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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】物質を放出する装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/75 20220101AFI20220104BHJP
   G01F 11/16 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B01F15/02 C
G01F11/16
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017162314
(22)【出願日】2017-08-25
(65)【公開番号】P2018047449
(43)【公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】10 2016 215 987.9
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘリベアト ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ショイアレ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン ヴァール
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-167846(JP,A)
【文献】実開昭63-035430(JP,U)
【文献】特開2004-275890(JP,A)
【文献】実開昭60-046121(JP,U)
【文献】特開2000-015069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00- 5/26
7/00- 7/32
9/00-13/10
15/00-15/06
G01F 11/00-13/00
17/00-22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出口開口(7)と入口開口(9)とを備えた容器(5)を有する、物質(3)を放出する装置(1)であって、
前記装置(1)は、開口(13)を備えた別の容器(11)を有し、前記装置(1)は、前記別の容器(11)に対して可動の構成要素(15)を有し、該構成要素(15)は、前記別の容器(11)および前記開口(13)と一緒に中空室(17)を取り囲んでおり、該中空室(17)の容積(19)が、前記構成要素(15)の移動によって可変であり、前記装置(1)は、前記容積(19)の減少によって流体(21)が前記別の容器(11)から前記開口(13)を通って流出し、かつ前記容器(5)内に前記入口開口(9)を通って流入し、前記装置(1)の前記容器内における確定された量の物質(3)が、前記出口開口(7)を通って放出されるように構成されており、
前記装置(1)は、前記物質(3)を放出する、前記出口開口(7)に連結されたニードル(29)を有し、
前記装置(1)は、前記開口(13)と前記入口開口(9)との間に配置された第1の弁(33)と、前記開口(13)と前記流体(21)を供給する供給管(35)との間に配置された第2の弁(37)とを有し、
前記ニードル(29)からの前記物質(3)の流出は、前記第1の弁(33)および前記第2の弁(37)が開放されているときの、前記供給管(35)からの、圧力インパルス圧(89)を有する圧力インパルスの長さ(91)によって制御可能であることを特徴とする、物質を放出する装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)は、前記物質(3)を撹拌する、前記容器(5)内に進入する撹拌体(25)を備えた攪拌機(23)を有する、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)は、前記容器(5)内における圧力を測定する圧力測定器(27)を有する、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)は、前記構成要素(15)を移動させる駆動装置(31)を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記装置(1)は、前記別の容器(11)における別の圧力を測定する別の圧力測定器(39)を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記装置(1)は、別の開口(43)を備えた第3の容器(41)を有し、前記装置(1)は、前記第3の容器(41)に対して可動の別の構成要素(45)を有し、該別の構成要素(45)は、前記第3の容器(41)および前記別の開口(43)と一緒に別の中空室(47)を取り囲んでおり、該別の中空室(47)の別の容積(49)が、前記別の構成要素(45)の移動によって可変であり、前記装置(1)は、前記別の容積(49)の減少によって前記流体(21)が前記第3の容器(41)から前記別の開口(43)を通って流出し、かつ前記容器(5)内に前記入口開口(9)を通って流入し、前記装置(1)の前記容器内における確定された量の物質(3)が、前記出口開口(7)を通って放出されるように構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記装置(1)は、前記別の開口(43)と前記入口開口(9)との間に配置された第3の弁(55)と、前記別の開口(43)と前記流体(21)を供給する供給管(35)との間に配置された第4の弁(57)とを有する、請求項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置(1)は、前記第3の容器(41)における第3の圧力を測定する第3の圧力測定器(59)を有する、請求項6または7記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載した装置から出発する。
【0002】
このような装置は、一般的に公知である。
【0003】
構成エレメントの小型化によって、物質を放出する装置に対する要求が高まっている。この場合装置は、特に特別に少量の物質を、特別に所望のように放出できなくてはならない。
【0004】
発明の開示
本発明の課題は、従来技術に比べて正確に物質を放出する装置を、簡単かつ安価に提供することである。
【0005】
この課題を解決する本発明の構成では、前記装置は、開口を備えた別の容器を有していて、前記装置は、別の容器に対して可動の構成要素を有し、該構成要素は、別の容器および開口と一緒に中空室を取り囲んでおり、該中空室の容積が、構成要素の移動によって可変であり、このとき前記装置は、容積の減少によって流体が別の容器から開口を通って流出し、かつ容器内に入口開口を通って流入し、前記装置の容器内における確定された量の物質が、出口開口を通って放出されるように構成されている。
【0006】
別の容器および可動の構成要素を用いて、好適な形式で、流体の容積の減少ひいては容器内への流体の進入を特に正確に制御することが可能である。これによって特に、容器内に進入しかつ容器の容積に対して押圧荷重を加える流体の量を、正確に制御することができる。ひいては物質の放出が特に正確に制御可能である。特に、少量かつ同量の物質を放出することもしくは生ぜしめることが、これによって可能である。その結果、従来技術に比べて正確に物質を放出する装置が、簡単かつ安価に提供される。
【0007】
さらに本発明に係る装置によって例えば、容器内に流入する特に正確に制御された流体量によって、もしくは構成要素によってゆっくりと調整される容器内における圧力形成によって、物質の流動限界を特に所望のように克服することが、好適に可能である。このとき物質を例えば、物質が僅かだけその流動限界を上回り、その後で容器内における圧力が再び低下して、例えば物質の放出が再び停止するように送出することができる。これによって従来技術に比べて、特に少量の物質を放出することができる。さらにこれによって例えば、物質の調量時もしくは流出時における遅延を回避すること、もしくは従来技術に比べて大幅に減じることができる。特に、物質と直接接触しているピストン駆動装置を用いて物質の放出が可能になる容量ディスペンサに対しても、本発明に係る装置は、容器内に流入する、特に正確に制御された流体量によって、物質の流動限界を特に所望のように克服することができるという利点を有している。特に、本発明に係る装置の容器内にピストン駆動装置が配置されていないことによって、容器内に進入する攪拌機を接続することができ、その結果物質を運動状態に保つことができることが好適に可能になる。
【0008】
本発明に係る装置の別の利点としては、次のことがある。すなわちほぼ任意の、いわばチャタリングのない安定した圧力経過を発生させることができ、そして容器内に流入する、正確に制御された流量によって、容器内における大きな圧力変化を回避することができる。これによってまた、物質の上方における流体が加温されること、かつ流体自体が加温されることも回避することができる。したがって本発明に係る装置によって、従来技術に比べて一定の物質粘性が、ひいては従来技術に比べて一定の物質放出特性もしくは物質ディスペンス特性が得られる。また本発明に係る装置によって、容器内にもたらされた流体が物質内において溶解することもしくは物質内に進入すること、もしくは物質の固体成分および液体成分の分離が生じることも、回避されるもしくは大幅に減じられる。これによって容器内における物質の、放出特性もしくはディスペンス特性および長時間特性がほとんど僅かしか影響を受けなくなり、ひいては物質の放出容積は、予め設定された放出容積からまったくまたは僅かしか相違せず、もしくは物質の放出容積は不都合な影響を受けない。これによってまた、閉塞された流出開口もしくは閉塞されたニードルのリスク、および基板表面における種々様々な組成の物質滴もしくはペースト滴もしくはドットのリスクが回避される。
【0009】
さらに、弁の基準圧調整器およびインパルス駆動制御装置を使用する、従来技術に基づいて公知の装置に対して、本発明に係る装置には、本発明に係る装置によって最小の圧力および圧力変化を極めて正確に容器に設定できるという利点がある。これによって本発明に係る装置は、進歩する小型化のために、およびそれに伴って小さくなる確定された物質量もしくは液滴サイズのために構成されている。
【0010】
別の利点としては、容器内への流体の流入を調整する弁を省くことができるということがある。これによって例えば、容器内に流入する流体量に対する、弁に起因する不都合な影響、例えば弁の時間的に遅延した開口および/または弁の閉鎖時におけるチャタリングのような影響をも阻止することができる。特に、チャタリングする弁に基づいて、コントロールされない圧力インパルスが容器内において発生することを阻止することができる。したがって本発明に係る装置によって、チャタリングのない、ひいては圧力ピークのない駆動制御を行うことができる。
【0011】
好ましくは、装置はディスペンサを有している。さらに物質は、好ましくは混合物もしくは調量媒体を有している。このとき混合物は、好ましくは均質な混合物または不均質の混合物を含み、特に好ましくは懸濁液、極めて特に好ましくはペーストを含む。さらに調量媒体は、好ましくは液体、特に好ましくはインキを含む。さらに流体は、好ましくはガス、特に好ましくはガス混合物、さらに特に好ましくは空気もしくは圧縮空気を含む。このときガスは、好ましくはガス状の凝集状態における媒体である。言い換えればガスは、大きな間隔をおいて互いに自由に運動しかつ利用可能な空間を均一に満たす粒子を有しており、このとき粒子は同一の原子および/または分子を有しているかまたは異なった原子および/または分子を有している。さらに容器および/または別の容器は、好ましくは円筒形の容器、特に好ましくはカートリッジを含む。さらに可動の構成要素は、好ましくはピストンを含む。
【0012】
本発明の好適な構成および実施形態は、従属請求項、および図面を参照しながらの説明から読み取ることができる。
【0013】
好適な実施形態によれば、装置は、物質を撹拌する、容器内に進入する撹拌体を備えた攪拌機を有している。これによって、物質を、攪拌機を用いて運動状態に保つことができ、ひいては物質の沈降を回避することもしくは強く制限することができるようになる。これによって、物質内における粒子が時間の経過と共に容器の底に沈殿し、これにより容器の出口開口もしくは出口開口に連結されたニードルもしくはニードルの入口および/または出口を閉塞することが、ほぼなくなり、好適である。このことは特に、多くの放出工程もしくはディスペンス工程を物質の容器充填もしくはカートリッジ充填と共に実施することが望ましく、かつ全プロセス時間が相応に長いような場合に、好適である。挿入された撹拌体は、外部に位置する軸を介して作動させられる(プロペラ撹拌体、タービン撹拌体、ディスク撹拌体、インペラ撹拌体)か、または例えば磁力式撹拌体におけるように外部から励磁されてもよい。さらに、超音波励振によって液体の混合を保証するような可能性も提供されている。
【0014】
好適な実施形態によれば、装置は、容器内における圧力を測定する圧力測定器を有している。このように構成されていると、容器内における圧力を特に正確に調節することができる。
【0015】
好適な実施形態によれば、装置は、物質を放出する、出口開口に連結されたニードルを有している。このように構成されていると、物質を特に所望のように放出させることが好適に可能になる。
【0016】
好適な実施形態によれば、装置は、構成要素を移動させる駆動装置を有している。このように構成されていると、構成要素を特に正確に、運動方向に沿って往復運動でかつ物質の特性とはほぼ無関係な速度で、移動させることが可能になる。これによって特に基準通りに使用可能な調圧器に比べて、特に正確な圧力形成および圧力消滅が容器内において、特に容器内の流体において可能になる。これによって従来技術に比べて、特に最小の圧力および正確な圧力変化を生ぜしめ、かつ調整することができ、ひいては従来技術に比べて少量の、もしくは確定された量の物質を放出することができる。
【0017】
好適な実施形態によれば、装置は、開口と入口開口との間に配置された第1の弁と、開口と流体を供給する供給管との間に配置された第2の弁とを有している。このように構成されていると、容器内における圧力に影響を及ぼすことなしに、別の容器に、物質の放出中に流体を満たすことが好適に可能になる。
【0018】
好適な実施形態によれば、装置は、別の容器における別の圧力を測定する別の圧力測定器を有している。このように構成されていると、別の容器における別の圧力を特に正確に調節することができる。
【0019】
さらに、容器と別の容器との間における供給管路に、ガス/流体の移動量を検知しかつ後調整を可能にするセンサを、組み込むことが可能である。
【0020】
好適な実施形態によれば、装置は、別の開口を備えた第3の容器を有しており、装置は、第3の容器に対して可動の別の構成要素を有しており、該別の構成要素は、第3の容器および別の開口と一緒に別の中空室を取り囲んでおり、該別の中空室の別の容積が、別の構成要素の移動によって可変であり、装置は、別の容積の減少によって流体が第3の容器から別の開口を通って流出し、かつ容器内に入口開口を通って流入し、確定された量の物質が、装置から出口開口を通って放出されるように構成されている。このように構成されていると、流体を第3の容器から容器内に流入させることができ、かつ同時に第2の容器を別の流体で満たすことができることが、好適に可能になる。そしてこれによって容器内への流体のほぼ連続的な流入が可能になる。
【0021】
好適な実施形態によれば、装置は、別の構成要素を移動させる別の駆動装置を有している。このように構成されていると、別の構成要素を特に正確に、別の運動方向もしくは別の方向に沿って往復動で、かつ物質の特性とはほぼ無関係な速度で、特に正確に移動させることが可能になる。
【0022】
好適な実施形態によれば、装置は、別の開口と入口開口との間に配置された第3の弁と、別の開口と流体を供給する供給管との間に配置された第4の弁とを有している。このように構成されていると、容器内への流体のほぼ連続的な流入が可能になる。
【0023】
好適な実施形態によれば、装置は、第3の容器における第3の圧力を測定する第3の圧力測定器を有している。このように構成されていると、第3の容器における第3の圧力を特に正確に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の別の実施形態による装置を概略的に示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態による装置を概略的に示す図である。
図4】第4の実施形態による装置を概略的に示す図である。
【0025】
本発明の実施形態
種々の図面において、等しい部分には等しい符号が付されていて、ゆえに等しい部分については、通常それぞれ一度しか説明しない。
【0026】
図1には、本発明の一実施形態による装置1が概略的に示されている。このとき装置1は、出口開口7および入口開口9を備えた容器5を有している。さらに装置1は、開口13を備えた別の容器11と、この別の容器11に対して可動の構成要素15とを有している。このとき構成要素15は、別の容器11および開口13と一緒に中空室17を取り囲んでいる。言い換えれば、構成要素15と別の容器11と開口13とが中空室17を取り囲んでいる。さらに装置1は、中空室17の容積19が構成要素15の移動によって変化可能であるように構成されている。さらに装置1は次のように形成されており、すなわち、容積19の減少によって流体21が別の容器11から開口13を通って流出し、かつ容器5内に入口開口9を通って流入し、そして確定された量の物質3が装置1から流出開口7を通って進出させられるようになっている。
【0027】
図1に例示された装置1は、物質3を撹拌するために容器5内に進入する撹拌体25を備えた攪拌機23を有している。好ましくは、撹拌体25は回転する撹拌体および/または振動ミキサおよび/またはバッグミキサを含んでいる。特に好ましくは、撹拌体25は、軸方向および/または半径方向において搬送する撹拌体を含んでいる。さらに図1に例示された装置1は、容器5内における圧力を測定する圧力測定器27もしくは圧力測定装置を有している。好ましくは、圧力測定器27は、電気式および/または機械式および/または機械電気式の圧力測定器を含んでいる。
【0028】
さらに図1には、容器5の圧密のもしくは気密の閉鎖体77が示されており、この閉鎖体77は、攪拌機23のためのもしくは攪拌機23の撹拌体25のための圧密のもしくは気密の貫通部79を備えている。さらに閉鎖体77は、圧力測定器27の管部材のための圧密のもしくは気密の別の貫通部81と、入口開口9と開口13との間における接続管部材85のための第3の貫通部83とを有している。これによって好適に、別の容器11内に存在するもしくは構成要素15の移動によって生ぜしめられる別の圧力を、容器5の閉鎖体77もしくは閉鎖部材77を通して、物質3もしくはペーストリザーバ3を備えた容器5内にもしくはカートリッジ5内に導入することができる。このとき閉鎖体77は、貫通部79および/または別の貫通部81および/または第3の貫通部83が、孔もしくは貫通孔であるように形成されている。これによって特にスペースを節減する装置1が準備され、このとき装置1は、容器5内に進入する攪拌機23を有しており、このとき容器5は、攪拌機23の少なくとも一部を含む、容器5の周囲に対して、圧密にもしくは気密にシールされている。これによって、物質3を放出工程中もしくはディスペンス工程中に持続的に撹拌することが好適に可能であり、ひいては例えば物質3の沈降を回避することができる。
【0029】
さらに図1に示した装置1は、物質3を放出するための、出口開口7に連結されたニードル29を有している。このとき例えば、出口開口7とニードル29とは互いに摩擦力結合式(kraftschluessig)におよび/または素材結合式(stoffschluessig)に結合されて連結されている。ニードル29は、好ましくは中空のニードルもしくは中空ニードルを含み、特に好ましくはディスペンサニードルもしくは調量ニードルもしくはカニューレを含んでいる。例えばニードル29は、物質3を所望のように放出するためのニードル端部、特に物質3を幾何学的に所望の形態で放出するためのニードル端部および毛管もしくは極めて細い長く延びた中空室を有している。これによって特に小さなかつ良好に再現可能なペーストドットを可能にすることができる。
【0030】
さらに図1に例示された装置1は、構成要素15を移動させる駆動装置31もしくはピストン駆動装置31もしくはピストン用のモータ式駆動装置31を有している。図1には例えば、駆動装置31がモータ61とスピンドル駆動装置63とを有している形態が示されている。好ましくは、モータ61はギヤモータであり、特に好ましくはギヤによって減速されるステップモータである。択一的に好ましくは、モータ61は圧電モータ、特に好ましくは直動式圧電モータもしくは直動式圧電アクチュエータおよび/または回転式圧電モータもしくは回転式圧電アクチュエータである。
【0031】
スピンドル駆動装置63は、例えばねじ山を有する部材65と対応ねじ山を有する別の部材67とを有している。好ましくは、部材65はスピンドル、特に好ましくはねじ山付スピンドル、または管を含んでいる。さらにねじ山付スピンドルは、例えばねじ山付ロッドまたはねじ山付ロッドに設けられたねじ山を含んでいる。択一的にねじ山付スピンドルは、例えばねじ山付ロッドを含んでおり、このときねじ山付ロッドは、該ねじ山付ロッド内に切削されたまたは成形されたねじ山を有している。さらに、別の部材67は、好ましくはスピンドルナットまたは対応管を含んでいる。好ましくは、装置1は、別の部材67が部材65に、方向101に沿って往復移動可能に、しかしながらほぼ方向101に対して平行な軸線を中心にして回動不能に支持されているように構成されている。
【0032】
図1に例示された装置1は、モータ61の回転運動が、ほぼ方向101に対して平行な軸線を中心にして部材65を駆動するように、かつこの回転運動が伝動装置63によって、部材65に対する別の部材67の、方向101に沿った往復の相対移動に変換されるように構成されている。
【0033】
図2には、本発明の別の実施形態による装置1が略示されている。図2に例示された装置1は、実質的に図1に例示した装置1に相当しており、このとき図2に示した装置1は、開口13と入口開口9との間に配置された第1の弁33と、開口13と流体21を供給する供給管35との間に配置された第2の弁37とを有している。これによって好ましくは、構成要素15が端部位置に方向101に沿ってかつ開口13に向かって移動させられ、ひいては流体21が別の容器11から流出させられた後、もしくは容積19が最小容積に減じられた後で、容器5における圧力が変化させられることなしに、別の容器11を新たに流体21によって満たすことができる。
【0034】
さらに図2に例示されているように、装置1は、別の容器11における別の圧力を測定する別の圧力測定器39もしくは圧力測定装置を有している。好ましくは、この別の圧力測定器39は、電気式および/または機械式および/または機械電子式の圧力測定装置を含んでいる。
【0035】
図2に例示された装置1では、第1の弁33は、容器5と別の容器11との間における接続が第1の弁33によって中断可能であるように配置されている。第2の弁37は、別の容器11と、別の容器11を(再)充填することができる、流体21を供給する供給管35との間における接続が、この第2の弁37によって中断可能であるように配置されている。このとき流体21は、第2の弁37を介して別の容器11に供給され、この別の容器11の構成要素15を方向101に沿って出発位置にかつモータ61に向かって移動させる。次いでもしくは確定された時点において、第2の弁37は閉鎖され、構成要素15の移動もしくは適宜な構成要素移動によって、別の容器11内における圧力は、容器5内における圧力に合わせられる。そのために好ましくは圧力測定器27によって、容器5における圧力が、例えば第1の弁33と容器5との間における圧力供給管路もしくは第3の貫通部83において、または直接、容器5内において測定される。相応に、好ましくは、別の圧力測定器39によって、別の容器11と第1の弁33との間における圧力が測定される。両方の圧力が実質的に同じである場合、もしくは両方の圧力が単に最大で所定の値しか互いに異なっていない場合に、容器5における圧力ピークを生ぜしめることなしに第1の弁33が開放される。
【0036】
好ましくはまた、プロセスガスによる別の容器11の充填は、例えば空気および/または不活性ガス、好ましくは窒素および/または希ガス、特に好ましくはヘリウムおよび/またはネオンおよび/またはアルゴンおよび/またはクリプトンおよび/またはキセノンおよび/またはラドンのようなプロセスガスによって、かつ構成要素15の出発位置への構成要素15の引戻しによって行われるようになっている。このとき第2の弁37は開放されている。システム1内もしくは装置1内への粒子の侵入を回避するためもしくは最小にするために、好ましくは、供給管35内にはフィルタが配置されていてもよい。言い換えれば、装置1は好ましくはフィルタを有している。特に好ましくは、フィルタは供給管35内に配置されている。
【0037】
図3には、本発明の第3実施形態による装置1が略示されている。図3に例示された装置1は、実質的に図1に例示された装置1および図2に例示された装置1に相当しており、このとき図3に例示した装置1は、別の開口43を備えた第3の容器41を有している。さらに、図3に示した装置1は、第3の容器41に対して可動の別の構成要素45を有しており、このときこの別の構成要素45は、第3の容器41および別の開口43と共に別の中空室47を取り囲んでいる。このとき別の中空室47の別の容積49は、別の構成要素45の移動によって可変である。さらに装置1は、別の容積49の減少によって流体21が第3の容器41から別の開口43を通って流出し、容器5内に入口開口9を通って流入し、これによって確定された量の物質3が装置1から出口開口7を通って放出されるように構成されている。
【0038】
さらに図3に例示した装置1は、別の構成要素45を移動させる別の駆動装置53もしくは別のピストン駆動装置53もしくはピストン用の別のモータ式駆動装置53を有している。このとき別の駆動装置53は、別のモータ69および別のスピンドル駆動装置71を有している。別のモータ69は、好ましくはギヤモータであり、特に好ましくは、ギヤによって減速されるステップモータである。択一的に好ましくは、別のモータ69は圧電モータ、特に好ましくは直動式圧電モータもしくは直動式圧電アクチュエータおよび/または回転式圧電モータもしくは回転式圧電アクチュエータである。
【0039】
1つまたは複数の圧電モータの使用によって、構成要素15もしくは別の構成要素45の特に正確な駆動制御を行うことができる。このとき構成要素15;45の駆動制御はまた、スピンドル駆動装置63;71を使用することなしに、圧電モータによって直接行うこともできる。言い換えれば装置1は、好ましくは圧電モータおよび/または別の圧電モータを有しており、このとき装置1は、圧電モータが構成要素15を直接、特にスピンドル駆動装置63の使用なしに駆動制御するように、かつ/または別の圧電モータが別の構成要素45を直接、特に別のスピンドル駆動装置71の使用なしに駆動制御するように構成されている。これによって、スピンドルを用いた駆動制御時に時間の経過と共に発生することがあり、かつ早期にまたは後でピストンの「パワートレーン」において遊びを生ぜしめることがある、スピンドル駆動装置63,71におけるねじ山の摩耗を、回避することができる。これによってまた、時間の経過にわたって特に一定のもしくは安定した、ひいては特に正確な圧力形成および圧力消滅も可能になる。これによって、例えばニードル29の出口における、放出時における確定された量の物質3の値におけるばらつきを、従来技術に比べて減じること、もしくは時間の経過にわたって一定の低いレベルに保つことが、特に好適に可能である。また1つまたは複数の圧電モータの使用によって、スピンドルの駆動ユニットの伝動装置における歯車の遊びをも回避することができ、これによって放出時における確定された量の物質3の値におけるばらつきをも、従来技術に比べて減じること、もしくは時間の経過にわたって一定の低いレベルに保つことが、特に好適に可能である。圧電モータの別の利点は、圧電モータが構成要素15もしくは別の構成要素45を遊びなしに駆動できることにある。さらに、圧電モータによって、サブμm範囲における正確な移動が可能であり、このことは、特に容器5内における正確な圧力調整もしくは圧力変化を可能にする。
【0040】
別のスピンドル駆動装置71は、例えばねじ山を有する第3の部材73と、対応ねじ山を有する第4の部材75とを有している。好ましくは、第3の部材73は、スピンドルを、特に好ましくはねじ山付スピンドルまたは管を含んでいる。さらにねじ山付スピンドルは、例えばねじ山付ロッドまたはねじ山付ロッドに設けられたねじ山を含んでいる。択一的にねじ山付スピンドルは、例えばねじ山付ロッドを含んでおり、このときねじ山付ロッドは、該ねじ山付ロッド内に切削されたまたは成形されたねじ山を含んでいる。さらに、第4の部材75は、好ましくはスピンドルナットまたは対応管を含んでいる。好ましくは、装置1は、第4の部材75が第3の部材73に、別の方向102に沿って往復移動可能に、しかしながらほぼ別の方向102に対して平行な別の軸線を中心にして回動不能に支持されているように構成されている。好ましくは、第1の方向101と別の方向102とは、図3に示すように互いに平行に配置されている。択一的に好ましくは、第1の方向101と別の方向102とは、互いに平行に配置されていなくていない。これによって装置1の、特にスペースを節減した配置形態が好適に可能である。
【0041】
図3において例示された装置1は、別のモータ69の回転運動がほぼ別の方向102に対して平行な別の軸線を中心にして第3の部材73を駆動するように、かつこの回転運動が別のスピンドル駆動装置71によって第3の部材73に対する第4の部材75の、別の方向102に沿った相対的な往復移動運動に変換されるように構成されている。
【0042】
さらに、図3に示した装置1は、別の開口43と入口開口9との間に配置された第3の弁55と、別の開口43と流体21を供給する供給管35との間に配置された第4の弁57とを有している。さらに図3には、装置1が、第3の容器41内における第3の圧力を測定する第3の圧力測定器59もしくは圧力測定装置を有していることが示されている。好ましくは第3の圧力測定器59は、電気式および/または機械式および/または機械電子式の圧力測定器を含む。
【0043】
図3に例示した装置1によって、特に、別の容器11の(再)充填時に、物質3の放出時における時間もしくはディスペンス時間を失わないことが可能である。このとき、図2における装置1に比べて図3における装置1に加えられた、装置1の部分は、容器5の圧力駆動制御を引き受け、このとき構成要素15は出発位置に引き戻される。このとき好ましくは、流体21は例えばヘリウムのような不活性ガスをプロセスガスとして含む。これによって高い圧縮モジュールを有する流体21が、好適に準備される。
【0044】
好ましくは、方向101に沿った別の容器11の寸法は、方向101に対して垂直な方向における別の容器11の寸法の、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍、特に好ましくは少なくとも10倍、極めて特に好ましくは少なくとも20倍の大きさである。さらに好ましくは、別の方向102に沿った第3の容器41の寸法は、別の方向102に対して垂直な方向における第3の容器41の寸法の、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍、特に好ましくは少なくとも10倍、極めて特に好ましくは少なくとも20倍の大きさである。好ましくは、方向101に沿った別の容器11の寸法は、1cm~100cm、好ましくは5cm~50cm、特に好ましくは10cm~20cmである。さらに好ましくは、別の方向102に沿った第3の容器41の寸法は、1cm~100cm、好ましくは5cm~50cm、特に好ましくは10cm~20cmである。このように構成されていると、構成要素15および/または別の構成要素45の移動距離当たりに押し退けられる、流体21の容積が減じられ、かつ容器5内における圧力形成をさらに精密もしくは正確に調節できる、ということが可能になる。これによって容器5に対する特に精密かつ正確な圧力供給が可能になる。
【0045】
図4には、装置1が択一的に第4の実施形態によればどのように運転され得るかが略示されている。
【0046】
図4に示した装置1では、ニードル29のニードル先端において流出する物質3は、圧力インパルス圧89を有する圧力インパルスの長さ91によって可能になる。この場合時間的に隣り合った2つの圧力インパルスの時間的な開始点は、例えば1つの時間単位93を互いに間隔をおいて提供する。このとき弁87における圧力および存在するインパルス幅もしくは長さ91は、弁87の制御開始もしくは制御終了に対して相応に選択することができる。
【0047】
本発明によれば好ましくは、図2および図3に示した装置1は、上に記載したように作動させられる。しかしながらまた既に述べたように、択一的に、図4に記載したような作動も可能である。このとき好ましくは、構成要素15および/または別の構成要素45は、別の容器11内においておよび/または第3の容器41内において移動させられない。このときさらに、第1の弁33および第2の弁37および/または第3の弁55および第4の弁57は開放されており、これによって容器5内への直接的な圧力導入を行うことができる。さらに好ましくは、例えば図4における弁87の駆動制御時において示されているように、インパルス駆動制御によって弁のうちの1つ弁の開閉が行われるようになっている。このようになっていると、装置1によって、極端に小さな圧力および圧力インパルスならびに、極めて大きな圧力および圧力インパルスまでの大きな圧力および圧力インパルスを、容器5に対して加えることができるようになる。これによって、種々様々なペースト特性および種々異なったドットサイズを有するペーストを、同一の装置1によって計量分配できることが可能になる。
【0048】
好ましくは、本発明に係る装置1は、使用のために、機械の外側に配置されてもしくは固定されて設けられている。択一的に好ましくは、本発明に係る装置1は、使用のために、機械の内部に配置されてもしくは取り付けられて設けられている。択一的な別の実施形態では、容器5、攪拌機23、撹拌体25およびディスペンスニードル29は、鉛直方向可動の調節ユニットに固定されており、これに対して装置1の別の構成要素は、位置固定に取り付けられている。さらに装置1は、好ましくは、最小のペーストドットがウエハもしくはプリント基板におけるマイクロメカニック式のガスセンサを実現するために設置可能であるように構成されている。
図1
図2
図3
図4