(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】コルゲータ、押出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/90 20190101AFI20220127BHJP
B29C 48/13 20190101ALI20220127BHJP
B29C 48/09 20190101ALI20220127BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20220127BHJP
B29L 16/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B29C48/90
B29C48/13
B29C48/09
B29C48/92
B29L16:00
(21)【出願番号】P 2020194919
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2019500336の分割
【原出願日】2017-07-06
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】102016112421.4
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517165597
【氏名又は名称】シュレンマー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】スタバリウ アリン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-273776(JP,A)
【文献】特開2002-307527(JP,A)
【文献】特開平7-052274(JP,A)
【文献】特開昭52-137464(JP,A)
【文献】特開2002-355872(JP,A)
【文献】米国特許第6485286(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0012249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0113339(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0025355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29C 33/00-33/76
B29C 49/00-49/80
B29C 53/00-53/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状のプラスチック製品を成形する押出システム用のコルゲータであって、
複数の金型ブロックと、
当該コルゲータの動作中に前記金型ブロックを対にしてガイドするガイドトラックであって、前記金型ブロックは、前記ガイドトラックの始動領域から前記ガイドトラックの出口領域に向かってガイドされるガイドトラックと、
当該コルゲータの動作中に前記金型ブロックを前記出口領域から前記始動領域に向かってガイドする第1リターントラックと、
当該コルゲータの動作中に前記個々の金型ブロックを前記第1リターントラックから取出可能でさらに/または前記第1リターントラックに挿入可能な第2リターントラックと、を有し、
前記第1リターントラックから前記個々の金型ブロックを取り出す移動方向、および/または、前記個々の金型ブロックを前記第1リターントラックに挿入する移動方向はそれぞれ、前記第1リターントラックに沿った金型ブロックの移動方向に対して所定の角度で傾斜するように配向されていることを特徴とするコルゲータ。
【請求項2】
前記金型ブロックを前記第1リターントラックから前記ガイドトラックに偏向させる第1偏向装置と、前記金型ブロックをガイドトラックから第1リターントラック内に偏向する第2偏向装置とをさらに備え、前記金型ブロックは、当該コルゲータの動作中に前記ガイドトラックおよび前記第1リターントラックに沿って連続的に移動することを特徴とする請求項1に記載のコルゲータ。
【請求項3】
前記個々の金型ブロックを前記第1リターントラックから前記第2リターントラックに選択的に取り出す取出装置をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のコルゲータ。
【請求項4】
前記個々の金型ブロックを前記第2リターントラックから前記第1リターントラックに選択的に挿入する挿入装置をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のコルゲータ。
【請求項5】
前記金型ブロックはそれぞれ、RFIDマーカーを有し、当該コルゲータは、前記RFIDマーカーを検出する検出装置と、前記取出装置および/または前記挿入装置を作動させて前記個々の金型ブロックを検出された前記RFIDマーカーに応じて前記第1リターントラックから取出可能でさらに/または前記第1リターントラックに挿入可能な制御装置とを備えることを特徴とする請求項4に記載のコルゲータ。
【請求項6】
前記個々の金型ブロックを当該コルゲータの動作中に前記第1リターントラックから取出可能でさらに/または前記第1リターントラックに挿入可能な第3~第nリターントラックと、第1キャビティを有する複数の第1金型ブロックと、前記第1キャビティとは形状が異なる第2キャビティを有する複数の第2金型ブロックとをさらに備え、前記第1金型ブロックおよび前記第2金型ブロックは、当該コルゲータの動作中に前記ガイドトラックに沿って前記始動領域から前記出口領域に向かって対をなしてそれぞれガイドされ、前記第1金型ブロックおよび前記第2金型ブロックは、当該コルゲータの動作中に前記第1リターントラックに沿って前記出口領域から前記始動領域に向かってガイドされ、前記個々の第1金型ブロックおよび/または前記個々の第2金型ブロックは、当該コルゲータの動作中に前記第2リターントラックを用いて前記第1リターントラックから取出可能であり、さらに/または、前記第1リターントラックに挿入可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコルゲータ。
【請求項7】
第3~第n金型ブロックをさらに備え、各第3~第n金型ブロックはそれぞれ、前記第1キャビティおよび前記第2キャビティとは形状が異なる第3~第nキャビティを有し、前記個々の第1金型ブロック、前記個々の第2金型ブロックおよび/または前記個々の第3~第n金型ブロックは、当該コルゲータの動作中に前記第3~第nリターントラックを用いて、前記第1リターントラックから取出可能であり、さらに/または、前記第1リターントラックに挿入可能であることを特徴とする請求項6に記載のコルゲータ。
【請求項8】
前記第2リターントラックは、取出部分および/または挿入部分を有し、前記取出部分および/または前記挿入部分は、前記第1リターントラックに対して傾斜するように配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコルゲータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコルゲータと、該コルゲータの上流に配置された押出機とを有することを特徴とする押出システム。
【請求項10】
複数の金型ブロック、ガイドトラック、第1リターントラックおよび第2リターントラックを備えるコルゲータの操作方法であって、当該方法は、以下の方法ステップを含んでいて、
前記ガイドトラックに沿って前記金型ブロックを対にしてそれぞれ、前記ガイドトラックの始動領域から前記ガイドトラックの出口領域に向かってガイドし、
前記金型ブロックを前記第1リターントラックに沿って前記出口領域から前記始動領域に向かってガイドし、
前記個々の金型ブロックを前記第1リターントラックから前記第2リターントラックに取り出し、さらに/または、
前記個々の金型ブロックを前記第2リターントラックから前記第1リターントラックに挿入し、
前記個々の金型ブロックは、前記第1リターントラックから取り出し、さらに/または、前記第1リターントラックに挿入し、これにより、取出および/または挿入での前記個々の金型ブロックの移動方向はそれぞれ、前記ガイドトラックに沿った前記金型ブロックの移動方向に対して所定の角度で傾斜するように配向されていることを特徴とするコルゲータの操作方法。
【請求項11】
前記金型ブロックのRFIDマーカーはそれぞれ、検出装置を用いて検出され、取出装置および/または挿入装置は、制御装置を用いて作動し、前記個々の金型ブロックは、検出された前記RFIDマーカーに応じて、前記第1リターントラックから取り出し、さらに/または、前記第1リターントラックに挿入することを特徴とする請求項10に記載のコルゲータの操作方法。
【請求項12】
前記金型ブロックは、前記ガイドトラック、前記第1リターントラックおよび前記第2リターントラックに沿って互いに平行になるようにガイドされることを特徴とする請求項10または11に記載のコルゲータの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出システム用のコルゲータ、このタイプのコルゲータを有する押出システムおよびこのタイプのコルゲータを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲータは、プラスチックの加工に使用される機械であって、コルゲートプラスチックパイプまたはコルゲートプラスチックチューブの製造に使用される。このタイプのプラスチック製品は、コルゲートパイプまたはコルゲートチューブとも呼ばれる。このタイプのコルゲータを用いて連続プラスチック製品を製造でき、連続プラスチック製品は、続いて特定の長さに切断される。コルゲータは、押出機の射出ヘッドによってチューブに供給されるプラスチック溶融物の流れを形成する。コルゲータはさらに、複数の金型ブロックを含む。これらの金型ブロックは、プラスチック製品の外部形状のネガ型を意味する。プラスチックチューブは、射出ヘッドによって供給され、圧縮空気を用いることで金型ブロックに対して内側に押し付けられ、それに応じてプラスチック製品の外部形状が得られる。熱エネルギーの大部分はまた、金型ブロックを介してプラスチック材料から取り出すことができる。
【0003】
独国特許出願公開第19535231号(DE 195 35 231 A1)は、ある装置を開示している。この装置は、熱可塑性プラスチック材料からパイプを製造する装置であって、横方向プロファイルを有するという特徴がある。この装置は、半金型部分を備える。半金型部分は、成形部分の上を循環するように対をなしてガイドされる。さらに半金型部分を戻すための搬送装置が提供されていて、この搬送装置は、ガントリークレーンのように構成される。2つの搬送台車は、製造方向に対して横方向および互いに反対方向に再配置可能であり、成形部を横切って係合する搬送ガントリーに設けられている。それぞれ1つの下向きの搬送アームは、それぞれ半金型部分を搬送台車に取り付ける保持装置を有する。
【0004】
米国特許第6485285号明細書(US 6 485 285 B1)は、コルゲータを示している。コルゲータは、2つの異なるタイプの金型ブロックを有する。コルゲータは、交換装置を備える。交換装置は、コルゲータの動作中に個々の金型ブロックを、金型ブロックの移動方向に対して垂直に交換できる。
【0005】
本発明の目的は、この背景に対して改良されたコルゲータを提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
そこで、チューブ状のプラスチック製品を成形する押出システム用のコルゲータを提案する。本コルゲータは、複数の金型ブロックと、コルゲータの動作中に金型ブロックを、ガイドトラックの始動領域からガイドトラックの出口領域に向かって対になってガイドするガイドトラックと、コルゲータの動作中に金型ブロックを出口領域から始動領域に向かってガイドする第1リターントラックと、コルゲータの作動中に個々の金型ブロックを第1リターントラックから押出可能でさらに/または第1リターントラックに挿入可能な第2リターントラックとを備える。
【0007】
個々の金型ブロックは、第1リターントラックから第2リターントラックに押出可能であり、さらに/または、第2リターントラックから第1リターントラックに挿入可能である。このため、押出システムを停止することなく、ガイドトラックに沿った金型ブロックのシーケンスを変更できる。これにより、金型の複雑さを著しく低くし、始動のロスをより少なくする。また少量のプラスチック製品も製造することができ、これにより在庫を減らすことができる。特定長さに切断されたプラスチック製品の部品の選別を自動的に行うことができる。金型ブロックの自動組立てによって、エラーソースをより少なくする。金型ブロックは、コルゲータの動作中に容易に交換可能とされる。
【0008】
本コルゲータの動作中、任意のシーケンスの金型ブロックから、個々の金型ブロックを、特に第2リターントラックを用いて第1リターントラックから押出可能である。この押し出された金型ブロックは、第2リターントラックに収容される。押し出されなかった金型ブロックは、再び第1リターントラックを用いて出口領域から始動領域に向かってガイドされ、これにより、ガイドトラックに再び供給される。逆に、個々の金型ブロックを、コルゲータの動作中、第2リターントラックを用いて、第1リターントラックに任意のシーケンスで挿入することもできる。この挿入された金型ブロックは、残りの金型ブロックとともに、第1リターントラックを用いてガイドトラックに供給される。これは、個々の金型ブロックの押出だけでなく挿入によっても、プラスチック製品の成形が中断されることがないことを意味する。本コルゲータの場合、複数の金型ブロックもまた、特に第1リターントラックから連続的に押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0009】
これは、特に連続的に配置されたすべての金型ブロックは、ガイドトラックを対になって通過した後、金型ブロックがガイドトラックに再供給される前に、互いに分離され再分類される必要がないことを意味する。むしろ押し出されていない金型がガイドトラックおよび第1リターントラックを通過することは妨げられない。これは、コルゲータの動作中に、押し出されていない金型ブロックがガイドトラックおよび第1リターントラックに沿って連続的に移動することを意味する。ガイドトラックおよび第1リターントラックは、特に互いに連結された金型ブロックの連続的なシーケンスまたはチェーンを形成し、そこから個々の金型ブロックを押出可能であり、さらに/または、個々の金型ブロックを挿入可能である。これは、コルゲータの動作中、ガイドトラックおよび第1リターントラックに沿った金型ブロックの連続的な移動が常に行われることを意味する。
【0010】
第1リターントラックに沿ってガイドされる連続的に配置された金型ブロックのシーケンスまたはチェーンから、個々の金型ブロックを押出および/または挿入できるということは、特定の金型ブロックは、第1リターントラックから選択的に回収可能であり、第2リターントラックに供給可能であることを特に理解すべきである。残りの金型ブロックは、ガイドトラックおよび第1リターントラックの周りを連続的に回転する。これは特に、チューブ状のプラスチック製品の成形中に、ガイドトラックおよび第1リターントラックに沿った残りの金型ブロックまたは押し出されていない金型ブロックの連続的な移動が妨げられないことを意味する。同じことが、個々の金型ブロックを第1リターントラックに挿入することにも同様に当てはまる。また「個々の」とは、個々の金型ブロックの対が常に押し出されさらに/または挿入されることを意味すると理解すべきである。このタイプの対は、常に1つの右すなわち第1金型ブロックと1つの第2すなわち左の金型ブロックとを備える。これらの金型ブロックの対は、ガイドトラックに沿ってともに移動し、そして第1リターントラックに沿って互いに別々に移動する。押し出された、および/または挿入された個々の金型ブロックは、互いに隣接して配置された複数の例えば2つまたは3つの金型ブロックを含んでもよい。これは、「個々の金型ブロック」という用語は、1つの金型ブロックだけを指すのではないことを意味する。
【0011】
第2リターントラックは、例えば押し出された金型ブロックを出口領域から始動領域に向かって搬送するのに適したコンベアベルトとして構成してよい。特に始動領域には、2つの第1偏向装置を設けてよい。第1偏向装置は、例えば歯車、ローラー、ガイドレールなどとして構成してよい。さらに好ましくは、出口領域には、2つの第2偏向装置が設けられる。第1偏向装置は、金型ブロックをガイドトラックから特に第1リターントラックに偏向させる。好ましくは、2つの第1リターントラックが互いに平行に延びるように設けられ、ガイドトラックは、それらの間に配置される。金型ブロックは、第1リターントラックから第1偏向装置上に対になって集められ、その後ガイドトラックを通過する。同様に、ガイドトラックを通過した1対の金型ブロックは、第2偏向装置で分離され、それぞれ第1リターントラックの1つに供給される。
【0012】
プラスチック製品は、特にコルゲートチューブまたはコルゲートパイプである。好ましくは、押出システムを用いてプラスチック製品を連続製品として製造し、コルゲータの下流で所望の長さに切断する。
【0013】
コルゲータは、上述したように好ましくは、ガイドトラックの両側に配置された2つの第1リターントラックと、ガイドトラックの両側に同様に配置された2つの第2リターントラックとを備える。ここでの2つリターントラックは、好ましくはガイドトラックと第1リターントラックとの間に配置される。第3~第nリターントラック、特に2つの第3~第nリターントラックを、ガイドトラックの両側にそれぞれ配置してよい。ここで第3~第nリターントラックは、第2リターントラックとガイドトラックとの間に配置される。
【0014】
金型ブロックのそれぞれのキャビティは、中心軸に対して回転対称になるように構成されていて、180°の円周角を有する。これは、1対の金型ブロックを用いることで、プラスチック製品のネガ型の外部形状が得られることを意味する。「対になって」とは、2つの同一の金型ブロックが常にともに結合されていることを意味する。それぞれ個々の形状のキャビティを有する複数の異なるタイプの金型ブロックを提供できる。「キャビティ」とは、プラスチック製品の外部形状のネガ型を形成する中空空間であることを現在のところ理解するべきである。
【0015】
好ましくは、プラスチック製品は、未だ固まっていないプラスチックチューブとして、1対の金型ブロックの間に組み込まれ、続いて例えば圧縮空気を用いて金型ブロックそれぞれのキャビティに対して内側に押し付けられる。その結果として、プラスチック製品の所望の外部形状が得られる。第1リターントラックから「押出可能」である金型ブロックは、コルゲータの生産動作中、すなわち金型ブロックがガイドトラックに沿って搬送されている間、特定の金型ブロックが第1リターントラックから選択的に押出可能であり、そして第2リターントラックに供給可能であることを理解すべきである。第2リターントラックから第1リターントラックに「挿入可能」である個々の金型ブロックは、コルゲータの生産動作中において、第2リターントラックから第1リターントラックに選択的に導入されることができることを理解すべきである。金型ブロックは、常にガイドトラックに沿って対をなしてガイドされるので、2つの第1リターントラックおよび2つの第2リターントラックはそれぞれ同時に、さらに/または同期して作動する。これは、金型ブロックが第2リターントラックから第1リターントラックに挿入されるとき、金型ブロックは同時に他の第2リターントラックから他の第1リターントラックに挿入されることを意味する。
【0016】
好ましくは、コルゲータは、各金型ブロックが第1キャビティを有する複数の第1金型ブロックと、第1キャビティとは形状が異なる第2キャビティを有する複数の第2金型ブロックと、ガイドトラックであってコルゲータの動作中に第1金型ブロックおよび第2金型ブロックを始動領域から出口領域に向かって対になってガイドするガイドトラックと、コルゲータの動作中に第1金型ブロックおよび第2金型ブロックを出口領域から始動領域に向かってそれに沿ってガイドする第1リターントラックと、コルゲータの動作中に個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから押出可能でさらに/または第1リターントラックに挿入可能な第2リターントラックとを備える。
【0017】
一つの実施形態によれば、第1リターントラックからの個々の金型ブロックの押出および/または第1リターントラックへの個々の金型ブロックの挿入において、個々の金型ブロックの移動方向は、それぞれ第1ガイドトラックに沿った金型ブロックの移動方向に対して斜めの角度で配向されている。
【0018】
この角度は、例えば10°~30°としてよい。この角度は、第1角度と呼んでよい。個々の金型ブロックの押出および/または挿入での移動方向と第1リターントラックに沿った金型ブロックの移動方向との間の第1角度は特に、90°に等しくない。個々の金型ブロックを第1リターントラックから上述の第3~第nリターントラックに押し出す際、個々の金型ブロックの移動方向は、同様に、第1ガイドトラックに沿った金型ブロックの移動方向に対して斜めの角度で配向されている。この角度は、第2角度と呼んでよい。同じことが、個々の金型ブロックを第1リターントラックから第3~第nリターントラックに押し出すことにも同様に当てはまる。ここで第3リターントラックに割り当てられる第2角度は、第2リターントラックに割り当てられる第1角度であって、個々の金型ブロックの挿入および/または押出での個々の金型ブロックの移動方向の第1角度より大きい。これは、第1角度と第2角度とは等しくなく、好ましくは、第2角度は第1角度より大きいことを意味する。第2角度は、20°~30°としてよい。
【0019】
他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらに、金型ブロックを第1リターントラックからガイドトラックに偏向する第1偏向装置と、金型ブロックをガイドトラックから第1リターントラックに偏向する第2偏向装置とを備える。金型ブロックは、コルゲータの動作中にガイドトラックおよび第1リターントラックに沿って連続的に移動する。
【0020】
これは、コルゲータの動作中に金型ブロックは、ガイドトラックおよび第1リターントラックの周りを連続的に回転することを意味する。特にガイドトラックに沿った金型ブロックの移動方向は、第1リターントラックに沿った金型ブロックの移動方向とは反対になるように向けられる。好ましくは、2つの第1偏向装置および2つの第2偏向装置が設けられる。第1偏向装置は、特に始動領域に割り当てられている。第2偏向装置は、特に出口領域に割り当てられている。個々の金型ブロックは、ガイドトラックおよび第1リターントラックに沿って金型ブロックが連続的に移動する間、特に第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第2リターントラックを用いて第1リターントラックに挿入可能である。
【0021】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらに、押出装置を備える。押出装置は、個々の金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに選択的に押し出す。
【0022】
好ましくは、コルゲータは押出装置を備える。押出装置は、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに選択的に押し出す。好ましくは、このタイプの2つの押出装置が設けられる。各第2リターントラックには、このタイプの1つの押出装置が割り当てられている。押出装置は、コンベアベルトとしてよく、または例えばコンベアベルトとして構成できる。押出装置は、コンベアベルトとして構成でき、または例えばコンベアベルトを備えることができる。
【0023】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらに挿入装置を備える。挿入装置は、個々の金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに選択的に挿入する。
【0024】
コルゲータは、特に挿入装置を備える。挿入装置は、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに選択的に挿入する。好ましくは、このタイプの2つの挿入装置が設けられ、各第2リターントラックには、このタイプの1つの挿入装置が割り当てられている。挿入装置は、例えばコンベアベルトを備えることができ、またはコンベアベルトとして構成できる。挿入装置は、例えばコンベアベルトとして構成してよく、またはコンベアベルトを備えることができる。
【0025】
さらに他の一つの実施形態によれば、金型ブロックは、マーカー、特にRFIDマーカーを有する。コルゲータは、マーカーを検出する検出装置と、押出装置および/または挿入装置を作動させる制御装置とを備える。これにより、個々の金型ブロックを、検出されたマーカーに応じて、第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0026】
好ましくは、第1金型ブロックおよび/または第2金型ブロックはそれぞれ、マーカー、特にRFIDマーカーを有する。そしてコルゲータは、マーカーを検出する検出装置と、押出装置および/または挿入装置を作動させる制御装置とを備える。これにより、個々の第1金型ブロックまたは個々の第2金型ブロックを、検出されたマーカーに応じて、第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0027】
RFID(無線周波数識別)は、電波を用いて非接触で物体を自動的に識別し位置を特定する送信機/受信機システムの技術である。RFIDマーカーは、それぞれの金型ブロックに固定されているトランスポンダとしてよい。そのため、ガイドトラックに沿った金型ブロックのシーケンス、すなわち制御装置を用いてプラスチック製品を成形するためのシーケンスは、コルゲータを停止させることなく任意の方法で変更できる。
【0028】
さらに他の一つの実施形態によれば、制御装置を用いたコルゲータの動作中での金型ブロックのシーケンスは、検出されたマーカーに応じて、第1リターントラックから第2リターントラックに個々の金型ブロックを押し出すことによって、さらに/または、第2リターントラックから第1リターントラックに個々の金型ブロックを挿入することによって、変更可能となる。
【0029】
第1金型ブロックおよび第2金型ブロックのシーケンスは、検出されたマーカーに応じて、制御装置を用いたコルゲータの動作中に、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに押し出すことによって、さらに/または、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに挿入することによって、特に変更可能となる。そのため、ガイドトラックに沿った金型ブロックのシーケンスは、所望の製品に応じて金型を追加するという複雑さなしに、コルゲータの生産作業中に変更できる。
【0030】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらにスライド部を備え、第2リターントラックに収容された金型ブロックは、スライド部を用いて第2リターントラックから回収可能となる。
【0031】
好ましくは、このタイプの複数のスライド部が設けられ、各第2リターントラックは、このタイプの1つのスライド部に割り当てられている。コルゲータはまた、さらに2つの第3リターントラックを有することができ、それぞれ同様にこのタイプの1つのスライド部を割り当てられている。スライド部を用いることにより、金型ブロックは、コルゲータの動作中に迅速かつ簡単な方法で交換可能となる。これにより、個々の金型ブロックを交換することを不要にできる。
【0032】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらに、第3~第nリターントラックを備え、これらは、コルゲータの動作中に個々の金型ブロックを第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0033】
コルゲータは、特に第3~第nリターントラックを備え、これを用いることにより、コルゲータの動作中に個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを、第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。リターントラックの数は任意である。コルゲータは、特に2つの第3リターントラック、または2つの第nリターントラックをそれぞれ備える。ここで、nは4以上である。ここでの各リターントラックは、1つのタイプの金型ブロックを割り当てることができる。あるいは、任意の異なるタイプの金型ブロックを各リターントラックに収容することもできる。
【0034】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータは、第1キャビティを有する複数の第1金型ブロックと、第1キャビティとは形状が異なる第2キャビティを有する複数の第2金型ブロックとをさらに備える。第1金型ブロックおよび第2金型ブロックは、コルゲータの動作中にガイドトラックに沿って始動領域から出口領域に向かってそれぞれ対をなしてガイドされる。第1金型ブロックおよび第2金型ブロックは、コルゲータの動作中に第1リターントラックに沿って出口領域から始動領域に向かってガイドされる。そして第2リターントラックを用いたコルゲータの動作中に、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0035】
第1金型ブロックは、コルゲーション金型ブロックとも呼んでよい。また第2金型ブロックは、スリーブ金型ブロックとも呼んでよい。第1金型ブロックは特に、プラスチック製品上に波形の形状を成形する。第2金型ブロックは特に、プラスチック製品上にスリーブ形状を成形する。
【0036】
さらに他の一つの実施形態によれば、コルゲータはさらに、複数の第3~第n金型ブロックを備え、各第3~第n金型ブロックは、第1キャビティおよび第2キャビティとは形状が異なる第3~第nキャビティを有する。個々の第1金型ブロック、個々の第2金型ブロックおよび/または個々の第3~第n金型ブロックは、第3~第nリターントラックを用いたコルゲータの動作中に、第1リターントラックから押出可能であり、さらに/または、第1リターントラックに挿入可能である。
【0037】
異なるタイプの金型ブロックの数は任意である。例えば第3金型ブロックは、プラスチック部品上に平滑なチューブ状の領域を成形する。したがって第3金型ブロックはまた、平滑なチューブ状金型ブロックとも呼んでよい。
【0038】
さらに他の一つの実施形態によれば、ガイドトラック、第1リターントラックおよび第2リターントラックは、互いに平行になるように配置されている。
【0039】
特に、ガイドトラックに沿ってガイドされる金型ブロックの移動方向は、第1リターントラック、第2リターントラックおよび/または第3リターントラックに沿ってガイドされる金型ブロックの移動方向とは逆方向になるように向けられる。好ましくは、コルゲータはまた、ガイドトラックに沿って金型ブロックを搬送する駆動装置を備える。このため、駆動装置は、例えばピニオンを有してよい。ピニオンは、金型ブロックに設けられた凹凸部に嵌め合いによって係合する。
【0040】
さらに他の一つの実施形態によれば、第2リターントラックは、押出部分および/または挿入部分を有する。押出部分および/または挿入部分は、第1リターントラックに対して斜めになるように配置されている。
【0041】
第3リターントラックはさらに、押出部分および/または挿入部分を有してよい。押出部分および/または挿入部分はそれぞれ、第1リターントラックに対して斜めになるように配置されている。第1リターントラックと押出部分との間の角度、または第1リターントラックと挿入部分との間の角度はそれぞれ、例えば、10°~30°にしてよい。押出部分および/または挿入部分は、コンベアベルトとして構成することができ、またはコンベアベルトを備えることができる。
【0042】
押出システムがさらに提案されている。押出システムは、このタイプのコルゲータと、コルゲータの上流に配置された押出機とを有する。
【0043】
押出機は、可塑化されたプラスチック材料をコルゲータに供給する射出ヘッドを有してよい。チューブ状の半製品は、コルゲータを用いて製造できる。このチューブ状の半製品は、圧縮空気を用いて金型ブロックのキャビティの内側に押し付けられる。押出機は、一軸または二軸の押出機としてよい。押出機は、共押出に適用してよい。これは、押出機を用いて異なるプラスチック材料を同時に加工できることを意味する。
【0044】
複数の金型ブロック、ガイドトラック、第1リターントラックおよび第2リターントラックを備えるコルゲータを操作する方法がさらに提案されている。この方法は以下の方法ステップを含む。ガイドトラックの始動領域から出口領域に向かって、ガイドトラックに沿って金型ブロックを対としてそれぞれガイドする。金型ブロックを第1リターントラックに沿って出口領域から始動領域に向かってガイドする。個々の金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに押し出し、さらに/または、個々の金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに挿入する。
【0045】
この方法はまた、個々の第1金型ブロック、第2金型ブロックおよび/または第3金型ブロックを、第2リターントラックまたは第3リターントラックから第1リターントラックに押し出すことおよび/または挿入することを含んでよい。コルゲータの生産作業中でのガイドトラックに沿った金型ブロックのシーケンスは、コルゲータを停止させることなく、この方法を用いて変更できる。
【0046】
特にコルゲータであって、各金型ブロックが第1キャビティを有する複数の第1金型ブロックと、各第2金型ブロックが第1キャビティと形状が異なる第2キャビティを有する複数の第2金型ブロックと、ガイドトラックと、第1リターントラックと、第2リターントラックとを備えるコルデータを操作する方法が提案されている。この方法は、以下のステップを含む。ガイドトラックの始動領域から出口領域に向かって、ガイドトラックに沿って第1金型ブロックおよび第2金型ブロックを対としてそれぞれガイドする。第1金型ブロックおよび第2金型ブロックを第1リターントラックに沿って出口領域から始動領域に向かってガイドする。個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに押し出し、さらに/または、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに挿入する。
【0047】
さらに他の一つの実施形態によれば、個々の金型ブロックは、第1リターントラックから押し出され、さらに/または、第1リターントラックに挿入され、これにより、押出および/または挿入での個々の金型ブロックの移動方向は、それぞれ第1ガイドトラックに沿った金型ブロックの移動方向に対してある角度で傾斜するように配向される。
【0048】
角度は、例えば10°~30°にしてよい。個々の金型ブロックの押出および/または挿入での移動方向と、第1リターントラックに沿った金型ブロックの移動方向との間の角度は、特に90°に等しくない。既に上述したように、この角度は第1角度と呼んでよい。
【0049】
さらに他の一つの実施形態によれば、金型ブロックのマーカー、特にRFIDマーカーは、それぞれ検出装置を用いて検出される。押出装置および/または挿入装置は、制御装置を用いて作動することにより、個々の金型ブロックを、検出されたマーカーに応じて第1リターントラックから押し出し、さらに/または、第1リターントラックに挿入する。
【0050】
好ましくは、第1金型ブロックおよび/または第2金型ブロックのマーカー、特にRFIDマーカーはそれぞれ、検出装置を用いて検出される。押出装置および/または挿入装置は、制御装置を用いて作動することにより、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを、検出されたマーカーに応じて第1リターントラックから押し出し、さらに/または、第1リターントラックに挿入する。好ましくは、各金型ブロックは、専用のRFIDマーカーを有する。それぞれの金型ブロックのタイプおよび位置は、非接触で検出することができ、そしてRFIDマーカーを用いることで移動中も検出することができる。
【0051】
さらに他の一つの実施形態によれば、制御装置を用いた金型ブロックのシーケンスは、個々の金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに押し出すことによって検出されるマーカーに応じて変更され、さらに/または、個々の金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに挿入することによって検出されるマーカーに応じて変更される。
【0052】
第1金型ブロックおよび第2金型ブロックのシーケンスは、特に制御装置を用いることで、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第1リターントラックから第2リターントラックに押し出すことによって検出されるマーカーに応じて変更され、さらに/または、個々の第1金型ブロックおよび/または個々の第2金型ブロックを第2リターントラックから第1リターントラックに挿入することによって検出されるマーカーに応じて変更される。このため、コルゲータの進行中の生産作業により製造されるプラスチック製品の形状を変更できる。このため、高い金型の複雑さなしに、コルゲータを用いて異なるプラスチック製品を製造できる。
【0053】
さらに他の一つの実施形態によれば、金型ブロックは、ガイドトラック、第1リターントラック、および第2リターントラックに沿って互いに平行になるようにガイドされる。
【0054】
特に金型ブロックはまた、第3リターントラックに沿ってガイドされて、ガイドトラック、第1リターントラックおよび第2リターントラックと平行になる。ガイドトラックに沿った金型ブロックの移動方向は、第1リターントラック、第2リターントラックおよび/または第3リターントラックに沿った金型ブロックの移動方向とは反対になるように向けられる。
【0055】
コルゲータに関連して記載された特徴は、この方法に類似の方法に適用され、そして逆もまた同様である。
【0056】
コルゲータ、押出システムおよび/または方法のさらなる可能な実施態様はまた、上記または例示的な実施形態を参照して以下に記載される特徴または実施形態について、明示的に言及されていない組み合わせを含む。ここで当業者はまた、コルゲータ、押出システムおよび/または方法のそれぞれの基本形態に対する改善または補足として個々の態様を追加する。
【0057】
コルゲータ、押出システムおよび/または方法のさらなる有利な設計実施形態および態様は、従属請求項およびコルゲータ、押出システムおよび/または方法の以下に記載される例示的実施形態の主題である。コルゲータ、押出システムおよび/または方法は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態によってさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】押出システムの一つの実施形態を示す概略平面図である。
【
図3】
図1の押出システムのコルゲータ用の金型ブロックの実施形態の概略平面図である。
【
図4】
図1の押出システムのコルゲータ用の金型ブロックのさらなる実施形態の概略平面図である。
【
図5】
図1の押出システムのコルゲータ用の金型ブロックのさらなる実施形態の概略平面図である。
【
図6】
図1の押出システムのコルゲータを操作する方法の一実施形態の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
特に明記しない限り、同一または機能的に等価な要素には、図中に同一参照符号が付されている。
【0060】
図1は、押出システム1の概略平面図である。
図2は、押出システム1の概略側面図である。以下、
図1および
図2を同時に参照する。
【0061】
押出システム1は、チューブ状のプラスチック製品2を製造することに適している。プラスチック製品2は、コルゲートチューブまたはコルゲートパイプである。コルゲートチューブは、同様に軸方向に可撓性を有するコルゲートパイプとは、半径方向および長手方向の弾性が異なる。この弾性は、材料によって生じるが、波形の形状によっても促進され得る。コルゲートチューブは、ケーブルダクトなど実際に恩恵を受ける物のための保護管であると同時に、それ自体が液体および気体のコンベアである。
【0062】
プラスチック製品2は、押出システム1を用いて連続製品として製造され、押出システム1の下流に配置された切断装置を用いて所望の長さに切断される。押出システム1は、プラスチック材料を可塑化する押出機3と、コルゲータ4とを備える。押出機3は、一軸のスクリュー押出機または二軸のスクリュー押出機としてよい。押出機3は、共押出に適している。これは、押出機3を用いることで異なるタイプのプラスチック材料を同時に処理できることを意味する。
【0063】
コルゲータ4は、チューブ状のプラスチック製品2に所望の形状、特に外部形状を付与することに適している。押出機3は、溶融プラスチック材料をコルゲータ4に供給する射出ヘッド5を備える。コルゲータ4は、射出ヘッド5の下流に配置されている。
【0064】
コルゲータ4はさらに、複数の第1金型ブロック6を備える(
図3)。各第1金型ブロック6は、第1中空空間または第1キャビティ7を有する。第1キャビティ7は、波形の形状を有してよい。プラスチック製品2の形状は、第1キャビティ7を用いて成形してよい。第1キャビティ7は波形であるので、第1金型ブロック6はまた、コルゲート金型ブロックと呼んでよい。第1キャビティ7は、対称軸または中心軸8に対して回転対称になるように構成されている。第1キャビティ7は、180°の円周角を有する。これは、1対の第1金型ブロック6はそれぞれ1つの周方向に閉じた中空空間を形成することを意味している。中空空間は、中心軸8に対して回転対称になるように配置され、2つの第1キャビティ7によって形成される。各第1金型ブロック6は、特に1つのハーフシェルを構成する。
【0065】
コルゲータ4はさらに、第2キャビティ10を有する複数の第2金型ブロック9(
図4)を備える。第2キャビティ10は、第1キャビティ7とは形状が異なる。
図4に示すように、第2キャビティ10は、波形ではなく滑らかな形状を有していてもよい。例えば第2キャビティ10を用いて、プラスチック製品2上にスリーブを成形してよい。したがって、第2金型ブロック9は、スリーブ金型ブロックとも呼んでよい。第2キャビティ10も同様に、中心軸8に対して回転対称になるように構成されていて、180°の円周角を有してよい。1対の第2金型ブロック9は、周方向に閉じた中空空間を形成する。中空空間は、2つの第2キャビティ10によって形成され、中心軸8に対して回転対称となるように構成されている。
【0066】
コルゲータ4はさらに、任意の数の第3金型ブロック11(
図5)を有してよい。第3金型ブロック11はそれぞれ、第3キャビティ12を備え、第3キャビティ12の形状は第1キャビティ7の形状および第2キャビティ10の形状とは異なる。例えば、滑らかなチューブ状の領域は、第3キャビティ12を用いてプラスチック製品2上に成形してよい。したがって、第3金型ブロック11は、滑らかなチューブ状の金型ブロックとも呼んでよい。第3キャビティ12も同様に、中心軸8に対して回転対称となるように構成されていて、180°の円周角を有する。1対の第3金型ブロック11は、2つの第3キャビティ12を用いて形成された周方向に閉じた中空空間を構成する。
【0067】
コルゲータ4は、任意の数の異なるタイプの金型ブロック6、9、11を有してよい。例えば、コルゲータ4は、4つ、5つ、またはそれ以上の異なるタイプの金型ブロック6、9、11を有することもできる。好ましくは、金型ブロック6、9、11は、金属材料、特にアルミニウム合金から形成される。金型ブロック6、9、11は冷却してよく、特に空冷、油冷または水冷してよい。このため、金型ブロック6、9、11に冷却ダクトを設けることができる。
【0068】
再び
図1に戻ると、コルゲータ4は、ガイドトラック13を備え、金型ブロック6、9、11がコルゲータ4の動作中にガイドトラック13に沿ってガイドされる。
図1の金型ブロック6、9、11はそれぞれ、空白あるいは異なる方法で塗りつぶした四角形として示されている。金型ブロック6、9、11は、ガイドトラック13の始動領域14から出口領域15に向かって、第1移動方向B13でガイドトラック13に沿って移動する。金型ブロック6、9、11はそれぞれ、コルゲータ4の動作中に、ガイドトラック13に沿って対をなしてガイドされる。これは、2つの第1金型ブロック6、2つの第2金型ブロック9または2つの第3金型ブロック11はそれぞれ、常に1対の金型ブロックを形成することを意味する。このため、金型6、9、11はそれぞれ、始動領域14に対をなして集められる。これは、第1金型ブロック6のうちの1つにはそれぞれ、第1金型ブロック6がさらに割り当てられることを意味し、第2金型ブロック9のうちの1つにはそれぞれ、第2金型ブロック9がさらに割り当てられることを意味し、そして、第3金型ブロック11のうちの1つにはそれぞれ、始動領域14の第3金型ブロック11がさらに割り当てられることを意味する。
【0069】
始動領域14の溶融プラスチック材料は、射出ヘッド5を用いて金型ブロック6、9、11の間の連続チューブとして計量され、例えば内側の圧縮空気を用いてそれぞれのキャビティ7、10、12に押し付けて、これによりプラスチック製品2を成形する。1対の金型ブロック6、9、11はそれぞれ、ガイドトラック13の出口領域15で再び互いに分離されている。ガイドトラック13は、ガイドレール、コンベアベルトまたは任意の搬送装置とすることができ、これらは、始動領域14から出口領域15に向かって第1移動方向B13で金型ブロック6、9、11を搬送するように規定されている。
【0070】
始動領域14には、2つの第1偏向装置16、17が設けられている。第1偏向装置16、17は、例えば歯車、ローラー、ガイドレールなどとして構成してよい。さらに出口領域15には、2つの第2偏向装置18、19が設けられている。駆動装置は、ガイドトラック13に沿って金型ブロック6、9、11を搬送するために設けることができる。駆動装置は、例えばピニオンとしてよい。ピニオンは、金型ブロック6、9、11に設けられた凹凸部に嵌め合いによって係合する。そして金型ブロック6、9、11は、駆動装置を用いてガイドトラック13に沿って第1移動方向B13で搬送される。
【0071】
コルゲータ4はさらに、2つの第1リターントラック20、21を備え、金型ブロック6、9、11がコルゲータ4の動作中に第1リターントラック20、21に沿って出口領域15から始動領域14に向かってガイドされる。ここで、第1リターントラック20、21に沿った金型ブロック6、9、11それぞれの移動方向B20、B21は、第1移動方向B13とは反対になるように向けられる。第1リターントラック20、21およびガイドトラック13は、互いに平行になるように配置されている。
図1から逸脱する方法により、第1リターントラック20、21はいずれも、コルゲータ4の動作中に互いに接触する金型ブロック6、9、11で完全に充填されていて、これにより、ガイドトラック13に割り当てられた駆動装置を用いて、金型ブロック6、9、11を第1リターントラック20、21に沿って搬送してよい。
【0072】
コルゲータ4はさらに、2つの第2リターントラック22、23を備える。2つの第2リターントラック22、23は、ガイドトラック13および2つの第1リターントラック20、21と平行になるように配置されている。それぞれの移動方向B22、B23は、第1移動方向B13とは反対になるように向けられる。コルゲータ4はさらに、2つの第3リターントラック24、25を有してよい。リターントラック20~25の数は任意である。それぞれの移動方向B24、B25は、第1移動方向B13とは反対になるように向けられる。しかしながらコルゲータ4は、少なくとも2つの第1リターントラック20、21および2つの第2リターントラック22、23を有する。
【0073】
第2リターントラック22、23および第3リターントラック24、25を用いて、個々の金型ブロック6、9、11をコルゲータ4の動作中に、それぞれの第1リターントラック20、21から押出可能であり、または、第1リターントラック20、21に挿入可能である。「押出」または「挿入」とはそれぞれ、第2リターントラック22、23および/または第3リターントラック24、25を用いて、個々の金型ブロック6、9、11を第1リターントラック20、21から回収してよく、または、第1リターントラック20、21に導入してよいことを理解されたい。ここで押出および挿入は、ガイドトラック13に沿った金型ブロック6、9、11の搬送を中断することなく行うことができる。
【0074】
第2リターントラック22、23および第3リターントラック24、25は、例えばコンベアベルトとして構成される。このコンベアベルトは、それぞれの金型ブロック6、9、11を対応する移動方向B22~B25に搬送するように規定されている。ここで移動方向B22~B25は、第1移動方向B13に平行かつ反対方向となるように向けられている。
【0075】
押出装置26、27はそれぞれ、第1リターントラック20、21から金型ブロック6、9、11を押し出すために設けてよい。各押出装置26、27には、押出部分28、29が割り当てられていて、この押出部分28、29を用いて、それぞれの押し出された金型ブロック6、9、11がそれぞれの第2リターントラック22、23に供給される。押出部分28、29はそれぞれ、それぞれの第1リターントラック20、21に対して角度αで傾斜している。押出装置26、27はさらに、押出部分30、31を備える。押出部分30、31は、押し出された金型ブロック6、9、11を第3リターントラック24、25に供給する。押出部分30、31はそれぞれ、第1リターントラック20、21に対して角度βで傾斜している。ここで角度βは、角度αよりも大きくしてよい。例えば角度αは10°~20°とすることができ、そして角度βは20°~30°としてよい。
【0076】
コルゲータ4はさらに、2つの挿入装置32、33を備える。この挿入装置32、33は、個々の金型ブロック6、9、11を、第2リターントラック22、23および/または第3リターントラック24、25から第1リターントラック20、21に選択的に挿入する。挿入装置32、33はそれぞれ、挿入部分34、35を備える。挿入部分34、35は、個々の金型ブロック6、9、11を第2リターントラック22、23から第1リターントラック20、21に供給する。挿入部分34、35はそれぞれ、第1リターントラック20、21に対して角度γで傾斜している。角度γは、角度αと等しくしてよい。角度α、γは、第1角度と呼んでよい。挿入装置32、33はさらに、挿入部分36、37を備える。挿入部分36、37は、金型ブロック6、9、11を第3リターントラック24、25から第1リターントラック20、21に供給する。挿入部分36、37はそれぞれ、第1リターントラック20、21に対して角度δで傾斜している。角度δは、角度βと等しくしてよい。角度β、δは、第2角度と呼んでよい。
【0077】
コルゲータ4はさらに、制御装置38と検出装置39とを備える。金型ブロックのタイプは、検出装置39を用いて検出することができる。これは、どのタイプの金型ブロック6、9、11がガイドトラック13にあるのか、またはリターントラック20~25にあるのかを検出装置39を用いてそれぞれ検出できることを意味する。このため、各金型ブロック6、9、11は、マーカー40(
図3~
図5)、特にRFIDマーカーを有してよい。
【0078】
以下、コルゲータ4の機能態様について説明する。コルゲータ4の動作中に偏向装置16、17を用いて、金型ブロック6、9、11は、第1ガイドトラック13の始動領域14に対をなして集められる。射出ヘッド5を用いて滑らかなチューブ状の形状とされ可塑化されたプラスチック材料は、閉じられた金型ブロック6、9、11の間で計量される。可塑化されたプラスチック材料は、圧縮空気を用いてキャビティ7、10の内壁に押し付けられる。これによりプラスチック製品2には、所望の形状が付与される。
【0079】
プラスチック材料は、第1ガイドトラック13に沿って第1移動方向B13で金型ブロック6、9、11が搬送される間に冷却され、ガイドトラック13の出口領域15でプラスチック材料がプラスチック製品2を離型できるまで冷却される。このため、対をなして配置された金型ブロック6、9、11は、出口領域15の偏向装置18、19を用いて互いに分離され、それぞれの第1リターントラック20、21に割り当てられる。金型ブロック6、9、11は、それぞれの第1リターントラック20、21に沿って移動方向B20、B21でガイドトラック13の始動領域14に再び供給される。
【0080】
完成したプラスチック製品2の所望の形状は、金型ブロック6、9、11の対応するシーケンスを用いて決定される。例えば1対の第2金型ブロック9の後には、2対の第1型ブロック6、1対の第3金型ブロック11および1対の第1金型ブロック6が続く。ここで、金型ブロック6、9、11のシーケンスは任意である。
【0081】
ここでガイドトラック13の金型ブロック6、9、11のシーケンスがコルゲータ4の動作中に変更される場合、個々の金型ブロック6、9、11は、第2リターントラック22、23を用いて、特にそれぞれの押出装置26、27を用いることにより、第1リターントラック20、21から押出可能である。これに応じて金型ブロック6、9、11のシーケンスが変更され、コルゲータ4の動作中にプラスチック製品2は、その形状を変更してよい。
【0082】
ここで追加の金型ブロック6、9、11が第1リターントラック20、21に挿入される場合、選択的に選択された金型ブロック6、9、11は、第2リターントラック22、23および特に挿入装置32、33を用いて第1リターントラック20、21に供給される。これにより、ガイドトラック13に沿った金型ブロック6、9、11のシーケンスは変更される。同じことが第3リターントラック24、25にも同様に当てはまる。ここで、一対のリターントラック20、21、22、23および24、25は、常に同期して動作し、これによって一致する対の金型ブロック6、9、11が常に始動領域14に集められる。
【0083】
金型ブロック6、9、11のタイプを検出するために、金型ブロック6、9、11は、マーカー40を有する。マーカー40は、既に上述したように検出装置39を用いて検出される。ここでコルゲータ4は、複数の検出装置39を有してよい。例えば、検出装置39または検出装置39は、押出装置26、27および/または挿入装置32、33に割り当てられる。制御装置38は、押出装置26、27および/または挿入装置32、33を作動させるように規定されていて、これにより、検出されたマーカー40に応じて、個々の金型ブロック6、9、11が第1リターントラック20、21から押し出され、または、第1リターントラック20、21に挿入される。
【0084】
図2に示すように、コルゲータ4はスライド部41を有してよい。スライド部41を用いることにより、リターントラック22~25のうちの1つに収容されているすべての金型ブロック6、9、11を回収することができる。そのため、金型ブロック6、9、11の変更は、コルゲータ4の動作中に行うことができる。コルゲータ4は、このタイプの複数のスライド部41を有してよい。
【0085】
図6は、コルゲータ4を操作する方法の一実施形態の概略ブロック図である。ステップS1において、金型ブロック6、9、11はそれぞれ、ガイドトラック13に沿って始動領域14から出口領域15に向かって対をなしてガイドされる。ここで、プラスチック製品2には所望の形状が付与されている。
【0086】
ステップS2において、金型ブロック6、9、11は、第1リターントラック20、21に沿って出口領域15から始動領域14に向かってガイドされる。ステップS3において、個々の金型ブロック6、9、11は、第1リターントラック20、22からリターントラック22~25のうちの1つに押し出される。代替的にまたは追加的にステップS4において、リターントラック22~25のうちの1つからの個々の金型ブロック6、9、11を、第1リターントラック20、21に挿入可能である。
【0087】
各ステップS1~S4において、検出装置39を用いてマーカー40を検出することができ、制御装置38を用いてそれぞれの押出装置26、27および/またはそれぞれの挿入装置32、33を作動させ、これにより、検出されたマーカー40に応じて個々の金型ブロック6、9、11を第1リターントラック20、21から押し出し、さらに/または、第1リターントラック20、21に挿入する。
【0088】
したがって、検出されたマーカー40に応じた金型ブロック6、9、11のシーケンスは、個々の金型ブロック6、9、11をリターントラック22~25のうちの1つから第1リターントラック20、21に押し出しまたは挿入することによって変更される。
【0089】
上述したコルゲータ4および方法は、以下の効果を有する。金型ブロック6、9、11を変更するために、または、ガイドトラック13に沿って金型ブロック6、9、11のシーケンスをそれぞれ変更するために、押出システム1を停止することを不要にできる。特に、押出システム1を停止させてこれを再編することなく、異なる長さおよび異なる形状のプラスチック製品2を製造することもできる。このため、金型の複雑さを著しく低くし、始動のロスをより少なくする。
【0090】
プラスチック製品2の形状は任意の方法で変更できるため、少量のプラスチック製品2でさえも迅速かつ容易に製造することができ、これにより在庫の複雑さが軽減される。プラスチック製品2の長さに切断した後の自動部品選別は、統合制御システムによって実行することができる。金型ブロック6、9、11の自動組立てによって、エラーソースをより少なくする。スライド部41を用いることによって、押出システム1の動作中に金型ブロック6、9、11を容易に交換できる。
【0091】
本発明を例示的な実施形態によって説明してきたが、本発明は多様な方法で修正してよい。
【符号の説明】
【0092】
1…押出システム、2…プラスチック製品、3…押出機、4…コルゲータ、5…射出ヘッド、6…金型ブロック、7…キャビティ、8…中心軸、9…金型ブロック、10…キャビティ、11…金型ブロック、12…キャビティ、13…ガイドトラック、14…始動領域、15…出口領域、16、17、18、19…偏向装置、20、21、22、23、24、25…リターントラック、26、27…押出装置、28、29、30、31…押出部、32、33…挿入装置、34、35、36、37…挿入部分、38…制御装置、39…検出装置、40…マーカー、41…スライド部、B13、B21、B22、B23、B24、B25…移動方向、S1、S2、S3、S4…ステップ、α、β、γ、δ…角度