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  • 特許-防犯ブザー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】防犯ブザー
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20220104BHJP
   G10K 9/12 20060101ALI20220104BHJP
   G10K 9/15 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G08B23/00 520Z
G10K9/12 D
G10K9/15 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018093391
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019200497
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000149099
【氏名又は名称】株式会社大阪クリップ
(74)【代理人】
【識別番号】100152700
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 透
(74)【代理人】
【識別番号】100158768
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 達也
(72)【発明者】
【氏名】糸井 和生
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3141271(JP,U)
【文献】実開昭59-152640(JP,U)
【文献】登録実用新案第3206713(JP,U)
【文献】特開平11-075924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00-15/02
19/00-31/00
G10K 9/12- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報を発するためのスピーカーと、
当該スピーカーの制御を行う制御回路と、
上記スピーカーおよび上記制御回路を駆動するための電源と、
上記スピーカーの警報をON/OFFするためのスイッチと、
を備えた本体と、
上記スイッチに設けられ、上記本体外に一部または全部が露出した紐状体と、
当該紐状体に設けられた固定部と、
を有し、
上記固定部を嵌合または磁力により本体の所定の位置に着脱可能に固定するための固定手段を本体に設けた
ことを特徴とする防犯用ブザー。
【請求項2】
上記固定部は、上記固定手段を挿入可能な内孔を有するリング状である
ことを特徴とする請求項1に記載の防犯用ブザー。
【請求項3】
上記固定手段を、本体の筐体の上記スピーカーを内包する部位に設け
ことを特徴とする請求項2に記載の防犯用ブザー。
【請求項4】
上記イッチの一部は、本体の外側にある
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防犯用ブザー。
【請求項5】
上記本体に設けられ、かばん類または衣類に着脱可能に取付けることができる取付具を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防犯用ブザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯ブザーに関するものであり、特に、誤操作が生じにくい防犯ブザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
児童や学童用、あるいは女性用の防犯具として、防犯ブザーは広く使用されている。
防犯ブザーに求められる特性はふたつあり、ひとつは操作の迅速性である。危険を察知した際に、簡単な操作で直ちにブザーを鳴動させる必要がある。
もうひとつは、誤操作の防止である。すなわち、意図せずにブザーを鳴らしてしまうことが無いようにすることである。防犯ブザーは非常に大きな音を発するため、周囲を驚かせ、一時的な混乱状態を引き起こす恐れがある。したがって、できるだけ誤操作を生じにくくする必要がある。
【0003】
しかし、操作の迅速性と誤操作の防止は、一般にトレードオフの関係にある。誤操作を防止するために、ブザーの起動操作を複雑にすれば、操作の迅速性が失われる。
操作の迅速性と誤操作の防止とのバランスを考慮したブザーの起動機構として、防犯ブザーから下方に垂れた紐を引っ張る機構が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3042596号
【文献】特開2015-185980号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に開示されている防犯ブザーは、下方に垂れた紐を下方に引っ張るという比較的単純な動作でブザーを駆動できるため、操作の迅速性が担保される。また、下方に垂れた紐を下方に引っ張るという駆動機構は、ボタンスイッチを押すといった機構に比べて誤操作が生じにくい。
【0006】
しかしながら、下方に垂れた紐を下方に引っ張るためには、紐の先端に手で把持しやすい把持部を設けることが必要である。例えば、特許文献2のように把持具が無い構成では、緊急の際に紐を掴み損ねて、ブザーを駆動できないことが起こりうる。
一方、把持具を設けた場合、把持具が何かに引っ掛かり誤操作を生じやすいという別の問題が生じる
【0007】
本発明は、上記の問題点を考慮し、操作の迅速性と誤操作の防止をできるだけ両立する防犯ブザーを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
警報を発するためのスピーカーと、
当該スピーカーの制御を行う制御回路と、
上記スピーカーおよび上記制御回路を駆動するための電源と、
上記スピーカーの警報をON/OFFするためのスイッチと、
を備えた本体と、
上記スイッチに設けられ、上記本体外に一部または全部が露出した紐状体と、
当該紐状体に設けられた固定部と、
を有し、
上記固定部を嵌合または磁力により本体の所定の位置に着脱可能に固定するための固定手段を本体に設けた
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る防犯ブザーは上記のように構成されているので、以下に示す数多くの発明の効果を有する。
【0010】
第一に、把持具である固定部は本体に着脱可能に固定されているため、固定部が何かに引っ掛かるというリスクが無い。また、固定部を本体に固定した状態においては、紐状体が二つ折れになっている。すなわち、実質的な長さが半分になっているため、紐状体が何かに引っ掛かるというリスクも大幅に軽減できる。したがって、誤操作が生じにくい。
【0011】
第二に、ブザーを起動する際には、固定部を掴んで本体から外し、下方に引けばよい。固定部は本体に固定されているため、その位置は使用者にとって分かりやすい位置であり、確実に掴んで引くことができる。あるいは、紐状体を指で引き下ろすと、固定部が本体から外れて下方に落ちてくるため、そのまま固定部を掴んで、さらに下方に引けばよい。このように、手を下方に降ろすという直線的な動作でブザーを起動できるため、迅速なブザーの起動が可能である。特に、固定部はリングの外側を掴んでも良いし、リングに指を入れても良い。固定部は本体と同程度に、比較的大きくすることができるため、下方に引く際に力を入れやすい。したがって、動作加重を大きくすることができるので、より誤操作を生じにくくすることができる。
【0012】
第三に、誤操作防止用に別のスイッチを設ける等が不必要であり、制御回路やスイッチ
機構等が複雑になることが無く、部品コストや製造コストが増加することが無い。
【0013】
第四に、暗い夜道を歩く等の際には、固定部を本体から予め外しておけば、より迅速にブザーを起動できる。このように、固定部を本体から着脱するという簡単な動作で、通常時と潜在的危険時での使い分けができる。
【0014】
第五に、固定部が本体の一面全体をカバーするように固定できる構造にしておけば、防犯ブザーをぶつけた際に、固定部が衝撃を吸収する役割を果たし、防犯ブザーへの衝撃を軽減できる。通常、防犯ブザーは操作しやすいように、使用者の身体の前側に取り付けることが多く、そのため、防犯ブザーの前面をぶつけてしまうことが良くある。固定部は、着脱しやすいように防犯ブザーの前面に設けるのが自然であり、したがって、防犯ブザーを守るように製品を構成しやすい。
【0015】
第六に、固定部自体、あるいは本体との組み合わせを考慮すると、デザイン設計の自由度が広がり、子供や女性が身に着ける際に魅力的な商品にしやすい。
【0016】
第七に、固定部や紐状体にかばん類または衣類に着脱可能に取付けることができる取付具を設ければ、本体を引くことでブザーを作動することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る防犯ブザーの固定部を取り付けた状態の斜視図である。
図2】本発明に係る防犯ブザーの固定部を取り外した状態の斜視図である。
図3】本発明に係る防犯ブザー本体裏面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態.
以下に、本発明に係る防犯ブザーの構成、使用方法および長所等について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明の最適な一例であって、特に本発明をこの一例に限定するものではない。
【0019】
<構成>
まず、構成について説明する。
図1は本発明に係る防犯ブザーの固定部を取り付けた状態の斜視図である。また、図2は本発明に係る防犯ブザーの固定部を取り外した状態の斜視図である。
【0020】
防犯ブザーの基本的な構成として、警報を発するためのスピーカーと、当該スピーカーの制御を行う制御回路と、上記スピーカーおよび上記制御回路を駆動するための電源と、上記スピーカーの警報をON/OFFするためのスイッチ1bとを備えた本体1と、上記スイッチ1bに設けられ、上記本体1外に一部または全部が露出した紐状体3と、当該紐状体3に設けられた固定部4とを有している。そして、上記固定部4を着脱可能に固定するための固定手段1aを本体1に設けたことを特徴としている。
【0021】
本発明に係る防犯ブザーは、本体1に設けられ、かばん類または衣類に着脱可能に取付けることができる取付具2を有している。この取付具2により、本体1をかばん類または衣類に取付け、紐状体3や固定部4を下方に引くことでブザーを作動させることができる。
ただし、別の使い方も可能である。例えば、紐状体3や固定部4に、かばん類または衣類に着脱可能に取付けることができる取付具を設けて、この取付具により、紐状体3や固定部4をかばん類または衣類に取付け、本体1を下方に引くことでブザーを作動させることもできる。
【0022】
固定部4は、内孔4aを有するリング状であることが望ましい。図1に示すように、内孔4aを用いて本体1の固定手段1aに固定することが可能である。また、ブザーを動作させる際には、内孔4aに指を入れて、強く引く動作も可能となる。
【0023】
警報を発するためのスピーカーは、大音量を発することができるスピーカーであり、したがって、ある程度大きなスピーカーである。例えば、図2において、本体1の筐体の1aの部分に近い箇所に円形等のスピーカーが設けられている。この箇所を固定部4を着脱可能に固定する箇所にすれば、全体をコンパクトにまとめることができる。すなわち、固定部4を着脱可能に固定するための固定手段1aは、本体1の筐体の上記スピーカーを内包する部位に設けられ、当該部位は当該固定部4の内孔4aを挿入可能とすることで、大きな部品であるスピーカーを内包する筐体部分を用いて、固定部4を本体1に取り付けることができる。
もちろん、上記は固定部4を本体1に固定する一例であり、着脱可能に固定できるのであれば、いかなる形態であっても良い。
【0024】
また、固定部4は着脱しやすいように、本体の前方側に取り付けるのが望ましい。同様に、スピーカーも警報音を前方に効率良く伝えるために、本体の前方側に取り付けるのが望ましい。このような観点からも、スピーカーを内包する部位を用いて固定部4を取り付けることは、全体構成として合理性がある。
なお、本体1と固定部4の固定手段1aは嵌合でも良いし、磁力等を用いても良い。
【0025】
スイッチ1bは、スイッチ、あるいは回転型スイッチ等であり、図2において、紐状体3を下方に引くことでブザーが作動するスイッチである。なお、スイッチ1bは、その一部が本体1の外側にあることが望ましい。その理由については、後述する。
紐状体3は、紐や鎖等である。長さは固定部4を本体1に取り付ける際に必要な長さ以上が必要であるが、あまり長くない方が良い。紐状体3が何かに引っ掛かり、誤操作が生じるのを防ぐためである。
【0026】
取付具2はフック等であり、かばん類または衣類等に着脱可能に取付けるために使用される。
また、図3に防犯ブザー本体1裏面側の斜視図を示すが、本体裏面に取付具1cを設けても良い。取付具1cに帯状の面ファスナーを通し、それでランドセルやショルダーバッグの肩紐に固定することもできる。それにより、例えば、右胸付近に防犯ブザーの本体1を位置させることが可能となり、操作が容易に行える。
例えばランドセルの場合、取付具2を肩ベルトのD環に取付け、取付具1cに通した帯状の面ファスナーで肩ベルトを巻くようにすれば、防犯部ブザー本体1をしっかりと胸付近に固定できる。なお、取付具1cに帯状の面ファスナーを通す際には、取付具1cにリング状の金具を通し、それに帯状の面ファスナーを通しても良い。
【0027】
<使用方法>
次に使用方法について説明する。
通常の状態においては、図1に示したように、固定部4を本体に固定しておく。そして、本体1を取付具3や取付具1cを用いて、かばん類や衣類等に取り付ける。取付位置は、できるだけ手で操作しやすい位置が良い。上述したように、胸部等の身体の前面のできるだけ高い位置が望ましい。
【0028】
次に、何らかの危険を察知した際には、固定部4を掴んで本体1から外し、下方に引く。または紐状体3を引く。そうすると、固定部4が本体1から外れ、下方に落ちてくるので、固定部4の外側を掴むか、固定部4の内孔4aに指を入れて下方に引っ張る。そうす
ると、スイッチ1bが下方に移動して、スイッチONの状態になる。これにより、スピーカーの制御を行う制御回路がスピーカーを駆動し、スピーカーが警報を発する。
【0029】
固定部4あるいは紐状体3を引いて以降のこれらの動作は、手を下方にほぼ直線的に移動する動作であり、迅速に行うことができる。
このような動作以外に、固定部4の側面を手で払うような動作で本体1から離脱させた後に、固定部を下方に引いても良い。
【0030】
警報を止める際には、スイッチ1bが上方に押し戻す。スイッチ1bは、その一部が本体1の外側にあることが望ましいとした理由は、スイッチ1bを上方に押し戻せるようにするためである。
警報を止めるために別のスイッチを本体1に設けても良いが、部品点数が増えるためコストが高くなる。また、スイッチ1bはいずれにしろ上方に戻す必要があるため、別のスイッチを設けるよりも、スイッチ1bを元の位置に戻すことで警報を止めるようにした方が、余計な操作が不要となる。
<本発明の特長>
【0031】
本発明に係る防犯ブザーは上記のように構成されているので、以下に示す数多くの発明の効果を有する。
【0032】
第一に、把持具である固定部は本体に着脱可能に固定されているため、固定部が何かに引っ掛かるというリスクが無い。また、固定部を本体に固定した状態においては、紐状体が二つ折れになっている。すなわち、実質的な長さが半分になっているため、紐状体が何かに引っ掛かるというリスクも大幅に軽減できる。したがって、誤操作が生じにくい。
【0033】
第二に、ブザーを起動する際には、固定部を掴んで本体から外し、下方に引けばよい。固定部は本体に固定されているため、その位置は使用者にとって分かりやすい位置であり、確実に掴んで引くことができる。あるいは、紐状体を指で引き下ろすと、固定部が本体から外れて下方に落ちてくるため、そのまま固定部を掴んで、さらに下方に引けばよい。このように、手を下方に降ろすという直線的な動作でブザーを起動できるため、迅速なブザーの起動が可能である。特に、固定部はリングの外側を掴んでも良いし、リングに指を入れても良い。固定部は本体と同程度に、比較的大きくすることができるため、下方に引く際に力を入れやすい。したがって、動作加重を大きくすることができるので、より誤操作を生じにくくすることができる。
【0034】
第三に、誤操作防止用に別のスイッチを設ける等が不必要であり、制御回路やスイッチ機構等が複雑になることが無く、部品コストや製造コストが増加することが無い。
【0035】
第四に、暗い夜道を歩く等の際には、固定部を本体から予め外しておけば、より迅速にブザーを起動できる。このように、固定部を本体から着脱するという簡単な動作で、通常時と潜在的危険時での使い分けができる。
【0036】
第五に、固定部が本体の一面全体をカバーするように固定できる構造にしておけば、防犯ブザーをぶつけた際に、固定部が衝撃を吸収する役割を果たし、防犯ブザーへの衝撃を軽減できる。通常、防犯ブザーは操作しやすいように、使用者の身体の前側に取り付けることが多く、そのため、防犯ブザーの前面をぶつけてしまうことが良くある。固定部は、着脱しやすいように防犯ブザーの前面に設けるのが自然であり、したがって、防犯ブザーを守るように製品を構成しやすい。
【0037】
第六に、固定部自体、あるいは本体との組み合わせを考慮すると、デザイン設計の自由
度が広がり、子供や女性が身に着ける際に魅力的な商品にしやすい。
【0038】
第七に、固定部や紐状体にかばん類または衣類に着脱可能に取付けることができる取付具を設ければ、本体を引くことでブザーを作動することも可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 防犯ブザー本体
1a 固定手段
1b (ブザー起動用)スイッチ
1c (かばん類または衣類等)取付具
2 (かばん類または衣類等)取付具
3 紐状体
4 固定部
4a 内孔
図1
図2
図3