度で洗浄する場合、改善された漂白効果を達成するために、漂白活性化因子を洗浄剤及び洗剤に組み込むことができる。使用される漂白活性化因子は、過加水分解の条件下で、好ましくは1~10の炭素原子、特に2~4の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸、及び/または任意で置換された過安息香酸を与える化合物であってもよい。言及される炭素原子数のO-アシル基及び/またはN-アシル基及び/または任意で置換されたベンゾイル基を運ぶ物質が好適である。好ましいのは、多重アシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコルリル、特にテトラアセチルグリコルリル(TAGU)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、スルホン酸アシル化フェノール、特にノナノイル-またはイソナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-またはイソ-NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランである。従来の漂白活性化因子に加えて、またはそれに代えて、漂白触媒も繊維処理剤に組み込むことができる。これらの物質は、漂白強化遷移金属塩、または遷移金属錯体、たとえば、Mn、Fe、Co、RuまたはMo-サレンの錯体またはカルボニル錯体である。窒素含有の三脚型配位子を伴ったMn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、V及びCuの錯体、ならびにCo、Fe、Cu、及びRuのアミン錯体も漂白触媒として使用することができる。
【0181】
増粘剤:
液状の洗浄剤及び洗剤は増粘剤を含有してもよい。増粘剤には、たとえば、ポリアクリル酸増粘剤、キサンタンゴム、ゲランゴム、グアーゴム、アルギン酸塩、カラーギーナン、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、ウェランゴム、イナゴマメゴムゴム、寒天-寒天、トラガカント、アラビアゴム、ペクチン、ポリオース、デンプン、デキストリン、ゼラチン及びカゼインが挙げられてもよい。しかしながら、修飾された天然物質、たとえば、修飾されたデンプン及びセルロース、たとえば、カルボキシメチルセルロース及び他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチル及びプロピルセルロース、と同様に核粉エーテルも増粘剤として使用することができる。
【0182】
ポリアクリル及びポリメタクリルの増粘剤には、カルボキシビニルポリマーとも呼ばれる、たとえば、ポリアルキレンポリエーテルと、特にスクロースのアリルエーテル、ペンタエリスリトールまたはプロピレン(「米国化粧品工業会(CTFA)」の「化粧品成分の国際辞典」に従ったINCI指定:カルボマー)と架橋したアクリル酸の高分子量ホモポリマーが挙げられる。そのようなポリアクリル酸は、とりわけ、商品名Polygel(登録商標)、たとえば、Polygel DAのもとで会社3V Sigmaから及び商品名Carbopol(登録商標)、たとえば、Carbopol940(分子量およそ4,000,000)、Carbopol941(分子量およそ1,250,000)またはCarbopol934(分子量およそ3,000,000)のもとでB.F.Goodrichから:(i)たとえば、商品名Aculyn(登録商標)及びAcusol(登録商標)のもとで会社Rohm and Haasによって、及び商品名Tego(登録商標)Polymer、たとえば、アニオン性の非会合性ポリマーAculyn22、Aculyn28、Aculyn33(架橋)、Acusol810、Acusol820、Acusol823及びAcusol830(CAS25852-37-3)のもとでDegussa(Goldschmidt)から製造されている、アクリル酸、メタクリル酸、及び好ましくはC1~4のアルカノールで形成されるそれらの単純エステル(INCIアクリレートコポリマー)から成る群から選択される、2以上の単量体のコポリマー、たとえば、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、及びメタクリル酸メチルのコポリマー(化学情報検索サービス機関に従ったCAS番号:25852-37-3)またはアクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルのコポリマー(CAS25852-37-3);(ii)たとえば、商品名Carbopol(登録商標)、たとえば、疎水化Carbopol ETD2623及びCarbopol1382(INCIアクリレート/C10~30アクリル酸アルキルクロスポリマー)と同様にCarbopol Aqua30(以前のCarbopol EX473)のもとで会社B.F.Goodrichから入手できる、架橋高分子量アクリル酸コポリマー、たとえば、C10~30のアクリル酸アルキルの、アクリル酸、メタクリル酸及び好ましくはC1~4のアルカノールで形成されるそれらの単純エステルから成る群から選択される1以上の単量体とのそれらコポリマー(サッカロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋された)(INCIアクリレート/C10~30アクリル酸アルキルクロスポリマー)入手することができる。
【0183】
別の好ましい高分子増粘剤は、好気性条件下にてXanthomonas campestris(カンキツかいよう病菌)及び幾つかの他の種によって産生され、且つ200万~1500万ダルトンの分子量を有する微生物アニオン性ヘテロ多糖類であるキサンタンゴムである。キサンタンゴムは、側鎖を伴うベータ-1,4-結合グルコースの鎖(セルロース)から形成される。亜群の構造は、グルコース、マンノース、グルクロン酸、酢酸塩及びピルビン酸塩から成り、ピルビン酸単位の数がキサンタンゴムの粘度を決定する。脂肪アルコールも特に増粘剤として使用されてもよい。脂肪アルコールは分岐鎖または非分岐鎖であってもよく、天然起源または石油化学起源であってもよい。好ましい脂肪アルコールは、10~20の、好ましくは12~18の炭素原子の炭素鎖長を有する。たとえば、獣脂脂肪アルコールまたはココナッツ脂肪アルコールのような異なる炭素鎖長の混合物が好ましい。例はLorol(登録商標)Special(C12-14-ROH)またはLorol(登録商標)Technical(C12-18-ROH)(双方ともex Cognis)である。好ましい液状の洗浄剤及び洗剤は作用物質全体に基づいて0.01~3重量%、好ましくは0.1~1重量%の増粘剤を含有する。使用される増粘剤の量は増粘剤の種類及び増粘の所望の程度に左右される。
【0184】
酵素:
洗浄剤及び洗剤は被包された形態で、及び/または洗浄剤及び洗剤にて直接的に、酵素を含有してもよい。考慮することはできる酵素は、加水分解酵素の部類に由来するもの、たとえば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、または脂肪分解性に活性がある酵素、アミラーゼ、セルラーゼ、または他のグリコシル加水分解酵素、ヘミセルラーゼ、クチナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、過加水分解酵素、及び/またはラッカーゼ及び前述の酵素の混合物である。これらの加水分解酵素は、たとえば、タンパク質、油脂またはデンプンを含有する染みのような染みの除去及び洗濯物における灰色化の除去に寄与する。セルラーゼ及び他のグリコシル加水分解酵素も、色彩を保持し、布のけば立ち及び微小繊維を除くことによって布地の柔らかさを高めるのに役立つ。オキシ還元酵素も漂白し、染料移動を抑制するのに使用することができる。特に好適なのは、たとえば、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Streptomyceus griseus及びHumicolainsolensのような細菌株または真菌から得られる酵素的な活性がある物質である。サブチリシン型のプロテアーゼ及び特にBacillus lentusに由来するプロテアーゼが好ましくは使用される。それらは、たとえば、プロテアーゼとアミラーゼまたはプロテアーゼとリパーゼまたは脂肪分解で作用する酵素またはプロテアーゼとセルラーゼに由来する酵素混合物、またはセルラーゼとリパーゼまたは脂肪分解で作用する酵素に由来する、またはプロテアーゼとアミラーゼとリパーゼまたは脂肪分解で活性がある酵素、またはプロテアーゼとリパーゼまたは脂肪分解で活性がある酵素とセルラーゼ由来する酵素混合物であるが、特にプロテアーゼ及び/またはリパーゼを含有する混合物または特に対象とする脂質分解で活性がある酵素との混合物である。そのような脂質分解で活性がある酵素の例は周知のクチナーゼである。ペルオキシダーゼまたはオキシダーゼも場合によっては好適であることが判明している。好適なアミラーゼには、特にアルファ-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ及びペクチナーゼが挙げられる。使用されるセルラーゼは好ましくはセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ及びセロビアーゼとしても知られるp-グルコシダーゼ、またはこれらの混合物である。異なるセルラーゼ型はそのCMCアーゼ及びアビセラーゼの活性が異なるので、セルラーゼの的を絞った混合物を用いて所望の活性を止めることができる。
【0185】
酵素をキャリアに吸着させてそれを早すぎる分解から保護することができる。洗浄剤及び洗剤にてそのままの酵素、酵素液状製剤(複数可)または酵素顆粒の比率は、たとえば、約0.01~5重量%、好ましくは0.12~約2.5重量%であることができる。
【0186】
しかしながら、たとえば、アレルギーがある消費者のための特別の洗浄剤及び洗剤の場合、洗浄剤及び洗剤は酵素を含有しないことも好ましくてもよい。
【0187】
電解質:
無機塩の群に由来する電解質として多種多様な塩を使用することができる。好ましいカチオンはアルカリ金属及びアルカリ土類金属であり、好ましいアニオンはハロゲン化合物及び硫酸塩である。製造の観点から、洗浄剤及び洗剤におけるNaClまたはMgClの使用が好ましい。洗浄剤及び洗剤における電解質の比率は普通0.1~5重量%である。
【0188】
溶媒:
液状の洗浄剤及び洗剤で使用することができる非水性溶媒は、それらが特定された濃度範囲で水と混和性であるという条件で、たとえば、一価または多価のアルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群を起源とする。溶媒は好ましくは、エタノール、n-またはi-プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンまたはブタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピルまたはブチルジグリコール、へキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチルまたはプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルまたはエチルエーテル、ジ-イソプロピレングリコールモノメチルまたはエチルエーテル、メトキシ、エトキシまたはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル及びこれら溶媒の混合物から選択される。非水性溶媒は、0.5~15重量%の間、しかし好ましくは12重量%未満、及び特に9重量%未満の量で液状の洗浄剤及び洗剤にて使用することができる。
【0189】
粘度調節剤:
液状形態における洗浄剤及び洗剤の粘度は常法(たとえば、20rpm及び20℃にて、スピンドル3でのBrookfield粘度計LVT-II)を用いて測定することができ、液状洗浄剤については好ましくは500~5000mPasの範囲である。好ましくは液状の洗浄剤及び洗剤は700~4000mPasの間の粘度を有し、1000~3000mPasの間の値が特に好ましい。布地柔軟剤の粘度は好ましくは20~4000mPasであり、40~2000mPasの間の値が好ましい。特に好ましいのは40~1000mPasの布地柔軟剤の粘度である。
【0190】
pH調整剤:
液状の洗浄剤及び洗剤のpH値を所望の範囲にするために、pH調整剤の使用が指示されてもよい。技術的理由または経済的理由または消費者保護の理由でその使用が禁止されない限り、既知の酸及びアルカリはすべて使用することができる。普通、これらの作用物質の量は製剤全体の7重量%を超えない。液状の洗浄剤及び洗剤のpH値は好ましくは4~10の間、及び好ましくは5.5~8.5の間である。液状の布地柔軟剤のpH値は好ましくは1~6の間、及び好ましくは1.5~3.5の間である。
【0191】
染料:
繊維処理剤の美的印象を改善するために、それらを好適な染料で染めることができる。その選択が専門家に困難さを提示しない好ましい染料は、高い保存安定性、洗浄剤及び洗剤の他の成分や光に対する不感受性を有するとともに、織物繊維を染色しないためにそれらに対する顕著な染色性を有さない。
【0192】
再付着防止剤:
「再付着防止剤」とも呼ばれる好適な汚れを落とすポリマーは、たとえば、どの場合も非イオン性セルロースエーテルに基づいて15~30重量%のメトキシ基含量と1~15重量%のヒドロキシプロピル基を伴うメチルセルロース及びメチルヒドロキシプロピルセルロースのような非イオン性セルロースエーテル、及び最先端技術から既知のフタル酸及び/またはテレフタル酸またはそれらの誘導体のポリマー、特に、エチレンテレフタレート及び/またはポリエチレン及び/またはポリプロピレングリコールテレフタレートのポリマーまたはアニオン性及び/または非イオン性に修飾されたそれらの誘導体である。好適な誘導体には、フタル酸及びテレフタル酸のポリマーのスルホン化誘導体が挙げられる。
【0193】
光学的光沢剤:
光学的光沢剤(いわゆる漂白剤)を洗浄剤及び洗剤に加えて処理された織物の灰色化及び黄ばみを取り除くことができる。これらの物質は繊維上に取り付き、眼に見えない紫外線を光の可視波長に変換することによって光沢を引き起こし、漂白効果を見せ掛け、それによって太陽光から吸収された紫外線が軽く青みがかった蛍光として放出され、灰色がかったまたは黄ばんだ洗濯物の黄色傾向を帯びた純白を生じる。好適な化合物は、たとえば、4,4’-ジアミノ-2,2’-スチルベンジスルホン酸(フラボン酸)、4,4’-ジスチリル-ビフェニレン、メチルウンベリフェロン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3-ジアリールピラゾリン、ナフタル酸イミド、ベンズオキサゾール、ベンズイソオキサゾール及びベンズイミダゾールのシステム、と同様に複素環によって置換されたピレン誘導体の物質の部類に由来する。光学的光沢剤は、仕上がり洗浄剤及び洗剤に基づいて0~0.3重量%の量で普通使用される。
【0194】
灰色化防止剤:
溶液に浮かべた繊維から分離した汚れを保持するので、汚れが再出現するのを防ぐ課題を有する。この目的で、ほとんど有機的性質の水溶性コロイド、たとえば、糊、ゼラチン、デンプンもしくはセルロースのエーテルスルホン酸の塩、またはセルロースもしくはデンプンの酸硫酸エステルの塩が好適である。酸基を含有する水溶性ポリアミドもこの目的に好適である。さらに、上記で言及されたもの以外の可溶性デンプン調製物及びデンプン産物、たとえば、分解されたデンプン、アルデヒドデンプン等が使用されてもよく、ポリビニルピロリドンも有用である。洗浄剤及び洗剤に基づいた0.1~5重量%の量でのセルロースエーテル、たとえば、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及び混合エーテル、たとえば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物が好ましい。
【0195】
防シワ剤:
織物、特にレーヨン、レーヨン、綿及びそれらの混合で出来たものは、個々の繊維が折り曲げ、湾曲、圧迫及び布目方向を横切る絞りに対して敏感なので、洗浄剤及び洗剤は合成の防シワ剤を含有してもよい。これらには、たとえば、普通、酸化エチレンと反応する脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルキロールエステル、アルキロールアミドまたは脂肪アルコールに基づく合成生成物、またはレシチンもしくは修飾されたリン酸エステルに基づく生成物が挙げられる。
【0196】
抗微生物剤:
微生物と闘うために、洗浄剤及び洗剤は抗微生物剤を含有してもよい。抗微生物剤のスペクトル及び作用メカニズムに応じて、静菌剤と殺菌剤の間、静真菌剤と殺真菌剤の間、等で区別を行う。これらの群に由来する重要な物質には、塩化ベンザルコニウム、アルキルアリールスルホネート、ハロゲンフェノール及びフェノール水銀アセテートが挙げられ、それによって本発明の洗浄剤及び洗剤ではこれらの化合物を完全に不要にすることもできる。
【0197】
保存剤:
発明された本発明の洗浄剤及び洗剤は、好ましくは皮膚感作能がないまたはほとんどないもののみを用いた保存剤を含有してもよい。例は、ソルビン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、フェノキシエタノール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、N-(ヒドロキシメチル)グリシン酸ナトリウム、ビフェニル-2-オール及びそれらの混合物である。好適な保存剤は、7までのpH範囲で使用することができるジアゾリジニル尿素と安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムとの溶媒を含まない、水性の組み合わせ(Euxyl(登録商標)K500ex Schuelke and Mayrとして入手できる)である。有機酸及び/またはそれらの塩に基づく保存剤は、皮膚に優しい洗浄剤及び洗剤を保存するのに特に好適である。
【0198】
抗酸化剤:
酸素及び他の酸化的過程への暴露が原因で生じる洗浄剤及び洗剤及び/または処理された織物における望ましくない変化を防ぐために、洗浄剤及び洗剤は抗酸化剤を含有してもよい。この化合物の部類には、たとえば、置換されたフェノール、ヒドロキノン、ピロカテキン及び芳香族アミン、と同様に有機硫化物、ポリ硫化物、ジチオカルバメート、亜リン酸塩、ホスホン酸塩及びビタミンEが挙げられる。
【0199】
帯電防止剤:
高い着用快適性は、洗浄剤及び洗剤に加えられた帯電防止剤の追加の使用から生じることができる。帯電防止剤は表面導電性を高めるので、形成された電荷の改善された放電を可能にする。帯電防止剤は普通、少なくとも1つの親水性分子組織を持つ物質であり、表面上で程度の差はあるが、吸湿性の膜を与える。これらのほとんど表面活性のある帯電防止剤は窒素含有(アミン、アミド、四級アンモニウム化合物)、リン含有(リン酸エステル)及びイオウ含有(スルホン酸アルキル、硫酸アルキル)の帯電防止剤に分けることができる。塩化ラウリル(またはステアリル)ジメチルベンジルアンモニウムは織物用の帯電防止剤として、または洗浄剤及び洗剤への添加剤として好適であり、それによって追加の仕上がり効果が達成される。
【0200】
発泡抑制剤:
処理した織物の再湿潤性を改善して処理した織物のアイロンがけを円滑にするために、たとえば、シリコーン誘導体を繊維処理剤で使用することができる。これらは、その発泡抑制特性を介して洗浄剤及び洗剤のすすぎ挙動も改善する。好ましいシリコーン誘導体は、たとえば、アルキル基が1~5の炭素原子を有し、完全にまたは部分的にフッ素化されるポリジアルキルシロキサンまたはアルキルアリールシロキサンである。好ましいシリコーンは、誘導体化され、次いでアミノ官能化され、もしくは四級化される、またはSi-OH、Si-H及び/またはSi-Cl結合を有するポリジメチルシロキサンである。好ましいシリコーンの粘度は25℃で100~100,000mPasの間であり、シリコーンは洗浄剤及び洗剤の全体に基づいて0.2~5重量%の間の量で使用することができる。
【0201】
UV吸収剤:
最終的に、洗浄剤及び洗剤は、処理された織物に適用されて繊維の耐光性を改善するUV吸収剤も含有することができる。これらの所望の特性を有する化合物は、たとえば、2位及び/または4位での置換基による非放射性不活化によって有効なベンゾフェノンの化合物及び誘導体である。好適なのはまた、任意で2位にてシアノ基によって置換されたベンゾトリアゾール、3位でフェニル置換されたアクリレート(桂皮酸誘導体)、サリチル酸塩、有機Ni錯体及び、たとえば、ウンベリフェロンのような天然物質、及び生体自体のウロカニン酸である。
【0202】
重金属錯化剤:
重金属によって触媒される洗浄剤の特定の成分の分解を回避するために、重金属を錯化する物質を使用することができる。好適な重金属錯化剤は、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはニトリロトリ酢酸(NTA)のアルカリ塩、と同様に、たとえば、ポリマレイン酸塩及びポリスルホン酸塩のようなアニオン性ポリ電解質のアルカリ金属塩である。錯化剤の好ましい部類は、0.01~2.5重量%、好ましくは0.02~2重量%、及び特に0.03~1.5重量%の量で好ましい繊維処理剤に存在するホスホネートである。これらの好ましい化合物には特に、ほとんどアンモニウム塩またはアルカリ金属塩の形態で使用される、たとえば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPまたはDETPMP)及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBS-AM)のようなオルガノホスホネートが挙げられる。
【0203】
配合の調製:
固形WSR剤の製造は、普通の方法、たとえば、タワースプレー、流動床乾燥、凝集、粉末混合、打錠、造粒、特にSKET造粒によって行うことができる。
【0204】
液状WSR剤も一般的で周知の方法及びプロセスによって、たとえば、撹拌容器にて成分を単純に混合することによって製造され、その際、水、非水性溶媒及び界面活性剤を適当に入れ、他の成分を少しずつ添加する。従って、液状の洗浄剤及び洗剤は、たとえば、直鎖アルキルスルホン酸、クエン酸、ホウ酸、ホスホン酸、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、等のような酸性成分と、非イオン性界面活性剤とで出発することによって製造することができる。溶媒成分も好ましくはこの時点で加えるが、後で加えることもできる。増粘剤、たとえば、ポリアクリレートはこれらの成分に加えることができる。次いで、たとえば、NaOH、KOH、トリエタノールアミンまたはモノエタノールアミンのような塩基を加え、存在するならば、その後、脂肪酸を加える。次いで水性液状の洗浄剤及び洗剤の残りの成分及び溶媒を混合物に加え、pHをおよそ8.5に合わせる。最終的に、分散させる粒子を加え、混合することによって水性液状の洗浄剤及び洗剤にて均質に分布させることができる。
【0205】
本発明はこのように芳香で満たしたまたは香りを付けた香油または芳香調製物に関する。従って、本発明は、それぞれ、一般に式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物、または(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、特にシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルとの混合におけるメサコン酸ジエチルエステル、または記載されているような相当する芳香混合物を含有する、芳香で満たしたまたは香りを付けた製品を含む、香油、化粧剤、適用剤と洗浄剤及び洗剤との双方に関するものであり、前記香油または作用剤は、芳香抽出物、オードパルファン、オードトワレ、髭剃りローション、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び芳香で満たした清涼ティシュ、と同様に酸性、アルカリ性及び中性の洗剤の芳香付け、たとえば、床クリーナー、窓ガラスクリーナー、食器洗剤、トイレ衛生クリーナー、磨きローション、固形及び液状のWCクリーナー、粉状及び発泡性のカーペットクリーナー、液状の洗浄剤、粉状の洗浄剤の芳香付け、洗濯物予備処理剤、たとえば、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、布地柔軟剤、洗浄石鹸、洗浄錠剤、殺菌剤、液状、ゲル様または固形のキャリア適用形態での表面殺菌剤及び空気清浄剤、エアゾールスプレー、たとえば、家具艶出し剤、床ワックス、靴艶出し剤のようなワックス及び艶出し剤、ならびに、たとえば、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイルのようなボディケア製品、水中油、油中水、及び水中油中水型の化粧品エマルション、たとえば、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、日焼け後クリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、髭剃り後クリーム及びローション、タンニングクリーム及びローション、たとえば、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な染髪剤、たとえば、コールドウエーブ及び毛髪直毛化剤のような毛髪変形剤、ヘアトニック、ヘアクリーム及びローションのようなヘアケア製品、たとえば、腋窩スプレー、伸縮自在の下着、脱臭スティック、デオクリームのような脱臭剤及び制汗剤、または装飾的化粧製品から成る群から選択される。
【0206】
特に、本発明は第10の態様に従って、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、化粧品エマルション、スキンクリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、日焼け後クリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、髭剃り後クリーム及びローション、タンニングクリーム及びローション、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な染髪剤、毛髪変形剤、ヘアトニック、ヘアクリーム及びローション、脱臭剤、腋窩スプレー、伸縮自在の下着、脱臭スティック、脱臭クリーム及び装飾的化粧製品、と同様に芳香抽出物、オードパルファン、オードトワレ、髭剃りローション、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン、清涼ティシュ、酸性、アルカリ性及び中性の洗剤、床クリーナー、窓ガラスクリーナー、食器洗剤、トイレ衛生クリーナー、磨きローション、固形及び液状のWCクリーナー、粉状及び発泡性のカーペットクリーナー、液状の洗浄剤、粉状の洗浄剤、洗濯物予備処理剤、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、布地柔軟剤、洗浄石鹸、洗浄錠剤、殺菌剤、液状、ゲル様または固形のキャリア適用形態での表面殺菌剤、空気清浄剤、エアゾールスプレー、家具艶出し剤、床ワックス、靴艶出し剤から構成される群から選択される手段に関する。
【0207】
製造プロセスI
【0208】
本発明の第11の目的は、以下の工程
(i)イタコン酸を無水酢酸と反応させて無水イタコン酸を得ることと;
(ii)無水イタコン酸の無水シトラコン酸への異性化と;
(iii)シトラコン酸のモノエステル及び/またはジエステルを得るための、1~10の炭素原子を有する脂肪族、芳香脂肪族または芳香族のアルコールまたは1~5のヒドロキシル基を有するジオールによる無水シトラコン酸のエステル化と;
(iv)シトラコン酸のモノエステル及び/またはジエステルのメサコン酸のモノエステル及び/またはジエステルへの再構成と
を含む、メサコン酸のモノエステル及び/またはジエステルの調製のためのプロセスに関する。
【0209】
方法は、以下のスキームAにおけるシトラコン酸ジエチルエステルとイタコン酸ジエチルエステルによる(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル(メサコン酸ジエチルエステル)またはその混合物の好ましい製造によって簡略化されている。
【0210】
第1の反応工程では、イタコン酸(好ましくはイタコン酸ジエチルエステル)は一般にほぼ等モル量の無水酢酸と反応して環状無水物を形成し、酢酸を遊離する。この反応は普通、50~95℃の範囲での温度で行われる。次いで酢酸は真空で留去される。
【0211】
第2の工程では、無水イタコン酸の無水シトラコン酸への熱動態的に制御された異性化が行われる。反応は好ましくは溶媒にて行われ、200~250℃の温度を必要とする。ここでまた、溶媒はその後取り除かれる。
【0212】
第3の工程は、還流下にて酸に触媒されて行われる過剰なエタノールによるエステル化である。その後、変換されなかったエタノールは留去される。
【0213】
最後の第4の工程は、シトラコン酸エステル(好ましくはシトラコン酸ジエチルエステル)のメサコン酸(好ましくはメサコン酸のジエチルエステル)への再構成である。反応は好ましくは、たとえば、MtBEのような好適な溶媒にて170~200℃の範囲の温度で行われ;触媒としてヨウ素が混合物に添加される。次いで、溶媒は再び蒸留によって分離される。
【0214】
工程(i)~工程(iv)の手順の実施の説明は実施例のセクションにて見いだすことができる。
【0215】
【数1】
【0216】
メサコン酸のモノエステル及び/またはジエステルの調製についてのプロセスは本発明のさらなる変更態様において特に好まれ、その際、工程(ii)では、高沸点の溶媒、好ましくは、構造:RO-[CH-C(CH)HO]n-[CHCHO]m-Hを有するポリアルキレングリコール(PAG)が使用される。
【0217】
高沸点の溶媒は好ましくは、250℃を超える、一層さらに好ましくは300℃を超える沸点を持つ溶媒を含有する。ここでは、ポリアルキレングリコール(PAG)に基づく生成物がその価値を証明している。そのようなものは、たとえば、潤滑剤として知られ、構造:RO-[CH-C(CH)HO]-[CHCHO]-Hを持つ単一の末端ヒドロキシル基を伴ったオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有するアルコール性物質であるシナロックス(Synalox(登録商標))50-B シナロックス(SYNALOX(商標))50-xBである。
【0218】
50-50B SYNALOX:分子量:1300として知られている。
【0219】
本発明の第12の変更態様では、工程(ii)において、高沸点の溶媒、好ましくは、150℃を超える沸点を有し、且つさらに90℃~120℃の間の沸点を有する共溶媒、好ましくはジオキサンを含むポリアルキレングリコール(PAG)を含む溶媒系が使用される。この系は、保護溶媒がなくても、蒸留生成物がさらに長い蒸留経路にてさらに大きな反応容器で定量的尺度にて重合する傾向があるので、収率を有意に高める。従って、さらに大きなバッチでさえ、保護溶媒が沸点を有するのであれば、収率は高められるまたは高いままであってもよいので、それは生成物と共に蒸留されて蒸留の間での生成物の重合を妨げることができることが示されてもよい。95℃~110℃の間の沸点を持つ共溶媒または保護溶媒が特に好まれ、100℃~105℃の間で特に好ましい。ジオキサンが好適である。
【0220】
共溶媒は一般的なプロセスによって蒸留工程の後で分離することができる。
【0221】
他の好適な共溶媒は
・脂肪族炭化水素及びさらに具体的にはパラフィン、たとえば、特にオクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、テトラデカン;芳香族炭化水素、たとえば、特にトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、シュードクメン、Solvesso(登録商標)型の特定の分画におけるアルキルベンゼンの混合物から成る石油分画;
・塩素化脂肪族炭化水素、たとえば、1,1,2-トリクロロエタン、ペンタクロロエタン、1-ヨード-2-メチルプロパン、1-クロロヘキサン、1-クロロ-2-エチルヘキサン;塩素化芳香族炭化水素及び特定のクロロベンゼン、クロロトルエン;
・エーテル及びさらに具体的には脂肪族エーテル、たとえば、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、1-ブトキシ-2-メトキシエタン、1,1-ジエトキシブタン、アミルエーテル、イソアミルエーテル、ジプロポキシメタン;芳香族エーテル、たとえば、フェニルプロピルエーテル、酸化メシチル;
・ニトロ化化合物、たとえば、ニトロプロパン、ニトロベンゼン;
・脂肪族、脂環式または芳香族ケトン、好ましくは、メチエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコールである。
【0222】
共溶媒は別個の混合物としても使用することができる。
【0223】
製造プロセスII
【0224】
本発明の第13の態様は以下の工程:
(i)少なくとも1つのシトラコン酸のモノエステル及び/またはジエステルと、任意で溶媒とを含む溶液を提供することと;
(ii)溶液にヨウ素を加えることと;
(iii)ヨウ素を含有する溶液を約170~約200℃に加熱することと;
(iv)任意で、得られた生成物の蒸留精製と
を含むメサコン酸のモノエステル及び/またはジエステルの調製のためのプロセスに関する。
【0225】
さらに、製造プロセスIIは製造プロセスIにて工程(iv)として使用されることが好ましい。従って、最後の再構成工程は、いわば、製造プロセスIにおける工程(i)~(iii)に続く製造プロセスIIの後で行われる。従って、最後の再構成工程は、製造プロセスIIにおける工程(i)~(iii)の後で行われる。
【0226】
本発明の第14の変更態様では、方法I及びIIにて上記に記載されているメサコン酸のモノエステル及び/またはジエステルは、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸エステル、好ましくは(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルである。
【0227】
従って、本発明の好ましい実施形態は、以下の工程:
(i)少なくともシトラコン酸ジエステルと、任意で溶媒とを含む溶液を提供することと;
(ii)溶液へのヨウ素の添加と;
(iii)ヨウ素を含有する溶液を約170~約200℃に加熱することと;
(iv)適宜、得られた生成物の蒸留精製と
を含む(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルの調製のためのプロセスに関する。
【0228】
1~10の炭素原子を含有する脂肪族、芳香脂肪族または芳香族アルコールまたは2~6のヒドロキシル基を含有するジオールによるシトラコン酸のモノエステル及び/またはジエステルが好ましくは出発物質として使用される。特に、メタノール、イソプロピルアルコール、異性体ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはグリセロール及び特にエタノールによるシトラコン酸のモノエステル及び/またはジエステルが使用される。プロセスの特別な特徴に関して、ここに含まれている第1の製造プロセスのステージ(iv)に関する説明について言及する。
【0229】
使用
【0230】
本発明の第15の態様は、以下の工程:
(a1)式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の本発明の化合物の少なくとも1以上もしくは前記化合物(複数可)を含有する本発明の香料組成物を提供すること;及び
(a2)仕上がり調製物にて果物のような洋ナシに似た芳香を得るのに十分な追加の香料の混合物と知覚的有効量のその物質(単数)もしくは物質(複数)を混合すること;
または
(b1)式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の本発明の化合物の少なくとも1以上もしくは前記化合物(複数可)を含有する本発明の香料組成物を提供すること;及び
(b2)仕上がり調製物にて果物のような洋ナシに似た芳香の香調を得るのに十分な香油、化粧剤、適用または洗浄剤及び洗剤と知覚的有効量のその物質(単数)もしくは物質(複数)を混合すること
を含む、香料混合物、香油、化粧剤、アプリケーターまたは洗浄剤及び洗剤にて果物のような洋ナシに似た芳香の香調を付与する、変更するまたは強化するプロセスに関する
【0231】
好ましくは、本発明に相当する式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物(複数可)はそれぞれ、(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル(メサコン酸ジエチルエステル)、シトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステル、またはシトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルとの(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルの混合物である。
【0232】
本発明の第16及び第17の態様は、
・一方では、香料としての
・及び他方では、香料混合物、香油、化粧剤、適用剤または洗浄剤及び洗剤にて果物のような洋ナシに似た芳香の香調を付与、変更または強化するための、一般に式(i)、式(ii)及び/または式(iii)の化合物もしくはそれらの混合物、または単独での(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、または特にシトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルと混合されたメサコン酸ジエチルエステル、または本発明に係る相当する香料混合物の使用に関する。
【0233】
好ましい投入物質及び投入量に関して、本明細書に含まれている上記の説明について言及しているので、反復は必要ではない。好ましい化合物は一般に式(i)、式(ii)及び/または式(iii)のものまたはそれらの混合物である。特に、本発明の形態の特に好ましい変形体及びさらなる変更態様はそれぞれ、化合物(i)としてのメサコン酸ジエチルエステル、それぞれ異性体混合物、特に、この化合物を少なくとも50重量%の量で含有する、シトラコン酸ジエチルエステル及びイタコン酸ジエチルエステルとの(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルの混合物であることが再度指摘される。
【実施例
【0234】
製造プロセス1についての実施例:メサコン酸ジエチルエステル=(E)-2-メチル-ブタ-2-エン-ジカルボン酸ジエチルエステルの調製
【0235】
【数2】
【0236】
KPG撹拌棒と15-Vigreuxカラムとカラムヘッドを伴った2リットルの三つ口フラスコに612g(6.0mol)の無水酢酸を入れ、撹拌しながら、780g(6.0mol)の固形イタコン酸を加えた。次いで固形物が溶解するまで混合物をゆっくり80℃まで加熱し、この温度でさらに30分間撹拌した。その後、150~10mbarの間の真空及び80~82℃の槽温度にておよそ680gの酢酸を留去した。次いで、酢酸を試料から取り除いた。およそ690gの槽底生成物が残り、生収量は680gだった。原産物をそのまま段階2で使用した。
【0237】
エステルの5g試料をボールチューブ蒸留によって精製し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、11重量%の無水シトラコン酸及び89重量%の無水イタコン酸の組成を有した。
【0238】
【数3】
【0239】
KPG撹拌棒と15-Vigreuxカラムとカラムヘッドを伴った2リットルの三つ口フラスコにて、100gの高沸点溶媒(Synalox(登録商標)50-B)をフラスコに入れ、撹拌しながら230℃に加熱した。その後、100gのSynaloxに溶解した690gの無水イタコン酸(段階1の粗生成物)をおよそ350mbarの真空で4時間以内に添加した。異性化産物である無水シトラコン酸を1:1のR/D比で連続して抽出した。添加プロセスの終了時、真空を10mbarに強めて合計630gの蒸留物を得たが、それは双方の段階にわたって94%の収率に相当した。GC純度は99%だった。
【0240】
【数4】
【0241】
KPG撹拌棒と15-Vigreuxカラムとカラムヘッドを伴った2リットルの三つ口フラスコにて、室温で撹拌しながら、780gのエタノールを加え、630g(5.63モル)の無水シトラコン酸を加えた。その後、30gの濃硫酸を5分以内で加え、還流下で2時間加熱した。次いで530gのエタノール/水(80/20重量%)の混合物を常圧及び86℃のヘッド温度で留去した(R/D1:3、持続時間:約80分)。試料の1つをボールチューブ蒸留によって精製し、ガスクロマトグラフィーによって分析し、それによって10重量%の無水シトラコン酸と89重量%のシトラコン酸ジエチルエステルが見いだされた。
【0242】
次いで、さらなる230gのエタノールを加え、84℃のヘッド温度にて還流下で1時間加熱した。次いで、170gのエタノール/水(90/10重量%)の混合物を留去した(R/D1:3、持続時間:約40分)。試料の1つをボールチューブ蒸留によって処理し、ガスクロマトグラフィーによって分析して、5重量%の無水シトラコン酸と95重量%のシトラコン酸ジエチルエステルを見いだした。
【0243】
再び、140gのエタノールを加え、還流下で1時間加熱し、110gのエタノール/水(90/10重量%)の混合物を留去した(R/D1:3、持続時間:約25分)。試料をボールチューブ蒸留によって処理し、ガスクロマトグラフィーによって分析した。これによって2重量%の無水シトラコン酸と96重量%のシトラコン酸ジエチルエステルを明らかにした。
【0244】
次いで、反応生成物を室温に冷却し、400gのMTBEを加えた後、400gの水で洗浄した。次いで、強力な二酸化炭素の展開のもとで、有機相を先ず飽和重炭酸ナトリウム溶液で3回洗浄し、次いで400gの5重量%の生理食塩水溶液で洗浄した。相分離の後、合計1,970gの水性相(廃水分画I、pH6)及び1,140gの有機相が存在した。
【0245】
10%の有機相を蒸留によって処理し、ガスクロマトグラフィーによって分析した:収量:74g(71%の理論値);純度:99%シトラコン酸ジエチルエステル。
【0246】
【数5】
【0247】
KPG撹拌棒と15-Vigreuxカラムとカラムヘッドを伴った2リットルの三つ口フラスコにて、MTBEにおける1,100gのシトラコン酸ジエチルエステル(段階3の原産物)を入れ、150℃の槽温度及び50~80mbarで溶媒を留去した。このように約320gのMTBEが得られ、それを再び使用することができた(以下を参照のこと)。次いで、それをおよそ80℃に冷却し、空気にさらし、撹拌しながら8g(31ミリモル)のヨウ素と混合した。それを190℃まで1時間加熱した。試料の1つをボールチューブ蒸留によって精製し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、72.9重量%のメサコン酸ジエチルエステルと1.1重量%のイタコン酸ジエチルエステルと25.9重量%のシトラコン酸ジエチルエステルが見いだされた。
【0248】
メサコン酸エステルの比率が依然として80重量%を下回ったので、反応容器を190℃までさらに1時間加熱した。試料の1つをボールチューブ蒸留によって精製し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、84.6重量%のメサコン酸ジエチルエステルと1.4重量%のイタコン酸ジエチルエステルと13.8重量%のシトラコン酸ジエチルエステルが見いだされた。
【化6】
【化7】
【化8】
【0249】
40~45℃に冷却した後、撹拌しながら320gの再使用のMTBEを加え、それを300gの40%w/wの亜硫酸水素ナトリウム溶液で4回、300gの5%w/wの重炭酸ナトリウム溶液で1回、及び300gの10%w/wの塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、相分離は5分以内に生じた。合計約1,800gの水性相(廃液分画II、pH4)及び約1,000gの有機相が得られた。表1に従って10cmのヌーディストカラムを用いて約1,000gの量で生成物をきれいにした。
【0250】
【表1】
【0251】
生成物は蒸留の間にピンク色に変わった、または静置すると変色した。エステルを脱色するために、撹拌しながら14gの活性炭をエステルに加え、室温で30分間撹拌し、次いで濾過した。収量は705g(理論の95%)だった。
【0252】
溶媒系による再構成工程(ii)
【0253】
溶媒混合物を用いた改善されたプロセスを以下に記載する。
【数6】
【0254】
Synaloxに1,4-ジオキサンを加えた溶媒混合物を無水イタコン酸からの無水シトラコン酸の製造に使用した。これはさらに大きなやり方でさえ良好な収量を提供する。以下の実施を適用した。
【0255】
無水イタコン酸をジオキサンに入れ、または工程(i)からの残留物として得て(3モル)、390gの1,4-ジオキサンと混合し、滴下漏斗に充填した。
この後、以下で計画された指示に従って工程(ii)を実施する。
【表2】

次いで生成物を回転エバポレーター(60~70℃/100~20mbar)で蒸発させ、296g(GC純度=96.6%)の無水シトラコン酸が85%の収率で得られた。
【0256】
さらなるエステルの製造
【0257】
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステルについて上記で言及されたプロセス例と同様に、さらなるエステルを製造した。特に、メサコン酸のメチルエステル、プロピルエステル及びn-ブチルエステルを合成し、分析した。これは、合計4つの化合物変異体を生じた:
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジメチルエステル、
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジエチルエステル、
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジプロピルエステル、
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジブチルエステル。
【0258】
分光データ
【0259】
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジメチルエステル
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=2.31(d,J=1.6Hz,3H),3.78(s,3H),3.28(s,3H),6.80(q,J=1.6Hz,1H)
13C-NMR(CDCl3,101MHz):δ=167.6(C=O),166.3(C=O),143.7(C),126.5(CH),52.6(CH),51.7(CH),14.3(CH
MS(70eV):158,143,127,113,99.
【0260】
(E)-2-メチル-ブタ-2-エン-ジカルボン酸ジエチルエステル
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=1.32ppm(t,J=7.1Hz,3H),1.33ppm(t,J=7.1Hz,3H),2.29(d,J=1.6Hz,3H),4.23(q,J=7.1Hz,2H),4.26(q,J=7.1Hz,2H),6.78(q,1.6Hz,1H)
13C-NMR(CDCl,101MHz):δ=167.16(C=O),165.97(C=O),143.76(C),126.66(CH),61.57(CH),60.62(CH),14.27(CH),14.20(CH),14.13(CH
MS(70eV):186,157,141,113,99
【0261】
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジプロピルエステル
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=0.98(t,J=7.4Hz,3H),0.98(t,J=7.4Hz,3H),1.79-1.64(m,4H),2.29(d,J=1.6Hz,3H),4.13(t,J=6.5Hz,2H),4.16(t,J=6.5Hz,2H),6.79(q,J=1.6Hz,1H)
13C-NMR(CDCl,100MHz):δ=167.3(C),166.1(C),143.7(C),126.7(CH),67.2(CH),66.3(CH),21.9(CH),21.6(CH),14.3(CH),10.4(CH),10.4(CH
MS(70eV):214,199,185,155,131,96
【0262】
(E)-2-メチル-ブタ-2-エンジカルボン酸ジブチルエステル
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=0.95(t,J=7.3Hz,3H),0.96(t,J=7.3Hz,3H),1.47-1.36(m,4H),1.72-1.61(m,4H),2.29(d,J=1.6Hz,3H),4.18(t,J=6.7Hz,2H),4.20(t,J=6.6Hz,2H),6.77(q,J=1.6Hz,1H)
13C-NMR(CDCl,100MHz):δ=167.3(C),166.1(C),143.7(C),126.7(CH),65.5(CH),64.6(CH),30.5(CH),30.6(CH),19.19(CH),19.18(CH),14.3(CH)13.7(CH
MS(70eV):242,227,213,169,131,68
【0263】
以下の表2は製造されたエステルについてのGCプロファイル及び香料試験の結果を示す。略語DD及びTNは用語「ドライダウン(最終段階の香り)」及び「トップノート(最初の香り)」を表す。
【0264】
【表3】
【0265】
応用実施例
【0266】
【表4】
【0267】
【表5】
【0268】
メサコン酸ジエチルエステルは芳香組成物に容易に且つ安定して組み込むことができ、自然な(natural)果物のような(fruity)及び晴れやかな(radiant)香調を加えた。
【0269】
【表6】
【0270】
【表7】
【0271】
香料組成物へのメサコン酸ジエチルエステル(MSDEE)の添加は清涼感のある(fresher)果物のような香調を生じた。加えて、トップノートはさらに晴れやかになり、エンドノートはさらに養分に富む(nourishing)ものだった。
【0272】
【表8】
【0273】
【表9-1】

【表9-2】
【0274】
香料組成物へのメサコン酸ジエチルエステル(MDSEE)の添加はより自然な円熟した(round)透明感のある(transparent)且つ果物のような香調を生じた。
【0275】
【表10】
【0276】
【表11】
【0277】
メサコン酸ジエチルエステル(MSDEE)の添加はより自然な透明感のある洋ナシに似た(pear-like)及び果物のような香調を生じた。さらに、メサコン酸ジエチルエステルは組成物にさらなる強さ(strength)とふくよかさ(fullness)を付与した。
【0278】
【表12】
【0279】
【表13-1】

【表13-2】
【0280】
シャンプーにおける0.5%の香油の用量で、以下の結果が得られた:香油G2へのメサコン酸ジエチルエステル(MSDEE)の添加は晴れやかな果物のような特徴を強化した。加えて、拡散性が増した。
【0281】
【表14】
【0282】
【表15】
【0283】
【表16】
【0284】
【表17】

製造技法
パートA:およそ85℃まで加熱。
パートB:およそ85℃まで加熱。BをAに加える。撹拌しながら冷却する。
パートC:加え、次いで均質にする。
【0285】
【表18】

Covaquat16以外の混合パートA、B及びCを一緒に混合し、80℃で20分間加熱した。生成物が均質であることを経て、それを冷却させた。50℃でCovaquat16を加えた。生成物が増粘し始めたら、撹拌を止めた。室温でNHOHを加え、均質化されるまで撹拌した。
【0286】
【表19】

ろうそくワックスを融解し、撹拌した。香油を加え、よく撹拌した。所望の金型に注いだ。
【0287】
【表20】
【0288】
メサコン酸ジエチルエステルとの調和は、自然で強力な洋ナシに似た印象を与えた。
【0289】
【表21-1】

【表21-2】
【0290】
ベースノートは、メサコン酸ジエチルエステルによって、明らかにさらに洋ナシに似たものになっていた。
【0291】
【表22-1】

【表22-2】
【0292】
メサコン酸ジエチルエステルによるさらに強い果物のような洋ナシの匂い。
【0293】
【表23】

表中:
(1)値が高ければ高いほど嗅覚性能も高い。
(2)匂いを感知できない対象の比率。
(3)値が高ければ高いほど水溶性も高い。
(4)値が高ければ高いほど極性は低い。
(5)値が高ければ高いほど揮発性も高く、値が低ければ低いほど接着性が高い。
(6)分類:高い-中程度-低い
(7)標準:リナロール(値=5)
(8)スケール1(強力な不快な匂い)から7(不快な匂いはない)まで
(9)スケール1(匂いなし)から9(強力な匂い)まで。
【0294】
実施例15:安定性試験
【0295】
メサコン酸ジエチルエステル(MSDEE)を60℃及び5barの圧力での極端な条件下にて、それぞれ単独で、または種々の製剤の成分として、それぞれ24及び72時間保存した。次いで活性物質の残っている量を測定した。結果を以下の表3に要約する。
【0296】
【表24】