(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】野菜の皮剥き装置
(51)【国際特許分類】
A23N 7/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A23N7/00 A
(21)【出願番号】P 2018104558
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505467672
【氏名又は名称】渡辺精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好見
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭佑
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-169461(JP,A)
【文献】特開2015-104372(JP,A)
【文献】特開2014-097005(JP,A)
【文献】米国特許第05857404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 1/00-15/02
A47J 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜の搬送路を形成する搬送路形成部材と、
野菜を自転させながら当該野菜の後端を押すことによって当該野菜を前記搬送路に沿って移動させる野菜自転搬送手段と、
前記搬送路の外側において当該搬送路に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の外刃と、
前記搬送路の内側において当該搬送路に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の内刃と、
前記外刃を前記搬送路へ向けて弾性的に付勢する外刃付勢手段と、
前記内刃を前記搬送路へ向けて弾性的に付勢する内刃付勢手段と、
を有しており、
前記搬送路に沿って自転しながら移動する野菜の皮を前記外刃及び前記内刃によって剥く野菜の皮剥き装置において、
前記搬送路は曲り角度が全体を通してプラス側(ゼロを含む)である曲線形状であり、
前記外刃が前記野菜を押す力は前記内刃が前記野菜を押す力よりも大きい
ことを特徴とする野菜の皮剥き装置。
【請求項2】
前記搬送路は水平面内に存在しており、
前記搬送路の底部には野菜を載せる野菜載置部材が設けられ、
当該野菜載置部材は弾性部材によって前記搬送路へ向かう方向へ付勢されており、
前記搬送路形成部材は、前記野菜載置部材、前記外刃及び前記内刃を有する
ことを特徴とする請求項1記載の野菜の皮剥き装置。
【請求項3】
野菜が
自転のために前記搬送路から外れて移動することを防止する矯正板を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の野菜の皮剥き装置。
【請求項4】
前記外刃の上流側の近傍に設けられたガイド部材をさらに有しており、
前記搬送路形成部材は前記野菜載置部材、前記外刃、前記内刃及び前記ガイド部材を有する
ことを特徴とする
請求項2記載の野菜の皮剥き装置。
【請求項5】
前記ガイド部材と前記外刃は一体物として形成されており、当該一体物が前記外刃付勢手段によって弾性的に付勢されることを特徴とす
る請求項
4記載の野菜の皮剥き装置。
【請求項6】
野菜が
自転のために前記搬送路から外れて移動することを防止する矯正板が前記ガイド部材の上部に設けられることを特徴とする
請求項4又は請求項5記載の野菜の皮剥き装置。
【請求項7】
前記外刃の先端は前記内刃の先端よりも野菜搬送路の上流側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の野菜の皮剥き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参、大根、薩摩芋等といった野菜の皮剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)
野菜の皮剥き装置として特許文献1に開示されたものがある。同公報に開示された野菜の皮剥き装置は、直線状に形成された野菜の搬送路と、野菜を自転させながら上記搬送路に沿って移動させる野菜自転搬送構造と、上記搬送路の両側に配置された刃とを有している。上記の野菜自転搬送構造は、野菜の後端部に刺さるピンを備えた円板部材と、この円板部材を上記の搬送路に沿って移動させるチェーンコンベヤと、この円板部材を自転させる回転駆動構造とによって構成されている。野菜としての人参は、自転する円板部材によって駆動されて自転しながら、チェーンコンベヤによって駆動されて搬送路に沿って移動する。そして、この移動中に野菜の皮が上記の刃によって剥かれる。
【0003】
特許文献1に開示された従来の野菜の皮剥き装置においては、野菜の搬送路が直線状に形成されていたので、装置の全体形状が長くなり、結果的に大きな設置領域が必要になるという問題があった。
【0004】
(特許文献2)
また、野菜の皮剥き装置として特許文献2に開示されたものがある。同公報に開示された野菜の皮剥き装置においては、回転円板が平面的に設けられ、この回転円板の周縁部分に複数の根菜支持機構部が互いに間隔をおいて円環状に設けられている。回転円板が回転すると複数の根菜支持機構部が円形状の搬送路に沿って移動する。この根菜支持機構部の搬送路に沿って複数の皮剥き機構部が設置され、さらに根菜支持機構部の搬送路上に1つの根菜排出機構部が設置されている。
【0005】
作業者は根菜支持機構部に野菜をセットする。セットされた野菜は円形状の搬送路に沿って搬送される。搬送される野菜が複数の皮剥き機構部の個々に到着すると、回転円板の回転が停止し、個々の皮剥き機構部によって野菜の皮が剥かれる。皮が剥かれた野菜が根菜排出機構部に到着すると、その根菜排出機構部の働きにより野菜が回転円板の外部へ排出される。
【0006】
特許文献2に開示された従来の野菜の皮剥き装置においては、回転円板上に複数の根菜支持機構部、複数の皮剥き機構部、及び根菜排出機構部といった複数の機構部が設置されるので回転円板の直径が非常に大きくならざるを得ず、その結果、野菜の皮剥き装置の大きさが非常に大きくなるという問題があった。
【0007】
また、作業者が手作業によって野菜を根菜支持機構部にセットしなければならないので、短時間に多量の野菜の皮剥きを行うことができないという問題があった。
【0008】
(特許文献3)
さらに、野菜の皮剥き装置として特許文献3に開示されたものがある。この従来の野菜の皮剥き装置においては、回転円板が垂直状に設置され、この回転円板の側面に複数の野菜保持アームが設けられている。これらの野菜保持アームは回転円板の中心部分から半径方向に向けて放射状に延びている。複数の野菜保持アームの先端部分には野菜支持部が設けられ、この野菜支持部には回転円板が回転したときに野菜を自転させるための自転機構が設けられている。
【0009】
作業者は野菜保持アームの先端部に野菜をセットする。回転円板が回転すると野菜は円形状の搬送路に沿って移動する。この移動中、野菜は上記自転機構の働きによって自転する。円形状の野菜搬送路に沿って複数の刃物手段が互いに間隔をおいて設けられている。自転しながら搬送される野菜がこれらの刃物手段を通過するときに、それらの刃物手段に含まれる刃によって野菜の皮が剥かれる。
【0010】
特許文献3に開示された野菜の皮剥き装置においては、野菜保持アームによって野菜を搬送及び自転させるための構造が非常に複雑であり、それ故、野菜の皮剥き装置を製造する作業を慎重に行う必要があり、さらに、保守管理が簡単ではないという問題があった。
【0011】
また、作業者が手作業によって野菜を野菜保持アームにセットしなければならないので、短時間に多量の野菜の皮剥きを行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2017-169461号公報
【文献】特開2008-278807号公報
【文献】特開2010-273607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、構造が簡単であり、簡単に製造でき、全体形状が小型であり、短時間に多量の野菜の皮剥きを行うことができる野菜の皮剥き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る野菜の皮剥き装置は、野菜の搬送路を形成する搬送路形成部材と、野菜を自転させながら当該野菜の後端を押すことによって当該野菜を前記搬送路に沿って移動させる野菜自転搬送手段と、前記搬送路の外側において当該搬送路に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の外刃と、前記搬送路の内側において当該搬送路に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の内刃と、前記外刃を前記搬送路へ向けて弾性的に付勢する外刃付勢手段と、前記内刃を前記搬送路へ向けて弾性的に付勢する内刃付勢手段と、を有しており、前記搬送路に沿って自転しながら移動する野菜の皮を前記外刃及び前記内刃によって剥く野菜の皮剥き装置において、前記搬送路は曲り角度が全体を通してプラス側(ゼロを含む)である曲線形状であり、前記外刃が前記野菜を押す力は前記内刃が前記野菜を押す力よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
この野菜の皮剥き装置によれば、野菜の搬送路が円形状、楕円形状、長円形状等といった曲線形状に形成されている。このため、野菜の搬送路を直線状に形成した従来の野菜の皮剥き装置に比べて野菜の皮剥き装置の全体を小型に形成できる。その結果、本発明の野菜の皮剥き装置は狭い空間内に設置できる。
【0016】
また、本発明の野菜の皮剥き装置においては、外刃が野菜を押す力は内刃が野菜を押す力よりも大きい。このため、野菜を円形状等に曲がった野菜搬送路に沿って無理なく移動させることができ、しかも野菜の自転を円滑に行なうことができる。この結果、野菜を綺麗に皮剥きできる。
【0017】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第2の発明態様において、前記搬送路は水平面内に存在しており、前記搬送路の底部には野菜を載せる野菜載置部材が設けられ、当該野菜載置部材は弾性部材によって前記搬送路へ向かう方向へ付勢されており、前記搬送路形成部材は、前記野菜載置部材、前記外刃及び前記内刃を有する。
上記の水平面とは、厳密には重力が作用する方向である鉛直方向と直交する面のことであるが、実用上で差し支えの無い範囲で厳密な水平面に対して傾斜する場合も含む概念である。
【0018】
この第2の発明態様によれば、野菜搬送路が水平面内に存在している。そして、野菜の重さは専ら野菜載置部材によって受けられている。このため、内刃や外刃に野菜から無用な力が加わることが無い。この結果、内刃及び外刃によって迅速で綺麗な皮剥きを行うことができる。
【0019】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第3の発明態様は、野菜が自転のために前記搬送路から外れて移動することを防止するための矯正板を有している。この構成により、搬送される野菜が自転によって搬送路から外れることを防止できる。
【0020】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第4の発明態様は、前記外刃の上流側の近傍に設けられたガイド部材をさらに有しており、前記搬送路形成部材は前記野菜載置部材、前記外刃、前記内刃及び前記ガイド部材を有する。この構成によれば、外刃の上流側にガイド部材を設けたので、野菜はそのガイド部材によって安定して滑らかに外刃へ向けられる。このため、野菜の長さが長い場合でも外刃と内刃とで綺麗な皮剥きを行うことができる。
【0021】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第5の発明態様において、前記ガイド部材と前記外刃は一体物として形成されており、当該一体物が前記外刃付勢手段によって弾性的に付勢される。この構成により、ガイド部材と外刃とを野菜搬送路の周辺の狭い領域内に効率的に配置することが可能となり、野菜の皮剥き装置の全体形状をより一層小型に形成できる。
【0022】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第6の発明態様は、野菜が自転のために前記搬送路から外れて移動することを防止する矯正板が前記ガイド部材の上部に設けられる。この構成により、ガイド板と矯正部材とを狭い領域内に配置することが可能となる。
【0023】
本発明に係る野菜の皮剥き装置の第7の発明態様において、外刃の先端は内刃の先端よりも野菜搬送路の上流側に位置していることを特徴とする。この構成により、搬送路が円形状等のように湾曲する場合でも、外刃と内刃とによって野菜を搬送路に沿って滑らかに搬送できる。
【発明の効果】
【0024】
本実施形態では、野菜搬送路に沿って複雑な装置が配置されるのではなく、単に刃(外刃、内刃)が配置されるだけなので、構造が簡単であり、簡単に製造できる。また、停止することなく連続的に搬送される野菜が刃(外刃、内刃)を通過する間にその野菜の皮が剥かれるので、短時間に多量の野菜の皮剥きを行うことができる。
【0025】
本発明の野菜の皮剥き装置によれば、野菜の搬送路が円形状、楕円形状、長円形状等といった曲線形状に形成されている。このため、野菜の搬送路を直線状に形成した従来の野菜の皮剥き装置に比べて野菜の皮剥き装置の全体を小型に形成できる。その結果、本発明の野菜の皮剥き装置は狭い空間内に設置できる。
【0026】
また、本発明の野菜の皮剥き装置においては、外刃が野菜を押す力は内刃が野菜を押す力よりも大きい。このため、野菜を円形状等に曲がった野菜搬送路に沿って無理なく移動させることができ、しかも野菜の自転を円滑に行なうことができる。この結果、野菜を綺麗に皮剥きできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る野菜の皮剥き装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の野菜の皮剥き装置のカバーを取外したときの野菜の皮剥き装置の正面図である。
【
図3】
図1の野菜の皮剥き装置のカバーを取外したときの野菜の皮剥き装置の側面図である。
【
図4】
図1の野菜の皮剥き装置のカバーを取外したときの野菜の皮剥き装置の平面図である。
【
図5】
図1の野菜の皮剥き装置の内部構造の1つである野菜の載置板組立体を示す斜視図である。
【
図6】
図5の主要部である野菜の載置板ユニットを示す斜視図である。
【
図7】
図1の野菜の皮剥き装置の内部構造の他の1つである内刃組立体を示す斜視図である。
【
図8】
図7の内刃組立体の主要部品である内刃ユニットを示す斜視図である。
【
図12】
図7の内刃組立体を野菜の皮剥き装置の主体フレームに組付けた状態を示す斜視図である。
【
図13】
図1の野菜の皮剥き装置の内部構造のさらに他の1つである外刃組立体を示す斜視図である。
【
図14】
図13の外刃組立体の主要部品である外刃ユニットを示す斜視図である。
【
図18】
図13の外刃組立体を野菜の皮剥き装置の主体フレームに組付けた状態を示す斜視図である。
【
図19】
図18の矢印Oに従って外刃組立体と内刃組立体と野菜載置板組立体とを組付けた状態を示す平面図である。
【
図20】
図19に示す構造から外刃上板及び内刃上板を取り外した状態を示す図である。
【
図23】野菜搬送路のさらに他の一例を示す図である。
【
図26】
図4に示す構造から主体フレームの天板及びラック板を取り外した状態を示す図である。
【
図27】
図26に示す野菜の皮剥き装置1の主要部品である野菜搬送装置を示す斜視図である。
【
図28】
図26に示す野菜の皮剥き装置1の他の主要部品である芯出し装置を矢印BBに従って示す斜視図である。
【
図33】
図28の芯出し装置に人参が挿入された状態を示す斜視図である。
【
図35】自転しながら野菜搬送路上を移動する人参の様子を示す図である。
【
図36】自転しながら野菜搬送路上を移動する人参の他の様子を示す図である。
【
図37】自転しながら野菜搬送路上を移動する人参のさらに他の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る野菜の皮剥き装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0029】
図1は本発明に係る野菜の皮剥き装置の一実施形態を示している。ここに示す野菜の皮剥き装置1は、床2上に置かれる主体フレーム3と、主体フレーム3の前面に取り付けられたカバー4と、野菜供給装置5とを有している。本実施形態の野菜の皮剥き装置1は、野菜としての、特に棒状野菜としての人参の皮剥きを行なうものとする。もちろん、本発明の野菜の皮剥き装置は、人参に限られず、棒状野菜に限られず、任意の形状の野菜に適用できる。
【0030】
図2は、
図1の野菜の皮剥き装置1からカバー4を取り外して、矢印A方向から野菜の皮剥き装置1を見たときの野菜の皮剥き装置1の正面構造を示している。
図3は、
図1の野菜の皮剥き装置1からカバー4を取り外して、矢印B方向から野菜の皮剥き装置1を見たときの野菜の皮剥き装置1の側面構造を示している。
図4は、
図1の野菜の皮剥き装置1からカバー4を取り外して、矢印C方向から野菜の皮剥き装置1を見たときの野菜の皮剥き装置1の平面構造を示している。
【0031】
図2、
図3及び
図4において、符号8は主体フレーム3の天板を示している。主体フレーム3の前面には、上部から順に、ラック板9と、3つの回動アーム10a,10b,10cと、外刃組立体11と、内刃組立体12(
図4参照)と、載置板組立体13とが設けられている。
【0032】
(載置板組立体13)
載置板組立体13は
図5に示すように、円弧形状の底部全体フレーム17と、複数(本実施形態では7個)の載置板ユニット18とを有している。底部全体フレーム17の両端が主体フレーム3の前面19に固定され、底部全体フレーム17の中央部分が主ブラケット20を介して主体フレーム3の前面19に固定されている。
図6は載置板ユニット18を示している。載置板ユニット18は、載置板支持体23と、野菜載置部材としての載置板24と、引張りバネ25とを有している。
【0033】
野菜載置板24は載置板支持体23によって矢印E-E’に示すように上下方向へ回動自在に支持されている。載置板24はバネ25によって矢印E方向(上方句)へ弾性的に付勢されている。バネ25の弾性力は、皮剥きの対象である人参が野菜載置板24の上に載ったときに、人参の重さを受けて野菜載置板24がわずかにE’方向(下方向)へ移動する程度の弾性力に設定されている。
【0034】
(内刃組立体12)
図4の内刃組立体12は、
図7に示すように、内刃上板28と内刃下板29とによって複数(本実施形態では7個)の内刃ユニット30を挟持することによって形成されている。内刃ユニット30は、
図8に示すように、内刃フレーム31と、内刃支持板32と、内刃33とを有している。内刃33は2つのボルト34によって内刃支持板32に固定されている。
【0035】
図9は
図8の矢印Fに従った内刃ユニット30の正面図である。
図10は
図8の矢印Gに従った内刃ユニット30の側面図である。
図11は
図8の矢印Hに従った内刃ユニット30の平面図である。
【0036】
内刃支持板32は内刃フレーム31によって軸線X1の回りに回動自在に支持されている。さらに、
図10に示すように、内刃支持板32の上部と内刃フレーム31の上部との間に引張りバネ35が設けられている。バネ35の働きにより、内刃支持板32及びそれに固定された内刃33は
図11において矢印M1で示す方向へ回動するように弾性的に付勢されている。内刃33の矢印M1方向へのこの回動は所定の位置に設けたストッパ(図示せず)によって止められる。
【0037】
図7及び
図8において、内刃フレーム31は軸線X2において内刃上板28及び内刃下板29に回動自在に支持されている。さらに、内刃フレーム31と内刃上板28との間に内刃付勢手段としての引張りバネ36が設けられている。バネ36の働きにより、内刃フレーム31従って内刃33は軸線X2を中心として矢印Iで示す方向へ弾性的に付勢される。
図12に示すように、内刃組立体12は、載置板組立体13の内側に位置する状態で、主体フレーム3の前面19に固定される。
【0038】
(外刃組立体11)
図4の外刃組立体11は、
図13に示すように、外刃上板40と外刃下板41とによって複数(本実施形態では7個)の外刃ユニット42を挟持することによって形成されている。外刃ユニット42は、
図14に示すように、外刃フレーム43と、外刃支持板44と、外刃45とを有している。外刃45は2つのボルト46によって外刃支持板44に固定されている。
【0039】
図15は
図14の矢印Jに従った外刃ユニット42の正面図である。
図16は
図14の矢印Kに従った外刃ユニット42の側面図である。
図17は
図14の矢印Lに従った外刃ユニット42の平面図である。これらの図において、外刃フレーム43は搬送路形成部材としての外刃ガイド47を有している。外刃支持板44及びそれに固定された外刃45は、外刃ガイド47の先端部に位置している。外刃ガイド47の上部には矯正部材としての矯正板50が設けられている。矯正板50は外刃ガイド47から斜め上方へ張り出す板状部材によって形成されている。矯正板50は、皮剥きの対象である人参が後述する野菜搬送路に沿って移動する際に、その人参が野菜搬送路から外れて上方へ移動することを防止するための部材である。
【0040】
外刃支持板44は外刃フレーム43によって軸線X3の回りに回動自在に支持されている。さらに、
図16に示すように、外刃支持板44の上部と外刃フレーム43の上部との間に引張りバネ48が設けられている。バネ48の働きにより、外刃支持板44及びそれに固定された外刃45は
図17において矢印M2で示す方向へ回動するように弾性的に付勢されている。外刃45の矢印M2方向へのこの回動は所定の位置に設けたストッパ(図示せず)によって止められる。
【0041】
図13及び
図14において、外刃フレーム43は軸線X4において外刃上板40及び外刃下板41に回動自在に支持されている。さらに、外刃フレーム43と外刃上板40との間に引張りバネ49が設けられている。バネ49の働きにより、外刃フレーム43従って外刃45は軸線X4を中心として矢印Nで示す方向へ弾性的に付勢される。
図18に示すように、外刃組立体11は、内刃組立体12の外側に位置する状態で、主体フレーム3の前面19に固定される。
【0042】
(野菜の搬送路)
図19は
図18の外刃組立体11及び内刃組立体12を矢印Oに従って上方から見たときの平面構造を示している。
図19において、外刃組立体11と内刃組立体12との間に載置板組立体13(
図5参照)の野菜載置板24が位置している。
図20は
図19において外刃組立体11の外刃上板40及び内刃組立体12の内刃上板28を取り除いた状態の平面構造を示している。
【0043】
載置板組立体13(
図5参照)の載置板24と、外刃ユニット42の外刃ガイド47(
図13参照)と、外刃45と、内刃33とによって野菜搬送路Pが形成されている。実際の野菜搬送路は皮剥きの対象である人参の幅に対応した幅を持っているが、
図20では野菜搬送路の中心線Pをもって搬送路として描いている。本実施形態の場合、野菜搬送路Pは水平面内に存在するものとして設定されている。水平面内とは重力が作用する方向である鉛直方向と直交する方向である。また、直交する方向とは厳密に90°の角度を成す方向に限られるものではなく、90°の角度から外れて傾く場合であっても実質的に野菜の搬送が可能である程度に傾いている場合も含むものである。
【0044】
皮剥きの対象が人参以外の野菜である場合には、外刃ガイド47を用いること無く、載置板24、外刃45及び内刃33によって野菜搬送路Pを形成することも可能である。また、野菜搬送路Pが鉛直面内に存在するものとして設定される場合には、野菜載置板24を用いること無く、外刃45と内刃33とによって野菜搬送路Pを形成することも可能である。
【0045】
なお、本実施形態の場合、野菜搬送路Pは
図21に示すように曲り角度βが全体にわたってプラス側の値で一定である円形状に設定している。しかしながら、野菜搬送路Pは
図22に示すように曲り角度βが変化する楕円形状に設定することもできる。また、野菜搬送路Pは
図23に示すように曲り角度βが部分的にβ=0°になるような形状である長円形状に設定することもできる。しかしながら、野菜搬送路Pは
図24に示すように曲り角度βがマイナスの値になるような形状には設定されない。その理由は、
図24のような形状を採用すると、野菜の皮剥き装置の全体形状を小型にできないからである。
【0046】
図25は
図20において矢印Qで示す部分(すなわち、一対の外刃ユニット42と内刃ユニット30とが接触している部分)を拡大して示している。
図25において、引張りバネ49の働きにより軸線X4を中心として矢印Nのように野菜搬送路Pへ向けて付勢されている外刃ユニット42の回動はストッパ51bによって止められる。また、引張りバネ36の働きにより軸線X2を中心として矢印Iのように野菜搬送路Pへ向けて付勢されている内刃ユニット30の回動はストッパ51aによって止められる。内刃ユニット30の回動及び外刃ユニット42の回動がストッパ51a,51bによって止められた状態で、内刃33と外刃45とが野菜搬送路P上において互いに接近している。この状態において、外刃ユニット42内の外刃45及び内刃ユニット30内の内刃33は、ぞれぞれ、野菜搬送路Pに沿って送られてきた野菜(本実施形態では人参AA)の皮を剥くことができる状態にセットされる。
【0047】
本実施形態においては、バネ49によって外刃45が人参AAを押す力が、バネ36によって内刃33が人参AAを押す力よりも大きくなるように設定されている。つまり、円形状に湾曲している野菜搬送路Pの外側に位置する外刃45が人参AAを押す力が、野菜搬送路Pの内側に位置する内刃33が人参AAを押す力よりも大きくなるように設定されている。この設定により、野菜搬送路Pが湾曲している場合であっても、人参AAをその野菜搬送路Pに沿って円滑に移動させることができる。
【0048】
また、本実施形態においては、外刃45の先端が内刃33の先端よりも野菜搬送路Pの上流側(
図25の左側)に位置している。これにより、人参AAは円形状に曲がった野菜搬送路Pに沿って無理なく移動でき、しかも人参AAの自転を円滑に行なうことができる。この結果、人参AAを綺麗に皮剥きできる。しかしながら、外刃45の先端と内刃33の先端とが野菜搬送路Pに沿って同じ位置にある場合や、内刃33の先端が外刃45の先端よりも野菜搬送路Pの上流側に位置する場合においても、それらの刃による野菜の皮剥きは可能である。
【0049】
(野菜自転搬送装置)
図26は、
図4において主体フレーム3の天板8、ラック板9、外刃組立体11の外刃上板40及び内刃組立体12の内刃上板28を取り外したときの野菜の皮剥き装置1の平面構造を示している。
図26、
図4及び
図2から理解されるように、上下方向で見て内刃組立体12とラック板9との間に回動アーム10a,10b,10cが設けられている。回動アーム10a,10b,10cは回動板54に固定されている。
【0050】
回動板54は、主体フレーム3の内部に設けた電動モータ61によって駆動されて、
図26の矢印Tで示すように中心線X5を中心として正時計方向へ回動する。回動アーム10a,10b,10cは回動板54の中心線X5から放射状に延びている。回動アーム10a,10b,10cは回動板54の回転に従って中心線X5を中心として矢印Tで示す正時計方向へ回動する。
【0051】
回動アーム10a,10b,10cは、
図27に示すように、両方の側端部に起立部55を有した細長い板状部材によって形成されている。起立部55は回動アーム10a,10b,10cの側端部を上方へ折り曲げたものである。この回動アーム10a,10b,10cは撓むことがない程度の剛性を有している。中心線X5から遠い側の回動アーム10a,10b,10cの端部に野菜搬送装置56が設けられている。野菜搬送装置56は、皮剥きの対象である人参の後端を押して当該人参を前へ進めるという働きと、人参を自転させる働きという2つの役目を担う。ここで自転とは、人参を自らの中心を通る線(すなわち中心線)の周りに回転させることである。
【0052】
野菜搬送装置56は、その上部にピニオンギヤ57を有し、その下部に円盤形状の回転盤58を有している。回転盤58の円形状の面には複数(本実施形態では4個)のピン59が設けられている。ピニオンギヤ57とピン59との間の野菜搬送装置56の内部には、ピニオンギヤ57の軸線X6を中心とした回転を回転盤58の軸線X7を中心とした回転に変換するための動力変換機構60が設けられている。この動力変換機構60は、任意の機構によって構成できるが、例えば部材の回転方向をベベルギヤによって変換するようにした機構を採用できる。
【0053】
図26において回動アーム10a,10b,10cが中心線X5を中心として矢印Tのように回転すると、
図27において野菜搬送装置56の回転盤58は矢印Yで示すように円軌跡上で回動する。この円軌跡Yは
図26における円形状の野菜搬送路Pに一致している。
【0054】
図2、
図3、
図4に示すように、野菜の皮剥き装置1の上部に設けたラック板9の底面の外周端縁にラック62が設けられている。
図27のピニオンギヤ57は
図4に示すようにラック板9のラック62に噛み合っている。このため、回動アーム10a,10b,10cが
図26において矢印Tで示すように正時計方向へ回動すると、ピニオンギヤ57が
図27において中心線X6を中心として矢印Uのように回転する。この回転は動力変換機構60によって回転盤58へ伝達され、その結果、回転盤58が中心線X7を中心として矢印Vのように回転する。この回転は、矢印Wの方向から見た場合に反時計方向の回転である。
【0055】
回転盤58の回動軌跡Yは
図26における野菜搬送路Pと一致しているので、
図26の野菜搬送路P上に人参AAが存在していると、
図27の回転盤58が回動軌跡Yに沿って回動したとき、回転盤58は人参AAの後端に当接して人参AAを野菜搬送路Pに沿って前方へ押し進める。また、このとき、回転盤58に設けられた4本のピン59は人参AAの後端部に刺さる。このため、ピン59が中心線X7を中心として矢印Vのように回転すると、人参AAが一体となって回転する。この回転が人参AAの自転である。つまり、回動アーム10a,10b,10cが矢印Tのように回動すると、
図26の野菜搬送路P上に置かれた人参AAは、
図27において自転しながら円形曲線を描いている野菜搬送路Pに沿って搬送される。なお、ピン59は回転盤58の回転を人参AAに確実に伝えるための部材である。仮にピン59を用いなくても回転盤58の回転が人参AAに伝わるのであるならば、ピン59は用いなくても良い。
【0056】
(野菜供給装置)
図1に示す野菜供給装置5はケーシング66を有している。ケーシング66の上面はV字形状の凹部67となっている。凹部67の底部には全域にわたって細長い開口68が設けられている。開口68はケーシング66の外部と内部とを結ぶ空間である。
図3において、ケーシング66の内部に無端で環状の搬送チェーン69が設けられている。この搬送チェーン69は図示しない駆動装置によって駆動されて矢印Z方向へ周回移動する。駆動装置は任意の構造であるが、例えば、搬送チェーン69を駆動スプロケットと従動スプロケットとによって支持し、駆動スプロケットを電動モータによって回転駆動するという構造を採用できる。
【0057】
搬送チェーン69に複数(本実施形態では4個が描かれている)の押し部材70が互いに間隔をあけて取り付けられている。押し部材70は搬送チェーン69のZ方向への周回移動に応じて周回移動する。周回移動する押し部材70が搬送チェーン69の上側走行部によって搬送されるとき、押し部材70は
図1の開口68を通って外部へ露出する。搬送チェーン69の下側走行部に取り付けられている押し部材70はケーシング66の内部に隠れている。開口68の外部へ露出した押し部材70の前方に皮剥きの対象である人参AAが置かれていると、押し部材70はその人参AAの後端を押して人参AAをケーシング66の上面凹部67上で直線的に移動させる。
【0058】
(芯出し装置)
図26において、野菜供給装置5の前方位置に芯出し装置73が設けられている。
図28は
図26の芯出し装置73を矢印BB方向から見た様子を示している。
図29は
図28の芯出し装置73を矢印CC方向から見た場合の正面図である。
図30は
図28の芯出し装置73を矢印DD方向から見た場合の側面図である。
図31は
図28の芯出し装置73を矢印EE方向から見た場合の平面図である。
図32は
図28及び
図29のFF-FF線に従って芯出し装置73を見た場合の断面図である。
【0059】
図28、
図29、
図30、
図31、
図32において、支柱74a,74bが主体フレーム3(
図26参照)に固定されている。支柱74a,74bの上端に回動アーム75a,75bが取付けられている。回動アーム75a,75bは支柱74a,74bを中心として回動自在である。回動アーム75a,75bの先端に支軸76a,76bが取付けられている。支軸76a,76bによってフレーム77a,77bが支持されている。フレーム77a,77bは支軸76a,76bを中心として回動自在である。フレーム77a及び77bの上面に緩衝部材87a及び87bが固着されている。緩衝部材87a,87bは硬質の樹脂又は硬質のゴムによって形成されている。
【0060】
フレーム77a,77bの内側部分に野菜支持部材78a,78bが設けられている。野菜支持部材78a,78bは、
図30及び
図32に示すように、野菜の進行方向JJに沿って長い部材である。野菜支持部材78a,78bは、下方へ向けてすぼまっている下板79a,79bと、上方へ向けてすぼまっている上板80a,80bと、によって形成されている。皮剥きの対象である野菜は左右の野菜支持部材78a,78bによって挟まれた状態でそれらの野菜支持部材78a,78bによって支持される。野菜支持部材78a,78bの下板79a,79bの上流側の端部及び野菜支持部材78a,78bの上板80a,80bの上流側の端部は外側へ向けて広がる形状となっている。この広がり形状は野菜を受け入れ易くするための形状である。
【0061】
図31に示すように、一方の野菜支持部材78aの下流側(図の左側)の端部と、他方の野菜支持部材78bの下流側(図の左側)の端部との間に引張りバネ81が設けられている。引張りバネ81の働きにより、一方の野菜支持部材78aの下流側(図の左側)の端部と、他方の野菜支持部材78bの下流側(図の左側)の端部は、自然状態において互いに接触又は接近している。
図34に示すように芯出し装置73に野菜としての人参AAが到来すると、一方の野菜支持部材78aの下流側(図の左側)の端部と、他方の野菜支持部材78bの下流側(図の左側)の端部は、引張りバネ81のバネ力に抗して外側へ開く。
【0062】
図29,
図30,
図32に示すように、一方のフレーム77aの底部に引張りバネ82aの一端が接続されている。他方のフレーム77bの底部に引張りバネ82bの一端が接続されている。引張りバネ82a及び82bの他端は主体フレーム3(
図26参照)の適所に接続されている。引張りバネ82a及び82bの働きにより、一方の野菜支持部材78aの上流側(
図31の右側)の端部と、他方の野菜支持部材78bの上流側(
図31の右側)の端部は、自然状態において互いに接近している。
図34に示すように芯出し装置73に野菜としての人参AAが到来すると、一方の野菜支持部材78aの上流側の端部と、他方の野菜支持部材78bの上流側の端部は、引張りバネ82a及び82bのバネ力に抗して外側へ開く。
【0063】
皮剥きの対象となる野菜である人参AA(
図26参照)が芯出し装置73の中に挿入されると、
図33及び
図34に示すように、左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bとが、それぞれ、引張りバネ81,82a,82bのバネ力に抗して外側へ開き移動して、人参AAを招き入れる。このとき、左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bの働きにより、人参AAの中心が常に芯出し装置73に対する一定の位置に合わされる。これにより、人参AAに対する芯出し処理が行われる。
【0064】
(動作)
本実施形態の野菜の皮剥き装置1は以上のように構成されているので、人参の皮剥きを行なう作業者は、まず、
図1において野菜供給装置5の上面凹部67の上に人参AAを置く。置かれた人参AAは、直線状の開口68に沿って移動する押し部材70によって押されて上面凹部67の上で搬送される。上面凹部67はV字形状に形成されているので、人参AAは凹部67から落下すること無く搬送される。
【0065】
搬送された人参AAが
図26において芯出し装置73に達すると、
図3において押し部材70は搬送チェーン69の下側走行部へ移行する。これにより、押し部材70による人参AAの搬送処理が終了し、人参AAは
図33及び
図34に示すように芯出し装置73の左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bとによって挟持される。左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bは支軸74a,74b,76a,76bによって自由に移動できるようになっており、しかも引張りバネ81,82a,82bによって移動が規制されているので、左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bとによって挟持された人参AAは
図26の野菜搬送路Pに対する一定位置にセットされる。供給される複数の人参AAは概ねの形状は同じであるが、細かい部分の形状は種々雑多である。人参AAの外形形状がこのように種々に変化しても芯出し装置73の働きにより、人参AAは野菜搬送路Pに対する一定位置にセットされる。
【0066】
図26において人参AAが芯出し装置73にセットされた後、中心線X5を中心として回動する回動アーム10cが人参AAに達すると、
図27のピン59が人参AAの後端に刺さる。ピン59を支持している回転盤58は自転しながら円状の野菜搬送路Pに沿って移動するので、人参AAは回転盤58に押されて自転しながら野菜搬送路Pに沿って移動する。本実施形態では
図35、
図36、
図37に示すように、人参AAは野菜搬送路Pに対して反時計方向に自転しながら野菜搬送路P上を移動する。
【0067】
図26において、7個の外刃ユニット42と7個の内刃ユニット30によって7個の切削ステージが形成されている。自転しながら野菜搬送路P上を移動する人参AAは、これらの7個の切削ステージにおいて、皮剥き処理を受ける。皮剥きを終了した人参AAは矢印GGのように野菜搬送路Pから排出される。
【0068】
図27に示す野菜搬送装置56において、回動アーム10a,10b,10cの少し下の位置に案内用突起92が設けられている。案内用突起92はピン59よりも前方に突出している。
図26において回動アーム10cが芯出し装置73に到来したときに、芯出し装置73に人参AAがセットされていない場合がある。この場合には、案内用突起92が緩衝部材87a,87bの間に入り込んで
図28の左側野菜支持部材78aと右側野菜支持部材78bとを左右へ押し広げる。これにより、
図27の野菜搬送装置56の下部分が
図28の野菜支持部材78a,78bにぶつかることを回避する。
【0069】
また、場合によっては、
図26において人参AAが存在しない状態で回動アーム10a,10b,10cが中心線X5を中心として回転することがある。この場合には、
図27の野菜搬送装置56の案内用突起92が
図25の案内用ローラ93a及び93bの間に入り込んで内刃ユニット30と外刃ユニット42とを押し広げる。これにより、
図27の野菜搬送装置56の下部分が
図25の内刃33及び外刃45にぶつかることを回避する。
【0070】
本実施形態において、「野菜を自転させながら移動させる野菜自転搬送手段」は、
図4のラック62、回動アーム10a,10b,10c、
図27の野菜搬送装置56、回転盤58、ピン59によって構成されているが、この構造に限定されるものではない。
また、「野菜の搬送路を形成する搬送路形成部材」は、
図20の野菜載置部材24、内刃33、外刃45、外刃ガイド47によって構成されているが、この構造に限定されるものではない。
また、「野菜搬送路の底部に配置された野菜載置部材を野菜搬送路へ向けて弾性的に付勢する弾性部材」は
図6の引張りバネ25によって構成されているが、この構造に限定されるものではない。
また、「内刃を野菜搬送路へ向けて付勢する内刃付勢手段」は
図25の引張りバネ36によって構成されているが、この構造に限定されるものではない。
また、「外刃を野菜搬送路へ向けて付勢する外刃付勢手段」は
図25の引張りバネ49によって構成されているが、この構造に限定されるものではない。
【0071】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、野菜搬送路Pに沿って複雑な装置が配置されるのではなく、単に刃(外刃45、内刃33)が配置されるだけなので、構造が簡単であり、簡単に製造できる。また、停止することなく連続的に搬送される野菜が刃(外刃45、内刃33)を通過する間にその野菜の皮が剥かれるので、短時間に多量の野菜の皮剥きを行うことができる。
【0072】
本実施形態においては、
図26に示すように、野菜搬送路Pが円形状の曲線形状に形成されている。このため、野菜搬送路Pを直線状に形成した場合に比べて野菜の皮剥き装置1を小型に形成できる。その結果、本実施形態の野菜の皮剥き装置1は狭い空間内に設置できる。
【0073】
本実施形態においては、
図25に示すように、外刃45の先端が内刃33の先端よりも野菜搬送路Pの上流側(
図25の左側)に位置している。このため、人参AAは円形状に曲がった野菜搬送路Pに沿って無理なく移動でき、しかも人参AAの自転を円滑に行なうことができる。この結果、人参AAを綺麗に皮剥きできる。
【0074】
また、バネ49によって外刃45が人参AAを押す力が、バネ36によって内刃33が人参AAを押す力よりも大きくなるように設定されている。つまり、円形状に湾曲している野菜搬送路Pの外側に位置する外刃45が人参AAを押す力が、野菜搬送路Pの内側に位置する内刃33が人参AAを押す力よりも大きくなるように設定されている。この設定により、野菜搬送路Pが湾曲している場合であっても、人参AAをその野菜搬送路Pに沿って円滑に移動させることができる。
【0075】
本実施形態においては、
図26において、野菜搬送路Pが水平面内に存在している。そして、人参AAの重さは専ら野菜載置板24によって受けられている。このため、
図25の内刃33や外刃45に人参AAから無用な力が加わることが無い。この結果、内刃33及び外刃45によって迅速で綺麗な皮剥きを行うことができる。
【0076】
本実施形態においては、
図25において、野菜載置板24(
図5及び
図6参照)と、外刃ユニット42の外刃ガイド47(
図13参照)と、外刃45(
図15参照)と、内刃33(
図8参照)とによって野菜搬送路Pが形成されている。また、
図13に示すように、外刃ガイド47の上部分に矯正部材としての矯正板50が設けられている。
図25において人参AAは、自転しながら野菜搬送路P上を移動するので、野菜搬送路Pの上方へ外れるおそれがある。しかしながら本実施形態では矯正板50が野菜搬送路Pの上方位置に張り出しているので、人参AAが上方へ外れることが防止できる。
【0077】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0078】
例えば、上記の実施形態では野菜として人参を考えた。しかしながら、野菜は人参以外の棒状野菜、例えば大根、薩摩芋とすることもできる。また、野菜は棒状野菜以外の野菜とすることもできる。
【0079】
また、
図3に示した野菜供給装置5は無端の搬送チェーン69を使用した。しかしながら、野菜供給装置はこれ以外の任意の構造とすることができる。作業者が手作業で野菜を供給する場合には野菜供給装置は不要である。
【0080】
野菜搬送路Pは、
図21のような円形の曲線形状に限られず、曲り角度が全体を通してプラス側(ゼロを含む)である曲線形状、例えば
図22のような楕円形状や、
図23のような長円形状とすることができる。
図21の円形状では曲り角度βが全体にわたって一定である。
図22の楕円形状では曲り角度βが変化する。
図23の長円形状では曲り角度βが変化すると共にβ=0°の所もある。
図24に示す曲線形状は曲り角度βがマイナスになる領域があるので本発明には含まれない。曲り角度βがマイナスになる領域があると野菜の皮剥き装置を小型に形成したいという本発明の課題を達成できないからである。
【0081】
なお、
図26の実施形態では、野菜搬送路Pを円形の曲線形状としたので、野菜搬送装置56を回動アーム10a,10b,10cによって円形状の軌跡を描くように移動させた。野菜搬送路Pが円形の曲線形状以外の形状に形成される場合には、野菜搬送装置56はその曲線形状に調和した移動軌跡上を移動するように設定される。
【符号の説明】
【0082】
1:野菜の皮剥き装置、 2:床、 3:主体フレーム、 4:カバー、 5:野菜供給装置、 8:主体フレームの天板、 9:ラック板(野菜自転搬送手段)、 10a,10b,10c:回動アーム(野菜自転搬送手段)、 11:外刃組立体、 12:内刃組立体、 13:野菜載置板組立体、 17:底部全体フレーム、 18:載置板ユニット、 19:主体フレームの前面、 20:主ブラケット、 23:載置板支持体、 24:野菜載置部材(搬送路形成部材)、 25:引張りバネ(弾性部材)、 28:内刃上板、 29:内刃下板、 30:内刃ユニット、 31:内刃フレーム、 32:内刃支持板、 33:内刃(搬送路形成部材)、 34:ボルト、 36:引張りバネ(内刃付勢手段)、 40:外刃上板、 41:外刃下板、 42:外刃ユニット、 43:外刃フレーム、 44:外刃支持板、 45:外刃(搬送路形成部材)、 46:ボルト、 47:外刃ガイド(搬送路形成部材)、 48:引張りバネ、 49:引張りバネ(外刃付勢手段)、 50:矯正板、 51a,51b:ストッパ、 54:回動板、 55:起立部、 56:野菜搬送装置(野菜自転搬送手段)、 57:ピニオンギヤ、 58:回転盤(野菜自転搬送手段)、 59:ピン(野菜自転搬送手段)、 60:動力変換機構、 61:電動モータ、 62:ラック(野菜自転搬送手段)、 66:ケーシング、 67:上面凹部、 68:細長い開口、 69:搬送チェーン、 70:押し部材、 73:芯出し装置、 74a,74b:支柱、 75a,75b:回動アーム、 76a,76b:支軸、 77a,77b:フレーム、 78a,78b:野菜支持部材、 79a,79b:下板、 80a,80b:上板、 81:引張りバネ、 82a,82b:引張りバネ、 87a,87b:緩衝部材、 92:案内用突起、 93a,93b:案内用ローラ、 P:野菜搬送路、 AA:人参(野菜)、 β:曲り角度