(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】少なくとも1種のGNRHアンタゴニストを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/08 20190101AFI20220127BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220127BHJP
C07K 7/23 20060101ALN20220127BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
A61K38/08 ZMD
A61P13/00
A61P15/00
A61P43/00 111
A61P35/00
C07K7/23
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2019561382
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(86)【国際出願番号】 IB2018050559
(87)【国際公開番号】W WO2018138703
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-28
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519275607
【氏名又は名称】アンテヴ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン, フィン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-504787(JP,A)
【文献】特表2005-511491(JP,A)
【文献】Journal of Controlled Release,2003年,Vol.89,pp.297-310
【文献】臨床と研究,1998年,Vol.75, No.9,pp.2051-2052
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 45/00-45/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴナドトロピンホルモンの放出に関係する状態又は疾患の治療で使用するためのテベレリクストリフルオロ酢酸塩を含む組成物であって、前記組成物の投与が、治療有効量の第1のテベレリクストリフルオロ酢酸塩を第1の投与経路を通して、及び治療有効量の第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩を第2の投与経路を通して、独立に投与することを含み、第1の及び第2の投与経路が異なり、第1の及び第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩が、実質的に同時又は24時間以内の期間内に投与され、第1の投与経路が皮下であり、第2の投与経路が筋肉内である、組成物。
【請求項2】
第1のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の治療有効量及び第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の治療有効量が、それぞれ約30mgから約240mgの範囲の用量のテベレリクストリフルオロ酢酸塩、好ましくはそれぞれ約90mgの投与量のテベレリクストリフルオロ酢酸塩を独立に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1の及び第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の投与が、約60mgから約480mgの合計用量で投与された場合に、少なくとも約10ng/mLの最高血漿中濃度(Cmax)及び約100ng
*h/mLから約8,000ng
*h/mLの時間0から時間tまでの血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC
(0-t))を生じ、tが少なくとも約28日である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
約120mgから約240mgの合計用量が投与された場合に、第1の及び第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の投与が、少なくとも約15ng/mLのCmax、及び約1,000ng
*h/mLから約3,000ng
*h/mLのAUC
(0-t)を生じ、tが少なくとも約28日である、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
第1の及び第2のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の投与が、
約240mgの合計用量、及び約28日の投与間隔で投与された場合に、少なくとも約19ng/mLのCmax及び約1,000ng
*h/mLから約3,000ng
*h/mLのAUC
(0-t)を生ずる、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
投与が、治療有効量のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の追加の投与量を、少なくとも約28日の投与間隔で投与することを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
治療有効量のテベレリクストリフルオロ酢酸塩の追加の投与量が、約90mgのテベレリクストリフルオロ酢酸塩である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
テベレリクストリフルオロ酢酸塩が、結晶の形態を含み、結晶の形態が、液体中に懸濁されており、好ましくは、液体中の微結晶性の懸濁液である、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
治療有効量の組成物の投与後、対象における少なくとも約9ng/mLの血漿中テベレリクス濃度が提供される、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
治療有効量の組成物の投与後、対象における少なくとも約19ng/mLのテベレリクスの最高血漿中濃度(Cmax)が得られる、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
対象における時間0から時間tまでのテベレリクスの血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC
(0-t))が、少なくとも約1,000ng
*h/mLであり、tが第1の投与及び第2の投与後少なくとも約28日である、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
対象における血漿中テベレリクス濃度を、筋肉内投与及び皮下投与後約24、48、又は72時間からテベレリクストリフルオロ酢酸塩の追加の投与まで、少なくとも約5ng/mL超に維持するために構成されている、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
状態又は疾患が、良性の前立腺肥大;急性尿閉;子宮内膜症;前立腺、乳房、又は子宮頚がんなどのがん;ホルモンのアンバランス;アンドロゲン過敏状態;エストロゲン過敏状態;又はそれらの組合せから選択される、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の投与が、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC-MS)アッセイにより測定したとき、男性対象における約3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度を提供する、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
約0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度が、男性対象において、組成物の投与後約24、48、又は72時間までに達成される、請求項1から14の何れか一項に記載の組成物。
【請求項16】
対象における血漿中テストステロン濃度が、組成物の投与後約24、48、又は72時間からテベレリクストリフルオロ酢酸塩の追加の投与まで、少なくとも約2ng/mL未満、好ましくは少なくとも約0.5ng/mL未満に実質的に維持される、請求項1から15の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
女性対象における血漿中エストロゲンレベルが、組成物の投与後、前記投与前の血漿中エストロゲンレベルと比較して低下する、請求項1から16の何れか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のGNRHアンタゴニストを含む組成物、及びゴナドトロピンホルモンの放出に関係する状態又は疾患の治療のためのそのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴナドトロピン放出ホルモンのアンタゴニスト(GnRHアンタゴニスト)は、下垂体前葉腺中のその受容体に対する結合について、内因性神経ホルモンGnRH(別名、黄体形成ホルモン放出ホルモン、LHRHとして知られている)と競合する合成ペプチドである。GnRHの作用を弱めるか又は遮断することにより、GnRHアンタゴニストは、卵胞刺激ホルモン(FSH)及び黄体形成ホルモン(LH)などのゴナドトロピンの下垂体前葉腺からの放出を抑制する。
【0003】
FSH及びLHは両方共、正常な生殖機能に関与する。女性では、FSHが、未成熟グラーフ卵胞の増殖を刺激して成熟させるが、LHレベルにおける変化が排卵を制御する。それに対して、男性では、FSHが、精子形成において重要な役割を演じ、LHが精巣におけるテストステロンの生成を刺激する。
【0004】
FSH及びLHの放出の抑制は、ゴナドトロピンの下流作用により媒介される状態又は疾患、例えば前立腺がんなどを治療するために使用することができる。これは、去勢手術などの外科的介入を伴い得、それは不可逆的及び侵襲的であり得る。抑制は、GnRHの作用を弱め、それによりホルモンの下流の分泌を抑制するようにデザインされた治療薬の投与によっても媒介され得る。
【0005】
治療薬の1つの可能性のあるファミリーは、リュープロレリン、ゴセレリン、トリプロレリン、ブセレリン、及びヒストレリンなどのGnRHアゴニストである。GnRHアゴニストは、進行した前立腺がんの治療における去勢手術に対する高度に有効な及び安全な代替法であることが示されている。GnRHアゴニストは、GnRH受容体を過刺激することによりはたらき、それによりゴナドトロピンの初期バーストを生じさせる。この過刺激は負のフィードバックループを生じ、それがGnRH受容体の生成を下方制御し、それにより状態を少なくとも部分的に緩和する。
【0006】
GnRHアゴニストは、しかしながら、それらの使用において固有の欠点を有し得る。例えば、GnRHアゴニストの投与は、ゴナドトロピンの生成における初期バーストを生じさせ得、それにより状態をさらに増悪させる可能性がある。さらに、ゴナドトロピンの抑制の時間スケールは、日のオーダーであり得、アゴニストに対する応答は、通常、用量依存的ではない。GnRHアゴニストの投与は、心臓血管疾患のリスクを増大させ得、それにより、手術を避ける選択により生ずる安全性におけるどのような利益も相殺する。
【0007】
GnRHアンタゴニストは、GnRHアゴニストに対する代替ファミリーの治療薬であり、それは、初期刺激(ゴナドトロピン及び性ステロイドの分泌の増大)というGnRHアゴニストの特性なしに、関係するホルモンの急速な及び可逆的抑制を誘発することができる。
【0008】
GnRHアンタゴニストは、下垂体受容体に結合する天然のゴナドトロピン放出ホルモンと競合することができ、それはゴナドトロピンを抑制することができる。男性におけるそのような抑制は、男性において、テストステロン及びジヒドロテストステロンなどのホルモンを低下させることができる。幾つかの例では、GnRHアンタゴニストを用いて得られたそのような抑制は、即時型であり得る。典型的な短期の研究で、GnRHアンタゴニストは、FSHよりもかなり大きい程度でLHを抑制するように思われる。しかしながら、典型的な長期の研究は、LH及びFSHの両方の抑制を示す。幾つかの事例では、GnRHアンタゴニスト投与後のホルモン抑制の持続時間は、GnRHアゴニストの使用とは対照的に、用量依存的であり得る。さらに、GnRHアンタゴニストの使用は、使用中止後、GnRHアゴニストよりも急速な回復をもたらすことができ、心臓血管疾患の総合的リスクは、GnRHアゴニストよりも低い。
【0009】
ゴナドトロピンのレベルを有効に低下させるために、対象の血漿中GnRHアンタゴニストの濃度は、実質的に一定に及び閾値レベルより上に保たれることが好ましい。この点に関して、持続放出組成物は、より均一な及び十分な血漿中薬物プロファイル、並びに(薬物の効果の時間経過が血漿中濃度-時間プロファイルを反映するならば)投与量間隔にわたってより順調な治療応答を確実にすることが可能なので、有益である。
【0010】
臨床的に、これは、薬物療法を最適化し、濃度に関係する有害な効果の出現を減少させ、薬物に対する曝露を低下させ、薬物療法のコストを低下させる可能性を提供する。それに加えて、持続放出製剤は、患者の受容及び療法のコンプライアンスを増大させることもできる。投与量間隔の終了時に「残留」する治療応答を提供する、より短時間で作用する薬物の持続放出製剤は、従来の(即時型放出)製剤と比較して追加の「保護」を提供することができる。
【0011】
幾つかのGnRHアンタゴニストが当技術分野において知られているが、しかしながら、これらの既知のGnRHアンタゴニストに伴う問題は、それらが水又は他の溶媒に溶けやすいものではなく、それらが低濃度でさえゲルを形成する傾向を有することである(J. Med. Chem., 2001, 44, 453-467を参照されたい)。これは、GnRHアンタゴニストが疎水性ペプチドであり、その結果として、対イオンの存在下でゲルを形成する傾向を有するという事実に基づく。
【0012】
持続放出製剤は、小さい体積の水又は幾つかの他の適当な溶媒に溶解した非常に多量のGnRHアンタゴニストを通常必要とし、GnRHアンタゴニストの比較的低い溶解度及び水性又は他の溶媒中でゲルを形成するそれらの濃度依存性の傾向は、持続放出製剤におけるそれらの使用を大きく制限する。
【0013】
国際公開第2003/022243号は、GnRHアンタゴニスト、テベレリクス(teverelix)[Ac-D-Nal-D-pClPhe-D-Pal-Ser-Tyr-D-Hci-Leu-Lys(iPr)-Pro-D-Ala-NH2]の水中における微結晶の懸濁液を開示しており、その懸濁液は、長期にわたるテベレリクスの放出を提供する。しかしながら、前記懸濁液の単回の注射は、例えば、対象の内科的去勢が所望される場合など、ゴナドトロピンの急速な低下を得るために望ましい、GnRHアンタゴニストの十分な即時型放出を提供しないであろう。
【0014】
したがって、薬物の放出速度の経時的変動を低下させ、経時的な効果の持続時間を増大させる;及びゴナドトロピンの下流作用により媒介される状態又は疾患の治療に効果的である組成物及び前記組成物の投与方法に対する要求がある。
【発明の概要】
【0015】
したがって、GnRHアンタゴニストの循環半減期を延長し、それにより、インビボにおけるGnRHアンタゴニストの治療効果の持続時間を延長するように構成された少なくとも1種のGnRHアンタゴニストを含有する組成物を提供することが、本発明の第1の態様である。
【0016】
薬物動態が改善された組成物を提供することが、本発明の第2の態様である。
【0017】
GnRHアンタゴニストの治療有効な血漿レベルを、少なくとも約28日の期間確立するために適当な組成物を提供することが、本発明の第3の態様である。
【0018】
作用の急速な発揮と同時により長い放出速度を有する組成物を提供することが、本発明の第4の態様である。
【0019】
製造するのがより安く、投与するのが比較的簡単で信頼性がある組成物を提供することが、本発明による第5の態様である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】筋肉内投与後のテストステロン及びテベレリクスの時間経過を描いている図である。
【
図2A】90mgのテベレリクスを3回皮下投与した後の経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図2B】90mgのテベレリクスを2回筋肉内投与した後の経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図3A】90mgのテベレリクスを3回皮下投与した後の経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図3B】90mgのテベレリクスを2回筋肉内投与した後の経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図4】90mgのテベレリクスを単回筋肉内投与した後の外挿された経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図5】90mgのテベレリクスを単回皮下投与した後の外挿された経時的なテベレリクスの平均濃度を描いている図である。
【
図6】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、56日毎に皮下投与量90mgを続けた、GnRHアンタゴニストのPKプロファイルのシミュレーションを描いている図である。
【
図7】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、42日毎に皮下投与量90mgを続けた、GnRHアンタゴニストのPKプロファイルのシミュレーションを描いている図である。
【
図8】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、28日毎に皮下投与量90mgを続けた、GnRHアンタゴニストのPKプロファイルのシミュレーションを描いている図である。
【
図9】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、56日毎に皮下投与量90mgを続けた、テベレリクスTFAのPKプロファイルを描いている図である。
【
図10】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、42日毎に皮下投与量90mgを続けた、テベレリクスTFAのPKプロファイルを描いている図である。
【
図11】90mg筋肉内+90mg皮下投与後、28日毎に皮下投与量90mgを続けた、テベレリクスTFAのPKプロファイルを描いている図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの及びさらなる態様は、ゴナドトロピンホルモンの放出に関係する状態又は疾患の治療のための少なくとも1種のGnRHアンタゴニスト又はその塩を含む組成物であって、前記組成物の投与が、治療有効量の第1のGnRHアンタゴニスト又はその塩を第1の投与経路を通して、及び治療有効量の第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩を第2の投与経路を通して、独立に投与することを含み、第1の及び第2の投与経路が異なり、第1の及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩が、実質的に同時又は24時間以下の期間内に投与される、組成物を提供することにより、本発明により達成される。
【0022】
第1の投与経路は、好ましくは皮下投与であり、第2の投与経路は、好ましくは筋肉内投与であるが、しかしながら他の適当な投与経路も本発明の範囲内で考慮される。
【0023】
二重投与、即ち、治療有効量のGnRHアンタゴニスト又はその塩を、2つの異なる投与経路を通して、例えば筋肉内及び皮下に投与することは、それぞれのGnRHアンタゴニストのPK/PDプロファイルを改善することが証明されている。例として、二重投与が、個々の単独の注射と比較して、それぞれのGnRHアンタゴニストの循環半減期の驚くべき且つ予想外の延長を生じ、それによりインビボにおけるGnRHアンタゴニストの治療効果の持続時間を延長することが挙げられ得る。
【0024】
本発明者らは、二重投与が、放出されるGnRHアンタゴニストが不十分な「デッド(dead)」相の形成を防止することをさらに示している。その結果として、組成物は、これまでに知られているよりもGnRHアンタゴニストの連続した、より均一な及び適当な放出を提供する。
【0025】
異なる投与経路が、任意の適当な順で実施され得る。例えば、筋肉内投与が皮下投与の前に実施されるか、又は投与の順序が逆転されてもよく、即ちGnRHアンタゴニストが筋肉内投与の前に皮下に投与される。しかしながら、第1の及び第2のGnRHアンタゴニストは、第1の及び第2の投与経路を通して実質的に同時に、即ち、投与を実行する人にとって実際的に可能である程度に同時に投与されることが好ましい。しかしながら、それぞれのGnRHアンタゴニストの延長された循環半減期を得るために、2回の投与間の分離期間は24時間未満であることが好ましい。
【0026】
一実施態様では、第1の及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、6時間以下の時間内、好ましくは、1時間以下の時間内、及びさらにより好ましくは1から5分以下の時間内に投与される。
【0027】
筋肉内及び皮下に投与することは、これが簡単な及び有効な投与経路を確実にするので、好ましい実施態様では、注射により実行され得る。
【0028】
さらに、本発明による組成物は、アンタゴニストの経時的な持続及び制御放出を提供することができるだけでなく、2つの異なる投与経路の組合せが、驚くべきことに、対象の血漿中のゴナドトロピンの濃度が治療レベル/濃度に維持されることを確実にするために必要な合計GnRHアンタゴニストの濃度がさらに下げることを保証した。
【0029】
第1の及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、簡単な実施態様で同じであってもよいが、しかしながらそれぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩は、同様に異なっていてもよい。GnRHアンタゴニストの選択は、例えば、治療されるべき状態又は疾患並びにGnRHアンタゴニストの所望の放出プロファイルに依存し得る。しかしながら、使用されるGnRHアンタゴニストにかかわらず、本発明による組成物は、より適当な放出プロファイルでアンタゴニストのより信頼性のある持続送達を提供することが証明された。
【0030】
本発明の発明者らは、第1の及び第2のGnRHアンタゴニストの治療有効量が、GnRHアンタゴニスト又はその塩の約30mgから約240mgの範囲の用量を独立に含むことができることを見出した。
【0031】
第1の投与が筋肉内であり第2の投与が皮下であるならば(又は逆であれば)、前記2種の投与は、それぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の約90mgの投与量を各々独立に含むことができ、即ちGnRHアンタゴニストは、約180mgの合計投与量で投与され得る。
【0032】
本発明の発明者らは、治療有効量のそれぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の筋肉内及び皮下の二重投与を実質的に同時に実行することにより、前記投与が、約60mgから約480mgの合計用量で投与された場合に、少なくとも約10ng/mLの最高血漿中濃度(Cmax)、及び約100ng*h/mLから約8,000ng*h/mLの、時間0から時間tまでの血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC(0-t))を生じ得、tは少なくとも約28日であることができることを見出した。
【0033】
さらに好ましい実施態様では、それぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の二重投与は、約120mgから約240mgの合計用量で投与された場合に、少なくとも約15ng/mLのCmax、及び約1,000ng*h/mLから約3,000ng*h/mLのAUC(0-t)を生じ得、tは少なくとも約28日であることができ、さらにより好ましい実施態様では、それぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の二重投与は、約240mgの合計用量及び約28日の投与間隔で投与された場合に、少なくとも約19ng/mLのCmax、及び約1,000ng*h/mLから約3,000ng*h/mLのAUC(0-t)を生じ得る。
【0034】
したがって、二重投与は、GnRHアンタゴニストの急速な放出を提供して、下垂体腺中のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体が遮断されて、ホルモンの急速な持続される抑制が達成されることを確実にする。
【0035】
二重投与は、それぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の血漿中濃度が、投与後約6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、又は120時間の期間、約0.5ng/mL未満、好ましくは約5ng/mL未満に降下しないことをさらに確実にする。好ましくは、それぞれのGnRHアンタゴニスト又はその塩の血漿中濃度は、治療期間中に有効な治療を維持するために、GnRHアンタゴニストの治療有効濃度を確保するために、約0.5ng/mLから約10ng/mLの間の領域にあり、好ましくは少なくとも約5ng/mLである。
【0036】
好ましい実施態様では、治療有効量のGnRHアンタゴニスト又はその塩の追加の投与量が、例えば、規定された投与頻度又は投与間隔を含む治療コースの部分として二重投与に続いて投与される。
【0037】
したがって、GnRHアンタゴニストの追加の投与量は、幾つかの事例では、慢性の状態又は疾患の治療のために、不確定の長さの時間、規則的な時間間隔で投与され得、又はGnRHアンタゴニストの追加の投与量は、必要なときに間欠的に投与され得る。
【0038】
しかしながら、好ましい実施態様では、追加の投与量が投与される投与量間隔は、好ましくは同時に二重投与した後、即ち筋肉内及び皮下に投与した後少なくとも約28日(4週間)であり得る。あるいは、追加の投与量は、6週間(42日)毎に又は8週間(56日)毎に投与され得る。
【0039】
追加の投与量は、第1の及び/又は第2のGnRHアンタゴニストの何れか又はその塩と同じGnRHアンタゴニストを含むことができるが、前記追加の投与量は、前記第1の及び第2のGnRHアンタゴニストと異なるGnRHアンタゴニストを含むこともできる。
【0040】
追加の投与量は、好ましくは、約90mgのGnRHアンタゴニスト又はその塩を含み、それは、前記投与量が、GnRHアンタゴニスト血漿中濃度を、少なくとも28日の期間、所望の(例えば5ng/mLを超える)治療薬濃度で維持することに有効なことが証明されたからである。
【0041】
GnRHアンタゴニスト又はその塩は、有利な実施態様では、ペプチドであり、例えば、溶液、エマルション、ゲル、又は懸濁液の形態であってもよい。幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストは、結晶の懸濁液、好ましくは微結晶性ペプチドの懸濁液を含むことができる。国際公開第2003/022243号は、長期にわたるテベレリクスの放出を提供する、微結晶性のGnRHアンタゴニスト、テベレリクス[Ac-D-Nal-D-pClPhe-D-Pal-Ser-Tyr-D-Hci-Leu-Lys(iPr)-Pro-D-Ala-NH2]の水中の懸濁液を開示している。
【0042】
第1の及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩が異なれば、第1の及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、独立に結晶の形態であることができ、結晶の形態は、懸濁液で又は溶液であることができる。幾つかの事例では、第1のGnRHアンタゴニスト又はその塩及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、懸濁液中に微結晶性ペプチドを独立に含む。
【0043】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストの塩は、対イオンを含むことができ、対イオンは、酸の共役塩基であることができる。酸は約2未満のpKa値を有することが好ましいが、しかしながら他の適当なpKa値も保護の範囲内と考えられる。したがって、酸は、1.0と7.0の間のpKaを有することができる。好ましい実施態様では、対イオンは、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又はベンゼンスルホン酸の共役塩基である。
【0044】
それぞれのGnRHアンタゴニスト又は塩は、個々に、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリックス、オザレリクス、アンチド、テベレリクス、又はこれらのうちの何れかの塩であってもよい。しかしながら、GnRHアンタゴニストは、テベレリクス[Ac-D-Nal-D-pClPhe-D-Pal-Ser-Tyr-D-Hci-Leu-Lys(iPr)-Pro-D-Ala-NH2]又はその塩であることが好ましい。テベレリクスは、水溶解度が約10mg/mLの合成デカペプチドである。
【0045】
テベレリクスの多くの対イオンを含む製剤は、ゲルを形成することができる。しかしながら、テベレリクスの溶液又は微結晶の懸濁液を製剤化して投与することが有利であり、それは、そのような製剤が、特定の製剤に応じて即時型及び長期の両方の放出を提供することができるからである。国際公開第2003/022243号は、テベレリクスの、トリフルオロ酢酸及び硫酸などの強酸塩の製造を開示している。そのような塩は、長期間にわたるテベレリクスの放出を提供することができる。あるいは、テベレリクスの酢酸塩の投与は、皮下に投与されたときに、即時型放出を提供することができる。幾つかの典型的実施態様では、投与されるGnRH塩は、テベレリクストリフルオロメタンスルホン酸塩、テベレリクストリフルオロ酢酸塩、テベレリクスベンゼンスルホン酸塩、テベレリクス酢酸塩、又はそれらの組合せである。
【0046】
好ましい実施態様では、GnHRアンタゴニストは、テベレリクスTFAが、局所刺激又は過敏症性反応のリスクが比較的低いことを含む、他のGnRHアンタゴニストに優る独特の利点を有するので、テベレリクストリフルオロ酢酸塩(TFA)である。例えば、テベレリクスTFAは、投与部位における、デガレリクスよりも低い局所刺激、並びに投与に対する、より用量依存性の応答の発揮を生ずることが示されている。
【0047】
好ましい実施態様では、第1のGnRHアンタゴニスト又はその塩及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、溶液中に懸濁液されたGnRHアンタゴニストの結晶を独立に含むことができる。幾つかの事例では、第1のGnRHアンタゴニスト又はその塩及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、テベレリクストリフルオロ酢酸塩を含む微結晶の水性懸濁液を独立に含むことができる。幾つかの事例では、テベレリクストリフルオロ酢酸塩を含む微結晶の水性懸濁液は、凍結乾燥されたときに、密封コンテナ中で、約2℃から約8℃の温度、50%相対湿度で貯蔵されたときに、貯蔵前と比較して貯蔵後の、例えばUV検出器を備えたHPLCにより決定することができるテベレリクスの量により測定して、少なくとも1年間安定であることができる。
【0048】
本明細書に記載されたそれぞれのGnRHアンタゴニストは、例えば国際公開第2001/54662号で開示されたように、微粒子中に組み込むこともできる。例えば、微粒子は、GnRHアンタゴニスト又はその塩の担体として使用される中空ミクロスフェアなどのミクロスフェアであってもよい。GnRHアンタゴニストは、代替的に又はそれに加えて、ナノ粒子内で製剤化されてもよい。微粒子又はナノ粒子は、プラスチック、金属、又はポリマーで作製することもできる。
【0049】
前に論じたように、二重投与は、個々の単独の注射と比較して、それぞれのGnRHアンタゴニストの循環半減期の驚くべき且つ予想外の延長をもたらし、それによりインビボにおけるGnRHアンタゴニストの治療効果の持続時間を延長する。本発明の発明者らは、この点に関して、第1の及び第2のGnRHアンタゴニストがテベレリクストリフルオロ酢酸塩であれば、本発明による二重投与は、対象における少なくとも約9ng/mLの血漿中テベレリクス濃度及び/又は対象における少なくとも約19ng/mLのテベレリクスの血漿Cmax及び/又は対象における少なくとも約1,000ng*h/mLのテベレリクスのAUC(0-t)を提供することを示し、ここでtは、二重投与、即ち第1の投与及び第2の投与後少なくとも約28日であることができる。
【0050】
前記二重投与は、対象における血漿中テベレリクス濃度が、二重投与後約24、48、又は72時間から治療有効量のGnRHアンタゴニスト、好ましくはテベレリクストリフルオロ酢酸塩の後続の追加の投与量が投与されるまで、少なくとも約5ng/mLを超えたままであることをさらに確実にするであろう。
【0051】
したがって、本発明による組成物は、ゴナドトロピンの急速な抑制に至る作用の即時発揮だけでなく、アンタゴニストの持続放出の両方を有し、それにより、対象が血漿中の治療有効濃度を維持することを確実にする。これは、ゴナドトロピンが関係する疾患及び状態の治療のために、より信頼できる組成物を提供するだけでなく、より少ない投与、例えば注射が必要とされるので、患者のコンプライアンスも改善する。
【0052】
第1の及び第2のGnRHアンタゴニストとしてテベレリクスTFAを含む本発明による組成物は、前立腺がんなどの状態を、テストステロン及びジヒドロテストステロン(DHT)などのゴナドトロピンの抑制により治療するために特に適当である。そのような組成物は、テストステロンの著名な抑制に至る作用の即時発揮、及びアンタゴニストの持続放出の両方を有し、それにより対象が化学的に去勢されることを確実にするので、組成物は、疾患の急速な制御が必要とされる前立腺がんの患者及び持続放出のみが適切な患者の両方の治療で価値がある。
【0053】
しかしながら、本発明による組成物は、ゴナドトロピンホルモンの放出に関係する他の疾患又は状態を少なくとも部分的に緩和するために、同様に使用され得る。前記疾患又は状態は、良性の前立腺肥大;急性尿閉;子宮内膜症;前立腺、乳房、若しくは子宮頚がんなどのがん;ホルモンのアンバランス;アンドロゲン過敏状態;エストロゲン過敏状態;又はそれらの組合せであってもよい。
【0054】
疾患又は状態がアンドロゲン過敏状態であれば、疾患又は状態は、良性の前立腺肥大、急性尿閉、がん、又はそれらの任意の組合せであることができる。幾つかの事例では、疾患又は状態は、良性の前立腺肥大、急性尿閉、がん例えば前立腺がん、又はそれらの任意の組合せでなくてもよい。幾つかの事例では、二重投与は化学的去勢を導くこともある。
【0055】
本発明による組成物の二重投与の利益の例として、前立腺のサイズが、前記二重投与後、対象で縮小することがある。同様に、尿の流れが、例えば筋肉内及び皮下に二重投与後、対象で増大することがある。
【0056】
対象は、任意の種類の霊長類であってもよいが、対象はヒトであることが好ましい。
【0057】
疾患又は状態がアンドロゲン過敏状態である場合、本発明による組成物の二重投与は、対象における血漿中テストステロンレベルを、有効に低下させることができ、血漿中テストステロンレベルを、二重投与前の血漿中テストステロンレベルと比較して低下させることができる。幾つかの事例では、テストステロンは、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、性的早熟、又はがんの結果として上昇し得る。同様に組成物は、受胎調節の手段として使用することができる。
【0058】
この点に関して、本発明者らは、二重投与、例えば筋肉内投与及び皮下投与が、質量分析法により測定して約3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度を提供することができることを示した。幾つかの事例では、例えば筋肉内及び皮下の二重投与は、約0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度を提供する。幾つかの事例では、約0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度は、二重投与後約24、48、又は72時間から達成され、維持され得る。
【0059】
しかしながら、低い血漿中テストステロン濃度は、少なくとも約28日、さらにより好ましくは少なくとも42日及びさらにより好ましくは少なくとも56日の投与間隔全体の間、即ちGnRHアンタゴニストの追加の投与量が、好ましくは皮下に投与されるまで、約0.5ng/mL未満に維持されることが好ましい。
【0060】
二重投与は、血漿中テストステロン濃度を低下させることに加えて、好ましくは、対象の血漿中前立腺特異的抗体(PSA)濃度も約4ng/mL未満に低下させるであろう。PSAは、前立腺腺中の細胞(正常細胞及びがん細胞の両方)により作製される物質である。PSAは、大部分、精液中に見出されるが、小量が血液中でも見出される。BPH又は前立腺がんなどの状態による前立腺肥大の発生は、対象におけるPSAの量を増大させ得る。それ故、PSAレベルは、PSAレベルにおける増大を生ずる状態の治療のための尺度として使用することができる。
【0061】
したがって、本発明による組成物は、化学的去勢のために使用することもでき、その場合、組成物の二重投与は:
(a) 対象へのテベレリクストリフルオロ酢酸塩の筋肉内投与;及び
(b) 対象へのテベレリクストリフルオロ酢酸塩の皮下投与
を含み、
ここで、筋肉内投与及び皮下投与は、実質的に同時に又は少なくとも約24時間以内に実行することができ、対象における約0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度は、筋肉内投与及び皮下投与後約48時間までに達成され得る。
【0062】
筋肉内及び皮下投与が、各々独立に90mgのテベレリクスTFAの投与量を含むならば、少なくとも9ng/mLの血漿中テベレリクス濃度が少なくとも約72時間の期間得られ、それにより対象の急速な内科的去勢が供される。その後、組成物は、テベレリクスTFAの持続放出を有して、血漿中テベレリクス濃度を約5ng/mL超に維持して、対象が、テベレリクスTFAの次の投与、例えば28日後まで去勢状態のままであることを確実にする。
【0063】
疾患又は状態がエストロゲン過敏状態であれば、組成物は、好ましくは、乳がんを治療するために、及び子宮内膜症と関連する疼痛を低下させるために使用される。この点に関して、二重投与は、好ましくは対象における血漿エストロゲンレベルを低下させ、血漿エストロゲンレベルは、組成物の投与前の血漿エストロゲンレベルと比較して低下され得るであろう。それぞれのエストロゲンはエストラジオールであることが好ましい。
【0064】
本発明は、追加の薬学的物質が投与される実施態様にも関する。前記追加の薬学的物質は、それぞれのGnRHアンタゴニストの二重投与と、GnRHアンタゴニストの後続の追加の投与と、又は例えば二重投与の前又は後に、GnRHアンタゴニストの投与と独立して、共投与され得る。
【0065】
追加の薬学的物質は、本発明による組成物により治療されるべき状態又は疾患に対して有益な効果を提供することができる任意の物質であってもよい。一例として、追加の薬学的物質は、抗悪性腫瘍薬又はアドレナリン作用性受容体アンタゴニスト、例えば、アルファ遮断薬又はベータ遮断薬、及び/又は5α-レダクターゼ阻害剤であってもよいことが言及され得る。
【0066】
本発明は、本発明による組成物を含む薬学的組成物にも関し、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体をさらに含む。例えば、少なくとも1種の第1のGnRHアンタゴニスト若しくはその塩;又は第2のGnRHアンタゴニスト若しくはその塩は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体をさらに含む製剤であることができる。
【0067】
希釈剤は、簡単な実施態様では水であってもよいが、水性緩衝剤、例えば食塩水、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)及び/又はピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)であることもできる。
【0068】
幾つかの実施態様では、第1のGnRHアンタゴニスト又はその塩及び第2のGnRHアンタゴニスト又はその塩は、等張剤、例えば、多価アルコール、糖アルコール及び/又はマンニトールをさらに含む製剤中にあることができる。
【0069】
本発明は、少なくとも1種のGnRHアンタゴニストを含むキットにも関する。キットは、本明細書に記載された二重注射を実行するための手段、並びに二重注射を実行するための使用説明書をさらに含むこともできる。
【0070】
幾つかの態様では、GnRHアンタゴニスト又はその塩は、コンテナに梱包され得、キットは、GnRHアンタゴニストを投与するために少なくとも1本の注射器及び注射針をさらに含むことができる。幾つかの典型的実施態様では、一対の注射針が、筋肉及び皮下注射による注射のために適当な長さで提供され得る。幾つかの事例では、単一の注射針が、GnRHアンタゴニストを皮下及び筋肉内に投与するために使用され得る。そのような投与のための使用説明書が、キット中に梱包され得る。
【0071】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、バイアル中に含有される凍結乾燥された試料として提供され得る。キットは、凍結乾燥されたGnRHアンタゴニストを再構成/再懸濁するための滅菌水のバイアル、並びに調製するための使用説明書を含むことができる。他の事例では、一体化された水室を含む注射器が、凍結乾燥されたGnRHアンタゴニストを投与前に注射器内で再懸濁するために提供され得る。
【0072】
キットを作製する方法は、本明細書に記載された少なくとも1種のGnRHアンタゴニスト又はその塩を、梱包するためのコンテナに入れることを含むことができる。キットを作製する方法は、使用説明書の封入をさらに含むことができる。幾つかの場合には、使用説明書は、疾患又は状態、又はその症状を治療するための使用説明書を提供することができる。
【0073】
定義:
本明細書で使用される用語は、特定の場合を記載する目的のためだけのものであり、限定することを意図されない。
【0074】
本明細書において使用する、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明確に他のように示していない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はそれらの変形が、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲の何れかで使用される範囲で、そのような用語は、「含む(comprising)」と同様の様式で包括的な用語であることが意図されている。
【0075】
用語「約(about)」又は「約(approximately)」は、当業者により決定された特定の値について許容される誤差の範囲内を意味することができ、それは、値がどのように測定又は決定されたか、即ち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野における実際によって、プラス又はマイナス約10%を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、又は1%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的な系又は方法に関して、該用語は、値の5倍以内、又は2倍以内の大きさのオーダー内を意味することができる。特定の値が本明細書及び特許請求の範囲に記載されている場合、特に断らない限り、特定の値について許容される誤差範囲内を意味する用語「約」が想定されるべきである。値の範囲及び/又は部分範囲が提供されている場合も、範囲及び/又は部分範囲は、範囲及び/又は部分範囲の端点を含むことができる。
【0076】
本発明の関係内で、用語/語句「GnRHアンタゴニスト」の言及は、明示的に言及されていなくても、その塩を含むと解釈されるべきである。
【0077】
個体に関して本明細書において使用される用語「対象」、「患者」又は「個体」は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含することができる。哺乳動物は、ヒト;チンパンジーなどの非ヒト霊長類、類人猿又は他のサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜(farm animal);ウサギ、イヌ(又はイヌ科の動物(canine))、及びネコ(又はネコ科の動物(feline))などの家畜(domestic animal);又はラット、マウス及びモルモットなどの齧歯類を含む実験動物を含むが、これらに限定されない哺乳動物のクラスの任意のメンバーであることができる。非哺乳動物は、鳥、魚等を含むことができる。幾つかの実施態様では、対象は哺乳動物であることができる。幾つかの実施態様では、対象はヒトであることができる。幾つかの事例では、ヒトは成人であることができる。幾つかの事例では、ヒトは子供であることができる。幾つかの事例では、ヒトは年齢0-17歳であることができる。幾つかの事例では、ヒトは、年齢18-130歳であることができる。幾つかの事例では、対象は男性であることができる。幾つかの場合には、男性は、少なくとも前立腺の部分を持って産まれた対象を含むことができる。幾つかの場合には、男性は、Y染色体を持って産まれた対象を含むことができる。幾つかの事例では、男性は、男性生殖腺を持って産まれた対象を含むことができる。幾つかの事例では、対象は、女性であることができる。幾つかの場合には、女性は、少なくとも前立腺の部分なしで産まれた対象を含むことができる。幾つかの場合には、女性は、Y染色体なしで産まれた対象を含むことができる。幾つかの事例では、女性は、女性生殖腺を持って産まれた対象を含むことができる。幾つかの事例では、女性は、卵巣を持って産まれた対象を含むことができる。幾つかの事例では、対象は、がんなどの状態又は疾患を有すると診断されたか又は疑われている。幾つかの事例では、対象は、性的犯罪者であることができる。幾つかの事例では、対象は、小児愛者であることができる。幾つかの事例では、対象は、前立腺の少なくとも部分を有することができる。幾つかの場合には、対象は、子宮内膜の少なくとも部分を有することができる。
【0078】
本明細書において使用する用語「治療する」、「治療すること」、「治療」、「緩和する」又は「緩和すること」及び他の文法的等価語は、疾患若しくは状態の症状を、軽減する、和らげる若しくは緩和すること、追加の症状を予防すること、症状の根底にある代謝性の原因を緩和若しくは予防すること、疾患若しくは状態を阻害すること、例えば、疾患若しくは状態の進行を阻止すること、疾患若しくは状態を楽にさせること、疾患若しくは状態の退行を起こさせること、疾患若しくは状態により引き起こされた状態を楽にさせること、又は疾患若しくは状態の症状を停止させることを含むことができ、予防を含むことが意図される。該用語は、治療の利益及び/又は予防の利益を達成することをさらに含むことができる。治療の利益は、治療されている根底にある疾患の根絶又は緩和を意味することができる。また、治療の利益は、根底にある疾患と関連する一又は複数の生理学的症状の根絶又は緩和で達成され得て、改善が、幾つかの実施態様では、患者が根底にある疾患にまだ悩まされ得るにもかかわらず、患者で観察され得る。
【0079】
本明細書において使用する用語「有効量」、「治療有効量」又は「薬学的有効量」は、治療されている疾患又は状態の症状を少なくとも部分的に緩和するであろう、投与されている化合物の十分な量を指すことができる。
【0080】
本明細書において使用する用語「共投与」、「との組合せで投与」及びそれらの文法的等価表現等は、単一の対象に対する選択された治療剤の投与を包含することができ、薬剤が、同じか若しくは異なる投与経路により又は同じか若しくは異なる時に投与される治療レジメンを含むことができる。幾つかの実施態様では、本明細書で開示された化合物は、他の薬剤と共投与され得る。これらの用語は、薬剤及び/又はそれらの代謝物の両方が対象中に同時に存在するように、2種以上の薬剤を対象に投与することを包含することができる。それらは、同時の投与、異なる時における投与、及び/又は両方の薬剤が存在する組成物中における投与を含むことができる。したがって、幾つかの実施態様では、化合物及び別の薬剤を、単一の組成物中で投与することができる。幾つかの実施態様では、化合物及び別の薬剤を、組成物中で混合することができる。幾つかの実施態様では、同じ化合物を、異なる投与経路の組合せにより投与することができる。
【0081】
本明細書において使用する用語「バイオアベイラビリティ」は、薬物又は他の物質が投与後に標的組織で利用可能になる程度を表すことができる。
【0082】
薬物動態学的(PK)研究でしばしば使用されるパラメーターは、Tmax、Cmax、AUC(0-∞)、AUC(0-t)、及びT1/2及びCL/Fを含むことができる。「Tmax」は、治療薬の投与後に最高血漿中濃度(「Cmax」)に到達する時間を指すことができ;「AUC(0-∞)」は、時間0から無限大への血漿中濃度対時間曲線下面積を指すことができ;「AUC(0-t)」は、時間0から時間tまでの血漿中濃度対時間曲線下面積を指すことができ;「T1/2」は、血漿中の治療薬の半減期を指すことができ;「T1/2,elim」は、循環からの治療薬の排出の半減期を指すことができ;「CL/F」は、治療薬の見かけのクリアランス速度を指すことができる。
【0083】
ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストの製剤
幾つかの場合には、GnRHアンタゴニスト又はその塩は、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリックス、オザレリクス、アンチド、テベレリクス、又はこれらのうちの何れかの塩であることができる。GnRHアンタゴニストは、その塩であることができる。幾つかの事例では、語句「GnRHアンタゴニスト」の記載は、明示的に記載されていなくても、その塩を含むと解釈されるべきである。
【0084】
幾つかの事例では、塩は、カルボン酸塩(例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオル酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、パモ酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、ケイ皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩又はテレフタル酸塩);ハロゲン化物塩(例えば塩化物塩、臭化物塩又はヨウ化物塩);スルホン酸塩(例えばベンゼンスルホン酸塩、メチル-、ブロモ-又はクロロ-ベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、1-若しくは2-ナフタレン-スルホン酸塩又は1,5-ナフタレンジスルホン酸塩);硫酸塩;ピロ硫酸塩;重硫酸塩;亜硫酸塩;重亜硫酸塩;リン酸塩;リン酸一水素塩;リン酸二水素塩;メタリン酸塩;ピロリン酸塩;硝酸塩等を含むことができる。
【0085】
幾つかの事例では、塩は、薬学的に許容される塩であることができる。幾つかの事例では、薬学的に許容される塩は、Bergeら、J.Pharm.Sci、1977年に記載された塩であることができる。幾つかの事例では、薬学的に許容される塩は、GnRHアンタゴニストの、鉱酸、有機酸又は無機塩基との反応により調製されるこれらの塩を含むことができ、そのような塩は、酢酸塩、アクリル酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、重亜硫酸、重酒石酸塩、臭化物、酪酸塩、ブチン-1,4-二酸、ショウノウ酸塩、硫酸樟脳塩、樟脳スルホン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クロロ安息香酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、1-ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピロ硫酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、プロパンスルホン酸塩,サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、ウンデカン酸塩及びキシレンスルホン酸塩を含む。
【0086】
幾つかの実施態様では、GnRHアンタゴニストは、酸の共役塩基である対イオンを含むことができる。幾つかの事例では、酸は、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7 3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、又は7.0のpKaを有することができる。幾つかの事例では、酸は、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7 3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、又は7.0未満のpKaを有することができる。幾つかの事例では、酸は、約1.0から約7.0、約1.5から約7.0、約2.0から約7.0、約2.5から約7.0、約3.0から約7.0、約3.5から約7.0、約4.0から約7.0、約4.5から約7.0、約5.0から約7.0、約5.5から約6.0、又は約6.5から約7.0のpKaを有することができる。
【0087】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、テベレリクス((Ac-D-NaID-pClPhe-D-Pal-Ser-Tyr-D-Hci-Leu-Lys(iPr)-Pro-D-Ala-NH2)であることができる。テベレリクスは、水溶解度が約10mg/mLの合成デカペプチドである。
【0088】
テベレリクスの多くの対イオンを含む製剤は、ゲルを形成することができる。しかしながら、テベレリクスの溶液又は微結晶の懸濁液を製剤化し、投与することが有利であり、それは、そのような製剤が、特定の製剤に依存して即時型及び長期の両方の放出を提供することができるからである。国際公開第2003/022243号は、テベレリクスの、トリフルオロ酢酸及び硫酸などの強酸の塩の製造を開示している。そのような塩は、長期間にわたるテベレリクスの放出を提供することができる。あるいは、テベレリクスの酢酸塩の投与は、皮下に投与されたときに、即時型放出を提供することができる。幾つかの典型的実施態様では、投与されるGnRH塩は、テベレリクストリフルオロメタンスルホン酸塩、テベレリクストリフルオロ酢酸塩、テベレリクスベンゼンスルホン酸塩、テベレリクス酢酸塩、又はそれらの組合せである。
【0089】
テベレリクスTFAは、局所刺激又は過敏症性反応のリスクが比較的低いことを含む、他のGnRHアンタゴニストに優る独特の利点を有する。例えば、テベレリクスは、投与部位における、デガレリクスよりも低い局所刺激、並びに投与に対する、より用量依存的応答の発揮を生ずることが示されている。
【0090】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストはペプチドであることができる。幾つかの場合には、GnRHアンタゴニストは、結晶の形態であることができる。幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、微結晶の形態であることができる。幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、溶液、エマルション、ゲル、又は懸濁液の形態であることができる。幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストは、結晶の懸濁液を含むことができる。幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストは、微結晶性ペプチドの懸濁液を含むことができる。
【0091】
GnRHアンタゴニスト又はその塩を、微結晶の水性懸濁液として調製する方法であって、GnRHアンタゴニストの微結晶の形態を水溶液又は希釈剤と接触させることを含む、方法も本明細書で開示される。
【0092】
幾つかの場合には、GnRHアンタゴニストは、賦形剤、希釈剤、又は担体を含む組成物として製剤化され得る。幾つかの場合には、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む薬学的組成物であることができる。
【0093】
幾つかの実施態様では、希釈剤は、水又は水性緩衝剤であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は食塩水であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤はクエン酸塩であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は、リン酸塩であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は、酢酸塩であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤はグリシンであることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)であることができる。幾つかの実施態様では、緩衝剤は、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)であることができる。
【0094】
幾つかの場合には、組成物は、等張剤を含むことができる。幾つかの実施態様では、等張剤は、多価アルコール又はポリオールであることができる。幾つかの実施態様では、ポリオールは、エチレングリコールを含まない。幾つかの実施態様では、ポリオールは、プロピレングリコールであることができる。幾つかの実施態様では、ポリオールは、糖であることができる。幾つかの実施態様では、糖はスクロースであることができる。幾つかの実施態様では、糖はグルコースであることができる。幾つかの実施態様では、糖はフルクトースであることができる。幾つかの実施態様では、糖はマルトースであることができる。幾つかの実施態様では、ポリオールは、糖アルコールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはグリセロールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールは、エリスリトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールは、トレイトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはアラビトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはキシリトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはリビトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはソルビトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはガラクチトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはフシトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはイジトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはイノシトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはボレミトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはイソマルトであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはマルチトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはラクチトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールであることができるはマルトトリイトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールマンニトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはマルトテトライトールであることができる。幾つかの実施態様では、糖アルコールはポリグルシトールであることができる。
【0095】
幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストを含む水性懸濁液は、凍結乾燥され得る。幾つかの事例では、凍結乾燥された製剤は、密閉コンテナ中で、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の相対湿度、約2℃から約30℃、約2℃から約29℃、約2℃から約28℃、約2℃から約27℃、約2℃から約26℃、約2℃から約25℃、約2℃から約24℃、約2℃から約23℃、約2℃から約22℃、約2℃から約21℃、約2℃から約20℃、約2℃から約19℃、約2℃から約18℃、約2℃から約17℃、約2℃から約16℃、約2℃から約15℃、約2℃から約14℃、約2℃から約13℃、約2℃から約12℃、約2℃から約11℃、約2℃から約10℃、約2℃から約9℃、約2℃から約8℃、約2℃から約7℃、約2℃から約6℃、約2℃から約5℃、約2℃から約4℃、又は約2℃から約3℃の温度で貯蔵された場合に、少なくとも約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、2年、3年、4年、又は5年の間安定である。
【0096】
本明細書に記載されたGnRHは、微粒子で製剤化することもできる。幾つかの場合には、微粒子は、治療薬の担体として使用される中空ミクロスフェアなどのミクロスフェアであることができる。幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、ナノ粒子で製剤化され得る。幾つかの事例では、微粒子又はナノ粒子は、プラスチック、金属、又はポリマーであることができる。
【0097】
投与(Dosing/Administration)
投与されたGnRHアンタゴニストのPK/PDプロファイルを強化するために構成された組成物が本明細書で開示される。幾つかの事例では、第1のGnRHアンタゴニストは、第1の投与経路を通して対象に投与され得る。幾つかの事例では、第2のGnRHアンタゴニストは、第2の投与経路を通して対象に投与され得る。実施態様では、第1の及び第2の投与経路を通した第1の及び第2のGnRHアンタゴニストの投与は、それぞれ、第1の及び第2のGnRHアンタゴニストのPK/PDプロファイルを改善するために用いることができる。
【0098】
幾つかの場合には、第1のGnRHアンタゴニスト及び第2のGnRHアンタゴニストは同じであることができる。幾つかの場合には、第1のGnRHアンタゴニスト及び第2のGnRHアンタゴニストは異なることができる。
【0099】
幾つかの場合には、第1のGnRHアンタゴニスト及び第2のGnRHアンタゴニストの投与は、同時に実施される。幾つかの場合には、第1のGnRHアンタゴニスト及び第2のGnRHアンタゴニストの投与はある期間により分離され得る。
【0100】
幾つかの場合には、分離の期間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60秒であることができる。幾つかの場合には、分離の期間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60分であることができる。幾つかの場合には、分離の期間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179 180、181、182、183、184、184、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、又は240時間であることができる。幾つかの場合には、分離の期間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日であることができる。
【0101】
幾つかの事例では、分離の期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60秒以下であることができる。幾つかの事例では、分離の期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60分以下であることができる。幾つかの場合には、分離の期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179 180、181、182、183、184、184、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、又は240時間以下であることができる。幾つかの場合には、分離の期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日以下であることができる。
【0102】
幾つかの事例では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、規定された投与頻度又は投与間隔を含む治療コースで投与することができる。幾つかの場合には、投与は、1カ月に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、又は62回の投与頻度であることができる。幾つかの事例では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、又は62日の間隔をおいた投与間隔で投与することができる。
【0103】
幾つかの事例では、第1のGnRHアンタゴニストは、第2のGnRHアンタゴニストの前に投与され得る。幾つかの事例では、第2のGnRHアンタゴニストは、第1のGnRHアンタゴニストの前に投与され得る。
【0104】
本明細書に記載されたGnRHアンタゴニストの投与は、当技術分野において知られた任意のタイプの投与経路を通して実行することができる。例は、注射又は輸液、(動脈内、心臓内、脳室内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内(i.m.)、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外、及び皮下(s.c.)を含む)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、口腔内及び局所(皮膚上、真皮の、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、及び膣内を含む)投与を含むことができる。幾つかの典型的実施態様では、投与経路は、筋肉内、静脈内、皮下、又は腹腔内注射などの注射によることができる。
【0105】
幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニスト又はその塩は、筋肉内投与により投与され得る。幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストは、皮下投与により投与され得る。
【0106】
幾つかの典型的実施態様では、第1のGnRHアンタゴニストは、筋肉内投与により投与することができ、第2のGnRHアンタゴニストは、皮下投与により投与することができる。そのような投与は、循環中のGnRHのT1/2などの有用なPKパラメーターにおける驚くべき且つ予想外の増大を生じ得、それは、GnRHアンタゴニストの投与によりもたらされる化学的去勢の持続時間における増大などの生理学的結果を生じ得る。
【0107】
幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、約1mgから約480mg、約5mgから約480mg、約10mgから約480mg、約15mgから約480mg、約20mgから約480mg、約25mgから約480mg、約30mgから約480mg、約35mgから約480mg、約40mgから約480mg、約45mgから約480mg、約50mgから約480mg、約55mgから約480mg、約60mgから約480mg、約65mgから約480mg、約70mgから約480mg、約75mgから約480mg、約80mgから約480mg、約85mgから約480mg、約90mgから約480mg、約95mgから約480mg、約100mgから約480mg、約105mgから約480mg、約110mgから約480mg、約115mgから約480mg、約120mgから約480mg、約125mgから約480mg、約130mgから約480mg、約135mgから約480mg、約140mgから約480mg、約145mgから約480mg、約150mgから約480mg、約155mgから約480mg、約160mgから約480mg、約165mgから約480mg、約170mgから約480mg、約175mgから約480mg、約180mgから約480mg、約185mgから約480mg、約190mgから約480mg、約195mgから約480mg、約200mgから約480mg、約205mgから約480mg、約210mgから約480mg、約215mgから約480mg、約220mgから約480mg、約225mgから約480mg、約230mgから約480mg、約235mgから約480mg、約240mgから約480mg、約245mgから約480mg、約250mgから約480mg、約255mgから約480mg、約260mgから約480mg、約265mgから約480mg、約270mgから約480mg、約275mgから約480mg、約280mgから約480mg、約285mgから約480mg、約290mgから約480mg、約295mgから約480mg、又は約300mgから約480mgの用量で投与することができる。幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179 180、181、182、183、184、184、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、又は480mgの用量で投与することができる。
【0108】
幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、約0.5ng/mLから約10ng/mL、約1ng/mLから約10ng/mL、約1.5ng/mLから約10ng/mL、約2ng/mLから約10ng/mL、約2.5ng/mLから約10ng/mL、約3ng/mLから約10ng/mL、約3.5ng/mLから約10ng/mL、約4ng/mLから約10ng/mL、約4.5ng/mLから約10ng/mL、約5ng/mLから約10ng/mL、約5.5ng/mLから約10ng/mL、約6ng/mLから約10ng/mL、約6.5ng/mLから約10ng/mL、約7ng/mLから約10ng/mL、約7.5ng/mLから約10ng/mL、約8ng/mLから約10ng/mL、約8.5ng/mLから約10ng/mL、約9ng/mLから約10ng/mL、又は約9.5ng/mLから約10ng/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩の血漿中濃度を提供するように投与することができる。
【0109】
幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、対象に投与後、少なくとも約20ng/mL、19.5ng/mL、19ng/mL、18.5ng/mL、18ng/mL、17.5ng/mL、17ng/mL、16.5ng/mL、16ng/mL、15.5ng/mL、15ng/mL、14.5ng/mL、14ng/mL、13.5ng/mL、13ng/mL、12.5ng/mL、12ng/mL、11.5ng/mL、11ng/mL、10.5ng/mL、10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩の血漿中濃度を提供するように投与することができる。
【0110】
幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、対象に投与後、少なくとも約100ng/mL、95ng/mL、90ng/mL、85ng/mL、80ng/mL、75ng/mL、70ng/mL、65ng/mL、60ng/mL、55ng/mL、50ng/mL、45ng/mL、40ng/mL、35ng/mL、30ng/mL、25ng/mL、20ng/mL、15ng/mL、10ng/mL、又は5ng/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩のCmaxを提供するように投与することができる。幾つかの場合には、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、少なくとも約50ng/mL、49ng/mL、48ng/mL、47ng/mL、46ng/mL、45ng/mL、44ng/mL、43ng/mL、42ng/mL、41ng/mL、40ng/mL、39ng/mL、38ng/mL、37ng/mL、36ng/mL、35ng/mL、34ng/mL、33ng/mL、32ng/mL、31ng/mL、30ng/mL、29ng/mL、28ng/mL、27ng/mL、26ng/mL、25ng/mL、24ng/mL、23ng/mL、22ng/mL、21ng/mL、20ng/mL、19ng/mL、18ng/mL、17ng/mL、16ng/mL、15ng/mL、14ng/mL、13ng/mL、12ng/mL、11ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩のCmaxを提供するように投与することができる。
【0111】
幾つかの事例では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、対象に投与後、少なくとも約10,000ng*h/mL、9,900ng*h/mL、9,800ng*h/mL、9,700ng*h/mL、9,600ng*h/mL、9,500ng*h/mL、9,400ng*h/mL、9,300ng*h/mL、9,200ng*h/mL、9,100ng*h/mL、9,000ng*h/mL、8,900ng*h/mL、8,800ng*h/mL、8,700ng*h/mL、8,600ng*h/mL、8,500ng*h/mL、8,400ng*h/mL、8,300ng*h/mL、8,200ng*h/mL、8,100ng*h/mL、8,000ng*h/mL、7,900ng*h/mL、7,800ng*h/mL、7,700ng*h/mL、7,600ng*h/mL、7,500ng*h/mL、7,400ng*h/mL、7,300ng*h/mL、7,200ng*h/mL、7,100ng*h/mL、7,000ng*h/mL、6,900ng*h/mL、6,800ng*h/mL、6,700ng*h/mL、6,600ng*h/mL、6,500ng*h/mL、6,400ng*h/mL、6,300ng*h/mL、6,200ng*h/mL、6,100ng*h/mL、6,000ng*h/mL、5,900ng*h/mL、5,800ng*h/mL、5,700ng*h/mL、5,600ng*h/mL、5,500ng*h/mL、5,400ng*h/mL、5,300ng*h/mL、5,200ng*h/mL、5,100ng*h/mL、5,000ng*h/mL、4,900ng*h/mL、4,800ng*h/mL、4,700ng*h/mL、4,600ng*h/mL、4,500ng*h/mL、4,400ng*h/mL、4,300ng*h/mL、4,200ng*h/mL、4,100ng*h/mL、4,000ng*h/mL、3,900ng*h/mL、3,800ng*h/mL、3,700ng*h/mL、3,600ng*h/mL、3,500ng*h/mL、3,400ng*h/mL、3,300ng*h/mL、3,200ng*h/mL、3,100ng*h/mL、3,000ng*h/mL、2,900ng*h/mL、2,800ng*h/mL、2,700ng*h/mL、2,600ng*h/mL、2,500ng*h/mL、2,400ng*h/mL、2,300ng*h/mL、2,200ng*h/mL、2,100ng*h/mL、2,000ng*h/mL、1,900ng*h/mL、1,800ng*h/mL、1,700ng*h/mL、1,600ng*h/mL、1,500ng*h/mL、1,400ng*h/mL、1,300ng*h/mL、1,200ng*h/mL、1,100ng*h/mL、1,000ng*h/mL、900ng*h/mL、800ng*h/mL、700ng*h/mL、600ng*h/mL、500ng*h/mL、400ng*h/mL、300ng*h/mL、200ng*h/mL、又は100ng*h/mLの、GnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩のAUC(0-t)を提供するように投与することができ、ここで、tは、GnRHアンタゴニストの投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90日であることができる。
【0112】
幾つかの典型的実施態様では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、対象に投与後、約100ng*h/mLから約10,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約9,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約8,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約7,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約6,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約5,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約4,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約3,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約2,000ng*h/mL、約100ng*h/mLから約100ng*h/mL、約100ng*h/mLから約900ng*h/mL、約100ng*h/mLから約800ng*h/mL、約100ng*h/mLから約700ng*h/mL、約100ng*h/mLから約600ng*h/mL、約100ng*h/mLから約500ng*h/mL、約100ng*h/mLから約400ng*h/mL、約100ng*h/mLから約300ng*h/mL、又は約100ng*h/mLから約200ng*h/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩のAUC(0-t)を提供するように投与することができ、ここで、tは、GnRHアンタゴニストの投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90日であることができる。
【0113】
幾つかの典型的実施態様では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、対象に投与後、約1,000ng*h/mLから約10,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約9,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約8,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約7,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約6,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約5,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約4,000ng*h/mL、約1,000ng*h/mLから約3,000ng*h/mL、又は約1,000ng*h/mLから約2,000ng*h/mLのGnRHアンタゴニスト、代謝物、又はその塩のAUC(0-t)を提供するように投与することができ、ここで、tは、GnRHアンタゴニストの投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90日であることができる。
【0114】
幾つかの典型的実施態様では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニスト又はその塩は、投与後、約6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、又は120時間の期間に、対象における少なくとも約5ng/mLの血漿中濃度を提供するように、対象に投与することができる。
【0115】
幾つかの事例では、追加の薬学的物質を投与することができる。幾つかの事例では、追加の薬学的物質を、GnRHアンタゴニストと共投与することができる。幾つかの事例では、追加の薬学的物質は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60秒の間隔をおいて投与され得る。幾つかの場合には、追加の薬学的物質は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60分の間隔をおいて投与され得る。幾つかの場合には、追加の薬学的物質は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、184、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、又は240時間の間隔をおいて投与され得る。幾つかの場合には、追加の薬学的物質は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日の間隔をおいて投与され得る。
【0116】
幾つかの事例では、追加の薬学的物質は、抗新生物薬であることができる。抗新生物薬の例は、シクロホスファミド、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、プロカルバジン、プレドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、シスプラチン、エピルビシン、これらのうちの何れかの塩、及びそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0117】
幾つかの事例では、追加の薬学的物質は、アルファ遮断薬又はベータ遮断薬などのアドレナリン作用性受容体アンタゴニストであることができる。アルファ遮断薬の例は、フェノキシベンザミン、フェントールアミン、トラゾリン、トラゾドン、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、シロドシン、カルベジロール、及びラベタロール含むことができる。ベータ遮断薬の例は、プロプラノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、ソタロール、チモロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、及びブタザミンを含むことができる。
【0118】
幾つかの事例では、追加の薬学的物質は、5α-レダクターゼ阻害剤であることができる。5α-レダクターゼ阻害剤の例は、ドゥタステリド、タムスロシン、フィナステリド、エピステリド、及びアルファトラジオール含むことができる。追加の例は、ハーブ及びミネラル系阻害剤、例えば、亜鉛;リボフラビン(ビタミンB2);アゼライン酸;β-シトステロール;ポリフェノール;アリザリン;クルクミン;緑茶カテキン、例えば、(-)-エピカテキン-3-ガレート及び(-)-エピガロ-カテキン-3-ガレート(EGCG)など;ショレア・ラエビフォリア(Shorea laeviforia)の心材;チョウセンオニウド(Angelica koreana);ホウセンカ(Garden Balsam)又はホウセンカ(Rose Balsam)(Impatiens balsamina);カブ、アブラナ(turnip rape)、ファストプラント(fast plant)、ノハラガラシ(field mustard)、又はカブマスタード(turnip mustard)の花粉;ネナシカズラ(Cuscuta reflexa);イワタイゲキ(Euphorbia jolkinii);霊芝(Lingzhi mushroom)又は霊芝(Reishi mushroom)(Ganodermalucidum);ガノデリン酸;ツルドクダミ(Chinese Knotweed)(Polygonum multiflorum);黒コショウ葉抽出物(Piper nigrum);アフリカプルーン(Red Stinkwood)(Pygeum africanum);ノコギリヤシ(Serenoa repens);マツ(Pinus sp.樹脂、活性物質、アビエチン酸);クララ(Ku Shen)又はビタールート(Sophora flavescens);ヤブジラミ(Torilis japonica);ニオイヒバ(Eastern Arborvitae)又はニオイヒバ(Northern Whitecedar)(Thuja occidentalis);及びカニクサ(Lygodium japonicum)の胞子から単離されたバロン酸ジラクトン及びガラジルジラクトンを含むことができる。
【0119】
幾つかの事例では、対象は、GnRHアンタゴニストの投与に先立って、追加の薬学的物質を投与され得る。幾つかの事例では、対象は、GnRHアンタゴニストの投与後に追加の薬学的物質を投与され得る。
【0120】
幾つかの典型的実施態様では、対象は、GnRHアンタゴニストの投与に先立って、テストステロンを投与され得る。幾つかの典型的実施態様では、対象は、GnRHアンタゴニストの投与に先立ってテストステロンを投与されていない。
【0121】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、慢性の状態又は疾患の治療のために、不確定の長さの時間、規則的な時間間隔で投与することができる。幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストは、必要なときに間欠的に投与することができる。
【0122】
適応症
GnRHアンタゴニスト又はその塩を対象に投与するために構成された組成物が本明細書で開示される。幾つかの事例では、組成物は、疾患若しくは状態、又は少なくとも1つのそれらの症状を治療、予防、又は少なくとも部分的に緩和するために使用される。幾つかの事例では、疾患又は状態は、良性の前立腺肥大;急性尿閉;子宮内膜症;前立腺、乳房、若しくは子宮頚がんなどのがん;ホルモンのアンバランス;アンドロゲン過敏状態;エストロゲン過敏状態;又はそれらの組合せであることができる。幾つかの事例では、疾患又は状態は、良性の前立腺肥大;急性尿閉;子宮内膜症;前立腺、乳房、若しくは子宮頚がんなどがん;ホルモンのアンバランス;アンドロゲン過敏状態;エストロゲン過敏状態;又はそれらの組合せでないこともある。
【0123】
第1の及び第2のGnRHアンタゴニストの第1の及び第2の進入経路を通した投与は、それぞれ、インビボにおける生物学的効果を達成するために使用され得る。幾つかの事例では、効果はホルモンの抑制であることができる。幾つかの場合には、ホルモンは、テストステロン又はジヒドロテストステロン(DHT)であることができる。幾つかの事例では、ホルモンは、エストロゲン、エストラジオール、又はプロゲステロンであることができる。
【0124】
幾つかの事例では、組成物は、テストステロン又はDHTの濃度を、投与前の濃度未満の濃度に低下させるために使用することができる。そのような組成物は、テストステロン又はDHTの上昇したレベルから生じ得る疾患又は状態を少なくとも部分的に緩和するために使用することができる。幾つかの場合には、疾患又は状態は、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、性的早熟、又は前立腺がんなどのがんであることができる。幾つかの事例では、テストステロン又はDHTの濃度を低下させるために構成された組成物は、化学的去勢のために使用することができる。幾つかの事例では、テストステロン又はDHTの濃度を低下させるために構成された組成物は、受胎調節の手段として使用することができる。
【0125】
実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン又はDHT濃度を生じさせ、及び/又は維持することができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mLの血漿中テストステロン又はDHT濃度を生じさせるか又は維持することができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約0.5ng/mLから約10ng/mL、約1ng/mLから約10ng/mL、約1.5ng/mLから約10ng/mL、約2ng/mLから約10ng/mL、約2.5ng/mLから約10ng/mL、約3ng/mLから約10ng/mL、約3.5ng/mLから約10ng/mL、約4ng/mLから約10ng/mL、約4.5ng/mLから約10ng/mL、約5ng/mLから約10ng/mL、約5.5ng/mLから約10ng/mL、約6ng/mLから約10ng/mL、約6.5ng/mLから約10ng/mL、約7ng/mLから約10ng/mL、約7.5ng/mLから約10ng/mL、約8ng/mLから約10ng/mL、約8.5ng/mLから約10ng/mL、約9ng/mLから約10ng/mL、又は約9.5ng/mLから約10ng/mLの血漿中テストステロン又はDHT濃度を生じさせるか又は維持することができる。
【0126】
幾つかの典型的実施態様では、投与後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120時間、GnRHアンタゴニストの投与は、0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン又はDHT濃度を維持することができる。
【0127】
幾つかの特定の実施態様では、組成物は、前立腺がんを少なくとも部分的に緩和するために使用することができる。幾つかの場合には、本発明による組成物は、アンドロゲン抑制療法の部分として投与される。GnRHアンタゴニストの投与は、上で記載されたテストステロン及びDHTなどのアンドロゲンのレベルを低下させることができる。アンドロゲンは前立腺がん細胞を刺激して増殖させることができるので、アンドロゲンの抑制は、少なくとも部分的に、前立腺がん細胞の増殖速度を遅らせるか、又は前立腺のサイズにおける縮小を生じさせることにより、前立腺がんの緩和を生じさせることができる。幾つかの事例では、サイズの縮小は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。幾つかの事例では、サイズの縮小は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。幾つかの事例では、サイズにおける縮小は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30日後に起こることができる。幾つかの事例では、サイズにおける縮小は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52週間後に起こることができる。
【0128】
幾つかの事例では、前立腺のサイズは、超音波像を使用して測定することができる。幾つかの事例では、前立腺のサイズは、磁気共鳴撮像(MRI)を使用して測定することができる。幾つかの事例では、前立腺のサイズは、直腸検査の手段により手作業で決定することができる。幾つかの事例では、前立腺のサイズは、直腸検査の手段により指で決定することができる。幾つかの事例では、前立腺のサイズは、外科的に決定することができる。
【0129】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストの投与は、対象に投与後、前立腺のサイズを縮小させることができる。幾つかの場合には、GnRHアゴニストは、アントラサイクリン、タキサン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、カルボプラチン、又はそれらの組合せなどのネオアジュバントと共に投与することができる。幾つかの場合には、GnRHがネオアジュバントであることができる。
【0130】
幾つかの事例では、GnRHアンタゴニストの投与は、がん以外の前立腺肥大から生じた疾患又は状態を治療するために使用することができる。幾つかの事例では、疾患又は状態は、良性の前立腺肥大、急性尿閉、又はそれらの組合せであることができる。
【0131】
良性の前立腺肥大(BPH、別名、拡大前立腺としても知られている)は、男性で、彼らが年を取ると起こり得る。BPHの症状は、弱いか又は遅れる排尿系、不完全な膀胱排出感、排尿困難、頻尿、及び/又は尿の「漏れ」を含むことができる。GnRHアンタゴニストは、前立腺腺の増殖速度を少なくとも部分的に遅延させるために使用することができ、それによりBPHの症状を緩和する。幾つかの場合には、サイズの縮小は、質量における減少であることができる。幾つかの場合には、サイズの縮小は、体積における減少であることができる。幾つかの事例では、サイズの縮小は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。幾つかの事例では、サイズの縮小は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。幾つかの事例では、サイズにおける縮小は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30日後に起こることができる。幾つかの事例では、サイズにおける縮小は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52週間後に起こることができる。
【0132】
急性尿閉(AUR)は、随意に尿を通すことができないことにより特徴づけられる状態である。BPHと同様に、AURは、前立腺腺サイズの増大の結果であることができる。幾つかの事例では、AURは、BPH又は前立腺がんと一緒に起こり得る。GnRHアンタゴニストは、前立腺腺の増殖速度を、少なくとも部分的に遅らせ、それによりAURの症状を緩和し、尿流の速度を増大させるために使用することができる。幾つかの事例では、尿流における増大は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。幾つかの事例では、尿流における増大は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%であることができる。
幾つかの事例では、尿流における増大は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30日後に起こることができる。幾つかの事例では、尿流における増大は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52週間後に起こることができる。
【0133】
幾つかの場合には、尿流の速度又は量は、尿流試験又はアッセイを使用して決定することができる。幾つかの場合には、尿試験は、電子的尿流計を使用することができる。幾つかの場合には、尿流試験は、尿力学試験である。幾つかの事例では、尿力学試験は、尿流速及び/又は尿体積の測定を含むことができる。
【0134】
幾つかの事例では、本明細書に記載されたGnRHアンタゴニストの投与による治療は、対象における前立腺特異的抗体(PSA)の量を減少させることができる。PSAは、前立腺腺中の細胞(正常細胞及びがん細胞の両方)により作製される物質である。PSAは、大部分、精液中に見出されるが、小量が血液中でも見出される。BPH又は前立腺がんなどの状態によるなどの前立腺の拡大の発生率は、対象におけるPSAの量を増大させ得る。それ故、PSAレベルは、PSAレベルにおける増大を生ずる状態の治療のための尺度として使用することができる。
【0135】
実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、PSAの濃度を約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mL未満に低下させることができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、PSAの濃度を、約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mLに低下させることができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、PSAの濃度を、約0.5ng/mLから約10ng/mL、約1ng/mLから約10ng/mL、約1.5ng/mLから約10ng/mL、約2ng/mLから約10ng/mL、約2.5ng/mLから約10ng/mL、約3ng/mLから約10ng/mL、約3.5ng/mLから約10ng/mL、約4ng/mLから約10ng/mL、約4.5ng/mLから約10ng/mL、約5ng/mLから約10ng/mL、約5.5ng/mLから約10ng/mL、約6ng/mLから約10ng/mL、約6.5ng/mLから約10ng/mL、約7ng/mLから約10ng/mL、約7.5ng/mLから約10ng/mL、約8ng/mLから約10ng/mL、約8.5ng/mLから約10ng/mL、約9ng/mLから約10ng/mL、又は約9.5ng/mLから約10ng/mLの量に低下させることができる。
【0136】
幾つかの特定の実施態様では、テベレリクスTFAは、第1の及び又は第2のGnRHアンタゴニストとして、テストステロンの長期の抑制を達成する治療の利益を提供することができる。そのような組成物は、アンドロゲン遮断療法の部分として使用することができ、それは、ホルモンに過敏な前立腺がんを有する患者の一般的に受け入れられている治療である。PKデータ及びこの投与レジメンを使用した第I相の研究で収集されたデータの予備的分析に基づいて、この研究(24時間の間隔をおいて90mgを3回注射)で使用されたテベレリクスLAの負荷用量を増大させると、初期ピークを増大させ、長引かせ、その結果として、去勢された対象の数を増加させ、去勢期間の持続時間を増大させることが予想された。
【0137】
90mgの3回の皮下注射は、去勢された対象の数を大きく増大させたが、データは、テベレリクスTFAの投与後、初期(負荷用量)における放出速度を増大させることが望ましく、その結果、去勢がGnRHアゴニストで見られる傾向(flair)なしに、殆ど直ちに、特に48から72時間以内に起こり、投与間隔を通して維持されることを示唆したが、これは第1の投与間隔について特に真である。3回の引き続く90mgの用量は、治療の要件に適切に対処することができるが、臨床の現場においてはあまりにも煩雑であり得る。しかしながら、筋肉内及び皮下注射の組合せによるテベレリクスの二重投与は、最初の二重投与後の長期間の化学的去勢を提供するという驚くべき且つ予想外の結果を有することができる。
【0138】
幾つかの事例では、化学的去勢の持続時間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30日であることができる。幾つかの事例では、化学的去勢の持続時間は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間であることができる。
【0139】
幾つかの典型的実施態様では、組成物は、化学的去勢のために使用され、投与は:
a)テベレリクストリフルオロ酢酸塩の対象への筋肉内投与;及び
b)テベレリクストリフルオロ酢酸塩の対象への皮下投与
を含み、
ここで、第1の投与及び第2の投与は、同じ日に実施され、対象における約0.5ng/mL未満の血漿中テストステロン濃度が、筋肉内投与及び皮下投与後約48時間までに達成される。
【0140】
幾つかの典型的実施態様では、組成物は、良性の前立腺肥大を治療するために使用され、投与は:
a)テベレリクストリフルオロ酢酸塩の対象への筋肉内投与;及び
b)テベレリクストリフルオロ酢酸塩の対象への皮下投与
を含み、
ここで、第1の投与及び第2の投与は、同じ日に実施され、対象で尿流における少なくとも約10%の増大が、筋肉内投与及び皮下投与後約2週間までに達成される。
【0141】
幾つかの事例では、組成物は、女性対象においてエストロゲンの血漿レベルにおける増大と関連する疾患又は状態を治療するために使用される。幾つかの場合には、GnRHアンタゴニストの投与は、対象でエストロゲンのレベルを低下させることができ、それにより疾患若しくは状態、又はそれらの症状を少なくとも部分的に緩和する。幾つかの場合には、疾患又は状態は、乳がんなどのがんである。幾つかの場合には、組成物は、子宮内膜症などの状態に基づく、対象における疼痛を低下させるために使用することができる。幾つかの事例では、エストロゲンは、17α-エストラジオール、17β-エストラジオール、又はエチニルエストラジールなどのエストラジオールであることができる。
【0142】
実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mL未満のエストロゲンの血漿中濃度を生じさせ、及び/又は維持することができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約10ng/mL、9.5ng/mL、9ng/mL、8.5ng/mL、8ng/mL、7.5ng/mL、7ng/mL、6.5ng/mL、6ng/mL、5.5ng/mL、5ng/mL、4.5ng/mL、4ng/mL、3.5ng/mL、3ng/mL、2.5ng/mL、2ng/mL、1.5ng/mL、1ng/mL、又は0.5ng/mLのエストロゲンの血漿中濃度を生じさせるか又は維持することができる。実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、約0.5ng/mLから約10ng/mL、約1ng/mLから約10ng/mL、約1.5ng/mLから約10ng/mL、約2ng/mLから約10ng/mL、約2.5ng/mLから約10ng/mL、約3ng/mLから約10ng/mL、約3.5ng/mLから約10ng/mL、約4ng/mLから約10ng/mL、約4.5ng/mLから約10ng/mL、約5ng/mLから約10ng/mL、約5.5ng/mLから約10ng/mL、約6ng/mLから約10ng/mL、約6.5ng/mLから約10ng/mL、約7ng/mLから約10ng/mL、約7.5ng/mLから約10ng/mL、約8ng/mLから約10ng/mL、約8.5ng/mLから約10ng/mL、約9ng/mLから約10ng/mL、又は約9.5ng/mLから約10ng/mLのエストロゲンの血漿中濃度を生じさせるか又は維持することができる。
【0143】
幾つかの典型的実施態様では、GnRHアンタゴニストの投与は、投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120時間、エストロゲンの0.5ng/mL未満の血漿中濃度を維持することができる。
【0144】
実施態様の新規な特徴が、添付の特許請求の範囲で詳細に示される。実施態様の特徴及び利点のより詳しい理解が、実施態様の原理が利用される例示の実施態様を示す以下の詳細な説明、及び添付図面を参照することにより得られるであろう。
【実施例】
【0145】
実施例1 - テベレリクスの皮下注射
第I相の研究(D-84812-Z012)において、32名の健常男性志願者に、単回の皮下注射として投与された90mgまでの用量のテベレリクスTFA(トリフルオロ酢酸塩)は、十分に忍容され、実験室及び臨床的安全性に関して重要な所見はなかった。テベレリクスの薬力学は、LH、テストステロンの急速な著しい抑制及び、FSHのそれより低い程度の抑制を示した。少なくとも最大半量のテストステロン抑制の持続時間は、用量と共に増大した。テベレリクスの薬物動態は、薬物放出の初期の増大とそれに続く遅延及び制御を示した。半減期は、252時間から331時間の間の範囲であった。最大血漿中濃度は、皮下注射後1.75時間から3時間まで観察された。用量の正比例は、テベレリクスTFAの用量が60mgと90mgの間で示された。低用量の10mg及び30mgテベレリクスLAだけは、長期にわたるホルモン抑制を達するには不十分であるように思われた。
【0146】
第2の第I相の研究(EP-24332T-A004)では、初期ピークを大きくし、延長するために、並びにテベレリクスレベル、及びその結果として去勢された対象の数を増加させるために、最初の注射の24時間又は48時間後に次の注射を投与した。以前の第I相研究が、10mg及び30mgでは、長期の抑制を提供するには不十分であることを示していたので、2用量の60mg又は90mg(群当たり6名の対象)又はプラセボ(4名の対象)を24時間間隔で、及び2用量の90mgを48時間間隔で投与した。テベレリクスは十分に忍容され、軽い局所硬結が注射部位で観察されただけであった。重要な安全性の所見は報告されなかった。テベレリクスの薬力学は、テストステロンの平均レベルが、60mg/60mg及び90mg/90mgの群で、それぞれ4週間を超えて、ベースライン値の40%及び60%に維持されたことを示した。研究のプロトコルは、90mgのテベレリクスTFAをD1;D2;D3に受けた6名の対象を含んだ。この群では、テストステロンの去勢レベル未満(<0.5ng/mL)の抑制が6名の対象のうち5名で達成された。しかしながら、1名の対象における薬力学的応答が、残る5名の対象における薬力学的応答と異なったので、平均のテストステロンレベルは去勢レベルを超えた。
【0147】
実施例2 - テベレリクスの筋肉内注射(2×90mg、1日目及び8日目)
GnRHアンタゴニストの筋肉内注射が、前立腺がんのレジメンの一部として有用であり得るという仮説を試験するために、テベレリクスが90mgのTFA製剤の薬物動態、薬力学、効力及び安全性を調べる第II相の多施設、非盲検研究を行った。
【0148】
主な目的は、テストステロンを去勢レベル(0.5ng/mL[2nmol/L])未満に抑制する見地から、筋肉内で送達されたテベレリクスTFAの初期「負荷」用量レジメンの作用の持続時間を推定することであった。第2の目的は、血漿中テストステロンレベルを、3週間、去勢レベル未満(<0.5ng/mL[2nmol/L])に抑制し、維持する能力の見地から、テベレリクスの薬力学を推定すること;黄体形成ホルモン(LH)及び前立腺特異的抗体(PSA)に対する効果を推定すること;並びに局所及び全身的忍容性の出現率の見地から(有害事象[AE]及び実験室パラメーターにおける変化)、テベレリクスの安全性を推定することであった。
【0149】
これは、進行した前立腺がんを有すると診断された14名の患者における多施設、非盲検の、コントロール無しの研究であった。患者は、第1の投与の前1から7日の間に、研究に含まれるために審査された。各患者は、90mgのテベレリクスTFAの2回の筋肉内(i.m.)注射を、7日の間隔をおいて、研究の日1日目及び8日目に受けた。患者は、研究の1、2、3、5、8、9、10、12及び14日目に、次に、3週目以後、去勢レベルを超えるテストステロン濃度の増大の決定が2回続けて記録されて、2ng/mLを超えるテストステロンの2回目の決定が記録されるまで、毎週病院ユニットに訪問した。血液試料を、6名の血漿中のテベレリクス、テストステロン及びLH、並びにPSAのレベルの評価のために採取した。安全性及び忍容性を、局所及び全身的忍容性(AE、臨床的実験室試験、生命徴候、心電図[ECG])をモニターすることにより、研究の全期間を通して評価した。
【0150】
テベレリクスの薬物動態
Cmax(obs)、AUC(0-t)、及びAUC(0-∞)についての幾何平均(括弧内に表示されたそれぞれの変動係数と共に);Tmax中央値(括弧内に表示されたTmax値の範囲と共に);及びT
1/2,
elimについての算術平均(括弧内に表示された標準偏差と共に)を、表1にテベレリクス筋肉内の各用量について表示した。
【0151】
2筋肉内用量のテベレリクスについて、組み合わされたAUC及びAUC(∞)についての幾何平均(括弧内に表示されたそれぞれの変動係数を加えて);並びに見かけのクリアランス(CL/F)についての算術平均(括弧内に表示された標準偏差を加えて)を表2に表示した。
【0152】
薬物動態学的結論
2次のテベレリクス濃度の最大値は最終の用量の投与後24時間を超える濃度対時間プロファイルで明らかであり、長時間作用性のテベレリクス製剤からの薬物の持続放出を示す。
【0153】
第2の用量についての最大濃度は、第2の用量からの定量可能なテベレリクスの先行する濃度-時間プロファイルへの重ね合わせの結果として、第1の用量(Cmax(obs))後の対応する濃度よりも大きい。これは、第2の用量の投与に先立って観察された定量可能な先行用量のテベレリクス試料と矛楯しない。
【0154】
テベレリクスについてのT1/2,elim推定値は、第1の用量と比較して第2の用量の方が長い。第2の用量後の血液サンプリング期間は、PDパラメーターTescの決定のための基準が達成されるまで試料が採取されたので、第1の用量後よりも長い。それ故、第2の用量について観察された、より長いT1/2,elim推定値は、血漿プロファイルについてラムダ-z勾配を決定するために使用されたもっと後の時間範囲をおそらく反映する。
【0155】
テストステロンレベルの決定
テストステロンの平均濃度は、テベレリクスの投与後、急速に減少した(ベースラインからの2日目の平均[SD]変化は、-2.906[0.545]ng/mLであり、ベースラインから約83%の減少である)。血清中のテストステロン濃度の抑制は、少なくとも5週目の終わりまで継続し(
図1を参照されたい)、全ての患者についての個々の血清濃度は、患者01を例外として、2ng/mL未満にとどまった。患者01は、3、4及び5週目の終わりに、それぞれ0.27、1.25及び4.97ng/mLの血清テストステロン濃度を有した。
【0156】
テベレリクス(ng/mL)及びテストステロン(ng/mL)の、均等目盛における平均値の決定
9日目までに(即ち、第2の用量の投与後2日)全ての患者のテストステロン濃度は、生化学的去勢と考えられる閾値未満(<0.5ng/mL)に低下していた;
図1を参照されたい。
【0157】
去勢を発症する時間(Tcast)、去勢から脱する時間(Tesc)、及び去勢の持続時間(DC)を表3にまとめる。
【0158】
去勢を達成するために要した平均(SD)時間(Tcast)は2.40(2.52)日であった。Tcastは0.9から8日の範囲にあり、11/14名の患者について、テベレリクスの第1の用量の投与の2日以内であった。Tcastは、3名の患者について2日よりも長かった。患者03、06及び09についてのTcastは、それぞれ8.0、6.0及び6.9日と推定された。
【0159】
去勢の平均(SD)持続時間(DC)は、34.77(9.28)日であった。DCは、20.8から57.7日の範囲にあり、11/14名の患者について4週間よりも長かった。DCは、3名の患者について4週間未満と推定され:患者01、03及び08についてのDCは、それぞれ21.3、20.8及び26.0日であった。去勢から脱する平均(SD)時間(Tesc)は46.17(10.88)日であり、テベレリクスの第1の投与後29.4から75.2日の範囲であった。去勢からの脱出に、血漿中テベレリクス濃度における一様な減少が続いた。
【0160】
14名の患者中8名(57.1%)が、去勢中に一過性のブレークスルーエピソードを経験し、テストステロンの濃度が、0.5ng/mLを超えて上昇した(患者02、03、05、06、07、12、13及び14)。全ての事例において、テストステロン濃度は、2ng/mL未満にとどまり、去勢から脱出の基準に合うまで進まなかった。6/8名の患者について、ブレークスルーエピソードが、テベレリクスLAの第2の用量の投与前に起こり、全ての症状の発現は、2週目の終わりの前に起こった。ブレークスルーエピソードは、2.3日から5.4日の間の持続時間で変化した(平均[SD]持続時間=3.60[1.28]日)。
【0161】
1、2及び3日目の皮下注射90mg対1及び8日目の筋肉内注射の比較
【0162】
上のことから、3×90mgの皮下投与のレジメン及び2×90mg筋肉内の投与レジメンは両方共、前立腺がん患者を48から72時間以内に去勢し、去勢をまる4週間の投与間隔で維持する主な目的に合致することは明らかである。しかしながら、それは、4週間毎に1回の単回訪問で患者を治療することができるという実用的基準に合致しないであろう。
【0163】
実施例3 - GnRHの筋肉内/皮下の組合せ(2×90mg、1日目)
筋肉内及び皮下注射の研究からの平均データを、GnRHアンタゴニストの投与の組み合わされた筋肉内及び皮下投与レジメンについて、PKプロファイルを予測するために使用した。3通りの可能性のある投与レジメンについてのPKプロファイルを構成した:シナリオA(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、56日毎;
図6);シナリオB(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、42日毎;
図7);及びシナリオC(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、28日毎;
図8)。定常状態のCmax、Cmin、AUC及びCavgを下にまとめる。
【0164】
筋肉内及び皮下注射の組み合わされた投与は、第1の投与間隔の間にすでに効率的な血清濃度を提供する役に立つ。予想されるように、定常状態の投与間隔の短縮は、平均血清濃度を直線的に増大させることができる。
【0165】
好ましい実施態様では、組成物の二重投与が、GnRHアンタゴニスト又はその塩の、対象への筋肉内投与及び皮下投与を含む第1の投与の約28日後に、GnRHアンタゴニスト又はその塩の対象への皮下投与を含む第2の投与が続けた後、実質的に
図8に描かれたようなPKプロファイルを生ずることが好ましく、ここで、第2の投与は、第1の投与の訳28日後に実行することができる。
【0166】
実施例4 - テベレリクスの筋肉内/皮下の組合せ(2×90mg、1日目)
筋肉内及び皮下注射の研究からの平均データを、組み合わされた筋肉内及び皮下投与レジメンについて、PKプロファイルを予測するために使用した。
図4及び5は、単回の筋肉内及び皮下注射の、それぞれの後のテベレリクスの平均血清濃度(ng/mL)を描いている。このデータを使用して3通りの可能性のある投与レジメンについてPKプロファイルを構成した:シナリオA(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、56日毎;
図9);シナリオB(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、42日毎;
図10);及びシナリオC(90mg筋肉内+90mg皮下、次に90mg皮下、28日毎;
図11)。定常状態のCmax、Cmin、AUC及びCavgを下にまとめる。
【0167】
テベレリクスTFAの筋肉内及び皮下注射の組み合わされた投与は、第1の投与間隔の間にすでに効率的な血清濃度を提供する役に立つ。予想されるように、定常状態の投与間隔の短縮は、平均血清濃度を直線的に増大させることができる。
【0168】
本明細書で典型的実施態様が示されたが、そのような実施態様は、例としてのみ提供されていることが、当業者には明らかであろう。多数の変形、変化、及び置換が当業者で行われるであろう。本明細書に記載された実施態様に対する種々の代替が用いられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が開示の範囲を規定すること、並びにこれらの特許請求の範囲内の組成物及びそれらの等価物がそれにより包含されることが意図されている。