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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】半導体パワーデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220104BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01L29/78 656B
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/78 301C
H01L29/78 301W
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019571990
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 CN2018117414
(87)【国際公開番号】W WO2019128587
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】201711489809.5
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711489817.X
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711481071.8
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711481167.4
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519152663
【氏名又は名称】蘇州東微半導体股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】袁願林
(72)【発明者】
【氏名】劉偉
(72)【発明者】
【氏名】毛振東
(72)【発明者】
【氏名】劉磊
(72)【発明者】
【氏名】王睿
(72)【発明者】
【氏名】▲ごん▼軼
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129192(JP,A)
【文献】特開2015-226029(JP,A)
【文献】特開2007-165380(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103579230(CN,A)
【文献】国際公開第2013/088544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された金属酸化物半導体型電界効果トランジスタMOSFET領域であって、少なくとも1つのMOSFETセルを含み、前記MOSFETセルは、前記半導体基板の底部に位置する第1の導電型のドレイン領域であって、前記半導体基板の底部から引き出され、ドレイン電圧に接続されている第1の導電型のドレイン領域と、前記半導体基板に位置する第1の導電型のソース領域と第2の導電型のボディ領域であって、前記半導体基板の頂部から引き出され、ソース電圧に接続されている第1の導電型のソース領域と第2の導電型のボディ領域と、前記半導体基板に位置する、前記ドレイン領域と前記ボディ領域との間に介在する第1の導電型のドリフト領域と、前記ボディ領域内に位置し、且つ前記ソース領域と前記ドリフト領域との間に介在する電流チャネルと、前記電流チャネルのオン/オフを制御するゲート構造とを含むMOSFET領域と、
前記半導体基板に位置する少なくとも1つの第2の導電型のコレクタ領域であって、前記ドレイン領域の上に位置し、前記ドレイン領域と接続してpn接合構造を形成し、前記コレクタ領域と前記MOSFETセルとが絶縁ゲートバイポーラトランジスタを形成するコレクタ領域とを含む、半導体パワーデバイス。
【請求項2】
前記コレクタ領域は前記MOSFET領域を環状に取り囲むか、或いは前記コレクタ領域は前記MOSFET領域の一側又は両側に位置する、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項3】
前記コレクタ領域と前記MOSFET領域との間に分圧構造が設けられ、前記分圧構造は、フィールドプレート、フィールドリミティングリング、及びポリシリコンが充填されたトレンチ構造のうちの1つである、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項4】
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型であり、前記コレクタ領域と、前記ドリフト領域と、前記ボディ領域と、前記ソース領域との間はp-n-p-n構造に形成されている、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項5】
前記半導体基板内には、前記半導体基板内に凹んでいるゲートトレンチが設けられ、前記ゲート構造は前記ゲートトレンチに設けられ、前記ゲート構造はゲート誘電体層と制御ゲートとを含む、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項6】
前記ゲート構造は絶縁誘電体層とシールドゲートとを更に含み、前記シールドゲートは前記絶縁誘電体層によって前記制御ゲートと前記ドリフト領域とから分離される、請求項5に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項7】
前記制御ゲートは前記ゲートトレンチの上部の両側に位置する、請求項6に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項8】
前記シールドゲートは前記ソース領域と電気的に接続され、且つソース電圧に接続されている、請求項6に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項9】
前記ドレイン領域にドレイン電圧を印加するとき、前記コレクタ領域と前記ドレイン領域とにより形成されたpn接合構造はトンネリングする、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【請求項10】
前記ボディ領域の下方に位置する第2の導電型の柱状ドープ領域を更に含み、前記柱状ドープ領域のドープ不純物と前記ドリフト領域のドープ不純物とは電荷バランスを形成する、請求項1に記載の半導体パワーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2017年12月29日、出願番号が201711481071.8号、出願日が2017年12月29日、出願番号が201711489817.X号、出願日が2017年12月29日、出願番号が201711489809.5号、及び出願日が2017年12月29日、出願番号が201711481167.4号の中国専利出願の優先権を主張し、上記出願の全部内容を参照によって本発明に援用される。
【0002】
本発明は、半導体デバイス技術の分野に関し、例えば、半導体パワーデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体パワーデバイスは、平面拡散型金属酸化物半導体(Metal Oxide Semiconductor,MOS)トランジスタとトレンチ型MOSトランジスタなどのタイプがある。トレンチ型MOSトランジスタは垂直な電流チャネル構造を採用したため、トレンチ型MOSトランジスタの面積は平面拡散型MOSトランジスタの面積よりも遥かに小さいので、トレンチ型MOSトランジスタの電流密度を向上可能である。関連技術のトレンチ型MOSトランジスタの断面構造は図1に示すように、半導体基板の底部に位置するドレイン領域50と、半導体基板の頂部に位置するソース領域53とボディ領域52と、ボディ領域52とドレイン領域50との間に位置するドリフト領域51と、ボディ領域52内に位置し、且つソース領域53とドリフト領域51との間に介在する電流チャネルと、前記電流チャネルのオン/オフを制御するゲート構造とを含み、ゲート構造は半導体基板内に凹んでいるゲートトレンチに位置し、ゲート構造はゲート誘電体層54とゲート55とを含む。関連技術の半導体パワーデバイスがオンにした場合は、ソース領域53とドレイン領域50との間に電子(又は正孔)キャリア電流が形成され、これらの単一のキャリアの出力電流密度を増加し続けることが困難である。半導体集積回路技術が進んでいるにつれて、半導体パワーデバイスの出力電流密度をいかに向上させるかは、当業者にとって解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、関連技術における半導体パワーデバイスの出力電流密度をいかに向上させるかという技術課題を解決するために、半導体パワーデバイスを提供する。
【0005】
半導体パワーデバイスは、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された金属酸化物半導体型電界効果トランジスタMOSFET領域であって、少なくとも1つのMOSFETセルを含むMOSFET領域と、
前記半導体基板に位置する少なくとも1つのコレクタ領域であって、前記コレクタ領域と前記MOSFETセルとが絶縁ゲートバイポーラトランジスタを形成するコレクタ領域とを含む。
【0006】
一実施例において、前記コレクタ領域は前記MOSFET領域を環状に取り囲むか、或いは前記コレクタ領域は前記MOSFET領域の一側又は両側に位置する。
【0007】
一実施例において、前記コレクタ領域と前記MOSFET領域との間に分圧構造が設けられ、前記分圧構造は、フィールドプレート、フィールドリミティングリング、及びポリシリコンが充填されたトレンチ構造のうちの1つである。
【0008】
一実施例において、前記MOSFETセルは、前記半導体基板の底部に位置する第1の導電型のドレイン領域であって、前記半導体基板の底部から引き出され、ドレイン電圧に接続されている第1の導電型のドレイン領域と、前記半導体基板に位置する第1の導電型のソース領域と第2の導電型のボディ領域であって、前記半導体基板の頂部から引き出され、ソース電圧に接続されている第1の導電型のソース領域と第2の導電型のボディ領域と、前記半導体基板に位置する、前記ドレイン領域と前記ボディ領域との間に介在する第1の導電型のドリフト領域と、前記ボディ領域内に位置し、且つ前記ソース領域と前記ドリフト領域との間に介在する電流チャネルと、前記電流チャネルのオン/オフを制御するゲート構造とを含む。
【0009】
一実施例において、前記コレクタ領域は第2の導電型を有し、前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型であり、前記コレクタ領域と、前記ドリフト領域と、前記ボディ領域と、前記ソース領域との間はp-n-p-n構造に形成されている。
【0010】
一実施例において、前記コレクタ領域は前記半導体基板の頂部に位置し、前記コレクタ領域は前記半導体基板の頂部から引き出され、コレクタ電圧に接続されている。
【0011】
一実施例において、前記コレクタ領域は前記ドレイン領域の上に位置し、前記コレクタ領域は前記ドレイン領域と接続してpn接合構造を形成する。
【0012】
一実施例において、前記半導体基板内には、前記半導体基板内に凹んでいるゲートトレンチが設けられ、前記ゲート構造は前記ゲートトレンチに設けられ、前記ゲート構造はゲート誘電体層と制御ゲートとを含む。
【0013】
一実施例において、前記ゲート構造は絶縁誘電体層とシールドゲートとを更に含み、前記シールドゲートは前記絶縁誘電体層によって前記制御ゲートと前記ドリフト領域とから分離される。
【0014】
一実施例において、前記半導体パワーデバイスは前記ボディ領域の下方に位置する第2の導電型の柱状ドープ領域を更に含み、前記柱状ドープ領域のドープ不純物と前記ドリフト領域のドープ不純物とは電荷バランスを形成する。
【0015】
本発明に係る半導体パワーデバイスは、半導体基板にMOSFETセルとコレクタ領域とが形成され、コレクタ領域と、ドリフト領域と、ボディ領域と、ソース領域と、ゲート構造との間に横方向の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor,IGBT)が形成されている。本発明に係る半導体パワーデバイスがオンにした場合、MOSFETセルに電子(又は正孔)キャリア電流が形成され、IGBT構造に電子キャリアと正孔キャリアとのダブルキャリア電流が形成されていることにより、本発明に係る半導体パワーデバイスは、電子キャリアと正孔キャリアとのダブルキャリア電流を実現可能であるため、半導体パワーデバイスの出力電流密度を大幅に向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本発明の模式的な実施例の技術案を説明するために、実施例を説明するために必要な図面を紹介する。
【0017】
図1】関連技術のトレンチ型MOSトランジスタの一実施例の断面構造模式図である。
図2】一実施例に係る半導体パワーデバイスの断面構造模式図である。
図3】一実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図である。
図4】一実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図である。
図5】一実施例に係る半導体パワーデバイスの平面視構造模式図である。
図6】一実施例に係る半導体パワーデバイスの出力電流の曲線模式図である。
図7】一実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施例における図面を参照しながら、具体的な形態によって本発明の技術案を説明する。
【0019】
本実施例で使用される「有する」、「含む」、「含まれる」などの用語は、1つ又は複数の他の部品又はそれらの組合せの存在又は追加を示すものではない。同時に、本発明の具体的な実施形態を説明するために、本明細書の図面に列挙される模式図は、本発明に記載される層及び領域の厚さを拡大し、且つ列挙される図面のサイズは実際の寸法を表せず、本明細書の図面は模式的なものである。本明細書に列挙される実施例は、本明細書の図面に示される領域の特定の形状に限定されるべきではなく、製造などに起因するずれなどの得られた形状を含む。
【0020】
図2は、本実施例に係る半導体パワーデバイスの断面構造模式図であり、表示及び説明を容易にするために、図2に半導体パワーデバイスチップにおける層間絶縁層及びコンタクト金属層が示されていない。図2に示すように、本実施例に係る半導体パワーデバイスは、半導体基板100と、半導体基板100上に形成された金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor,MOSFET)領域201であって、少なくとも1つのMOSFETセル(1つのMOSFETセル301が模式的に枠取りされた)を含むべきであるMOSFET領域201と、該半導体基板100に位置する少なくとも1つのコレクタ領域10であって、コレクタ領域10とMOSFETセルとが絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(1つのIGBT構造302が模式的に枠取りされた)を形成するコレクタ領域10とを含む。コレクタ領域10は半導体基板100の頂部に位置することで、コレクタ領域10は容易に半導体基板100の頂部から引き出され、コレクタ電圧に接続されているこれにより、関連技術の半導体パワーデバイスの製造プロセスにも合致でき、コレクタ領域10の製造を容易にすることができる。本実施例に係る半導体パワーデバイスがオンにした場合、MOSFETセルに電子(又は正孔)キャリア電流が形成され、IGBT構造に電子キャリアと正孔キャリアとのダブルキャリア電流が形成されていることにより、本実施例に係る半導体パワーデバイスは、電子キャリアと正孔キャリアとのダブルキャリア電流を実現可能であるため、半導体パワーデバイスの出力電流密度を大幅に向上可能である。
【0021】
表示を容易にするために、図2に1つのコレクタ領域10の構造のみを模式的に示している。
【0022】
一実施例において、図2に示される構造の平面視角度から、コレクタ領域10はMOSFET領域201を環状に取り囲んでもよいか、或いはコレクタ領域10はMOSFET領域201の一側又は両側に位置してもよく、本実施例の図面に該平面視構造を更に示さない。
【0023】
コレクタ領域10とMOSFETセルのソース領域23との間の耐圧を向上するために、コレクタ領域10とMOSFET領域201との間の距離を適当に離間させてもよいか、或いはコレクタ領域10とMOSFET領域201との間に分圧構造を加えてもよく、該分圧構造は、フィールドプレート、フィールドリミティングリング、又はポリシリコンが充填されたトレンチ構造であってもよく、ただし、フィールドプレート、フィールドリミティングリング、及びポリシリコンが充填されたトレンチの数は、実際の製品の要求に応じて設定可能である。これらの分圧構造は、半導体パワーデバイスの耐圧を向上する通常構造であり、本実施例に更に説明して示さない。
【0024】
図2に示すように、本実施例に係る半導体パワーデバイスにおけるMOSFETセルは、半導体基板100底部に位置する第1の導電型のドレイン領域20であって、半導体基板100の底部から引き出され、ドレイン電圧に接続されているドレイン領域20と、半導体基板100に位置する第1の導電型のソース領域23と第2の導電型のボディ領域22であって、半導体基板100の頂部から引き出され、ソース電圧に接続されているソース領域23とボディ領域22と、半導体基板100に位置する、ドレイン領域20とボディ領域22との間に介在する第1の導電型のドリフト領域21と、ボディ領域22内に位置し、且つソース領域23とドリフト領域21との間に介在する電流チャネルと、前記電流チャネルのオン/オフを制御するゲート構造であって、半導体基板100に位置するか、或いは半導体基板100の上に位置するゲート構造とを含む。
【0025】
電流チャネルは、半導体パワーデバイスにおけるゲート構造にゲート電圧を印加するときに半導体表面に形成された蓄積層及び反転層であり、本実施例の図面では、半導体パワーデバイスにおける電流チャネルの構造は示されていない。
【0026】
本実施例に係る半導体パワーデバイスにおけるゲート構造は、平面型ゲート構造であってもよく、トレンチ型ゲート構造であってもよく、ゲート構造は平面型ゲート構造である場合、ゲート構造は半導体基板100の上に位置し、ゲート構造はトレンチ型ゲート構造である場合、ゲート構造は半導体基板100内に凹んでいるゲートトレンチに位置する。図2に示される半導体パワーデバイスの実施例において、ゲート構造はトレンチ型ゲート構造を採用した。半導体基板100内には半導体基板内に凹んでいるゲートトレンチが設けられ、ゲート構造は該ゲートトレンチに設けられ、ただし、ゲート構造はゲート誘電体層24と制御ゲート25とを含み、制御ゲート25はゲート電圧に外部接続されていることにより、ソース領域23とドリフト領域21との間に介在する電流チャネルのオン/オフを制御する。
【0027】
本実施例に記載の第1の導電型はn型であり、第2の導電型はp型である。コレクタ領域10は第2の導電型を有するべきであり、これによりコレクタ領域10と、ドリフト領域21と、ボディ領域22と、ソース領域23との間はp-n-p-n構造に形成されるため、該p-n-p-n構造とゲート構造とは、横方向の絶縁ゲートバイポーラトランジスタを形成する。
【0028】
一実施例において、第1の導電型はp型であってもよく、第2の導電型はn型であってもよい。
【0029】
図3は、本実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図であり、該実施例は、図2に示される半導体パワーデバイスにおける層間絶縁層とコンタクト金属層とを示している。図3に示すように、本実施例に係る半導体パワーデバイスのコレクタ領域10は、コレクタコンタクト金属層42によって半導体基板100の頂部から引き出され、コレクタ電圧に接続され、ソース領域23とボディ領域22とは、ソースコンタクト金属層41によって半導体基板100の頂部から引き出され、ソース電圧に接続され、ドレイン領域20は、ドレインコンタクト金属層43によって半導体基板100の底部から引き出され、ドレイン電圧に接続されている。層間絶縁層40は隣接するコンタクト金属層同士を分離するために用いられ、層間絶縁層40は、一般的にシリコンガラス、ホウリンケイ酸塩ガラス又はリンケイ酸塩ガラスなどの材料である。
【0030】
図3に示される半導体パワーデバイスの実施例において、ボディ領域22とコレクタ領域10内に1つのコンタクト凹溝がそれぞれ形成されることにより、コンタクト金属層は、コンタクト抵抗を低減するように前記コンタクト凹溝に形成されている。一実施例において、コレクタ領域10とボディ領域22内には、コンタクト抵抗を低減するように1つの高ドープ濃度のコンタクト領域がそれぞれ形成されてもよく、本実施例の図面に該コンタクト構造を更に示さない。
【0031】
本実施例に係る半導体パワーデバイスは、コレクタ領域10とドレイン領域20とを電気的に接続してもよく、すなわち、コレクタコンタクト金属層42を外部配線の形態でドレインコンタクト金属層43と電気的な短絡を実現することは、半導体パワーデバイスをソースとドレインとゲートとコレクタとからなる四端デバイスに設計してから、コレクタとドレインとに外部回路で電気的な短絡を実現させることと、或いは、コレクタコンタクト金属層42を外部配線でドレインコンタクト金属層43と電気的な短絡を実現してからパッケージすることとを含み、これにより本実施例に係る半導体パワーデバイスをソースとドレインとゲートとからなる三端デバイスに設計する。コレクタ領域10とドレイン領域20が電気的に接続されると、ドレイン領域20に印加されるドレイン電圧とコレクタ領域10に印加されるコレクタ電圧とは同じ電圧である。
【0032】
図4は、本実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図であり、図4に示される半導体パワーデバイスは、図2に示される半導体パワーデバイスを基に、MOSFETセルとしてスプリットゲート構造のゲート構造を採用した実施例である。図4に示すように、本実施例に係る半導体パワーデバイスにおけるゲートトレンチ内に形成されたゲート構造は、ゲート誘電体層34と、制御ゲート35と、絶縁誘電体層36と、シールドゲート37とを含む。
【0033】
制御ゲート35はゲートトレンチの上部の両側に設けられ、シールドゲート37は絶縁誘電体層36によって制御ゲート35とドリフト領域21とから分離される。
【0034】
制御ゲート35は、ゲート電圧に外部接続されていることにより、ボディ領域22内に位置し、且つソース領域23とドリフト領域21との間に介在する電流チャネルのオン/オフを制御する。
【0035】
シールドゲート37はソース領域23と電気的に接続され、且つソース電圧に接続されてもよく、これによりシールドゲート37はソース電圧によってドリフト領域21内に横電界を形成し、オン抵抗を低減して耐圧を向上する作用を奏する。
【0036】
図5は、本実施例に係る半導体パワーデバイスの平面視構造模式図であり、該実施例の図面は、本実施例に係る半導体パワーデバイスにおけるコレクタ領域とMOSFET領域との間の分圧構造を模式的に示し、図5は、ポリシリコンが充填された3つの分圧トレンチ602のみを模式的に示し、分圧トレンチ602はゲートトレンチ601とコレクタ領域(図5に示されていない)との間に位置し、コレクタ領域は、コレクタコンタクト金属層702によってコレクタ電圧に接続され、ソースコンタクト金属層701は、ソース領域(図5に示されていない)とボディ領域(図5に示されていない)と引き出してソース電圧に接続させる。本実施例に係る半導体パワーデバイスにおける分圧構造は、フィールドプレート又はフィールドリミティングリングであってもよく、本実施例に更に示さない。一実施例において、ゲートトレンチ601と分圧トレンチ602とは、同様なトレンチ構造として、同一の製造プロセスに形成されてもよく、図5は、同じ充填方法でゲートトレンチ601と分圧トレンチ602とを示し、同様に、図5は、同じ充填方法でソースコンタクト金属層701とコレクタコンタクト金属層702とを示している。
【0037】
図6は、本実施例に係る図3に示される半導体パワーデバイスの出力電流の曲線模式図である。図6に示すように、本実施例に係る半導体パワーデバイスのコレクタ領域10を外部配線の形態でドレイン領域20と電気的な短絡を実現することにより、コレクタ領域10とドレイン領域20とは同時にドレイン電圧に接続され、ドレイン電圧が0.9V程度であるとき、IGBT構造は、動作を開始して半導体パワーデバイスの内部に正孔を注入し、半導体パワーデバイスの底部のドレイン電流を顕著に増加させる。
【0038】
図7は、本実施例に係る他の半導体パワーデバイスの断面構造模式図であり、図7に示される半導体パワーデバイスと図3に示される半導体パワーデバイスとの相違点は、以下の通りである。コレクタ領域10は半導体基板100に位置し、且つドレイン領域20の上に位置し、コレクタ領域10はドレイン領域20と接続してpn接合構造を形成し、該pn接合は高濃度ドーピングしたp型ドープと高濃度ドーピングしたn型ドープにより形成されたため、該pn接合内には相対的に大きいトンネル電流があり、これにより、コレクタ領域10とドレイン領域20とは電気的な短絡に近似し、この時、コレクタ領域10は個別に引き出してコレクタ電圧に接続する必要がなく、ドレイン領域20に適切なドレイン電圧を印加するとき、pn接合がトンネリングし、これはコレクタ領域10にコレクタ電圧を印加することに相当する。
【0039】
コレクタ領域10はドレイン領域20と接続してpn接合を形成するとき、コレクタ領域10は、半導体基板100に位置する第2の導電型のドープ領域であってもよく、半導体基板100に形成された第2の導電型のポリシリコン導電柱であってもよく、図7は、コレクタ領域10が半導体基板100に形成された第2の導電型のポリシリコン導電柱である場合を例として示す。
【0040】
一実施例において、本実施例に係る半導体パワーデバイスのMOSFETセルにおいて、ボディ領域の下方に第2の導電型の柱状ドープ領域が更に形成されてもよく、該柱状ドープ領域のドープ不純物とドリフト領域のドープ不純物とは電荷バランスを形成することにより、本実施例に係る半導体パワーデバイスのMOSFETセルは、スーパージャンクション構造を採用したMOSFET構造となり、スーパージャンクション構造の半導体パワーデバイスは、関連技術における通常構造であり、本実施例に更に示して説明しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7