(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ローラコンベヤ、逆送防止装置、及び検知装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/88 20060101AFI20220104BHJP
B65G 13/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65G47/88 E
B65G13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020085251
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2020-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591213623
【氏名又は名称】不二輸送機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 美輪
(72)【発明者】
【氏名】山田 康
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-168169(JP,A)
【文献】特開2010-132398(JP,A)
【文献】実開昭54-093989(JP,U)
【文献】特開2002-187616(JP,A)
【文献】特開2000-007144(JP,A)
【文献】実開昭57-184819(JP,U)
【文献】特開2010-111457(JP,A)
【文献】米国特許第07111721(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/88
B65G 13/00-13/12,39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラと、前記ローラの回転軸の端部を軸支したレールとを有し、搬送物を搬送するローラコンベヤであって、
搬送物の逆送を防止する逆送防止装置を有し、
前記逆送防止装置は、
支軸を中心に揺動する揺動部材を有し、前記揺動部材は、
待機状態で順送される搬送物に当接して摺動し前記揺動部材を揺動させる摺動部と、待機状態で逆送される搬送物と当接する上部当接部と、前記上部当接部が逆送される搬送物と当接するときに、固定物に当接する下部当接部と
を有し、
前記揺動部材は、重心から上方に偏った側に、前記支軸としての前記ローラの回転軸を挿通する開口部を有し、前記レールと前記ローラとの間の前記ローラの回転軸に揺動可能に設けられており、
前記下部当接部は、待機状態で前記レールに突設された前記固定物と当接する、
ローラコンベヤ。
【請求項2】
請求項
1に記載のローラコンベヤであって、
前記摺動部は傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記揺動部材が揺動したときに、
前記ローラに上から接する線より下か同一の高さになるように
設定されている、ローラコンベヤ。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載のローラコンベヤであって、
前記逆送防止装置の下流側に設けら
れ、搬送物の存在を検知する検知装置を有
し、
前記検知装置と前記逆送防止装置は、前記搬送物が順送方向で前記逆送防止装置を通過したときに、前記検知装置が前記搬送物の存在を検知可能な距離に設けられている、
ローラコンベヤ。
【請求項4】
請求項
3に記載のローラコンベヤであって、
前記検知装置は、支軸と
、前記支軸を中心に揺動す
る揺動部材と、
前記揺動部材の動きを検知する検知手段とを有し、前記揺動部材は、上部に、搬送物に当接して押し下げられる押下げ部を有し、下部に、重し部を有している、ローラコンベヤ。
【請求項5】
請求項
4に記載のローラコンベヤであって、
前記検知装置の前記検知手段は、前記支軸の周囲に設けられた円筒部材の回転を検知するように構成されている、ローラコンベヤ。
【請求項6】
請求項
3から5のいずれか一項に記載のローラコンベヤであって、
前記検知装置は、前記搬送物の存在を検知したときに、検出信号を搬送制御システムに送信し、前記搬送制御システムは、前記ローラコンベヤの下流端部への搬送物の搬入を停止する、ローラコンベヤ。
【請求項7】
ローラと、前記ローラの回転軸の端部を軸支したレールとを有する、搬送物を搬送するローラコンベヤに取り付けられる逆送防止装置であって、
支軸を中心に揺動する揺動部材を有し、前記揺動部材は、待機状態で順送される搬送物に当接して摺動し前記揺動部材を揺動させる摺動部と、待機状態で逆送される搬送物と当接する上部当接部と、前記上部当接部が逆送される搬送物と当接するときに、固定物に当接する下部当接部とを有し、
前記揺動部材は、重心から上方に偏った側に、前記支軸としての前記ローラの回転軸を挿通する開口部を有し、前記レールと前記ローラとの間の前記ローラの回転軸に揺動可能に設けられ、
前記下部当接部は、待機状態で前記レールに突設された前記固定物と当接する、
逆送防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベヤ、逆送防止装置、及び検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フレーム上に複数の円筒状のローラを、互いに回転軸を平行に、全体として列をなすように配置し、その上に搬送物を載せて移動させるローラコンベヤが知られている。
【0003】
ローラコンベヤは、工場や物流倉庫など種々の場所で使用されている。通常は、ローラコンベヤは、物(原料または中間体または製品)の流れの動線に沿って設置されている。搬送される物は、加工や梱包や出荷等の工程に沿って、ローラコンベヤ上を搬送される。
【0004】
物が直接ローラコンベヤ上を搬送されることもあるが、パレットを介して物が搬送されることもある。
【0005】
パレットを使用する場合、一つのパレットに複数の物を載置して、一度に多数の物を搬送できる利点がある。また、パレットを介して物が運ばれるため、物を直接把持することによるダメージを与えない利点もある。
【0006】
パレットは、フォークを差し込む穴が設けられており、そこにフォークリフトや牽引トラクターや牽引フォーク等(以降「フォークリフト等」という)のフォークを差し込んで、載置された物ごとパレットを持ち上げて、目的地に搬送する。そのパレットは、地面の上に置かれた状態から持ち上げられることもあるが、ローラコンベヤ上を搬送されて来た場合、ローラコンベヤの終端部(下流端部)からフォークリフト等で搬出されることもある。
【0007】
通常、ローラコンベヤ上を搬送されるパレットは、製品などの物を積載され、ローラ上に置かれる。ローラコンベヤは、その経路の要所要所で、回転する駆動用ローラを有し、駆動用ローラ以外のローラは、回転可能な従動ローラになっている。パレットは、駆動用ローラの回転によって、ローラコンベヤ上を搬送され、搬出点であるローラコンベヤの終端部(下流端部)に達する。
【0008】
ローラコンベヤの下流端部は、パレットが下流端に到達しやすいように、一定の長さに渡って、わずかな下がり勾配の傾斜を有している。ローラコンベヤの下流端には、パレットが飛び出さないように、かつ、パレットに大きな衝撃を与えないように、上がり勾配の傾斜面を有するパレット係止部が設けられている。
【0009】
複数のパレットは、必ずしも一定間隔でローラコンベヤ上を搬送されるわけではなく、集中することもあれば、分散されることもある。フォークリフト等による搬出の間隔との関係もあるが、ローラコンベヤの下流端部に集まることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術では、上述したように、パレットが多数搬送されたときに、一定の数のパレットがローラコンベヤの下流端部に溜まることができるようになっている。
【0012】
しかし、この状態で最下流端のパレットにフォークリフト等のフォークを差し込むときに、フォークの摩擦やフォークの角度等の要因により、パレットが逆送されてしまうことがある。
【0013】
最下流端のパレットにフォークを差し込むときに、パレットが逆送されると、パレットが完全にフォークに載らないことが生じる。この状態では、フォークが不完全な状態でパレットに差し込まれているため、安定してパレットを持ち上げることができない。
【0014】
このような場合は、再度フォークの高さや角度を調整し、パレットに触れないようにしてパレットに差し込む必要がある。このフォークの高さや角度の調整は、パレット搬出作業の作業効率を下げることになる。
【0015】
また、パレットが逆送されたり、搬出作業の効率が下がったりすると、ローラコンベヤの下流端部に溜まるパレットの列が長くなることがある。その場合、駆動用ローラを一時的に停止する必要が生じることがある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、パレットの搬出作業の作業効率を高くするローラコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、搬送物を搬送するローラコンベヤであって、
搬送物の逆送を防止する逆送防止装置を有し、
前記逆送防止装置は、待機状態で逆送される搬送物と当接する上部当接部と、前記上部当接部が逆送される搬送物と当接するときに、固定物に当接する下部当接部とを有している。
【0018】
前記逆送防止装置は、支軸と、前記支軸を中心に揺動するように設けられた揺動部材とを有し、前記揺動部材は、待機状態で順送方向の搬送物に当接して摺動し前記揺動部材を揺動させる摺動部と、前記摺動部によって揺動した前記揺動部材を待機状態に戻す重し部と、前記上部当接部と、前記下部当接部とを有していてもよい。
【0019】
前記逆送防止装置は、前記支軸が前記ローラコンベヤの所定部分から支持され、前記揺動部材は前記上部当接部に逆送防止板を有し、前記重し部は錘を有し、前記下部当接部は待機状態で前記ローラコンベヤの所定部分に当接するように構成されていてもよい。
【0020】
前記逆送防止装置の前記揺動部材は、重心から偏った側に開口部を有し、所定のローラとレールの間の回転軸に揺動可能に設けられており、前記揺動部材の前記下部当接部は、待機状態で前記レールに突設されたストッパーと当接してもよい。
【0021】
前記摺動部は傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記揺動部材が揺動したときに、隣接するローラに上から接する線より下か同一の高さになるようになっていてもよい。
【0022】
前記逆送防止装置の下流側に設けられた搬送物の存在を検知する検知装置を有していてもよい。
【0023】
前記検知装置は、支軸と、前記搬送物の重さによって前記支軸を中心に揺動するように設けられた揺動部材と、前記揺動部材の動きを検知する検知手段とを有していてもよい。
【0024】
前記検知装置の前記検知手段は、前記支軸の周囲に設けられた円筒部材の回転を検知するように構成されていてもよい。
【0025】
前記検知装置と前記逆送防止装置は、前記搬送物が順送方向で前記逆送防止装置を通過したときに、前記検知装置が前記搬送物の存在を検知可能な距離に設けられていてもよい。
【0026】
前記検知装置は、前記搬送物の存在を検知したときに、検出信号を搬送制御システムに送信し、前記搬送制御システムは、前記ローラコンベヤの下流端部への搬送物の搬入を停止してもよい。
【0027】
本発明の他の態様は、搬送物を搬送するローラコンベヤに取り付けられる逆送防止装置であって、
待機状態で逆送される搬送物と当接する上部当接部と、
前記上部当接部が逆送される搬送物と当接するときに、固定物に当接する下部当接部とを有する。
【0028】
本発明のさらに他の態様は、搬送物を搬送するローラコンベヤに取り付けられる検知装置であって、
搬送物の逆送を防止する逆送防止装置の下流側に設けられ、搬送物の存在を検知する。
【発明の効果】
【0029】
本発明のローラコンベヤによれば、最下流端のパレットの逆送を防止する逆送防止装置を有し、このことにより、パレットの搬出作業の作業効率を高くするローラコンベヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第一実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤの平面図である。
【
図2】第一実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤのレールに直角な方向から見た側面図である。
【
図3】第一実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤのレールに平行な方向から見た側面図である。
【
図5】第一実施形態による検知装置の拡大側面図である。
【
図6】第二実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤの平面図である。
【
図7】第二実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤのレールに平行な方向から見た側面図である。
【
図8】第二実施形態による逆送防止装置の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に実施形態を説明する。
【0032】
図1~
図3に示す本実施形態のローラコンベヤは、ローラコンベヤ全体でいえば、下流端部の部分のみを示している。
図1~
図3は、それぞれ、第一実施形態による逆送防止装置を有するローラコンベヤの平面図、ローラコンベヤのレールに直角な方向から見た側面図、ローラコンベヤのレールに平行な方向でパレットの進行方向の下流側から見た側面図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のローラコンベヤ1は、二対のレール2,2’と,レール3,3’を有している。それぞれのレール2,2’と3,3’は例えばアングル型鋼の一辺を直立させて互いに対向させて形成してよい。ただし、レール2,2’と3,3’は、対向する二つの平行面を形成できれば任意の公知の構造を採用することができる。
【0034】
レール2,2’と,レール3,3’のそれぞれの間には、複数の円筒状または円柱状のローラ4が、互いに回転軸を平行に、全体として列をなすように配置されている。ローラ4はパレットの進行方向(順送方向)Fに直角になっている。ローラ4の列は、レール2,2’とレール3,3’によって規定された直線状の列になっている。
【0035】
各ローラ4は回転軸を有し、回転軸の両端部でレール2,2’,3,3’によって軸支されている。これによって、各ローラ4は回転可能になっている。各ローラ4は、例えば、樹脂等の円柱状体の外周面に金属からなる円筒から構成されている。
【0036】
本実施形態は、レールを2対有しているが、レールの数はローラコンベヤ1の幅に依存する。したがって、レールの数は任意である。レール2,2’とレール3,3’は、支持構造によって床面から所定の高さに支持されている。以下主に
図2,3を参照してローラコンベヤ1の支持構造を説明する。
【0037】
図2,3に明らかに示すように、レール2,2’3,3’の下方の床面5の適切な位置に、4つの基柱6が立設されている。基柱6は底板7とチャンネル型鋼8を一体に溶接したものからなっている。底板7は床面5に対してアンカーボルトまたは溶接によって固定されているのが好ましい。
【0038】
基柱6の上部および内部には、入れ子状の支柱9が設けられている。支柱9は、鋼板によって6面体の一面を除いた箱形に一体形成されたものになっている。支柱9は基柱6のチャンネル型鋼8の内部で摺動できるサイズに形成されている。支柱9の互い対向する内側の面はボルト調整のためのアクセス用に開放されている。
【0039】
支柱9の底板10と基柱6の底板7の間には、高さ調整主ボルト11が設けられている。高さ調整主ボルト11の底板10の上下には、ナット12が螺着されている。ナット12を回転させることによって、底板10が上下し、これによって支柱9が上下するようになっている。
【0040】
基柱6の側面には長孔13が設けられており、支柱9の対応位置には支柱9の倒れを防止するボルトナット14が設けられている。長孔13はボルトナット14に対して摺動できるようになっており、適当な高さでボルトナット14を緊結することにより、高さが固定され、かつ、支柱9の倒れを防止することができる。
【0041】
支柱9の天板上には、レール2,2’,3,3’に対して略直交する横フレーム15が掛け渡されている。本実施形態では、横フレーム15はレール2,2’,3,3’の上流側端部と下流側端部に設けられている。レール2,2’,3,3’と横フレーム15と支柱9の天板16はボルト等によって互いに固定されている。
【0042】
レール2,2’とレール3,3’はそれぞれ、
図2において右側、すなわち下流側に向かって、わずかな下り勾配の傾斜を有している。これは、図示しないパレットが搬送されてきたときに、重力で自然に下流端に向かって移動させるためのものである。レール2,2’とレール3,3’の下り勾配は、好ましくは1~10°である。レール2,2’とレール3,3’の下り勾配は、横フレーム15の高さを調整することによって得られる。
【0043】
図1,2に明らかに示すように、レール2,2’とレール3,3’の下流端には、パレットが飛び出さないように、かつ、パレットに大きな衝撃を与えないように、上がり勾配の傾斜面を有するパレット係止部17が設けられている。パレット係止部17は、レール2,2’とレール3,3’の下流端で、それぞれレール2,2’とレール3,3’の間で計2つ設けられている。
【0044】
パレット係止部17は、概略コの字状に屈曲成形された好ましくは金属板からなる。パレット係止部17のほぼ垂直な側壁の一端部には、揺動軸18が設けられている。揺動軸18はレール2,2’,3,3’に回転可能に支持されている。また、パレット係止部17の垂直な側壁の他端部には、
図2に示すような円弧状の長孔19が設けられている。長孔19の中には、レール2,2’,3,3’から突設されたネジ20が挿通している。パレット係止部17は、揺動軸18を中心に揺動可能であり、その天板21の上面が適当な傾斜角度になったところで、ネジ20にナットを固定することにより、適当な上がり勾配の傾斜面を提供することができる。
【0045】
ローラコンベヤ1はさらに第一実施形態の逆送防止装置22を有している。
【0046】
図4は
図2の逆送防止装置22のみを拡大して示しているので、以下の説明では
図4も併せて参照する。
【0047】
逆送防止装置22は、上流側の横フレーム15のほぼ中央部に固定されている。逆送防止装置22は、固定板23と、固定板23上に間隔空けて一対の対向するブラケット24を有している。固定板23は、一対の固定ボルト25によって、横フレーム15の天板26に固定されている(
図1参照)。
【0048】
ブラケット24の間には、ほぼ水平に支軸27が挿通されている。ブラケット24間の支軸27に、側面視概略「く」の字状の揺動部材28が揺動可能に装着されている。
【0049】
揺動部材28は、外形は任意であるが、横フレーム15の側壁29に直接または間接的に当接する下部当接部30と、逆送されるパレットに直接または間接的に当接する上部当接部31と、パレットが順送されるときにパレットと摺動する摺動部32と、錘等を装着するか否かに関わらず重しをなす重し部33とを有している。
【0050】
下部当接部30と上部当接部31の位置関係は、
図2,4に示すような待機状態にあるときに、上部当接部31が逆送されるパレットに直接または間接的に当接し、下部当接部30が直接または間接的に横フレーム15の側壁29に当接する位置関係になっている。なお、下部当接部30と当接する対象物は、フレーム15に限られず、任意の固定物であり得る。
【0051】
また、重し部33と支軸27の位置関係は、揺動部材28を、上記した下部当接部30と上部当接部31がそれぞれパレットと横フレーム15の側壁29に当接する状態に、重力によって付勢する位置関係になっている。
【0052】
また、揺動部材28の摺動部32の位置と傾斜は、順送されるパレットに摺動して揺動部材28を揺動させ、パレットを通過させる位置と傾斜になっている。すなわち、揺動部材28がパレットに当たって、揺動したときに隣接するローラ4に上から接する線より下か同一の高さになるように設定されている。
【0053】
本実施形態の上部当接部31には、揺動部材28に対してほぼ垂直な逆送防止板34が固着されている。上部当接部31は、逆送防止板34によって逆送されるパレットに広い面積で当接し、パレットを保護するようになっている。また、パレットの側面及び底面に上部当接部31よりも幅の広い開口が設けられていても、当該開口よりも広い逆送防止板34によってパレット側面に当接できるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、横フレーム15の側壁29に例えばゴムなどの緩衝材35が固定され、下部当接部30の圧力から横フレーム15の側壁29を保護するようになっている。
【0055】
さらに、本実施形態の重し部33は、着脱可能に錘36を有し、重さを調節できるようになっている。
【0056】
以上の構造により、
図4において、図示しないパレットが順送方向Fに送られるとき、パレットの底板は揺動部材28の摺動部32に摺接し、これによって揺動部材28が支軸27を中心に
図4における時計回りに回転し、パレットを通過させる。
【0057】
一方、パレットが逆送方向Mに送られるとき、揺動部材28は重し部33(錘36を含む)の作用によって、下部当接部30が横フレーム15の側壁29(緩衝材35を含む)に当接しているので、上部当接部31は逆送防止板34を介してパレットと係合し、パレットの逆送を防止する。
【0058】
なお、逆送防止装置22が取り付けられる位置は、
図1において、図示しないパレットの下流方向の先端がパレット係止部17に当接したときに、パレットの上流方向の端が逆送防止装置22を通過していることが好ましい。システムの設計によっては、搬出ポイントにおけるパレットの貯留個数が所定の複数個である場合は、最下流のパレットの下流側の先端がパレット係止部17に当接しているときに、最上流のパレットの上流側の端が逆送防止装置22を通過していることが好ましい。
【0059】
逆送防止装置22の数は一つに限られず、また、順送方向Fに直角な方向の取り付け位置は任意である。
【0060】
次に、パレットの存在を検知する検知装置40を説明する。
図5は
図2の検知装置40のみを拡大して示しているので、以下の説明では
図5も併せて参照する。なお、
図3の検知装置40は、後述するリミットスイッチを省いた状態で示している。
【0061】
検知装置40は、下流側の横フレーム15のほぼ中央部に固定されている。検知装置40は、検知装置40を固定するための固定部材41と、固定部材41の一端部に固定された以下に説明する構成要素を取り付ける取付部材42とを有している。
【0062】
固定部材41は、例えばアングル型鋼等によって形成してよく、ボルトまたは溶接によって横フレーム15の天板26に固定されている。取付部材42は、例えば板材等からなり、固定部材41にボルトまたは溶接によってほぼ垂直に固定されている。
【0063】
取付部材42には支軸43がほぼ垂直に立設されている。ほぼ水平な支軸43の周りには、支軸43に対して回転可能な回転部54が装着されている。回転部54の周囲に円筒部材44が装着されている。円筒部材44は固定ネジ穴45を有している。固定ネジ穴45から、図示しないネジを螺入することにより、回転部54と円筒部材44は一体に固定されている。
【0064】
上述の円筒部材44の外周面の一部と接するように、円弧部を有する揺動部材46が設けられている。揺動部材46と円筒部材44は共通の固定ネジ穴47を有している。固定ネジ穴47から、図示しないネジを螺入することにより、回転部54と円筒部材44と揺動部材46は一体に固定されている。これにより、回転部54と円筒部材44と揺動部材46は、支軸43を中心に一体的に揺動する。
【0065】
揺動部材46は、上部に、パレットが存在するときは、パレットによって押し下げられる押下げ部48を有している。また、揺動部材46は、下部に、錘49を有する重し部50を有している。
【0066】
円筒部材44と揺動部材46は、横方向、すなわちレール2,2’,3,3’にほぼ垂直な方向に所定の幅を有している。揺動部材46は前記所定の幅の鋼板を折り曲げて形成することができる。
【0067】
押下げ部48は、幅広くパレットの存在を検知するために、揺動部材46より幅広な鋼板によって形成されている。押下げ部48の先端部と両側は、パレットやフォークリフト等に引っかからないように、さらに傾斜するように折り曲げられている。
【0068】
円筒部材44は周面に凹部51が設けられている。凹部51の位置は、押下げ部48と錘49の重さがバランスした状態で下方に向くようになっているのが好ましい。凹部51には、取付部材42に取り付けられたセンサとしてのリミットスイッチ52のスイッチ部53の先端が嵌入するようになっている。
【0069】
円筒部材44が回転すると、リミットスイッチ52のスイッチ部53の先端が凹部51から出る。凹部51と円筒部材44の外径は、リミットスイッチ52のスイッチストロークより大きく設定されている。これによって、円筒部材44が回転すると、リミットスイッチ52のスイッチ部53の先端が凹部51から出て円筒部材44の外周面と当接し、スイッチが入る。なお、円筒部材44の周面に、凹部51の替わりに凸部を設け、円筒部材44が回転したときに当該凸部がスイッチ部53に当接するように構成してもよい。
【0070】
以上の構造により、パレットがローラコンベヤ1の下流端部に送られると、パレットの底面が検知装置40の押下げ部48を押し下げ、リミットスイッチ52のスイッチが入り、パレットの存在が検知される。
【0071】
リミットスイッチ52は、スイッチが入ると検出信号を生成し、後述するパレット搬送の制御システムに送信する。
【0072】
なお、リミットスイッチ52と円筒部材44に代えて、揺動部材46の回転を検知することができる任意の回転検知手段(センサ)を採用することができる。例えば、機械的なリミットスイッチ52に代えて、光学的な回転検知手段を用いてよい。また、機械的な検知手段であっても、円筒部材44の回転ではなく、他の部分、例えば揺動部材46自体の回転を検知する回転検知手段を用いてもよい。
【0073】
図1を参照して、検知装置40のパレット順送方向Fにおける位置は、逆送防止装置22の逆送防止板34から押下げ部48の距離が、パレットの幅より小さいのが好ましい。システムの設計によっては、搬出ポイントにおけるパレットの貯留個数が所定の複数個である場合は、最下流のパレットの下流側の先端が押下げ部48に当接しているときに、最上流のパレットの上流側の端が逆送防止板34を通過していることが好ましい。
【0074】
検知装置40の数は一つに限られず、また、順送方向Fに直角な方向の取り付け位置は任意である。
【0075】
以上の構成に基づいて、本実施形態のローラコンベヤ1の作用を以下に説明する。ここで簡単のために、搬出ポイントにおけるパレットの貯留個数は1個として説明する。
【0076】
図1,2を参照して、パレットがローラコンベヤ1の上流側から
図1,2の下流端部に搬送されると、パレットはまず逆送防止装置22を通過する。
【0077】
パレットが逆送防止装置22を通過するとき、パレットの下面の下流側先端部は最初に
図2の状態の揺動部材28の摺動部32に当たる。パレットが進むに従って、パレットの下面の下流側先端部は摺動部32上を摺動し、これによって、揺動部材28が支軸27を中心に回転し、パレットを通過させる。
【0078】
パレットが完全に逆送防止装置22を通過する前に、パレットの下面の下流側先端部は、
図2の状態の検知装置40の押下げ部48に当接する。パレットが進むに従って、パレットの下面の下流側先端部が押下げ部48上を摺動し、これによって、検知装置40の揺動部材46が支軸43を中心に回転する。これによって、リミットスイッチ52のスイッチ部53が円筒部材44の凹部51を出て、スイッチが入ってパレットの到達が検知される。
【0079】
リミットスイッチ52の検知信号は、パレット搬送の制御システムに送信され、ローラコンベヤ1の下流端部(搬出部)へのパレットの搬入を停止する。
【0080】
リミットスイッチ52の検知信号が送信されるタイミングで、パレットの下面の上流側端部は、逆送防止装置22の摺動部32を通過し、逆送防止装置22の揺動部材28は元の状態に戻る。すなわち、揺動部材28は
図2の方向から見て反時計回りに回転し、逆送防止板34が直立の状態に戻り、下部当接部30が横フレーム15の側壁29の緩衝材35に当接する。
【0081】
この状態で、フォークリフト等によってパレットを搬出する時は、フォークリフト等によってパレットが逆送方向に押されたとしても、パレットの上流側端部が逆送防止板34に当接し、パレットは逆送方向に移動することができない。
【0082】
このため、パレットが対人進入検知などのための上流側センサを意図せず作動させることがなくなり、無用な作業停止をなくすことができる。
【0083】
また、フォーク先端がパレットに挿入されている場合には、フォークリフト等をさらに前進させ、フォークをパレットに完全に挿入することができる。このため、フォークリフト等を後退させる必要がなく、搬出作業の効率を高くすることができる。
【0084】
フォークリフト等によってパレットが持ち上げられると、検知装置40が元に戻り、パレット搬送の制御システムにパレットが存在しないという信号が送信される。これによって、パレット搬送の制御システムは、ローラコンベヤ1の下流端部(搬出部)へのパレットの搬送を再開することができる。
【0085】
換言すると、パレットがまだローラコンベヤ1の下流端部(搬出部)に存在するとき、新たなパレットが送り込まれ、最下流端のパレットが押し出されることが防止される。
【0086】
次に、第二実施形態による逆送防止装置60について
図6~8を参照して以下に説明する。
【0087】
なお、第二実施形態の逆送防止装置60を除いて
図6~8の大部分の構成は
図1~3と共通であるため、同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0088】
図6に示すように、本実施形態の逆送防止装置60は、ローラ4に取り付けられる。検知装置40との間の距離は、検知装置40がパレットを検知したときに、パレットの逆送を防止可能である位置であることが好ましい。この条件を満たす限りは、逆送防止装置60は順送方向Fで任意のローラ4に取り付け可能である。
図6の例では、上流側の横フレーム15の隣のローラ4とレール2,3’の間に一対の逆送防止装置60が設けられている。なお、逆送防止装置60は一対であることが望ましいが、単一で使用される場合もある。また、逆送防止装置60の取り付け箇所はパレットの大きさや形状に応じて任意であり、例えばローラ4とレール2’,3の間に設けられてもよい。
【0089】
図7,8に示すように、逆送防止装置60は揺動部材61を有している。揺動部材61は、好ましくは板状の部材からなり、重心に対して一方に偏った位置、例えば
図7,8における上部側位置に円形の開口部62を有している(
図8参照)。該開口部62は、ローラ4の回転軸70の外径よりわずかに大きい内径を有している。揺動部材61の開口部62をローラ4とレール2の間、またはローラ4とレール3’の間の、ローラ4の回転軸70に通すことにより、揺動部材61は、
図8に示すように、ローラ4の回転軸70を中心に揺動可能になる。通常は、揺動部材61は、重力によって開口部62から遠い端部が下方になるようにほぼ垂直に垂下された状態(待機状態)になる。
【0090】
図8を参照して、揺動部材61は、作用的にみると、上部当接部63と、下部当接部64と、摺動部65と、重し部66とを有している。揺動部材61の下部当接部64に対応する位置のレール2,3’には、ストッパー67が設けられている。ストッパー67は、レール2,3’から突出して揺動部材61と干渉する任意の部材であり得るが、例えば本実施形態のように、レール2,3’を貫通して螺着されたスタッドボルトでよい。ストッパー67は、揺動部材61がほぼ垂直に垂下した状態で、下部当接部64と当接する位置に設けられている。
【0091】
上部当接部63は、逆送されるパレットに当接してパレットの逆送を防止する部分である。上部当接部63と下部当接部64の位置関係は、上部当接部63が逆送されるパレットに当接したときに、下部当接部64がストッパー67に当接する関係にある。これにより、パレットが逆送されたときに、パレットが揺動部材61の上部当接部63に当接すると、下部当接部64がストッパー67に当接し、それ以上パレットが逆送されないようになる。
【0092】
摺動部65は、パレットが順送方向Fに送られるときに、パレットの下面の下流側先端部に当接して摺動し、揺動部材61を回転方向R(
図8参照)に揺動させて、パレットを順送方向Fに通す部分である。
【0093】
この目的を達成するため、摺動部65は傾斜面になっている。該傾斜面の位置と傾斜は、揺動部材61がパレットに当たって回転方向Rに揺動したときに、隣接する両隣のローラ4に上から接する線より下か同一の高さになるように設定されている。これにより、パレットが順送方向Fに送られるとき、パレットの下面の下流側先端部に摺動部65が当接して揺動部材61が揺動し、パレットを順送方向Fに通すことができる。
【0094】
重し部66は、パレットが順送方向Fに通過した後に、重力によって揺動部材61をほぼ垂直な状態に戻す部分である。これにより、パレットを順送方向Fに通すが、逆送方向Mには、それ以上パレットを移動させないように作用する。
【0095】
なお、以上の説明ではパレットを用いて説明したが、搬送されるものは一定の大きさ寸法を有するものであれば、パレットに限られず、広く「搬送物」としてよい。
【0096】
以上で実施形態の説明を終了するが、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれない。しかし、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1:ローラコンベヤ
2、3、2’、3’:レール
4:ローラ
5:床面
6:基柱
7、10:底板
8:チャンネル型鋼
9:支柱
11:高さ調整主ボルト
12:ナット
13、19:長孔
14:ボルトナット
15:横フレーム
16、21、26:天板
17:パレット係止部
18:揺動軸
20:ネジ
22、60:逆送防止装置
23:固定板
24:ブラケット
25:固定ボルト
27、43:支軸
28、46、61:揺動部材
29:側壁
30、64:下部当接部
31、63:上部当接部
32、65:摺動部
33、50、66:重し部
34:逆送防止板
35:緩衝材
36、49:錘
40:検知装置
41:固定部材
42:取付部材
44:円筒部材
45、47:固定ネジ穴
48:押下げ部
51:凹部
52:リミットスイッチ
53:スイッチ部
54:回転部
62:開口部
67:ストッパー
70:回転軸
F:パレットの順送方向
M:逆送方向
R:回転方向