(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】最小侵襲性即時的インプラント安定化のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/88 20060101AFI20220104BHJP
A61B 17/68 20060101ALI20220104BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/68
A61F2/28
(21)【出願番号】P 2018530586
(86)(22)【出願日】2016-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2016079883
(87)【国際公開番号】W WO2017102433
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-08-16
(32)【優先日】2015-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506345340
【氏名又は名称】ニクリス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フライ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ツィマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファルコ シュロティッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ホルスト
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524187(JP,A)
【文献】特開平11-128245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/88
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)であ
り、
前記ガイドピン(8)は、PTFE及び/又はPFAから選択された熱可塑性合成ポリマー材料で作られる、システム。
【請求項2】
前記陥凹によって空いた空洞を有する多孔質穿孔材料内の陥凹(56)を改善させるためのものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガイドピン(8)は、前記ガイドピン(8)の一端において、又は両端において、前記ガイドピン(8)のそれぞれの端に向かって先細る外周縁(36、38)を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガイドピン(8)は、前記ガイドピン(8)の一端において、又は両端において、前記ガイドピン(8)のそれぞれの端に向かって先細る外周縁(36、38)を有し、前記外周縁(36、38)における前記ガイドピン(8)の主軸に対する前記先細る表面の傾斜角度は、20°~60°の範囲内、又は30°~45°の範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガイドピン(8)は、合成ポリマー材料で作られ、及び/又は、前記ガイドピン(8)は、1.5mm~10mmの範囲内の、又は2mm~4mmの範囲内の、又は2.5mm~3.5mmの範囲内の外径を有し、前記カニュレーション(35)の直径は、0.5mm~3mmの範囲内、又は1mm~2mmの範囲内、又は1.3mm~1.75mmの範囲内にある、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)であり、
前記改善スリーブ(7)を前記陥凹(56)に挿入するための挿入デバイス(5)をさらに備え、前記挿入デバイス(5)は、挿入デバイスカニュレーション(25、26)の形態の軸方向中央貫通ボアを有し、前記ガイドピン(8)が前記ワイヤ(52)を使用して挿入される前に、前記挿入デバイスカニュレーション(25、26)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入されるように提供される、システム。
【請求項7】
前記ガイドピン(8)は、PTFE及び/又はPFAから選択された熱可塑性合成ポリマー材料で作られる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記改善スリーブ(7)を前記陥凹(56)に挿入するための挿入デバイス(5)をさらに備え、前記挿入デバイス(5)は、挿入デバイスカニュレーション(25、26)の形態の軸方向中央貫通ボアを有し、前記ガイドピン(8)が前記ワイヤ(52)を使用して挿入される前に、前記挿入デバイスカニュレーション(25、26)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入されるように提供され、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)の直径は前記挿入デバイスカニュレーション(25、26)の直径と同じであり、前記挿入デバイス(5)の近位端において、前記挿入デバイス(5)はハンドル(23)を備え、及び/又は、前記挿入デバイス(5)の遠位端において、前記陥凹(56)に挿入される距離で前記挿入デバイス(5)の遠位端に円筒外側表面を有する前記挿入デバイス(5)は、減少した外径を有する狭隘化部分(29)及び前記近位端に向かう段移行部(30)を備えて、挿入のため前記改善スリーブを一時的に保持するための形態適合構造を提供し、前記狭隘化部分(29)に隣接する前記挿入デバイス(5)の伸張部分(24)の円筒外側表面(28)の少なくとも一部分は、対向する側面で平坦化されている(57、58)、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)であり、
前記陥凹(56)を改善させる前に、前記陥凹(56)の内側表面を平滑化するためのリーマ(6)をさらに備え、前記リーマ(6)は、リーマカニュレーション(17)の形態の軸方向中央貫通ボアを有し、前記リーマカニュレーション(17)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、前記改善スリーブ(7)を挿入するための挿入デバイス(5)及び/又は前記ガイドピン(8)が前記ワイヤ(52)を使用して挿入される前に、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入されるように提供される、システム。
【請求項10】
前記陥凹(56)を改善させる前に、前記陥凹(56)の内側表面を平滑化するためのリーマ(6)をさらに備え、前記リーマ(6)は、リーマカニュレーション(17)の形態の軸方向中央貫通ボアを有し、前記リーマカニュレーション(17)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、前記改善スリーブ(7)を挿入するための挿入デバイス(5)及び/又は前記ガイドピン(8)が前記ワイヤ(52)を使用して挿入される前に、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入されるように提供され、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)の直径は、前記リーマカニュレーション(17)の直径、また挿入デバイス(5)を使用する場合、前記挿入デバイスカニュレーション(25、26)の直径と同じである、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記中央陥凹(44、45)は、前記円筒ジャケット表面に対して同軸に配置される円形円筒陥凹であり、前記改善スリーブ(7)は前記ガイドピン(8)を受け入れるための円形円筒陥凹を有し、及び、前記ガイドピン(8)は、円形円筒外側表面を有し、前記陥凹の内径は前記ガイドピン(8)の外径と実質的に同じであり、又は、前記改善スリーブ(7)の前記円形円筒陥凹の場合、前記円形円筒陥凹は、液化される材料の量に適合するため、前記ガイドピン(8)の外径より大きく、
及び/又は、前記ガイドピン(8)は、せいぜい当接位置まで前記カラー(4、40)に押込むことができ、前記ガイドピン(8)は、前記当接位置において、せいぜい、前記カラー(4、40)の遠位端と同一平面上になって終わり、又は、前記遠位端を超えて突出する、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記中央陥凹(44、45)は、前記円筒ジャケット表面に対して同軸に配置される円形円筒陥凹であり、前記改善スリーブ(7)は前記ガイドピン(8)を受け入れるための円形円筒陥凹を有し、及び、前記ガイドピン(8)は、円形円筒外側表面を有し、前記陥凹の内径は前記ガイドピン(8)の外径と実質的に同じであり、又は、前記改善スリーブ(7)の前記円形円筒陥凹の場合、前記円形円筒陥凹は、液化される材料の量に適合するため、前記ガイドピン(8)の外径より大きく、
及び/又は、前記ガイドピン(8)は、せいぜい当接位置まで前記カラー(4、40)に押込むことができ、前記ガイドピン(8)は、前記当接位置において、せいぜい、前記カラー(4、40)の遠位端と同一平面上になって終わり、又は、前記遠位端を超えて突出し、前記当接位置における突出長さは、又は少なくとも1mm~10mm、又は2mm~3mmである、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記カラー(4、40)の外径は、1mm~80mmの範囲内、又は2mm~10mmの範囲内であり、前記ガイドピン(8)の外径は、前記カラー(4、40)の外径より小さい0.1mm~20mm、又は、前記カラー(4、40)の外径より小さい0.1mm~2mm又は0.5mm~1mmであり、及び、前記改善スリーブは、前記改善スリーブの外径が前記カラー(4、40)の外径と同じであるような厚さを有し、前記改善スリーブは、少なくとも幾つかの部分において、0.1mm~1mmの範囲内、又は0.2mm~0.6mmの範囲内の壁厚を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記カラー(4、40)の外径は、1mm~80mmの範囲内、又は2mm~10mmの範囲内であり、前記ガイドピン(8)の外径は、前記カラー(4、40)の外径より小さい0.1mm~20mm、又は、前記カラー(4、40)の外径より小さい0.1mm~2mm又は0.5mm~1mmであり、及び、前記改善スリーブは、前記改善スリーブの外径が前記カラー(4、40)の外径と同じであるような厚さを有し、前記改善スリーブは、少なくとも幾つかの部分において、0.1mm~1mmの範囲内、又は0.2mm~0.6mmの範囲内の壁厚を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記要素(2)は、1kHz~10GHzの範囲内の周波数を有するバイブレーションエネルギー及び/又は振動エネルギーの形態の、又は、10kHz~100MHz又は20kHz~150kHzの周波数範囲内の、又は、30kHz~70kHz又は50kHz~70kHzの範囲内の超音波振動の形態の機械的エネルギーを発生し、前記機械的エネルギーは、縦方向、横方向、若しくは回転方向に、又は前記方向の結合した方向若しくは1次結合した方向に、前記カラー(4、40)及び/又は前記ガイドピン(8)に、従って、間接的に前記改善スリーブ(7)に送信されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記要素(2)は、1kHz~10GHzの範囲内の周波数を有するバイブレーションエネルギー及び/又は振動エネルギーの形態の、又は、10kHz~100MHz又は20kHz~150kHzの周波数範囲内の、又は、30kHz~70kHz又は50kHz~70kHzの範囲内の超音波振動の形態の機械的エネルギーを発生し、前記機械的エネルギーは、縦方向に、前記カラー(4、40)及び/又は前記ガイドピン(8)に、従って、間接的に前記改善スリーブ(7)に送信され、前記カラー(4、40)は、ソノトロード上に留められるか又は前記ソノトロードの一部であり、前記ガイドピン(8)は前記カラー(4、40)内に移動され得るか、前記ガイドピン(8)は、前記ソノトロード上に留められ、前記カラー(4、40)は移動され得るか、又は、カラー(4、40)及び前記ガイドピン(8)は、ソノトロード上に留められるか又は前記ソノトロードに結合されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記改善スリーブ(7)は、機械的エネルギーによって液化することができ、かつ、以下の群から選択される材料から作られ、前記以下の群とは、PP、LDPE、HDPE、UHMWPEから選択されるポリオレフィンを含む熱可塑性で生体適合性のポリマー、ポリオキシメチレン、PAEK、PEEK、PEKKを含むポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、PMMAを含むポリアクリル酸、ポリアミド、PET、PBTを含むポリエステル、PSU、PESを含むポリスルホン及びポリエーテルスルホン、及び/又は、L及びD,Lパーツの可変比を有する、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、及び/又はそのステレオコポリマーを含む生分解性又は再吸収性ポリマー、ポリグリコリド-コ-トリメチレンカーボネート(PGA-co-TMC)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PDLLA-co-PGA)、及びポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLLA-co-PGA)を含むポリグリコリド(PGA)及び/又はコポリマー、ポリ(e-カプロラクトン)、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリオルトエステル(POE)及び他のポリ酸無水物、セルロース、キチン、デキストラン、澱粉を含む修飾ポリサッカライドを含む天然原材料から製造される再吸収性ポリマー、あるいはこれらの材料の組合せ物又は混合物である、請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記改善スリーブ(7)は、振動エネルギーによって液化することができ、かつ、以下の群から選択される材料から作られ、前記以下の群とは、PP、LDPE、HDPE、UHMWPEから選択されるポリオレフィンを含む熱可塑性で生体適合性のポリマー、ポリオキシメチレン、PAEK、PEEK、PEKKを含むポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、PMMAを含むポリアクリル酸、ポリアミド、PET、PBTを含むポリエステル、PSU、PESを含むポリスルホン及びポリエーテルスルホン、及び/又は、L及びD,Lパーツの可変比を有する、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、及び/又はそのステレオコポリマーを含む生分解性又は再吸収性ポリマー、ポリグリコリド-コ-トリメチレンカーボネート(PGA-co-TMC)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PDLLA-co-PGA)、及びポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLLA-co-PGA)を含むポリグリコリド(PGA)及び/又はコポリマー、ポリ(e-カプロラクトン)、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリオルトエステル(POE)及び他のポリ酸無水物、セルロース、キチン、デキストラン、澱粉を含む修飾ポリサッカライドを含む天然原材料から製造される再吸収性ポリマー、あるいはこれらの材料の組合せ物又は混合物であり、1つ以上の医薬用活性物質が、前記材料又は前記材料の混合物内に提供されるか前記材料上の層として塗布され、前記医薬用活性物質は、制御されて放出される、請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
ソノトロード(4)を搭載するための、又はソノトロード(4)を含むハンドグリップ(2)をさらに備え、
及び/又は、前記システムは、ワイヤ(52)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)であり、
ソノトロード(4)を搭載するための、又はソノトロード(4)を含むハンドグリップ(2)をさらに備え、前記ハンドグリップ(2)は、前記ハンドグリップ(2)の全軸方向長さを通してカニューレ挿入されて、改善される穴内への正確な位置決めのためのワイヤ(52)の挿入を可能にする、及び/又は、前記ハンドグリップ(2)は、金属又は適したプラスチック材料で作られる管状保護スリーブを、軸方向にだけ移動可能な方法で前記ハンドグリップ(2)上に搭載しており、前記管状保護スリーブは、前記ソノトロード(4)を少なくとも部分的に囲み、前記ソノトロード(4)と、改善される前記穴を有する骨の上に位置する周囲軟組織との接触を防止する、及び/又は、前記ハンドグリップは、前記ソノトロード(4)をアクティブ化するための超音波エネルギー発生器をアクティブ化する手段をさらに備えること、
及び/又は、前記システムは、ワイヤ(52)をさらに備え、前記ワイヤ(52)は、減菌済みステンレス鋼ピンの形態であり、前記ワイヤ(52)の本質的に全長にわたって円形断面を有し、0.4mm~3mmの範囲の、又は0.9mm~1.9mmの範囲の、又は1.25mm~1.7mmの範囲の直径を有することを特徴とする、システム。
【請求項21】
陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)であり、
前記システムは、ワイヤ(52)をさらに備え、前記ワイヤ(52)は、少なくとも一端において鋭利先端を有することを特徴とする、システム。
【請求項22】
ガイドピン(8)を有する減菌パッケージ
であって、
前記ガイドピン(8)は、システムにおいて使用するためのガイドピン(8)であって、前記ガイドピン(8)の一端に、又は両端に、前記ガイドピン(8)のそれぞれの端に向かって先細る外周縁(36、38)を有し、
及び/又は、前記ガイドピン(8)は、合成ポリマー材料で作られる、
及び/又は、前記ガイドピン(8)は、1.5mm~10mmの範囲内の、又は2mm~4mmの範囲内の、又は2.5mm~3.5mmの範囲内の外径を有し、カニュレーション(35)の直径は、0.5mm~3mmの範囲内、又は1mm~2.5mmの範囲内、又は1.3mm~2.0mmの範囲にあり、
前記システムは、陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
前記カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)である、
減菌パッケージ。
【請求項23】
ガイドピン(8)を有する減菌パッケージ
であって、
前記ガイドピン(8)は、システムにおいて使用するためのガイドピン(8)であって、前記ガイドピン(8)の一端に、又は両端に、前記ガイドピン(8)のそれぞれの端に向かって先細る外周縁(36、38)を有し、前記外周縁(36、38)における前記ガイドピン(8)の主軸に対する前記先細る表面の傾斜角度は、20°~60°の範囲内、又は30°~45°の範囲内にある、
及び/又は、前記ガイドピン(8)は、熱可塑性材料PTFE及び/又はPFAの合成ポリマー材料で作られ、
前記システムは、陥凹(56)を改善させるためのシステムであって、機械的エネルギーを生成する又は前記機械的エネルギーを結合するための要素(2)、及び、外径を有し、ガイドピン(8)を受け入れるための中央陥凹(44、45)を有する、円筒ジャケット表面を有する円筒カラー(4、40)を備え、
カニュレーション(35)の形態の軸方向中央貫通ボアを有する前記ガイドピン(8)は、機械的エネルギーが印加される前に、前記ガイドピン(8)の前記カニュレーション(35)に挿入されたワイヤ(52)を使用して位置決めしながら、実質的に前記陥凹(56)の底まで挿入するために提供され、
前記ガイドピン(8)は、前記陥凹(56)の前記底に向かって方向付けられる前記ガイドピン(8)の端のエリアにおいて、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブ(7)によって囲まれ、前記改善スリーブ(7)の前記外部円筒ジャケット表面は、前記カラー(4、40)と実質的に同じ外径を有し、
前記ガイドピン(8)は、前記中央陥凹(44、45)内に移動可能に受取られ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、前記カラー(4、40)は、前記改善スリーブ(7)の前記材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、前記陥凹(56)の前記底に向かう方向に前記ガイドピン(8)に対して移動することができ、
前記円筒カラー(4、40)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記改善スリーブ(7)は円形円筒ジャケット表面を有し、前記カラー(4、40)及び前記改善スリーブ(7)の外径は、改善される前記陥凹(56)の内径と実質的に同じであり、
前記カラー(4、40)は、前記カラー(4、40)の遠位端において、前記遠位端に向かって先細る外周遠位縁(43)を有し、前記遠位縁(43)は、
真っ直ぐ、従って、円錐であるか、又は、
湾曲する、又は凹状若しくは凸状であるか、又は、
前記遠位端において半径方向に段付きの設計を有し、前記外周遠位縁(43)は段移行部に配置され、
前記改善スリーブ(7)は単純な中空円筒(7)である、
減菌パッケージ。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか1項に記載のシステムを操作するための
ヒトに対する医療行為を除く非手術方法であって、
ワイヤ(52)は、陥凹(56)に中心挿入され、前記陥凹(56)の奥底に押込まれ、
必要である場合、前記陥凹(56)の内側表面は、中央カニュレーション(17)を有するリーマ(6)を使用することによって改善のために調製され、前記カニュレーション(17)は、前記陥凹(56)内への前記リーマ(6)の制御された挿入のため、前記ワイヤ(52)上をたどって押され、前記リーマ(6)は、前記陥凹(56)内に位置決めされると、前記陥凹(56)の所望の調製が終了するまで回転され、その後、前記リーマ(6)は、前記ワイヤ(52)を所定の場所に維持しながら取出され、
必要である場合、挿入デバイス(5)であって、前記挿入デバイス(5)の遠位先端部分に搭載された改善スリーブ(7)を有し、中央カニュレーション(25、26)を有する、挿入デバイス(5)は、前記改善スリーブ(7)を有する前記挿入デバイス(5)の前記陥凹(56)内への制御された挿入のため、前記ワイヤ(52)上を前記カニュレーション(25、26)によって押され、前記改善スリーブ(7)を前記陥凹(56)の底領域に位置決めし、その後、前記改善スリーブ(7)を前記陥凹(56)内に維持し、前記ワイヤ(52)を所定の場所に維持しながら前記挿入デバイス(5)を取出し、
前記ガイドピン(8)は、前記ガイドピン(8)の制御された挿入のため、また、挿入デバイス(5)が使用された場合、前記陥凹(56)内の前記位置決め済み改善スリーブ(7)内への前記ガイドピン(8)の遠位部分の挿入のため、又は、前記改善スリーブ(7)を前記ガイドピン(8)と共に挿入するため、前記ワイヤ(52)上を前記ガイドピン(8)のカニュレーション(35)によって、前記ガイドピン(8)が、前記陥凹(56)の底に当接する及び/又は前記陥凹(56)の底に配置されたガイドテーパに係合するまで押され(尚、前記陥凹(56)は、カラー(4、40)及び改善スリーブ(7)の外径に実質的に対応する内径を有する)、その後、必要である場合、周囲軟組織を保護するための保護スリーブを使用して、印加される機械的エネルギーによる、印加される超音波による前記改善スリーブ(7)の同時の液化によって、また、前記陥凹(56)内への前記カラー(4、40)の遠位端の押込みによって、液化された材料は、前記陥凹(56)に隣接する空洞、又は側部空洞に導入されることを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記陥凹(56)は、木材若しくは木材様材料、若しくは、ポリマー発泡体、複合発泡体、及び/又は金属発泡体を含む発泡体材料を含む少なくとも部分的に多孔質の技術材料内の、又は、少なくとも部分的に死んでいる若しくは生きている
非ヒト動物の、顎骨若しくは脊柱骨を含む多孔質の骨部分内の陥凹であり、前記陥凹は、予備穿孔によって少なくとも部分的に生成され得る、請求項
24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陥凹、特に、多孔質骨構造の陥凹における最小侵襲性即時的インプラント安定化のためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨質不良におけるインプラントシステムの固定は、医療デバイス会社によって依然として発展途上にある大きな市場である。西洋諸国における人口動態変化が、骨粗鬆症及び糖尿病、ひいては、骨質不良の発生率を著しく増加させており、欧州、米国、及び日本において、推定で何百万人もの人々が骨粗鬆症に罹患している。骨粗鬆症は、良好な骨質のために開発されたインプラントが骨粗鬆症骨内では上手く働かないことから、骨折の処置を著しく複雑にする。糖尿病患者の数の増加は、この全身性障害が正しい骨代謝に影響を及ぼすため、外科医にとって更なる問題となっている。骨形成不全症のような希病によって起こる骨折も、処置するのが非常に難しい。
【0003】
特に、ヒト又は動物の身体内の陥凹内に、例えば、骨内のドリルで開けられた穴内にインプラントを留めることに関する分野では、例えば自己タッピングねじ山を備えるインプラントを、力を加えることでこうした陥凹内にねじ込み、その後、インプラントが、自然治癒によって骨内に取込まれるのを待つことが知られている。
【0004】
特に、特別に多孔質の骨部分内に設けられた陥凹の場合、1次安定性、すなわち、ねじ込まれた直後の、すなわち、実際の取込みプロセスが終了する前の陥凹内のインプラントの安定性が不十分である場合があることも知られている。
【0005】
こうした問題を解決するため、機械的エネルギーによって液化され得る材料からインプラントを少なくとも部分的に又はさらに完全に生成することが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。液化可能材料は、インプラントが組織エリアに挿入された後に機械的振動によって液化することができ、こうして、液化した後、再固化される材料によって、骨とインプラントとの間に形態適合接続が生じる。こうした解決策の短所は、こうした方法を実施可能にするには非常に特別なインプラントが必要とされることである。更なる短所は、液化可能材料が、所望のエリア内に十分に的を絞って導入され得ず、しばしば、例えば、陥凹の底に配置された大きな陥凹内に消えてしまい、結局は実際の1次安定性に寄与しないことである。液化可能材料を用いてヒトの身体内の陥凹を充填するという概念は、特に、歯科分野でしばらく前から原理的に知られている。そのため、特許文献2は、液化可能材料を用いて開口を充填し調製するための方法を記載しており、液化可能材料は、最初に開口に圧入され、その後、ソノトロード、すなわち、超音波の形態の機械的エネルギーが導入され得るデバイスを用いて液化される。液化された材料は、その後、陥凹に隣接する空洞に流入し、これらの空洞を閉鎖する。木材、プラスチック、発泡体等のような技術材料が処理される他の分野において、こうした技法は、同様に、最も広い意味で知られている。
【0006】
さらに、特許文献3は、陥凹を改善させる(ameliorating)ための、例えば、その陥凹内に締結されるインプラント、特に歯科インプラントのために陥凹を調製するための方法及びデバイスを開示している。
【0007】
一般に、インプラントの分野において、特許文献4は、骨折骨を安定化するための方法を提供する。この方法は、骨折骨の髄管内に細長いロッドを位置決めすることと、骨の皮質を通して通路を形成することとを含む。通路は、骨の外部表面から骨の髄管まで延在する。この方法は、細長いロッド上に接合領域を作成することをさらに含む。接合領域は、全体的に、皮質の通路に整列する。さらに、この方法は、皮質の通路内であって、かつ細長いロッドの接合領域上に締結具を位置決めすることと、締結具が皮質の通路内に位置決めされている間に、細長いロッドの接合領域に締結具を熱接合することとを含む。とりわけ、この文献は、埋め込まれる構造体を骨又は組織の穴に導入するためガイドワイヤの使用を開示している。しかし、実際の埋め込みプロセス後に取除かれる、埋め込みプロセスの2次ツールを位置決めするにあたって、ガイドワイヤを使用することは全く開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第1363543号
【文献】米国特許第3,919,775号
【文献】国際公開第2009/141252号
【文献】米国特許出願公開第2008/039845号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特に、生きている骨内の、しかし同様に、他の構造内の、特に、陥凹によって空いた空洞を有する多孔質穿孔材料内の予めドリルで開けられた又は予めドリルで開けられたものでない陥凹を調製するための改良型方法及び改良型デバイスを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの第1の態様によれば、本発明は、陥凹、特に、陥凹によって空いた空洞を有する多孔質穿孔材料内の陥凹を改善させるためのシステムを提案する。
【0011】
提案されるシステムは、以下の要素:
機械的エネルギーを発生する又は機械的エネルギーを結合するための要素と、
外径を有する円筒ジャケット表面を有し、ガイドピンを受け入れるための中央陥凹を有する円筒カラーと、
を備える(以下をさらに参照されたい)。この円筒カラーは、以下でさらに詳述する改善スリーブの材料を液化するための機械的エネルギーを結合するために使用される。
【0012】
さらに、システムは、カニュレーションの形態の軸方向中央貫通ボアを有するガイドピンを備え、貫通ボアは、機械的エネルギーが印加される前に、ガイドピンの上記カニュレーションに挿入されたワイヤを使用して位置決めしながら、実質的に陥凹の底まで挿入されるために設けられる。
【0013】
さらに、システムは、機械的エネルギーによって液化され得る材料から作られる改善スリーブを備える。ガイドピンは、陥凹の底に向かって方向付けられるガイドピンの端のエリアにおいて、改善スリーブによって囲まれ、改善スリーブの外部円筒ジャケット表面は、カラーと実質的に同じ外径を有する。
【0014】
さらに、ガイドピンは、カラーの中央陥凹内に移動可能に受け入れられ、それにより、機械的エネルギーが印加されると、カラーは、改善スリーブの材料を液化し、横方向に及び/又は縦方向に変位させながら、ガイドピンに対して陥凹の底に向かう方向に移動され得る。
【0015】
通常、円筒カラーは円形円筒ジャケット表面を有し、改善スリーブは円形円筒ジャケット表面を有し、カラー及び改善スリーブの外径は、改善される陥凹の内径と実質的に同じである。
【0016】
好ましくは、カラーは、カラーの遠位端において、この遠位端に向かって先細る外周遠位縁を有する。この遠位縁は、真っ直ぐ、従って、円錐であり得るか、又は、湾曲する、特に、凹状若しくは凸状であり得るか、又は、遠位端において半径方向に段付きの設計を同様に有してもよく、こうした段付き設計の外周遠位縁は段移行部に配置される。
【0017】
通常、改善スリーブは、液化可能材料で作られる単純な中空円筒である。
【0018】
提案される即時的安定化システムの解決策は、オリジナルインプラントの周りへの埋め込み可能なポリマーチューブの適用に似ている。超音波エネルギーを印加することによって、ポリマーチューブ(改善スリーブ)は、ホストの骨陥凹の孔にかたどられ、隣接する骨との強力かつ均一な接合を形成する。オリジナルのデバイスは、生成される高密度の骨環境内に埋め込まれ、強化された即時的安定性をもたらす。プラットフォーム技術として、オリジナルのデバイスは、オリジナルのインプラントを全く変更することなく、歯科の、外傷の、脊柱の、及び他の整形外科用途において使用され得る。ここで考慮される即時的安定化システムは、臨床試験の過程での脊椎骨折固定のための椎弓根ねじの安定化に的を絞る。しかし、即時的安定化システムは、他のタイプのインプラントのためにも使用され得る。
【0019】
例えば、ゴールドスタンダードを示すPMMA(骨セメント)による増強と同様の方法は、モノマーの細胞毒性、発熱反応(~70℃)、完全剛性のインプラント・組織界面、及び、非縮退材料の適用に関する主要な短所を示す。ここで提案される即時的安定化方法は、例えば、ポリラクチドチューブの形態の改善スリーブの超音波溶融プロセスを使用し、超音波溶融プロセスは、例えば、骨梁構造内への十分に制御された溶融をもたらす。超音波エネルギー入力によって、骨組織に対する熱衝撃は、領域的かつ時間的に制限され、ポリラクチドの適用は、改善された1次安定性から利益が得られた後に材料が自然に分解されることを可能にする。
【0020】
即時的安定化システム、方法及びデバイスの一般的概念は、任意選択で前処理されたドリル穴にポリマーチューブ(改善スリーブ)を挿入して、超音波デバイス(ソノトロード)を使用することによってポリマーを溶融させ、その後、標準的なインプラントを挿入することに基づく。
【0021】
技術的プロセスは、インプラントだけの場合と比較してよりよい1次安定性を達成するため、ポリマーの液化と再吸収とを組合せる。提案される方法は、最小侵襲性高精度位置決め、従って、改善スリーブの材料の最適使用、及び、改善される陥凹を囲む構造の多孔質内への液化された材料の最適浸透を可能にする。超音波エネルギーは、骨と接触するポリマーの液化をもたらす。再吸収性ポリマー材料は、網状骨構造に浸透する。再固化は、超音波エネルギーの供給が停止されるとすぐに始動する。
【0022】
インプラント留置に続く、骨折した脊椎の「伝統的な(traditional)」治癒時間中に、自然な骨整合プロセスが起こる。さらに、ポリマー材料は分解し、新しい骨形成が起こり、ポリマー材料によって、それ以前に充填された中空部及び穴を充填する。これは、インプラントの長期安定性を担う2次安定性が、インプラント表面と骨との間の伝統的な生体機械インターロックによって達成されることを意味する。
【0023】
より詳細には、提案されるシステムは、好ましくは、以下の要素の少なくとも1つ、又は好ましくは以下の要素の幾つか若しくは全てからなる組合せを備える。
【0024】
US発生器:US(超音波)発生器は、例えば、30kHz~100kHzの範囲内の、例えば、35kHz又は70kHzの周波数を有するAC電圧の形態の電力をハンドグリップ(コンバータ)に提供する。US電力のアクティブ化は、フットペダルによって、又は、ソノトロードのハンドグリップ上に位置するマニュアルコントロールによって制御され得る。USパラメータは、ISS調査システム内で最適アプリケーション用の発生器のソフトウェア/ファームウェアによって構成され、通常、ユーザが変更することはできない。
【0025】
フットペダル:(任意であるが好ましい)フットペダルは、US発生器用のトリガーとして働く。フットペダルを押すことによって、US発生器がアクティブ化され、USパワーがハンドグリップ(コンバータ)に送出される。フットペダルは、US発生器に接続するためのケーブルを含む。
【0026】
ハンドグリップ:ハンドグリップは、好ましくは、AC電力を機械的振動に変換するコンバータを含む。機械的US振動は、好ましくは、ハンドグリップ前側のピエゾ(圧電素子)に固定される又は結合されるソノトロードに印加される。ソノトロードは、ピエゾに直接、又は、ピエゾとソノトロードとの間の金属要素(例えば、ステンレス鋼又はチタンで作られる円筒)を介して間接的に結合され得る。ハンドグリップは、US発生器に接続するためのケーブルを含んでもよい、及び/又は、ハンドグリップは、同様に、対応するボアを通過するKワイヤを備えるためにカニューレ挿入されてもよい。ハンドグリップは、同様に、US発生器用のトリガーとなるアクチュエータ(フットペダルを完全に又は部分的に置換/補完する)を含んでもよい。
【0027】
保護スリーブ:通常、提案されるシステムについて想定される最小侵襲性技法の場合、改善される穴は、軟組織の層によって隠される及び/又は覆われる骨又は硬組織内に位置する。換言すれば、ハンドリングされ処置される実際の骨の上に、軟組織(皮膚、筋肉、結合組織等)の層が存在し、軟組織の層は、同様に、改善される骨内の穴と本質的に同じ直径の、通常、それより或る程度大きな直径の穴を備える。処置される骨の上の、この周囲の軟組織にソノトロードが接触する場合、問題となり得る。その理由は、軟組織との接触が、軟組織の加熱及び火傷をもたらし得るからである。これを回避するため、保護スリーブが設けられ得る。この保護スリーブは、改善される骨内の穴の外径に等しいか又は好ましくはそれよりも或る程度大きい内径を有する、例えば、金属で作られる中空チューブである。この保護スリーブは、金属又は適したプラスチック材料で作られ得る。保護スリーブは、その後、改善される穴の縁でかつ骨の表面上で骨に接触するまで、軟組織内の表面穴に挿入されて、骨内の穴を囲む骨のこの表面部分に当接し得る。ソノトロードとの接触を回避するため、保護スリーブ内の中央ボアの内側表面は、距離維持要素、例えば、適したプラスチック材料で作られる軸方向リッジ(畝)を備え得る、又は、保護スリーブは、また、ハンドグリップに取付けられるか若しくはその一部であってもよく、例えば、保護スリーブが、ソノトロードに触れることなくソノトロード先端部分に対して軸方向にだけ移動することができるようにハンドグリップ上に搭載されてもよい。
【0028】
カバリングリング:ハンドグリップは、さらに、処置中の減菌ハンドリングを保証するため、ハンドグリップケーシングの前側に固定されるカバリングリングを含んでもよく、カバリングリングを、減菌することができ、また、特にハンドグリップ全体を減菌できない状況の場合に、ハンドグリップ内へのヒトの体液の浸透を防止するため、ハンドグリップをシールする機能を果たし得る。ハンドグリップ全体を減菌できる場合、こうしたカバリングリングは必要でないが、シールするために依然として望ましい可能性がある。
【0029】
ソノトロード:ソノトロードは、特定の振幅を有する(ハンドグリップ内の)ピエゾの機械的振動を、ソノトロードの先端に、さらに、送信されるUSエネルギーによって融解されるISSスリーブ(改善スリーブ)に送信する。
【0030】
ソノトロードの側部表面の任意の深度スケールが、後で埋め込まれる椎弓根ねじの長さに関連して、ISS溶融プロセス中に到達する必要がある深度を示すために使われる。スリーブは、望ましくない場所での骨及び/又は組織との接触を回避するための或る特定の領域内でソノトロードの周りに設けられてもよい。深度スケールは、こうした保護スリーブを基準にして、又は、改善される開口を囲む体部(body)又は組織の表面部分を基準にして考慮するために設けられ得る。
【0031】
清浄化デバイス:ISS清浄化デバイスは、US溶融プロセス中にガイドピンとソノトロードの内側空洞との間のギャップに浸透する場合があるポリマーに対してソノトロードの内側空洞を清浄化するためにさらに設けられてもよい。
【0032】
トルクキー(レンチとも呼ばれる):トルクキーは、さらに、グラブねじによってハンドグリップにおいてソノトロードを締めるために使用されるシステムの一部であってもよい。トルクキーは、トルク測定手段を含んでもよいが、同様に、特定のトルク測定手段及び/又はトルク最大手段なしであってもよい。
【0033】
改善スリーブ(ISSスリーブ):ISSスリーブは、好ましくは、超音波エネルギーによって融解され、隣接する骨梁構造に成形される、ポリラクチド(例えば、商業的に入手可能なポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド 70/30))チューブ等の生分解性材料で作られる。骨梁内への融解ポリマーの移動によって、その後埋め込まれる椎弓根ねじの有効界面表面は領域的に増加し、椎体における機械的固定の増大をもたらす。
【0034】
ガイドピン(又はガイドピン):ガイドピンは、融解ポリマーが、隣接する骨梁構造に外周方向に圧入され、ソノトロードの内側空洞に入らないか又はインプラントベッドに対して尖端側に蓄積することを確実にする。重要なことは、ガイドピンは、陥凹に事前に挿入されるワイヤによってガイドピンの挿入を制御するための中央カニュレーションを備えることである。
【0035】
挿入デバイス:システムは、調製済みインプラントベッドの底にISSスリーブを正確に留置するために使用され得る挿入デバイスをさらに備えてもよい。ISSスリーブの精密な留置は、挿入デバイスの深度スケールによってさらに保証されてもよい。やはり、深度スケールは、保護スリーブを基準にして、又は、改善される開口を囲む体部又は組織の表面部分を基準にして考慮されるために設けられ得る。
【0036】
リーマ(インプラントベッド調製器具とも呼ばれる):システムは、その後の改善のために陥凹を調製するためリーマをさらに備えてもよい。ISSリーマは、インプラントベッドがオールのような任意の手術デバイス又は手術ドリルによって調製された後に、ISSプロセスの前に使用される。リーマは、既存の穴を、例えば、ISS溶融プロセスの成功を確実にするために必要とされる4.3mmの直径(φ)まで正確に拡張する。リーマのチップフルート後に深度スケールを使用して、後で埋め込まれる椎弓根ねじの長さに関連して、リーマが、骨に統合される必要がある深度を示してもよい。これは、改善される穴の深度についての正確な知識を提供し、また、改善スリーブのよりよい位置決めを可能にする。やはり、深度スケールは、保護スリーブを基準にして、又は、改善される開口を囲む体部又は組織の表面部分を基準にして考慮されるように設けられ得る。
【0037】
リーマは、段付き先端部分を含んでもよいため、例えば、1mm~5mm又は2mm~4mmの軸方向長さにわたるリーマの最遠位端部は、改善される実際の穴の外径より小さい外径を有してもよい。リーマの遠位端は、改善される穴の外径より10%~50%又は好ましくは10%~25%小さい外径を有してもよい、又は、遠位端は、ガイドピンの外径と等しい外径を有してもよい。
【0038】
好ましい実施形態によれば、システムのガイドピンは、ガイドピンの少なくとも一端において、好ましくは両端において、ガイドピンのそれぞれの端に向かって先細る外周縁を有する。好ましくは、外周縁におけるガイドピンの主軸に対する先細る表面の傾斜角度は、20°~60°の範囲内、より好ましくは30°~45°の範囲内にある。
【0039】
更なる好ましい実施形態によれば、ガイドピンは、合成ポリマー材料、好ましくは、熱可塑性材料、特に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレンポリマー)又はPFA(ペルフルオロアルコキシポリマー)で作られる。
【0040】
さらに別の好ましい実施形態によれば、ガイドピンは、1.5mm~10mmの範囲内の、好ましくは2mm~4mmの範囲内の、特に好ましくは2.5mm~3.5mmの範囲内の外径を有する。
【0041】
ガイドピンのカニュレーションの直径は、好ましくは0.5mm~3mmの範囲内、好ましくは1mm~2.5mmの範囲内、特に好ましくは1.3mm~2.0mmの範囲内にある。
【0042】
別の好ましい実施形態によれば、システムは、改善スリーブを上記陥凹に挿入するための挿入デバイスをさらに備える。
【0043】
こうした挿入デバイスは、挿入デバイスカニュレーションの形態の軸方向中央貫通ボアを有してもよく、また、上記挿入デバイスカニュレーションに挿入されたワイヤを使用して位置決めしながら、上記ガイドピンが同じワイヤを使用して挿入される前に、実質的に陥凹の底まで挿入されるために設けられてもよい。
【0044】
好ましくは、ガイドピンのカニュレーションの直径は挿入デバイスカニュレーションの直径と同じである。
【0045】
さらに別の好ましい実施形態によれば、その近位端において、挿入デバイスはハンドルを備える、及び/又は、その遠位端において、上記陥凹に挿入されるところまでのその遠位端に円筒外側表面を有する挿入デバイスは、減少した外径を有する狭隘化部分及び近位端に向かう段移行部を備えて、挿入のため改善スリーブを一時的に保持するための形態適合構造を提供する。
【0046】
円筒狭隘化部分及び狭隘化部分に隣接する挿入デバイスの伸張部分の円筒外側表面の少なくとも一部分は、好ましくは対向する側面で平坦化され得る。両方の部分におけるこの平坦化によって、搭載済み改善スリーブを有する挿入デバイスの外側表面に窓が生成され、その窓により、少なくとも部分的にその外周にわたって改善スリーブの後縁を露出する。穴に挿入デバイスを挿入した後のこの露出した後縁は、挿入デバイスを穴から引き抜き始めると、穴の外壁に引っかかり、それにより、改善スリーブの留置及び適切な位置における改善スリーブの切り離しを容易にする。
【0047】
さらに別の好ましい実施形態によれば、提案されるシステムは、陥凹を改善させる前に、陥凹の内側表面を平滑化及び/又は幅広化及び/又は清浄化するためのリーマをさらに備える。こうしたリーマは、リーマカニュレーションの形態の軸方向中央貫通ボアを有してもよく、また、上記リーマカニュレーションに挿入されたワイヤを使用して位置決めしながら、改善スリーブ及び/又は上記ガイドピンを挿入するための挿入デバイスが同じワイヤを使用して挿入される前に、実質的に陥凹の底まで挿入されるために設けられてもよい。好ましくは、ガイドピンのカニュレーションの直径は、リーマカニュレーションの直径、また挿入デバイスを使用する場合、挿入デバイスカニュレーションの直径と同じである。
【0048】
通常、中央陥凹は、円筒ジャケット表面に対して同軸に配置される円形円筒陥凹であり、改善スリーブはガイドピンを受け入れるための円形円筒陥凹を有し、ガイドピンは、円形円筒外側表面を有し、上記陥凹の内径はガイドピンの外径と実質的に同じであるか、又は、ガイドピンの外径は、カラーの中央陥凹の内径より0.01mm~0.1mm、好ましくは0.02mm~0.05mm小さい。改善スリーブの内径は、液化され骨内に導入される材料の体積に適合するため、或る程度大きくすることもできる。これに基づき、改善スリーブの内径は、ガイドピンの外径より0.1mm~1mm、好ましくは0.2mm~0.75mm大きくすることができる。
【0049】
従って、ガイドピン及びソノトロードを外径の寸法に関して一定に維持すると、液化され多孔質骨構造内に導入されるべき材料の量に応じて適した改善スリーブを選択することが可能である。例えば、多孔性が低く、わずかな材料だけが導入される必要があることがわかる場合、壁厚の薄い改善スリーブを使用することができ、その外径はソノトロードのカラーの外径に対応し、一方、内径は、むしろガイドピンの外径よりかなり大きい。ガイドピンと改善スリーブとの間の遊びの対応する増加は、重大な問題をもたらさない。しかし、穴の同じ外径について、骨の高い多孔性によって、より多くの材料が導入される必要がある場合、同じ挿入デバイス及びソノトロードを使用することができ、また、やるべきことは、同じ外径を有するが、ガイドピンの外径よりほんの少しだけ大きい、小さな内径を有する改善スリーブを選択することである。同じ外径を有するが、ガイドピンの外径よりほんの少しだけ大きい内径までの増加する壁厚を有する改善スリーブのセットを提供することによって、骨の多孔性に適合して使用することができ、また、同じソノトロード及びガイドピンによってハンドリングされ得る改善スリーブのセットを提供することができる。
【0050】
ガイドピンは、好ましくは、せいぜい当接位置までしかカラーに押込むことができず、ガイドピンは、この当接位置において、せいぜい、カラーの遠位端と同一平面上で終わるが、好ましくは、この遠位端を超えて突出し、当接位置における突出長さは、好ましくは少なくとも1mm~10mm、好ましくは2mm~5mmである。
【0051】
さらに別の好ましい実施形態によれば、カラーの外径は、1mm~80mmの範囲内、好ましくは2mm~10mmの範囲内にある。
【0052】
別の好ましい実施形態によれば、ガイドピンの外径は、0.1mm~20mm未満、好ましくは、0.1mm~2mm又は0.5mm~1mm未満であり、改善スリーブは、改善スリーブの外径がカラーの外径と同じであるような厚さを有し、改善スリーブは、少なくとも幾つかの部分において、好ましくは、0.1mm~1mmの範囲内の壁厚を有する。
【0053】
好ましくは、要素は、1kHz~10GHzの範囲内の周波数を有するバイブレーションエネルギー及び/又は振動エネルギーの形態の、好ましくは、10kHz~100MHz又は20kHz~150kHzの周波数範囲内の、特に好ましくは、30kHz~70kHz又は35kHz~70kHz又は50kHz~70kHzの範囲内の超音波振動の形態の機械的エネルギーを発生し、機械的エネルギーは、縦方向、横方向、又は回転方向に、あるいはこれらが組み合わされた方向又は1次結合した方向に、好ましくは、実質的に排他的に縦方向に、カラー及び/又はガイドピンに、従って、間接的に改善スリーブに送信され、カラーは、好ましくは、ソノトロード上に固定され、ガイドピンはカラー内に移動され得るか、ガイドピンは、ソノトロード上に固定され、カラーは移動され得るか、又は、カラー及びガイドピンは、ソノトロード上に固定されるか又はソノトロードに結合される。
【0054】
改善スリーブは、機械的エネルギーによって、特に振動エネルギーによって液化することができ、かつ、以下の群から選択される材料から作ることができる。以下の群とは、熱可塑性で生体適合性のポリマー、例えば、PP、LDPE、HDPE、UHMWPEから選択されるポリオレフィン、ポリオキシメチレン、PAEK、PEEK、PEKK等のポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、PMMA等のポリアクリレート、ポリアミド、PET、PBT等のポリエステル、PSU、PES等のポリスルホン及びポリエーテルスルホン、及び/又は、生分解性又は再吸収性ポリマー、例えば、L及びD,Lパーツの可変比を有する、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、及び/又はそのステレオコポリマー、ポリグリコリド-コ-トリメチレンカーボネート(PGA-co-TMC)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PDLLA-co-PGA)、及びポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLLA-co-PGA)等のポリグリコリド(PGA)及び/又はコポリマー、ポリ(e-カプロラクトン)、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリオルトエステル(POE)及び他のポリ無水物、修飾ポリサッカライド(セルロース、キチン、デキストラン、澱粉)等の天然原材料あるいはこれらの材料の組合せ物又は混合物から生産される再吸収性ポリマーである。
【0055】
1つ以上の医薬用活性物質は、好ましくは同様に、改善スリーブのこの材料又はこの材料の混合物中に供給されるか、この材料上の層として塗布することができ、これらの医薬用活性物質は、好ましくは、制御されて放出される。
【0056】
さらに、本発明は、上記で概説したシステムで使用するためのガイドピンに関し、ガイドピンは、好ましくは、少なくともその一端において、好ましくは両端において、ガイドピンのそれぞれの端に向かって先細る外周縁を有する。
【0057】
好ましくは、外周縁におけるガイドピンの主軸に対して先細る表面の傾斜角度は、20°~60°の範囲内、より好ましくは30°~45°の範囲内にある。
【0058】
好ましい実施形態によれば、ガイドピンは、合成ポリマー材料、好ましくは、熱可塑性材料、特に、PTFE及び/又はPFAで作られる。
【0059】
さらに別の好ましい実施形態によれば、ガイドピンは、1.5mm~10mmの範囲内の、好ましくは2mm~4mmの範囲内の、特に好ましくは2.5mm~3.5mmの範囲内の外径を有する。
【0060】
ガイドピンのカニュレーションの直径は、0.5mm~3mmの範囲内、好ましくは1mm~2.5mmの範囲内、特に好ましくは1.3mm~2.0mmの範囲内にあり得る。
【0061】
それに加えて、本発明は、上記で規定したガイドピンを有する減菌パッケージに関するが、上記で規定した改善スリーブを有する減菌パッケージ又は上記で規定した挿入デバイス又は上記で規定したリーマにも関する。
【0062】
さらに、本発明は、上記で規定したシステムを操作するための方法に関する。好ましくは、この方法は、ワイヤ(いわゆる、Kワイヤ、すなわちキルシュナーワイヤ)が、陥凹に中心挿入され、その奥底に押込まれることを特徴とする。必要である場合、陥凹の内側表面は、中央カニュレーションを有するリーマを使用することによって改善のために調製され、カニュレーションは、陥凹内へのリーマの制御された挿入のため、上記ワイヤ上をたどって押され、リーマは、陥凹内に位置決めされると、陥凹の所望の調製が終了するまで回転され、その後、リーマは、ワイヤを所定の場所に維持しながら取出される。リーマは、段付き先端部分を含んでもよいため、例えば、1mm~5mm又は2mm~4mmの軸方向長さにわたるリーマの最遠位端部は、改善される実際の穴の外径より小さい外径を有してもよい。リーマの遠位端は、改善される穴の外径より10%~50%又は好ましくは10%~25%小さい外径を有してもよい、又は、遠位端は、ガイドピンの外径と同じである外径を有してもよい。ガイドピンは、段付き先端部分を有するこうした遠位端を備えてもよく、その外径はリーマの段部分の外径に対応する。又は、リーマの段部分が、ガイドピンの外径と同じである直径を有する場合、段付き先端部分を有するガイドピンを有するこうした必要性は存在しない。改善プロセスに備えてこうした段付き穴を設ける利点は、ガイドピンが、その後、穴のその或る程度狭い部分に挿入することができ、その後、その穴に非常にしっかり固定され、改善される穴の底内への液化された材料の尖側移動が本質的に回避され得ることである。
【0063】
これに続いて、挿入デバイスであって、挿入デバイスの遠位先端部分に搭載された改善スリーブを有し、中央カニュレーションを有する、挿入デバイスは、改善スリーブを有する挿入デバイスの陥凹内への制御された挿入のための、上記ワイヤ上に上記カニュレーションがある状態で使用され押され、改善スリーブを陥凹の底領域に位置決めし、その後、改善スリーブを陥凹内に維持し、ワイヤを所定の場所に維持したまま挿入デバイスを取出し得る。
【0064】
代替法として、改善スリーブは、ガイドピン上に直接搭載することができ、また、ガイドピンと共に陥凹に挿入することができる。
【0065】
その後、ガイドピンは、ガイドピンの制御された挿入のため、また、挿入デバイスが使用された状況の場合、陥凹内の位置決め済み改善スリーブ内へのガイドピンの遠位部分の挿入のための、上記ワイヤ上にガイドピンのカニュレーションがある状態で(陥凹は、カラー及び改善スリーブの外径に実質的に対応する内径を有する)、ガイドピンが、陥凹の底に当接する及び/又は陥凹の底に配置されたガイドテーパに係合するまで押される。
【0066】
その後、印加される機械的エネルギーによる、好ましくは、印加される超音波による改善スリーブの同時の液化によって、また、陥凹内へのカラーの遠位端の押込みによって、液化された材料は、陥凹に隣接する空洞内に、特に側部空洞内に導入される。
【0067】
上記方法は、手術方法であり得るが、例えば、陥凹に適用される非手術方法であってもよく、陥凹は、木材若しくは木材様材料、若しくは、発泡体材料、特に、ポリマー発泡体、複合発泡体、及び/又は金属発泡体を含む少なくとも部分的に多孔質の技術材料内の、又は、少なくとも部分的に死んでいる若しくは生きているヒトあるいは死んでいる若しくは生きている動物の多孔質の骨部分内の、特に、顎骨若しくは脊柱骨内の陥凹であり、陥凹は、好ましくは、予備穿孔によって少なくとも部分的に生成される。
【0068】
本発明の更なる実施形態は、従属請求項に記載される。
【0069】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下で述べられる。図面は、本発明の現在の好ましい実施形態を示すためのものであるが、それを制限するためのもではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図2】
図2a)はリーマの側面図であり、
図2b)はリーマの斜視図であり、
図2c)はリーマの先端部分の詳細図である。
【
図3】
図3a)は挿入デバイスの斜視図であり、
図3b)は挿入デバイスの軸方向断面図であり、
図3c)は挿入デバイスの正面図であり、
図3d)は挿入デバイスの先端部分を通る軸方向断面図の詳細図であり、
図3e)は挿入デバイスの移行部分を通る軸方向断面図の詳細図であり、
図3f)は挿入デバイスの改良型先端設計を示す図である。
【
図5】
図5a)はソノトロードを通る軸方向断面図であり、
図5b)はソノトロードの正面図であり、
図5c)はソノトロードの先端部分を通る軸方向断面図の詳細図である。
【
図6】
図6a)は安定化スリーブの軸方向図であり、
図6b)は安定化スリーブの軸方向断面図である。
【
図7】開口の改善のためにこれらの要素を使用するときの個々のステップを示す図である。
【
図8】挿入デバイスの別の改良型先端設計を示す図である。
【
図9】
図9a)はソノトロードの挿入深度について、
図9b)はリーマの挿入深度について、
図9c)は挿入デバイスの挿入深度について、保護スリーブと関連してマーキングを提供することが可能である方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、即時的安定化システム増強プロセスに必要とされる全ての構成要素を有する即時的安定化システム全体を示す。超音波(US)発生器1、カバリングリング3を有するハンドグリップ2、ソノトロード4、及びISSスリーブ4は、ガイドピン8と共に、システムのコア構成要素を示す。US発生器1は、ハンドグリップ2(コンバータ)に電力を供給し、電力は、ハンドグリップ2内で機械的振動に変換される。機械的振動は、ソノトロード4に方向付けられ、ソノトロード4は、特定の振幅で振動し、材料を融解し、材料を、隣接する骨梁構造に象るために必要な電力/エネルギーをポリラクチドISSスリーブ7に供給する。これが、周囲骨構造の機械的安定性の増強をもたらすことが前臨床試験によって示された。
【0072】
さらに、システムは、挿入デバイス5、リーマ6、清浄化デバイス9、及びトルクキー10を含んでもよい。さらにまた有利には、超音波発生器は、超音波発生器によって発生され、ハンドグリップ2に伝送され、ソノトロード4に送信される、エネルギーの量を制御することができる、フットペダル11(又は、代替的に、ハンドグリップ上のコントロール)を使用してオペレータによって制御することができる。
【0073】
図2において、こうしたシステムで使用するためのリーマ6が示される。リーマは、ハンドグリップ12及び実際の伸張部分13を備え、実際の伸張部分13は、その先端にねじ山付き部分14を備える。リーマ6の最先端部15は、
図2cに詳細に示され、リーマは、
図2aにおいて側面図で示され、
図2bにおいて斜視図で示される。重要なことは、リーマ6は、完全貫通カニュレーション17を備えるため、このカニュレーション17も、ハンドグリップ12を貫通し、カニュレーション17のハンドグリップ開口16を形成することである。リーマ6の先端において、リーマ6は、カニュレーション17の先端開口18を形成する。先端部分は、段付き設計を有し、段付き設計は、先端開口18に隣接する遠位前縁19、及び次に、円筒移行部分21とそれに続く先端の近位段部分20を備える。陥凹56を調製するためこのリーマを使用することによって、挿入を簡略化し、ガイドピンの位置決めの改善もする、陥凹の底に段付き形状をもたらす。
【0074】
図3は、種々の異なる図で挿入デバイス5を示す。見てわかるように、挿入デバイスは、同様に、ハンドグリップ23を備え、ハンドグリップ23は、移行部分27によって、同様にカニュレーションを有する円筒管状構造である伸張部分24に取付けられる。伸張部24内に、カニュレーション26の遠位狭隘部分が存在し、ハンドグリップ23内に、カニュレーション25の近位幅広部分が存在する。挿入デバイスの先端におけるカニュレーション26(
図3dの詳細図を参照)は先端開口32を形成し、この領域における伸張部24の先端部分は、前表面及び面とり縁を備える。重要なことは、先端領域には、改善スリーブ用の座部として使用される減少外径先端部分29が設けられることである。この減少外径先端部分29の外径は、使用される改善スリーブの内径に本質的に対応する。挿入デバイスの近位端に向かうこの部分29は、伸張部24の円筒外側表面28と部分29との間の段30で終わる。この段30は、挿入デバイスの先端部分上でシフトされる改善スリーブ用の停止部として働く。好ましくは、段30の高さは、改善スリーブの壁厚よりいくらか小さいため、位置決めした後に陥凹から挿入デバイスを引出すとき、改善スリーブは、陥凹内に残り、挿入デバイスと共に引出されない。
【0075】
図3f)は、こうした挿入デバイス5についてのわずかに異なる特に有利な先端設計を示す。この特定の場合、先端は、減少外径先端部分29上に搭載された改善スリーブ7と共に示される。この減少外径先端部分29は、対向する両側面の領域57/58で平坦化される。この平坦化は、減少外径先端部分29内で延在するだけでなく、減少外径先端部分29の背後の円筒外側表面28内で部分的に延在する。この先端設計の利点は、次の通りである:骨梁構造が、スリーブ7の背後の表面でスリーブ7に「引っかかる(catch)」ため、この先端設計は、改善スリーブ7のよりよい放出をもたらす。実際のところ、スリーブ7の背後の領域58内に形成される窓60によって、スリーブ7の後縁59は露出し、スリーブを有する挿入ツールを、改善される穴に挿入した後、この縁59は、改善される穴に引っかかり、挿入ツールを引抜くと、自動的に、スリーブ7は、所望の位置で穴の中に残る。さらに、わずかに長円の形状のスリーブ7を支持することによって、挿入ツール先端の製造公差が増加され、直径の増加によってより大きな「クランプ(clamping)」力が得られ得る。
【0076】
図4は、こうしたシステムで使用するためのガイドピンを示す。ガイドピン8は、円筒の外側表面と同軸である中央カニュレーション35を有するポリマー材料の円筒構造である。好ましくは、両端で、ガイドピンは、面取り部分38及び36を備え、主軸に対するそれらの面取り部分の角度は、同じであっても、異なってもよい。さらに、ガイドピンは、一端に先端開口37を、他端に後側開口39を有する。
【0077】
図5は、こうしたシステムで使用するためのソノトロード4を示す。ソノトロードは、保持部分41を備え、保持部分41は、好ましくは、直径方向で平坦化部分46を有し、また、中央開口を有する。さらに、円筒内側開口44を有し、それを閉囲する伸張部分40が存在する。先端部分において、この円筒開口44は、近位部分45より小さな内径を有する。ソノトロードの先端部分は、先端開口47を囲む面取り前縁43を有し、ソノトロードの主軸とこの面取り表面との間の角度は45°である。
【0078】
図6は、こうしたシステムで使用するための改善スリーブ7を示す。改善スリーブは、ポリラクチド材料で作られ、ポリラクチド材料は、超音波エネルギーによって液化することができ、また、生体再吸収性である。改善スリーブは、円筒内側表面50を有し、その内径はガイドピン8の外径に対応する。これらの2つのデバイスの考えられる寸法決定は、改善スリーブの内径が3.65
+0.05/-0.00mmであり、ガイドピンの外径が3
-0.02/-0.05mmである。そのため、ガイドピンの外径と改善スリーブの内径との間に遊びが存在する。これは、改善される穴の多孔質壁内に少量の材料だけが導入されるべきである場合に望ましい。この場合、改善スリーブの壁厚は0.3mmである。しかし、穴を改善するため、より多くの材料が使用される場合、同じ外径を有するが、例えば3.35mmの内径を有する改善スリーブが使用され、材料は約50%多くなり得る。さらに多くの材料が利用可能であるべきである場合、同じ外径及び3.1mmの内側パラメータを有する改善スリーブが同様に使用でき、スリムなスリーブの材料のほぼ2倍になり、これらの改善スリーブの全ては、同じソノトロード及びガイドピンでハンドリングでき、そのことは、改善部を挿入するためのハードウェアを変更する必要なしで、適合済み改善スリーブを単に選択することによって、改善部に対する材料の量についての適合を可能にするため、大きな利点である。円筒外側表面49は、通常、ソノトロード4の伸張部分40の外径に対応する、又は、ソノトロードの伸張部分の外径よりいくらか大きい。壁部分51は、通常、0.2mm~0.6mm又は0.2mm~0.4mmの、好ましくは0.3mmの厚さを有する。
【0079】
以下において、最小侵襲性改善のための提案される方法が、
図7の状況でどのように詳細に使用され得るかが示される。
【0080】
図7aに示すように、方法は、椎骨要素53内の椎弓根開口及びチャネル調製ステップを含む。椎弓根へのアクセス部が露出されると、チャネルが、任意の標準的な手術手技によって椎弓根を通して作成されなければならない。誘導式操作手順を可能にするため、Kワイヤ(キルシュナーワイヤ)52が、既存のチャネル56内に導入される。
【0081】
方法は、次に、
図7bに示すインプラントベッド調製ステップを含む。既存の椎弓根チャネルは、精密なインプラントベッドを保証するため、ISSリーマ6によって直径が拡張される。従って、ISSリーマ6は、事前に留置済みのKワイヤ52上をたどって誘導される。リーマ6は、椎弓根ねじの最終的な留置深度に達するまで、回転されながら、椎弓根チャネルに入るよう、わずかに前方に押される。
【0082】
最終的な深度は、リーマのシャンク上に設けられる深度スケールによって認識され得る。
【0083】
図7c)に示す次のステップは、ISSスリーブ留置ステップである。ISSスリーブ7は、ISS挿入デバイス5の先端におけるより小さな円筒体に取付けられる。
【0084】
次に、ISSスリーブ挿入を示す
図7d)に示すように、ISSスリーブは、挿入デバイス6上のマーキングによって挿入深度を制御する、Kワイヤ52上をたどって誘導される挿入デバイス6によってインプラントベッドの底に留置される。次いで、ISS挿入デバイス6は、容易に取除かれ、ISSスリーブ7をその場所に残すことができる。
【0085】
深度スケールは、後で埋め込まれる椎弓根ねじの長さを参照し、また、(リーマによって)調製されるインプラントベッドの深度に関連して、ISSスリーブがどの深度に留置されるべきかを示す。
【0086】
ガイドピンの挿入を示す
図7e)に示す次のステップにおいて、ISSガイドピン8は、椎弓根チャネルの端で、インプラントベッド内に、ISSスリーブ7を通して挿入される。正確な位置決めは、位置決め済みのKワイヤ52によって保証される。
【0087】
次のステップは、
図7f)に示す、Kワイヤの一時的な取除きステップである。ISS融着プロセスを実施するため、Kワイヤは一時的に取除かれる必要がある。
【0088】
US振動を開始する前にソノトロード振動を鎮静させることを示す
図7g)に示す次のステップにおいて、ソノトロード4は、インプラントベッドの内部でISSスリーブ7のわずかに上に留置される。アクティブ化時に、ソノトロード4は、ソノトロード超音波振動がうまく鎮静化することを保証するため、いずれの固定力又は他の外部力からも自由であるべきである。
【0089】
ISSスリーブの溶融の
図7h)に示す次のステップにおいて、超音波エネルギーは、フットペダルを操作することによってアクティブ化される。同時に、ソノトロード4は、周囲の骨梁構造内にISSスリーブ7を溶融させるため、わずかに押下げられる必要がある。超音波振動は、フットペダルが操作されている限り継続するが、通常、5秒未満である。深度スケールは、ソノトロード4の側部表面に設けられ、ISSスリーブ全体がうまく溶融することを保証するため、骨の中に統合されなければならない深度を示す。
【0090】
超音波エネルギーが再び非アクティブ化された約5秒後に、
図7i)に示すように、ソノトロードを取除く次のステップにおいて、融解したポリマーは再固化される。ハンドグリップをわずかに回すことによって、ソノトロード4は、融解したISSスリーブから取外され、ソノトロード4を、インプラントベッドから容易に取除くことができる。
【0091】
次のステップは、
図7k)に示すKワイヤの再挿入ステップである。ISS溶融プロセスがうまく終了した後に、Kワイヤは、残っているガイドピン8を通して再位置決めされる。その後、ガイドピン8は、挿入済みKワイヤ52を介してインプラントベッドから取除かれる。
【0092】
その後、
図7l)に示す椎弓根ねじ埋め込みステップが続く。椎弓根ねじ55の埋め込みを、直ぐに行うことができ、それに続いて、対応するインプラントシステム用の通常の標準的な手術手技が行われる。
【0093】
図7m)は、最終的に増強された椎弓根ねじを示す。Kワイヤが取除かれた後、ISS椎弓根ねじ増強を含む埋め込みが終了する。
【0094】
図8において、挿入デバイスの先端部分の別の考えられる設計が示される。
図3f)の場合と同様に、先端は、減少外径先端部分29上に搭載された改善スリーブ7と共に示される。この減少外径先端部分29は、対向する両側面の領域57/58で平坦化される。この平坦化部は、減少外径先端部分29内で延在するだけでなく、減少外径先端部分29の背後の円筒外側表面28内にも部分的に延在する。この特定の場合、平坦化部57/58は、先端の残りの部分の幅がカニュレーションの内径より小さくなるように形成され、そのことは、両側にスロット61が形成されて、2つのアーム62が与えられることを意味する。
【0095】
この先端設計の利点は、次の通りである:骨梁構造が、スリーブ7の背後の表面でスリーブ7に「引っかかる」ため、先端設計は、改善スリーブ7のより良好な切り離しをもたらす。やはり、スリーブ7の背後の領域58内に形成される窓60によって、スリーブ7の後縁59は露出し、スリーブを有する挿入ツールを、改善される穴に挿入した後、この縁59は、改善される穴に引っかかり、挿入ツールを引抜くと、自動的に、スリーブ7は、所望の位置で穴に残る。さらに、スリーブ7をわずかに長円の形状に支持することによって、挿入デバイス先端の製造公差が増加され、直径の増加によってより大きな「クランプ」力が得られ得る。この実施形態において、改善スリーブ7並びに2つの指部62の弾性は、必要とされる保持力だけで改善スリーブを保持するために使用され得る。
【0096】
上記で指摘したように、個々のツール上に挿入深度マーキングを設けることが有利であり得る。
図9において、このことは、a)のソノトロード、b)のリーマ、そして、c)の挿入デバイスについて示される。また、この図において、周囲体部又は組織部分を保護するために使用することができる保護スリーブ63が示される。この保護スリーブ63は、3つの異なる部分、すなわち、前部分64、中間部分65、及び後側部分66を備える。これらの部分は、増加する内径及び外径を有し、特にソノトロードの形状に適合する。前開口68は、小さな直径を有し、面取り前縁69を有していてもよく、後側開口67は、完全に挿入される場合にソノトロードのハンドグリップを受け入れる大きな直径を有する。挿入深度マーキングは、体部内への実際の挿入に関して
図9a)に示すように設けられ得る。これは、挿入深度の実際のミリメートル値を与えるマーキング73として示される。
【0097】
別の可能性は、上記で述べた保護スリーブ63後側縁74を基準にして挿入深度マーキングを設けることである。このことは、ソノトロードについて70で、リーマについて71で、そして、挿入デバイスについて72で示される。
【0098】
これは、ハンドリングを簡略化し、また、通常、保護スリーブ63が個々のステップの間で取除かれないため、挿入深度が同じ位置を基準にして常に測定されることを保証する。外科医にとって、対応するツール上に与えられる挿入深度A~Gのうちの1つを単に選択することによって、対応する適切な挿入深度を使用することが容易である。
【符号の説明】
【0099】
1 超音波発生器
2 ハンドグリップ
3 カバリングリング
4 ソノトロード
5 挿入デバイス
6 リーマ
7 改善スリーブ
安定化スリーブ
8 ガイドピン
9 清浄化デバイス
10 トルクキー
11 フットペダル
12 6のハンドグリップ
13 6の伸張部分
14 6のねじ山付き部分
15 6の先端
16 6のカニュレーションのハンドグリップ開口
17 6のカニュレーション
18 6のカニュレーションの先端開口
19 6の先端の遠位前縁
20 6の先端の近位段部分
21 19と20との間の円筒移行部分
22 12と13との間の移行部分
23 5のハンドグリップ
24 5の伸張部分
25 カニュレーションの近位幅広部分
26 カニュレーションの遠位狭隘部分
27 23と24との間の移行部分
28 24の円筒外側表面
29 5の減少外径先端部分
30 28と29との間の段
31 5の前表面
32 5のカニュレーションの先端開口
33 26の内側表面
34 5のカニュレーションのハンドグリップ開口
35 8のカニュレーション
36 8の面取り先端部分
37 8の先端開口
38 8の面取り後側部分
39 8の後側開口
40 4の伸張部分
41 4の保持部分
42 4の先端部分
43 4の面取り前縁
44 先端部分内の4の円筒内側開口
45 近位部分内の円筒内側開口
46 41の平坦化部分
47 4の先端開口
48 7内の円筒内側開口
49 7の円筒外側表面
50 7の円筒内側表面
51 7の壁部分
52 Kワイヤ
53 椎骨要素
54 周囲空洞及び53の多孔質に貫入した安定化スリーブ
55 インプラント、ねじ
56 陥凹
57 29の平坦化部分
58 28の平坦化部分
59 7の自由後縁
60 窓
61 58内に形成されたスロット
62 29のアーム
63 保護スリーブ
64 63の狭隘前部分
65 63の中間部分
66 63の幅広後側部分
67 63の幅広後開口
68 63の狭隘前開口
69 64の面取り部分
70 ソノトロード上の挿入深度マーキング
71 リーマ上の挿入深度マーキング
72 挿入デバイス上の挿入深度マーキング
73 組織/骨を基準にする挿入深度マーキング
74 63の後側縁
D 8の外径
d 8の内径