(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】導電布用のコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20220104BHJP
【FI】
H01R12/77
(21)【出願番号】P 2021163321
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2021-10-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省、「柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502258738
【氏名又は名称】学校法人南山学園
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 聡人
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-105027(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0051323(KR,A)
【文献】特開2020-36130(JP,A)
【文献】特開2017-208242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0289927(US,A1)
【文献】実開昭55-129006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面と裏面のそれぞれが互いに絶縁されている導電性を有している導電布用のコネクタであり、
前記導電布に取り付けられたときに前記おもて面に接する第1電極を備えている板と、
基部が前記板に支持されており、前記板に沿って延びている針と、
前記針に配置されており、前記導電布に取り付けられたときに前記裏面に接する第2電極と、
を備えており、
(1)前記板は、前記針の前記先端から離れる方向に湾曲する弾性を有している、
または、
(2)前記針は、前記先端が前記板に近づいたり離れたりするように揺動可能に前記板に回転支持されている、
導電布用コネクタ。
【請求項2】
前記板は、
前記針の前記先端から離れる方向に湾曲する弾性を有しており、
前記針の前記基部から前記先端に向かうにつれて前記針から離れるように湾曲する第1形状から前記先端の方向に湾曲する第2形状へ飛び移り座屈する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記針の前記基部が、前記先端が前記板に近づいたり離れたりするように揺動可能に前記板に回転支持されており、
前記板は、前記針が前記板に沿って延びている状態を保持する保持機構を備えている、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、おもて面と裏面のそれぞれが互いに絶縁されている導電性を有している布(導電布)用のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
導電布用のコネクタが検討されている(非特許文献1、2)。コネクタはピンと、ピンに固定する留め具を備えており、ピンを導電布に刺し、留め具で留める。留め具が布の裏面側の導電層と導通する電極を兼ねる。そのようなコネクタは、表裏に導電性を有している布で作られた衣服に複数の小型デバイスを取り付けるのに役立つ。非特許文献1、2では、導電布用のコネクタを有する多数のセンサを衣服に取り付けたセンシングシステムが提案されている。布の表裏の導電層は、電力線と信号線を兼ねる。
【0003】
特許文献1-3には、両面に導電性を有する導電布用ではないが、布の一面に導電パターンが形成された布に取り付けるコネクタが開示されている。特許文献1-3のコネクタも、布の裏側に留め具を配置する。なお、導電布の「おもて面」と「裏面」は、説明の便宜上の表現であって、布の両面のどちらを「おもて面」と定義してもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】秋田純一、新村達、村上知倫、戸田真志(2006) 空間配置自由度が高いウェアラブルコンピュータ向けネットワークシステム、情報処理学会論文誌、47(12)、3402-3413
【文献】A. Noda and H. Shinoda, "Inter-IC for Wearables (I2We): Power and Data TransferOver Double-Sided Conductive Textile," in IEEE Transactions on Biomedical Circuitsand Systems, vol. 13, no. 1, pp. 80-90, Feb. 2019, doi: 10.1109/TBCAS.2018.2881219.
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-182897号公報
【文献】特開2020-10832号公報
【文献】特開2020-161248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いずれの文献においても、導電布用のコネクタは、本体と、本体と分離された留め具に分かれており、本体と留め具で導電布を挟み込む。非特許文献1、2のコネクタでは、本体と留め具のそれぞれが電極を備えている。コネクタを導電布に取り付けるのに留め具を布の裏側に回し込まなければならず、取り付けが面倒である。本明細書は、布の両面に導電性を有する導電布用のコネクタであって導電布のおもて面側からのアクセスだけで取り付けることができる導電布用のコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示するコネクタは、第1電極を備えている板、板に支持されている針、針に配置されている第2電極を備える。第1電極は、コネクタが導電布に取り付けられたときに導電布のおもて面に接する。針は、基部が板に支持されており、板に沿って延びている。第2電極は、コネクタが導電布に取り付けられたときに導電布の裏面に接する。板は、針の先端から離れる方向に湾曲する弾性を有している。または、針は、先端が板に近づいたり離れたりするように揺動可能に板に回転支持されている。
【0008】
説明の便宜上、針の先端が板から離れたコネクタ形状を第1形状と称し、針の先端が板に近接している形状を第2形状と称する。コネクタを第1形状に保持しておき、針を導電布に刺す。コネクタを第2形状に変形させることで、板と針が導電布を挟み込み、第1電極がおもて面に接し第2電極が裏面に接するとともに、コネクタが導電布に固定される。このコネクタは、導電布のおもて面からのアクセスだけで、第2電極を裏面側に配置することができる。
【0009】
最も単純な板の構造は、単純な板鋼材でよい。針の先端から離れるように板に荷重を加えれば板が湾曲して第1形状となり、板に加えた荷重を開放すれば第2形状に戻る。
【0010】
より工夫された板の構造は次の通りである。板は、針の基部から先端に向かうにつれて針から離れるように湾曲する第1形状から針の先端の方向に湾曲する第2形状へ飛び移り座屈する。「飛び移り座屈」とは、第1形状と第2形状がそれぞれ安定形状であり、所定の荷重を加えることで第1形状から第2形状へ(あるいは第2形状から第1形状)へ動的に移行する現象である。第1形状(板が針の先端から離れている形状)で安定するので、針を導電布に刺すのが容易になる。また、第2形状では板と針が導電布をしっかりと挟み込む。コネクタが導電布にしっかりと固定される。
【0011】
針が、揺動可能に板に回転支持されている場合、板は、針が板に沿って延びている状態を保持する保持機構を備えているとよい。典型的な保持機構は、針が板に沿って延びている状態で基部が圧入される溝でよい。
【0012】
なお、針と第1電極の間が絶縁されていれば、針全体が第2電極であってもよい。あるいは、板と第2電極の間が絶縁されていれば、板全体が第1電極であってもよい。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例のコネクタを含むウエアラブル発光装置の回路図である。
【
図4】第1実施例のコネクタの側面図である(導電布に取り付ける直前)。
【
図5】導電布に取り付けた後の第1実施例のコネクタの側面図である。
【
図6】第2実施例のコネクタの三面図である(第1形状)。
【
図7】第2実施例のコネクタの側面図と正面図である(第2形状)。
【
図8】第2実施例のコネクタの側面図である(導電布に取り付ける直前)。
【
図9】導電布に取り付けた後の第2実施例のコネクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例のコネクタを説明する前に、実施例のコネクタの一適用例であるウエアラブル発光装置の回路を説明する。
図1に、ウエアラブル発光装置1の回路図を示す。ウエアラブル発光装置1は、衣服に複数の発行体(LED42)を取り付けた装置である。衣服は導電布2で作られている。導電布2は、柔軟な一対の導電層2a、2bで柔軟な絶縁層2cを挟んだものである。一対の導電層2a、2bは絶縁層2cで相互に絶縁されている。理解を助けるために、
図1では絶縁層2cをグレーで示してある。説明の便宜上、導電層2aをおもて面導電層2aと称し、導電層2bを裏面導電層2bと称する。
【0015】
導電布2には、複数のコネクタ10が取り付けられている。
図1では2個のコネクタ10が示されているが、さらに多くのコネクタ10が導電布2に取り付けられている。コネクタ10には、第1電極11、第2電極12、制御チップ41、LED42が取り付けられている。コネクタ10を導電布2に取り付けると、第1電極11がおもて面導電層2aに接し、第2電極12が裏面導電層2bに接する。第1電極11がおもて面導電層2aと導通し、第2電極12が裏面導電層2bと導通する。第1電極11は裏面導電層2bとは絶縁され、第2電極12はおもて面導電層2aとは絶縁される。
【0016】
導電布2には、バッテリ3と制御器4が接続される。バッテリ3の正極と負極はそれぞれおもて面導電層2aと裏面導電層2bと接続される。制御器4のシリアル通信端子4a、4bも、それぞれ、おもて面導電層2aと裏面導電層2bと接続される。
【0017】
各コネクタ10の制御チップ41は、第1電極11とおもて面導電層2a、および、第2電極12と裏面導電層2bを介してバッテリ3および制御器4と接続される。第1電極11とおもて面導電層2a、および、第2電極12と裏面導電層2bは、電力線と通信線を兼ねている。制御チップ41とLED42はバッテリ3から電力供給を受ける。
【0018】
制御器4は、バッテリ3が供給する直流電力にパルス信号を重畳させて各制御チップ41に信号を送る。それぞれの制御チップ41には識別番号が割り振られており、制御器4は、指定の識別番号と指令を含んだ信号を、導電布2を介して全てのコネクタ10に伝達する。制御器4の信号に含まれている識別番号が割り当てられている制御チップ41は、その信号が自身に向けられた信号であると判断し、信号に含まれている指令を実行する。信号に含まれる指令には、点灯指令と消灯指令の2種類がある。点灯指令を受けた制御チップ41は、自身のコネクタ10に搭載されているLED42を点灯する。消灯指令を受けた制御チップ41は、自身のコネクタ10に搭載されているLED42を消灯する。
【0019】
制御器4は、所定のシーケンスに従って特定のコネクタ10のLED42を点灯/消灯させる。導電布2でできた衣服には多数のLED42(コネクタ10)が配置されており、制御器4が送る信号により協調して明滅する。
【0020】
ウエアラブル発光装置1は導電布2に取り付けるコネクタ10の一適用例であり、コネクタ10は他の装置、例えば、人体各所の温度を計測するウエアラブルセンシングシステムに適用することもできる。
【0021】
(第1実施例)
図2に第1実施例のコネクタ10の平面図を示し、
図3にコネクタ10の側面図を示す。コネクタ10は、板20と針30を備えている。板20は、金属製であり、弾性と導電性を有している。板20は、板基部21、板先端部22、一対の腕部23で構成されている。一対の腕部23は平行に延びており、板基部21と板先端部22を連結する。
【0022】
板基部21の中央部21aは、絶縁被覆されており、その中央部21aに制御チップ41が取り付けられ、制御チップ41の上にLED42が取り付けられている。理解を助けるために、
図2では絶縁被膜されている範囲(中央部21a)をグレーのハッチングで示してある。導電性を有する板基部21(中央部21aを除く)が第1電極11を兼ねている。腕部23と板先端部22も導電性を有しており、板基部21と導通している。すなわち、板20の全体(中央部21aを除く)が第1電極11を兼ねている。第1電極11は導通線11aで制御チップ41と電気的に接続されている。
【0023】
板基部21には針30が取り付けられている。針30の基部(針基部31)が、板基部21の中央部21aに支持されている。針30は板20に沿って延びており、先端(針先端32)は自由端になっている。針30の先端部(針先端32)は導電性の金属で作られており、針基部31は絶縁被覆されている。理解を助けるために、
図2、
図3では、絶縁被膜されている範囲(針基部31)をグレーのハッチングで示してある。導電性の針先端32が第2電極12を兼ねており、第2電極12は針30の内部を通る導通線12aで制御チップ41と電気的に接続されている。
【0024】
先に述べたように、針基部31と、板基部21の中央部21aはそれぞれ絶縁被覆されているため、板基部21の導電性の部分(すなわち第1電極11)と、針先端32(すなわち第2電極12)は互いに絶縁される。
【0025】
板20の腕部23と板先端部22は弾性を有する鋼板で作られており、
図3の仮想線が示すように、面外方向に湾曲することができる。
図3の仮想線が、湾曲した板20aを示している。なお、
図2、3の座標系におけるXY平面が板20の面内方向に相当し、Z方向が面外方向に相当する。座標系のX方向が針30の長手方向に相当する。
【0026】
コネクタ10は導電布2に取り付けられる。
図4に、導電布2に取り付ける直前のコネクタ10の側面を示し、
図5に、導電布2に取り付けた状態のコネクタ10の側面を示す。
図4に示すように、板20に荷重を加えて板先端部22が針先端32から離れるように板20を湾曲させ、針30を導電布2に刺し入れる。
図4の太矢印線が針30の軌跡を示している。針30は容易に導電布2を貫通する。
【0027】
板20に加えていた荷重を開放すると、板20は元の平面状態に戻り、板先端部22が針先端32と近接する。
図5に示すように、板20と針30が導電布2を挟み込み、コネクタ10は導電布2に固定される。このとき、第1電極11(板基部21)はおもて面導電層2aに接し、第2電極12(針先端32)は裏面導電層2bに接する。第1電極11がおもて面導電層2aと導通し、第2電極12が裏面導電層2bと導通する。導電布2を通過している針基部31は絶縁被膜されているため、針基部31がおもて面導電層2aと裏面導電層2bを短絡させることはない。
【0028】
上記したように、コネクタ10は、導電布2のおもて面側からのアクセスで第2電極12(針先端32)を裏面導電層2bに接続することができる。導電布2の裏面側に手を回すことなく、おもて面と裏面のそれぞれの導電層に電極を当接させるとともにコネクタ10を導電布2に固定することができる。
【0029】
図2に示したように、コネクタ10を板20の板面の法線方向からみたとき、針30の先端は板20(板先端部22)と重なる。コネクタ10を導電布2に取り付けたとき、板先端部22が針30の先端と重なることで、針30の先端が別の物体に刺さってしまうことが防止される。
【0030】
(第2実施例)
図6-9を参照して第2実施例のコネクタ110を説明する。
図6にコネクタ110の三面図を示す。
図6(A)/(B)/(C)は、それぞれ、コネクタ110の平面図/側面図/正面図である。第2実施例のコネクタ110は、板120が飛び移り座屈変形をする点で、第1実施例のコネクタ10と相違する。
図6では、
図2、3と同様に、絶縁被膜されている範囲をグレーのハッチングで示してある。
【0031】
針130(針基部131と針先端132)は、第1実施例の針30(針基部31と針先端32)と同様であり、針先端132は導電性を有しており第2電極12を兼ねている。針基部131は絶縁被膜されている。
【0032】
板120は、板基部121、板先端部122、一対の腕部123を備える。板基部121は第1実施例の板基部21と同じであり、中央部121aは絶縁被膜されており、その上に制御チップ41とLED42が固定されている。板基部121(中央部121aを除く)は導電性を有しており、第1電極11を兼ねている。第1電極11は導通線11aで制御チップ41と電気的に接続されている。針130の第2電極12(針先端132)は針130の内部を通る導通線12aで制御チップ41と電気的に接続されている。
【0033】
板先端部122と腕部123は、一枚の鋼板から打ち抜き加工で作られる。一対の腕部123は、板基部121に取り付けられる前には平行に延びている。
図6(A)において、仮想線が、板基部121に取り付けられる前の腕部を表している。板先端部122と腕部123は、面外方向(図中のZ方向)に変形できるように弾性を有している。
【0034】
一対の腕部123は、先端同士を互いに近づけるように変形させた状態で、板基部121に取り付けられる。一対の腕部123は、リベット124で板基部121に固定される。一対の腕部123は、先端同士を互いに近づけるように変形させた状態で固定されるので、
図6(B)/(C)に示すように、板全体が面外方向に湾曲した状態で安定する。
図6(B)/(C)に示すように、板120は、針基部131から針先端132に向かうにつれて針先端132から離れるように湾曲している。説明の便宜上、
図6(B)/(C)の板形状を、第1形状と称する。
【0035】
板120を逆方向に反らせるように荷重を加えると、板120は飛び移り座屈現象を生じ、
図6(B)/(C)とは逆方向に沿った形状に動的に移行する。
図7(A)/(B)は、それぞれ、飛び移り座屈後のコネクタ110の側面図と正面図である。
図7(A)/(B)の板形状を第2形状と称する。第2形状は、板120が、針先端132の方向に湾曲した形状である。別言すれば、第2形状は、第1形状とは反対に反った形状である。
【0036】
第2形状も安定な形状であり、第1形状から第2形状に移った後は、荷重を加えずとも板120は第2形状を保持する。第1形状と第2形状の間の形状は不安定であり、板120は、第1形状と第2形状の間では安定して形状を保つことができない。
【0037】
図8に導電布2に取り付ける直前のコネクタ110の側面図を示し、
図9に取り付け後のコネクタ110の側面図を示す。導電布2に取り付ける前には、板120を第1形状にしておく。板先端部122は針先端132から離れているので、ユーザは容易に針130を導電布2に刺し入れることができる。
図8の太矢印線が針130の軌跡を模式的に示している。
【0038】
針130を導電布2に刺し入れた後、板120を反対方向に反らす荷重(針先端132に近づける方向の荷重)を加え、板120を第1形状から第2形状へ飛び移り座屈させる。
図9に示すように、板120は、側面視において腕部123が針130と交差し、針130に対して板先端部122が板基部121とは反対側に位置する。板120が第2形状を保持すると、板120と針130が導電布2をしっかりと挟み込むことになる。すなわち、第2形状となったコネクタ110は導電布2にしっかりと固定される。第2形状では、針130は板120に概ね沿っている。
【0039】
図9に示すように、第1電極11(板基部121)は導電布2のおもて面導電層2aに接し、第2電極12(針先端132)は裏面導電層2bに接する。第1実施例のコネクタ10と同様に、導電布2を貫通している針基部131は絶縁被覆されている。それゆえ、針130がおもて面導電層2aと裏面導電層2bを短絡することはない。
【0040】
コネクタ110では、板120の法線方向(Z方向)からみて針130の先端が板先端部122から離れている(
図6)。第1実施例のコネクタ10と同様に、板120の法線方向からみて針130の先端が板先端部122と重なっているとよい。第2形状において針130が他の物体に刺さることが防止できる。
【0041】
(第3実施例)
図10-11を参照して第3実施例のコネクタ210を説明する。
図10はコネクタ210の平面図であり、
図11はコネクタ210の側面図である。
図2、3と同様に、絶縁被膜されている範囲はグレーのハッチングで示してある。
【0042】
コネクタ210は、板220と針230を備えている。板220は板基部221、板先端部222、一対の腕部223を備えており、一対の腕部223が板基部221と板先端部222を連結している。板基部221は導電性を有しており、第1電極11を兼ねている。板基部221の中央部221aは絶縁被膜されている。
【0043】
針230は板220(板基部221の中央部221a)に支持されている。針230の基部(針基部231)は、板基部221の中央部221aの裏面に設けられたピボット224に回転支持されている。針230は、針先端232が板先端部222に近づいたり離れたりするように揺動可能に板基部221に回転支持されている。
図11の矢印線Aが、針230の揺動方向を示している。
図11の仮想線が、板220から離れる方向に揺動した針230aを示している。
【0044】
針先端232は導電性を有しており第2電極12を兼ねている。針基部231は絶縁被膜されており、第2電極12(針先端232)は第1電極11(中央部221aを除く板基部221)から絶縁されている。
【0045】
図11には、B-B線に沿った断面図も示してある。板220は保持部225を備えている。保持部225は、板基部221から延びており、針基部231に隣り合う。保持部225は、針230が圧入される溝225aを備えている。針230が溝225aに圧入されると、針230は板220と平行な状態に保持される。別言すれば、針230が溝225aに圧入されると、針230は板220に沿って延びる姿勢に保持される。針230が板220に沿っている形状が第2形状である。保持部225は、コネクタ210を第2形状に保持する。
【0046】
導電布2に固定されたコネクタ210の図示は総略するが、
図11の仮想線(針230a)が示すように、針230と板220を開いた状態にすれば、針230を容易に導電布2に刺し入れることができる。針230を導電布2に刺し入れた後、針230を揺動させて溝225aに圧入すれば、針230は板220に沿った姿勢にしっかりと保持される。すなわち、針230と板220は導電布2をしっかりと挟み込む。このとき、板220の第1電極11はおもて面導電層2aに接し、針230の第2電極12は裏面導電層2bに接する。針基部231は絶縁被膜されているため、導電布2に刺し入れられた状態において、おもて面導電層2aと裏面導電層2bを短絡させることはない。
【0047】
針230が板220に回転支持されているので、板220は剛であってもよい。別言すれば、板220は厚みのある板であってもよい。
【0048】
実施例で説明した技術の特徴を述べる。コネクタ10は、第2電極12を針30に設けたことにより、導電布2の裏側へ手を回すことなく、第2電極12を導電布2の裏面側へ配置させることができる。また、板20と針30で導電布2を挟み込むことにより、コネクタ10を導電布2に固定することができる。針30を刺してコネクタ10を導電布2に固定する方式を採用することで、二次元的に拡がる導電布2の任意の位置にコネクタ10を固定することができるとともに、第1電極と第2電極を導電布2のおもて面と裏面のそれぞれに導通させることができる。また、針を刺して布に固定する方式は、コネクタの脱着も容易である。コネクタ110、210も、第1電極を備えた板と第2電極を備えた針を有しており、コネクタ10と同様の利点を備える。
【0049】
実施例のコネクタは、次のいずれかの特徴を有することで、前述した効果を得ることができる。(1)板が針の先端から離れる方向に湾曲する弾性を有する。または、(2)針は、その先端が板に近づいたり離れたりするように揺動可能に板に回転支持されている。なお、(2)の場合には、「板」は剛であってよい。(1)と(2)を包含するように表現するならば、次の通りである。コネクタの板と針は、板が針の先端から離れている第1形状と、板が針の先端に近接する(接する、または、隣り合う)第2形状の間で変化することができる。
【0050】
実施例のコネクタの特徴を以下に列記する。コネクタ10、110の場合、板は、針の先端から離れる方向に湾曲する弾性を有している。コネクタ110では、板は、針の基部から先端に向かうにつれて針から離れるように湾曲する第1形状から先端の方向に湾曲する第2形状へ飛び移り座屈する。コネクタ10、110の場合、針の基部は、板に固定支持される。コネクタ210の場合、針は、先端が板に近づいたり離れたりするように揺動可能に板に回転支持されている。板は、針が板に沿って延びている状態を保持する保持機構を備えている。第2形状では針の先端が板に接する場合もあるが、そのような場合も含め、針の先端は自由端である。
【0051】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。板20(120、220)は、一対の腕部23(123、223)を有している。コネクタの板は、単純な矩形形状であってもよい。
【0052】
板と針が絶縁されていれば、板全体が第1電極を兼ねており針全体が第2電極を兼ねていてもよい。板に第1電極が取り付けられていてもよい。針の表面の一部が第2電極を兼ねていてもよい。
【0053】
「導電布」とは、おもて面と裏面のそれぞれが互いに絶縁されている導電性を有している布を意味する。別言すれば、「導電布」は、柔軟な第1導電層(おもて面導電層2a)と第2導電層(裏面導電層2b)が絶縁層2cを挟んで積層されている布である。
【0054】
実施例のコネクタ10、110、210は、導電布を用いた衣服に取り付けて用いてもよいし、導電布でできたカーテンや幕に用いてもよい。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0056】
1:ウエアラブル発光装置 2:導電布 2a:おもて面導電層 2b:裏面導電層 2c:絶縁層 3:バッテリ 4:制御器 4a、4b:シリアル通信端子 10、110、210:コネクタ 11:第1電極 12:第2電極 20、20a、120、220:板 21、121、221:板基部 21a、121a、221a:中央部 22、122、222:板先端部 23、123、223:腕部 30、130、230:針 31、131、231:針基部 32、132、232:針先端 41:制御チップ 42:LED 124:リベット 224:ピボット 225:保持部 225a:溝
【要約】
【課題】本明細書は、導電布のおもて面側からのアクセスだけで取り付けることができる導電布用のコネクタを提供する。
【解決手段】本明細書が開示するコネクタは、第1電極を備えている板、板に支持されている針、針に配置されている第2電極を備える。第1電極は、板が導電布に取り付けられたときに導電布のおもて面に接する。針は、基部が板に支持されており、板に沿って延びている。第2電極は、導電布に取り付けられたときに導電布の裏面に接する。板は、針の先端から離れる方向に湾曲する弾性を有している。または、針は、先端が板に近づいたり離れたりするように揺動可能に板に回転支持されている。
【選択図】
図6