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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】マーキング装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20220104BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021131643
(22)【出願日】2021-08-12
【審査請求日】2021-08-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395002098
【氏名又は名称】平和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(72)【発明者】
【氏名】内橋 幹雄
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-7283(JP,A)
【文献】特開平10-328875(JP,A)
【文献】特開昭50-124333(JP,A)
【文献】特開平9-174286(JP,A)
【文献】特開平3-60939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにマーキングを施すマーキング手段と、
前記ワークを支持して前記ワークを位置決めする位置決め架台と、を備えるマーキング装置であって、
前記位置決め架台は、
前記位置決め架台に固定される長尺部材と、
前記長尺部材に、前記長尺部材の長さ方向に摺動自在に支持されて、前記ワークを支持するワーク支持台と、
前記ワーク支持台を前記長尺部材にクランプするクランプ手段と、
前記ワークに当接して、前記ワークを前記ワーク支持台に対して位置決めする位置決め手段と、を備える、
マーキング装置。
【請求項2】
互いに平行に配置された2本の前記長尺部材を備えるとともに、
前記ワーク支持台は2本の前記長尺部材に両持ち支持されている、
請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
2組の前記ワーク支持台を備える、
請求項1又は請求項2に記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記ワーク支持台は前記長尺部材に着脱自在に取付けられている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーキング手段は前記位置決め架台に固定されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のマーキング装置。
【請求項6】
前記位置決め架台は前記マーキング手段を固定する複数個の据え付け座を備える、
請求項5に記載のマーキング装置。
【請求項7】
前記マーキング手段は前記ワークの表面にレーザ光を照射して前記ワークの表面にマーキングを施すレーザマーカ装置である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマーキング装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のワークに製品番号等をマーキングするマーキング装置が知られている。例えば、特許文献1には、鋼材の表面に、製品番号、社票、検査機関マークをマーキングするレーザマーキング装置が開示されている。特許文献2には、製缶用プレス機に供給されるコイル材にマーキングを施すレーザマーキング装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、仮設足場の支柱の個体を識別するために、仮設足場の支柱に文字、記号あるいは図形等からなる管理記号をマーキングすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-214348号公報
【文献】特開2020-151743号公報
【文献】登録実用新案第3191622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のレーザマーキング装置は鋼材製造ライン上に配置されるものであり、マーキング対象の鋼材の位置決めは鋼材製造ラインにおいてなされる。また、特定の鋼材製造ラインにおいては、基本的に、常に同寸同形の鋼材が搬送される。そのため、鋼材製造ライン上に配置されるレーザマーキング装置においては、基本的には、形状あるいは寸法が異なる複数種の鋼材に対応する必要がない。特許文献1においても、形状あるいは寸法が異なる複数種の鋼材に対応する構成は開示されていない。
【0006】
特許文献2に記載のレーザマーキング装置も製缶ライン上に配置されるものであり、マーキング対象のコイル材の位置決めは製缶ラインにおいてなされる。また、特定の製缶ラインにおいては、基本的に、常に同寸同形のコイル材が搬送される。そのため、製缶ライン上に配置されるレーザマーキング装置においては、基本的には、寸法の異なる複数種のコイル材に対応する必要がない。特許文献2においても、寸法の異なる複数種のコイル材に対応する構成は開示されていない。
【0007】
引用文献3に記載の発明は仮設足場の支柱を対象としているが、支柱以外の各種の建築用足場資材にも、管理記号等をマーキングして管理を容易にすることが求められている。そして、建築用足場資材には多数の種類があり、寸法あるいは形状がそれぞれ異なる。しかしながら、前述したように、引用文献1,2に記載のレーザマーキング装置においては、寸法あるいは形状の異なる多数のワークに対応できないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような背景の下でなされたものであり、寸法あるいは形状の異なる多数のワークに対応が可能な位置決め架台を備えるマーキング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るマーキング装置は、ワークにマーキングを施すマーキング手段と、ワークを支持してワークを位置決めする位置決め架台と、を備える。そして、位置決め架台は、位置決め架台に固定される長尺部材と、長尺部材に、長尺部材の長さ方向に摺動自在に支持されて、ワークを支持するワーク支持台と、ワーク支持台を長尺部材にクランプするクランプ手段と、ワークに当接して、ワークをワーク支持台に対して位置決めする位置決め手段と、を備える。
【0010】
本発明に係るマーキング装置は、互いに平行に配置された2本の長尺部材を備えるとともに、ワーク支持台は2本の長尺部材に両持ち支持されているものであっても良い。あるいは、2組のワーク支持台を備えるようにしても良い。
【0011】
本発明に係るマーキング装置は、ワーク支持台が長尺部材に着脱自在に取付けられているものであっても良い。
【0012】
本発明に係るマーキング装置は、マーキング手段が位置決め架台に固定されているものであっても良い。また、位置決め架台に、マーキング手段を固定する複数個の据え付け座を備えるようにしても良い。
【0013】
本発明に係るマーキング装置が備えるマーキング手段はワークの表面にレーザ光を照射してワークの表面にマーキングを施すレーザマーカ装置であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るマーキング装置によれば、ワークを支持するワーク支持台を長尺部材に沿って自在に移動させて、任意の位置で固定することができるので、寸法の異なる複数種のワークに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係るマーキング装置の外形を示す斜視図である。
図2図1に記載のマーキング装置を図1において矢印Aで見る方向から示す矢指図である。
図3図1に記載のマーキング装置が備えるワーク支持台の外形図であって、(A)はワーク支持台の平面図、(B)はワーク支持台の正面図、(C)はワーク支持台の左側面図である。
図4図1に記載のマーキング装置が備えるワーク支持台の変形例であって、踏み板を支持して位置決めするワーク支持台の外形図である。(A)はワーク支持台の平面図、(B)はワーク支持台の正面図、(C)はワーク支持台の左側面図である。
図5図1に記載のマーキング装置が備えるワーク支持台の変形例であって、筋交を支持して位置決めするワーク支持台の外形図である。(A)はワーク支持台の平面図、(B)はワーク支持台の正面図、(C)はワーク支持台の左側面図である。
図6図1に記載のマーキング装置が備えるワーク支持台の変形例であって、ジャッキを支持して位置決めするワーク支持台の外形図である。(A)はワーク支持台の平面図、(B)はワーク支持台の正面図、(C)はワーク支持台の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るマーキング装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るマーキング装置1の構成を示す斜視図である。図1に示すように、マーキング装置1は、手摺2を支持して手摺2を位置決めする位置決め架台3と、位置決め架台3に固定されたレーザマーカ装置4と、を備えている。なお、手摺2は、建設工事用の仮設足場を構成する部材であって、本発明に係るマーキング装置がマーキングを施す対象であるワークの例示である。また、レーザマーカ装置4は、本発明に係るマーキング装置が備えるマーキング手段の例示である。
【0018】
図1に示すように、位置決め架台3はベース部材5と、ベース部材5に固定されたフレーム6と、を備えている。なお、ベース部材5とフレーム6は、形鋼を溶接によって接合して構成される。
【0019】
位置決め架台3のベース部材5には、互いに平行に配置された、一対の、つまり2本の長尺部材7がブラケット8を介して固定されている。長尺部材7には、ワーク支持台9が取り付けられている。ワーク支持台9は、長尺部材7に摺動自在に支持されていて、後述するクランプ手段によって、長尺部材7上の任意の位置に固定される。
【0020】
ワーク支持台9は、手摺2を支持して位置決めする部材である。そして、図1に示すように、ワーク支持台9は規制部材10を備えている。規制部材10は手摺2の端部が当接する部材である。手摺2の端部を規制部材10に当接させることによって、手摺2はワーク支持台9に対して位置決めされる。また、ワーク支持台9はクランプ手段として機能する止めねじ11を備えている。マーキング装置1は2組のワーク支持台9を備えていて、手摺2は2組のワーク支持台9によって、両持ち支持される。また、ワーク支持台9の詳細な構成については後述する。
【0021】
図2は、マーキング装置1を図1において矢印Aで示す方向から見た矢視図である。図2に示すように、位置決め架台3が備えるフレーム6は、ベース部材5に固定される垂直柱6aと、垂直柱6aの上端に接合されて斜め上方に延びる中間部材6bと、中間部材6bの先端に接合される水平梁6cとを備えている。垂直柱6aと水平梁6cは、レーザマーカ装置4を据え付けて固定する第1の据え付け座6dと第2の据え付け座6eを備えている。なお、図2は、第2の据え付け座6eにレーザマーカ装置4を据え付けて固定した状態を示していて、レーザマーカ装置4はボルト6fによって、第2の据え付け座6eに固定されている。
【0022】
上記のように構成されているので、マーキング装置1においては、必要に応じて、ボルト6fを取り外して、レーザマーカ装置4を第2の据え付け座6eから取り降ろして、第1の据え付け座6dに移設することができる。つまり、レーザマーカ装置4を第1の据え付け座6dに据え付けて、ボルト6fによって、そこに固定することができる。
【0023】
なお、図2においては、レーザマーカ装置4がレーザ光を照射する方向を矢印で示している。図2に示すように、レーザマーカ装置4が第2の据え付け座6eに固定されている場合には、レーザ光は、ワーク支持台9の上に置かれた手摺2の上面に向けて照射される。レーザマーカ装置4を第1の据え付け座6dに固定すると、レーザ光は、ワーク支持台9の上に置かれた手摺2の側面に向けて照射される。
【0024】
図3は、ワーク支持台9の外形図であって、図3(A)は平面図であり、図3(B)は正面図であり、図3(C)は左側面図である。図3(C)に示すように、ワーク支持台9は2本の長尺部材7のそれぞれに、摺動自在に支持される基部9aと、基部9aの間にあって、基部9aに固定された承け座9bを備えている。承け座9bは、手摺2の断面形に合わせて形成された凹部9cを備えている。また承け座9bには前述した規制部材10が固定されている。このように構成されているので、凹部9cと規制部材10に合わせて、手摺2をワーク支持台9に置くと、手摺2はワーク支持台9に対して位置決めされる。つまり、凹部9cと規制部材10は、手摺2に当接して、手摺2をワーク支持台9に対して位置決めする位置決め手段として機能する。そして、手摺2がワーク支持台9に対して位置決めされれば、手摺2は位置決め架台3に対して位置決めされる。その結果、手摺2はレーザマーカ装置4に対して位置決めされる。
【0025】
また、図3の各図に示すように、ワーク支持台9の基部9aには、前述した止めねじ11が螺合されている。止めねじ11をその中心軸周りに回転させると止めねじ11は基部9aに対して進退する。止めねじ11を基部9aに対して前進させると、止めねじ11の先端が長尺部材7に当接して、長尺部材7を圧迫する。その結果、ワーク支持台9の長尺部材7に対する移動は、止めねじ11と長尺部材7の間に作用する摩擦力によって拘束される。つまり、ワーク支持台9は止めねじ11によって、長尺部材7にクランプされる。
【0026】
止めねじ11を緩めると、つまり、止めねじ11を基部9aに対して後退させると、止めねじ11の先端が長尺部材7から離れるので、ワーク支持台9はアンクランプされる。ワーク支持台9がアンクランプされると、ワーク支持台9は長尺部材7に対して摺動して、自在に移動できる。
【0027】
上記のように、マーキング装置1が備えるレーザマーカ装置4は位置決め架台3に固定されていて、位置決め架台3にはワーク支持台9が取り付けられている。そして、ワーク支持台9は、手摺2に適合する凹部9cと規制部材10を備えている。そのため、手摺2が凹部9cと規制部材10に適合するように、手摺2をワーク支持台9に載置するだけで、手摺2はワーク支持台9に対して正確に位置決めされる。レーザマーカ装置4とワーク支持台9は、共に、位置決め架台3に固定されているので、手摺2がワーク支持台9に対して位置決めされると、手摺2は、レーザマーカ装置4に対して、正確に位置決めされる。そして、その後に、レーザマーカ装置4を動作させれば、手摺2の表面の事前に定められた位置にマーキングが施させる。このように、マーキング装置1によれば、レーザマーカ装置4に対して、手摺2を容易に位置決めすることができるので、マーキング作業の能率が向上する。
【0028】
また、ワーク支持台9は長尺部材7に摺動自在に支持されていて、止めねじ11によってクランプされているので、必要に応じてクランプを解除して、ワーク支持台9の長尺部材7に対する取り付け位置を変更することができる。そのため、ワーク支持台9の長尺部材7に対する取り付け位置を変更することによって、長さが異なる複数種の手摺2に対応することができる。
【0029】
また、ワーク支持台9のクランプを解除すれば、ワーク支持台9を長尺部材7から取り外すことができる。そして、別の、つまり形式の異なるワーク支持台9を長尺部材7に取り付けることができる。要するに、マーキング装置1においては、必要に応じてワーク支持台9を交換することができる。ワーク支持台9を交換することによって、形状あるいは形式の異なるワークに対応することができる。以下において、形状あるいは形式の異なるワークに対応するワーク支持台9について説明する。
【0030】
(踏み板用のワーク支持台)
図4は、踏み板21を支持して位置決めするワーク支持台9の外形図であって、図4(A)は平面図であり、図4(B)は正面図であり、図4(C)は左側面図である。なお、踏み板21は、支柱と支柱の間に架け渡されて、作業者の通路を構成する足場部材である。図4(C)に示すように、踏み板21用のワーク支持台9も2本の長尺部材7のそれぞれに、摺動自在に支持される基部9aと、基部9aの間にあって、基部9aに固定された承け座9bを備えている。
【0031】
図4の各図に示すように、承け座9bには、踏み板21の端部が当接する規制部材10が固定されている。踏み板21の長手方向の端部を規制部材10に当接させることによって、長尺部材7の長手方向における、踏み板21の位置決めがなされる。また、図4(C)に示すように、承け座9bは、踏み板21の左側面が当接される当接部9dを備えている。そのため、踏み板21の左側面を当接部9dに当接させることによって、踏み板21の幅方向において、踏み板21を位置決めすることができる。
【0032】
このように、図4に記載のワーク支持台9によれば、踏み板21の長手方向の端部を規制部材10に、踏み板21の左側面を当接部9dに当接させることによって、踏み板21をワーク支持台9に対して正確に位置決めすることができる。要するに、当接部9dと規制部材10は、踏み板21に当接して、踏み板21をワーク支持台9に対して位置決めする位置決め手段として機能する。そして、踏み板21がワーク支持台9に対して位置決めされれば、踏み板21は位置決め架台3に対して位置決めされる。その結果、踏み板21はレーザマーカ装置4に対して位置決めされる。
【0033】
(筋交用のワーク支持台)
図5は、筋交22を支持して位置決めするワーク支持台9の外形図であって、図5(A)は平面図であり、図5(B)は正面図であり、図5(C)は左側面図である。なお、筋交22は、支柱と踏み板21で構成される矩形の枠組みの対角線に張り渡して、枠組みの変形を防止する部材である。図5(C)に示すように、筋交22用のワーク支持台9も2本の長尺部材7のそれぞれに、摺動自在に支持される基部9aと、基部9aの間にあって、基部9aに固定された承け座9bを備えている。
【0034】
図5(A)に示すように、承け座9bには規制部材10が固定されていて、規制部材10には筋交22の先端の爪22aが差し込まれるスリット10aを備えている。そのため、筋交22の先端の爪22aをスリット10aに差し込むことによって、筋交22をワーク支持台9に対して正確に位置決めすることができる。このように、スリット10aと規制部材10は、筋交22に当接して、筋交22をワーク支持台9に対して位置決めする位置決め手段として機能する。そして、筋交22がワーク支持台9に対して位置決めされれば、筋交22は位置決め架台3に対して位置決めされる。その結果、筋交22はレーザマーカ装置4に対して位置決めされる。
【0035】
(ジャッキ用のワーク支持台)
図6は、ジャッキ23を支持して位置決めするワーク支持台9の外形図であって、図6(A)は平面図であり、図6(B)は正面図であり、図6(C)は左側面図である。なお、ジャッキ23は、足場用の支柱を持ち上げて、支柱の据え付け高さを調整する部材である。図6(C)に示すように、ジャッキ23のワーク支持台9も2本の長尺部材7のそれぞれに、摺動自在に支持される基部9aと、基部9aの間にあって、基部9aに固定された承け座9bを備えている。そして、図6(A)と図6(B)に示すように、長尺部材7の長さ方向において、間隔を空けて配置された2枚の承け座9bの間には、支持架9eが固定されている。支持架9eはジャッキ23の外形と適合する形状を有している。そのため、ジャッキ23を支持架9eの上に置くことによって、ジャッキ23をワーク支持台9に対して正確に位置決めすることができる。このように、支持架9eは、ジャッキ23に当接して、ジャッキ23をワーク支持台9に対して位置決めする位置決め手段として機能する。そして、ジャッキ23がワーク支持台9に対して位置決めされれば、ジャッキ23は位置決め架台3に対して位置決めされる。その結果、ジャッキ23はレーザマーカ装置4に対して位置決めされる。
【0036】
以上、説明したように、本実施の形態に係るマーキング装置1は、マーキング対象のワークの形状に適合するワーク支持台9と、ワークに当接してワークをワーク支持台9に対して位置決めする位置決め手段を備える。そのため、ワークをワーク支持台9の上に置くだけで、ワークが位置決め架台3に対して正確に位置決めされる。その結果、ワークがレーザマーカ装置4に対して正確に位置決めされる。このように、マーキング装置1によれば、ワークの位置決めを容易に行えるので、マーキング作業を能率良く行うことができる。
【0037】
また、ワーク支持台9は長尺部材7に摺動自在に支持されるとともに、止めねじ11によって、長尺部材7にクランプされている。そのため、マーキング対象のワークの長さが変更される場合に、クランプを解除して、当該ワークの長さに合わせて、長尺部材7におけるワーク支持台9の取り付け位置を変更することができる。
【0038】
また、ワーク支持台9が位置決め架台3に着脱自在に取り付けられているので、ワーク支持台9の交換が容易である。そのため、マーキング対象のワークが変更される場合に、当該ワークに適合する専用のワーク支持台9を取り付けることができる。
【0039】
このように、本実施の形態に係るマーキング装置1によれば、寸法あるいは形状・形式の異なる多種類のワークに対応することができる。つまり、寸法あるいは形状・形式の異なる多種類のワークにマーキングを施すことができる。また、マーキング対象のワークを変更するため段取り換えを容易に行える。
【0040】
しかしながら、本発明の技術的範囲は上記の実施の形態によっては、限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載の技術的思想の限りにおいて、自由に、応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
【0041】
上記において開示されたマーキング装置1の機械的あるいは物理的な構成は例示であって、本発明の技術的範囲は、上記において開示されたマーキング装置1の機械的あるいは物理的な構成によっては限定されない。
【0042】
例えば、上記のマーキング装置1は、平行に配置された2本の長尺部材7を備えるが、本発明に係るマーキング装置は2本の長尺部材を備えるものには限定されない。本発明に係るマーキング装置は長尺部材を1本だけ備えるものであっても良いし、3本以上の長尺部材を備えるものであっても良い。また、長尺部材は円管で構成されるものには限定されない。長尺部材は角形管で構成されていても良いし、型材で構成されていても良い。
【0043】
上記のマーキング装置1は、2組のワーク支持台9を備えるが、本発明に係るマーキング装置は2組のワーク支持台を備えるものには限定されない。本発明に係るマーキング装置はワーク支持台を1組だけ備えるものであっても良いし、3組以上のワーク支持台を備えるものであって良い。
【0044】
上記において、クランプ手段として止めねじ11を備える例を示したが、本発明を構成するクランプ手段は止めねじ11には限定されない。
【0045】
上記において、レーザマーカ装置4が位置決め架台3に固定された例を示したが、本発明の技術的範囲はマーキング手段が位置決め架台に固定されたものには限定されない。本発明は、マーキング手段と位置決め架台が機械的に分離されていて、設置場所において、それぞれが別個に据え付け固定されるものであっても良い。
【0046】
上記において、手摺2、踏み板21、筋交22及びジャッキ23に適合するワーク支持台9の構成例を例示したが、ワーク支持台9は対象ワークの形状に合わせて自由に設計できる。そのため、本発明の対象ワークはこれらには限定されない。また、本発明の対象ワークは、建築用仮設足場を構成する部材には限定されない。
【0047】
上記において、マーキング手段の具体例として、レーザマーカ装置4を例示したが、本発明を構成するマーキング手段はレーザ光を利用するものには限定されない。マーキング手段の構成あるいは動作原理は限定されない。マーキング手段はワークの表面にペイントあるいはインクを吹き付けて、ワークの表面に文字、記号あるいは図形を描くものであっても良い。マーキング手段はワークの表面に、物理的な打撃を加えて、ワークの表面に文字、記号あるいは図形を描くものであっても良い。マーキング手段はワークの表面を化学的に変化させて、ワークの表面に文字、記号あるいは図形を描くものであっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 マーキング装置、2 手摺、3 位置決め架台、4 レーザマーカ装置、5 ベース部材、6 フレーム、6a 垂直柱、6b 中間部材、6c 水平梁、6d 第1の据え付け座、6e 第2の据え付け座、6f ボルト、7 長尺部材、8 ブラケット、9 ワーク支持台、9a 基部、9b 承け座、9c 凹部、9d 当接部、9e 支持架、10 規制部材、10a スリット、11 止めねじ、21 踏み板、22 筋交、22a 爪、23 ジャッキ




【要約】
【課題】寸法あるいは形状の異なる多数のワークに対応が可能な位置決め架台を備えるマーキング装置を提供する。
【解決手段】マーキング装置1は、手摺2にマーキングを施すレーザマーカ装置4と、手摺2を支持して手摺2を位置決めする位置決め架台3と、を備える。そして、位置決め架台3は、位置決め架台3に固定される長尺部材7と、長尺部材7に、長尺部材7の長さ方向に摺動自在に支持されて、手摺2を支持するワーク支持台9と、ワーク支持台9を長尺部材7にクランプする止めねじ11と、手摺2に当接して、手摺2をワーク支持台9に対して位置決めする規制部材10を備える。
【選択図】図1



図1
図2
図3
図4
図5
図6