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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】人形
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/46 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A63H3/46 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018003957
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019122505
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年1月8日都立産業貿易センター台東館(東京都台東区花川戸2-6-5)において開催されたドールショウ52冬浅草で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】391053917
【氏名又は名称】株式会社オビツ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】尾櫃 充代
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3185950(JP,U)
【文献】特開2009-050940(JP,A)
【文献】特開2006-158542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0014727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材との間に関節部を備えると共に、少なくとも第二部材と関節部とが回動可能に連結される棒状部材を有し、前記第一部材が胴体側に連結されてなる人形であって、
前記第二部材は、相対向する二片の軸着片を有するとともに、前記関節部と軸を中心に前後方向に回動可能に軸着され、前記二片の軸着片の間には、それぞれ凹状に窪んだ領域が形成されており、
前記関節部は、前記第二部材の軸着片間に下端部が収容され、前記二片の軸着片のそれぞれの先端領域を収容する二つの凹部を有し、前記二片の軸着片との軸着部は前記凹部内に設けられており、
前記軸着部の中心位置から前記軸着片の先端までの距離をaとし、前記軸着部の中心位置から前記関節部本体の外周面までの距離をbとしたとき、a<bの関係を有し、
前記関節部の下端部は、曲率半径が大きく緩やかな曲面をもつ幅広に形成され、前記下端部の曲面は、前記第二部材を軸中心として前後方向に回動させた際に、前記第二部材の凹状に窪んだ領域に形成された最深部の略軌跡上に位置することを特徴とする人形。
【請求項2】
前記軸着部の中心位置から前記最深部までの距離をc、前記軸着部の中心位置から前記関節部の下端部の曲面までの距離をdとしたとき、c≒dの関係を有することを特徴とする請求項1に記載の人形。
【請求項3】
前記棒状部材は人形の腕部であって、
前記第一部材は上腕、前記第二部材は下腕、前記関節部は肘部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴体に脚部や腕部などの棒状部材が備えられている人形に関し、より詳細には、胴体に備えられる棒状部材の中間に配される関節領域に特徴を有する人形に関する。
【0002】
本明細書において、「人形」とは、胴体と脚部と腕部と頭部を備えた人形全般に限らず、頭部を備えていない所謂人形用素体といわれるものをも含む概念とする。また、少なくとも脚部や腕部などの所要箇所が可動可能に構成されている人形であれば全てが対象とされる。例えば人間の男性・女性を表現した人形に限らず、動物や空想上の生物若しくはロボットや怪獣などの人形であってもよい。
【0003】
「胴体」は、一般的には人形の腕部と脚部と頭部を除いた部分とされるが、胴体は頭部を備える概念としてもよい。
「棒状部材」は、胴体に取り付けられている腕部や脚部を本明細書では実施形態とするが、頭部であってもよく、動物や怪獣の尾、又は昆虫の触角などであってもよく、あるいはロボットのアンテナなどであってもよく、胴体に棒状に取り付けられている部材の全てを含む概念とする。
「上腕」とは、腕部付け根位置(肩位置との連結部位)あたりから肘上あたりまでをいい、「下腕」とは、肘下あたりから手首あたりまでをいい、「手部」とは手首あたりから先端(指先)までをいうものとする。
【背景技術】
【0004】
昨今の人形業界において、例えば、人間の身体(裸体)形態を忠実に模写した構成を有するフィギュアと称される人形が、特に、成人男性や成人女性などの大人の需要者層に人気を得ている。
【0005】
そして、これら成人男性や成人女性などの需要者は、人間の外観形態や関節などの動きを忠実に求めており、その需要者ニーズはきわめて高いものである。
特許文献1では、上腕と下腕(前腕)との間に関節部(連結部材)を配し、上腕と関節部、下腕と関節部とを、それぞれ別軸(二軸)にて連結し、上腕と関節部との間、及び下腕と関節部との間で二重の可動を得ることができるように構成し、肘領域における可動範囲を大きくしている。すなわち、いわゆる二重関節と称される関節構造を提供し、より人間の動きに近いリアルな可動を再現しようとしている。特に、特許文献1では、肘を曲げたときに、人間と同じように肘が外側に尖るような構成を表現できるようにすることを目的としている。
【0006】
フィギュア需要者層のニーズは留まるところを知らず、よりリアリティな外観形態や動きを求めてきている。
例えば、特許文献1に開示の肘関節(二重関節)の場合、肘を構成している関節部が、下腕(前腕)の先端に形成されている開口溝に嵌合する薄肉部と、外側に形成されている厚肉部とで構成されており、この厚肉部の外観形状が肘部を表現している。
しかし、特許文献1では、肘部を曲げたときにこの薄肉部が外側に突出することにより肘が外側に尖る構成を表現しているものであるが、肘を曲げる動作をとったとき、薄肉部の下端部と下腕(前腕)の開口溝との間に顕著な隙間(大きな隙間)が生じてしまう。すなわち、特許文献1では、肘を構成する関節部と下腕(前腕)との間に形成される隙間の処理については何等配慮されているものではなかった。
このように肘領域において隙間が顕著に視認されてしまうと、よりリアリティを求める需要者の興趣を低下させるばかりか、需要者の人形購買意欲を損なう虞を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-34400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、関節部領域において回動作動中に生ずる隙間を極力小さくすることにより、リアリティが高く購買意欲を惹起可能な人形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、第1の本発明がなした技術的手段は、第一部材と第二部材との間に関節部を備えると共に、少なくとも第二部材と関節部とが回動可能に連結される棒状部材を有し、前記第一部材が胴体側に連結されてなる人形であって、
前記第二部材は、相対向する二片の軸着片を有するとともに、前記関節部と軸を中心に前後方向に回動可能に軸着され、前記二片の軸着片の間には、それぞれ凹状に窪んだ領域が形成されており、
前記関節部は、前記第二部材の軸着片間に下端部が収容され、前記二片の軸着片のそれぞれの先端領域を収容する二つの凹部を有し、前記二片の軸着片との軸着部は前記凹部内に設けられており、
前記軸着部の中心位置から前記軸着片の先端までの距離をaとし、前記軸着部の中心位置から前記関節部本体の外周面までの距離をbとしたとき、a<bの関係を有し、
前記関節部の下端部は、曲率半径が大きく緩やかな曲面をもつ幅広に形成され、前記下端部の曲面は、前記第二部材を軸中心として前後方向に回動させた際に、前記第二部材の凹状に窪んだ領域に形成された最深部の略軌跡上に位置することを特徴とする人形としたことである。
【0010】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記軸着部の中心位置から前記最深部までの距離をc、前記軸着部の中心位置から前記関節部の下端部の曲面までの距離をdとしたとき、c≒dの関係を有することを特徴とする人形としたことである。
【0011】
第3の本発明は、第1の本発明又は第2の本発明において、前記棒状部材は人形の腕部であって、
前記第一部材は上腕、前記第二部材は下腕、前記関節部は肘部であることを特徴とする人形としたことである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、関節部領域において回動作動中に生ずる隙間を極力小さくすることにより、リアリティが高く購買意欲を惹起可能な人形を提供し得た。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の人形の実施形態であって、棒状部材である腕部が真っ直ぐに伸びた状態を示す概略側面図で、人形の上半身部分の概略を仮想線にて示す。
図2図1の状態から第二部材である下腕を前方に向けて回動させた状態を示す概略図である。
図3図2の状態からさらに前方に向けて回動させた状態を示す概略図である。
図4図3の状態からさらに前方に向けて回動させた状態を示す概略図である。
図5】本実施形態の棒状部材を分解して示す概略側面図である。
図6】本実施形態の棒状部材を分解して示す概略背面図である。
図7】本実施形態の棒状部材を分解して示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る人形について、添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施形態にすぎず、何等これらに限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0015】
本実施形態では、人間の身体を表現した人形素体を想定し、人形素体の胴体から一体に連結されている腕部が棒状部材3であって、上腕5が第一部材、下腕(前腕)23が第二部材、そして上腕(第一部材)5と下腕(第二部材)23との間に配設される関節部35が肘部として機能している本発明人形の実施の一形態である。なお、本発明の人形は、棒状部材3の構成に特徴部分を有し、その他の構成部分については、特に限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内において周知の構成が採用可能である。以下、本実施形態の棒状部材(腕部)について詳述し、その他の構成部分についての説明は省略する。
【0016】
上腕(本実施形態の第一部材)5は、上端7と下端9にわたって長さ方向で連通する貫通孔部11を有した略円筒状に形成されており、上端7側は平坦面に形成され、左右の側面13,15の下端側には相対向する二片の突出片17,17を突設し、二片の突出片17,17間に関節部35の一部(上端部37a)が収容される。本実施形態の突出片17,17は、円弧状の先端領域を有している。
【0017】
また、突出片17を備えていない前面19側と後面21側の上端は、それぞれ下端方向に向かって凹状に窪んだ領域19a,21aが形成されており、それぞれ関節部35の可動領域を構成している。すなわち、人間の肘部(関節部)は、後方に曲げることが出来ないが、前方には曲げることが出来るため、前面19側の可動領域(窪み領域19a)の方を、後面21側の可動領域(窪み領域21a)と比して大きく形成してこれを表現している。
【0018】
貫通孔部11の上端側は、胴体1側に連結されている肩部2の下端の突出丸棒部2aを、左右方向に回転可能に差し込み嵌合する第一孔部11aとして機能する。
貫通孔部11の下端側は、関節部35の上端の連結部61を、左右方向に回転可能に差し込み嵌合する第二孔部11bとして機能する。
なお、本実施形態では、上端7と下端9とにわたって連通する貫通孔部11を備えた実施の一例で説明するが、肩部2を連結する第一孔部11aと、関節部35を連結する第二孔部11bとが別々に形成されており、それぞれが連通していない形態であってもよい。
【0019】
下腕(本実施形態の第二部材、前腕とも称する)23は、上方領域23aよりも少し細身の下方領域23bとした略円筒状の外観形態を有し、左右の側面25,27の上端側に相対向する二片の軸着片29,29を突設し、軸着片29は、先端領域29bに行くに従って先細り状に形成されている。それぞれの軸着片29,29には、水平方向で同軸状に下腕側軸孔29a,29aが形成されている。本実施形態の軸着片29は、円弧状の先端領域を有している。
【0020】
また、軸着片29を備えていない前面31側と後面33側の上端は、それぞれ凹状に窪んだ領域31a,33aが形成されており、それぞれ関節部35の可動領域を構成している。すなわち、上述したとおり、人間の肘部(関節部)は、後方に曲げることが出来ないが、前方には曲げることが出来るため、前面37側の可動領域(窪み領域31a)の方を、後面33側の可動領域(窪み領域33a)と比して大きく形成してこれを表現している。
【0021】
軸着片29は、図5に示すように、側面視において、窪み領域31aの最深部31bから先端領域29bにわたり、ほぼ直線状の面部を有するとともに、窪み領域33aの最深部33bから先端領域29bにわたり、ほぼ曲線状の面部を有している。
【0022】
肘部(本実施形態の関節部)35は、上腕(第一部材)5の下端9に向けて円弧状に突出する上端部37aと、下腕(第二部材)23の上端に向けて円弧状に突出する下端部39aと、を有し、上端部37aを含む上方領域37は全体的に丸みを帯びた厚肉状に形成され、下端部39aを含む下方領域39は、上方領域37と比して全体的に平坦な薄肉状に形成されている(図5乃至図7)。
また、本実施形態では、上腕5の下端9側の第二孔部11bに差し込み嵌合される連結部61が上端部37aに突設されている。
【0023】
本実施形態において肘部(関節部)35は、左右二分割構成とした関節部本体41,41と、それぞれの関節部本体41,41の上端側の内面間に摺動可能に嵌合され、かつ上端から突設される連結部61とで構成されている(図7)。
【0024】
連結部61は、第二孔部11bに差し込み嵌合可能な丸棒状の連結部本体63と、連結部本体63の基端側に一体成形されている円板状の基部65とで構成されており、基部65には左右の平面にわたって貫通する基部側軸孔67と、左右の平面に突設されているガイド突起69と、を備えて構成されている。ガイド突起69は、上腕5の第二孔部11bに連結部本体63を差し込み嵌合してセットしたときに、基部側軸孔67よりも下方で、かつ後方寄りに突設されている(図5及び図7)。
【0025】
関節部本体41は、左右に二分割構成されたそれぞれの上端側の内面には、連結部61の基部65を摺動可能に嵌合する凹部43,43が形成されており、一方の凹部43の中心には、他方の凹部43の嵌合孔部43aに挿入される棒状に突出した嵌合部43bが設けられている(図7)。
従って、関節部本体41は、この嵌合部43bが連結部61の基部65に設けられている基部側軸孔67に摺動可能に挿入されることによって前後方向に回動可能となる。
【0026】
凹部43には、基部65のガイド突起69をスライド移動可能に収容するスライド溝部45が円弧状に凹設されている(図5及び図7)。ガイド突起69とスライド溝部45とは、下腕23を回動させるときの関節部35の可動を制限する機能を有している。
【0027】
スライド溝部45は、上腕5と下腕23を真っ直ぐにした状態(図1の状態)のときの基部65のガイド突起69が当接する位置が第一の溝端部45aで、この第一の溝端部45aを基点として上方に向けて円弧状に凹設され、基部側軸孔67と横並び位置に第二の溝端部45bが形成されている(図7)。スライド溝部45は基部65と同じ円弧状に形成されている。
【0028】
関節部本体41は、上端部37aと下端部39aとを結ぶ外側の周面(外周面)47が外側に向けて緩やかな円弧状に突出し、内側の周面(内周面)49が外側に向けて緩やかな円弧状に窪んでいる。
下方領域39の左右の両側面は、下腕23の上端側に位置する二片の軸着片29,29のそれぞれの先端領域29b,29bを収容する凹部51,51が形成されている(図1乃至図5及び図7)。
それぞれの凹部51,51内には、左右両側面にわたって貫通した所定径の第一の軸孔53と第二の軸孔55とが形成されている。第一の軸孔53と下腕側軸孔29aと第二の軸孔55とにわたって同軸上に軸着する丸棒状の第一の軸部57が嵌め込まれることにより、下腕(第二部材)23が回動可能に構成される。図中59は軸着部の中心位置を示す。
【0029】
本実施形態によれば、下腕23を前方に回動させ、前面31側の窪んだ領域31aが関節部本体41の内側の周面(内周面49)に当接してその回動が制限(制限)された後(図3の状態になった後)、関節部本体41を前方に向けて回動させることにより下腕23がさらに回動する。
そして、図3の状態から嵌合部43bを軸として関節部本体41が前方に向けて回動し、これに伴って下腕23が前方に向けてさらに回動する(図4)。そして、スライド溝部45の第二の溝端部45bにガイド突起69が当接することで回動動作は制御(制限)される(図4)。また、この動作とは逆に、下腕23を後方に向けて回動させて腕部(棒状部材)3を真っ直ぐにした状態とする場合、ガイド突起69がスライド溝部45の第一の溝端部45aに当接し、それ以上の回動が制御(制限)される。
【0030】
本実施形態では、軸着部の中心位置59から軸着片29の先端領域29bまでの距離をaとし、軸着部の中心位置59から関節部本体41の外周面47までの距離をbとしたとき、a<bの関係を有するように構成されている(図1乃至図5)。
このように構成することにより、下腕23の上端側の軸着片29は、下腕23を回動させる動作をしたとき、回動時のいずれのときでも関節部本体41の外周面47から外方に突出することがないため、人間の肘部ではあり得ない突出部分が表れることもなく、肘部外観のリアリティを向上し得る(図1乃至図4)。
【0031】
本実施形態の関節部本体41は、円弧状の上端部37aに対して、円弧状の下端部39aの方が、曲率半径が大きく緩やかな曲面をもつ幅広に形成され(図1乃至図5)、下端部39aの曲面は、下腕23を、第一の軸部57の軸中心(軸着部中心位置)59で前後方向に回動させた際に、下腕23の軸着片29,29同士の間に形成されている凹状に窪んだ領域33aの最深部33bの略軌跡上に位置するように形成されている(図1乃至図4の回動状態を参照。)。すなわち、下腕23の軸着部の中心位置59から凹状に窪んだ領域33aの最深部33bまでの距離をc、軸着部の中心位置59から関節部35(関節部本体41)の下端部39aの曲面までの距離をdとしたとき、距離cと距離dとが略同じ、若しくは距離cの方が距離dよりも多少長い関係(c≒dの関係)を有するように形成されている。
本実施形態では、図1に示す状態(腕部3を真っ直ぐにしている状態)から前方に向けて回動を開始し、図2に示す状態、すなわち、下腕23の最深部33bが、少なくとも、下端部39aの最も突出している領域39bを通過するまでは、最深部33bの略軌跡上に位置するように下端部39aの曲面が形成されている。
【0032】
このように下端部39aを形成することにより、下腕23を前方に回動させていく動作中において、下腕23の軸着片29との間、すなわち、後面33側の可動領域(窪み領域33a)の最深部33bから、曲率半径が大きく緩やかな曲面をもつ幅広状の下端部39aの外周面39bが離間しないため、窪み領域33aの最深部33bとの間に生じる隙間G1が極小となる(図2)。これにより、よりリアリティを求める需要者の興趣が向上し、需要者の人形購買意欲を惹起せしめることとなる。
【0033】
上述した本実施形態では、人形の肘部の関節構造について説明したが、本発明は、人形の膝部の関節構造にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、第一部材と第二部材の間に関節部を有する棒状部材が胴体に備えられている人形であれば、人型・怪獣型など人形の種類を問わず全ての人形に利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 胴体
3 棒状部材(腕部)
5 上腕(第一部材)
23 下腕(第二部材)
33b 最深部
35 肘部(関節部)
39a 下端部
41 関節部本体
47 外周面
61 連結部
G1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7