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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】乳母車
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/14 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B62B9/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021538347
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021012084
【審査請求日】2021-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】原田 博充
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 健次郎
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-154478(JP,A)
【文献】実開昭63-103462(JP,U)
【文献】特開2019-043231(JP,A)
【文献】特開2007-216948(JP,A)
【文献】特開2008-272212(JP,A)
【文献】中国実用新案第201042969(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳母車本体と、
前記乳母車本体に取り付けられた座席であって、座部と、背部と、前記背部上にリンク材を介して設けられ前記座部および前記背部と共にシートを支持する樹脂製の側方枠材と、を有する座席と、
前記側方枠材に着脱可能に取り付けられた幌と、
を備え、
前記側方枠材は、前記幌が接続する枠材側接続部を有し、
前記幌は、前記枠材側接続部に接続する幌側接続部を有している、乳母車。
【請求項2】
前記枠材側接続部は、上方に開口した接続穴、又は、上方に突出した接続突起を有し、
前記幌側接続部は、前記枠材側接続部の接続穴に挿入可能な下方に突出した接続突起、又は、前記枠材側接続部の接続突起を挿入可能な下方に開口した接続穴を有している、請求項1に記載の乳母車。
【請求項3】
前記枠材側接続部及び前記幌側接続部は、前記枠材側接続部及び前記幌側接続部の前方部分を互いに対して固定する前方固定手段と、前記枠材側接続部及び前記幌側接続部の後方部分を互いに対して固定する後方固定手段と、を有する、請求項1又は2に記載の乳母車。
【請求項4】
前記枠材側接続部は、前後方向に延びる係合穴、又は、前後方向に延びる係合突起を有し、
前記幌側接続部は、前後方向に延び前記枠材側接続部の前記係合穴に嵌まり込む係合突起、又は、前後方向に延び前記枠材側接続部の係合突起が嵌まり込む係合穴を有する、請求項1又は2に記載の乳母車。
【請求項5】
前記乳母車本体は折り畳み可能であり、
前記背部及び前記側方枠材は、前記座部に対して揺動可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項6】
前記乳母車本体は折り畳み可能であり、
前記乳母車本体の折り畳み時に前記背部及び前記側方枠材は、前記乳母車本体の接地面に対して揺動する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項7】
前記座席は、前記乳母車本体に設けられた保持部材によって保持され、
前記保持部材は、上方に開口した受け穴を有し、
前記座席は、基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、前記基部から下方に突出し前記保持部材の受け穴に挿入可能な差し込み部と、を有し、
前記差し込み部の先端部分の前後方向における寸法は、前記差し込み部の基端部分の前後方向における寸法よりも小さい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項8】
前記座席は、前記乳母車本体に設けられた保持部材によって保持され、
前記保持部材は、上方に突出した差し込み部を有し、
前記座席は、基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、前記基部に形成された受け穴であって、下方に開口し前記差し込み部を挿入可能な受け穴と、を有し、
前記差し込み部の先端部分の前後方向における寸法は、前記差し込み部の基端部分の前後方向における寸法よりも小さい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項9】
前記差し込み部は、前記基端部分と前記先端部分を接続する中間部分を有し、
前記座席が前記保持部材によって保持された状態で、前記基端部分および前記先端部分の前後方向を向く部分は、前記受け穴を画成する面に当接し、前記中間部分は、前記受け穴を画成する面から離間している、請求項7又は8に記載の乳母車。
【請求項10】
前記差し込み部の先端部分の幅方向における寸法は、前記差し込み部の基端部分の幅方向における寸法よりも小さい、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳母車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児を乗車させる乳母車が公知である。例えばJP2015-116938Aに開示されているように、今日使用されている乳母車のほとんどは、前脚及び後脚を有する乳母車本体と、乳母車本体に設けられた座席と、座席を上方から覆う幌と、を有する。幌は、乳母車の座席に着座した乳幼児を日差し等から保護する。幌は、通常、後脚の先端部分等、乳母車本体の一部を成す円筒状又は円柱状の部材であって、剛性の高い部材に固定されている。
【0003】
ところで、乳母車の走行中に乳母車本体に衝撃が加わると、衝撃が幌に伝わって幌が破損してしまうことがある。このため、乳母車本体に衝撃が加わった際に幌が破損する虞を低減させることが望まれている。その一方で、乳母車における幌の取付構造を小型化することが望まれている。
【発明の開示】
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、乳母車本体に衝撃が加わった際に幌が破損する虞を低減しつつ、乳母車における幌の取付構造を小型化することを目的とする。
【0005】
本実施形態による乳母車は、
乳母車本体と、
前記乳母車本体に取り付けられた座席であって、座部と、背部と、前記背部上に設けられ前記座部および前記背部と共にシートを支持する側方枠材と、を有する座席と、
前記側方枠材に取り付けられた幌と、
を備え、
前記側方枠材は、前記幌が接続する枠材側接続部を有し、
前記幌は、前記枠材側接続部に接続する幌側接続部を有している。
【0006】
本発明によれば、乳母車本体に衝撃が加わった際に幌が破損する虞を低減しつつ、乳母車における幌の取付構造を小型化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、乳母車を展開状態且つ背面状態で前方から示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す乳母車を折り畳み状態で示す側面図である。
図3図3は、図1に示す乳母車の乳母車本体を展開状態で前方から示す斜視図である。
図4図4は、図3に示す乳母車本体及び保持部材を示す拡大斜視図である。
図5図5は、図1に示す乳母車の座席及び幌の支持装置を示す斜視図である。
図6図6は、座席の乳母車本体への取り付け方法について説明するための側面図である。
図7図7は、保持部材の前後方向に沿った断面、及び、保持部材の受け穴内に挿入された差し込み部を、模式的に示す図である。
図8図8は、保持部材の幅方向に沿った断面、及び、保持部材の受け穴内に挿入された差し込み部を、模式的に示す図である。
図9図9は、図5に示す支持装置の幌側接続部を示す斜視図である。
図10図10は、図5に示す側方枠材の枠材側接続部を示す斜視図である。
図11図11は、図9に示す幌側接続部の変形例を示す斜視図である。
図12図12は、図10に示す枠材側接続部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図12は、本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1及び図2には、乳母車の全体構成が示されている。図1において、乳母車10は展開状態にある。また、図2において、乳母車10は折り畳み状態にある。図1及び図2に示すように、本実施の形態による乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に取り付けられた座席60と、幌100と、を有している。乳母車本体20が相対動作可能な複数の構成要素を有することで、図2に示すように、乳母車10は折り畳み可能となっている。また、図3によく示されているように、乳母車本体20には保持部材50が設けられている。乳母車本体20は、この保持部材50を介し、図5に示された座席60を着脱可能に保持することができる。とりわけ図6を参照して後述するように、乳母車本体20は、座席60の前後の向きを変えて、すなわち背面状態と対面状態とを変更可能に、座席60を保持することができる。
【0009】
なお、本明細書中において、乳母車10及び乳母車本体20に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車10を操縦する操縦者(乳母車10の利用者、保護者)を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乳母車10を操縦する操縦者が向く側であり、図1における紙面の左下側が乳母車10及び乳母車本体20の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面Gに直交する方向である。したがって、接地面Gが水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0010】
また、本明細書中において、座席60及び幌100に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、座席60に着座した乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、図5における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。また、図5における紙面の左下側が座席60及び幌100の前側となる。
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、乳母車10に含まれるいくつかの構成要素は、一部の図面では示されているものの、他の図面では図示を省略されている。
【0012】
上述したように、乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって保持される座席60と、幌100と、を含んでいる。また、乳母車10は、図1に示すように、座席60に着脱可能に固定されるクッションシート150を有している。乳幼児は、クッションシート150上に乗ることになる。
【0013】
まず、図示された例を参照して、乳母車本体20について説明する。図1及び図3に示すように、乳母車本体20は、全体的に、前後方向に沿った幅方向中心面を中心として概ね対称な構成を有している。乳母車本体20は、下端に前輪33を含んだ前脚30と、下端に後輪38を含んだ後脚35と、ハンドル40と、を有している。図3に示すように、乳母車本体20は、前脚30、後脚35及びハンドル40に加え、第1~第3リンク部材21~23を有している。これらの構成要素は、乳母車本体20の折り畳み動作を可能とするため、相対動作可能となっている。また、乳母車本体20に必要な剛性を付与するため、前脚30や後脚35、ハンドル40、リンク材21~23は、例えば金属製パイプや剛性の高い樹脂成形品を用いて形成される。
【0014】
次に、座席60について説明する。座席60は、乳幼児が着座する部位である。図5に示すように、座席60は、幅方向に離間して配置された一対の基部61を有している。基部61には、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって支持されるようになる被支持部63が形成されている。
【0015】
図5に示すように、一対の基部61の間に、座部65及び背部70が設けられる。座部65は、乳母車10に乗車する乳幼児の臀部に対面するようになる部位である。座部65は、クッションシート150(図1参照)を介して乳幼児の臀部を支持する座面を形成する。背部70は、乳幼児の背中に対面するようになる部位である。
【0016】
図5に示すように、座部65は、一対の基部61の間に設けられた前方枠材66及び中央枠材67を有している。前方枠材66は、U字状に形成されたフレーム材である。前方枠材66をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61に接続されている。前方枠材66は、一対の基部61から前方または上方に延び出している。また、中央枠材67は、幅方向に直線状に延びるフレーム材である。前方枠材66及び中央枠材67は、例えば金属製パイプによって形成される。前方枠材66及び中央枠材67には、座面を画成する布地(図示せず)が張設されている。あるいは、前方枠材66及び中央枠材67は、座面を画成する座板(図示せず)を下方から支持する。座板は、樹脂や金属を用いて形成された板状の部材である。なお、前方枠材66及び中央枠材67を省いて、座板を一対の基部61によって支持するようにしてもよい。
【0017】
座部65は、幅方向に延びる回動軸線を中心として、基部61に対して回動可能となっている。図示された例では、前方枠材66が、回動軸線を中心として、基部61に対して回動可能となっている。これにより、座部65の前端部分が背部70に接近するように、座部65を傾けることができる。乳母車10の折り畳み時に、座部65を背部70に向けて傾けることにより、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から座部65が突出することを抑制することができる。
【0018】
背部70は、一対の基部61の間に設けられた後方枠材71を有している。後方枠材71は、U字状に形成されたフレーム材である。後方枠材71をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61と接続している。後方枠材71は、例えば、金属製のパイプを用いて形成される。
【0019】
後方枠材71は、幅方向に延びる回動軸線を中心として、基部61に対して回動可能となっている。後方枠材71は、一対の基部61から上方また後方に延び出す。後方枠材71が基部61に対して回動することで、背部70を座部65に対してリクライニングさせることができる。また、乳母車10の折り畳み時に、背部70を座部65に向けて傾けることにより、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から背部70が突出することを抑制することができる。背部70は、後方枠材71によって支持される布状材や板状材を更に有していてもよい。
【0020】
さらに、座席60は、図5に示すように、各基部61からそれぞれ上方に延出した一対の側方支持部72を有している。また、座席60は、背部70上に設けられた側方枠材73を有している。側方枠材73は、U字状に形成されたフレーム材である。側方枠材73をなすU字の両端に相当する部分が、対応する側方支持部72と接続している。側方支持部72は、幅方向に平行な回動軸線を中心として回動可能に側方枠材73を支持している。側方枠材73と後方枠材71との間には一対の連結枠材74が設けられている。側方枠材73は、連結枠材74を介して後方枠材71上に設けられている。
【0021】
一対の連結枠材74は幅方向に離間して配置されている。連結枠材74は、後方枠材71及び側方枠材73に対して回動可能となっている。連結枠材74は、リンク材として機能し、後方枠材71及び側方枠材73の一方の揺動にともなって他方を揺動させる。したがって、背部70を座部65に向けて傾けると、側方枠材73も座部65に向かって傾く。また、連結枠材74は、後方枠材71の後方部分と側方枠材73の後方部分との間に、背部70が寝た状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成し、背部70が起き上がった状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成する。
【0022】
側方枠材73及び連結枠材74は、座部65および背部70と共にクッションシート150を支持する。側方枠材73及び連結枠材74は、例えば、樹脂成形品として形成されている。側方枠材73は、乳母車本体20を構成する多くの構成要素(例えば、前脚30や、後脚35、リンク部材21~23等)と比較して柔軟である。
【0023】
図示された例では、図2と後述する図6とを比較することにより理解されるように、座席60の背部70及び側方枠材73は、乳母車10(乳母車本体20)の折り畳み時に、乳母車10(乳母車本体20)の接地面Gに対して揺動する。この結果、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することが、抑制される。また、図示された例では、座席60の背部70及び側方枠材73は、乳母車10(乳母車本体20)の折り畳み時に、座部65に対して自動的に揺動する。この結果、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することが、自動的に抑制される。
【0024】
また、図1に示すように、座席60は、各基部61からそれぞれ延び出した一対のガード支持材75と、一対のガード支持材75の間に着脱可能なガード材76と、を有している。なお、図5では、ガード材76の図示を省略している。
【0025】
次に、保持部材50について説明する。図4に示すように、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、一対の保持部材50が設けられている。一対の保持部材50は、幅方向に離間して配置されている。図1に示すように、乳母車本体20は、この一対の保持部材50によって、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、座席60を保持する。
【0026】
保持部材50は、座席60に設けられた被支持部63を支持する支持部51と、支持部51をハンドル40に接続する接続部55と、を有している。支持部51は、上方に開口した受け穴53、又は、上方に突出した差し込み部を有している。また、被支持部63は、支持部51の受け穴53に挿入可能な下方に突出した差し込み部64、又は、支持部51の差し込み部を挿入可能な下方に開口した受け穴を有している。図示された例において、支持部51は、上方に向いた支持面52に形成された受け穴53を有している。支持面52は、前後方向に広がっている。支持面52の前後方向における中央部分に、上方に開口した受け穴53が形成されている。
【0027】
一方、座席60の被支持部63は、各基部61に設けられている。基部61は、下方を向く被支持面62を有している。被支持面62は、支持面52に対応して、前後方向に広がっている。被支持面62の前後方向における中央部分から、差し込み部64が下方に突出している。
【0028】
このような支持部51及び被支持部63の構成によれば、座席60を上下方向における上方から乳母車本体20上に降ろすことによって、保持部材50を介して座席60を乳母車本体20上に保持することが可能となる。より具体的には、座席60を降ろすことによって、一対の基部61の各々から下方に突出する差し込み部64が、対応する保持部材50の支持部51の受け穴53内に挿入される。そして、基部61の被支持面62が保持部材50の支持面52と接触することで、座席60が乳母車本体20上に保持されるようになる。座席60が乳母車本体20によって保持された状態で、支持部51が被支持部63と係合していることから、座席60の乳母車本体20に対する水平方向への相対移動が規制される。
【0029】
図6に示すように、保持部材50は、座席60の前後の向きを変えて保持することができる。これにより、座席60の向きを変更するだけで、図6(a)に示された乳幼児が乳母車10の進行方向前方を向く背面状態と、図6(b)に示された乳幼児が乳母車10の操縦者(保護者)と対面する対面状態と、を切り換えることが可能となる。
【0030】
また、一対の保持部材50及び一対の基部61は、幅方向に離間して配置されている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、前後方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれ、及び、上下方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを効果的に規制することができる。加えて、図4及び図5に示すように、受け穴53の前後に支持面52が広がり、差し込み部64の前後に被支持面62が広がっている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、幅方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれも効果的に規制することができる。以上のことから、乳母車本体20によって、座席60を安定して保持することができる。
【0031】
図示された例では、図7に示すように、差し込み部64の先端部分64aの前後方向における寸法は、差し込み部64の基端部分64bの前後方向における寸法よりも小さい。図7は、保持部材50の支持部51の前後方向に沿った断面、及び、支持部51の受け穴53内に挿入された差し込み部64を、模式的に示す図である。受け穴53は、このような差し込み部64の形状に対応した形状を有している。したがって、受け穴53の上端部分53bの前後方向における寸法は、差し込み部64の先端部分64aの前後方向における寸法よりも大きい。これにより、差し込み部64を受け穴53に差し込むことが容易である。
【0032】
また、図7に示すように、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、差し込み部64の基端部分64bおよび先端部分64aの前後方向を向く部分は、受け穴53を画成する面53sに当接している。このことによっても、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、幅方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを効果的に規制することができ、乳母車本体20によって座席60を安定して保持することができる。
【0033】
また、図示された例では、図8に示すように、差し込み部64の先端部分64aの幅方向における寸法は、差し込み部64の基端部分64bの幅方向における寸法よりも小さい。受け穴53は、このような差し込み部64の形状に対応した形状を有している。したがって、受け穴53の上端部分53bの幅方向における寸法は、差し込み部64の先端部分64aの幅方向における寸法よりも大きい。このことによっても、差し込み部64を受け穴53に差し込むことが容易である。なお、図8は、保持部材50の支持部51の幅方向に沿った断面、及び、支持部51の受け穴53内に挿入された差し込み部64を、模式的に示す図である。
【0034】
また、図8に示すように、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、差し込み部64の基端部分64bおよび先端部分64aの幅方向を向く部分は、受け穴53を画成する面53sに当接している。このことによっても、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、前後方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを効果的に規制することができ、乳母車本体20によって座席60を安定して保持することができる。
【0035】
図7及び図8に示す例では、差し込み部64は、基端部分64bと先端部分64aとの間に中間部分64cを有する。差し込み部64の中間部分64cの前後方向及び幅方向における寸法は、基端部分64bから先端部分64aに向かうにつれて小さくなっている。また、受け穴53は、上端部分53bと下端部分53aとの間に中間部分53cを有する。受け穴53の中間部分53cの前後方向及び幅方向における寸法も、上端部分53bから下端部分53aに向かうにつれて小さくなっている。
【0036】
図示された例では、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、差し込み部64の中間部分64cは、受け穴53を画成する面53sから離間している。すなわち、差し込み部64の基端部分64bおよび先端部分64aのみが、受け穴53を画成する面53sに当接している。このように差し込み部64および受け穴53を形成することにより、差し込み部64および受け穴53の寸法を調整することが容易である。すなわち、差し込み部64の中間部分64cおよび受け穴53の中間部分53cの寸法を厳密に調整する必要がない。さらに、差し込み部64の上下方向に互いから離間した部分(基端部分64bと先端部分64a)を、受け穴53を画成する面53sに当接させることにより、上述した座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを、効果的に抑制することができる。
【0037】
次に、幌100について説明する。幌100は、日差しや風雨等を遮って、座席60上の乳幼児に快適な環境を提供する。図示された例では、幌100は、展開および折り畳み可能に構成されている。
【0038】
図1に示すように、幌100は、幌布101と、幌布101を支持する支持装置110と、を有する。図1に示すように、支持装置110は、基部材120と、基部材120に対して揺動可能な略U字状の第1幌骨131および第2幌骨132を含んでいる。第1幌骨131および第2幌骨132は、略細板形状や線形状の金属や樹脂等から形成される。幌布101は、第1幌骨131および第2幌骨132に装着されている。第1幌骨131および第2幌骨132を座席60に対して前後方向に揺動させることにより、幌100を、折り畳み状態にしたり、展開状態にしたりすることができる。
【0039】
ところで、図示のような幌へのニーズの一つとして、乳母車本体に衝撃が加わった際に幌(より具体的には基部材)が破損する虞を低減させることがある。幌の基部材は、多くの場合、後脚等、乳母車本体の一部を成す剛性の高い部材に固定されている。乳母車本体の剛性の高い部材に幌が接続されると、乳母車本体に加わった衝撃は他に分散されることなく幌に伝達する。このため、乳母車本体に衝撃が加わると、幌の基部材が破損してしまうことがある。あるいは、基部材が衝撃に耐え得るよう、基部材を大きくして基部材の剛性を高める必要がある。このことは、乳母車における幌の取付構造の寸法の増大に繋がる。
【0040】
このような事情を考慮して、本発明による幌100は、乳母車本体20に衝撃が加えられた際に基部材120が破損する虞を抑制しつつ、乳母車10における幌100の取付構造を小型化するための工夫がなされている。
【0041】
以下、幌100の各構成要素について説明していく。まず、幌布101について説明する。幌布101は、日差しや風雨を遮ることができる柔軟な材料、例えば布を用いて形成され得る。ただし、幌布101には、種々の公知の材料を用いることができる。例えば、採光、通気、透視等を可能にする観点から、幌布101の一部分が、メッシュ材等により形成されていてもよい。さらに、幌布101は、撥水性、防水性、耐水性等の機能を有するのもであってもよい。
【0042】
幌布101は、図1に示す展開状態において前方に位置する前方領域と、図1に示す展開状態において後方に位置する後方領域と、前方領域と後方領域との間の領域である中間領域と、を有する。幌布101の中間領域は、第1幌骨131によって支持されている。幌布101の前方領域は、第2幌骨132によって支持されている。幌布101の後方領域は、図示しない固定部材によって、クッションシート150に、着脱可能に固定されている。このため、第1幌骨131及び第2幌骨132の座席60に対する前後方向の揺動に伴って、幌布101は広げられ又は折り畳まれる。
【0043】
なお、幌100の展開状態において幌布101が潰れてしまうことを防止するため、補助芯材134が幌布101に縫い付けられる或いは幌布101に内蔵されていてもよい。補助芯材134は、例えば、第1幌骨131および第2幌骨132よりも柔軟性に富んだ樹脂等から形成され得る。補助芯材134は、基部材に接続されていない点において、幌骨131,132と区別される。
【0044】
次に、基部材120について説明する。図5及び図9に示すように、基部材120は、一対の接続部材121と、接続部材121に枢着した一対の第1支持部材128と、第1支持部材128に枢着した第2支持部材129と、を有する。各第1支持部材128は、第1幌骨131の対応する端部を保持する。また、各第2支持部材129は、第2幌骨132の対応する端部を保持する。接続部材121と第1支持部材128と第2支持部材129とは、幅方向に沿った回転軸線の周りを互いに対して回転可能である。第1幌骨131を座席60に対して前後方向に揺動させると、第1支持部材128が接続部材121に対して回転する。また、第2幌骨132を座席60に対して前後方向に揺動させると、第2支持部材129が接続部材121及び/または第1支持部材128に対して回転する。接続部材121、第1支持部材128及び第2支持部材129は、それぞれ樹脂成形品として形成されている。
【0045】
各接続部材121は、図9に示すように、幌側接続部122を有している。幌側接続部122が座席60の側方枠材73に接続されることにより、乳母車10に幌100が取り付けられる。より具体的には、幌側接続部122は、側方枠材73に形成された枠材側接続部140に接続される。図5に示すように、枠材側接続部140は、U字の側方枠材73の両端部分の近傍に形成されている。
【0046】
図10に示すように、枠材側接続部140は、上方に開口した接続穴141、又は、上方に突出した接続突起を有している。また、図9に示すように、幌側接続部122は、枠材側接続部140の接続穴141に挿入可能な下方に突出した接続突起124、又は、枠材側接続部140の接続突起を挿入可能な下方に開口した接続穴を有している。図示された例において、枠材側接続部140は、上方に向いた支持面140aに形成された接続穴141を有している。一方、幌側接続部122は、下方を向く被支持面121aと、被支持面121aから下方に突出する接続突起124と、を有している。
【0047】
このような枠材側接続部140および幌側接続部122によれば、枠材側接続部140の接続穴141に幌側接続部122の接続突起124を挿入し、幌側接続部122の被支持面121aが枠材側接続部140の支持面140aに接触することで、幌100が座席60の側方枠材73上に保持されるようになる。上述したように、側方枠材73は、乳母車本体20を構成する多くの構成要素(例えば、前脚30や、後脚35、リンク部材21~23等)と比較して柔軟である。このような側方枠材73に幌100を接続することにより、乳母車本体20に加わった衝撃を、座席60の側方枠材73と幌100の基部材120に分散させることができる。これにより、基部材120が破損する虞が低減される。また、基部材120(幌側接続部122)は従来よりも低い衝撃に耐えることができれば足りるため、基部材120(幌側接続部122)を小型化することができる。この結果、乳母車10における幌100の取付構造を小型化することができる。
【0048】
さらに、上述したように、図示された例では、乳母車本体20は折り畳み可能である。そして、乳母車本体20の折り畳み時に、乳母車本体20に保持された座席60の座部65および背部70が、乳母車本体20の接地面Gに対して揺動する。幌100が取り付けられた側方枠材73は、背部70に追随して接地面Gに対して揺動する。このため、乳母車10の折り畳み時に、幌100が接地面Gに対して揺動する。この結果、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することが抑制されると同時に、幌100が突出することも抑制される。そして、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向における寸法を小さくすることができる。
【0049】
また、図示された例では、背部70および側方枠材73は、座部65に対して揺動可能である。したがって、乳母車10の折り畳み時に背部70および側方枠材73を座部65に対して揺動させることで、幌100も座部65に対して揺動させることができる。この結果、背部70及び側方枠材73を座部65に対して揺動させることにより、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することを抑制することができると同時に、幌100が突出することも抑制することができる。そして、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向における寸法を小さくすることができる。とりわけ、図示された例では、座席60の背部70及び側方枠材73は、乳母車10(乳母車本体20)の折り畳み時に、座部65に対して自動的に揺動する。したがって、幌100も、乳母車10(乳母車本体20)の折り畳み時に、座部65に対して自動的に揺動する。言い換えると、乳母車10の折り畳み時に、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において乳母車本体20から幌100が突出することを抑制するための、追加の操作を必要としない。
【0050】
図示された例では、接続突起124は、前後方向に延びている。より具体的には、接続突起124は、前後方向に並ぶ第1~第3接続突起125~127を有する。また、接続穴141は、前後方向に延びている。接続突起124及び接続穴141が前後方向に延びていることにより、座席60に対して幌骨131,132を前後方向に揺動させる際、幌側接続部122の前端部分または後端部分が枠材側接続部140の前端部分または後端部分に接触する。これにより、幅方向に沿った軸線の周りを基部材120が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が低減される。
【0051】
さらに、図示された例では、枠材側接続部140及び幌側接続部122は、枠材側接続部140及び幌側接続部122の前方部分を互いに対して固定する前方固定手段145と、枠材側接続部140及び幌側接続部122の後方部分を互いに対して固定する後方固定手段146と、を有する。これにより、幌側接続部122の前方部分及び後方部分が枠材側接続部140に固定される。これにより、座席60に対して幌骨131,132を前後方向に揺動させる際に、幅方向に沿った軸線の周りを基部材120が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が、さらに効果的に低減される。
【0052】
図示された例では、図9に示すように、幌側接続部122は、被支持面121aの前方領域から下方に突出する第1接続突起125と、被支持面121aの後方領域から下方に突出する第2接続突起126と、を有する。第1接続突起125の先端部分には、前方に向けて突出する第1係合突起145aが形成されている。また、第2接続突起126の先端部分には、後方に向けて突出する第2係合突起146aが形成されている。これに対応して、図10に示すように、枠材側接続部140の前方を向く部分には、第1接続突起125の第1係合突起145aを受ける第1係合穴145bが形成されている。また、枠材側接続部140の後方を向く部分には、第2接続突起126の第2係合突起146aを受ける第2係合穴146bが形成されている。第1係合突起145aが第1係合穴145bに嵌まり込むことにより、枠材側接続部140及び幌側接続部122の前方部分が互いに対して固定される。すなわち、第1係合突起145aと第1係合穴145bとによって、前方固定手段145が形成される。また、第2係合突起146aが第2係合穴146bに嵌まり込むことにより、枠材側接続部140及び幌側接続部122の後方部分が互いに対して固定される。すなわち、第2係合突起146aと第2係合穴146bとによって、後方固定手段146が形成される。
【0053】
第1接続突起125および第2接続突起126は、前後方向に力が加わると、前後方向に屈曲する。したがって、幌100を側方枠材73に取り付ける際は、幌側接続部122の接続突起124を枠材側接続部140の接続穴141に挿入すると、接続穴141を画成する面141sによって第1係合突起145aが後方に向けて押され、また、第2係合突起146aが前方に向けて押される。これにより、第1接続突起125が弾性変形して後方に屈曲し、また、第2接続突起126が弾性変形して前方に屈曲する。そして、第1係合突起145a及び第2係合突起146aがそれぞれ第1係合穴145b及び第2係合穴146bに対面する位置に接続突起124が到達すると、第1接続突起125および第2接続突起126は、その復元力によって屈曲前の姿勢に戻り、第1係合突起145a及び第2係合突起146aがそれぞれ第1係合穴145b及び第2係合穴146bに嵌まり込む。また、幌100を側方枠材73から取り外す際は、第1係合穴145bを通じて露出する第1係合突起145aを後方に向けて押すことで、第1接続突起125が弾性変形して後方に屈曲し、第1係合突起145aが第1係合穴145bから抜け出す。これにより、前方固定手段145による第1接続突起125と枠材側接続部140との係合が解除される。また、第2係合穴146bを通じて露出する第2係合突起146aを前方に向けて押すことで、第2接続突起126が弾性変形によって前方に屈曲し、第2係合突起146aが第2係合穴146bから抜け出す。これにより後方固定手段146による第2接続突起126と枠材側接続部140との係合が解除される。第1接続突起125および第2接続突起126と枠材側接続部140との係合が解除されることにより、接続突起124を接続穴141から引き抜くことができる。
【0054】
図9及び図10に示す例では、接続突起124は、第1接続突起125および第2接続突起126の間において、被支持面121aから下方に突出する第3接続突起127を有する。第3接続突起127は、幅方向にくぼむ凹部127aを有する。凹部127aは、第3接続突起127の基端部分から先端部分に亘って上下方向に延びている。また、枠材側接続部140には、接続穴141内を幅方向に突出する凸部147を有する。凸部147は、接続穴141の前後方向における中央部において、接続穴141の上端部分から下端部分に亘って上下方向に延びている。接続突起124が接続穴141に挿入されると、凸部147は凹部127aに嵌まり込み、接続突起124を接続穴141内において上下方向に案内する。
【0055】
なお、幌側接続部122及び枠材側接続部140は、上述したものに限られない。例えば、図11に示すように、接続突起124は弾性変形により幅方向に屈曲する舌部148を有していてもよい。舌部148の幅方向を向く面には、前後方向に延びる係合突起148aが形成されている。これに対応して、図12に示すように、接続突起124が挿入される接続穴141が形成された枠材側接続部140または幌側接続部122には、係合突起148aが嵌まり込む係合穴149が形成されていてもよい。係合穴149は前後方向に延びている。係合突起148aが係合穴149に嵌まり込むことで、幌側接続部122と枠材側接続部140とが係合する。すなわち、係合突起148aと係合穴149とによって固定手段が形成される。さらに、前後方向に延びる係合突起148aが前後方向に延びる係合穴149に嵌まり込むことで、座席60に対して幌骨131,132を前後方向に揺動させる際に、幅方向に沿った軸線の周りを基部材120が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が、効果的に低減される。
【0056】
舌部148は、その上端部に押圧力を加えることで、弾性変形して幅方向に屈曲する。したがって、幌100を側方枠材73に取り付ける際は、接続突起124を接続穴141に挿入すると、接続穴141を画成する面141sによって係合突起148aが幅方向に向けて押され、舌部148が弾性変形して幅方向に屈曲する。そして、係合突起148aが係合穴149に対面する位置に接続突起124が到達すると、舌部148はその復元力によって屈曲前の姿勢に戻り、係合突起148aが係合穴149に嵌まり込む。また、幌100を側方枠材73から取り外す際は、舌部148の上端部を幅方向に押して屈曲させることで、係合突起148aが係合穴149から抜け出す。これにより、接続突起124と枠材側接続部140との係合が解除され、接続突起124を接続穴141から引き抜くことができる。
【0057】
上述してきた一実施の形態によれば、乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に取り付けられた座席60と、幌100と、を備えている。座席60は、座部65と、背部70と、側方枠材73と、を有する。側方枠材73は、背部70上に設けられ、座部65および背部70と共にシート150を支持する。幌100は、側方枠材73に取り付けられている。側方枠材73は、幌100が接続する枠材側接続部140を有している。幌100は、枠材側接続部140に接続する幌側接続部122を有している。
【0058】
このような乳母車10によれば、比較的柔軟な側方枠材73に幌100が取り付けられている。このため、乳母車本体20に加わった衝撃は、側方枠材73と幌100に分散される。これにより、上記衝撃によって幌100(とりわけ幌側接続部122)が破損する虞が低減される。また、幌側接続部122は従来よりも低い衝撃に耐えることができれば足りるため、幌側接続部122を小型化することができる。この結果、乳母車10における幌100の取付構造を小型化することができる。
【0059】
また、上述してきた一実施の形態によれば、枠材側接続部140は、上方に開口した接続穴141、又は、上方に突出した接続突起を有している。幌側接続部122は、枠材側接続部140の接続穴141に挿入可能な下方に突出した接続突起124、又は、枠材側接続部140の接続突起を挿入可能な下方に開口した接続穴を有している。これにより、枠材側接続部140の接続穴141に幌側接続部122の接続突起124を挿入するだけで、あるいは、枠材側接続部140の接続突起を幌側接続部122の接続穴に挿入するだけで、幌100を側方枠材73に接続することができる。
【0060】
また、上述してきた一実施の形態によれば、接続突起124および接続穴141は、前後方向に延びている。これにより、側方枠材73に対して幌骨131,132を揺動させる際(すなわち幌100を開閉する際)、幌側接続部122の前端部または後端部が枠材側接続部140に接触する。これにより、幌100が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が低減される。
【0061】
また、上述してきた一実施の形態によれば、枠材側接続部140及び幌側接続部122は、枠材側接続部140及び幌側接続部122の前方部分を互いに対して固定する前方固定手段145と、枠材側接続部140及び幌側接続部122の後方部分を互いに対して固定する後方固定手段146と、を有する。これにより、幌側接続部122の前方部分及び後方部分が枠材側接続部140に固定される。この結果、側方枠材73に対して幌骨131,132を揺動させる際(すなわち幌100を開閉する際)、幌100が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が、さらに効果的に低減される。
【0062】
また、上述してきた一実施の形態の変形例によれば、枠材側接続部140は、前後方向に延びる係合穴149、又は、前後方向に延びる係合突起を有している。幌側接続部122は、前後方向に延び枠材側接続部140の係合穴149に嵌まり込む係合突起148a、又は、前後方向に延び枠材側接続部140の係合突起が嵌まり込む係合穴を有する。これにより、側方枠材73に対して幌骨131,132を揺動させる際(すなわち幌100を開閉する際)、幌100が側方枠材73に対して回転する虞(すなわち側方枠材73から脱落する虞)が、効果的に低減される。
【0063】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は折り畳み可能である。背部70及び側方枠材73は、座部65に対して揺動可能である。これにより、乳母車本体20を折り畳んだ際に、背部70及び側方枠材73を座部65に対して揺動させて、折り畳まれた状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することを抑制することができる。なお、幌100は側方枠材73に取り付けられているので、背部70及び側方枠材73を座部65に対して揺動させるのに伴って、幌100も座部65に対して揺動する。したがって、背部70及び側方枠材73を座部65に対して揺動させることにより、折り畳まれた状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から幌100が突出することも抑制することができる。これにより、折り畳まれた状態にある乳母車10の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0064】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は折り畳み可能である。 また、乳母車本体20の折り畳み時に背部70及び側方枠材73は、乳母車本体20の接地面Gに対して揺動する。これにより、折り畳まれた状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から背部70及び側方枠材73が突出することを抑制することができる。なお、幌100は側方枠材73に取り付けられているので、背部70及び側方枠材73が接地面Gに対して揺動するのに伴って、幌100も接地面Gに対して揺動する。したがって、背部70及び側方枠材73を接地面Gに対して揺動することにより、折り畳まれた状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から幌100が突出することも抑制することができる。これにより、折り畳まれた状態にある乳母車10の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0065】
また、上述してきた一実施の形態によれば、座席60は、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって保持される。保持部材50は、上方に開口した受け穴53を有している。座席60は、基部61と、基部61に設けられた座部65及び背部70と、基部61から下方に突出する差し込み部64とを有している。差し込み部64は、保持部材50の受け穴53に挿入可能である。差し込み部64の先端部分64aの前後方向における寸法は、差し込み部64の基端部分64bの前後方向における寸法よりも小さい。これにより、差し込み部64を受け穴53に差し込むことが容易である。したがって、座席60を乳母車本体20に取り付けることが容易である。
【0066】
また、上述してきた一実施の形態の変形例によれば、座席60は、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって保持される。保持部材50は、上方に突出した差し込み部を有している。座席60は、基部61と、基部61に設けられた座部65及び背部70と、基部61に形成され、下方に開口する受け穴と、を有している。受け穴は、差し込み部を挿入可能である。差し込み部の先端部分の前後方向における寸法は、差し込み部の基端部分の前後方向における寸法よりも小さい。これにより、差し込み部を受け穴に差し込むことが容易である。したがって、座席60を乳母車本体20に取り付けることが容易である。
【0067】
また、上述してきた一実施の形態によれば、差し込み部64は、基端部分64bと先端部分64aを接続する中間部分64cを有している。座席60が保持部材50によって保持された状態で、基端部分64bおよび先端部分64aの前後方向を向く部分は、受け穴53を画成する面53sに当接し、中間部分64cは、受け穴53を画成する面53sから離間している。これにより、差し込み部64および受け穴53の寸法を調整することが容易である。すなわち、差し込み部64の中間部分64cおよび受け穴53の中間部分53cの寸法を厳密に調整する必要がない。さらに、差し込み部64の上下方向に互いから離間した部分(基端部分64bと先端部分64a)を、受け穴53を画成する面53sに当接させることにより、座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを、効果的に抑制することができる。
【0068】
また、上述してきた一実施の形態によれば、差し込み部64の先端部分64aの幅方向における寸法は、差し込み部64の基端部分64bの幅方向における寸法よりも小さい。これにより、差し込み部64を受け穴53に差し込むことが容易である。したがって、座席60を乳母車本体20に取り付けることが容易である。
【0069】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
10:乳母車、20:乳母車本体、21:第1リンク部材、22:第2リンク部材、23:第3リンク部材、30:前脚、35:後脚、40:ハンドル、50:保持部材、53:受け穴、60:座席、64:差し込み部、64a:先端部分、64b:基端部分、65:座部、70:背部、73:側方枠材、122:幌側接続部、124:接続突起、140:枠材側接続部、141:接続穴、145:前方固定手段、146:後方固定手段
【要約】
乳母車(10)は、乳母車本体(20)に取り付けられた座席(60)と、幌(100)と、を備えている。座席(60)は、背部(70)と側方枠材(73)とを有する。側方枠材(73)は、背部(70)上に設けられている。幌(100)は、側方枠材(73)に取り付けられている。側方枠材(73)は、幌(100)が接続する枠材側接続部(140)を有している。幌(100)は、枠材側接続部(140)に接続する幌側接続部(122)を有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12