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特許6990709移動可能な蓋を備える冷蔵商品販売保存ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】移動可能な蓋を備える冷蔵商品販売保存ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20220104BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A47F3/04 E
F25D23/02 303J
F25D23/02 303M
F25D23/02 303L
F25D23/02 302
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019540494
(86)(22)【出願日】2017-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017073591
(87)【国際公開番号】W WO2018069004
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】16193352.8
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519130306
【氏名又は名称】レーハウ - ベール エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オレセン、サレン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196313(JP,A)
【文献】特開平10-113258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0190619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0224544(US,A1)
【文献】米国特許第02192519(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02645025(EP,A2)
【文献】国際公開第97/019621(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00- 3/14
F25D23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品などの展示及び販売のための冷蔵商品販売保存ユニット(1)であって、前記保存ユニット(1)は、実質的に長方形の頂部開口部(3)を有する保存コンパートメント(2)を有し、また前記保存ユニット(1)はさらに、前記コンパートメント(2)へのアクセスを提供可能にするように前記保存ユニット(1)を開放するために移動可能に配置される複数の蓋(5)を含むカバー(4)を有し、前記カバー(4)は、前記開口部(3)の2つの対向する側部の間に配置される2以上の設置レール(8、8a)を備えたレール・システムを備え、各レール(8、8a)は、前記蓋(5)の縁部(5a)を受け入れるための複数の細長い略U形のトラック(9)を有する、冷蔵商品販売保存ユニット(1)において、
前記蓋(5)の各々は、互いに隣接する第1及び第2のレール(8、8a)の間に取り付けられるように配置され、前記第1のレール(8、8a)は第1のトラック(9a)を有し、前記第2のレール(8、8a)は第2のトラック(9b)を有し、前記第1及び第2のレール(8、8a)は、前記蓋(5)の反対側の縁部(5a)が、実質的に前記蓋(5)の平面内の、前記第2のレール(8、8a)の前記第2のトラック(9b)に隣接する位置へと旋回され得るようになるまで、前記蓋(5)の縁部(5a)を隣接する前記第1のレール(8、8a)の前記第1のトラック(9a)の内側へ移動させることによって、前記蓋(5)が取り付け可能であるように配置され、それにより前記蓋(5)の前記反対側の縁部(5a)は前記第2のトラック(9b)の内側に挿入されることができ、またそれにより前記蓋(5)は前記2つの隣接するレール(8、8a)の間に移動可能に取り付けられることができ、また
前記保存ユニット(1)はさらに、前記第1のトラック(9a)又は前記第2のトラック(9b)と、前記蓋(5)との近傍に設けられるリテーナ装置(11)を有し、それにより前記蓋(5)は当該トラック(9a、9b)内で保持され、前記リテーナ装置(11)は、前記蓋(5)に固定されるラッチ(11a)と、当該トラック(9a、9b)に固定される突出部(11b)とを有し、前記ラッチ(11a)及び前記突出部(11b)は、前記トラック(9a、9b)から離れる方向に前記蓋(5)に対して横方向の引き抜き力を適用したとき、前記ラッチ(11a)及び前記突出部(11b)が当接を強いられて保持力を発生させ、それにより前記蓋(5)及び前記トラック(9b)の分離が防止されるように配置され、前記突出部(11b)又は前記ラッチ(11a)のいずれかが弾性可撓性材料で作られ、それにより前記蓋(5)の前記縁部(5a)は、前記ラッチ(11a)を前記蓋(5)の表面(6’、6”)の方に湾曲させること又は前記突出部(11b)を前記突出部(11b)が突出している前記トラック(9)の側部(10’、10”)の方に湾曲させることによって、前記トラック(9)内に挿入されることができる、
冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項2】
前記ラッチ(11a)及び前記突出部(11b)は、前記蓋(5)の前記縁部(5a)が前記トラック(9)内に入るのを可能にするために弾性的に変位可能である、請求項1に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項3】
前記第1のトラック(9a)が深いトラックであり、前記第2のトラック(9b)が浅いトラックであり、前記深いトラック(9a)は前記浅いトラック(9b)より深く、前記リテーナ装置(11)は前記第の浅いトラック(9b)の近傍に設けられる、請求項1又は2に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項4】
前記第1のトラック(9a)が深いトラックであり、前記第2のトラック(9b)が浅いトラックであり、前記深いトラック(9a)は前記浅いトラック(9b)より深く、前記リテーナ装置(11)が、前記第2の浅いトラック(9b)及び前記第1の深いトラック(9a)の両方の近傍に設けられている、請求項1又は2に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項5】
前記突出部(11b)は、前記トラック(9)の側部(10’、10”)から内側の方に概ね垂直に延びている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項6】
各ラッチ(11a)は、前記蓋(5)の第1の表面(6’、6”)に取り付けられ、そして前記蓋(5)の第2の表面(6’、6”)の方へと前記蓋(5)の前記縁部(5a)の周りに延び、さらに前記蓋(5)の前記第2の表面(6’、6”)から、前記蓋(5)から離れて前記蓋(5)の前記第2の表面(6’、6”)の上方の位置に向かって突出している、請求項1から5までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項7】
各レール(8、8a)は、複数のトラック(9)を有する外形として形成され、前記複数のトラック(9)は垂直方向の列内で互いの上に配置される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項8】
前記垂直方向のトラックの列(9)は、深いトラック(9a)又は浅いトラック(9b)のいずれかのみを有する、請求項7に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項9】
各蓋(5)は、前記垂直方向のトラックの列(9)内の別個のトラック(9)内に移動可能に取り付けられる、請求項7又は8に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項10】
前記コンパートメント(2)は、互いに対向する第1及び第2の長い側部(2a)と、互いに対向する第1及び第2の短い側部(2b)とを有し、前記2以上のレール(8、8a)は、前記第1の長い側部(2a)から前記第2の長い側部(2)まで、前記コンパートメント(2)の前記2つの長い側部(2a)の間に延び、前記コンパートメント(2)は、前記コンパートメント(2)の前記長い側部(2a)に対して垂直な方向に前記蓋(5)を押すことによって開閉される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項11】
前記カバー(4)は、前記頂部開口部(3)を覆う長手方向の3列の蓋(5)を有し、前記長手方向の3列の蓋(5)のうちの1つの長手方向の列は、前記頂部開口部(3)の幅の概ね1/3を覆うように前記コンパートメント(2)の前記2つの短い側部(2b)の間に延びる固定カバー・プレートを有する、請求項10に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項12】
前記コンパートメント(2)は、互いに対向する第1及び第2の長い側部(2a)と、互いに対向する第1及び第2の短い側部(2b)とを有し、前記2以上のレール(8、8a)は、前記第1の短い側部(2b)から前記第2の短い側部(2b)まで、前記コンパートメント(2)の前記2つの短い側部(2b)の間に延び、前記コンパートメント(2)は、前記コンパートメント(2)の前記長い側部(2a)に平行な方向に前記蓋(5)を側方に摺動させることによって開閉される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項13】
前記コンパートメント(2)の前記長い側部(2a)の近傍の前記2以上のレール(8、8a)は浅いトラック(9b)のみを有している、請求項12に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項14】
前記蓋(5)は透明である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【請求項15】
前記カバー(4)は湾曲形状を有するように提供される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の冷蔵商品販売保存ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動可能に移動可能な蓋を備える長方形の頂部開口部を備える冷蔵庫又は冷凍庫などの冷蔵商品販売保存ユニット(refrigerated merchandising storage unit)に関するものであり、蓋は側方に又は前後に移動させられることができ、それにより冷却コンパートメント内への開口部が作られる。
【背景技術】
【0002】
冷蔵展示保存ユニット(refrigerated display and storage unit)は、典型的には、食品を提示するためにスーパーマーケットなどで使用され、また典型的には透明の蓋で覆われた頂部開口部を有し、それにより客は好みの食料品を容易に見つけることが可能となる。蓋は多様な手法で動かされることができ、それにより客は食料品にアクセス可能となる。ドアのように蓋を動かすことによりコンパートメント(区画室)にアクセス可能となるように、すなわちヒンジを使用して蓋の一方側を例えば保存ユニットに取り付けるように、蓋を設置することが知られている。他の方法には、摺動可能な蓋を使用することが含まれる。これらの摺動可能な蓋が、隣り合う蓋の下又は上を、或いはコンパートメントの固定のカバー・セクションの下を摺動することにより、側方又は前方に動かされ得る。一般には、透明の蓋がフレーム内に固定可能に設置され、フレームがさらにトラック(走行部)内に摺動可能に設置される。この例は米国特許出願公開第2002/0190619号及び米国特許出願公開第2009/0224544号により知られている。蓋はさらにトラック内に直接設置されてもよく、トラックの表面の上に摺動可能に載置されることができる。トラックから外れるのを防止するために、レールが互いの方に向かって押され、それにより蓋を取り囲むことができ、したがって蓋を交換する場合にはレールを又はレールの一部分を移動させる必要がある。この例が国際公開第97/19621号により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2002/0190619号
【文献】米国特許出願公開第2009/0224544号
【文献】国際公開第97/19621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、必要な労力を最小にする単純な操作により容易に装着及び交換され得る蓋を有する冷蔵保存ユニット(冷蔵庫ユニット)を提供することである。本発明の第2の目的は、最小量の要素を有し、したがってコンパートメント内の中身の視認性を最大にするのを可能にする実質的にフレームレスの蓋を有する冷蔵保存ユニットを提供することである。
【0005】
しかしながら、設置するときに蓋をトラック内に適切に保持し損ねると、蓋が使用時にトラックから分離する危険がある。蓋及びトラックは離れることができ、蓋は保存ユニットの中に落下する可能性がある。これは非常に不便である。したがって本発明の別の目的は、分離の危険を低減又は排除するように、トラック内で摺動可能に保持される蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、実質的に長方形の頂部開口部を有する保存コンパートメントを有する、食材などの展示及び販売のための冷蔵商品販売保存ユニットに関連し、ここでは、保存ユニットが、コンパートメントへのアクセスを可能にすることを目的として保存ユニットを開けるために変位可能に配置されるための複数の蓋を有するカバーをさらに備える。カバーが開口部の2つの対向する側部の間に配置される2つ以上の設置レールを備えるレール・システムを装備し、ここでは、各レールが上記蓋の縁部を受けるための複数の細長い概略U形のトラックを有し、ここでは、蓋の各々が互いに隣接する第1及び第2のレールの間に設置されるように配置され、ここでは、第1のレールが第1のトラックを有し、第2のレールが第2のトラックを有し、ここでは、レールが、実質的に蓋の平面内にあって隣接する第2のレールの第2のトラックに隣接する位置まで蓋の反対側の縁部を旋回させることができるようになるまで、第1のトラックの内側で蓋の縁部を変位させることにより蓋を設置するのを可能にするように、構成され、それにより、蓋の上記反対側の縁部が第2のトラックの内側に挿入され得るようになり、それにより蓋が2つの隣接するレールの間に変位可能に設置され得るようになる。保存ユニットが、そのトラック内で蓋を保持するための、上記第1のトラック又は上記第2のトラックと、上記蓋との近くに設けられるリテーナ装置(retainer arrangement)をさらに有し、ここでは、リテーナ装置が、蓋に固定されるラッチと、そのトラックに固定される突出部とを有し、ラッチ及び突出部が、トラックから離れる方向における蓋に対する横方向の引き抜き力の適用時に、ラッチ及び突出部を当接させて保持力を発生させてその結果として蓋及びトラックの分離を防止するように、構成される。突出部又はラッチのいずれかが弾性可撓性材料(resilient flexible material)で作られ、その結果、ラッチを蓋の第2の表面の方に湾曲させるか又は突出部をその突出部が突出しているところのトラックの側部の方に湾曲させることにより、蓋の縁部がトラックの中に挿入され得るようになる。
【0007】
有利には、これにより、対応するトラック内に蓋が設置されるときにラッチ及び突出部が互いに通過し合うようになる。加えて又は別法として、突出部はさらに、蓋をトラックの中に挿入するのを可能にするために、側方に、内側に、又は外側に、曲げられ得るか又は湾曲され得る。本発明の1つ又は複数の実施例では、ラッチさらには突出部が、蓋の縁部をトラックの中に入れるのを可能にするために弾性的に変位可能であってもよい。
【0008】
本発明により、レールが保存ユニットの上に設置された後で蓋がトラック内に容易に設置され得るようにすることが達成される。各レールが2つ又は3つの細長い概略U形のトラックを有することができ、各トラックが蓋の縁部を受けるように構成され得る。リテーナ装置が、誤って蓋が浅いトラックからスリップして外れないようにするのを保証し、蓋を設置するための深いトラックと浅いトラックとの上述の組み合わせを実際的に使用するのを可能にする。蓋が、蓋の平面に平行に方向付けられる方向に沿って変位させられ得る。コンパートメントが食材及び食料雑貨品などの要素を保存するのに利用され得、蓋が、これらの要素に対して客がアクセスするのを可能にするように変位させられ得る。
【0009】
1つ又は複数の実施例では、第1のトラックが深いトラックであり、第2のトラックが浅いトラックであり、ここでは、深いトラックが浅いトラックよりも深く、上記リテーナ装置が上記第1の浅いトラックの近くに設けられる。
【0010】
本発明の好適な実施例では、深いトラックが、深いトラックに固定される対応する突出部を装備し、蓋が、リテーナ装置内で深いトラックの突出部と協働するように構成されるラッチをさらに備える。蓋の反対側の各側部にリテーナ装置を提供することにより、蓋が、トラックのうちの1つのトラックとの係合を解除することなく及び保存コンパートメントの中に落下する危険をなくして、トラックを有する隣接するレールの間の距離の変化に耐えることができるようになる。隣接するレールの間の距離は具体的にはレールが保存ユニットの長手方向に平行に設置されるときに拡大する可能性があり、つまり1つのレールが頂部開口部の一方の側部に沿って存在し、別の1つのレールが頂部開口部の中央の近くに又は中央に存在する場合に、拡大する可能性がある。その理由は、例えば客が保存ユニットの側部の上に寄り掛かるときに、保存ユニットの長手方向の側部が通常は前後に移動する可能性があるからである。蓋の対向する両側部のところにあるリテーナ装置が、蓋により隣接するレールの間の距離の変化量の範囲を定めるのを可能にしてそれにより蓋が誤ってレールから外されるのを防止する。
【0011】
リテーナ装置の突出部が、好適な実施例では、トラックの側部から内側に概して垂直に延在する。
【0012】
ラッチが、好適には、蓋の第1の表面に取り付けられて蓋の第2の表面の方に向かって蓋の縁部の周りを延在し、さらに蓋の第2の表面から、蓋から離れて蓋の第2の表面の上方の位置に向かって突出する。このようにして、ラッチが蓋の縁部のところで蓋に対して堅固に固着され得るようになる。
【0013】
好適には、接着剤を使用することによりラッチが蓋に固定可能に取り付けられる。本発明の特定の実施例では、ラッチさらには突出部が、蓋の設置中に互いに通過し合いながら共に湾曲するか又は曲がるための可撓性を有するように構成される。
【0014】
蓋が、好適には、トラックの内側表面の少なくとも一部分の上で摺動可能に支持され、その結果、蓋を定位置で支持することにおいてトラックの外部には部品が必要なくなる。
【0015】
レールが、好適には、具体的には2つ又は3つのトラックなどの、複数のトラックを有する外形として形成され、これらのトラックが垂直方向の列の互いの上に配置される。
【0016】
さらに、レールのうちの1つ又は複数のレールが、連続するように配置されて互いに固定される2つの垂直方向の列のトラックを有する外形として形成され得る。
【0017】
レール内に含まれる上記垂直方向の列のトラックが、好適な実施例では、深いトラック又は浅いトラックのいずれかのみを有する。加えて、蓋を設置するための隣接するレール内に含まれるトラックが深いトラックのみであってもよい。別法として、レール内の上記垂直方向の列のトラックが深いトラック及び浅いトラックの両方を有してもよい。
【0018】
深いトラックの深さは好適には25~50mmの範囲内にあり、好適には30~40mmの範囲内にある。
【0019】
浅いトラックの深さは好適には5~25mmの範囲内にあり、好適には10~20mmの範囲内にある。
【0020】
本発明の特定の実施例によると、各蓋が垂直方向の列のトラックの中の別個のトラック内に変位可能に設置され、つまり、カバーの蓋がトラックを共同使用しない。
【0021】
1つ又は複数の実施例では、保存ユニットのカバーの2つ以上のレールが、第1の長い側部から第2の長い側部まで、コンパートメントの2つの長い側部の間を延在することができ、ここでは、コンパートメントの長い側部に対して垂直な方向に蓋を押すことによりコンパートメントが開閉される。本発明の特定の実施例では、カバーが、頂部開口部を覆う3つの長手方向の列の蓋を有し、これらのうちの1つの長手方向の列が、頂部開口部の幅の概して1/3を覆ってコンパートメントの2つの短い側部の間を延在する固定のカバー・プレートを有する。カバー・プレートが好適には透明である。
【0022】
別の実施例によると、2つ以上のレールが、第1の短い側部から第2の短い側部まで、コンパートメントの2つの短い側部の間を延在し、コンパートメントの長い側部に平行な方向において蓋を側方に摺動させることによりコンパートメントが開閉される。コンパートメントの長い側部の近くの2つ以上のレールが好適には浅いトラックを有し、その結果、これらのレールがスリムになるように設計され得、保存コンパートメントに対しての客の視覚的アクセス及び手によるアクセスを最大限に広範にするのを可能にする。この実施例によるカバーは好適には2つの列の変位可能な蓋を有し、ここでは、各列がコンパートメントの長い側部に隣接する。
【0023】
蓋が好適には透明である。カバーが平面形状として形成され得、好適には実質的に垂直面となるように方向付けられ、代替的実施例では、カバーが湾曲形状を有するように形成される。
【0024】
対応して、本発明はまた、変位可能に設置される複数の蓋と、複数の概略U形のトラックを有するレール・システムと、トラックの近くに設けられるリテーナ装置とを有するカバーを有する冷蔵商品販売保存ユニットに関連し、ここでは、各リテーナ装置が、弾性可撓性材料で作られて変位可能な蓋に取り付けられるラッチと、トラックの側部に取り付けられる突出部とを有し、ここでは、ラッチ及び突出部が、浅いトラックから離れる方向における蓋に対する横方向の引き抜き力の適用時に、ラッチ及び突出部を当接させて保持力を発生させてその結果として蓋及び浅いトラックの分離を防止するように、構成される。
【0025】
さらに、本発明は、冷蔵商品販売保存ユニット内において2つの隣接するレールの間に変位可能な蓋を設置するための方法に関連し、ここでは、第1のレールが深いトラックを有し、第2のレールが浅いトラックを有し、この方法が:
深いトラックの内側で蓋の縁部を変位させるステップと、
蓋の反対側の縁部を、隣接する第2のレールの浅いトラックに隣接する位置まで旋回させるステップと、
蓋の上記反対側の縁部を浅いトラックの内側に挿入するステップであって、その結果、蓋が2つの隣接するレールの間に変位可能に設置される、ステップと
を含む。
【0026】
この方法によると、蓋がさらに、リテーナ装置を使用することにより2つの隣接するレールの中で変位可能に保持され得、このリテーナ装置が、蓋に取り付けられるラッチと、トラックに取り付けられる突出部とを有し、ここでは、ラッチ又は突出部のいずれかが可撓性であり、ここでは、変位可能な蓋を設置するためのこの方法が:
可撓性のラッチ又は突出部を湾曲させるようにするステップであって、その結果、トラックの開口部のサイズが拡大する、ステップと、
トラックの開口部を通るように蓋の縁部を通過させるステップであって、その結果、蓋の縁部がトラックの内側に配置される、ステップと、
可撓性のラッチ又は突出部に作用する力を解除するステップであって、その結果、蓋がトラック内で変位可能に保持される、ステップと
をさらに含む。
【0027】
この方法の商品販売保存ユニットは上で開示される商品販売保存ユニットであってもよい。
【0028】
以下、本発明の実施例を示す添付図面を参照して、本発明のいくつかの観点を説明する。図面の図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】スライド構成として構成される、蓋を備えたカバーを有する冷蔵商品販売保存ユニットを示す斜視図である。
図2図1に示される冷蔵商品販売保存ユニット内の2つの隣接するレール内に設置された2つの蓋を示す断面図である。
図2a】隣接するレール内に蓋を設置する方法を表す、図1に示される冷蔵商品販売保存ユニットの斜視図である。
図2b図1に示されるような、浅いトラック内に設置された蓋の詳細斜視図である。
図3図1に示されるような、スライド構成の、浅いトラック内に設置された蓋の詳細断面図である。
図4図1に示されるような、スライド構成の、深いトラック内に設置された蓋の詳細断面図である。
図5】プッシュ構成として配置された、蓋を備えたカバーを有する冷蔵商品販売保存ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び5は、食材などを保存するのに使用され得る保存コンパートメント2を有する冷蔵商品販売保存ユニット1の2つの実例を斜視図でそれぞれ示す。コンパートメント2は、両方の実例で箱として、好適には長方形の箱として成形され、これは底部と、2つの平行な長い側部2aと、2つの平行な短い側部2bとを有し、実質的に長方形の垂直方向の頂部開口部3を提供する。
【0031】
図1では、頂部開口部3が、コンパートメント2の縁部のところにある、コンパートメント2の長い側部2aに沿った2つのレール8と、それらの間に配置される、コンパートメント2の一方の短い側部2bからコンパートメント2の反対側の短い側部2bまで延在する中央レール8aとを有するカバー4を有するように構成され、それによりコンパートメント2の頂部開口部3は概して等しいサイズの2つの長手方向開口部へと分割される。頂部開口部3は、隣接するレール8、8a内に各々設置される8つの透明の蓋5によって覆われる。各蓋5の反対側の実質的に平行な2つの縁部5aが、2つの隣接するレール8、8aの2つの隣接するトラック9a、9b内に摺動可能に設置され、それにより蓋5の縁部5aが客によってコンパートメント2の長い側部2aに平行な方向に摺動させられて動かされることができ、保存コンパートメント2へのアクセスが可能となる。蓋5は、開位置又は閉位置に、或いはそれらの間の位置に配置されることができ、またハンドル7が蓋5に取り付けられ、それによりレール8、8aに沿って蓋5を容易に動かすことが可能とされる。4つの蓋5が各長手方向の開口部を覆い、これらの4つの蓋5が中央レール8aの各側に対称な構成として設置される。中央レール8aの各側において、2つの蓋5が頂部側トラック9内に、残りの2つの蓋5が底部側トラック9内に、交互の構成で設置される。本実施例では、蓋5及びレール8、8aが湾曲しており、それにより図1~5に示されるようにカバー4及びコンパートメント2によって取り囲まれる余裕分のスペースを提供している。
【0032】
図2図1の冷蔵商品販売保存ユニット1の断面図を示す。コンパートメント2の長い側部2aの近くにあるレール8はE形の外形であり、各々が2つのトラック9bを提供し、対して、コンパートメント2の長い側部2aの間で、頂部開口部3の中央に配置される中央レール8aは、中央セクションの各側に構成される2つのE形の外形を有するような中央セクションを有する外形であり、それにより蓋5が中央レール8aの各側に設置され得る。これが図2に示される。図2はさらに、保存ユニット1の長い側部2aの近くで、すなわち保存ユニット1を使用する客の位置の近くで、蓋5を介しての視認性をレール8により大きくするのを可能にすることを目的として、コンパートメント2の長い側部2aの近くのレール8がどのような形で浅いトラック9bを有するのかを示す。対応する形で、頂部開口部3の中央付近の中央レール8aが深いトラック9aを有する。隣り合う蓋5が別個のトラック9a、9b内に摺動可能に設置され、それにより蓋5がコンパートメント2の長い側部2aに平行な方向に独立して動かされることができる。
【0033】
図2で見ることができるように、蓋5を設置するための2つの隣接するトラック9a、9bが異なる深さを有している。1つのトラック9aが深いキャビティを有し、深いトラック9aと称され、残りのトラックが浅いキャビティを有し、浅いトラック9bと称される。異なる深さのトラック9a、9bのこの構成は、保存ユニット1の上にレール8、8aを設置するときに蓋5を設置するのを可能にし、具体的には蓋5が上方又は下方から設置され得る。カバー4の中に蓋5を設置するこの方法における蓋5の移動が、図2aで、参照符号を付された矢印(X、Y、及びZ)によって示される。蓋5の設置は、最初に蓋5の縁部5aを深いトラック9aの中に挿入し、そして蓋5を方向Yに降下させて蓋5の反対側の縁部5aを方向Zにおいて浅いトラック9bの中へと押して蓋5の反対側の縁部5aが反対側の浅いトラック9bの中に挿入され得るようになるまで蓋5の縁部5aを深いトラック9aの中へと方向Xに押すことによってなされる。深いトラック9aの深さAが約35mmの深さであり、対して浅いトラック9bの深さBが約12.5mmである。シール12が頂部側トラック9内に配置される各蓋5の下側表面6”上に設けられ得る(図2bを参照)。各シール12が、蓋5を設置しているところの隣接するトラック9a、9bの間を、蓋5の下側表面6’’から、底部側トラック9a、9b内に設置される隣り合う蓋5の上側表面6’に向かって、概して延在することができる。浅いトラック9b及び深いトラック9aのより詳細な図が図3及び4でそれぞれ見ることができる。これらの図はさらに、トラック9から蓋5がずれるのを防止し、また同時にトラック9の長手方向の延在部分に沿って蓋5が摺動するのを可能にするリテーナ装置11により、蓋5が、隣接するトラック9a、9b内で維持されていることを示す。本実施例では、リテーナ装置11が深いトラック9a及び浅いトラック9bの両方によって提供され、実質的に、弾性のラッチ11a、及び突出部11bを有する。ラッチ11aは、トラック9a、9b内に配置される蓋5の縁部5aに固定されるように、好適には接着剤を使用して、第1の部分を蓋5の下側表面6”に並列に当接させてその下側表面6”に固定するように成形される。ラッチ11aは、蓋5の下側表面6”から、蓋5の縁部5aの周りを、蓋5の上側表面6’の中央に向かって内側に、また同時に蓋5の上側表面6’から離れる方向に上方へと延在し、それにより、蓋5の縁部5aの近くの位置で測定して、蓋5の上側表面6’とラッチ11aとの間に約45度の角度が得られる。蓋5の下側表面6”のところのラッチ11aの第1の部分は、トラック9の下側部10”に摺動可能に当接される下側表面を提供する。リテーナ装置11は、トラック9内に設置されることになる蓋5の各縁部5aの全体に沿うように提供され得、又は蓋5の縁部5aに沿う散在的な位置のところに提供され得る。本実施例では、リテーナ装置11が、蓋5の各縁部5aに沿って、蓋5の縁部5aの各端部から一定の距離の範囲内に提供され得る。
【0034】
この外形(プロファイル)は、トラック開口部10aの近くの、トラック9の上側のところに位置する突出部11bを有する。突出部11bが内側に突出し、トラック9内の断面高さより小さいトラック開口部10aの断面高さを提供する。蓋5が設置されているとき、図2、3、及び4で見られるように、ラッチ11aが突出部11bの下側縁部の上方の位置まで上方に延在する。トラック9から離れる方向に蓋5に加えられるいかなる横方向の力もラッチ11aを突出部11bに当接させることになり、また可能性としてトラック9の上側部10’の内側に当接させることにもなり、それによりラッチ11aをトラック9内で保持し、蓋5のさらなる横方向の移動の一切を防止する。加えて、凹部がトラック9の上側部10’の内部表面内に提供され得、それによりラッチ11aの自由端部を受けてラッチ11aがトラック9内の特定の位置で保持される。
【0035】
突出部11bの存在を原因としてトラック開口部10aの断面高さがトラック9内の断面高さより小さいことから、弾性のラッチ11aを蓋5の上側表面6’の方に湾曲させ、それによりトラック開口部10aを通してラッチ11a及び蓋5の縁部5aを嵌合するのを可能する程度まで、ラッチ11aを取り付けられた状態の蓋5の縁部5aの総断面積を減少させることにより、蓋5がトラック9内に設置される。ラッチ11aがトラック開口部10aを通過してトラック9の内側に配置されると、ラッチ11aに作用する力が低下し、又は解除され、ラッチ11aが図2、3、及び4で見ることができるその元に位置により近い位置をとるようになる。
【0036】
代替的実施例では、ラッチ11aではなく突出部11bが弾性を有するように構成されてもよく、又はラッチ11aさらには突出部11bが蓋5の縁部5aをトラック9の中に入れるのを可能にするために弾性的に変位可能であってもよい。
【0037】
別の代替的実施例では、蓋5を設置するための隣接するレール8、8aのすべて又は一部が深いトラック9aのみを有することができ、ここでは、各深いトラック9aの近くに設けられるリテーナ装置11を使用して蓋5が深いトラック9の中で保持される。
【0038】
図5に示される冷蔵の保存ユニット1は、図1~4に関連して説明した冷蔵商品販売保存ユニット1に関連して説明した技術的特徴と実質的に等しい技術的特徴を有するが、蓋5がスライド構成ではなくプッシュ構成として設置される点で異なる。図5は、4つの蓋5と、3つのレール8、8aとを有するカバー4を備えた冷蔵商品販売保存ユニット1を示しており、3つのレール8、8aは、実質的にコンパートメント2の短い側部2bに平行であり且つコンパートメント2の長い側部2aに対して垂直である方向に蓋5を移動可能にするように構成されている。蓋5は、開位置又は閉位置に、或いはそれらの間の位置に配置されることができ、ハンドル7が蓋5に取り付けられ、それによりレール8、8aに沿って蓋5を容易に移動させることを可能にしている。2つのレール8がコンパートメント2の短い側部2bの縁部に沿って配置され、対してそれらの間で第3のレール8aが概略中央の位置に配置され、それにより頂部開口部3が概して等しいサイズの2つの開口部へと分割される。4つの蓋5が中央レール8aを中心として対称な構成として設置される。各側において、2つの蓋5が別個のトラック9内に設置され、つまり1つの蓋が頂部側トラック9内に設置され、もう一方の蓋5が底部側トラック9内に設置され、それにより蓋5が独立して移動させられ得る。図1~4に示される構成と同様に、図5の蓋5は、リテーナ装置11を使用してレール8、8aのトラック9内に移動可能に設置され、さらに1つのトラック9は、隣接するトラック9よりも深く、したがって蓋5は、保存ユニット1の上に既に設置されているレール8、8a内に設置されることができ、具体的には上方又は下方から設置されることができる。別法として、蓋5の一部又はすべてが、深いトラック9aのみを有する隣接するレール8、8a内に設置されてもよく、ここでは、深いトラックがリテーナ装置11を備えている。
【0039】
ラッチ11aを蓋5の表面6’の方に押し込んでそれにより蓋5の縁部5aをトラック9から分離するのを可能にするのに使用され得るツールを使用することにより、蓋5がレール8、8aから取り外され得る。ラッチ11aを蓋5の表面6’の方に押し込むこと及びトラック9から離れる方向に蓋5に横方向の力を加えることを同時に行うことにより、取り外しが達成される。ツールは、好適には、トラックの側部10’、10”と蓋5との間においてツールをトラック9の中に入れるのを可能にするのに十分な小ささの厚さを有する。さらに、ツールは、好適には、ラッチ11aの上側にアクセスしてラッチ11aの上側に対して蓋5の方に力を加えることが可能となるように成形される。1つの実施例では、ツールはクレジット・カードなどに類似の形状を有してよい。
【符号の説明】
【0040】
1 冷蔵商品販売保存ユニット
2 保存コンパートメント
2a 保存コンパートメントの長い側部
2b 保存コンパートメントの短い側部
3 頂部開口部
4 カバー
5 蓋
5a 蓋の縁部
6’ 蓋の上側表面
6” 蓋の下側表面
7 ハンドル
8 レール
8a 中央レール
9 トラック
9a 深いトラック
9b 浅いトラック
10’ トラックの上側部
10” トラックの下側部
10a トラック開口部
11 リテーナ装置
11a ラッチ
11b 突出部
12 シール
A 深いトラックの深さ
B 浅いトラックの深さ
X 深いトラックに向かう方向
Y コンパートメントの底部に向かう方向
Z 浅いトラックに向かう方向
図1
図2
図2a
図2b
図3
図4
図5