(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】マッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61H15/00 310D
A61H15/00 310C
(21)【出願番号】P 2019186491
(22)【出願日】2019-10-10
(62)【分割の表示】P 2018091923の分割
【原出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018077452
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514059840
【氏名又は名称】株式会社ファイブスター
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】浅野 剛
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3211134(JP,U)
【文献】中国実用新案第203408220(CN,U)
【文献】特許第6121026(JP,B2)
【文献】中国実用新案第206700375(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に回転可能に取り付けられた2つの回転体を備えるマッサージ器であって、
一端に分岐部を有し、当該分岐部で前記2つの回転体を回転可能に支持し、内部で第1の重りを収容する湾曲した形状のハンドルと、
前記ハンドルの他端で、前記内部とつながっている開口部を蓋するための端部キャップとを備え、
前記端部キャップの内部には、第2の重りが収容されており、
前記第2の重りには、重りの向きを示す溝が設けられており、
前記端部キャップの内部には、前記溝に対応する凸部が設けられており、
前記溝が前記凸部に差し込まれることで、前記第2の重りの取付位置の間違いが防止されることを特徴とする、マッサージ器。
【請求項2】
前記回転体は、貫通孔を有しており、
前記マッサージ器は、さらに、
前記貫通孔に挿入される支持軸と、
前記支持軸の先端に取り付けられており、前記貫通孔を蓋するキャップ部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記マッサージ器は、さらに、
前記回転体の内部に圧入される保持部と、
前記保持部の片側又は両側に挿入されると共に、前記支持軸に挿入される一以上の軸受と、
前記支持軸の先端側に取り付けられた抜け止め部とを備えることを特徴とする、請求項2に記載のマッサージ器。
【請求項4】
前記回転体は、前記キャップ部の回りに、半導体を含有する一以上の粒を配置していることを特徴とする、請求項2又は3に記載のマッサージ器。
【請求項5】
前記キャップ部の向きを揃えるための構造を有する、請求項2~4のいずれかに記載のマッサージ器。
【請求項6】
前記支持軸の基端及び先端は、断面D状にカットされた形状を有し、
前記ハンドルの前記分岐部における前記支持軸の前記基端を挿入するための軸孔は、前記支持軸の前記基端のDカット形状に合わせた形状を有しており、
前記キャップ部における前記支持軸の前記先端を挿入するための孔は、前記支持軸の前記先端のDカット形状に合わせた形状を有していることを特徴とする、請求項5に記載のマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能なローラによって、皮膚をマッサージすることにより、美容効果を期待するマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンドル本体の長手方向の一端に一体的に形成された一対の分岐部に挿通されたローラシャフトに回転可能に支持された一対のローラを用いた美容器が開示されている。当該ハンドル本体は、太陽電池パネルや必要な部品を収容するための凹部を有しており、当該凹部を蓋するハンドルカバーを有している。当該ハンドルカバーは、太陽電池パネルと対向する側であって、ローラシャフトが傾斜する側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対のローラの回転による肌の摘まみ上げ作用によって、美容効果をもたらすマッサージ器においては、太陽電池パネルの存在は必須ではなく、太陽電池パネルを用いない場合、ハンドル本体は、特許文献1に記載の構造に限定されるものではない。
【0005】
太陽電池パネルを用いない場合、ハンドル本体の内部を空洞としたり、若しくは、ハンドル本体の重さを調整するための重りを内部に収容する場合がある。これらの場合に、ハンドルカバーを用いるとすると、ハンドル本体とハンドルカバーとの間のガタツキが生じたり、ハンドル本体の内部に重りを収容し難くなったりするという問題がある。
【0006】
それゆえ、本発明は、ハンドルカバーを用いずに、ハンドル本体の内部を空洞にしたり、ハンドル本体の内部に重りを収容したりすることが容易なマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一端に回転可能に取り付けられた2つの回転体を備えるマッサージ器であって、一端に分岐部を有し、当該分岐部で2つの回転体を回転可能に支持し、内部で第1の重りを収容する湾曲した形状のハンドルと、ハンドルの他端で、内部とつながっている開口部を蓋するための端部キャップとを備え、端部キャップの内部には、第2の重りが収容されており、第2の重りには、重りの向きを示す溝が設けられており、端部キャップの内部には、溝に対応する凸部が設けられており、溝が凸部に差し込まれることで、第2の重りの取付位置の間違いが防止されることを特徴とする。
【0008】
一実施形態として、回転体は、貫通孔を有している。マッサージ器は、さらに、貫通孔に挿入される支持軸と、支持軸の先端に取り付けられており、貫通孔を蓋するキャップ部とを備える。
【0009】
一実施形態として、マッサージ器は、さらに、回転体の内部に圧入される保持部と、保持部の片側又は両側に挿入されると共に、支持軸に挿入される一以上の軸受と、支持軸の先端側に取り付けられた抜け止め部とを備える。
【0010】
回転体は、キャップ部の回りに、半導体を含有する一以上の粒を配置しているとよい。
【0011】
好ましくは、マッサージ器は、キャップ部の向きを揃えるための構造を有するとよい。
【0012】
たとえば、支持軸の基端及び先端は、断面D状にカットされた形状を有する。ハンドルの分岐部における支持軸の基端を挿入するための軸孔は、支持軸の基端のDカット形状に合わせた形状を有する。キャップ部における支持軸の先端を挿入するための孔は、支持軸の先端のDカット形状に合わせた形状を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端部キャップ部をハンドルの他端の開口部に取り付けることで、ハンドルカバーを用いずに、簡易な構造で、ハンドルの内部に重りを入れることが可能となる。
【0014】
重りを2つに分割して、一方の重りをハンドルの内部に収容し、他方の重りを端部キャップの内部に収容するようにすることで、ハンドルが湾曲していたとしても、端部キャップ及びハンドルの全体に重りを収容することが可能となる。さらに、端部キャップの内部に収容される第2の重りに溝を設け、当該溝に対応する凸部を端部キャップの内部に設けることで、第2の重りの取付位置の間違いが防止される。マッサージ器は主に、樹脂成形品で構成されているが、回転体の方が重くなる傾向にある。そのため、使用時に、ハンドル側に重りを入れることで、全体の荷重バランスが整い、マッサージ時に使用しやすくなる。また、ハンドルを湾曲させることで、マッサージがし易くなるため、重りによる荷重バランスの整合と相まって、使い勝手がさらに良くなる。ハンドルの湾曲方向としては、回転体の支持軸の傾斜方向にハンドルが湾曲してもよいし(すなわち、
図4に示すように湾曲してもよいし)、支持軸の傾斜方向とは逆の方向にハンドルが湾曲してもよい(すなわち、
図4に示す湾曲とは逆に、上側にハンドルが反り返るような湾曲でもよい)。
【0015】
回転体に貫通孔を形成して、キャップ部で、貫通孔を蓋する構造とすれば、回転体を支持軸への取付が容易になるばかりでなく、支持軸から回転体が抜けるのを防止しつつ、さらに、回転体とキャップ部との間のクリアランスを小さくすることで、回転体とキャップ部との間のクリアランスに、皮膚が巻き込まれるといったトラブルも発生しないようにすることが可能である。
【0016】
回転体の内部に圧入される保持部を設けることで、回転体の製造が容易になる。また、保持部を金属製にすれば、回転体側を重くすることができるので、マッサージがし易くなる。保持部に、支持軸を挿入するための軸受を用いれば、回転が円滑になる。支持軸の先端にキャップ部を用いることで、貫通した回転体を、あたかも、非貫通の回転体かのような外形にすることができるので、デザイン面での効果に加えて、非貫通の回転体と同様のマッサージ効果を得ることが可能となる。
【0017】
キャップ部の回りに、粒を配置すれば、半導体による美容効果を期待しつつ、優れた意匠を提供することが可能となる。
【0018】
キャップ部の向きを揃える構造とすることで、キャップ部にロゴやイラストなどの装飾を施したとしても、一定の向きに、当該装飾が揃うように、製造しやすくなる。そのための構造として、Dカット構造を利用すれば、安価に、装飾が揃う構造を採用することが可能となる。
【0019】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージ器1の平面図である。
【
図6】
図6は、マッサージ器1のハンドル部分の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、重りを使用しないマッサージ器1のA-A線断面図である。
【
図9】
図9は、端部キャップ3の内部に重りを収容しない場合のマッサージ器1の断面図である。
【
図10】
図10は、マッサージ器1の回転体4の内部構造の変形例1を示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、マッサージ器1の回転体4の内部構造の変形例2を示す分解斜視図である。
【
図14】
図14は、マッサージ器1の回転体4の内部構造の変形例3を示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、マッサージ器1の回転体4の内部構造の変形例4を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
マッサージ器1は、ハンドル2と、端部キャップ3と、一対の回転体4とを備える。ハンドル2は、一端にY字状に二股に分かれた分岐部2aを有している。分岐部2aに、一対の回転体4が回転可能に取り付けられている。ハンドル2と、端部キャップ3と、一対の回転体4とは、樹脂成形品である。
【0022】
本発明において、回転体4の形状は特に限定されるものではなく、図示するような洋ナシ状の回転体以外に、球体状の回転体など、どのような形状であってもよい。また、回転体4の表面は、図では、多面体にカットされているが、当該表面形状についても、本発明を限定するものではない。
【0023】
図7に示すように、分岐部2aの先端には、軸孔2bが形成されており、軸孔2bに、支持軸4aが挿入されている。なお、
図7では、軸孔2bは非貫通のものであるとしているが、貫通であってもよい。
【0024】
回転体4は、支持軸4aを挿入するための貫通孔4eを有している。貫通孔4eには、軸受4c,4dを配置するための段差が形成されている。当該段差に、軸受4c,4dが配置されて、支持軸4aが軸受4c,4dに挿通されている。軸受4c,4dとしては、転がり軸受や滑り軸受など、周知のあらゆる軸受を使用することができ、その構造は、本発明を限定するものではない。また、軸受は、少なくとも1つあればよい。また、回転体4の内部の貫通孔が滑りやすい素材で形成されているのであれば、軸受がなくてもよい。
【0025】
支持軸4aの軸受4d側の端部には、抜け止め具4bが取り付けられており、支持軸4aが回転体4から抜けないようになっている。抜け止め具4bは、ナットやリングなど周知の抜け止め手段である。
【0026】
さらに、支持軸4aの先端には、キャップ部5が取り付けられている。キャップ部5は、回転体4に設けられた貫通孔4eを隠すための部材である。キャップ部5と回転体4との間のクリアランスは、出来る限り小さくなるように設計されており。たとえば、当該クリアランスは、1mm以下となるように設計されている。これにより、支持軸4aの回りを、キャップ部5とは独立して、回転体4gが回転することが可能となる。
【0027】
ここでは、キャップ部5と抜け止め具4bとは、別部材であるとしたが、
図7に示すような構造に限るものではない。たとえば、キャップ部5がナット構造となっており、キャップ部5自体が、抜け止め手段として機能するように構成してもよい。その際、軸受4dを配置する段差は、適宜、貫通孔4eの適切な位置に設ければよい。
【0028】
回転体4の外観上、
図2に示すように、キャップ部5と回転体4の表面とは、面一となっており、回転体4が貫通孔4eを有していたとしても、何ら、使用上、問題が生じることはない。回転体4とキャップ部5との間のクリアランスを1mm以下としておけば、当該クリアランスに、皮膚が巻き込まれるなどといった事態も生じない。
【0029】
また、キャップ部5の回りに、たとえば、ゲルマニウムなど半導体を含有する粒6を一以上配置すれば、機能を付加しつつ、デザイン的にも、キャップ部5の存在が目立たなくなる。
【0030】
当然、キャップ部5の色は、回転体4の表面と同一にしておけば、キャップ部5の存在はさらに目立たなくなるが、同一色に本発明が限定されるものではなく、逆に、キャップ部5を回転体4とは別色として、キャップ部5を目立たせる意匠的工夫がなされていてもよい。
【0031】
図4に示すように、ハンドル2及び端部キャップ3の内部は空洞の筒状になっている。空洞部分に、重り7a,7bが収容されている。端部キャップ3は、ハンドル2の端部に開けられた開口部2cから挿入できるようになっている。ハンドル2と端部キャップ3とには、適宜、位置決め用の凹部と凸部が形成されているとよい。また。端部キャップ3は、ハンドル2にスナップ結合(スナップフィット)するように、適宜、弾性変形可能な爪部を有しているとよい。
【0032】
ハンドル2は、湾曲した形状を有しているため、
図4及び
図6の重り7a及び重り7bに示すように、重りを2つに分割して、順番に、ハンドル2の内部の空洞に、重りを収容するようにするとよい。
【0033】
ただし、ハンドル2の形状は、本発明を限定するものではなく、ハンドル2の形状によっては、重りを2つに分割することなく、1つの重りを内部に収容することも可能である。また、重りは、3つ以上に分割されていてもよい。
【0034】
重りが、ハンドル2又は端部キャップ3の内部で、ずれないように、適宜、重りとハンドル2及び端部キャップ3とは、接着剤などで固定されているとよい。
【0035】
また、端部キャップ3側の重り7bに設けられている溝7cのように、製造時に、重りの向きを間違わないように、適宜、溝や凹凸を、重り7a又は7bと、ハンドル2又は端部キャップ3の内部に設けておくとよい。
図4に示す例では、重り7bに設けられた溝7cと、端部キャップ3の内部に設けられた凸部3aとが、重り7bの取付位置の間違いを防止するために機能している。
【0036】
本実施形態では、ハンドル2の内部に、開口部2cから、細長い方の重り7aを挿入し、その際、適宜、接着材で、重り7aとハンドル2とを固定する。そして、短い方の重り7bを端部キャップ3に挿入し、その際、適宜、接着材で、重り7bと端部キャップ3とを固定する。そして、重り7bが収容されている端部キャップ3を、ハンドル2の端部の開口部2cに挿入して、端部キャップ3がハンドル2から抜けないように、適宜、接着材やスナップ結合等で固定される。なお、製造順番は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0037】
なお、
図4及ぶ
図6に示す実施形態では、端部キャップ3に段差が形成されており、端部キャップ3の段差がハンドル2に挿入される構造としているが、これに限られるものではなく、ハンドル2の基端側に段差が形成されており、ハンドル2の段差が端部キャップ3に挿入される構造であってもよい。また、端部キャップ3とハンドル2の双方に、段差が形成されており、互い違いに挿入する構造であってもよい。本発明では、端部キャップ3がハンドル2の基端側の穴を蓋するような構造であれば、いかなる構造であってもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、重りを用いることとしたが、重りを用いず、
図8に示すように、ハンドル2の内部を中空の構造とするものであってよく、中空構造の場合でも、上述のように、端部キャップ3がハンドル2の基端側の開口部2cを蓋するような構造であれば、端部キャップ3とハンドル2とは、いかなる構造であってもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、端部キャップ3の内部も空洞の筒状であるとした。しかし、
図9に示すように、ハンドル2の内部に重りを収容するだけであれば、端部キャップ3の内部は空洞でなくてもよく、端部キャップ3の内部に重りを収容しなくてもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、Y字状のハンドル2を用いることとしたが、回転体が1つのマッサージ器で使用するハンドルにも、本発明の構造を適用することが可能である。すなわち、回転体は、ハンドルの一端に可能に少なくとも一以上取り付けられていればよい。
【0041】
なお、ハンドルとは、使用者が把持するための把持部であり、ハンドルの用語以外に、グリップ、取っ手などと表現される場合も本発明に含まれる。
【0042】
なお、本発明において、ハンドルの湾曲形状は、特に限定されない。ハンドル自体がほとんど湾曲していない形状でもよいし、たとえば、
図4の上側に反り返るように、本実施形態との湾曲方向とは逆な方向に湾曲していてもよい。いずれの湾曲形状を用いる場合でも、ハンドルの端部の開口部を蓋する端部キャップを用いることが可能であり、適宜、ハンドル及び/又は端部キャップの内部に重りを収容することが可能である。必要に応じて、重りは、複数に分割してもよいことは言うまでもない。
【0043】
なお、ハンドル及び/又は端部キャップの内部には、電池などの部品を収容してもよい。その場合、マッサージ器が、電池によって発生した微弱電流をローラに流すように構成されているとよく、微弱電流をローラに流すための構成としては、周知のあらゆる手段が用いられる。
【0044】
なお、本発明において、回転体4を、支持軸4aの回りで回転可能にするための構造は、特に限定されるものではなく、種々に変更可能である。以下、
図10ないし
図15を参照しながら、変形例1ないし4について説明する。ただし、変形例1ないし4は、一例に過ぎず、回転体4を貫通構造として、回転体4を支持軸4aの回りに回転可能に支持する構造であれば、他の構造が用いられてもよいことは、言うまでもない。
【0045】
(変形例1)
図10及び
図11に示すように、筒状の保持部8は、その両端に、軸受8a,8bを挿入することができるように、段差を有しており、両段差に、軸受8a,8bが挿入される。これによって、保持部8は、軸受8a,8bをその両端に保持することとなる。軸受8a,8bに、支持軸4aが挿入される。軸受8a,8bは、滑り軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよい。滑り軸受を用いる場合、滑り軸受は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0046】
保持部8が回転体4の内部に圧入されることで、回転体4と保持部8とが、密着した状態で、一緒に、支持軸4aの回りを回転することとなる。このとき、軸受8a,8bを、保持部8の内部で空回りしないように嵌め合いを調整しておけば、回転体4の回転がより円滑なものとなる。ただし、本発明を限定するものではない。
【0047】
保持部8は、金属製であるとよい。保持部8を金属製とすることで、回転体4側に荷重を加えることが可能となり、マッサージがし易くなる。また、保持部8を金属製とすることで、保持部8を回転体4の内部に圧入しやすくなる。ただし、保持部8は、金属製に限るものではない。
【0048】
回転体4の表面とキャップ部5の表面とは、面一となり、段差が極力生じないようにしてある。
【0049】
支持軸4aに、軸受8a,8b及び保持部8が挿入されて、軸受8aの外側の支持軸4aに、抜け止め部8cが取り付けられる。たとえば、支持軸4aにおいて、抜け止め部8cが取り付けられる箇所は、ねじ切りされており、抜け止め部8cとして、ナットが用いられるとよい。その他、抜け止め部8cは、止め輪などであってもよく、その場合は、支持軸4aに止め輪を留めるための切り込みが設けられているとよい。
【0050】
支持軸4aの先端は、断面がD字状にカットされたDカット部4fを有している。断面がD字状にカットされたことを、Dカットと呼ぶことにする。キャップ部5は、Dカット部4fの形状に合わせて、断面がD字状のD状断面部5aを有している。Dカット部4fとD状断面部5aとを嵌め合わせることで、製造時、キャップ部5の向きを一定方向に揃えることが可能となる。これにより、たとえば、キャップ部5の表面に、ロゴやイラストなどの装飾を施したときに、その向きが所望の向きとなるように、容易に製造することができる。
【0051】
なお、
図10に図示されているように、支持軸4aの基端側もDカットされており、軸孔2bも、D状断面となっている。これにより、支持軸4aの向きが一定に決まる。よって、支持軸4aの先端のDカット部分の向きも一定に決まることとなるので、キャップ部5の向きも一定に決まってくることとなる。
【0052】
ただし、支持軸4aの先端におけるDカット4fは、任意の構造である。Dカット部4f及びD状断面部5aは無くてもよい(他の変形例についても同様)。
【0053】
このように、筒状の保持部8の両側から、軸受8a,8bを挿入して、支持軸4aの先端側を抜け止め部8cで抜け止めし、さらに、その先端にキャップ部5を挿入することで、回転体4の表面を、非貫通の回転体のように、表面に段差がない構造とすることが可能となる。変形例1のような回転体4の内部構造は、製造がし易く、かつ、回転体4の回転を円滑なものとすることができる。
【0054】
軸受8a,8bとして、樹脂製の滑り軸受を用いれば、錆が生じにくく、水場での使用も可能なマッサージ器1を提供することができる。
【0055】
なお、樹脂製の滑り軸受を用いる場合、適宜、グリースなどを軸受8a,8bに塗布しておいてもよいことは、言うまでもない(他の変形例についても同様)。
【0056】
(変形例2)
変形例1に対して、軸受8a,8bを、
図12及び
図13に記載のフランジ付きの軸受8a,8bに変更してもよい。フランジ付きの軸受8a,8bを、保持部8の両側の段差に、挿入し、軸受8a,8bに支持軸4aを挿入すれば、支持軸4aの回りを回転体4が円滑に回転するように構成することが可能となる。
【0057】
典型的には、軸受8a,8bは、樹脂製であるとよいが、限定されるものではない。
【0058】
変形例2において、フランジ付きの軸受8a,8bを用いる以外は、変形例1と同様の構造であり、変形例1と同様の作用効果が変形例2についても得られる。
【0059】
(変形例3)
変形例2に対して、軸受8a,8bが保持部8の内部で空回りしないように、
図14に示すように、軸受8a,8bに凸部8d,8eを設けて、凸部8d,8eと嵌め合うように、保持部8の両側に凹部8f,8gを設けるようにしてもよい。
【0060】
典型的には、軸受8a,8bは、樹脂製であるとよいが、限定されるものではない。
【0061】
凸部8d,8eは、それぞれ少なくとも1つあればよいが、2つ以上あってもよい。
【0062】
凸部8d,8eと凹部8f,8gとが嵌め合うことで、保持部8の内部で、軸受8a,8bが空回りするのが防止される。これにより、支持軸4aの回りを回転体4が円滑に回転することとなる。
【0063】
(変形例4)
変形例4は、
図7に示す回転体4の内部構造に対する変形例であり、
図15に示すものである。なお、
図15では、変形例1に示すように、Dカット部4f及びD状断面部5aを用いているが、Dカット部4f及びD状断面部5aを用いなくてもよい。
【0064】
図15に示すように、軸受4c,4dのサイズを異なるサイズのものとしてもよい。たとえば、支持軸4aの基端側を大きい軸受4cとし、先端側を小さい軸受4dとする。
【0065】
このとき、軸受4c,4dは、転がり軸受以外に、樹脂製又は金属製の滑り軸受を用いてもよい。たとえば、軸受4c,4dとして、金属製の滑り軸受を用いる場合、軸受4cを大きくすることで、回転体4の分岐部2a側が重くなるので、マッサージがし易くなる。
【0066】
このように、支持軸4aの回りで回転体4が回転するために、2つの軸受を用いる場合に、分岐部2a側の軸受を大きくすることで、回転体4の分岐部2a側を重くすることができ、その結果、分岐部2a側に重みがかかって、マッサージがし易くなる。
【0067】
なお、大小関係は、本発明を限定するものではなく、当然、軸受4c,4dは、同じ大きさであってもよいし、先端側の軸受4d側が大きくてもよい。
【0068】
なお、変形例1ないし3に示す軸受8a,8bは、保持部8の両側に挿入されることとしたが、保持部8の貫通構造を調整すれば、保持部8のどちらか片側から、1つの軸受が挿入されるようにしてもよい。すなわち、保持部8には、片側又は両側から挿入される少なくとも一以上の軸受が用いられていればよい。
【0069】
なお、
図7及び変形例4に示す軸受4c,4dについても、回転体4の貫通構造を調整すれば、どちらか一方の軸受だけでもよい。
【0070】
なお、支持軸4a及びキャップ部5の向きを一定に揃えるために、支持軸4aの基端及び先端をDカットとし、軸孔2b及びキャップ部5に、Dカットに合せた断面を有する凹部を構成することとしたが、支持軸4a及びキャップ部5の向きを一定に揃えるための構成としては、Dカットに限るものではなく、向きを揃えるための周知の構造を採用することが可能である。たとえば、支持軸4aの基端及び先端に、切り込みを入れて、当該切り込みにあう形状の孔を軸孔2b及びキャップ部5に設けてもよい。また、支持軸4aの基端及び先端を断面多角形又は断面楕円状にして、当該多角形又は楕円にあう形状の孔を軸孔2b及びキャップ部5に設けてもよい。
【0071】
支持軸4a及びキャップ部5の向きを一定に揃えるための構成とは、支持軸4aがハンドル2から回転してしまわないための構造、及び、キャップ5が支持軸4aから回転してしまわないための構造であると言い換えることも可能である。
【0072】
なお、本明細書及び図面を用いて説明した回転体4の内部構造については、端部キャップを用いないマッサージ器に対しても当然に採用することができる構造であり、当該内部構造単独で、発明として成立するものであることは言うまでもない。
【0073】
すなわち、ハンドルの一端に回転可能に取り付けられた一以上の回転体を備えるマッサージ器において、回転体の内部に圧入される保持部と、保持部に挿入される軸受と、保持部及び軸受に挿入される支持軸と、支持軸の先端側に取り付けられた抜け止め部と、抜け止め部の先端に取り付けられるキャップ部とを備えるマッサージ器が、本明細書及び図面に開示されている。そして、回転体は、貫通しており、回転体とキャップ部とが、面一となるように構成されている。
【0074】
具体的には、回転体は、支持軸を通る断面において、弧状の湾曲形状を有しており、キャップ部は、当該弧状の湾曲形状に沿った湾曲形状を有することで、回転体とキャップ部とが、面一になるように、構成されている。
【0075】
そして、回転体とキャップ部との間には、クリアランスが設けられており、回転体は、キャップ部とは独立して、別に回転するようになっている。
【0076】
このような貫通状態の回転体とキャップ部を用いることで、回転体があたかも非貫通の回転体のように扱って、マッサージを行なうことが可能となる。
【0077】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、マッサージ器であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 マッサージ器
2 ハンドル
2a 分岐部
2b 軸孔
2c 開口部
3 端部キャップ
3a 凸部
4 回転体
4a 支持軸
4b 抜け止め具
4c,4d 軸受
4e 貫通孔
4f Dカット部
5 キャップ部
5a D状断面部
6 粒
7a,7b 重り
7c 溝
8 保持部
8a,8b 軸受
8c 抜け止め部