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  • 特許-安全帯保持具 図1
  • 特許-安全帯保持具 図2
  • 特許-安全帯保持具 図3
  • 特許-安全帯保持具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】安全帯保持具
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A62B35/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020184858
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515045709
【氏名又は名称】株式会社結一産業
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松本 良生
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-092941(JP,A)
【文献】特開2004-041471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩ベルト及び脚ベルトを有するハーネス安全帯を保持するとともに、使用現場に存在する構造物に取り付けられる安全帯保持具であって、
前記構造物に取り付けられる取付部と、
前記取付部に接続されるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の肩ベルトが掛けられる上方保持部と、
前記上方保持部の下方に設けられるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の脚ベルトが掛けられる下方保持部と、
前記取付部に対して、前記上方保持部及び前記下方保持部を上下方向周りに回転可能に支持するとともに、前記取付部に対して回転させた状態で固定する固定部と、を備える、安全帯保持具。
【請求項2】
肩ベルト及び脚ベルトを有するハーネス安全帯を保持するとともに、使用現場に存在する構造物に取り付けられる安全帯保持具であって、
前記構造物に取り付けられる取付部と、
前記取付部に接続されるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の肩ベルトが掛けられる上方保持部と、
前記上方保持部の下方に設けられるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の脚ベルトが掛けられる下方保持部と、
前記上方保持部よりも上方に、ヘルメットの本体を載置できる載置部と、を備える、安全帯保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所で作業する作業者が装着するハーネスを、休憩等の不使用時に保持する安全帯保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者の腰に装着する安全帯を、休憩時等の不使用時に保持する安全帯保持具が知られている(非特許文献1)。この安全帯保持具は、足場パイプ等に取り付けられる取付部と、取付部の下方に設けられ且つ安全帯が掛けられる保持部と、を含む。安全帯保持部の保持部に安全帯を引っ掛けることで、安全帯を吊るして保管することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“建築副資材の開発・販売 | 株式会社結一産業、[令和2年10月15日検索]、インターネット〈URL:http://yuy.co.jp/products/%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業者の安全性を確保すべく、ハーネス安全帯が普及してきている。しかしながら、この安全帯保持具の保持部にハーネス安全帯を引っ掛けると、ハーネス安全帯の肩掛けベルト等が絡まってしまい、保持部からハーネス安全帯を取り外して着用する際に手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、ハーネス安全帯の保持用に改良した安全帯保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の安全帯保持具は、肩ベルト及び脚ベルトを有するハーネス安全帯を保持するとともに、使用現場に存在する構造物に取り付けられる安全帯保持具であって、前記構造物に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続されるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の肩ベルトが掛けられる上方保持部と、前記上方保持部の下方に設けられるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の脚ベルトが掛けられる下方保持部と、を備える。
【0007】
かかる構成によれば、上方保持部がハーネス安全帯の肩ベルトを保持するとともに、下方保持部がハーネス安全帯の脚ベルトを保持するため、ハーネス安全帯を絡まることなく安定的に保持することができる。
【0008】
また、前記安全帯保持具では、前記取付部に対して、前記上方保持部及び前記下方保持部を上下方向周りに回転可能に支持するとともに、前記取付部に対して回転させた状態で固定する固定部を備えてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、構造物に安全帯保持具を取り付けた状態で各保持部を回動させて、各保持部の姿勢を、現場の設置状況に合わせて、ハーネス安全帯を保持しやすい姿勢に変更できる。
【0010】
また、前記安全帯保持具では、前記上方保持部よりも上方に、ヘルメットの本体を載置できる載置部を備えてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、ハーネス安全帯の保持に加えて、ヘルメットを脱落しにくい状態で安定的に載置できる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、ハーネス安全帯の保持用に改良した安全帯保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る安全帯保持具の斜視図である。
図2図2は、図1の安全帯保持具の取付部に対して上方保持部及び下方保持部を回動させた状態の斜視図である。
図3図3は、前記安全帯保持具へのハーネス安全帯の取り付けを説明するための模式図である。
図4図4は、前記ハーネス安全帯を取り付けた前記安全帯保持具の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る安全帯保持具について、図1図4を参照しつつ説明する。
【0015】
安全帯保持具1は、図4に示すように、ハーネス安全帯10を保持する。また、安全帯保持具1は、使用現場に存在する構造物C(例えば、足場パイプ)に取り付けられる。ハーネス安全帯10は、図3及び図4に示すように、使用者の肩に装着される肩ベルト11、及び、使用者の脚に装着される脚ベルト12を有する。また、ハーネス安全帯10は、例えば、使用現場の安全帯取付設備に取り付けられるリング13を有する。
【0016】
安全帯保持具1は、図1に示すように、構造物Cに取り付けられる取付部2と、取付部2に接続されるとともに二方に延びる上方保持部3と、上方保持部3の下方に設けられるとともに二方に延びる下方保持部4と、を備える。また、安全帯保持具1は、取付部2に対して、上方保持部3及び下方保持部4を上下方向周りに回転可能に支持するとともに、取付部2に対して回転させた状態で固定する固定部5を備える。さらに、安全帯保持具1は、上方保持部3よりも上方に、ヘルメットの本体(ヘルメットのうち使用者の頭を覆う部分)を載置できる載置部6を備える。本実施形態の安全帯保持具1は、載置部6と上方保持部3とを接続する第一接続部7と、上方保持部3と下方保持部4とを接続する第二接続部8と、を備える。
【0017】
取付部2は、安全帯保持具1を構造物Cに取り付ける部材である。本実施形態の取付部2は、構造物Cに固定可能な固定部材であり、例えば、足場パイプPに取り付け可能なクランプである。
【0018】
上方保持部3は、ハーネス安全帯10の肩ベルト11が掛けられる部材である。例えば、上方保持部3は、長尺板状の部材である。また、上方保持部3は、左右(図1におけるX軸方向)に均等に延びている。さらに、上方保持部3の両端部である上方両端部30は、上方に延びている。
【0019】
具体的に、上方保持部3は、上方に延びる上方両端部30に加えて、左右に延びる上方左右延出部31を有する。例えば、上方左右延出部31は、中央部では平坦であり、中央部以外では外側ほど下方に傾斜した状態で延びている。上方左右延出部31がこのように傾斜した状態で延びることにより、上方保持部3に掛けられたハーネス安全帯10の肩ベルト11を、上方両端部30に誘導することができる。
【0020】
本実施形態の上方保持部3は、ハーネス安全帯10の肩ベルト11が左右対称な形状であることに応じて、左右対称な形状を有する。この上方保持部3では、上方両端部30は、先端(延出端)側に、内側に湾曲して延びる湾曲領域300を有する。このように、上方両端部30が湾曲していることにより、上方保持部3にハーネス安全帯10の肩ベルト11を掛ける際に、使用者の手が引っ掛かりにくい。
【0021】
下方保持部4は、ハーネス安全帯10の脚ベルト12が掛けられる部材である。例えば、下方保持部4は、長尺板状の部材である。また、下方保持部4は、左右に均等に延びている。さらに、下方保持部4の両端部である下方両端部40は、上方に延びている。なお、下方保持部4の下方両端部40は、上方保持部3の上方両端部30よりも短い長さで上方に延びている。そのため、上方保持部3と下方保持部4との間の上下方向(図1のZ軸方向)における間隔を縮小できるので、安全帯保持具1の上下方向におけるサイズをコンパクト化することができる。
【0022】
具体的に、下方保持部4は、上方に延びる下方両端部40に加えて、平坦な状態で左右に延びる下方左右延出部41を有する。
【0023】
本実施形態の下方保持部4は、ハーネス安全帯10の脚ベルト12が左右対称な形状であることに応じて、左右対称な形状を有する。この下方保持部4では、下方両端部40は、先端(延出端)側に、内側に湾曲して延びる湾曲領域400を有する。
【0024】
載置部6は、例えば、略板状の部材である。具体的に、載置部6は、四隅が上方に曲げられた略矩形板状の部材である。また、載置部6のサイズは、ヘルメットの本体の外径よりも小さい。即ち、載置部6は、ヘルメットの本体が外側から被せられるサイズである。
【0025】
第一接続部7は、長尺板状の部材である。また、第一接続部7は、上下方向に沿って延びている。また、第一接続部7の下端部70は、上下方向と垂直な方向である水平方向に曲げられることにより平坦に形成されている。第一接続部7の上端部は、溶接により載置部6に接続されている。第一接続部7の上下方向における中間部には、取付部2が固定されている。
【0026】
第二接続部8は、長尺板状の部材である。また、第二接続部8は、上下方向に沿って延びている。第二接続部8の上端部80は、水平方向に曲げられることにより平坦に形成されている。第二接続部8の下端部81は、水平方向に曲げられることにより平坦に形成されている。この第二接続部8では、上端部80及び下端部81は同じ方向に延びている。第二接続部8の下端部81は、下方保持部4(例えば、下方左右延出部41の中央部)に上方から重ねられた状態で溶接されている。
【0027】
固定部5は、例えば、上下方向に延びるボルトである。このボルトは、図1及び図2に示すように、緩められた状態で、取付部2に対して、上方保持部3及び下方保持部4を上下方向周りに回転可能に支持する。また、このボルトは、上方保持部3及び下方保持部4を所望の姿勢とした状態で締められることにより、上方保持部3及び下方保持部4の姿勢を維持する。
【0028】
本実施形態の固定部5は、上方から順に重ねられた第一接続部7の下端部70、上方保持部3(例えば、上方左右延出部31の中央部)、及び、第二接続部8の上端部80を、第一接続部7に対して、上下方向周りに回動可能に接続している。
【0029】
以上の安全帯保持具1では、図4に示すように、上方保持部3(例えば、上方保持部3の上方左右延出部31)にハーネス安全帯10の肩ベルト11が掛けられるとともに、下方保持部4(例えば、下方保持部4の下方左右延出部41)にハーネス安全帯10の脚ベルト12が掛けられる。ハーネス安全帯10のリング13は、上方保持部3に掛けられるが、下方保持部4に掛けてもよい。
【0030】
以上の安全帯保持具1によれば、上方保持部3がハーネス安全帯10の肩ベルト11を保持するとともに、下方保持部4がハーネス安全帯10の脚ベルト12を保持する、即ち、肩ベルト11と脚ベルト12とが安全帯保持具1の異なる部位に個別に保持されるため、ハーネス安全帯10を絡まることなく安定的に保持することができる。
【0031】
本実施形態の安全帯保持具1では、構造物Cに安全帯保持具1を取り付けた状態で各保持部3、4を回動させて、各保持部3、4の姿勢を、現場の設置状況に合わせてハーネス安全帯10を保持しやすい姿勢に変更できる。これにより、安全帯保持具1を複数狭い場所に並べて、複数のハーネス安全帯10を密度を高くした状態で保持することができる。
【0032】
また、本実施形態の安全帯保持具1では、ハーネス安全帯10の保持に加えて、載置部6によりヘルメットを脱落しにくい状態で安定的に載置できる。
【0033】
さらに、本実施形態の安全帯保持具1では、上方保持部3の上方両端部30が、上方に延びているため、引っ掛けたハーネス安全帯10の肩ベルト11が上方保持部3から脱落しにくい。また、この上方保持部3の上方両端部30は、下方保持部4の下方両端部40よりもより長く伸びているため、上方左右延出部31が下方に傾斜していることにより、肩ベルト11が上下左右延出部31を滑り落ちても、この肩ベルト11を引っ掛けやすく安定的に保持することができる。
【0034】
本実施形態の安全帯保持具1では、下方保持部4の下方両端部40は、上方に延びているため、引っ掛けたハーネス安全帯10の脚ベルト12が下方保持部4から脱落しにくい。
【0035】
また、本実施形態の安全帯保持具1では、上方保持部3及び下方保持部4は、それぞれ、左右対称な形状を有するため、少なくとも肩ベルト11及び脚ベルト12が左右対称な形状とされたハーネス安全帯10をバランス良く保持できる。
【0036】
尚、本発明の安全帯保持具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0037】
上方保持部3及び下方保持部4の少なくとも一方が、取付部2に対して回動可能でなくてもよい。例えば、上方保持部3及び下方保持部4の両方が、取付部2に対して回動可能でない場合、取付部2、上方保持部3、及び下方保持部4が、各接続部7、8に溶接により接続されたり、各接続部7、8と一体の部材として形成されたりすることが考えられる。このように、上方保持部3や下方保持部4を取付部2に対して回動可能でない構成とすることで、安全帯保持具1を製造する際にコストダウンを図ることができる。
【0038】
安全帯保持具1は、載置部6の代わりに、例えば、ヘルメットの紐を引っ掛ける引っ掛け部を備えてもよい。なお、安全帯保持具1は、載置部6を備えず、ハーネス安全帯10のみを保持する構成であってもよい。
【0039】
取付部2は、クランプの代わりに、例えば、足場パイプに掛けられるフック等の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…安全帯保持具、2…取付部、3…上方保持部(保持部)、4…下方保持部(保持部)、5…取付部、6…載置部、7…第一接続部(接続部)、8…第二接続部(接続部)、10…ハーネス安全帯、11…肩ベルト、12…脚ベルト、13…リング、30…上方両端部、31…上方左右延出部、40…下方両端部、41…下方左右延出部、70…下端部、80…上端部、81…下端部、300…湾曲領域、400…湾曲領域、C…構造物、P…足場パイプ
【要約】
【課題】ハーネス安全帯の保持用に改良した安全帯保持具を提供する。
【解決手段】肩ベルト及び脚ベルトを有するハーネス安全帯を保持するとともに、使用現場に存在する構造物に取り付けられる安全帯保持具であって、前記構造物に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続されるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の肩ベルトが掛けられる上方保持部と、前記上方保持部の下方に設けられるとともに二方に延び、ハーネス安全帯の脚ベルトが掛けられる下方保持部と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4