(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】飲料用演出グラス、ワイパー棒
(51)【国際特許分類】
A47G 19/22 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A47G19/22 S
(21)【出願番号】P 2021069355
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2021-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-185348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0225833(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105193189(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定するための格納部と、
ワイパー棒と、
前記格納部の側面に設けた縦長のスリット穴と、
前記映像表示装置を前記格納部内で固定するための固定機構とを備え、
前記グラス本体の側面は透明な材料から成り、
前記固定機構により前記映像表示装置は
映像表示面を前記グラス本体側に向けた状態で前記格納部内に固定され、
前記固定機構により前記映像表示面と前記グラス本体
の側面との間の距離は距離dに固定され、
前記距離dは前記ワイパー棒の太さ又は直径よりも大きく、
前記ワイパー棒を前記スリット穴に挿入する事により前記ワイパー棒の先端部を前記グラス本体の側面と前記映像表示面の間に配置し、
前記ワイパー棒の前記グラス本体の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシートに覆われており、
前記スリット穴に前記ワイパー棒を挿入した状態で
前記シートで前記グラス本体の側面の水滴を拭くことができ、また、前記ワイパー棒は前記映像表示面を押下することができることを特徴とする飲料用演出グラス。
【請求項2】
前記ワイパー棒は前記映像表示面方向に向けた隆起部を備え、
前記隆起部は前記シートと反対側に備えることを特徴とする請求項1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲料用演出グラスで用いる棒形状のワイパー棒であり、
太さ又は直径は前記距離dよりも小さく、
前記映像表示面方向に向けた隆起部を備え、
前記グラス本体の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシートに覆われており、
前記隆起部は前記シートと反対側に備えることを特徴とするワイパー棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用演出グラス、ワイパー棒に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を入れる機能以外に様々な機能を持ったグラスが開発されている。
例えば特許文献1~3には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス本体と、グラス本体の底部から内部側にのびており携帯型通信装置を格納するための格納部と、グラス本体の側面から内部側にのびており携帯型通信装置の電波を通過させるための導波部を備えている。この飲料用演出グラスはグラス本体内に飲料を充填した状態でも携帯型通信装置の電波を導波部を通して外部に出して無線通信できる。
特許文献4には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、グラス本体内部に配置された反射鏡とを備えてりおり、映像表示装置の映像を疑似的にグラス内部に投影する演出が可能なグラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6337256号
【文献】特許第6406742号
【文献】特許第6432960号
【文献】特許第6488049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1~4はグラス本体内部又は側面の携帯型通信装置又は映像表示装置の放熱とグラス本体内の冷えた飲料によりグラス本体側面の表面に結露又は水滴が発生してしまうという問題点と、グラス本体側面の携帯型通信装置又は映像表示装置のタッチパネルがグラス本体に阻まれてユーザーの指では押下操作出来ないという問題点を有する。
【0005】
本発明は上記問題を鑑み、グラス本体側面の表面の結露による水滴を拭き取り且つタッチパネルの押下操作が可能なワイパー棒を備えた飲料用演出グラス及びそのワイパー棒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料用演出グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定するための格納部と、ワイパー棒と、前記格納部の側面に設けた縦長のスリット穴と、前記映像表示装置を前記格納部内で固定するための固定機構とを備え、前記グラス本体の側面は透明な材料から成り、前記固定機構により前記映像表示装置は映像表示面を前記グラス本体側に向けた状態で前記格納部内に固定され、前記固定機構により前記映像表示面と前記グラス本体の側面との間の距離は距離dに固定され、前記距離dは前記ワイパー棒の太さ又は直径よりも大きく、前記ワイパー棒を前記スリット穴に挿入する事により前記ワイパー棒の先端部を前記グラス本体の側面と前記映像表示面の間に配置し、前記ワイパー棒の前記グラス本体の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシートに覆われており、前記スリット穴に前記ワイパー棒を挿入した状態で前記シートで前記グラス本体の側面の水滴を拭くことができ、また、前記ワイパー棒は前記映像表示面を押下することができることを特徴とする。
また、前記ワイパー棒は前記映像表示面方向に向けた隆起部を備え、前記隆起部は前記シートと反対側に備えることを特徴とする。
本発明のワイパー棒は上記飲料用演出グラスで用いる棒形状のワイパー棒であり、太さ又は直径は前記距離dよりも小さく、前記映像表示面方向に向けた隆起部を備え、前記グラス本体の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシートに覆われており、前記隆起部は前記シートと反対側に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料用演出グラスは、グラス側面の映像表示装置の放熱とグラス本体内の飲料によりグラス本体側面又はグラス本体の側面表面に発生した結露又は水滴を拭くワイパー棒を備える。そのためグラス側面の映像表示装置がどれだけ放熱しようとも、グラス本体内の飲料が室温に比してどれだけ冷たくても映像表示装置の画像がグラス本体側面に発生した結露や水滴により阻まれる事は無い。ユーザーはワイパー棒をスリット穴に沿って上下させるだけで(ユーザーの指が届かない範囲も含めて)前記画像のグラス本体の透過を妨げる水滴や結露を素早く拭き取る事が出来る。
ワイパー棒のグラス本体の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシートに覆われているためワイパー棒によりグラス本体側面が傷付く事無しにグラス本体側面の水滴を除去出来る。
ワイパー棒は映像表示面方向に向けた隆起部を備えるためユーザーは(ワイパー棒が同隆起部を備える場合に比して)少ない指の移動量で映像表示装置の映像表示面を押下操作出来る。
格納部内の固定機構により映像表示面とグラス本体側面との距離はワイパー棒が挿入または操作出来る程度に離れた状態で固定されるため、ワイパー棒によりグラス本体の結露を除去している際にワイパー棒により誤って映像表示面を押下する事を防げる。
格納部には縦長(又は鉛直方向に長い)形状のスリット穴が付いているため、そのスリット穴に沿ってワイパー棒の先端を上下左右に動かすだけでグラス本体側面の水滴を除去できる。スリット穴は縦長(又は鉛直方向に長い)形状のためワイパー棒を動かす際のガイドの役割をするためユーザーの指が疲れ難い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)及び断面図(b)
【
図2】様々な形状のワイパー棒の例を示す斜視図(a)及び斜視図(b)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[飲料用演出グラスの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
図1(a)に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1はグラス本体10と映像表示装置80をグラス本体10側面に固定するための格納部20、映像表示装置80を格納部20内で固定するための固定機構25、格納部20の側面に設けたスリット穴30、映像表示装置80の映像表示面81を拭くための棒形状のワイパー棒50から概略構成される。
グラス本体10は上部開口11を有する有底の筒状体であり、その内部に飲料を充填する事が出来る飲料用容器である。グラス本体10はガラスやアクリル樹脂等の透明な材料から成る。グラス本体10の形状としては
図1のような通常のコップ型の形状の他に、上部開口11を塞ぐための蓋を備えるボトル型の形状等が挙げられる。グラス本体10の形状は取っ手部分を備えるビールジョッキ型でも良い。本発明の飲料用演出グラス1に用いるグラス本体10はグラス本体10の側面のみ透明な素材から成っていればその他の部位(例えばグラス本体10の底部)が光非透過性の素材から構成されていても構わない。なお、
図1(a)や
図1(b)の例ではグラス本体10側面全体を透明部12(透明素材から成る箇所)としている。
格納部20はスマートフォンや小型のディスプレイデバイス等の映像表示装置80をグラス本体10の側面(又は側面近傍)に固定するための固定用のチェンバー又はポケット機構である。格納部20は映像表示装置をその内部に格納さえ出来ればどのような形状でも構わない。
固定機構25は映像表示装置80を格納部20内で固定するための固定機構である。
図1(b)の例のように固定機構25により映像表示装置80の映像表示面81とグラス本体10側面との間の距離は距離dに固定される。固定機構25は映像表示面81とグラス本体10の側面との距離dを固定又は維持出来る固定機構ならなんでも良く、
図1(a)や
図1(b)の例のように格納部20内に配置された係止爪を固定機構25として用いても良いし、ネジ機構やマグネット機構を固定機構25として用いても良い。固定機構25により映像表示装置80はその映像表示面81をグラス本体10側に向けた状態で格納部20内に固定される。なお、映像表示面81とグラス本体10の側面の間にワイパー棒50を挿入又は配置するために距離dはワイパー棒50の直径や太さよりも大きくなければならない。
スリット穴30はワイパー棒50を格納部20内部に挿入するための縦長形状の穴である。スリット穴30は縦長(又は鉛直方向に縦長)形状のため
図1(a)のようにワイパー棒50をスリット穴30に挿入した状態でユーザーの手UHをスリット穴30に沿って上下左右に動かすだけでグラス本体10の側面の結露又は水滴を拭き取る事が可能である。スリット穴30はグラス本体10側面或いは映像表示面81に沿うように縦長の形状になっているためユーザーの手UHを動かす際にガイドとしても機能する(つまりスリット穴30の端部がユーザーの手UHを動かす際の支えの役割を果たすため疲れが少なくて済み、更にユーザーがグラス本体10側面の水滴や結露を拭き取る際にどの方向でワイパー棒50を動かせば良いかユーザーが解し易くなる)。
ワイパー棒50はグラス本体10の側面を拭き取るための棒形状の部材又は棒である。ワイパー棒50の太さ又は直径は映像表示面81とグラス本体10の側面との距離dよりも小さくなくてはならない(別の言い方をすれば距離dはワイパー棒50の直径や太さよりも大きくなければならない)。ワイパー棒50のグラス本体10の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシート52に覆われており、グラス本体10の側面表面に付着した水滴を効率的に拭き取る事が出来る。ワイパー棒50をスリット穴30に挿入する事によりワイパー棒50の先端部はグラス本体10側面と映像表示面81の間に配置されるため、ワイパー棒50は映像表示面81を押下操作する際にも用いる事が出来る。映像表示面81がタッチパネルの場合は
図1(a)のようにワイパー棒50をスリット穴30に挿入した状態でユーザーの手UHをそのスリット穴30に沿って上下左右に動かすだけで映像表示面81の任意の位置(ユーザーの手UHの指先が届かない位置を含む)を押下操作出来る。
【0010】
ワイパー棒50をスリット穴30によりユーザーの指が届かない位置を含むグラス本体10の水滴を素早く拭き取る事が出来るため、映像表示面81の画像82がグラス本体10側面の表面の水滴や結露により妨げられる事が無い。ユーザーはワイパー棒50を用いる事により常にクリアーな画像82をグラス本体10の飲料L越しに視認出来る。
図1(a)、
図1(b)に示すように、ワイパー棒50は映像表示面81方向に向けた隆起部51を備えても良い。隆起部51及びスリット穴30によりユーザーは最小限の指の動きで映像表示面81を押下操作出来る。なお、
図2(b)のように隆起部51の先端は湾曲した形状をしていても良い。
隆起部51は
図1(a)や
図2(a)のようにシート52が存在する側と反対側に設けられているため、ユーザーは映像表示面81(タッチパネル)の押下操作とグラス本体10側面の水滴除去操作を素早く切り替えられる。
【0011】
[ワイパー棒の第1の実施の形態]
以下、本発明のワイパー棒50の第1の実施の形態について説明する。上記各実施の形態の飲料用演出グラスと同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
ワイパー棒50はグラス本体10の側面を拭き取るための棒形状の部材又は棒である。
図1(b)のようにワイパー棒50の太さ又は直径は映像表示面81とグラス本体10の側面との距離dよりも小さくなくてはならない。
ワイパー棒50のグラス本体10の側面に接触する部位は柔軟な素材から成るシート52に覆われており、グラス本体10の側面表面に付着した水滴を効率的に拭き取る事が出来る。シート52の素材としては綿や絹等の布や不織布、ゴムや発泡ウレタン等が考えられる。シート52によりグラス本体10の側面が傷付く事を防止出来る。
ワイパー棒50は映像表示面81を押下するための映像表示面81方向に隆起した隆起部51を備える。なお、隆起部51は
図1(a)や
図2(a)のようにシート52が存在する側と反対側に設けられているため、ユーザーは映像表示面81(タッチパネル)の押下操作とグラス本体10側面の水滴除去操作を素早く切り替えられる。
ワイパー棒50をスリット穴30に挿入する事によりワイパー棒50の先端部はグラス本体10側面と映像表示面81の間に配置されるため、ワイパー棒50は水滴(又は結露)除去だけでなく映像表示面81を押下操作する用途にも用いる事が出来る。
映像表示面81がタッチパネルの場合は
図1(a)のようにワイパー棒50をスリット穴30に挿入した状態でユーザーの手UHをスリット穴30に沿って上下左右に動かすだけで映像表示面81の任意の位置(ユーザーの手UHの指先が届かない位置を含む)へワイパー棒50の先端又は隆起部51を移動出来る。
なお、バネ機構や電動機構等を用いて隆起部51の隆起具合をユーザーの好きなタイミングで調整出来るようにしても良い(例としてはワイパー棒50にボタンを設けてユーザーがそのボタンを押下する事により隆起部51が隆起する等)。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、ワイパー棒とそのガイドとなるスリット穴を備えた構成の飲料用演出グラスであり、ユーザーの手が届かない位置でも容易にグラス本体の側面の水滴又は結露を除去できる。またワイパー棒はタッチパネルや映像表示面81を押下操作する際にも用いる事が可能である。以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0013】
U ユーザー
UH ユーザーの手
d 距離(映像表示面とグラス本体側面との距離)
L 飲料
1 飲料用演出グラス
10 グラス本体
11 上部開口
12 透明部
20 格納部
25 固定機構(係止爪)
30 スリット穴
50 ワイパー棒
51 隆起部
52 シート
80 映像表示装置
81 映像表示面
82 画像
【要約】
【課題】 グラス本体側面の表面の結露による水滴を拭き取り且つタッチパネルの押下操作が可能なワイパー棒を備えた飲料用演出グラス及びそのワイパー棒を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の飲料用演出グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定するための格納部と、前記映像表示装置の映像表示面を拭くための棒形状のワイパー棒と、前記格納部の側面に設けた縦長のスリット穴と、前記映像表示装置を前記格納部内で固定するための固定機構とを備え、前記固定機構により前記映像表示装置は前記映像表示面を前記グラス本体側に向けた状態で前記格納部内に固定され、前記固定機構により前記映像表示面と前記グラス本体側面との間の距離は距離dに固定され、前記距離dは前記ワイパー棒の太さ又は直径よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】
図1