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特許6990925自己拡張型の体内プロテーゼのためのリリースシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】自己拡張型の体内プロテーゼのためのリリースシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/95 20130101AFI20220104BHJP
【FI】
A61F2/95
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018541331
(86)(22)【出願日】2017-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2017052810
(87)【国際公開番号】W WO2017137471
(87)【国際公開日】2017-08-17
【審査請求日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】102016102212.8
(32)【優先日】2016-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513159136
【氏名又は名称】ベントレー イノメッド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Bentley InnoMed GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】オブラドヴィッチ, ミリサフ
(72)【発明者】
【氏名】オブラドヴィッチ,アレクサンダル
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-515786(JP,A)
【文献】特表2014-504904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0059448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己拡張型の体内プロテーゼのためのリリースシステムであって、
近位端および遠位端を有するカテーテルと、
体内プロテーゼ(2)を保持するための押出部材であって、前記体内プロテーゼは、前記カテーテル内に移動可能に配され、外部拘束力が存在するときには第1の体積収縮形状を有しかつ外部拘束力が除去されたときには第2の拡張形状を有する、押出部材と、
体内プロテーゼ(2)に前記外部拘束力を印加するための管状フィルム(3)と、
を含み、
前記管状フィルム(3)は遠位部分(4)と近位部分(5)とを有し、前記管状フィルムの遠位部分(4)は、前記第1の体積収縮形状にある体内プロテーゼ(2)を包囲し、前記管状フィルムの近位部分(5)は、該近位部分を介して管状フィルム(3)を配置位置にある体内プロテーゼ(2)から退避させそれにより前記外部拘束力を除去できるように、前記遠位部分(4)の上に折り返されて前記カテーテルの近位端の方へと延在し、
前記管状フィルムの遠位部分(4)は、前記体内プロテーゼ(2)と接触しており、前記体内プロテーゼ(2)の遠位端まで延在し、さらに少なくとも1つの長手方向線に沿って配されたミシン目またはスロットを含み、該ミシン目またはスロットは、前記近位部分を介して管状フィルムを退避させる際に該ミシン目またはスロットに沿って管状フィルムが裂けて開くことを可能とすることを特徴とするリリースシステム。
【請求項2】
前記管状フィルムの遠位部分(4)が、前記体内プロテーゼ(2)の近位端と接触していることを特徴とする、請求項1に記載のリリースシステム。
【請求項3】
前記体内プロテーゼ(2)が血管ステントであることを特徴とする、請求項1または2に記載のリリースシステム。
【請求項4】
前記ステントが末梢血管用ステントであることを特徴とする、請求項3に記載のリリースシステム。
【請求項5】
前記管状フィルム(3)が、医療上不適当でないプラスチック材料からなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項6】
前記管状フィルム(3)がPTFEからなることを特徴とする、請求項5に記載のリリースシステム。
【請求項7】
前記カテーテルが、遠位領域にミシン目を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項8】
前記カテーテルおよび/または前記管状フィルム(3)および/または前記体内プロテーゼ(2)が、親水性コーティングを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項9】
前記カテーテルが、洗い流しデバイスを備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項10】
前記押出部材が、前記管状フィルム(3)内に配されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項11】
前記押出部材が、前記体内プロテーゼ(2)に取外し可能な態様で取り付けられていることを特徴とする、請求項10に記載のリリースシステム。
【請求項12】
前記押出部材(6、7)が、配置位置において体内プロテーゼ(2)がリリースされた際に接続解除されるように、前記管状フィルム(3)を介して自動リリースする態様で前記体内プロテーゼ(2)に取り付けられていることを特徴とする、請求項11に記載のリリースシステム。
【請求項13】
前記押出部材(6、7)がチューブまたはホースであることを特徴とする、請求項11または12に記載のリリースシステム。
【請求項14】
前記押出部材が、押出ワイヤおよびディスクを備える、請求項11または12に記載のリリースシステム。
【請求項15】
前記管状フィルムの遠位部分(4)が、前記ミシン目またはスロットにより形成される複数の穿孔線(9)を有し、該複数の穿孔が前記管状フィルムの周囲に亘って均等に分配され、管状フィルムの長手方向に延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のリリースシステム。
【請求項16】
前記管状フィルムの近位部分が個別の舌片を形成し、該舌片を介して管状フィルムを退避させる際に管状フィルムが前記穿孔に沿って裂けて開くように、前記舌片同士の間に設けられた切込みがそれぞれ前記穿孔と平行に整列している、請求項15記載のリリースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己拡張型の体内プロテーゼのためのリリースシステムであって、カテーテルと、外部拘束力の下において第1の体積収縮形状を有し、外部拘束力が除去された際に配置位置において第2の拡張形状をとり、かつ上記のカテーテル内に移動可能に配される体内プロテーゼと、カテーテル内において体内プロテーゼを保持する手段と、体内プロテーゼ上に外部拘束力を印加するのに適した手段とを含む、リリースシステムに関するものである。体内プロテーゼとしては、特に血管ステントが考えられる。
【背景技術】
【0002】
体内プロテーゼ、とりわけ血管系のためのステントは、様々な形態のものが知られている。ステントについては、バルーンにより拡張可能なステントと、自己拡張型のステントとが区別される。いずれのバリエーションも、この目的に特化して設計されたカテーテルを用いて留置される。留置処置中においては、要求される位置に厳密にステントが配置されることが非常に重要である。この点に関し、特に末梢部に挿入されることの多いより長尺の自己拡張型ステントについては、ある問題が発生する。
【0003】
自己拡張型ステントは、ニッケル-チタン合金(ニチノール)のような形状記憶合金で形成され、カテーテル内においては、配置に必要なように第1の体積収縮形状をとるようにされ、したがって縮小された直径を有する。それらの自己拡張型ステントは、カテーテル内においては、カテーテルチューブによって印加される外部拘束力によって、この縮小された直径を維持する。カテーテル外に押し出されると、これらのステントは、拡大された直径を有する第2の拡張形状をとり、かかる第2の拡張形状を、留置位置において維持する。ステントがカテーテルを離れると直ちに拡張が生じるため、また、これらのステントは一時的に拡張された遠位端と体積が収縮させられた近位端とを有することになるという事実のため、さらには、ステントがカテーテルからリリースされる際に摩擦力が有効となるため、ステントの配置精度には困難が生じる。ステントがカテーテルから出て行く際に、拡張するステントの長さは短くなるので、上記のような不精確さは、さらに増大し得る。
【0004】
この問題に対処し解決するために、様々な技術が開発されてきた。それらの方法のうちの1つは、それによりステントが制御された態様でカテーテルから押し出されるような、機械的な配置補助手段の利用に基づいている。ステントがシース(鞘)内に封入され、そのシースが、ステント内に配されたバルーンの補助によって配置位置において弾けるように構成され、それによってステントの拡張が可能とされ、バルーンはカテーテルと共に血管系から撤収させられるような態様も、知られている。いずれの方法も、構造が複雑であり、非常に高度なものである。後者の方法を採用すると、シース材料が血管系内に留まってしまうことすらあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、自己拡張型の体内プロテーゼ、とりわけステントのためのリリースシステムであって、体内プロテーゼが、単純な手段を用いて、高い信頼性および高い精度で配置位置にリリースされることを可能とするリリースシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、冒頭で述べた種類のリリースシステムであって、体内プロテーゼ上に外部からの力を印加する手段が管状フィルムであり、その管状フィルムが、体積収縮形状にある体内プロテーゼを包囲するものであって、かつ、その管状フィルムが体内プロテーゼから退避させられそれにより外部拘束力を除去することを可能となすように、その管状フィルムの近位部分を以て、カテーテルの近位端の方向へと延在している管状フィルムであるような、リリースシステムを提案することにより達成される。
【0007】
以下、管状フィルムによって体積収縮形状に保持される自己拡張型のステントを参照して、本発明を説明する。
【0008】
管状フィルムは、ステントを効果的に包囲するための適切な手段である。この管(チューブ)は、わずかな労力で退避させることが可能で、それによりステントが拡張させられる。いうまでもなく、リリース工程中において、ステントは、露出される押出部材であってもよい保持デバイスによって、正しい位置に保持されなくてはならない。
【0009】
好ましくは、外側面を有する管状フィルムは、遠位側においてステントと接触状態とされ、ステントの遠位端まで延在し、そのステントの遠位端の位置において管状フィルム自体の上に折り返され(ロールアップされ)、ステントに沿ってカテーテルの近位端の方向へと戻る。
【0010】
とりわけ、管状フィルムは、ステントの近位端から始まり、ステントの全長に亘って延在し、その後その遠位端において反転し、カテーテルの近位端の方向へと戻る。このようにして、管状フィルムは、ステントの全長に亘って二重の被覆を提供する。引張力が作用する外側の管(チューブ)は、ステントに寄り添いかつステントと接触状態にある部分と比較して、強度および安定性がより高くなるように作られてもよい。
【0011】
本発明で使用される管状フィルムは、ステントを第1の体積収縮形状の状態で包囲し、かつステントを正しい位置に保持する、スリーブと対比可能である。ステントをリリースするため、担当医師は、ステントがリリースされるまで、カテーテルの導入要素のシースを介して、管状フィルムを引き戻す。好ましくは、ステントがリリースされると同時に、保持手段へのステントの接続も分離する。
【0012】
管状フィルムによるステントの二重の被覆は、ごくわずかな労力を以てステントを退避させることができるという利点を提供する。管状フィルムに使用される材料、とりわけ医療上の互換性があり医療上不適切ではないプラスチック(好ましくはPTFE)は、自己および他の材料に対して良好な滑り特性を有し、したがって、かかる材料の摩擦特性は低い。このことは、ステントをカテーテルから押し出してリリース処置を開始することを、より容易となす。ステントが押し出される際の、ステントの圧縮、およびカテーテルの壁部におけるあるいはカテーテルの壁部と接触状態にあるステントの摩擦は、頻繁に生じる問題であり、とりわけ、より長尺の末梢用ステントの場合には頻繁に生じる問題である。
【0013】
管状フィルムの退避を容易となすために、管状フィルムが撤収させられる際にその管状フィルムが裂けて開くことを可能とするミシン目およびスロットが、管状フィルムに設けられてもよい。それらのミシン目またはスロットは、慣例的な配置とされ、少なくとも1つの長手方向線に沿って延在する。このようにして、血管系内に残存すべきではない管状フィルムの一部が、破れて剥がれ落ちることが防止される。
【0014】
ステントが移送される遠位領域においてカテーテル内にミシン目を配すること、および洗い流し機構を設けることも推奨され、これは、包囲されたステントがカテーテル内部を滑動する傾向を、さらに増大させる。洗い流し流体は、管状フィルム中に配されたミシン目またはスロットを介して、包囲されたステントにまで浸透し得る。この点に関し、洗い流し液体は、所望の潤滑効果を与える。
【0015】
加えて、カテーテル、管状フィルム、および/またはステントは、潤滑性を向上させるために、親水性コーティングを有するものとされてもよい。カテーテルに関しては、かかるコーティング自体は知られている。
【0016】
ステント上に配されたフィルム層同士の間の摩擦を、退避中において低減させるには、液体が浸入することを可能とするため、外側のフィルム層にミシン目を配することが有用であるかもしれない。これらのミシン目は、フィルムの裂けを容易となすことが意図されたミシン目とは対照的に、表面全体に亘って分配される。
【0017】
ステントを保持し変位させるために設けられる手段として、ガイドワイヤまたは押出部材が採用されてもよく、これらはそれぞれ、ステントに結合されるか、ステントの近傍に配される。ステントがカテーテルから分離された後、フィルムの退避/除去作業中においてステントを正しい位置に保持するために、保持機能が必要とされる。たとえば、ガイドワイヤまたは押出部材は、その遠位端における適切に設計された保持デバイスを介して、非拡張状態のステントのメッシュ部分と内側から噛合してもよく、この接続は、ステントがリリースされ拡張させられると断絶される。
【0018】
管状フィルムを介してステントに接続され、管状フィルムの退避によってステントから分離されるような、ガイドワイヤまたは押出部材が好ましい。たとえば、ガイドワイヤの遠位端に、体積収縮形状にあるステントの直径に対応する直径を有するディスクであって、ステントまで直接到達するようなディスクが設けられてもよい。管状フィルムがステントから退避/除去されると直ちに、ステントは、その全長に亘って拡張して、ガイドワイヤから分離されるか、当接する押出部材との接触を失う。
【0019】
カテーテルが撤収される際にステントを正しい位置に保持するのに適した別個のチューブであって、ステントの近位端の方向に延在する遠位端を有する別個のチューブも、押出要素として採用することができる。この目的のため、この別個のチューブの近位端は、ステントに対する適切な当接を形成するために折り返されるか、数珠状の形状を有するか、または強化されてもよい。この別個のチューブは、管状フィルムの内部において、カテーテルの近位端まで同軸的に延在し、担当医師によって、導入要素のシースを介して操作/制御され得る。押出部材が別個のチューブによって形成されている場合には、かかる押出部材は、ステントの配置に必要とされる押出力の伝達能力を有するものとなるよう、通常、管状フィルムよりも厚い壁を有するものとされる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、押出部材の別個のチューブは、たとえば溶接接続によって、ステントを包囲する管状フィルムに接続されてもよい。この場合、別個のチューブは、ステント上に直接寄り添っている管状フィルムの遠位部分に接続する。
【0021】
管状フィルムの2つの層の間の摩擦、すなわち、ステント上に直接配された管状フィルムの遠位部分と、ステントの遠位端からカテーテルの近位端の方向へと戻る近位部分であって、管状フィルムの遠位部分上に重なるように折り返されている近位部分との間の摩擦を最小限に抑えるために、管状フィルムの近位部分を、遠位部分よりもわずかに大きな直径とすることが得策であると考えられる。
【0022】
また、管状フィルムの近位部分の、ステントの長さを超えて延在する区域には、より高い引張強度を有するチューブ材料を使用することも可能である。
【0023】
他の取外し機構が利用されてもよい。たとえば、ステントに対するガイドワイヤの物理的な接続は、既知の手法により、電解によって断絶されてもよい。
【0024】
本願で使用される「近位~」および「遠位~」との用語は、それぞれ、「担当医師またはカテーテルの端部の方向を向いている」および「担当医師またはカテーテルの端部とは、反対の方向を向いている」と同義である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るリリースシステムの第1のバリエーションの概略断面図
図2】本発明により提案されるリリースシステムの第2のバリエーションを示した図
図3図2のリリースシステムの、A-A線に沿った断面図
図4図2のリリースシステムを、前方から見た図
図5】ステントの固定に使用される管状フィルムを示した図
図6】本発明のリリースシステムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、好ましい実施形態を示す添付の図面を用いて、本発明をより詳細に説明する。図面において示され以下においてより詳細に説明される特徴部分および特色は、ここで説明する発明との関連において一般的説明として読むことができ、記述される個別のケースのみに関連するものではない点を理解されたい。
【0027】
図1は、本発明により提案されるリリースシステム1の第1のバリエーションの断面図を示しており、この図では、ステント2が、管状フィルム3の中に配されている。管状フィルム3は、ステント2上に直接寄り添っている遠位部分4を有し、この遠位部分4は、ステント2を体積収縮形状に保持している。ステント2は、形状記憶材料、好ましくはニチノール等のニッケル-チタン合金からなり、印加される外部拘束力の結果として体積収縮形状に保持される。外部拘束力または圧力は、管状フィルム3によって印加される。
【0028】
管状フィルム3は、遠位部分4と近位部分5とに分けられる。遠位部分は、ステント上に直接寄り添って、ステントを包囲し、近位部分5は、遠位部分4上に重なるように折り返され、カテーテル(図示せず)の近位端の方向へと戻るように延在する。カテーテルは、ステント2と管状フィルム3との組合せを包囲している。
【0029】
ステント2をカテーテルから解放するために、ステント2の近位端に押出部材が配されている。図示の例では、押出部材は、押出ワイヤ6と、ステント2の近位端に当接するディスク7とからなる。押出ワイヤ6およびディスク7を利用することにより、カテーテルが撤収させられる際に、ステント2を正しい位置に保持するのに必要な力を、ステント2に加えることができる。
【0030】
ステント2のリリースは、管状フィルム3を引っ張って剥がすことにより達成される。管状フィルム3の近位部分5が遠位部分4に重なるように折り返されているため、管状フィルム3の全体を、容易に退避させステント2から除去することができる。この退避は、ミシン目、スロット、または長手方向に延在する強度低下領域の配置により、容易となすことができる。この例では、ちょうどバナナの皮を剥くような態様で、ステント2を露出させリリースすることができる。
【0031】
図示されている例では、ステント2と押出部材のディスク7とは、互いに接続されてはおらず、単に管状フィルム3により共に保持されているのみである。管状フィルム3が完全に退避させられステント2から除去されると直ちに、ステント2が拡張し、押出部材のディスク7から分離する。
【0032】
図2は、本発明のリリースシステム1の別のバリエーションを示している。管状フィルム3の遠位部分4が、ステント2を、体積収縮形状に保持している。図1に図示されるように、管状フィルム3の近位部分5は、遠位部分に重なるように折り返されている。参照番号8は、管状フィルムの折返し領域を示しており、参照番号9は、ステント2の領域内において管状フィルム3上に配された長手方向に延在するスロットであって、フィルムの引裂きおよび撤収を容易となすスロットを規定している。通例、かかる管状フィルムの強度低下は、ステント2をカバーする領域内においてのみ提供される。
【0033】
管状フィルム3は、カテーテル(ここでは図示せず)の全長に亘って延在しており、導入要素のシースの外に突出しているその端部を介して、担当医師によりステント2から退避させられ得る。
【0034】
図示されている例では、押出部材は、管状フィルム3の内部を通るホースまたは可撓性チューブ10からなる。チューブ10は、ステント2をカテーテルから分離するのに必要な力を伝達するのに十分な程度の、剛性を有する。チューブ10は、参照番号11の個所において、管状フィルム3の遠位部分4の遠位端に、溶接により取り付けられている。すべてのチューブおよび管状構成要素は、同軸的に延在している。
【0035】
ステント2上に直接寄り添っている管状フィルム3の遠位部分4と、折り返されている近位部分5との間には、管状フィルムのそれらの部分の直径の違いに起因する、隙間12が存在する。この隙間12は、摩擦を減少させ、フィルムを「剥いて」除去することを容易となす。
【0036】
図3は、図2に示したリリースシステムの、A-A線に沿った断面図を示している。この図は、内側に配されたステント2と、ステント上に配された管状フィルムの部分4と、管状フィルムの2つの層の間に存在する隙間12と、外側において近位方向に戻るように延在する管状フィルム5とを含む、層構造を示している。管状フィルム3の撤収中において管状フィルム3を引き裂いて開かせることを容易となす、スロット9も見て取れる。
【0037】
図4は、挿入機器1の遠位端を前方から見た図であり、管状フィルムの折返し領域8と、内側に配されたステント2と、スロット9とを示している。また、この図より、管状フィルム3の戻っていく近位部分5も見て取れる。
【0038】
図5は、単独要素の図解として、8本の穿孔線9を有する管状フィルム3を示している。これらの穿孔線9は、周囲に亘って均等に分配され、長手方向に延在しており、管状フィルム3が引き裂かれて開かれることを可能としている。適用の際には、体内プロテーゼ2が管状フィルム3の内部に配され、適用のためのカテーテルまたはチューブが、外側に配される。管状フィルム3は、その端部において折り返され、個別の舌片(tongue)5を形成する。舌片5同士の間に設けられている切込みは、穿孔線9と平行な向きに整列させられており、それにより、舌片5を介して管状フィルムが退避させられる際、管状フィルムが穿孔線9に沿って裂けて開くようになす。その結果、フィルムにより包囲されていた体内プロテーゼ(通常は自己拡張型ステント)が、リリースされる。管状フィルム3が引き戻されることを可能とするために、たとえばチューブ/ホース(図示せず)が、舌片上に配される。退避用チューブ/ホースの代わりに、たとえばコードまたはワイヤも採用され得る。管状フィルム3は、低い摩擦抵抗を付与ししたがってチューブの撤収を容易となす材料である、PTFEからなることが好ましい。
【0039】
図6は、本発明に係るシステムであって、ステント2と、ステント2上に配され、ステントの遠位端において折り返され、舌片5で終端する管状フィルム3と、ステントを包囲しているカテーテルまたは安定化チューブ14からステントを押し出すのに適した押出部材13と、押出部材13の補助によるカテーテル14からのステント2のリリースの後に、ステント2から管状フィルム3を退避させるため、折り返された端部5(図5中の舌片5に対応)に取り付けられたチューブ10とを含む、システムの原理を示した図である。チューブ10の代わりに、1本または数本の牽引ケーブルが用いられてもよい。
【0040】
図中における矢印は、ステント2の配置処置中における、それぞれの要素の移動方向を示している。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
自己拡張型の体内プロテーゼのためのリリースシステムであって、
カテーテルと、
外部拘束力の下において第1の体積収縮形状を有し、前記外部拘束力が除去された後に配置位置において第2の拡張形状をとり、かつ前記カテーテル内に移動可能に配される体内プロテーゼ(2)と、
前記体内プロテーゼ(2)を保持する手段(6、7)と、
前記体内プロテーゼ(2)上に前記外部拘束力を印加するのに適した手段と、
を含み、
前記体内プロテーゼ(2)上に前記外部拘束力を印加する前記手段が、管状フィルム(3)であり、該管状フィルム(3)の遠位部分(4)は、体積収縮形状にある前記体内プロテーゼ(2)を包囲し、該管状フィルム(3)の近位部分(5)は、該管状フィルム(3)が前記体内プロテーゼ(2)から退避させられそれにより前記外部拘束力を除去することを可能となすように、前記カテーテルの近位端の方向へと延在している、
ことを特徴とするリリースシステム。
[実施態様2]
前記管状フィルム(3)が、その遠位部分(4)を以て前記体内プロテーゼ(2)と接触し、前記体内プロテーゼ(2)の遠位端の方向へと延在し、前記体内プロテーゼ(2)の遠位端において該管状フィルム(3)自体の上に折り返され、前記体内プロテーゼ(2)に沿って、前記カテーテルの近位端の方向へと戻ることを特徴とする、実施態様1に記載のリリースシステム。
[実施態様3]
前記管状フィルム(3)の前記遠位部分(4)が、前記体内プロテーゼ(2)の近位端上に寄り添っていることを特徴とする、実施態様2に記載のリリースシステム。
[実施態様4]
前記体内プロテーゼ(2)が血管ステントであることを特徴とする、実施態様1から3いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様5]
前記ステント(2)が末梢用ステントであることを特徴とする、実施態様4に記載のリリースシステム。
[実施態様6]
前記管状フィルム(3)に、ミシン目またはスロット(9)が付与されていることを特徴とする、実施態様1から5いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様7]
前記ミシン目またはスロット(9)が、少なくとも1つの長手方向線に沿って配されていることを特徴とする、実施態様6に記載のリリースシステム。
[実施態様8]
前記管状フィルム(3)が、医療上不適当でないプラスチック材料からなることを特徴とする、実施態様1から7いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様9]
前記管状フィルム(3)がPTFEからなることを特徴とする、実施態様8に記載のリリースシステム。
[実施態様10]
前記カテーテルに、遠位領域においてミシン目が付与されていることを特徴とする、実施態様1から9いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様11]
前記カテーテルおよび/または前記管状フィルム(3)および/または前記体内プロテーゼ(2)が、親水性コーティングを有することを特徴とする、実施態様10に記載のリリースシステム。
[実施態様12]
前記カテーテルに、洗い流しデバイスが付与されていることを特徴とする、実施態様10または11に記載のリリースシステム。
[実施態様13]
前記カテーテル内において前記体内プロテーゼ(2)を保持する前記手段(6、7)が、前記管状フィルム(3)内に配された押出部材であることを特徴とする、実施態様1から12いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様14]
前記カテーテル内において前記体内プロテーゼ(2)を保持する前記手段(6、7)が、前記体内プロテーゼ(2)に取外し可能な態様で取り付けられた押出部材であって、前記管状フィルム(3)内において延在する押出部材であることを特徴とする、実施態様1から12いずれかに記載のリリースシステム。
[実施態様15]
前記押出部材(6、7)が、前記配置位置において前記体内プロテーゼ(2)がリリースされた際に接続解除されるように、前記管状フィルム(3)を介して自動リリースする態様で前記体内プロテーゼ(2)に接続されていることを特徴とする、実施態様14に記載のリリースシステム。
[実施態様16]
前記押出部材(6、7)がチューブまたはホースであることを特徴とする、実施態様14または15に記載のリリースシステム。
【符号の説明】
【0041】
1 リリースシステム
2 体内プロテーゼ/ステント
3 管状フィルム
4 管状フィルムの遠位部分
5 管状フィルムの近位部分/舌片
6 押出ワイヤ
7 ディスク
8 折返し領域
9 スロット/ミシン目(線)
10 チューブ
12 隙間
13 押出部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6