(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220104BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20220104BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61L2/10
B62B3/00 F
B62B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021070429
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2021-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518019189
【氏名又は名称】株式会社JOIN PLANNING
(73)【特許権者】
【識別番号】510143125
【氏名又は名称】ニイヌマ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520342622
【氏名又は名称】ケイツーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大宮 康慎
(72)【発明者】
【氏名】堀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 修一
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3228722(JP,U)
【文献】特開2020-162716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
B62B 3/00-5/00
E04F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によってショッピングカートのグリップに取り付け及び取り外し
される箱形状の本体部と、
前記本体部に設けられ、かつ、前記グリップへ紫外線を照射する殺菌灯と、
を有
し、
前記本体部は、
天板と、
前記天板の平行な2辺に接続され、かつ、前記天板に対して垂直な前板及び後板と、
前記天板の他の平行な2辺に接続され、かつ、前記天板に対して垂直な2枚の側板と、
を備え、
前記前板と前記後板とが平行に配置され、かつ、前記2枚の側板が平行に配置され、
前記グリップに取り付けられた前記本体部を、前記グリップに対して前記ショッピングカートの前後方向に移動しないように保持する切り欠き部が、前記2枚の側板に設けられ、
前記殺菌灯は、前記本体部の内部において、前記前板と前記後板との間であり、かつ、前記2枚の側板の間に設けられ、
前記本体部は、利用者によって前記グリップが前記切り欠き部に進入されると前記グリップに取り付けられ、
前記本体部は、利用者によって前記グリップが前記切り欠き部から退出されると前記グリップから取り外される殺菌装置。
【請求項2】
請求項
1記載の殺菌装置において、
前記切り欠き部は、複数の前記ショッピングカートの前記グリップが
利用者によってそれぞれ進入及び退出
されるように、前記
2枚の側板の所定方向に沿ってそれぞれ複数設けられている殺菌装置。
【請求項3】
請求項1
または2記載の殺菌装置において、
前記本体部が前記グリップに取り付けられているか否かを検出する検出部と、
前記本体部が前記グリップに取り付けられていると、前記殺菌灯を点灯させ、前記本体部が前記グリップに取り付けられていなければ、前記殺菌灯を消灯させる制御部と、
が更に設けられている、殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショッピングカートを殺菌するための殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット等において買い物客によって使用されるショッピングカートは広く知られている。買い物客は、ショッピングカートに備えられたハンドルを握って該ショッピングカートの移動の操作を行うことができる。このようなショッピングカートは、スーパーマーケット等を訪れた複数の買い物客に共用されるものであって、該買い物客が握るハンドルにはウイルスや菌が付着し易くなる傾向がある。
【0003】
このような状況に対処するため、ショッピングカートを除菌することの可能な技術の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている除菌ブースは、ショッピングカートを収容するためのブース本体と、ブース本体の前方側に形成したショッピングカートを搬出するための搬出口と、ブース本体の後方側に形成したショッピングカートを搬入するための搬入口と、ブース本体の左右側方側及び上方側を被覆するカバーと、ショッピングカートを搬入口側から搬出口側へ搬送するためのショッピングカート搬送機構と、ブース本体の内部に設けた除菌剤を噴霧するための除菌剤噴霧器と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている除菌ブースは、ブース本体を設置するため、設備が大型化し、かつ、設備を設置するスペースが拡大する、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、ショッピングカートを殺菌するにあたり、大型化を抑制可能であり、かつ、設置スペースの拡大を抑制可能な殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の殺菌装置は、ショッピングカートのグリップに取り付け及び取り外しが可能な本体部と、前記本体部に設けられ、かつ、前記グリップへ紫外線を照射する殺菌灯と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、殺菌装置の大型化を抑制でき、かつ、殺菌装置の設置スペースの拡大を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】殺菌装置、3台のショッピングカート、コントロールボックスの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】1台のショッピングカートの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、殺菌装置をショッピングカートのグリップに載せた状態の背面図、(B)は、殺菌装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】(A)は、殺菌装置の側面図、(B)は、殺菌装置の平面図である。
【
図5】(A)は、コントロールボックスの正面図、(B)は、コントロールボックスの側面図である。
【
図6】殺菌装置及びコントロールボックスの制御系統を示すブロック図である。
【
図7】(A)は、殺菌装置の他の例を示す側面図、(B)は、
図7(A)の殺菌装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の内容に限定されない。
図1には、殺菌装置10、ショッピングカート11及びコントロールボックス12が示されている。まず、殺菌装置10によって殺菌されるショッピングカート11の概要を説明する。ショッピングカート11は、店舗、例えば、スーパーマーケット、ホームセンター等の敷地内に置かれ、店舗の利用者、店員等により移動される。
図2を参照して、1台のショッピングカート11の構成を説明する。
【0011】
ショッピングカート11は、本体フレーム13、支柱フレーム14、補強フレーム15、キャスター16、車輪17、かご支持フレーム18,19等を有する。本体フレーム13、支柱フレーム14、補強フレーム15、キャスター16、かご支持フレーム18,19は、一例として金属製である。本体フレーム13は、ショッピングカート11の平面視で、略U字形状に湾曲されている。2本の支柱フレーム14は、本体フレーム13の端部に固定され、かつ、上方に向けて延ばされている。キャスター16は、本体フレーム13に複数個、例えば2個取り付けられ、キャスター16が、2本の支柱フレーム14の下端にそれぞれ取り付けられている。さらに、全てのキャスター16に車輪17がそれぞれ取り付けられている。車輪17は、床に接触した状態で転動可能である。
【0012】
2本のかご支持フレーム18,19は、ショッピングカート11の平面視でU字形に湾曲され、2本のかご支持フレーム18,19の両端は、それぞれ支柱フレーム14に固定されている。かご支持フレーム18は、かご支持フレーム19より上に設けられている。かご支持フレーム18は、略水平に設けられている。かご支持フレーム19は、支柱フレーム14に近づくことに伴い、高さが低くなるように傾斜されている。ショッピングカート11を
図3(A)のように後方から見ると、2本の支柱フレーム14は、略平行に設けられている。
【0013】
2本の支柱フレーム14の上端に、略水平に延ばされたグリップ20がそれぞれ設けられている。グリップ20は、かご支持フレーム18よりも上に設けられている。グリップ20は、2本の支柱フレーム14の上端から、互いに近づく向きで、かつ、略水平に突出されている。
図4(B)に示すショッピングカート11の平面視で、グリップ20が支柱フレーム14から突出されている方向は、前後方向A1に対して略直角な方向である。なお、2つのグリップ20のうち、ショッピングカート11の後方に利用者が立つと仮定し、利用者から見て右側に位置するものをグリップ20Aと定義し、利用者から見て左側に位置するものをグリップ20Bと定義する。
【0014】
2つのグリップ20には、カバー21がそれぞれ取り付けられている。カバー21は、筒形状であり、かつ、合成樹脂製、合成ゴム製、スポンジ製等である。カバー21は、ショッピングカート11を移動させる場合に、人が手で握る部位(箇所)である。1台のショッピングカート11に設けられている2つのカバー21は、離間されている。2つのカバー21は、同じ高さに位置する。
【0015】
店舗の所定の場所にショッピングカート11を置く場合、例えば、
図1のように、複数のショッピングカート11が前後方向A1に重ねられた状態を1列として置かれる。
図1は、3台のショッピングカート11が前後方向に重ねられた状態を示している。3台のショッピングカート11のグリップ20のカバー21は、ショッピングカート11が並べられた方向に1列に並べられ、かつ、全てのカバー21は、略同じ高さに配置される。
【0016】
殺菌装置10は、グリップ20及びカバー21を殺菌するための装置であり、複数台のショッピングカート11のグリップ20及びカバー21を、一括して除菌可能である。殺菌装置10は、グリップ20に対して取り付け及び取り外しが可能である。殺菌装置10は、
図3(B)、
図4(A)、
図4(B)のように、本体部22、殺菌灯23,24,25,26,27,28を有する。殺菌灯23,24,25,26,27,28は、殺菌作用を奏する光源として発光ダイオード(LED(light emitting diode))である。この発光ダイオードは、例えば、275nm付近の波長域に主発光ピークを有する紫外線を放射する発光チップを備える。本開示の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、紫外線(UV(ultraviolet))によってウイルスを不活性化するものである。紫外線は、薬剤のように残留するものがなく、安全性において優れている。また、紫外線はウイルスのデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を破壊すると言われ、薬剤殺菌と違い耐性菌を作らないという利点もある。
【0017】
本体部22は、天板29、前板30、後板31、2枚の側板32,33を有する。天板29、前板30、後板31、2枚の側板32,33は、紫外線を遮断する機能を有する材料(材質)によって構成されているか、または、天板29、前板30、後板31、2枚の側板32,33の内面に、紫外線を遮断する機能を有する材料が設けられている。紫外線を遮断する機能を有する材料は、例えば、少なくとも殺菌波長領域(UVC領域)のエネルギーの紫外線を透過可能な基材(ガラスや樹脂など)である。この基材に、殺菌波長領域(UVC領域)の紫外線を遮断する例えば、少なくともUVC領域の波長)をカットする板状のパネルまたはフィルタを重ねて構成されている。また、紫外線を遮断する機能を有する材料は、殺菌波長領域(UVC領域)の紫外線を遮断するUVカット材料を含むガラス等の透明部材(例えば、UVカットガラス)であってもよい。さらに、天板29、前板30、後板31、2枚の側板32,33の内面に、紫外線を反射するアルミ箔等が張り付けられていてもよい。
【0018】
天板29は、平面形状が略四角形であり、天板29の平行な2辺に前板30及び後板31が接続され、天板29の平行な他の2辺に2枚の側板32,33が接続されている。前板30、後板31、2枚の側板32は、天板29に対して略垂直であり、本体部22は、略箱形状を有する。グリップ34が天板29に取り付けられている。グリップ34は、人が手で握る箇所であり、グリップ34は、本体部22の外部に設けられている。前板30と後板31とが略平行に配置され、2枚の側板32,33は互いに略平行である。
【0019】
2枚の側板32,33は、前板30と後板31との間に間隔をおいて設けた3か所の切り欠き部35,36,37をそれぞれ有する。切り欠き部36は、切り欠き部35と切り欠き部37の間に設けられ、切り欠き部35は、切り欠き部36と前板30との間に設けられている。切り欠き部37は、切り欠き部36と後板31との間に設けられている。6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、本体部22の内部に設けられている。殺菌灯23は前板30と切り欠き部35との間に設けられ、殺菌灯24,25は切り欠き部35と切り欠き部36との間に設けられている。殺菌灯26,27は切り欠き部36と切り欠き部37との間に設けられ、殺菌灯28は切り欠き部37と後板31との間に設けられている。
【0020】
6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、図示しないホルダによってそれぞれ支持されている。6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、何れも円柱形状であり、6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、互いに略平行に配置され、かつ、前板30及び後板31と平行に配置されている。3か所の切り欠き部35,36,37は、本体部22の所定方向B1に間隔をおいて設けられている。所定方向B1は、
図4(B)のような殺菌装置10の平面視で、6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28の長手方向(中心線)に対して略直角な方向である。
図4(B)のように、ショッピングカート11及び殺菌装置10を平面視すると、本体部22の幅L1は、支柱フレーム14と支柱フレーム14との間の距離L2未満である。幅L1は、所定方向B1に対して略直角な方向である。
【0021】
また、本体部22の内部にカバー38が設けられ、カバー38は6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28をそれぞれ覆っている。カバー38は、本体部22の前板30と後板31との間において、切り欠き部35,36,37が設けられている範囲外に設けられている。カバー38は、何れも紫外線が透過可能な材質(材料)、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、塩化ビニル樹脂製である。さらに、
図4(A)のように、本体部22の内部に装着センサ39が設けられている。装着センサ39は、
図1のように、本体部22がグリップ20に載せられているか否かを検出して信号を出力する。装着センサ39は、接触形センサまたは非接触形センサの何れでもよい。接触形センサは、圧力センサ、タクタイルスイッチ等を含む。非接触形センサは、光学センサ、磁気センサ等を含む。なお、殺菌装置10の質量は、2kg以下であり、利用者が片手で持った場合の負担は少ない。
【0022】
さらに、6本の殺菌灯23,24,25,26,27,28は、
図1のように、電力ケーブル40に接続され、電力ケーブル40は、本体部22の内部及び外部に亘って取り回されている。電力ケーブル40は、コントロールボックス12に接続されている。コントロールボックス12は、電力ケーブル41によって電源54に接続される。電源54の電圧は、例えば100Vである。
【0023】
コントロールボックス12は、本体42を有し、本体42はフレーム43によって支持されている。フレーム43は、例えば金属製であり、複数のキャスタ44がフレーム43に取り付けられている。キャスタ44には車輪45が取り付けられている。車輪45は、床に接地されて転動可能である。フレーム43は、略水平に設けられたグリップ51を有する。利用者は、グリップ51を手で掴んでコントロールボックス12を移動可能である。
【0024】
本体42の内部には、
図6に示すコンピュータ53及びスイッチ回路55が設けられている。コンピュータ53は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理装置、タイマー、記憶装置等を有する。スイッチ回路55は、電力ケーブル40と電力ケーブル41とを電気的に接続及び遮断するものである。また、
図5(A)、
図5(B)のように、電源スイッチ46、運転ボタン47、緊急停止ボタン48、表示灯49、ポップ用板50、出力部52が、本体42に設けられている。
【0025】
電源スイッチ46は、コントロールボックス12を起動及び停止させるためのものであり、人によって操作される。運転ボタン47は、殺菌灯23,24,25,26,27,28を点灯させる場合に利用者が操作するものである。緊急停止ボタン48は、電源スイッチ46が操作されてコントロールボックス12を起動させている状態で人により操作され、かつ、強制的にコントロールボックス12を停止せるものである。表示灯49は、殺菌灯23,24,25,26,27,28の点灯・消灯を本体部22の外部から確認するために設けられている。表示灯49は、切り欠き部35に対応する殺菌灯23,24、切り欠き部36に対応する殺菌灯25,26、切り欠き部37に対応する殺菌灯27,28毎に点灯及び消灯を表示可能である。
【0026】
出力部52は、ランプ及びブザーによって構成されており、殺菌装置10による殺菌処理が完了したことを利用者に知らせる。運転ボタン47の操作信号、装着センサ39の信号が、コンピュータ53に入力される。コンピュータ53は、スイッチ回路55のオン及びオフを制御し、表示灯49の点灯・消灯を制御し、出力部52を制御する。なお、運転ボタン47は、本体42に代えて、グリップ34に設けられていてもよい。
【0027】
本開示の殺菌装置10の使用例は、次の通りである。まず、電源スイッチ46がオンされると、コントロールボックス12が起動される。利用者は、グリップ34を手で掴み、殺菌装置10を3台のショッピングカート11に載せる。すると、グリップ20またはカバー21が、本体部22の側板32,33に接触し、殺菌装置10は、3台のショッピングカート11のグリップ20によって支持される。
【0028】
具体的に説明すると、
図1で左端に位置するショッピングカート11(11A)のグリップ20は、
図4(A)のように切り欠き部35に進入して停止する。
図1で中央に位置するショッピングカート11(11B)のグリップ20は、切り欠き部36に進入して停止する。
図1で右端に位置するショッピングカート11(11C)のグリップ20は、切り欠き部37に進入して停止する。
【0029】
つまり、殺菌装置10は、3台のショッピングカート11のグリップ20により、ショッピングカート11の前後方向A1において、位置が異なる3箇所で支持される。このため、利用者がグリップ34から手を離して、殺菌装置10は、3台のショッピングカート11のグリップ20から落下しない。また、装着センサ39は、グリップ2またはカバー21を検出することより、殺菌装置10がグリップ20に載せられたものとして信号を出力する。さらに、グリップ20と本体部22とが接触することで、本体部22がグリップ20に対して前後方向A1に位置決めされる。
【0030】
運転ボタン47が操作されていない場合、コンピュータ53はスイッチ回路55をオフさせており、殺菌灯23,24,25,26,27,28は消灯している。利用者が運転ボタン47を操作すると、コンピュータ53がスイッチ回路55をオンさせ、殺菌灯23,24,25,26,27,28に電圧が印加されて点灯し、かつ、表示灯49を点灯させる。殺菌灯23,24から左端のショッピングカート11のグリップ20及びカバー21に対して、紫外線が近距離で照射される。殺菌灯25,26から中央のショッピングカート11のグリップ20及びカバー21に対して、紫外線が近距離で照射される。殺菌灯27,28から右端のショッピングカート11のグリップ20及びカバー21に対して、紫外線が近距離で照射される。
【0031】
コントロールボックス12は、殺菌灯23,24,25,26,27,28を点灯させた時点から所定時間、例えば、15秒から30秒が経過すると、殺菌灯23,24,25,26,27,28を消灯させ、かつ、表示灯49を消灯させる。殺菌装置10を1回利用した場合の消費電力は、240Wである。殺菌灯23,24,25,26,27,28の点灯により、3台のショッピングカート11のグリップ20及びカバー21を、一括して殺菌(除菌)可能である。菌灯23,24,25,26,27,28による殺菌率は、例えば、99%である。コントロールボックス12は、グリップ20及びカバー21の殺菌が完了したことを、ランプまたは音声により出力する出力部を有する。
【0032】
グリップ20及びカバー21の殺菌が完了すると、利用者は運転ボタン47をオフする。また、グリップ34を手で掴んで殺菌装置10を持ち上げ、殺菌装置10を所定の場所、例えば、コントロールボックス12の本体42の上面へ置く。なお、コンピュータ53は、装着センサ39がグリップ20またはカバー21を検出していない状態で、運転ボタン47が操作された場合、スイッチ回路55をオフに維持する。したがって、殺菌灯23,24,25,26,27,28を消灯されている。
【0033】
本実施形態の殺菌装置10は、利用者が片手で持ち、かつ、ショッピングカート11のグリップ20及びカバー21を殺菌装置10で殺菌処理することができる。したがって、ショッピングカート11の全体を収容するゲート、ブース等の大型設備が不要であり、かつ、省スペース化を図ることができる。また、ショッピングカート11をゲート、ブース等へ出し入れする作業が不要であり、店舗側の負担を軽減できる。さらに、コントロールボックス12は車輪45によって床上で移動可能であるため、殺菌装置10を利用する場所が制限されず、便利である。さらに、店舗の利用者は、自分がショッピングカート11を利用する直前に、殺菌装置10でグリップ20を殺菌することが可能であり、衛生面での信頼度及び安心度が増す。
【0034】
次に、殺菌装置10の他の例を、
図2、
図7(A)、
図7(B)、
図8を参照して説明する。殺菌装置10は、
図2のように、1台のショッピングカート11のグリップ20を殺菌するものである。殺菌装置10の本体部22は、切り欠き部35を有し、前述した切り欠き部36,37を備えていない。また、本体部22の内部には、殺菌灯23,24が設けられており、前述した殺菌灯25,26,27,28を備えていない。また、
図8のように、運転ボタン47及び出力部52は、本体部22に設けられている。グリップ34はアーチ形状であり、殺菌灯23,24の長さ方向に沿って設けられている。
【0035】
利用者は、グリップ34を手で握り、かつ、殺菌装置10を
図2のように1台のショッピングカート11のグリップ20に載せる。利用者が運転ボタン47を操作すると、コンピュータ53がスイッチ回路55をオンさせ、殺菌灯23,24が点灯される。殺菌灯23,24から照射される紫外線により、グリップ20及びカバー21が殺菌される。コンピュータ53は、殺菌灯23,24が点灯されてから所定時間、例えば、3秒から5秒が経過すると、スイッチ回路55をオフし、殺菌灯23,24を消灯させる。また、コンピュータ53は、グリップ20及びカバー21の殺菌が完了したことを、本体部22の出力部52から出力する。
図2、
図7(A)、
図7(B)、
図8に示す殺菌装置10も、前述した殺菌装置10と同様の効果を得ることができる。なお、殺菌装置10は店舗の従業員が使用してもよい。
【0036】
(補足説明)
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。殺菌装置10は、殺菌装置の一例である。グリップ20及びカバー21は、グリップの一例である。つまり、殺菌灯から紫外線が照射されるグリップは、グリップ自体に加え、グリップに取り付けられているカバー、クッション材等を含む。殺菌灯24,25,26,27,28は、殺菌灯の一例である。本体部22は、本体部の一例である。本体部は、殺菌灯を支持する要素であり、本体部は、ケーシング、ハウジング、ブラケット等を含む。切り欠き部35,36,37は、位置決め部の一例である。所定方向B1は、所定方向の一例である。
【0037】
殺菌装置10がグリップ20で支持され、かつ、
図4(B)のように殺菌装置10を平面視すると、前後方向A1と所定方向B1とが同じ方向である。位置決め部は、グリップが進入及び退出可能な構成であればよく、位置決め部は、切り欠き部の他、凹部、くぼみ等を含む。装着センサ39及びコンピュータ53は、検出部の一例である。コンピュータ53及びスイッチ回路55は、制御部の一例である。検出部及び制御部は、単数または複数の電気部品または電子部品により構成される。
【0038】
本実施形態で説明した殺菌装置は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、切り欠き部は、所定方向B1において、位置が異なる2箇所に設けられていてもよいし、位置が異なる4箇所以上に切り欠き部が設けられていてもよい。検出部及び制御部は、プロセッサ、モジュール等により構成されていてもよい。電源は、交流電源または直流電源の何れでもよい。電源が直流電源である場合、直流電源は、本体42に設けられていてもよい。直流電源は、一次電池または二次電池の何れでもよい。
【0039】
さらに、コントロールボックス12と同様の機能を有する装置が小型化されて、殺菌装置10の本体部22に設けられていてもよい。なお、殺菌装置は、ショッピングカートのグリップが、左右方向に一体化されているものに載せて使用することも可能である。さらに、殺菌装置がショッピングカートのグリップに載せられ、かつ、ショッピングカートを平面視した状態で、殺菌灯の中心線がショッピングカートの前後方向に対して交差する方向に位置するように、殺菌灯が本体部に取り付けられていてもよい。さらに、殺菌灯の形状は、棒形状に限らず円形、チップ形等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示の殺菌装置は、スーパーマーケット、ホームセンター等の店舗において、ショッピングカートのグリップを殺菌することに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…殺菌装置、20…グリップ、21…カバー、22…本体部、24,25,26,27,28…殺菌灯、35,36,37…切り欠き部、39…装着センサ、53…コンピュータ、55…スイッチ回路、B1…所定方向
【要約】
【課題】ショッピングカートのグリップを殺菌するにあたり、大型化を抑制可能であり、かつ、設置スペースの拡大を抑制可能な殺菌装置を提供する。
【解決手段】ショッピングカート11のグリップ20に取り付け及び取り外しが可能な本体部22と、本体部22に設けられ、かつ、グリップ20に対して紫外線を照射する殺菌灯24,25,26,27,28と、を有する殺菌装置10を設けた。本体部22にグリップが設けられていると、利用者はグリップ34を手で握って殺菌装置10を取り扱うことができる。
【選択図】
図4