(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】多段階ダイシングを備えたタイル状再帰反射器
(51)【国際特許分類】
G02B 5/124 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
G02B5/124
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020012538
(22)【出願日】2020-01-29
(62)【分割の表示】P 2017527286の分割
【原出願日】2015-11-18
【審査請求日】2020-02-27
(32)【優先日】2014-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514100751
【氏名又は名称】アベリー・デニソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャプマン,スティーブン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ガリシア,エセルバート
(72)【発明者】
【氏名】ウー,フェン
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-033609(JP,A)
【文献】特表平09-504383(JP,A)
【文献】国際公開第2014/151368(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00 - 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイル状物作成方法であって、
プリズム要素を備えた上面を含むタイルを提供することと、
前記タイルの前記上面の一部を除去することにより、前記タイル上に、前記タイルの前記上面と第1共通縁部を共有する壁部を形成することと、
前記タイルのレプリカを形成することと、
前記各レプリカ上の壁部が隣接するレプリカ上の壁部と向かい合って直接当接することにより、タイル状物を形成するように、前記レプリカを配置することとを備え、
各レプリカ上に面を形成することをさらに備え、前記面は、各レプリカ上の前記壁部と第2共通縁部を共有し、各レプリカの第1共通縁部は、前記壁部の前記第2共通縁部とは反対側にあり、
各レプリカは、前記上面の反対側の底面を含み、
前記各レプリカの前記面を形成することにより、第3共通縁部を形成し、前記第3共通縁部は、前記面と前記底面の間で共有され、前記第3共通縁部は、前記面の前記第2共通縁部とは反対側にある方法。
【請求項2】
前記タイルは、
a.その上面にプリズム要素を含む基板を備えたマスタ、
b.その上面にプリズム要素を含む基板を備えたマスタのレプリカのうちの一方を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイルは、
a.単一片タイル、又は、
b.複数の接合タイル
のうちの一方を備える請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記タイルは、複数のタイルであって、以下、
a.プリズム要素は、前記複数のタイル間で同一であること、又は、
b.プリズム要素は、前記複数のタイル間で異なることのうちの一方が満たされる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記壁部と前記上面の間の角度は、前記タイルを通して測定すると、約90°である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記壁部の高さは、前記プリズム要素の高さより高い請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記壁部は、前記タイルに凹部を作成することによって形成される請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記凹部を作成することは、前記プリズム要素の少なくとも一部を除去することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記凹部を作成することは、前記上面と反対の前記タイルの一部を通して測定されると、前記タイルの横寸法を実質的に低減するものでない請求項
7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記壁部は、ダイヤモンド切削によって形成される請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記面は、各レプリカの一部を除去することによって各レプリカ上に形成される請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記各レプリカの一部を除去することは、各レプリカ上の前記壁部の一部を除去することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各レプリカ上の前記壁部と前記面の間の角度は、前記レプリカを通して測定すると、180°未満である請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各レプリカから一部を除去することは、ワイヤ放電切削、レーザ切削、水噴射切削、水噴射誘導レーザ切削、又はこれらの組み合わせによって達成される請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記タイル上の前記壁部は、複数の壁部を備え、
前記タイル上の前記プリズム要素は、前記複数の壁部に包囲される請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記タイル上の各壁部は、前記タイル上の隣接する壁部と共通境界面を共有し、前記タイル上の隣接する壁部は、異なる高さを有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プリズム要素は、プリズム配向性を有し、
前記レプリカは、隣接するレプリカ上の前記プリズム要素が約15°~約180°でオフセットされるプリズム配向性を有するように配置される請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年11月20日出願の米国仮特許出願第62/082,179の利益を主張するものであり、その内容全体を参照としてここに援用する。
【0002】
本主題は、再帰反射シートを作成するための金型として使用されるタイル状物の製造方法全般に関連し、特に、多段階ダイシング技術を使用したタイル状物の組立方法と、それによって製造されたシートとに関連する。
【背景技術】
【0003】
再帰反射物品は、高速道路の標識、安全反射板、及び道路表示等への適用がよく知られている。通常、これらの物品のキューブコーナーバージョンは、平滑な正面と複数の再帰反射キューブコーナーを裏面に備えた、メチルメタクリレート、ポリカーボネート、又はビニル等の透明、有色、又は無色の樹脂の前方レンズを有する。キューブコーナー要素は、各々、3つの反射面を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔光源からの入射光は、平滑表面を通過し、キューブコーナー要素の3つの面の各々で反射し、入射方向に対して名目上180°の方向で正面を通過して戻る。完全再帰反射器において、この光は、光の到来方向と正反対の方向で光源に戻る。部分的には再帰反射器の構造における変動が故に、偶然又は設計により、反射光は到来方向の正反対方向にのみ戻るのではなく、通常、正反対の復帰方向を中心とした拡散パターンに戻る。この「不完全な」復帰反射も依然として「再帰反射」と称される。拡大再帰反射光により、再帰反射器が光源から僅かに離れる方向から視認できるようにする。
【0005】
到来光源と反射光の間の、再帰反射器に頂点を有する角度は、「発散角」と称され、角度単位で、再帰反射光が完全再帰反射から発散する量に関連する。従来の再帰反射物品は、通常、到来光源と観察者との間の、再帰反射器に頂点を有する角度である「観察角」に対応する長距離で、非常によく視認されるように設計される。
【0006】
高速道路標識及び路面表示等、高速道路の安全適用において、再帰反射器は、車両のヘッドライトからの光を反射して車両のドライバの目に戻さなければならない。これは、不完全再帰反射であり、観察角αが約0°~3°超の範囲である。任意の与えられた状況における値αは、車両及びドライバの配置と車両から再帰反射材までの距離とに応じて決まる。例えば、大型トラックの右側ヘッドライトと道路標識から約40メートルの距離にあるそのドライバとの観察角αは、約3°となり、自動車の左側ヘッドライトと道路標識から約600メートルの距離にあるそのドライバとの観察角αは、約0.05°となるはずである。
【0007】
発散方向の測定値であり、方位角としても知られる回転角εも、観察角αと関連付けられる。εの値は、車両の左側と右側のヘッドライトで異なり、車両とドライバとの配置と、道路標識の位置とに応じて決まるであろう。道路標識上でランダムな配向で搭載されるであろうシートについては、εのすべての値において再帰反射が要求される。角度α及びεは、発散角を「観察角」αとして参照する文書である、ASTM E808の再帰反射を説明するための標準実施方法に規定されている。
【0008】
理想的には、道路標識に使用される再帰反射シートは、観察角αの値と回転角εの値の範囲に亘って十分な強度を有する再帰反射光パターンを生成するであろう。しかしながら、種々の再帰反射物品は、物品の観察者に対しての配向に対する感度が高い。つまり、観察者は、回転角εに応じて、種々の再帰反射光強度を経験するであろう。1つの特定回転角εから、再帰反射は比較的強くなり、他の回転角εでは、再帰反射は比較的弱くなることもある。
【0009】
種々の回転角εにおける再帰反射表面と関連した観察者の配向への感度には、少なくとも2つの方法で対応することができる。1つの方法は、「ピニング」によって作られた金型を使用することにより、再帰反射物品を形成するというものであり、金属ピンの群が組み立てられ、各ピンは一端が加工及び研磨された単一のキューブコーナーを有する。ピンは、通常、三角形、六角形、四角形、又は矩形の断面を有する。そして、ピンは、加工された先端が「雄型」キューブコーナーの列の形成に使用できるようにともに束ねることができ、このような束は、「雌型」金型を電鋳するマスタとして使用されるであろう。そして、この金型は、ガラス又はプラスチックで雄型プリズム要素の列を形成するために使用されるであろう。加工されたピンの端部の面のサイズ又は形状、面間の角度(上反角)、形成された再帰反射器の面の平坦度又は正面の平坦度における変動は、すべて再帰反射パターンを変化させ得るものであり、これによって再帰反射が視認可能である光源の周辺領域を判定し得る。
【0010】
ピニングにより、キューブコーナー列の製造及び設計における柔軟性をもたらす。キューブコーナーには、正三角形以外の種々の形状が利用可能であり、各ピンは、列の総合的性能に貢献する、その配置及び配向を個々に調節可能である。
【0011】
しかしながら、製造上の制限が故に、ピンは、通常、ピンの端部に約0.040インチ(1mm)四方以上の幾何学形状(以降、「マイクロキューブ」と称する)を有する。六角形ピンは、通常、平行平坦面に亘って約0.10インチ(2.5mm)オーダの寸法を有することもある。矩形ピンは、約0.070インチ(1.8mm)の短い寸法と、約0.120インチ(3.0mm)の長い寸法とを有する。マイクロキューブは、その高さが故に、より小さな再帰反射プリズム要素を要求する薄い柔軟性再帰反射シートの製造に使用するには大き過ぎる。
【0012】
より小さなプリズム要素(以降、「マイクロキューブ」)の列を作成するために、通常、異なる技術が使用されてきた。本技術において、まず、マイクロキューブをマスタ基板に形成することができる。マイクロキューブを形成する1つの方法は、直接加工又は線引きによるものであり、V字型溝部の平行な並びが基板に切削され、キューブコーナー要素を形成するように交差する溝部のパターンを作成する。このようなV字型溝部の3セットで、三角形状キューブコーナーの列を形成することができる。マイクロキューブの列を、プラスチックの再帰反射シートのための金型として使用することができる。加工方法では、多くの場合、ダイヤモンド切削を採用する。「ダイヤモンド切削」とは、加工ツール(例えば、ラス、ターンミル、ロータリトランスファ、又はラスタミル等の非回転型自由形態生成ツール)と、ダイヤモンド切削要素を修正対象表面と接触させることにより、表面への印付け、切削、研磨、削り取り、溝堀り、またはその他の修正を加えるダイヤモンド切削要素(点、ブレード、又は縁部等)とを備えたダイヤモンド切削ツールを使用した、精密要素の超精密直接機械加工を意味する。ダイヤモンド切削ツールは、軸上回転又は軸外回転、線引き、フライカット、又はミクロプリズム切削動作を行うために使用され、サブナノメートルレベルの表面仕上げ(ダイヤモンド切削によって形成された表面の山と谷の間の距離)と、サブミクロン形成精度とを得ることができる。ダイヤモンド切削機械は、多くの場合、電気モータと、精度のために使用される圧電アクチュエータとを利用したコンピュータ数値制御(CNC)機械ツールである。ダイヤモンド切削によって作成され
た溝部は、バリや、従来の切削又は加工技術に関連付けられるミクロンサイズ以上のその他の欠陥が実質的に存在しない、平滑な縁部を有する。
【0013】
基板にマイクロキューブを形成する他の方法は、薄板又は薄層の縁部に微小キューブコーナープリズムの並びを形成することを含む。この技術は、直接加工法より困難であるものの、異なるキューブ形状により高い自由度を与え、個別調節ができるという効果を有する。これらの板は、ともに積み重ねられてプリズム要素の列を形成することができる。
【0014】
「雄型」又は「雌型」キューブコーナー要素のマスタは、電鋳法等により、性差を変える(すなわち、第1世代及び第2世代)のレプリカ、コピー、又は「タイル」のシーケンスを作るために使用可能である。例えば、マスタが突出した(「雄型」)プリズム要素を有する場合、マスタの第1世代コピーは、窪んだ(「雌型」)プリズム要素を有するであろう。すなわち、タイルは、マスタとは反対の構成を有するであろう。第2世代コピーは、マスタと略同一であり、すなわち、タイルは、突出したプリズム要素を有するであろう。任意の段階において、マスタの第1世代コピー及び第2世代コピーは、所望の形状にダイシング又は切削可能であり、その後、ダイシングされたタイルは、ともに組み立てられてタイル状物を形成する。タイルをより大きな組立品に組み立てることは、ここでは、「タイリング」として知られており、より大きな組立列は、ここでは、「タイル状物」として知られており、より小さなプリズム要素の列を有するいくつかのタイルが、より大きなタイル状物に接合される。次に、タイル状物もコピーされてより大きなタイルを形成し、その後、ともに接合されてさらに大きなタイル状物を作ることができる。「タイル」と称する時、それは、一体又は単一片の構造又は基板を意味する。「タイル状物」と称する時、2つ以上のタイル又は基板をともに接合することによって形成された、複数片構造を意味する。「マスタ」と称する時、レプリカを形成するために使用される任意の構造を意味する。すなわち、マスタは、単一片基板又はタイル状物とすることができる。いずれの場合も、マスタのレプリカ又は前記レプリカのダイシング部分は、タイル、すなわち、一体の単一片構造と考えることができる。例えば、単一片構造又は多数片構造(すなわち、タイル状物)のいずれかを電鋳法等で複製する場合、電鋳法では継ぎ目のない一体の単一片構造を有するレプリカを製造するため、レプリカ又はそのダイシング部分はタイルと考えることができる。
【0015】
一連のコピー及びタイリング段階の後、単一の「金型」を形成することができる。「金型」は、電鋳法等により、製造ツールを作成するために使用することができ、このツールは、エンボス加工、鋳造、圧縮成形、又は当分野で既知のその他の方法等により、広げたプラスチックシート材上にマイクロキューブ又はその他の再帰反射を形成するのに使用することができる。或いは、その金型は、再帰反射物品の製造に使用することができる。
【0016】
微小プリズム要素を形成する直接加工又は薄層方法のいずれかにおいて、このようなプレジム要素の列には、通常、1つ又は2つのプリズムの配向しか存在せず、配向に対する感度が高い。そのため、このようなアセンブリのコピーは、タイルを形成するために上述のようにダイシングされることが望ましい。配向への感度には、タイル状物における個々のタイルの配向を変えることによって対応する。特に、個々のタイルのプリズムの配向は、隣接するタイル間で変動する。この個々の隣接するタイル間で変化又は変動するプリズムの配向により、単一のプリズムの配向のみを有する物品に比べて、回転角εに対して感度の低い再帰反射物品を製造する。これは、配向に対する感度を低減したより大型の総合的キューブコーナー列を提供するために行われる。さらに、異なる配向のタイル間の視覚的対照性をより目立たなくするために、すなわち、人の目で解像しにくくするために、タイルのサイズを低減することができる。
【0017】
しかしながら、このタイリング技術には、特に、少なくとも2つの制限がある。マイク
ロキューブの列をタイリングする処理では、マイクロキューブのピニング時に見られるのと同様の制限と、他の何らかの制限とに直面する。第1に、非常に小さなタイルは、物理的に取り扱い又は操作が困難である。この困難は、タイル状物においてより小型サイズの個々のプリズム列を作るのを妨げるものである。タイルが小さいほど、その取扱い及び配置がより困難となる。これは、タイリングされた金型の製造コスト及び時間の増加に繋がる。第2に、種々の形状及びサイズのタイルの作成に使用される通常のダイシングプロセスでは、タイル上に性能の低い粗製縁部を作成してしまう。すなわち、従来のダイシングでは、部分的且つ/又は損傷したプリズム要素を備えた縁部を有し得るタイルや、十分に真っ直ぐでない縁部を備えたタイルを作成してしまう。サイズが小さくなるほど、性能の劣る縁部部分と残りのプリズム列との間で割合が増加し、このようにタイリングされた金型で作られた再帰反射物品の曲線因子を低減する。さらに、タイルが正確なサイズ又は形状を有さず、粗製縁部を有する場合、このようなタイルの縁部同士の組立品は、タイル間に小さな隙間を有することもあり、すなわち、タイル間に幅広の継ぎ目を有することもあり、これがレプリカ作成中に問題を生じ、同様にこのような金型で作られた物品の再帰反射曲線因子の性能を低下させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に記載の本主題の実施形態は、網羅的であることを意図するものでなく、以下の詳細な説明に開示する精密な形態に本主題を限定するものでない。むしろ、これらの実施形態は、当分野の他の技術者が本主題の原則及び実施について認識及び理解してもよいように選択及び記載されるものである。
【0019】
本主題は、再帰反射物品を形成する際に金型として使用されるタイル状物を製造する方法に関する。この方法は、比較的小さなタイルの取扱いが困難であり、ダイシング中に粗製縁部がタイル上に共通して形成され、結果としてタイル間に大型又は幅広の継ぎ目を生じる、従来のタイリング技術と関連付けられた問題に対処するものである。本明細書において提供される方法では、タイル上に正確な縁部を形成させ、タイル状物においてタイル間に細い継ぎ目を提供するように嵌合される。これらの方法は、また、タイルの取扱いを容易にするために、各タイル上により小さなプリズム列を形成するのと同時にダイシング後にタイルに比較的大きな横寸法を維持させることによって、タイル上におけるより小さなプリズム列を取り扱う際の妨げに対処する。このようなより大きな横寸法とより小さなプリズム列の組み合わせは、マスタにおいて形成され、マスタのレプリカにおいて維持されるか、又はレプリカ自体において形成されてもよい。いずれの場合であっても、レプリカタイルは、タイル間に細い継ぎ目を備えて構築された 従来のタイルに比べて、上部に
相対的により小さなプリズム列を有するタイル状物を形成するために、容易に修正され、互いに嵌合可能である。
【0020】
本明細書に記載の主題の一実施形態において、物品作成方法は、基板の表面にプリズム要素を形成することを含む。この方法は、また、基板上に表面と第1共通縁部を共有する壁部を形成することを含む。この方法は、さらに、基板上に面を形成することを含み、壁部は、面と第2共通縁部を共有し、第1共通縁部は、壁部の第2共通縁部とは反対側にある。
【0021】
本明細書に記載の主題の他の実施形態において、タイル状物作成方法は、プリズム要素を備えた上面を含むタイルを提供することを含む。この方法は、また、タイルの上面の一部を除去することにより、タイル上に、タイルの上面と第1共通縁部を共有する壁部を形成することを含む。この方法は、タイルのレプリカを形成することと、各レプリカ上の壁部が隣接するレプリカ上の壁部と向かい合って直接当接することにより、タイル状物を形成するように、レプリカを配置することとを含む。
【0022】
本明細書に記載の主題の他の一実施形態において、タイル状物作成方法は、基板の表面上にプリズム要素を形成することを含む。この方法は、参照縁部がプリズム要素を有する表面に対して約90°で基板内に伸びるように、基板上に参照縁部を形成することを含む。この方法は、基板のレプリカを形成することと、各レプリカ上の参照縁部が異なるレプリカ上の参照縁部と向かい合って当接することができるように、各レプリカの一部を除去することとを含む。この方法は、各レプリカ上の参照縁部を他のレプリカ上の参照縁部と向かい合って当接させることと、レプリカをともに固定することにより、タイル状物を形成することとを含む。
【0023】
本明細書に記載の主題のさらに他の実施形態において、タイル状物は、ともに2次元パターンに配置されたタイルを備える。各タイルは、プリズム要素の列を含む上面と、側面とを備える。タイルは、縁部タイルと、任意で内側タイルとを備える。各内側タイルの各側面は、壁部と、面とを含む。各縁部タイルの少なくとも1つの側面は、壁部と、面とを含む。各内側タイルの各壁部は、隣接するタイルの壁部と向かい合って当接し、各内側タイル上の各面は、隣接するタイルの面と向かい合って当接しない。各縁部タイルの各壁部は、隣接するタイルの壁部と向かい合って当接し、各縁部タイルの各面は、隣接するタイルの面と向かい合って当接しない。
【0024】
本明細書に記載の主題のさらに他の実施形態において、タイル状物作成方法は、その表面にプリズム要素を有する基板を提供することを備える。この方法は、また、少なくとも1つの参照縁部を各々有する、基板のレプリカを作ることを含む。この方法は、さらに、各レプリカの各参照縁部を通ってラフカットを作成することを含む。この方法は、レプリカの参照縁部が向かい合って当接し、レプリカのラフカットが向かい合って当接しないように、レプリカをタイリングすることにより、タイル状物を製造することを含む。
【0025】
本明細書に記載の主題のさらに他の実施形態において、再帰反射物品形成方法は、
a)マスタの表面上にプリズム要素を形成することと、
b)前記マスタのレプリカを作ることと、
c)前記レプリカ上に少なくとも1つの参照縁部を作ることと、
d)前記レプリカのコピーを作ることと、
e)各コピーの参照縁部が向かい合って当接するように、前記コピーを互いに対して配置することと、
f)b)~d)のうちのいずれか1つ以上を任意で反復することであって、前記マスタは、a)~d)のうちのいずれか1つ以上の生成品を備えることと、
g)a)~d)又はa)~e)のうちの少なくとも一方によって製造された金型を使用して再帰反射物品を成形することとを備え、a)~f)は、順に実施されるか、順に関わらず実施される。
【0026】
本明細書に記載の主題のさらに他の一例としての実施形態において、物品作成方法は、基板の表面上にプリズム要素の列を形成することと、基板上に複数の壁部を形成することにより、物品を形成することとを備える。複数の壁部は、各々、表面と第1共通縁部を共有する。
【0027】
本明細書に記載の主題のさらに他の一例としての実施形態において、再帰反射物品の形成に使用される金型の作成方法であって、各々、その表面に設けられたプリズム要素と、1つ以上の参照縁部と、リップ部を有する複数のタイルを提供することを備える。この方法は、複数のタイルの各々に1つ以上のラフカットを作成することにより、複数のタイルの各々のリップ部を除去し、複数のタイルの各々の1つ以上の参照縁部を露出し、複数のタイルの各々の露出された1つ以上の参照縁部が、複数のタイルのうちの他のタイルの露出された参照縁部と向かい合って当接することができ、複数のタイルの各々のラフカット
が、複数のタイルのうちの他のタイルのラフカットと当接しないようにすることを含む。この方法は、また、複数のタイルの各々の露出された1つ以上の参照縁部が向かい合って当接するように、複数のタイルを嵌合させることを含む。
【0028】
本明細書に記載の主題のさらに他の一例としての実施形態において、再帰反射物品を作るのに使用される基板は、プリズム要素の列を備える表面を含む。この基板は、各々、参照縁部によって少なくとも部分的に規定される1つ以上の凹部を含む。この基板は、また、その周囲を規定するリップ部を備えた基部を含む。
【0029】
従来の再帰反射金型製造方法及び設計は、本明細書に記載の金型、タイル、タイル状物、及び方法を使用することによって対処される構造的且つ光学的な制限を含むものであった。本主題を使用することにより、金型成形パラメータを拡張させることができる。例えば、より小さなプリズム列又はプリズム列群は、時間やお金の掛かる精度を要求しない従来のタイル取扱い技術を使用して、容易に製造されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法及び物品は、タイル状物のタイル間に精密且つ細い継ぎ目を提供する。タイル状物のタイル間により小さな継ぎ目があれば、より効率的な再帰反射物品が製造される。
【0030】
多数の構造製造技術によっても、異なるプリズム形状、サイズ、及び配向を有する近接して離間した混在プリズム要素又は群の結果として、光学性能を向上してもよい。さらに、より大きなタイルを取扱い、移動、又はその他の操作を行う際の容易さを維持しながら、タイル上のプリズム列のサイズを、より小さく作成可能である。これらの効果は、広範に亘る視距離、観察角、及び回転角において、本主題の金型で作成された再帰反射物品における多数の構造列でより均一な外観を表す。多数の構造列は、また、1種を上回る種別のキューブコーナー要素の嵌合対にも基づいてよい。本主題は、プリズム列の由来を問わず、すべてのプリズム列に適用される。
【0031】
本主題のその他の特徴及び効果は、当業者にとって、以下の詳細な説明より、明らかとなるであろう。しかしながら、種々の実施形態及び特定の例の詳細な説明は、本主題の種々の実施形態を示すものであるが、例示であって限定でないことを理解しなければならない。その主旨から逸脱することなく、本主題の範囲内で多くの変更及び修正がなされてもよく、本主題にはそれらすべての修正が含まれる。
【0032】
これらと、主題の他の目的及び効果とは、以下に述べる主題の例示としての本実施形態のより詳細な説明を、添付の図面とともに参照することにより、より完全に理解及び認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】
図2は、本主題に応じてさらに変更を行った
図1の基板の斜視図である。
【
図3】
図3は、本主題に応じてさらに変更を行った
図2の基板の斜視図である。
【
図4】
図4は、本主題に応じてさらに変更を行った
図3の基板の斜視図である。
【
図5】
図5は、本主題に応じてさらに変更を行った
図4の基板の斜視図である。
【
図6】
図6は、本主題に係る
図5の基板又はそのレプリカの断面図、若しくはそのレプリカの断面図である。
【
図7】
図7は、本主題に応じてさらに変更を行った
図6の基板又はそのレプリカの断面図である。
【
図8】
図8は、本主題に係るタイル状物の断面図である。
【
図9】
図9は、本主題に係る
図8のタイル状物の斜視図である。
【
図11】
図11は、本主題に応じてさらに変更を行った
図10の基板又はそのレプリカの斜視図である。
【
図12】
図12は、本主題に係る
図11の基板又はそのレプリカを含むタイル状物の斜視図である。
【
図14】
図14は、本主題に応じてさらに変更を行った
図13の基板又はそのレプリカの斜視図である。
【
図15】
図15は、本主題に応じて変更を行った
図13の基板又はそのレプリカの斜視図である。
【
図21】
図21は、本主題に応じてさらに変更を行った
図20の基板又はそのレプリカの斜視図である。
【
図22】
図22は、本主題に応じてさらに変更を行った、
図21の基板の2つのレプリカを含むタイル状物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
指摘のない限り、以上の図示は、必ずしも寸法を表すものでない。
実施形態の詳細な説明
本主題の装置及び方法を、例示として、図面を参照し、詳細に説明する。指摘のない限り、図面全体を通じて、図中で同様の参照符号は、同一、同様、又は対応の要素を示す。本開示又は記載の例、配置、構成、構成要素、要素、装置、方法、材料等に対する修正が可能であり、特定の適用に合わせて所望されてもよい。本開示において、特定の形状、材料、技術、配置等の任意の識別は、記された特定の例に関連付けられるか、又はそのような形状、材料、技術、配置等の単なる一般的説明である。特定の詳細又は例の識別は、その旨の特段の指摘のない限り、 強制又は限定として解釈されることが意図されるもので
もなく、されてはならない。
【0035】
本明細書において使用する「プリズム要素」とは、基板の表面上の3次元幾何学形状を意味する。プリズム要素は、再帰反射物品を作成するために、材料の表面上に再帰反射要素を形成するの使用される形状である。プリズム要素には、プリズム群が含まれる。
【0036】
本明細書において使用する「プリズム群」とは、隣接したプリズム要素の部分のグループ化を意味する。
【0037】
本明細書において使用するプリズム要素の「列」、「配置」又は「プリズム列/配置」とは、マイクロキューブ及びその他のプリズム要素を含む2つ以上のプリズム要素又はプリズム群の集まりを意味する。当業者は、所望の性能特性を有する再帰反射物品が異なる列の複合体から作成可能であることを認めるであろう。
【0038】
本明細書において使用する「キューブコーナー要素」という用語は、3つの互いに交差する面からなる要素であって、その上反角が通常、90°オーダであるが、必ずしも正確に90°でなくてよい要素を含む。
【0039】
本主題によると、再帰反射物品の形成プロセスにおいて使用される基板の作成方法を開示する。基板自体は、再帰反射物品を形成するための金型として使用されてもよく、又は、電鋳法等のレプリカ作成技術によってレプリカを形成するためのマスタとして使用されてもよい。レプリカは、その上部にプリズム要素の窪み及び/又は突起を有する。複数のレプリカがマスタから形成され、修正され、縁部間を組み立ててマスタより大きな再帰反射物品を形成する際に使用される金型を作成してもよい。
【0040】
図面を参照すると、基板10は、上部に形成されたプリズム要素12を含む表面11を備える。基板は、マスタとして使用されてもよく、ダイヤモンド切削を使用してプリズム要素を基板10の表面に線引きすることによって形成可能である。基板又はそのレプリカは、所望のサイズに形成又は切削可能であり、複数のレプリカが、再帰反射シートにおいて望ましい異なる配向のプリズム列のゾーンを備えたタイル状物を形成すべく配置されてもよいようにする。従って、例えば、マスタ又はレプリカは、四角形、矩形、三角形、六角形等の形状を有するプリズム列のゾーンを形成すべく切削可能である。
【0041】
その後、レプリカは、異なるプリズム配向の所望のゾーンを有するタイル状物を作成するパターンに配置される。タイル状物は、異なるプリズム配向を備えたプリズム列のゾーンを有する再帰反射物品を形成するための金型として使用可能である。
【0042】
図1に示される基板10は、レプリカタイルを形成すべく複製されてもよい。一実施形態において、壁部13は、本明細書中、「参照縁部」とも称されるが、ダイヤモンド切削により、レプリカ内又はマスタ内に形成される。
図2~
図5に示される参照縁部13は、レプリカ内に形成されてもよく、又は必要に応じて複製に先立って、マスター内に参照縁部13が形成されてもよい。すなわち、マスタは、複製に先立って内部に形成された参照縁部13を有してもよく、又は有さなくてもよい。従って、マスタのレプリカは、
図1及び
図18~
図20に示される通り、参照縁部13を伴うことなく形成されてもよい。或いは、マスタは、
図2~5及び
図21のいずれか1つに示される通り、複製に先立って内部に参照縁部13が形成されもよく、マスタの複製も同一の参照縁部13を有することになるであろう。一実施形態において、壁部13は、基板に凹部15を形成することによって作成される。1つ以上の面17がレプリカタイルに形成され、その後、壁部同士を当接する配向で、それらの壁部13でともに接合されてタイル状物28を形成する。この2つのタイル間の壁部同士の配向は、本明細書中、壁部が「向かい合う」ともいい、タイル又は壁部が「嵌合される」又は「嵌合する」ともいう。タイル状物28自体は、再帰反射物品を形成するための金型を作成するのに使用可能であり、又はそれ自体を金型として使用可能である。或いは、タイル状物のレプリカを作成し、さらに大きなタイルを形成してもよく、このより大きなタイルはそれらの参照縁部にてともに接合されてさらに大きなタイル状物を形成し、これも再帰反射物品を形成するための金型として使用することができる。タイル状物が繰り返し複製され、複製が参照縁部で接合される時、それらの参照縁部でともに接合された複数のタイルを備えるツールが形成される。このツールは、その後、再帰反射物品を作成するための金型として使用されてもよい。
【0043】
基板
マスタ又はタイルを形成するために使用される基板10は、特に限定されるものでなく、上部にプリズム要素を形成可能な表面を有する任意の材料を備えることができる。この材料は、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、真鍮、又はそれらの組み合わせとすることができる。他の材料も使用可能であり、本主題は、これらの金属に限定されるものでない。例えば、アクリル類及びプリウレタン類等のポリマーも基板材料として使用可能である。
【0044】
さらに、基板10の形状は、特に限定されるものでなく、その表面にプリズム要素を形成可能な任意の形状を備えることができる。図中では、プリズム要素12の形成される四角形平坦面11を有する種々の直方体形状として示されているが、基板10は、四角形平坦面11を有する、このような形状に限定されるものでない。むしろ、基板は、その他の形状を備えることができ、プリズム要素が形成される、起伏のある表面を有することができる。
【0045】
一実施形態において、マスタ又はタイルとして使用される基板又はタイルは、
図1に示される通り、高さ、幅、及び深さの寸法を有し、略平坦且つ平滑な表面を有する直方体である。一態様において、基板の高さHは、250ミクロン~約50ミリメートルの範囲である。基板の幅W及び長さLの寸法は、約1ミリメートルから250ミリメートルの範囲である。
【0046】
本明細書に開示の方法では、平坦且つ平面的な表面を有する直方体に加え、屈曲した平面状の表面を備えた直方体を含む、多くの基板形状を利用することができる。
【0047】
プリズム要素
本主題の一実施形態において、方法は、基板10の表面11上にプリズム要素12を形成することを含む。他の実施形態において、方法は、その上部にプリズム要素を有する基板を提供することのみを含む。基板の表面上のプリズム要素の形態、形状、又は配置は、特に限定されるものでなく、例えば、キューブコーナー要素、プリズム群等を整列配置又はランダムに備えることができる。プリズム要素又は群は、ともに密接して詰められてもよく、又は離間してもよい。プリズム要素は、整列又はランダムな一連の又は群の三角形、四角形、矩形、その他多角形のキューブコーナープリズム要素又はそれらの組み合わせのうち単一のもの又は一部を含み得る。高さ寸法(表面11と直角に突出)と横寸法(表面11と平行に突出し、幅及び長さを含む)を含むプリズム要素のサイズは、特に限定されるものでない。一実施形態において、マスタ上のプリズム要素は、約20ミクロン~約250ミクロンの範囲の高さ寸法を有する。プリズム要素は、傾斜又は非傾斜とすることができる。
【0048】
個々のタイル上のプリズム要素は、タイル状物内の個々のタイル間で同一とすることもでき、又は異ならせることもでき、同一のタイル上で同一とすることもでき、又は異ならせることもできる。2つ以上のプリズム要素又はプリズム群は、まとめてプリズム列として知られている。タイル上のこのようなプリズム列は、タイル状物内のあるタイル間で同一とすることもでき、又は異ならせることもできる。すなわち、タイル状物内のタイルは、タイル間で、プリズム要素のパターンがすべて同一であるか、すべて異なるか、交互となるか、又は種々のパターンとすることができる。
【0049】
一実施形態において、プリズム要素は、プリズム要素を基板10の表面11にダイヤモンド切削して形成され、基板上にプリズム列を形成する。他のプリズム要素形成技術も使用可能である。一実施形態において、基板の表面上へのプリズム要素又は群の形成には、さらに、表面11又は基板10からのプリズム要素のうちのいくつか、又は一部の除去等の修正が含まれる。
【0050】
一実施形態において、基板上のプリズム列は、プリズム配向を有するプリズム要素を備える。本明細書においてさらに検討するとおり、プリズム配向は、タイル状物のタイル間で変動可能である。本実施形態の一態様において、プリズム列は、プリズム配向を有する密集三角形キューブコーナープリズム要素を備える。
【0051】
参照縁部
本主題の一実施形態において、方法は、レプリカ上又はマスタ上に、
図2に示されるような、本明細書中で「壁部」13とも称される精密な参照縁部を形成することを含む。本明細書において「壁部」というとき、ダイヤモンド切削又はその他の精密形成技術によって形成された、本明細書に記載のような精密な参照縁部13を意味する。参照縁部又は壁部を形成することにより、基板10の表面11上のプリズム列のサイズを低減してもよく、且つ/又は、上面を通じて測定される基板の横方向サイズを低減してもよい。他の実施形態において、
図3~
図15、
図17、及び
図21に示される通り、2つ以上の壁部が基板に形成されてもよい。
【0052】
一実施形態において、壁部13は、例えば、
図21に示されるように、プリズム要素12が形成される表面11と第1共通縁部14を共有する。他の態様において、壁部13は、例えば、
図2~
図7及び
図10~
図11に示される通り、プリズム列自体と第1共通縁部14を共有する。本態様において、プリズム列は、壁部13の縁部により、少なくとも一辺を包囲される。すなわち、壁部の1つの縁部が、図示の通り、プリズム列の包囲辺を規定する。壁部は、例えば、
図2~
図5、
図10、
図13、及び
図21に示される通り、基板全体を通じて延び得るか、又は、部分的に基板内に延び得る。
【0053】
図1~
図5、
図10、
図13、及び
図21を参照すると、プリズム要素12(
図1~
図5、
図10、及び
図13)又はプリズム群30(
図21)を備える表面11を有する基板10が示されている。壁部13は、基板に凹部15を作成することにより、基板10に形成される。凹部は、切削、削取り、気化、又はその他既知の手段によって形成可能である。一態様において、凹部及び壁部は、ダイヤモンド切削によって形成される。凹部15は、1つの壁部13によって少なくとも部分的に規定され、一実施形態において、凹部及び壁部は、図面に示される通り、全体として基板の高さを通じて延びない。一態様において、凹部は、例えば、
図2~
図5、
図10、
図13、及び
図21に示される通り、全体として基板の一側面から基板の反対側の側面まで、基板の横寸法を通じて延びる。一態様において、複数の凹部及び壁部を形成することにより、
図2~
図5に示される通り、壁部の幅を短縮し、最初に作成された壁部の横寸法が、次いで壁部が作成される時に短縮される。このプロセスでは、その上部により小さなプリズム列を有するタイル状物を形成するのに使用される、表面11上のプリズム列のサイズも低減する。
【0054】
壁部13は、表面11と共通縁部14を共有する。共通縁部14は、ともにプリズムアレイの境界を規定する。一態様において、壁部13は、表面11のみでなく、
図21に示されるプリズム要素12とも共通縁部14を共有する。
【0055】
壁部13は、プリズム要素が形成される表面11と第1共通縁部14を共有するため、基板を通じて測定すると、表面に対して角度を形成する。この角度は、本明細書中、
図6にWθとして示される「壁部角度」と称するが、特に限定されるものでなく、単に180°未満までの範囲とすることができる。壁部がマスタに形成される場合、マスタのレプリカは、同一の壁部角度を備えた壁部を有するであろう。
図8に示される通り、この第1タイル24は、第1タイル24の壁部と嵌合可能な壁部を有する第2の異なるタイルと嵌合される。換言すると、第1タイルは、第1壁部角度Wθ1を備えた壁部を有し、第2タイルは、第2壁部角度Wθ2を備えた壁部を有するであろう。第1壁部角度Wθ1及び第2壁部角度Wθ2は、補角であり、すなわち、嵌合壁部の壁部角度は、約180°まで加算される。例えば、第1壁部角度Wθ1が約70°であれば、第2壁部角度Wθ2は、約110°となるであろう。
【0056】
一実施形態において、基板上の壁部角度Wθは、図示の通り、約90°である。従って、嵌合タイルは、各々、約90°の同様の壁部角度Wθを備えた壁部を有するであろう。従って、異なる壁部角度、すなわち、90°以外を備えた壁部が形成されてはならないで
あろう。第1壁部角度及び第2壁部角度がタイル上で補角である場合、嵌合時、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17、
図22、
図23、及び
図24に示される通り、第1タイル及び第2タイルの表面11は、同一面に存在するであろう。
【0057】
他の実施形態において、嵌合タイルの壁部角度間の補足的関係は、嵌合タイルの表面11が同一平面内になく、互いと関連して角度を有する場合等に変動し得る。本実施形態において、嵌合壁部13間の壁部角度は、180°超又は180°未満まで加算可能である。
【0058】
一実施形態において、基板10に形成された壁部13は、プリズム要素12の高さを上回る高さを有する。一実施形態において、壁部は、25ミクロン~約1ミリメートルの範囲の高さを有する。他の実施形態において、壁部は、プリズム要素の高さを上回らない高さを有する。
【0059】
一実施形態において、壁部は、ダイヤモンド切削によって形成される。ダイヤモンド切削では、精密な表面を有する壁部を作る。換言すると、ダイヤモンド切削により、特に平滑且つ平坦な表面を有する壁部を作成する。本明細書中、さらに詳細に検討するとおり、タイル間に精密な継ぎ目を作るために、壁部を規定するこの平滑且つ平坦な表面は、タイルの壁部同士を嵌合させることができるであろう。タイル間の精密な継ぎ目により、従来の粗い継ぎ合わせ技術と比較して、継ぎ目で拡散される光が低減されるため、本明細書において提供される金型から作成される再帰反射物品の再帰反射曲線因子をより大きくすることができる。壁部は、平坦面状の表面として図示したが、そのようなものに限定されず、曲面上の平面、平面状でない表面、又は多面状の表面とすることができる。壁部の形状又は形態を問わず、嵌合壁部は、精密な継ぎ目を形成することのできる対応形状を有してもよい。
【0060】
一実施形態において、基板には複数の壁部が形成される。本実施形態の一態様において、複数の壁部は、ともにプリズム列の周辺に境界を形成し、この境界は、
図5に示される通り、第1共通縁部14によって規定される。本実施形態の他の態様において、複数の壁部は、各々、
図3~
図5、
図10、及び
図14に示される通り、隣接する壁部と共通境界面31も共有する。本実施形態の他の態様において、壁部13は、例えば、
図10~
図15及び
図17に示される通り、異なる高さを有し、基板10の一辺における壁部13は、基板10の隣接辺上の連続壁部とは異なる高さを有する。換言すると、壁部13を形成する凹部15は、基板10内を異なる深さまで延在している。プリズム要素12の周囲に境界を形成する壁部の高さは、例えば、
図10及び
図13に示される通り、プリズム要素12の周囲を取り巻く、より高い高さとより低い高さとの間で交互となり得る。隣接する壁部の高さを変動させることにより、2つ以上の嵌合タイルを有するタイル状物のレプリカ作成中、タイル間の空間26(例えば、
図8参照)にレプリカ作成における困難が生じないことが保証される。
【0061】
一実施形態において、壁部13を形成するための凹部15の作成に際して、表面11上の一部のプリズム要素12は、
図2~
図5に示される通り、除去される。しかしながら、他の実施形態において、基板10上への壁部13の形成では、
図21に示される通り、プリズム要素のいずれをも除去することはない。
【0062】
一実施形態において、
図13及び
図21に示される通り、凹部及び壁部の形成により、基板のいずれの横寸法、すなわち、長さ又は幅をも低減することはない。他の実施形態において、凹部及び壁部を形成することにより、基板10の横寸法を実質的に低減しないものの、
図2~
図5に示される通り、長さ寸法及び幅寸法のいずれか又は双方において、表面11の面積を低減することもある。
図1と
図2~
図5との間に示される通り、基板への
凹部15の形成も、結果として、基板の頂上周辺部分のみ除去される。基板の頂上周辺部分を除去することにより、基板10の底部又は下方部分にリップ部16を作成してもよい。多数の凹部15及び壁部13を基板10の周囲全体に形成する時、基板の頂上周辺部分は除去されるものの、基部は損なわれないことで、基板10の基部全体の周囲にリップ1部16を形成する。従って、基板10は、1つの側面から反対の側面まで表面11と平行に基部(リップ部16を含む)を通して測定すると、凹部15及び壁部13の形成時に小さくなることのない横寸法を有する。基板10の横寸法は、基部を通して測定すると、当初のサイズのままである。基板10の頂上部分を通して測定された、1つの壁部13から他の壁部13までの表面11と平行な横寸法のみのサイズが、凹部15及び壁部13の形成時に低減される。
【0063】
このようにタイルを形成することにより、より大きな横寸法を有するタイルの取扱いを可能にしつつ、表面11上により小さなプリズム列の作成を可能にする。これは、基板の表面11上に比較的小さなプリズム列を作成しつつ、 基板の基部を通して測定した比較
的大きな横寸法を保持することによって達成される。基板のこの修正は、基板の底部により大きな横寸法を維持しつつ、表面11上におけるプリズム列の横サイズを最小化するものである。基板の移動、調整、操作、及びその他の構成を行う時、基板を通してより大きな横寸法であれば、基板の上部を通して測定される場合等、小さなプリズム列に対して通常要求されるよりも低い精度の取扱い技術を使用することができるようになる。同時に、より大きな基板の横寸法が維持されるため、より精度の低い取り扱い技術によって実施可能であるよりも、より小さな列を含ませることができる。タイルにより大きな横寸法を保持させることにより、タイル状物に含まれる、より小さなプリズム列を提供しながらも、タイルの取扱いをより容易にする。
【0064】
このより大きな横寸法は、レプリカにおける基部を通して測定されるものであるが、リップ部16が
図7(リップ部が基板の右手側から除去される)、
図11、
図14、及び
図15に示される通り、完全に除去される時、又は面17が
図21及び
図22間に示されるように作成される時にのみ、低減される。
【0065】
レプリカ作成
プリズム要素12を有する基板は、レプリカタイルを作成するためのマスタとして使用されてもよい。レプリカ作成は、マスタ上に実施可能であり、マスタは、任意で、参照縁部を含んでもよい。マスタが参照縁部13を含む場合、マスタのレプリカも参照縁部13を含む。面17を形成することによってレプリカタイルの修正を行った後、タイルは、これらの参照縁部13に沿ってともに接合されてタイル状物28を形成してもよい。他の実施形態において、マスタは、参照縁部13を含まない。本実施形態において、マスタのレプリカが形成され、1つ以上の参照縁部13がレプリカに形成される。その後、レプリカ作成により、レプリカのコピーが形成される。コピーは、その後、面17を作成することによって修正され、ともに接合されてタイル状物を形成することができる。「コピー」は、レプリカを複製することを意味する。換言すると、マスタの第2世代以降の複製、すなわち、マスタのレプリカのレプリカである。タイル状物28自体は、さらに、マスタとして使用可能であり、より大きなタイルを形成すべくレプリカ作成され、他のタイル又はタイル状物と接合され、さらに大きなタイル状物を形成可能である。マスタ、マスタのレプリカ、又はマスタとして使用されるタイル状物28のレプリカ作成は、プリズム要素12と、複製前に存在する場合には壁部13とに対して、十分なレベルの精度が維持される限り、任意のプロセスを通じて達成可能である。複製の前後いずれに形成されるかを問わず、タイルの精密な壁部により、平滑且つ密着する継ぎ目23を有するタイル状物を作成してもよい。精密な継ぎ目23の例を
図8、
図9、
図12、
図16、及び
図22~
図24に示す。平滑且つ密着する継ぎ目23を有するタイル状物が再帰反射物品を形成するための金型として使用される時、密着する継ぎ目は、それから作られる再帰反射物品の再帰反射
曲線因子を実質的に低減しないであろう。一実施形態において、レプリカは、電鋳法によって作成される。電鋳法、又はその他のレプリカタイルへの参照縁部の形成を通じて参照縁部13を有するマスタを複製することにより、タイル状物に平滑な継ぎ目23を作るのに必要な精密な参照縁部13を有するタイルを作成してもよい。
【0066】
一実施形態において、マスタのレプリカ作成は、参照縁部13、ラフカット19、又は面17のいずれか1つがマスタに形成される前に行われる。一態様において、レプリカのコピーを作成するためのレプリカ作成は、1つ以上の参照縁部13がマスタのレプリカに形成された後にも実施される。その後、ラフカット19及び面17がコピーに形成可能であり、コピーが嵌合されたタイル状物を形成することができる。他の実施形態において、マスタのレプリカ作成は、参照縁部13、ラフカット19、及び面17のうちの1つ以上がマスタ又はマスタとして使用されるタイル状物に作られた後に行われる。
【0067】
面
本主題の一実施形態において、方法は、マスタのレプリカであるタイル上、又はレプリカのコピー上に面17を形成することを含む。レプリカタイル又はそのコピー上に形成された面は、壁部と第2共通縁部20(
図7参照)を共有する。
図6及び
図7に示される通り、面17は、タイルにラフカット19(点線として2次元で
図6に示す)を作り、面17が作られるタイルの側にリップ部16の一部を含むタイルの部分18を除去することによって形成することができる。
図7に示される一実施形態において、レプリカタイル又はそのコピーの部分18を除去すると、結果として、壁部13の一部も除去することとなる。すなわち、ラフカット19は、
図6に示される通り、壁部13を通過するように行われる。他の実施形態において、タイルの部分18を除去しても、壁部13の一部は除去されない。換言すると、ラフカットは、第1共通縁部14と壁部の底部縁部間の中間から開始するのでなく、壁部13の底部縁部(壁部の底部縁部は、凹部15の底部である)から開始して行うことができる。このようにすると、面17の形成時、壁部13の実質的にどの部分も除去されない。
【0068】
面の形成時、今や面17を含むレプリカ/コピーの側のリップ部16の一部も除去される。タイルの部分18を除去することにより、壁部13を露出させ、例えば、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17、
図22、及び
図23に示される通り、タイル上の露出された壁部13が、リップ部16から干渉されることなく、他のタイル上で同様に露出された壁部13と壁部同士で接合可能となるようにする。すなわち、隣接するタイル上で露出された壁部13は、露出された壁部13が継ぎ目23で向かい合って当接するように接合可能である。
【0069】
一実施形態において、タイルを通して測定される面17と壁部13の間の角度は、本明細書中、「面角度」と称するが、約180°未満であり、
図7中、Fθとして示される。一態様において、面17は、壁部13から、タイルの表面11と反対側まで延びる。この反対側の表面を、本明細書中、「第2表面」21と称する。
図11を参照すると、この第2表面21は、面17と第3共通縁部22を共有する様子が示されている。本態様において、第3共通縁部22は、
図11に示される通り、面17の第2共通縁部20とは反対側にある。本実施形態において、
図8に示される通り、第1タイル24は、180°未満である第1面角度Fθ1を有する。第2タイル25は、180°未満である第2面角度Fθ2を有する。従って、第1タイルと第2タイルが図示の通り嵌合される時、第1タイルと第2タイルの面17間に空間26が作られる。
【0070】
他の実施形態において、面角度Fθは、180°超とすることができる。本実施形態において、嵌合タイルは、当初の面角度Fθへの加算時、ちょうど360°未満まで加算されなければならない面角度Fθを有さなければならない。この2つの面角度間の関係は、
結果として、2つの嵌合タイルの面間に空間26を提供することとなる。
【0071】
面17は、タイルの部分18を除去するために、レーザ切削、水噴射切削、水噴射誘導レーザ切削、ワイヤ放電切削等によってラフカット19を作ることにより、形成される。ラフカット19は、特別な精密さを備えて作られる必要はなく、面17が特別に平滑又は平坦であることも要求されない。このように、タイルのラフカット19は、ダイヤモンド切削よりも複雑でなく、時間が掛からず、高価でない方法によって作成可能である。ラフカットの性質は、タイル間の精密な継ぎ目を形成するのに重要でない。換言すると、ラフカット19は、面17が継ぎ目23の一部とならないように作成される。このように、参照縁部13のみが継ぎ目23の形成に使用され、隣接するタイル上の壁部13を向かい合って当接させることによりタイルを接合することで継ぎ目23を形成する。これは、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17、
図22、
図23、及び
図24に示されており、第1タイル24の壁部13は、第2タイル25の壁部13と嵌合して継ぎ目23を形成する。図示の通り、各嵌合タイル上にラフカット19を作成することによって形成された面17は、精密な継ぎ目23の作成に関与するものでなく、空間26が嵌合タイルの面17間に残される。
【0072】
以上に検討した通り、一実施形態において、面は、マスタのレプリカ作成に先立ってマスタ上に形成される。他の実施形態において、面は、レプリカタイル上に形成される。さらに他の実施形態において、面は、レプリカのコピー上に形成される。
【0073】
他の実施形態において、複数の面が形成され、各々がタイル上の複数の壁部13の1つに対応する。一実施形態においては、複数の面は、少なくとも2つのタイルが嵌合された後にのみ形成される。すなわち、1つを上回る数の面が個々のタイルに形成される場合、第2以降の面は、個々のタイルが少なくとも1つの他のタイルと嵌合してタイル状物を形成するまで形成されないであろう。複数の面を形成することにより、結果として、タイルからリップ部16を備えた部分18の除去を行い、タイルの基部を通って測定したタイルの横寸法を低減する。タイル状物は、個々のタイルと比較してより大きな横寸法を有するため、タイル上のリップ部の除去は、タイル状物の取り扱いの容易さに影響するものでない。
【0074】
本主題の一実施形態において、タイルが嵌合される前に、各タイル上には1つのみの参照縁部が露出される。これは、
図7~
図9、
図10~
図12、
図13~
図17、及び
図21~
図24において異なる実施形態に認められ、他のタイルとの嵌合前に、1つのみの参照縁部が個々のタイル上に露出されている。この方法によると、タイルにおける横寸法は、タイルの基部を通って測定すると、露出された参照縁部と平行であるが、2つのタイルをともに嵌合しつつ、一定のままとなる。本実施形態において、2つ以上のタイルがこのようにともに嵌合された後、従って、個々のタイルより大きな横寸法を有するために、物理的取り扱いがより容易となるタイル状物を作成した後にのみ、タイル状物の他の参照縁部が作成される。このタイルのすべての側にラフカット19及び面17を作成するプロセスにより、基部を通して比較的大きな横寸法を有する個々のタイルの取扱いをのみを要求しつつ、複数の比較的小さなプリズム列を有するタイル状物を作成するために組み合わせられる、比較的小さなサイズのプリズム列の作成を可能とする。
【0075】
嵌合
本主題の他の実施形態において、方法は、マスタのレプリカ作成を行うことにより、ともに接合されてタイル状物を形成する少なくとも2つのタイルを作成することを含む。他の実施形態において、レプリカは、マスタから形成され、レプリカのコピーが形成される。その後、コピーがともに接合されてタイル状物を形成する。一実施形態において、接合することは、タイルを所望の配向に配置することを含み、タイルをともに固定することを
含む。図面、具体的には、例えば、
図8及び
図12に示される通り、第1タイル24及び第2タイル25は、ともに接合されるのに先立って、4つの壁部13を有する。本主題の他の実施形態において、タイルは、4つ超又は4つ未満の参照縁部13を備え得る。例えば、
図21~
図24に示される通り、タイルは、2つの参照縁部又は壁部13を有する。
図21~
図24に示される実施形態は、より多くの参照縁部を形成し得ることと、図示のものに対して直角に形成された参照縁部も含み得ることが理解されるであろう。
【0076】
面17は、以上に述べた通り、2つのタイルの各々に形成される。
図6及び
図7間に示される通り、面17は、ラフカット19を作成することによって形成可能である。面17を作成することにより、他のタイルとの嵌合のために各タイル24、25上に壁部13を露出させる。露出された壁部は、第1タイル24上の壁部13が他のタイル25上の壁部13と向かい合って当接できるように設けられる。
【0077】
一態様において、面17は、ラフカット19を作成し、タイルの部分18を除去することによって作成される。ラフカット19は、レーザーカッタ、水噴射カッタ、水噴射誘導レーザカッタ、ワイヤ放電カッタ、又はそれらの組み合わせを使用して作成することができる。他の態様において、壁部13の一部も、面17を作成する際に除去される。面17は、 壁部13の露出された残りの部分が他のタイルの壁部13と向かい合って配置可能
となるように、 図面に示されるような角度を有する。換言すると、接合されたタイルの
壁部13は、精密な継ぎ目23を形成するために、向かい合って、すなわち、一方の壁部が他方に面して当接するように据えられる。
【0078】
継ぎ目23は、例えば、
図8に示される通り、第1タイル24と第2タイル25の壁部13間に形成される。図示の通り、空間26が第1タイル24と第2タイル25の間に残る。この空間26は、第1タイル24と第2タイル25上の対向面17間の領域として規定される。すなわち、嵌合タイル上の面17は、当接することなく、離間する。このように第1タイルと第2タイルを配置することにより、例えば、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17、及び
図22~
図24に示される通り、実質的に一平面内にあるプリズム要素12の略連続的な列27を作成する。プリズム要素の列27は、第1タイル24の表面11上のプリズム要素の列と、第2タイル25の表面11上のプリズム要素の列とを備える。
【0079】
図8、
図9、及び
図12に示される通り、第1タイル24上のプリズム要素と第2タイル25上のプリズム要素とは、第1タイル24と第2タイル25の間で約90°オフセットされる、異なるプリズム配向を有する。本主題の他の実施形態において、タイル状物28の第1タイル及び第2タイル上のプリズム要素12のプリズム配向は、約15°~約180°異ならせることができる。より多くのタイルを含むようにタイル状物のスケールアップを図るとき、隣接する個々のタイル間のプリズム配向は、交互パターン、連続パターン、ランダム配置、又はそれらの組み合わせとなるように調節可能である。
【0080】
第1タイル24及び第2タイル25は、タイル状物28を形成するために、任意の数の方法でともに固定可能である。一実施形態において、第1タイルと第2タイルは、タイル状物28のプリズム要素の列27と反対側からタイルをレーザ溶接することにより、継ぎ目23でともに固定される。このように、レーザビームを空間26内に向けることにより、2つのタイル間の空間26に溶接を形成する。
【0081】
図9及び
図12に示される通り、第1タイル24と第2タイル25の上の3つの壁部13は、各々、他の基板上の対応する壁部と向かい合った配向でない。各タイルの一方側において、このように向かい合わない壁部のうちの2つは、図示の通り、それでも当接し、継ぎ目23において共有する縁部を有する。第1タイル24と第タイル25のこれら2つの向かい合わない壁部13は、それでも平らであり、図示の通り、略同一の面に据えられ
る。換言すると、継ぎ目23で会うものの向かい合って当接しない壁部は、タイル状物28上に略連続的且つより大きな参照縁部32を形成する。この略連続的且つより大きな壁部32は、他のタイル状物のより大きな参照縁部32と嵌合するための、タイル状物のより大きな参照縁部32として使用されてもよい。2つのより大きな参照縁部32は、より大きな参照縁部32に対応するタイル状物28に面を形成し、他のタイル状物のより大きな参照縁部32と嵌合するためのタイル状物のより大きな参照縁部32を露出することにより、嵌合されてもよい。これにより、4つの個々のタイルを備えたより大きなタイル状物を作成する。このプロセスは、以下の記載の通り、より多くの個々のタイルを含むためにタイル状物のスケールアップを図るために使用可能である。
【0082】
本主題によると、
図8、
図9、
図12、
図22、
図23、及び
図24に示されるタイル状物28は、それ自体が、タイル状物のレプリカを生成する際にマスタとして使用可能である。このように、第1タイル24と第2タイル25を備えたタイル状物28は、電鋳法によってレプリカ作成可能である。例えば、
図8及び
図9に示されるタイル状物28は、電鋳法によって複製可能であり、
図8予備
図9に示されるものと同一であるものの、継ぎ目23を含まない、一体的且つ単一片のタイルを作成してもよい。タイル状物28のレプリカ作成後、タイル状物のレプリカは、各々、4つの参照縁部を有する。
図9、
図12、及び
図17において、これら4つの参照縁部は、より大きな参照縁部32と、プリズム列27の列を取り囲む他の3つの参照縁部とを備える。
図17において、これら4つの参照縁部は、より大きな参照縁部32と、矩形キューブコーナープリズム要素29の2対を取り囲む他の3つの参照縁部とを備える。
図22~
図24に示される他の実施形態において、タイル状物は、それら自体が各々、図示の通り、2つの参照縁部13を有する。
図9、
図12、及び
図17に見られる通り、より大きなタイル状物を形成するために、タイル状物のレプリカは、1つ以上の面を作成することによってともに接合され、より大きな参照縁部32を露出させるか、レプリカ上の他の参照縁部のうちの1つを露出させて、レプリカがタイル状物の異なるタイル又は異なるレプリカの参照縁部に接合可能となるようにすることができる。本実施形態において、面は、個々のタイルについて上述したのと同様の方法により、タイル状物のレプリカの一部(例えば、リップ部16)を除去することにより、タイル状物のレプリカ上に形成される。このように、角度付きの面は、
図6に示されるレプリカタイル上にラフカット19によって形成されたものと同様に、
図9、
図12、及び17に示されるタイル状物のレプリカ上にも作成可能である。タイル状物のレプリカ上への面の形成では、タイル状物のレプリカの一部(例えば、リップ部)を除去することにより、タイル状物のレプリカ上の4つの参照縁部のうちの1つを露出する。同様の切削をタイル状物の他のタイル又はレプリカにも実施し、同様にタイル状物の他のタイル又はレプリカ上の4つの参照縁部のうちの1つを露出して、露出された参照縁部が向かい合って嵌合されて、より大きな継ぎ目とより大きなタイル状物を形成できるようにする。
【0083】
タイル状物のレプリカ上において露出されたこれらの参照縁部13は、
図9におけるタイル状物28の形成において第1タイル24及び第2タイル25について上述したのと同じ方法でまとめられる。タイル状物のレプリカは、タイル状物のレプリカ間に継ぎ目を形成するようにまとめることができ、タイル状物のレプリカ間の継ぎ目は、タイル状物28に形成された当初の継ぎ目23と平行であってもよく、且つ/又は、直角であってもよい。このレプリカ作成プロセスにおいて、継ぎ目は、
図9のタイル状物28上の継ぎ目に対して平行且つ/又は直角に形成される場合に、より大きなタイル状物におけるタイルの行及び/又は列を作成する。さらに、レプリカ作成は、より大きなタイル状物で作成可能である。任意で、タイル状物の行及び/又は列がともに接続可能であり、継ぎ目は、
図9のタイル状物28の当初の継ぎ目23に対して平行且つ/又は直角に形成される。
図9におけるタイル状物28の継ぎ目23と直角且つ平行な継ぎ目を形成するプロセスでは、結果として、個々のタイルをともに接合し、上部のプリズム要素の大きな列を有する大きなタイル状物を形成する。一実施形態において、大きなタイル状物は、隣接するタイル間で変
動するプリズム配向を有する。これらのより大きなタイル状物は、再帰反射物品を形成するための金型として使用される。
【0084】
本主題は、上述のようなi)レプリカ作成、ii)壁部13の形成、iii)面17の形成、及びiV)接合という特定の順に限定されるものでない。むしろ、本主題は、タイル状物上の個々のタイル間に良好な配列と継ぎ目形成を保証するための必要に応じて実施可能なレプリカ作成、壁部形成、面形成、及び接合動作を網羅する。レプリカ作成、壁部形成、面形成、及び接合のステップは、再帰反射物品を作るのに使用される金型を形成するためにツールを所望のサイズまでスケールアップする必要に応じて、反復可能である。
【0085】
本主題の一実施形態において、方法は、さらに、他のタイル状物との精密な継ぎ目を適正に形成するために、タイル状物上の平滑且つ平坦な参照縁部を保証するように、タイル、タイル状物、又はそのレプリカ上に新たな参照縁部を形成することを含む。換言すると、2つ以上のタイルがともに接合されてタイル状物を形成した後、タイル状物に新たな参照縁部を作成することができる。このプロセスは、後にレプリカ作成されてもよいタイル状物が、他のタイル状物又はレプリカと真っ直ぐ且つ平滑な継ぎ目を形成するために、十分に真っ直ぐ且つ平滑である参照縁部を有することを保証するものである。
【0086】
プリズム要素及び群の分離
上述の通り、本主題に係る方法は、個々のプリズム要素又はプリズム群を分離又はタイリングするために使用可能である。本方法は、ほぼ任意の数のプリズム要素又はプリズム群の分離及びタイリングのためにも使用可能であることが認識されるであろう。
【0087】
図13~
図25に示される一実施形態において、基板10は、その上部に プリズム要
素12が形成されたものとして提供される。一態様において、
図13~
図17に示される通り、壁部13は、ダイヤモンド切削技術を使用して、単一のプリズム要素を分離するように基板に形成される。図示の通り、基板10は、その内部に形成された4つの凹部15a~15dを有する。凹部15aは、凹部15c及び15dの双方に隣接する。凹部15bは、凹部15c及び15dの双方に隣接する。凹部15cは、凹部15a及び15bの双方に隣接する。凹部15dは、凹部15a及び凹部15bの双方に隣接する。図示の通り、隣接する凹部は、異なる高さで基板内に延び、凹部15c及び15dは、凹部15a及び15bより高い高さで基板内に延びる。凹部15a~15dを作成することによって形成された参照縁部13は、
図13において、矩形キューブコーナープリズム要素29の対向する一対の境界を分離及び規定するものとして示されている。本方法は、矩形キューブコーナープリズム要素29の対向する一対の分離に限定されるものでなく、他の種別のプリズム要素又は群の分離にも利用可能であることが理解されるであろう。壁部13は、基板10の表面11に対して約90°である様子が示されている。
図13に示される基板は、レプリカタイルを形成するために使用されるマスタであってもよく、コピーを形成するために使用されるマスタのレプリカであってもよい。
【0088】
タイルの一部は、面17を形成するために、
図12、
図13、及び
図14に示される通り、角度θでラフカット19を作成することによって除去される。角度θは、ラフカット19と参照縁部13の平面との間で測定される。角度θは、面角度に対する補角である。タイルから除去された部分は、レーザ切削、水噴射切削、水噴射誘導レーザ切削、ワイヤ放電切削、又はその他の技術を使用して除去することができる。
【0089】
2つのタイル24、25は、このように修正され、接合されて、
図16及び
図17に示される通り、継ぎ目23でともに嵌合された矩形キューブコーナープリズム要素29の2対を有するタイル状物28を形成する。この方法において、第1タイル24は、その一部が除去されて参照縁部13を露出させる。第2タイル25は、そのタイルの反対部分が除
去されて、第2タイル25上に参照縁部13を露出させる。これら2つの参照部分は、第1タイル及び第2タイル上の2つの参照縁部13が、
図16及び
図17に示される通り、向かい合うようにまとめられる。
【0090】
上述の通り、空間26は、タイル状物28上の第1タイル24及び第2タイル25間に残り、面17が当接しない。この空間26は、第1タイル24と第2タイル25をともに固定するためのレーザ溶接又はその他の技術のために使用される。結果として得られたタイル状物28は、ともにタイル状物28上にプリズム要素の列を形成する2対の矩形キューブコーナープリズム要素29を有する。この列は、単一面に2対の矩形キューブコーナープリズム要素29を備える。このタイル状物は、嵌合されていない壁部13に対応する面を形成することにより、さらにレプリカ作成及び修正可能である。さらなるレプリカ作成及び修正後、タイル状物又はそのレプリカは、同様に修正されたタイルと嵌合されてさらに大きなタイル状物を形成することができる。本主題は、図示のような一対の矩形キューブコーナー要素の分離に限定されるものでなく、所望に応じて、単一の矩形キューブコーナープリズム要素又は任意の数のプリズム要素の分離に使用可能である。
【0091】
本主題の他の実施形態において、方法は、基板上のプリズム要素群を形成又は分離することを含む。基板は、その後、レプリカを作成するためのマスタとして使用されてもよく、又はコピーを作成するために使用されるレプリカであってもよい。レプリカ又はコピーは、その後、接合されてプリズム群の列を形成してもよい。本実施形態の一態様において、三角形、4重、又は8重のプリズム群が、
図18~
図20間に示される通り、基板10の表面11に形成される。他の種別のプリズム群も本主題の範囲内とみなされる。本実施形態において、この方法は、プリズム群間の空間を低減するのに使用可能である。図面に示される通り、プリズム群間の空間は、図面に示される縁部及び面と直角な基板、レプリカ、又はコピーの表面11上に参照縁部及び面を形成し、図示の継ぎ目23と直角の継ぎ目を形成することにより、最小化することができる。
【0092】
本主題によると、基板10は、
図18に示される通り、表面11上にプリズム12を有するものとして設けられる。
図19に示される通り、四角形プリズム群30を分離するために、プリズム要素12の一部が基板から除去される。プリズム群は、その後、
図20に示される通り、8重プリズム群を作成するように修正され、四角形プリズム分のコーナーが除去される。一態様において、プリズム群の分離/形成のためのプリズム要素の一部の除去は、ダイヤモンド切削によって達成可能である。他の除去技術も使用可能である。一態様において、壁部13は、分離プリズム群30の一体部分として、基板に同時形成可能である。すなわち、壁部13の形成の結果として、プリズム群30を分離することができる。
【0093】
一態様において、壁部13は、プリズム群30の分離とは離れて別に形成される。本態様が図面に示されており、プリズム群30は、
図19及び
図20では分離されたものとして示され、
図21では壁部13の形成から離れて別に示されている。
【0094】
図21に示される一実施形態において、凹部15は、1つ以上のプリズム群30又はプリズム群の行又は列の反対側に形成される。凹部15は、参照縁部13によって少なくとも部分的に規定される。凹部15及び参照縁部13は、本明細書において上述した通りに形成される。
図21に示される通り、参照縁部13は、プリズム群30と基板の表面11との双方と第1共通縁部14を共有する。
【0095】
本方法において、基板10は、その表面11上にプリズム要素群30を有して作成される。この基板は、その後、レプリカタイルを形成するためのマスタとして使用されてもよく、コピーを形成するために使用されるマスタのレプリカであってもよい。プリズム群3
0は、同一とすることもでき、又は異ならせることもできる。レプリカ作成は、壁部13の形成前後に行うものとすることができる。レプリカ作成が壁部の形成前に行われる場合、壁部は、その後、レプリカタイル内に形成される。そしてレプリカのレプリカ作成で壁部を含むコピーを作成してもよい。レプリカ作成が壁部形成の後に行われる場合、レプリカタイルは既に壁部を含んでいるであろう。
【0096】
タイルは、他のタイルとの嵌合に使用すべく壁部13を露出するために、上述の通り、且つ
図22に示される通り、面17を作成することによって修正される。各タイル上の参照縁部13は、
図22~
図24に示される通り、継ぎ目23に沿って向かい合って当接される。タイルは、プリズム群29が
図23に示される通りに配列されるように嵌合されるか、プリズム群が
図24に示される通りにオフセットされるように嵌合され得る。
【0097】
マスタ、タイル状物、及び金型
種々の実施形態において、本主題は、再帰反射物品の作成に使用されるマスタ、タイル状物、及び金型を提供する。
【0098】
一実施形態において、本主題は、再帰反射物品を作成するプロセスで使用される基板を提供する。基板は、その上部にプリズム要素の列を備えた表面を含む。基板は、1つ以上の凹部を含み、1つ以上の凹部は、各々、少なくとも部分的に参照縁部によって規定される。基板は、リップ部を備えた基部を含み、リップ部は、基部の周辺を規定する。
【0099】
本主題は、また、ともに2次元パターンに配置されたタイルを備えたタイル状物を提供する。各タイルは、プリズム要素の列を含む上面と、側面とを備える。タイルは、縁部タイルと、任意で内側タイルとを備える。各内側タイルの各側面は、壁部と面とを含む。各縁部タイルの少なくとも1つの側面は、壁部と面とを含む。各内側タイルの各壁部は、隣接するタイルの壁部と向かい合って当接しており、各内側タイルの各面は、隣接するタイルの面と向かい合って当接しない。各縁部タイルの各壁部は、隣接するタイルの壁部と向かい合って当接しており、各縁部タイルの各面は、隣接するタイルの面と向かい合って当接しない。
【0100】
本主題によると、マスタと、タイル状物、又はいずれかのレプリカ、又はレプリカのコピーとの双方は、再帰反射シートを作成するための金型として使用可能であるか、又は、より大きなタイル状物を形成するために嵌合可能なさらなるレプリカタイルの作成に使用可能である。
【0101】
方法
本主題は、また、マスタ、タイル状物、金型、及び再帰反射物品の作成に関連付けられた種々の方法を提供する。
【0102】
一実施形態において、本主題は、物品作成方法を提供し、物品は、本明細書に上述したマスタ、レプリカ、レプリカのコピー、又はタイルである。マスタは、任意でコピーされてもよいレプリカタイルの作成に使用され、レプリカタイル又はそのコピーは、接合されて再帰反射物品を作成するための金型を形成してもよい。この方法は、基板の表面上にプリズム要素を形成することと、基板上に壁部を形成することと、基板上に面を形成することとを含む。壁部は、表面と第1共通縁部を共有し、面と第2共通縁部を共有する。第1共通縁部は、壁部の第2共通縁部とは反対側にある。
【0103】
本主題は、また、タイル状物の作成方法を提供する。タイル状物は、再帰反射物品を作成するための金型として使用される。この方法は、プリズム要素を備えた上面を含むタイルを提供することを含む。この方法は、また、タイルの上面の一部を除去することにより
、タイル上に壁部を形成することを含み、壁部はタイルの上面と第1共通縁部を共有する。この方法は、さらに、タイルのレプリカを形成することと、各レプリカ上の壁部が向かい合い、隣接するレプリカ上の壁部に直接当接することにより、タイル状物を形成するように、レプリカを配置することとを含む。
【0104】
本主題は、タイル状物の他の作成方法を提供する。この方法は、基板の表面上にプリズム要素を形成することを含む。この方法は、参照縁部がプリズム要素を有する表面に対して約90°で基板内に延びるように、基板上に参照縁部を形成することを含む。この方法は、さらに、基板のレプリカを形成することと、各レプリカ上の参照縁部が異なるレプリカの参照縁部と向かい合って当接できるように各レプリカの一部を除去することとを含む。この方法は、また、各レプリカの参照縁部を他のレプリカの参照縁部に向かい合って当接させることを含む。この方法は、レプリカをともに固定することにより、タイル状物を形成することを含む。
【0105】
本主題は、タイル状物の他の作成方法を提供する。この方法は、その表面にプリズム要素を有する基板を提供することを含む。この方法は、また、基板のレプリカを作成することを含み、各レプリカは、その内部に少なくとも1つの参照縁部を有する。この方法は、また、各レプリカに少なくとも1つの参照縁部を作成することを含む。この方法は、また、各レプリカの各参照縁部を通ってラフカットを作成することと、レプリカの参照縁部が向かい合って当接し、レプリカのラフカットが向かい合って当接しないようにレプリカをタイリングすることにより、タイル状物を作成することとを含む。基板は、マスタとすることもでき、又はマスタのレプリカ作成を行うことによって形成されたタイルとすることもできる。
【0106】
本主題は、再帰反射物品の作成方法を提供する。この方法は、本明細書において上述した通り、マスタを提供することを含む。この方法は、マスタの表面上にプリズム要素を形成することと、マスタのレプリカを作成することとを含む。この方法は、レプリカ上に少なくとも1つの参照縁部を作成することを含む。この方法は、レプリカのコピーを作成することを含む。この方法は、さらに、各コピーの参照縁部が向かい合って当接するように、互いに対してコピーを配置することを含む。この方法は、また、マスタ上に少なくとも1つの参照縁部を作成することと、マスタのレプリカを作成することと、各レプリカ上の参照縁部が向かい合って当接するように互いに対してレプリカを配置することとを任意で反復することを含む。これらの動作の反復中、動作は、タイル状物又はマスタのいずれかに対して実施される。この方法は、また、これらの動作によって作成された金型から再帰反射物品を成形することを含む。
【0107】
本主題は、他の物品作成方法を提供する。この方法は、基板の表面上にプリズム要素の列を形成することと、基板上に複数の壁部を形成することにより、物品を形成することとを含み、複数の壁部は、各々、表面と第1共通縁部を共有する。
【0108】
本主題は、再帰反射物品を形成するために使用される金型の他の作成方法を提供する。この方法は、複数のタイルを提供することを含み、各タイルは、その表面上に設けられたプリズム要素と、1つ以上の参照縁部と、リップ部とを有する。この方法は、また、複数のタイルの各々に1つ以上のラフカットを作成することにより、複数のタイルの各々のリップ部を除去して複数のタイルの各々の1つ以上の参照縁部を露出させることを含む。ラフカットは、複数のタイルの各々において露出された1つ以上の参照縁部が複数のタイルのうちの他のタイルにおいて露出された参照縁部と向かい合って当接することができ、複数のタイルの各々のラフカットが複数のタイルのうちの他のタイル上のラフカットに当接しないように、作成される。この方法は、複数のタイルの各々において露出された1つ以上の参照縁部が向かい合って当接するように複数のタイルを嵌合させることを含む。この
方法は、また、複数のタイルを固定することにより(場合によってこの組立品のレプリカ作成を行うことにより)、金型を作成することを含む。タイルは、マスタのレプリカ作成を行うことによって形成可能であり、マスタは、任意で、レプリカ作成前に参照縁部を含む。マスタが参照縁部を含む場合においては、マスタのレプリカ作成では、同様に参照縁部を有するタイルを作成する。マスタが参照縁部を含まない場合においては、参照縁部は、レプリカ作成後にタイルに形成可能である。
【0109】
当業者は、入射角度性、入口角度性、及び観察角度性の制御を可能にする本発明の方法の上述のバリエーションは、必ずしも互いに排他的でなく、当業者によって組み合わせられ、所望の再帰反射器性能特性の組み合わせを有する列を作成できることを認識するであろう。
【0110】
本明細書において記載したすべての特許、公開出願、及び記事は、その内容全体を参照としてここに援用する。
【0111】
クレーム、要約、及び図面を含む、本明細書に開示のすべての特徴と、開示の任意の方法又はプロセスにおけるすべての動作は、このような特徴及び/又は動作の少なくともいくつかが互いに排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。クレーム、要約、及び図面を含む、本明細書中に開示された各特徴は、明示のない限り、同一、同等、又は同様の目的を果たす代替の特徴に置き換えることができる。従って、明示のない限り、開示の各特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴のうちの単なる一例に過ぎない。本開示全体を通して、公報、特許、及び特許出願を参照した。本明細書に引用したすべての参照文献を参照としてここに組み込む。
【0112】
以上の本主題の詳細な説明は、例示を目的として提供されたものであり、排他的であること、又は本主題を開示の特定の実施形態に限定することを意図するものでない。これらの実施形態は、本主題のキーとなる特徴を実施する際に使用される構成に応じて、異なる機能及び利点を提供するであろう。従って、本主題の範囲は、以下のクレームのみによって規定されるものである。