(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】超音波撮像装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/06 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61B8/06 ZDM
(21)【出願番号】P 2018040908
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 玲衣
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-002379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を、送信間隔を異ならせて複数回送信する超音波送信部と、前記超音波送信部から照射され、被検体から反射した超音波を受信する超音波受信部と、前記複数回の送信に対応して、前記超音波受信部が受信した複数の受信信号を処理し、前記被検体の血流情報を算出する血流演算部と、を備え、
前記血流演算部は、前記複数の受信信号のうち、同一送信間隔の超音波からの受信信号の組を、複数種類の送信間隔について、それぞれ選択するデータ選択部と、前記データ選択部が選択した複数種類の受信信号の組を用いて、折り返しのない血流速度を算出する血流速度算出部とを備え、
前記データ選択部は、前記複数種類の受信信号の組の少なくとも一つとして、
前記複数の受信信号を受信時間順に並べたときに、順序が不連続となる受信信号の組を選択することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
前記血流速度算出部は、送信間隔が同一で時間的に連続する受信信号の組と、
順序が不連続となる受信信号の組とを用いて、折り返しのない血流速度を算出することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
超音波の送信及び受信のタイミングを制御する送受シーケンス制御部をさらに備え、
前記送受シーケンス制御部は、前記複数回の送信において、前記時間的に連続する受信信号の組と、
前記順序が不連続となる受信信号の組とが、同数になるように複数種類の送信間隔を制御することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
超音波の送信及び受信のタイミングを制御する送受シーケンス制御部をさらに備え、
前記送受シーケンス制御部は、前記複数回の送信において、複数種類の送信間隔を所定の規則で配置することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
超音波の送信及び受信のタイミングを制御する送受シーケンス制御部をさらに備え、
前記送受シーケンス制御部は、複数の走査方向の超音波それぞれについて、複数回の送信における超音波の送信間隔を独立に制御することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、
前記複数の走査方向のうち隣接する走査方向の超音波は、複数種類の送信間隔の組み合わせは同じであって、送信タイミングが異なることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、
前記血流演算部は、隣接する走査方向の超音波からそれぞれ得られる受信信号を用いて算出した血流情報を平均化する平均化部をさらに備えることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
前記血流演算部が算出した血流情報と、計測可能な速度レンジとを表示装置に表示させる表示画像生成部をさらに備え、
前記表示画像生成部は、前記血流速度算出部が血流速度の算出に用いる受信信号の組の送信間隔に応じて、前記表示装置に表示させる速度レンジの表示を変更することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波撮像装置であって、
前記表示画像生成部は、速度レンジを階調バーで表示し、血流速度の算出に用いた送信間隔に応じて、前記階調バーの長さ或いは階調の変化度を変更することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項10】
超音波を、送信間隔を異ならせて複数回送信する超音波送信部と、前記超音波送信部から照射され、被検体から反射した超音波を受信する超音波受信部と、前記複数回の送信に対応して、異なる間隔で前記超音波受信部が受信した複数の受信信号を処理し、前記被検体の血流情報を算出する血流演算部と、を備え、
前記血流演算部は、受信信号間の位相差を用いて血流速度を算出する血流速度算出部を備え、前記血流速度算出部は、前記位相差として、連続して受信した受信信号間の位相差と、連続していない受信信号間の位相差と、を用いて、折り返しなし血流速度を算出することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項11】
送信間隔を異ならせて複数回、超音波を送信し、送信方向の所定位置から反射した超音波を受信信号として受信し、受信信号間の位相差を用いて血流速度を算出する方法であって、
前記位相差を算出する際に用いる受信信号の組は、時間的に連続する受信信号の組と、不連続な受信信号の組とを含むことを特徴とする超音波撮像方法。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波撮像方法であって、
前記時間的に隣接する受信信号の組と、前記不連続な受信信号の組とが、同数となるように、前記複数回の送信を行うことを特徴とする超音波撮像方法。
【請求項13】
請求項11に記載の超音波撮像方法であって、
走査方向ごとに、送信間隔を独立に制御することを特徴とする超音波撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の血流情報を取得する超音波撮像装置に関し、特に広いダイナミックレンジの血流速度情報を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像装置において、血流情報を取得する手法としてカラードプラ法が知られている。カラードプラ法では、超音波を同一方向に所定の繰り返し時間(PRT:Pulse Repetition Time)で複数回送信し、各回の超音波に対応して計測領域から受信した受信信号に対し周波数解析を行い、血流情報を得る。周波数解析では、例えば、時間的に隣接する受信信号間の位相差(ドプラシフト量)を求め、位相差の自己相関演算により、ドプラシフト量を求め、血流速度(ドプラ速度)を算出する。血流情報を取得する演算では、通常、パケットと呼ばれる複数の受信信号からなるデータ列から取得した複数の位相差を平均化して用いる。従って、カラードプラ法のフレームレートは、パケットサイズに依存し、パケットサイズが多いほどフレームレートが低下する。
【0003】
上述したカラードプラ法で得られる血流速度は、PRTの逆数である繰り返し周波数(PRF:PulseRepetition Frequency)の制約を受ける。すなわち、PRFよりも周波数の高い速度は、位相差を求めたときに、位相の折り返し(エリアシング)を生じるため周波数の低い速度と識別できない、その結果、検出可能な血流速度のダイナミックレンジが低下するという問題がある。
【0004】
この問題に対し、PRTの異なる送信を行い、複数のPRFの受信信号を用いて血流速度のダイナミックレンジを拡大する手法(以下、不均等間隔送信法と呼ぶ)が提案されている(非特許文献1、特許文献1)。この方法では、例えば、異なる送信間隔(PRT1、PRT2)を交互に組み合わせた送信シーケンスで超音波を送信し、PRT1の受信信号の組とPRT2の受信信号の組とを用いて、それぞれの位相差とPRFの比との関係性から、位相の折り返し数を推定し、折り返しのないドプラ速度(折り返しなし速度という)を推定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,VOL.35、NO.6,pp1510-1521、2016
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の不均等間隔送信法では、複数の異なるPRFで送受信を行う必要があるため、同じパケットサイズで等間隔送信をする場合(以下、等間隔送信法という)に比べ、少なくとも2倍の送受信回数が必要となり、フレームレートの大きな劣化を招く、血流速度の時間分解能が低下するという問題がある。
【0008】
フレームレート低下を防止するために、特許文献1では、異なる走査線上の送受信を互い違いに行う手法(ターボ送信)を取り入れているが、この手法では、隣接する走査線の送信間隔を、受信可能な時間を考慮してずらす必要があるため、一つの走査線情報を得るために従来の等間隔送信法と比較して最低でも4倍かかる。すなわち、描出される血流速度の時間分解能は1/4に劣化する。
【0009】
本発明は上記課題を解決し、フレームレートや時間分解能の劣化を抑制し、且つ広い範囲の血流速度を推定可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の超音波撮像装置は、不均等間隔送信法を基本として、一つの送信方向について、複数回の送信により得られる複数の受信信号のうち、信号間の間隔(PRT)が時間方向に重なり合う受信信号の組み合わせを用いて、血流速度算出を行う。
【0011】
すなわち本発明の超音波撮像装置は、超音波を、送信間隔を異ならせて複数回送信する超音波送信部と、前記超音波送信部から照射され、被検体から反射した超音波を受信する超音波受信部と、前記複数回の送信に対応して、前記超音波受信部が受信した複数の受信信号を処理し、前記被検体の血流情報を算出する血流演算部と、を備え、前記血流演算部は、前記複数の受信信号のうち、同一送信間隔の超音波からの受信信号の組を、複数種類の送信間隔について、それぞれ選択するデータ選択部と、前記データ選択部が選択した複数種類の受信信号の組を用いて、折り返しのない血流速度を算出する血流速度算出部とを備え、前記データ選択部は、前記複数種類の受信信号の組の少なくとも一つとして、時間的に不連続な受信信号の組を選択する。
【発明の効果】
【0012】
複数種類のPRTのうち、少なくとも一つのPRTの受信信号の組と、時間的に不連続な受信信号の組と、を用いることにより、異なるPRTの信号間位相差を用いた血流算出が可能となるため、不均等間隔送信法と同様に推定可能な血流速度のダイナミックを広げることができる。また、時間的に不連続な受信信号の組を選択することで、同じPRFで、信号間の間隔を時間方向に重複させることができるので、従来の不均等間隔送信法に比べフレームレートを短くすることができる。さらに、血流速度の時間分解能は、一つの走査線の情報を取得するのに必要な時間に依存するが、本発明では、従来法に比べ一つの走査線あたりの受信時間を短くできるので、従来の不均等間隔送信法に比べ血流速度の時間分解能を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の超音波撮像装置の一実施形態の全体構成を示す図。
【
図2A】
図1の超音波撮像装置の血流演算部の構成とデータの流れを示す図。
【
図3】第一実施形態の超音波撮像装置によるドプラ撮像処理の流れを示す図。
【
図4】(a)、(b)は従来の超音波送受シーケンスを示す図で、(a)は従来の等間隔送信法、(b)は従来の不均等間隔送信法を示す。
【
図6】本発明の超音波撮像装置における表示の実施形態を示す図で、(a)は通常モード時の表示、(b)、(c)はそれぞれ折り返し回避モード選択時の表示を示す図。
【
図7】第一実施形態の撮像方法と従来法と比較する表を示す図。
【
図8】(a)、(b)は、第一実施形態及び従来法の速度推定シミュレーション結果を示す図。
【
図9】(a)は
図5の送受シーケンスと同じ送受シーケンス、(b)、(c)は、それぞれ、その変形例を示す図。
【
図10】第二実施形態の血流演算部の構成を示す図。
【
図11】第二実施形態の送受シーケンスの一例を示す図。
【
図12】第二実施形態の送受シーケンスの他の例を示す図。
【
図13】クラッタフィルタの周波数特性を示す図で、(a)は送受シーケンスによる違いを示す図、(b)は走査線によって異なる制御をした場合の周波数特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の超音波撮像装置及び撮像方法の実施形態を説明する。
【0015】
<超音波撮像装置の実施形態>
一般に超音波撮像装置100は、
図1に示すように、被検体10に接触して、超音波を送受信する超音波プローブ20が接続される送受信回路30と、送受信のタイミング等の制御を行う送受シーケンス制御部40と、受信した信号を用いてドプラ演算や断層画像演算を行う信号処理部50と、表示装置に表示する画像を生成する表示画像生成部60と、を備えている。
【0016】
また超音波撮像装置100は、ユーザーが撮像や制御に必要な数値や情報を入力するための入力部70及び表示画像生成部60が生成した画像を表示する表示部(表示装置)80を備えることができる。
【0017】
超音波プローブ20は、複数のトランスデューサ(振動子)を一次元方向或いは二次元方向に配列した装置で、送受信回路30からの電気信号を超音波信号として被検体10に照射するとともに、被検体10からの反射波であるエコー信号を検出する。
【0018】
送受信回路30は、所定の周波数の信号を発生する発振器を備え、所定の走査方式で超音波探触子に駆動信号を送る送信回路(超音波送信部)と、超音波探触子によって受信されたエコー信号に対し整相加算、検波、増幅などの信号処理を行う受信回路(超音波受信部)と、を備える。送信回路は、超音波プローブの各振動子に別個の遅延時間を与え、超音波ビームに指向性を与える送信ビームフォーマ31を備え、また受信回路は各振動子に受波された信号に遅延時間を与えて加算する受信ビームフォーマ(整相加算部)32を備えた構成とすることができる。ビームフォーミング後に受信回路から出力される受信信号は、血流速度に依存する周波数成分を持つRF(Radio Frequency)信号であり、A/D変換されたデジタル信号として信号処理部50に入力される。なおRF信号をデジタル化するA/D変換器は受信回路内に備えていてもよいし、受信回路の後段に備えていてもよい。
【0019】
送受シーケンス制御部40は、入力部70が受け付けた撮像条件やスキャン条件に基づき送受信回路30の動作を制御する。撮像法としては、2次元的な断面を撮像する平面的撮像方法と、3次元的な領域を撮像する立体的撮像方法があり、本実施形態はいずれも採用できる。またスキャン方式は連続波を用いる方式やパルス波を用いる方式があり、特に、カラードプラ法においては、送受信回路30に対し複数の超音波送受条件を採用した超音波の送受信制御(ドプラ送受シーケンス制御)を行う。
【0020】
またカラードプラ法において、複数の計測モードがある場合には、設定された計測モードで送受信回路30や信号処理部50が動作するよう制御する。計測モードとしては、例えば、折り返し演算を行う計測モード(折り返し回避モード)と、このような演算を行わない計測モード(通常計測モード)がある。計測モードの選択は、例えば、入力部70(GUIを含む)に折り返し回避モードを選択するスイッチ或いはボタン等の操作具71を設け、ユーザーが操作具71を操作することで発生する電気信号を送受シーケンス制御部40が受け付けることにより行われる。
【0021】
信号処理部50は、受信回路で受信した信号(デジタルRF信号)を処理し、超音波断層画像の作成と、血流速度の演算とを行う。このため、信号処理部50は、RF信号を断層画像作成用の信号と血流速度演算用の信号とに振り分ける信号振り分け部51、Bモード像などの断層像を生成する断層画像演算部53、及び、ドプラ速度等の血流情報を推定或いは算出する血流演算部55を備える。血流演算部55は、折り返しなし速度を算出するのに用いる信号の組を選択するデータ選択部553や血流速度算出部555などを備える。
【0022】
血流演算部55の一例を
図2Aに示す。図示する例では、血流演算部55は、RF信号を実部と虚部とからなるIQ信号に変換する直交検波部551、血流以外の静止組織からの信号を除去するクラッタフィルタ552、クラッタフィルタ552を通過した後のIQ信号をPRFによって振り分けるPRF振り分け部(データ選択部)553、PRFごとに振り分けられた信号を用いてドプラ速度、パワー、分散などを求める演算を行うドプラ処理部554、及び各ドプラ処理部554の処理結果を用いて折り返し無し速度を算出する折り返し計算部556を備えている。この例では、ドプラ処理部554及び折り返し計算部556が、
図1の血流速度算出部555を構成している。
【0023】
ドプラ処理部554は、さらに
図2Bに示すように、自己相関法により血流速度を推定する速度推定器5541、パワー演算器5542、分散推定器5543、速度推定器5541の出力をパワー演算器5542が算出したパワーを用いて補正する後処理部5544などを備えている。
【0024】
なお
図2Aでは、ドプラ処理部554がPRF振り分け部553の後段に並列で複数備えられている構成を示したが、単一のドプラ処理部554がPRF振り分け部553で振り分けられた信号をシーケンシャルに処理することも可能である。
【0025】
上述した信号処理部50の機能の一部又は全部は、計算機のCPU(Central Processing Unit)が機能部毎の演算アルゴリズムを含むプログラムを読み込んで実行することで実現してもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0026】
表示部80は、表示画像生成部60が生成した画像の表示のほか、入力部として機能するGUI等を表示することも可能である。表示部80には、設定された撮像条件やデフォルトで設定されている撮像条件や撮像のガイドとなる情報や画像等も表示される。例えば、カラードプラでは、設定されたPRFやそのPRFにおいて計測可能な速度レンジなどを表示する構成としてもよい。
【0027】
次に上述した超音波撮像装置を用いたドプラ撮像の実施形態を説明する。
【0028】
<第一実施形態>
本実施形態では、血流演算部55のPRF振り分け部(データ選択部)553は、前記複数種類の受信信号の組として、時間的に隣接する受信信号の組と、時間的に不連続な受信信号の組とを選択する。これら受信信号の組は、PRFが異なるので、複数種類のPRFを用いた不均等間隔送信法による折り返しなし速度の算出が可能となる。
【0029】
以下、
図3を参照して本実施形態を説明する。
ドプラ撮像が開始され、ユーザーが入力部70の折り返し回避モードボタン71が操作すると(S301)、それを受けて、送受シーケンス制御部40は、送受シーケンスを予め設定された複数のPRTを組み合わせた不均等間隔送信に切り替え(S302)を開始する(S303)。これにより送信回路31及び超音波プローブ20による不均等間隔の超音波送信と、受信回路32による受信が開始される。
【0030】
送受シーケンスは、
図4に示すように、同一の送信方向について、送信パルスを送るタイミングと、その送信パルスによって所定の深度(計測領域)から生じる反射波である受信信号を受信するタイミングとを設定したものであり、Tx1、Tx2・・・は送信に必要な時間、Rx1、Rx2・・・は受信に必要な時間である。送信に必要な時間(Tx1、Tx2・・・)は送信波形の波長によって決まり一定である。受信に必要な時間(Rx1、Rx2・・・)はデータの受信深度によって決まり、一定である。なお複数回の送信によって所定の深度から得られる受信信号からなるデータ列をパケットという。またPRTは、Tx(i-1)とTx(i)(iは2以上の整数)との間隔であり、等間隔送信の場合は、
図4(a)に示すように、単一のPRTで送信を繰り返す。不均等間隔送信の場合は、
図4(b)に示すように、複数種類のPRT、例えばprt1及びprt2(prt1≠prt2)、を交互に繰り返す。ここでprt1及びprtiの逆数であるprf1、prfiは、式(1)の関係を満たすものとする。
【0031】
[数1]
prfi={p(i)/q(i)}×prf1 (1)
式中、p(i)とq(i)は割り切れない関係の整数であり、「i」により異なる。
なお
図4(b)では、PRTが2種類の場合を示しているが、PRTの種類はそれ以上でもよい。
【0032】
本実施形態の不均等間隔の送受シーケンスでは、例えば、2種類のPRT(prt1、prt2)を用いる場合、
図5に示すように、1番目の送信パルスTx1と2番目の送信パルスTx2との間隔はprt1、2番目の送信パルスTx2と3番目の送信パルスTx3との間隔はprt2となるように、prt1とprt2とを交互に繰り返すように送信を行う。これは
図4(b)に示す不均等間隔送信と同じであるが、prt1とprt2の交互送信の後に或いは途中で、prt1及びprt2のいずれか一方のみを繰り返し、最終的にprt1又はprt2の受信信号数と、「prt1+prt2」及び「prt2+prt1」の受信信号数とが同数になるようにする。ここで「prt1+prt2」及び「prt2+prt1」は、2つの送信パルスの送信間隔がprt1とprt2との和(prt3=prt1+prt2)である受信信号の組を意味する。
図5に示す例では、prt3は、Tx1とTx3との間隔、Tx3とTx5との間隔などTxnのnが奇数であるパルス間隔、及びTx2とTx4との間隔、Tx4とTx6との間隔などTxnのnが偶数であるパルス間隔である。なお
図5に示す例では、時間的に不連続な受信信号の組として、一つ置きの組み合わせを例示したが、二以上の受信信号を飛ばした組み合わせもあり得る。
【0033】
このように送受信を行うことにより、複数種類の送信間隔に対応して、複数種類のPRFの受信信号の組が、それぞれ複数、得られる。
【0034】
次いで、血流演算部55が、受信回路32から受領した受信信号についてドプラ信号処理を行う(S304)。具体的には、
図2Aに示したように、まず直交検波部551が受信信号(RF信号)を実部及び虚部からなる超音波複素信号(IQ信号)に変換した後、クラッタフィルタ部552が静止部分からの信号に対応する低周波数成分を除去する。次いで、PRF振り分け部553が、PRT毎にIQ信号の組を振り分ける。
図2Aに示す例では、PRF振り分け部553は、prt1、prt2及びprt3にそれぞれ対応する3つのパルス繰り返し周波数毎に、IQ信号の組(prt1、prt2、prt3)を振り分ける。ここでprt1、prt2は、
図5に示すように、互いに隣接する受信信号の組に対応し、時間的な順序に従っているが、prt3は、Tx1とTx3との間隔やTx2とTx4との間隔であり、互いの間隔が一部重なっている。PRF振り分け部553は、各受信Rx(n)で受信したデータに付されたデータ番号をもとに、上述したデータの振り分け(選択)を行う。
【0035】
ドプラ処理部554は、振り分けられた各PRFのデータを用いて、ドプラ速度、パワー及び分散を算出する。例えば、prf1及びprf2の場合、速度推定器5541は、時間的に隣接する2つの受信信号(IQ信号)を用いて、2つの信号の位相差をもとにドプラ偏移を算出し、ドプラ遷移から速度を推定する(S304-1)。同一のPRFである受信信号の組は複数得られるので、位相差の算出は、複数の位相差を用いて、自己相関法やその改良法など公知の手法で行うことができる。またパワー演算器5542及び分散推定器5543は、計測領域のサンプル毎に信号強度(パワー)と分散を算出する。ある点xにおける速度Vel、信号のパワーPow及び分散Varは、次式(2)~(4)で算出することができる。
【0036】
【0037】
【0038】
式中、Eは直交検波後のIQ信号、Nはデータ組数である(以下、同じ)。
なおステップS304-1では、prf1とprf2の両方について血流情報を算出してもよいが、一方のみでもよい。
【0039】
prf3の場合は、ドプラ処理部554は、prf3となる2つの受信信号を用いて、同様に、血流情報を算出する(S304-2)。
図5に示す例では、prt1とprt2とを交互に繰り返している間(Tx1からTxまで)は、奇数番目の受信信号と次の奇数番目の受信信号の組及び偶数番目の受信信号と次の偶数番目の受信信号の組を用いて、位相差を求めドプラ速度の推定等を行う。後処理部5544は、例えば、速度推定部5541が推定した結果の妥当性を、分散推定器5543が推定した分散を元に判断し、必要に応じて補正等を行う。
【0040】
次に2以上の折り返し計算部556が、折り返しなし速度を求めるための演算を行う(S305)。折り返しなし速度の演算には、血流演算部55がステップS304-1で算出した血流情報(prf1またはprf2から算出した血流速度)と、ステップS304-2で算出した血流情報(prf3から算出した血流速度)を用いる。ここでは一例としてprf1の血流速度v1とprf3の血流速度v3とを用いる場合を説明する。
【0041】
一般にドプラ計測における計測限界速度(ナイキスト速度)V
Nは、次式(5)で表される。
【数5】
式中、「prf」はパルス繰り返し周波数、cは音速、f
0は超音波の中心周波数である。
【0042】
計測対象となる速度がナイキスト速度を超えると、折り返しにより、実際に求められるドプラ速度(計測ドプラ速度)VDは、式(6)で表される。
[数6]
VD=VA-2n・VN (6)
式中、VAは、折り返しがない場合のドプラ速度(折り返しなしドプラ速度)、nは折り返し回数である。
【0043】
式(7)で表されるナイキスト速度は、パルス繰り返し回数prfによって変わり、例えば、prf1とprf3との間に式(1)に示す関係(prf3={p/q}×prf1)がある場合、式(7)に示すようにナイキスト速度も同様の関係性を持つ。
[数7]
VN3={p/q}×VN1 (7)
【0044】
式(5)~(7)より、以下の関係が成り立つ。
[数8]
q×{(VN3-VN1)/2VN1}=nN1q-nN3p (8)
【0045】
この式(8)を、以下の拘束条件(式(9)、式(10))を使って解くことにより、折り返し数nN1及びnN3が求まる。
[数9]
|nN1q―nN3p|≦(1/2)×(p+q) (9)
[数10]
|nN3|≦ceiling{(q-1)/2} (10)
【0046】
こうして得た折り返し数nN1、nN3を式(6)に適用することで、それぞれのprfにおいて、式(6)により折り返しなし速度が求まる。各prfで求めた折り返しなし速度の平均値を取って、計測対象の折り返しなしドプラ速度VAとする。
【0047】
なお以上の説明では、ドプラ演算に異なる種類のPRFとして、prf1とprf3のデータを用いる場合を説明したが、prf2とprf3を組み合わせてもよいし、prf1~prf3のデータ全てを用いることも可能である。前者の場合には、
図5のシーケンスにおいて、prt1とprt2とを交互に行った後、prt3のパケット数とprt2のパケット数が同じになるように、prtT2のみを繰り返せばよい。後者の場合には、
図4(b)に示す従来の不均等間隔送信法と同じシーケンスで送受信を行ってもよい。この場合、フレームレートは従来法と同様になるが、折り返しなし速度推定の精度が向上する。
【0048】
表示画像生成部60は、ドプラ処理部554が推定或いは算出した血流情報を用いて表示画像を作成し、表示部80に表示させる(S306)。血流情報の表示形態は、特に限定されるものではないが、一般的なカラードプラ法では、
図6(a)に示すように、断層画像演算部
53が作成したBモード画像81上にドプラ計測領域の流速変化を色で表示するとともに、計測可能な流速の幅、すなわち流速のダイナミックレンジをカラーバーや階調バー等82で表示し、またPRFをPRF表示ボックス83に数値で表示する。さらに計測モードを表示するモード表示ボックス84などを設けてもよい。
【0049】
複数種類のPRFを用いて折り返しなし速度を算出する本実施形態では、折り返しを回避しないモード(通常計測モード)の計測よりも流速のダイナミックレンジが広がるので、その拡大に合わせて、例えば
図6(b)に示すように、通常計測モード時に表示されるカラーバー或いは階調バー82(
図6(a))の長さを変えてもよいし、
図6(c)に示すように、カラーバー或いは階調バー82の長さはそのままにして、階調の幅を変えてもよい。
【0050】
また計測時のPRFの値も、折り返し回避モードでは通常計測モードとは異なるので、折り返し回避モードの計測の際も、ボックス83に表示されたPRFの値を変化させる。従来の折り返し回避モードであれば、計測時に設定した複数種類のPRFが表示されるが、本実施形態では、PRF振り分け部553が振り分けたPRFの値(複数の値)が表示される。
【0051】
本実施形態の超音波撮像装置によれば、血流速度推定に用いる複数種類の受信信号の組の少なくとも一つとして、時間的に不連続な受信信号の組を用いることにより、血流速度を取得するためのフレームレートを向上することができる。
【0052】
9パケット送信を仮定して、本実施形態による、一つの走査線を取得する時間(血流速度分解能)、速度レンジ及びフレームレートを、従来法(等間隔送信法及び不均等間隔送信法)と比較した結果を
図7に示す。これらの算出に際し、速度レンジはナイキスト速度の3倍にすると仮定して、PRT2=PRT1×(4/3)とした。またSNを同等にするために、本実施形態の方法における、PRT1及びPRT3それぞれ位相差の加算平均数は、従来法と同じに確保している。
【0053】
図7に示すように、従来の不均等間隔送信法では、フレームレートが等間隔送信法に比べ0.4倍に低下するが、本実施形態の方法では、0.7倍であり、従来の不均等間隔送信法より約1.8倍向上する。
【0054】
また従来の不均等間隔送信法で得られる折り返しなし速度の速度分布と、本実施形態の方法で得られる折り返しなし速度の速度分布をシミュレーションした結果を
図8に示す。
図8(a)は本実施形態の方法の結果、
図8(b)は従来の不均等間隔送信法の結果である。なおシミュレーション条件は以下の条件とした。
走査タイプ:セクタ
中心周波数(f
0):3MHz
PRF:prf1=10kHz、prf2=7.5kHz、prf3=6.8kHz
総パケット数(N):15
最高血流速度:1m/s
【0055】
図8(a)、(b)からわかるように、本実施形態によれば、従来の不均等間隔送信法とほぼ同等の速度推定結果が得られる。
【0056】
<第一実施形態の変形例>
図5に示す第一実施形態の送受シーケンスでは、2種のPRTを交互に繰り返した後、一方のPRTのみを繰り返したが、送受シーケンスはこれに限定されず、複数種のPRTが一定の規則性を持って配置してもよい。送受シーケンスの変形例を
図9(b)、(c)に示す。
図9(a)に
図5の送受シーケンスを併記する。なお
図9では受信タイミングは省略している。
【0057】
図9(b)の例は、PRT1-PRT2-PRT1を単位として、複数回の送信を繰り返し、PRT1の受信信号の組と、PRT3(PRT1+PRT2)の信号の組とを用いて、血流速度を算出する。
図9(c)の例は、PRT1-PRT2-PRT2を単位として、複数回の送信を繰り返し、PRT2の受信信号の組と、PRT3(PRT1+PRT2)の信号の組とを用いて、血流速度を算出する。
【0058】
これら変形例の送受シーケンスを採用した場合も、
図9(a)の送受シーケンスと同様に、パケットサイズを同じにした従来の等間隔送信法に比べ、フレームレートが向上する。一つの走査線を取得する時間は、
図9(b)の送受シーケンスは、
図9(a)の送受シーケンスと同様である。PRT1<PRT2の場合、
図9(c)の送受シーケンスは、
図9(a)、(b)より一つの走査線を取得する時間が長くなるが、従来の等間隔送信法に比べ短縮できる。
【0059】
<第二実施形態>
本実施形態の超音波撮像装置は、走査線ごとに、送受シーケンスを独立に制御することが特徴である。すなわち、本実施形態の超音波撮像装置は、送受シーケンス制御部が、複数の送信方向の超音波それぞれについて、複数回の送信における超音波の送信間隔を独立に制御する。また血流演算部は、隣接する送信方向の超音波からそれぞれ得られる受信信号を用いて算出した血流情報を平均化する平均化部を備える。
【0060】
本実施形態の超音波撮像装置の信号処理部を中心とする構成例を
図10に示す。なお
図10において、
図1及び
図2Aに示す要素と同じ機能を持つ要素は同じ符号で示し、重複する説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態の血流演算部55は、走査線毎に血流情報(血流速度、分散、パワー等)を算出するように構成されるとともに、各走査線の血流情報を平均化する平均化部57を備えている。なお
図10では、平均化部57は血流演算部55の後段に記載されているが、血流演算部55が算出する値のうち、途中の値に対し平均化を行うことも可能であり、平均化部57の位置は処理の流れとは関係がない。また血流演算部55を複数示しているが、単一の血流演算部にて処理を行うことも可能である。
【0061】
本実施形態においてもドプラ撮像の手順は、第一実施形態とほぼ同じであるが、本実施形態では、送受シーケンス制御部40が、複数種類の送信間隔で複数回の送受信を行うように制御する際に、超音波プローブが送信する複数の送信方向(走査線)について、それぞれ、送受タイミングを異ならせる。但し走査線のパケット数は同じとする。
【0062】
走査線毎に送受シーケンスを異ならせる例を
図11及び
図12に示す。
図11及び
図12において、縦方向は時間軸方向である。
図11に示す例では、奇数番目の走査線と偶数番目の走査線とで交互に送受シーケンスが異なるように制御する。奇数番目の走査線では、例えば、最初にprt1とprt2の送信を交互に行い、後半でprt1の送信を繰り返し、偶数番目の走査線では、最初にprt1を所定数繰り返し、後半でprt1とprt2の送信を交互に行う。いずれもパケット数は同じであって、且つprt1とprt3(prt1+prt2)とが同数となるようにする。
図12に示す例では、空間的に連続する3つの走査線に対し、それぞれ異なる制御を行う。例えば、第一実施形態において、
図9(a)~(c)に送受シーケンスの3例を示したが、これらの3つの異なる送受シーケンスを走査線1~走査線3に適用する。3つの送受シーケンスの順序は問わないが、いずれもパケット数は同じであって、且つprt1とprt3(prt1+prt2)とが同数となるようにする。
【0063】
血流演算部55は、それぞれの走査線の受信信号を処理し、走査線毎にドプラ計測速度(折り返しを含む)VD、折り返しなし速度VA、折り返し回数nなどを算出・推定する。平均化57は、血流演算部55が走査線毎に算出或いは推定した値を、隣接する走査線間で平均化する。
【0064】
例えば、
図11に示す送受シーケンスの場合、走査線1と走査線2について算出したドプラ計測速度から、V
Dave=(V
D1+V
D2)/2を算出し、平均化したドプラ計測速度を用いて折り返しなし速度を推定してもよい。或いは、それぞれの走査線についてPRFのナイキスト周波数毎に推定した折り返し数n
N1及びn
N3を平均化し、平均化した折り返し数n
Naveを用いて、折り返しなし速度V
Aを推定してもよい。
図12に示す送受シーケンスの場合は、3つの走査線について算出した値を平均化する。
【0065】
このように本実施形態によれば、走査線毎に送受シーケンスを異ならせ、且つ各走査線で得た値を平均化することにより、折り返しなし速度の推定精度を高めることができる。
【0066】
さらに本実施形態によれば、クラッタフィルタ52を適用したのちの信号に、所望する低周波領域以外においても信号遮断されてしまう感度低下領域を低減することができる。この効果を、クラッタフィルタ52の周波数特性を示すグラフを用いて説明する。
図13(a)は、クラッタフィルタ52の周波数特性を概念的に説明するグラフであり、横軸は計測速度(周波数に対応)、縦軸は信号応答すなわち感度(dB)を示している。クラッタフィルタは、静止組織からの信号すなわち速度0の周波数を遮断する特性を持つが、二つのPRT(prt1、prt2)との和で決まる周波数(f=1/(prt1+prt2))を周期とするブラインド周波数が発生する(
図13(a)中、矢印で示す)。周波数特性は、送受シーケンスの影響を受ける。例えば、
図9(a)の送受シーケンスでは、図中、実線で示す周波数特性となるが、
図9(b)、(c)の送受シーケンスでは、それぞれ破線、点線で示す周波数特性となる。
【0067】
本実施形態では、走査線毎に送受シーケンスを異ならせることにより、周波数特性はその平均値となるため、感度低下領域における感度低下を抑制することができる。例えば、
図12に示したように、3つの走査線の送受シーケンスを異ならせた送受シーケンスの場合は、
図13(a)に示す3つの周波数特性が平均化されて、
図13(b)に太線で示すようなグラフとなる。このグラフから、
図13(a)に矢印で示した3つの感度低下領域における感度低下が平均化され、感度低下が抑制されていることがわかる。
【0068】
以上、本発明の超音波撮像装置の各実施形態を説明したが、各実施形態で説明した装置構成や送受シーケンスなどは例示であって、要素によっては適宜削除したり変更を加えたりすることが可能であり、また記載されていない他の要素を追加することも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0069】
10・・・被検体、20・・・超音波プローブ、30・・・送受信回路、31・・・送信回路、32・・・受信回路、40・・・送受シーケンス制御部、50・・・信号処理部、51・・・信号振り分け部、53・・・断層画像演算部、55・・・血流演算部、551・・・直交検波部、552・・・クラッタフィルタ部、553・・・PRF振り分け部(データ選択部)、554・・・ドプラ処理部(血流速度算出部)、5541・・・速度推定器、5542・・・パワー演算器、5543・・・分散推定器、5544・・・後処理部、555・・・血流速度算出部、556・・・折り返し計算部(血流速度算出部)、57・・・平均化部、60・・・表示画像生成部、70・・・入力部、80・・・表示部